JP3168865B2

JP3168865B2 - 多段遠心圧縮機用羽根車及びその製造方法

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Publication number: JP3168865B2
Application number: JP06036995A
Authority: JP
Inventors: 隆栄野
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1995-03-20
Filing date: 1995-03-20
Publication date: 2001-05-21
Anticipated expiration: 2016-05-21
Also published as: US6340287B1; CN1104567C; JPH08254198A; CN1388321A; EP0733807A1; EP0733807B1; EP0733807B2; DE69605343T3; DE69605343T2; CN1142017A; DE69605343D1

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は石油化学プラントや一般
産業のプロセス設備に供される多段遠心圧縮機に係り、
特に多段の各段を構成する遠心羽根車およびその製造方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】多段遠心圧縮機に用いられる羽根車は、
心板および側板の２つの回転円板とその回転円板間に流
路を形成する円周方向にほぼ等間隔に配置された複数枚
の羽根とから構成される。そして、心板、側板および羽
根の各要素を各段毎に、その羽根車が配置される位置に
おける作動ガスの速度分布が適正になるように設計、製
作している。

【０００３】ところで、遠心圧縮機は取扱い流体が気体
であるので、圧縮性を有しており、羽根車の吸込温度、
吸込圧力が各段毎に変化する。その結果、気体の密度が
変化し、羽根車の所望の気体通路部の幅、すなわち羽根
高さが、吸込口から初段、２段、…と、後段へ向かうに
連れて狭くなり、各段の羽根車形状は互いに相異なる形
状となる。

【０００４】そのため、従来多段遠心圧縮機を製作する
に当っては、適切な羽根車形状を各段毎に求め、この求
められた各段毎の羽根車の形状の心板および側板をそれ
ぞれ機械加工により製作する一方、羽根を所望形状にプ
レス加工により成形し、溶接等により心板および側板と
一体化していた。また、各段毎に最適羽根形状を２次元
羽根等の簡単な羽根形状で近似し、この近似した形状を
鋳物等により製作する方法も用いられている。さらに側
板のないハーフシュラウド羽根車形状として、多軸のＮ
Ｃ加工機により複雑な羽根形状を加工する方法も用いら
れている。

【０００５】このように遠心圧縮機用羽根車の製作に当
っては種々の方法が用いられているが、いずれにしても
各段毎に異なる形状の羽根車を設計、製作する必要があ
った。なお、従来の遠心圧縮機用羽根車の製作について
は、特開平２−１６１２００号、特開平３−１５１５９
７号公報に記載されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術に記載
の前者のものは、サ−ジングの発生を抑制し高効率な羽
根車を得るために、側板を軸方向に移動可能にしている
が、この従来技術においては多段遠心圧縮機の羽根車を
製作するときに、複数段間で製作の共通化を図って製作
工数を低減することについて何ら配慮されていない。

【０００７】又、上記従来技術の後者においては、遠心
形流体機械の流量を調整して効率を高めるために、羽根
車出口の流路幅を調整する構成が記載されているが、こ
の従来技術においても複数の羽根車間で設計、製作の共
通化を図って製造工数を低減することについて何ら配慮
されていない。

【０００８】これら従来技術のいずれにおいても、各段
毎に羽根車を設計、製作することは同じであり、いずれ
の方法においても必要加工工数を減らして、安価に遠心
圧縮機用羽根車を製作することについては十分な考慮が
なされていなかった。

【０００９】本発明の目的は、上記従来技術における不
具合を解消した。安価な多段遠心圧縮機、多段遠心圧縮
機用羽根車、および羽根車の製造方法を実現することに
ある。

【００１０】本発明の他の目的は、気体の有する圧縮性
により、従来個別に設計、製作されていた多段遠心圧縮
機用羽根車の製作過程中における共用化を図ることにあ
る。

【００１１】本発明のさらに他の目的は、多段遠心圧縮
機の羽根車を製作する際に使用されるＮＣプログラムま
たはプレス型の共通化を図ることにある。

【００１２】本発明は、上記いずれの目的をも達成しな
がら、かつ、多段遠心圧縮機の性能の低下のない高効率
な多段遠心圧縮機、遠心圧縮機用羽根車、および羽根車
の製造方法を提供することをも目的とする。

