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JP3174271B2 - ランプ反射鏡用成形組成物、それを用いたランプ反射鏡の製造方法及びランプ反射鏡 - Google Patents

ランプ反射鏡用成形組成物、それを用いたランプ反射鏡の製造方法及びランプ反射鏡

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JP3174271B2
JP3174271B2 JP16326696A JP16326696A JP3174271B2 JP 3174271 B2 JP3174271 B2 JP 3174271B2 JP 16326696 A JP16326696 A JP 16326696A JP 16326696 A JP16326696 A JP 16326696A JP 3174271 B2 JP3174271 B2 JP 3174271B2
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reflector
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Koito Manufacturing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランプ反射鏡用成
形組成物、特に自動車に装備するヘッドランプ、フォグ
ランプ等に使用して好適なランプ反射鏡用の成形組成
物、それを用いたランプ反射鏡の製造方法及びランプ反
射鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】ランプ反射鏡、特にヘッドランプ、フォ
グランプ等のランプ反射鏡は、非常に高輝度の電球を使
用するため、使用時にフィラメントから発生する高熱に
耐えねばならないことから、反射鏡の基体は熱硬化性樹
脂で形成され、従来から不飽和ポリエステル樹脂成形組
成物が用いられている。例えば、12〜18重量%のガ
ラス繊維を含有する熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂
形組成物に炭酸カルシウムなどの充填剤と、相溶性内部
離型剤として脂肪酸エステル、硬化触媒として脂肪族ペ
ルオキシ化合物を含有する不飽和ポリエステル樹脂成形
組成物等からなる反射鏡組成物が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ランプ
反射鏡として用いられる不飽和ポリエステル樹脂には、
ランプ点灯時の発熱温度(約180℃)に耐え得る耐熱
性が要求されるにもかかわらず、これら提案される不飽
ポリエステル樹脂成形組成物をランプ反射鏡基体材料
として用いると、ランプ点灯時の灯室内の熱上昇による
熱変形が発生する。また、ランプ反射鏡を射出成形する
時発生する熱硬化収縮により基材が収縮し、寸法安定性
や表面平滑性が損なわれることが判明した。その結果、
反射鏡表面に歪みが発生し、その歪みによって反射鏡表
面が凹凸面となって電球からの照射光が正確に制御でき
ず、従って対向車両に対する眩光を生じたり、配光規格
を満足しないという問題があった。特に、この種の高強
度ランプ反射鏡は光学的に狂いのない精度の高い反射面
を有することが要求されることから、優れた耐熱性、寸
法安定性、表面平滑性及び強度を有する反射鏡基体を提
供できる熱硬化性プラスチック成形材料の開発が必要で
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するものであって、不飽和ポリエステル樹脂、ガラス
繊維、無機充填剤及び熱可塑性樹脂を含有する不飽和
ポリエステル樹脂成形組成物(以下、成形組成物と略称
する)によって、ランプ反射鏡を成形することを特徴と
するものである。本発明に従い特に熱可塑性樹脂を配合
することにより、成形組成物の熱硬化時に発熱により熱
可塑性樹脂が膨張して系全体の硬化収縮を補償し、得ら
れる反射鏡の体積を一定に保ち、光学的に狂いのない高
精度な反射面を構成することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明では、ランプ反射鏡用成形
材料において熱硬化性樹脂基材として従来公知の不飽和
ポリエステル樹脂、架橋剤及び触媒を用いることができ
る。フィラメントから発する180℃以上の高熱に耐え
るため、樹脂基材である不飽和ポリエステル樹脂と架橋
剤との硬化物(以下、不飽和ポリエステル樹脂硬化物と
称する)のガラス転移点が150℃以上、特に160℃
以上であることが好ましい。不飽和ポリエステル樹脂