【００１３】また、本発明の他の目的は、製作手順を単
純化して、信頼性を高めた多段遠心圧縮機用羽根車およ
びその製造方法を提供することにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、心板および側板と、この心板と側板との間に周方向
間隔をおいて配設された複数枚の羽根とを備えた多段遠
心圧縮機用羽根車において、前記羽根を心板側と側板側
とを結ぶ直線群から構成し、この直線群の各直線毎にそ
の長さを変化させることにより多段遠心圧縮機の異なる
複数段の羽根を形成するようにしたものである。そして
好ましくは、この羽根をＮＣ加工機にて加工するように
したものである。

【００１５】

【００１６】

【００１７】

【００１８】

【００１９】

【００２０】

【００２１】本発明の他の態様は、心板と、側板と、心
板と側板との間に周方向間隔をおいて配設される多段遠
心圧縮機用羽根車の製造方法において、異なる子午面形
状に形成した平板状の羽根素材を同一形状のプレス型を
用いてプレス加工して異なる形状の羽根を成形し、同一
形状の羽根を心板および側板に取付けて、異なる複数段
の羽根車としたものである。

【００２２】

【作用】本発明によれば、多段遠心圧縮機の構成要素で
ある羽根車の羽根部分が同一の羽根素材から部分的に切
り取った形状であるので、羽根の共通化が図れる。すな
わち、三次元に複雑にうねった面からなる羽根は、羽根
マスターピースのほぼ全てを利用する初段と、その初段
の一部を除いた部分からなる２段目というように、後段
に行くに従いマスタピースに占める割合を低下させた羽
根から羽根車を形成する。そのためプレスで製作する場
合は、２つのプレス型間に各段の羽根車の羽根に要求さ
れる面積だけ有する羽根素材を差し挟むだけで、各段の
羽根を容易に製作できる。

【００２３】またＮＣ加工にて加工する場合は、側板壁
面および心板壁面の座標のみ変えればよく、側板と心板
間の座標は各段共通であるので、プログラムの共用化が
図れる。

【００２４】なお、羽根形状の共通化は必ずしも全段共
通にする必要はなく、初段と２段目、３段目と４段目と
いうように２段毎、あるいは初段と２段目のみというよ
うに必要に応じて変化させる。

【００２５】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。図１は遠心圧縮機用羽根車の縦断面図であり、回
転軸１に固定される羽根車２は、回転円板である側板２
ｂと、同じく回転円板である心板２ａとを有している。
そして、この２つの回転円板間には、図２にその概略を
示すように、周方向にほぼ等ピッチに３次元形状の複数
枚の羽根２ｃが配列されている。遠心圧縮機の作動ガス
は図１の紙面左側の吸込口３０より吸込まれ、羽根２ｃ
と心板２ａ，側板２ｂ間に形成される流路を通過すると
きに、回転軸１の回転とともに昇圧され、図１の上部の
吐出口３１から吐出される。

【００２６】ところで、上記のように構成した羽根車を
製作するに当っては、羽根形状をプレス加工で作成する
場合には、この羽根形状と塑性変形量が同じになるよう
羽根形状に修正を加えたプレス型２つを鋳物や機械加工
で製作し、この２つの型の間に所望子午面形状となるよ
うに予め子午面形状に整えた板を挟んでプレスにより押
圧加工している。また、気体機械において固有であるガ
スの圧縮性に起因して、取扱い風量が多段機械において
は変化し、各段の設計においては、水力機械のように単
純に相似則を用いることができず、各段毎に、羽根車へ
のガスの吸込条件、吐出し条件、回転速度等に基いて主
要羽根車諸元を求め、この仕様値に基いて羽根車の詳細
形状を設計する必要があった。そのため、多段の遠心圧
縮機においては、段数だけのプレス型を準備する必要が
あった。

【００２７】しかるに本発明においては、図１に示すよ
うに子午面形状こそ異なるが、多段遠心圧縮機の異なる
２段の羽根車の羽根２ｃの形状が同一部分を有してい
る。すなわち、例えば多段遠心圧縮機の初段の羽根車の
縦断面形状が図１の実線で示されるとき、初段より後段
に配置される２段目の羽根車形状は側板３ｂ、心板２
ａ、羽根３ｃを有する形状となる。ここで羽根３ｃは羽
根２ｃの一部と完全に同じ形状である。したがって羽根
３ｃと羽根２ｃと同一の子午面形状にでき上がる羽根素
材を同一の型形状を有するプレス型を用いることによ
り、作成できる。

【００２８】つまり、プレス型の共有化により、羽根の
製作コストと加工工数を低減できる。なお、本実施例に
おいては、初段と２段目の羽根車についてプレス型の共
有化を図ったが、本発明はこの組合わせに限るものでは
なく、全段共有、２段毎共有等、本発明の趣旨を逸脱し
ない範囲で適用できる。

【００２９】なお、図１のように羽根の子午面形状を変
えたときの羽根車入口における流れの様子を図３を用い
て説明する。

【００３０】図３は羽根車の吸込流量（体積流量）と羽
根車入口の局所相対速度との関係を示したものである。
ここで局所相対速度とは、羽根車へ流入するガスの絶対
速度と回転速度とのベクトル差である。

【００３１】心板２ａ、側板２ｂ、羽根２ｃからなる羽
根車２の吸込流量がＱ_Sのときにこの羽根車２の入口局
所相対速度がＷ_1hであったとする。一方、この羽根車２
の羽根高さのみを変えて製作した心板２ａ、側板３ｂ、
羽根３ｃからなる羽根車３の対応する流量はＱ_SからＱ
_SOに変化し、入口局所相対速度もＷ_1hからＷ_1hOに減少
する。したがって、この羽根高さを変えた新羽根車にお
いては、入口局所相対速度、ひいてはガスの流れ速度の
ｎ（ｎ＞１）乗に比例する流れ損失が減少する。このこ
とは、心板２ａ、側板２ｂ、羽根２ｃからなる羽根車２
の設計に当っては最適設計をし、それより取扱い流量の
少なくなる後段の羽根車の設計、製作に当っては取扱い
流量の減少に見合った分だけ羽根高さを小さくした羽根
車３とすれば、効率の大幅な低下のない羽根車が得られ
ることが分かる。つまり、後段の羽根車の最適形状から
のかい離を小さくすることができる。なお、上記記載か
ら明らかのように、羽根形状はプレス型を共有化する羽
根車のなかで最大の子午面面積を有するものについて最
適設計する方が、共有化する羽根車の中の小さい子午面
面積を有するものについて行うよりも好ましい。

【００３２】本発明の他の実施例を図４に示す。本実施
例が図１の実施例と異なる点はプレス型を共有化する羽
根車の羽根高さを心板側で変化させていることにある。
つまり、心板２ａ、側板２ｂ、羽根２ｃからなる羽根車
２と、心板３ａ、側板２ｂ、羽根３ｃからなる羽根車３
とは心板側形状が異なるのみで、羽根３ｃは羽根２ｃの
形状の完全に一部をなしている。このように形成すると
図５に示す一軸多段遠心圧縮機の場合のように、同一回
転軸１に羽根車２２ａ〜２２ｇを取付けるときに、回転
軸の直径を大きくすることができ、回転系の剛性を高め
ることができるという効果もある。なお、この図５で６
ａは吸込エンドカバー、６ｂは吐出エンドカバー、４は
ケーシング、５は内ケーシング、７はディフューザ及び
ダイアフラムで静止流路部を形成するものである。一軸
多段圧縮機では、吸込エンドカバー６ａの上流側のケー
シング部に設けた吸込口から作動気体が吸込まれ各段の
羽根車２２ａ〜２ｇおよびディフューザ及びダイヤフラ
ム７間に形成される流路を気体が通過するにつれ圧力が
上昇し、各段の羽根車の入口における流量が減少する。
したがって、上記羽根車を各段の羽根車に用いることに
より、低コストでしかも信頼性の高い多段遠心圧縮機が
得られる。