化物のガラス転移点が150℃以上であると、高温にお
ける弾性率を保持でき、灯具点灯時に反射面に熱変形に
よるうねり等が生じず、光学的に良好な反射面の表面形
状が維持できる。
【0006】本発明で用いられる不飽和ポリエステル樹
脂は、不飽和多塩基酸及び必要に応じて飽和多塩基酸と
多価アルコールとを縮重合して得られるものである。不
飽和多塩基酸としては、縮重合に用いることのできる種
々の不飽和多塩基酸を適宜用いることができ、具体的に
は、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げら
れ、特に無水マレイン酸、フマル酸が好ましく用いられ
る。任意成分である飽和多塩基酸としては、縮重合に用
いることのできる種々の飽和多塩基酸を適宜用いること
ができ、具体的には、無水フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラ
ヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水
フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ヘット酸、テトラ
ブロム無水フタル酸等が挙げられ、特に無水フタル酸、
イソフタル酸が好ましい。
【0007】多価アルコールとしては、縮重合に用いる
ことのできる種々の多価アルコールを適宜用いることが
でき、具体的には、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピ
レンオキシド付加物、ジブロムネオペンチルグリコー
ル、ペンタエリスリットジアリルエーテル、アリルグリ
シジルエーテル等が挙げられ、特にエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジ
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,
3−ブタンジオール、水素化ビスフェノールAが好まし
く用いられる。
【0008】不飽和ポリエステルは、本発明の成形組成
物中、好ましくは4〜20質量%、より好ましくは6〜
13質量%含有される。
【0009】また、本分野で公知の種々の架橋剤及び触
媒を本発明の成形組成物に適宜用いることができる。架
橋剤としてはスチレンモノマー、触媒としてはt−ブチ
ルパーオキサイト等の有機過酸化物が好ましく用いられ
る。架橋剤は、本成形組成物中好ましくは5〜25質量
%、より好ましくは6〜13質量%の量で、触媒は、本
成形組成物中好ましくは0.2〜5質量%、より好まし
くは0.2〜3質量%の量で、それぞれ用いることがで
きる。
【0010】上述の通り、本発明では、不飽和ポリエス
テル樹脂の硬化時の収縮を抑制する目的で熱可塑性樹脂
を添加する。熱可塑性樹脂の例としては、スチレン系共
重合体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル又
はポリメタクリル酸メチル系共重合体、変性ABS樹
脂、セルロースアセテートブチレート、ポリカプロラク
トン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、
変性ポリウレタン等を挙げることができる。特に、ポリ
メチルメタクリレート等の如きアクリル系樹脂(共重合
体を含む。例えばスチレン−アクリル共重合体、スチレ
ン−ポリエステル共重合体等)及びポリ酢酸ビニル等の
如き酢酸ビニル樹脂(共重合体を含む。例えばスチレン
−酢酸ビニル共重合体等)が、分散性、低収縮性、剛性
の点で好ましい。熱可塑性樹脂の添加量は、本成形組成
物中、好ましくは2〜12質量%、より好ましくは2.
4〜8質量%である。
【0011】本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、不飽
和ポリエステル樹脂の硬化時の自己発熱温度(140〜
180℃)により熱膨張を起こす。熱可塑性樹脂のかか
る性能を充分に発揮するには、そのガラス転移点が15
0℃以下、特に120℃以下であることが好ましい。ガ
ラス転移点が150℃以下であると、成形時に熱可塑性
樹脂の充分な熱膨張が得られ、不飽和ポリエステルの硬
化収縮を充分に抑制することができる。
【0012】本発明では、基材の収縮量と熱可塑性樹脂
の膨張量をそれぞれコントロールすることにより、ラン
プ反射鏡の寸法安定性及び表面平滑性を高めることがで
きる。特に、不飽和ポリエステル樹脂硬化物のガラス転
移点を150℃以上とすることで、ランプ点灯時の反射
鏡基体の弾性率の低下を防止し、反射鏡基体の熱変形を
有効に防止することができるとともに、ガラス転移点1
50℃以下の熱可塑性樹脂を混合することにより、熱硬
化性不飽和ポリエステル樹脂の硬化収縮を有効に防止
し、精度良い反射面を形成できる。即ち、耐熱性と寸法
安定性の相反する性能をバランスよく両立できるもので
ある。
【0013】本発明の好ましい態様としては、硬化物の
ガラス転移点150℃以上、より好ましくは160℃以
上の不飽和ポリエステル樹脂と、ガラス転移点150℃
以下、より好ましくは120℃〜−10℃のポリメチル
メタクリレート等の如きアクリル系樹脂(共重合体を含
む。例えばスチレン−アクリル共重合体、スチレン−ポ
リエステル共重合体等)又はポリ酢酸ビニル等の如き酢
酸ビニル樹脂(共重合体を含む。例えばスチレン−酢酸
ビニル共重合体等)とを組み合わせて用いるものであ
り、これにより、分散性、寸法安定性、剛性、耐熱性の
いずれにおいても優れた性能を確保でき、良好なランプ
反射鏡を成形することができる。
【0014】本発明の成形組成物には、走行中に脱落、
破損等のないような強度を確保するために、補強材とし
てガラス繊維を添加する。ガラス繊維の添加量は、成形
組成物中、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは
10〜25質量%である。この範囲内であれば、成形品
の表面粗さに悪影響を及ぼすことなく、充分な耐衝撃強
度が達成できる。また、ガラス繊維径は好ましくは6〜
18μmであり、この範囲内で適度な流動性と強度とを
確保することができる。
【0015】本発明の成形組成物にはまた、本分野で公
知の種々の無機充填剤を添加する。例えば、炭酸カルシ
ウム、マイカ、タルク、グラファイト、カーボンブラッ
ク、アスベスト、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
添加量は特に限定的ではないが、成形組成物中、好まし
くは35〜70質量%、より好ましくは45〜65質量
%程度が適当である。
【0016】本発明の成形組成物には更に、低収縮の成
形品を金型から容易に脱型するために、内部離型剤を添
加することが好ましい。内部離型剤としては、本分野で
公知の種々の内部離型剤を用いることができ、例えばス
テアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸
金属塩が好ましく用いられる。その添加量は好ましくは
0.5〜6質量%、より好ましくは0.5〜4質量%で
ある。0.5質量%以上であれば成形品にクラック等が
発生することなく成形時に安定した脱型を行うことがで
き、また、6質量%以下であれば、反射鏡として必要な
反射面の表面処理(プライマーコート塗装)を容易に実
施でき、塗装のレベリング性、密着性も充分に担保する
ことができる。
【0017】本発明の成形組成物は、更に必要に応じ
て、顔料、重合禁止剤(例えば、キノン類、ハイドロキ
ノン類、フェノール類、有機及び無機の銅塩、アミジン
類、ヒドラジン類、第4級アンモニウム塩類、アミン
類、ニトロ化合物、オキシム類、硫黄、多価フェノール
類、アミン塩酸塩類など)、増粘剤(例えば、酸化マグ
ネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸化
物)等を含有することができる。
【0018】図1に本発明の成形組成物を反射鏡に使用
した代表的な車両用前照灯を示す断面図である。図1に
おいて、車両用前照灯1には、灯具ボディ2と灯具ボデ
ィ2の前面開口部に取着された前面レンズ4により灯室
6が形成されており、この灯室6内に反射鏡3と反射鏡
に取着された電球5が収納されている。この反射鏡3
は、放射面等から成る主反射面3bとその主反射面を挟
んで上下に形成された平坦面3a、3cとからなり、そ
の表面にアンダーコートを施し、その上にアルミニウル
蒸着を施して反射処理を行った後、トップコートを施し
ている。
【0019】電球5を点灯することにより、フィラメン
ト7からの照射光が反射面3bにより前方に反射され、
車両前方を照射する。この際、電球5から発生する熱に
より灯室6内の温度が上昇し、特に反射鏡3の表面温度
が約180℃まで上昇する。従って、反射鏡、特に反射
鏡表面がこれらの高熱に耐え得る材料を選択しなければ
ならない。
【0020】反射鏡3は、本発明に従う不飽和ポリエス
テル成形組成物で形成される。不飽和ポリエステル4〜
20質量%、ガラス繊維5〜30質量%、無機充填剤3
5〜70質量%及び熱可塑成樹脂2〜12質量%、並び
に必要に応じて架橋剤5〜25質量%、触媒0.2〜5
質量%及び内部離型剤0.5〜6質量%を混合分散した
成形組成物を、適宜形状の金型に好ましくは射出成形法
又は射出圧縮成形法に従い注入し、続いて加熱によりこ
れを硬化させて反射鏡基体11とする。ここで、射出に
先立ち金型キャビティー内の空間を減圧にするために、
真空源と連結したタンクを金型と連結して、射出以前に
金型キャビティー内の空気を取り除くようにすることが
好ましい。硬化に際して型を好ましくは130〜200
℃、より好ましくは140〜180℃に加熱する。硬化
時間は目的とする反射鏡基体の厚さに応じて適宜設定す
ることができるが、0.5〜4分程度が好ましい。本発
明によれば、硬化時の成形組成物の収縮はほとんど見ら
れず、型から取り外した反射鏡基体の表面状態は非常に
良好で、歪みがなく高い光沢性を有するものであった。
【0021】次いで、反射鏡3の表面にアンダーコート
としてプライマーを塗布し、表面活性化を行うことが好
ましい。このプライマーコートの上に1種又は複数種の
ラッカーを塗布してもよい。次いで、この上にアルミニ
ウム等の金属被膜を真空蒸着法又はスパッタリング法に
より形成して反射鏡面を形成する。ラッカーは反射鏡表
面と反射性アルミニウム被膜に接着するものであり、ポ
リエステル、ポリブタジエン、エポキシ、アクリル又は
アルキッド樹脂等が好適である。更に、金属被膜上にラ
ッカーの保護膜を設けてもよい。
【0022】
【実施例】
実施例1 不飽和ポリエステル(マレイン酸、オルソフタル酸、プ
ロピレングリコール及びネオペンチルグリコールの重縮
合物;但し、そのガラス転移点は表1に示す通り)10
質量%、架橋剤(スチレンモノマー)13質量%、熱可
塑性樹脂(酢酸ビニル)6質量%、触媒(t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート)2質量%、内部離型剤(ステア
リン酸亜鉛)4質量%、無機充填剤(炭酸カルシルム)
40質量%及びガラス繊維(ガラス繊維径15μm)2
5質量%を分散して成形組成物とし、上記の通り、射出
成形法により温度140℃で2.5分間熱硬化して金型
から取り外し、反射鏡基体を製造した。
【0023】得られた各反射鏡基体に180℃100時
間の耐熱試験を行い、その表面粗さ(Rmax)を表1に
示した。表面粗さは、JIS B0601に従い測定し
た(以下同様)。また、各反射鏡基体の動的粘弾性テス
ト(10Hz、5℃/分昇温)の結果を図2に示した。
【0024】
【表1】
【0025】表1の結果から、Rmaxの値が1.5μm
以下ならば反射鏡として実用可能である。不飽和ポリエ
ステル樹脂硬化物のガラス転移点が150℃以上の場合
に良好な表面平滑性が得られることが判る。また、図2
の結果から、不飽和ポリエステル樹脂硬化物のガラス転
移点が150℃以上の場合に実際に耐熱性の要求される
温度180℃でも充分に良好な弾性率を維持することが
判る。特に、ガラス転移点が160℃以上あれば、貯蔵
弾性率の低下は少なく充分な剛性が得られる。
【0026】実施例2 実施例1において、硬化物のガラス転移点160℃の不
飽和ポリエステル樹脂を用い、かつ熱可塑性樹脂のガラ
ス転移点を表2に示す通りに変化させた他は実施例1と
同様にして反射鏡基体を製造した。得られた各反射鏡基
体の成形収縮率、表面粗さ(Rmax)、フランジ部裏面
のヒケ及びBMC成形品の弾性率を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】成形収縮率の値は0.10%以下、Rmax
の値は1.5μm以下、フランジ部裏面のヒケは20μ
m以下、弾性率は10,000MPa以上の場合に反射
鏡として良好な性能を有するといえる。熱可塑性樹脂の
ガラス転移点が150℃以下、特に120℃以下の場合
に、良好な成形収縮率と表面粗さが得られることが判
る。また、反射有効面外にフランジ部があれば、熱可塑
性樹脂のガラス転移点は150℃以下であれば実用可能
である。特に、反射面にフランジ部があっても反射面に
ヒケがなく、BMC成形品の弾性率が確保できる−10
℃〜120℃が良好である。
【0029】実施例3 実施例1において、硬化物のガラス転移点160℃の不
飽和ポリエステル樹脂を用い、かつガラス繊維の含有量
を表3に示す通りに変化させた(反射鏡成形組成物中に
おける質量%で示す)他は実施例1と同様にして反射鏡
基体を製造した。得られた各反射鏡基体のアイゾット衝
撃(ノッチ付き)、シャルピー衝撃及び表面粗さ(Rma
x)を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】アイゾット衝撃(ノッチ付き)の値は40
Ncm/cm以上、シャルピー衝撃の値は50Ncm/cm2
上の場合に反射鏡として実用可能である。5.0〜3
0.0質量%の範囲内で耐衝撃強度及び表面性状の両面
で良好な結果を得ることが判る。尚、ガラス繊維含有量
が過剰になると、成形時の流動性が低下し表面クラック
が発生するため強度が低下する。
【0032】実施例4 実施例1において、ガラス転移点160℃の不飽和ポリ
エステルを用い、かつガラス繊維の繊維径を表4に示す
通りに変化させた他は実施例1と同様にして反射鏡基体
を製造した。得られた各反射鏡基体の流動粘度、曲げ強
度及びアイゾット衝撃強さを表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】流動粘度の値は80,000〜120,0
00PS、曲げ強さの値は60MPa以上、アイゾット
衝撃強さの値は40Ncm/cm以上の場合に反射鏡として
実用可能である。3μmの繊維径のガラス繊維は、ガラ
ス繊維の製造時、糸切れ等の不具合が発生し、製造コス
トがかさむ。また、ガラス繊維単位重量当たりの表面積
が多くなるため、反射鏡射出成形時に必要な流動性が得
られない。一方、20μmの繊維径の場合には、不飽和
ポリエステル樹脂とガラス繊維の接触面積が低下するた
め、曲げ強度及び衝撃強度が低下する。ガラス繊維の繊
維径が6〜18μmの範囲において良好な結果を得るこ
とが判る。
【0035】
【発明の効果】本発明の熱硬化性プラスチック成形材料
によれば、優れた耐熱性、寸法安定性、表面平滑性及び
強度を有する反射鏡基体を提供でき、優れた性能のラン
プ反射鏡を製造できる。更に、硬化物のガラス転移点1
50℃以上の不飽和ポリエステル樹脂及びガラス転移点
150℃以下の熱可塑性樹脂とすることにより、ランプ
点灯時の反射鏡基体の弾性率の低下を防止し、反射鏡基
体の熱変形を有効に防止するとともに、熱硬化性樹脂の
硬化収縮を有効に防止し、精度良い反射面を形成でき、
耐熱性と寸法安定性の相反する性能をバランスよく両立
できる。
【0036】特に、硬化物のガラス転移点160℃以上
の不飽和ポリエステル樹脂と、ガラス転移点120℃〜
−10℃のアクリル系樹脂(共重合体含む)又は酢酸ビ
ニル樹脂(共重合体含む)とを組み合わせて用いること
により、分散性、寸法安定性、剛性、耐熱性のいずれに
おいても優れた性能のランプ反射鏡基体を成形すること
ができる。更に、6〜18μm径のガラス繊維を用いる
ことにより、適度な流動性と強度とを確保することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形組成物を反射鏡基体に使用した車
両用前照灯を示す断面図。
【図2】不飽和ポリエステル樹脂硬化物のTgに対する
弾性率の温度依存性を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02B 5/08 G02B 5/08 A (56)参考文献 特開 平5−242701(JP,A) 特開 平5−128904(JP,A) 特開 平3−208201(JP,A) 特表 平4−506682(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F21V 7/22 G02B 5/08 C08K 3/00 C08L 1/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル樹脂、ガラス繊維、
    無機充填剤及び熱可塑性樹脂を含有し、不飽和ポリエス
    テル樹脂硬化物のガラス転移点が150℃以上、熱可塑
    性樹脂のガラス転移点が150℃以下であることを特徴
    とするランプ反射鏡用成形組成物。
  2. 【請求項2】 不飽和ポリエステル樹脂硬化物のガラス
    転移点が160℃以上であり、熱可塑性樹脂がアクリル
    系樹脂(共重合体含む)及び酢酸ビニル樹脂(共重合体
    含む)から選択される少なくとも1つの樹脂を含有する
    ことからなり且つそのガラス転移点が120℃〜−10
    ℃である、請求項記載のランプ反射鏡用成形組成物。
  3. 【請求項3】 ガラス繊維の繊維径が6〜18μmであ
    る請求項1記載のランプ反射鏡用成形組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜のいずれかに記載の組成物
    を成形硬化して反射鏡基体を得、該基体の内部表面に金
    属性反射被膜を形成するランプ反射鏡の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜のいずれかに記載の組成物
    を成形硬化してなる反射鏡基体と、その内部表面に金属
    性反射被膜とを有することを特徴とするランプ反射鏡。
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