【００３３】図６に本発明の他の実施例を示す。羽根２
ｃは側板側端点１８ａ，１８ｂ，…１８ｎを心板側端点
１９ａ，１９ｂ，…１９ｎをそれぞれ結んだ直線素２１
ａ，２１ｂ…２１ｎからなる３次元形状をしている。

【００３４】このように形成した羽根車は、直線素の向
きにエンドミル軸を合わせることによって容易に加工で
きる。この直線素２１ａ，２１ｂ，…２１ｎの向きにエ
ンドミル軸を合せるのをプログラミングすることによ
り、羽根高さが変化し、側板側端点が２０ａ，２０ｂ，
…２０ｎに変化した羽根車３であっても前記プログラム
と同じプログラムを活用できるので、製作が容易となり
加工工数が低減する。なお、上記実施例では羽根２が直
線素からなる場合について述べたが、図７に示すよう
に、羽根を点群２（ｉ，ｊ：ｉ＝１，…ｌ；ｊ＝１…，
ｍ）で表わし、側板側羽根高さが変化して点群２（ｉ，
ｊ：ｉ＝１，…ｌ；ｊ＝１…，ｋ（ｋ＜ｍ)）で表わさ
れる羽根となると、２つの羽根に共通の部分２（ｉ，
ｊ：ｉ＝１，…，ｌ；ｊ＝１，…ｋ）については同じ加
工でよく、これをプログラミングしておけば、プログラ
ムの共用化が図れ、加工工数の低減およびコストの低減
が可能になる。

【００３５】なお、これらのプログラミング加工におい
ては多軸のＮＣフライスが最も便利であるが、本発明は
それに限るものではなく数値制御可能な各種工作機械を
利用できる。また、上記記載においては羽根についての
み言及したが、羽根と側板、羽根を心板を一体に加工す
る場合においても同様の手法を用い得ることは言うまで
もない。この場合、前者においては心板を、後者におい
ては側板を、これらＮＣ加工品と溶接することにより所
望の羽根車を安価に製作できる。

【００３６】次に本発明のさらに他の実施例を図８に示
す。回転軸１の両端部近傍に取付けた羽根車２，３には
それぞれケーシング４ａ，４ｂがこの羽根車２，３を収
容するように取付けられ各ケーシングにはそれぞれ吸込
口１２ａ，１２ｂおよび吐出口１３ａ，１３ｂが設けら
れている。そして吐出口１３ａと吸込口１２ｂとはイン
タークーラー１４を介して配管接続されている。このよ
うに単段の遠心圧縮機を配管を用いて接続した多段遠心
圧縮機においても、上述した種々の羽根車を用いること
により、加工工数の低減、信頼性を向上できる。ここ
で、インタークーラーを用いることにより、多段遠心圧
縮機の性能を向上できる。なお、この実施例における段
数は２段であるが、本発明はこの段数に限るものではな
く、３段，４段，５段等にも応用できる。その際、イン
タークーラは各段間の全てに用いる必要はなく、必要に
応じて付設すればよい。

【００３７】また上記のいずれの実施例においても羽根
車外径を同じとしているが、当然のことながら後段の羽
根車外径を小さくしてもよい。

【００３８】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、多段
遠心圧縮機の羽根車を構成する羽根を、複数の段間で共
通の形状としたので、製作コストの低減、工数の低減、
および製作不良の低減が図られ信頼性が向上する。

【００３９】また、ＮＣプログラムの共用化が可能とな
り、安価で信頼性の高い多段遠心圧縮機が得られる。

【００４０】さらに、羽根の共通化によっても性能の低
下を無視できる多段遠心圧縮機が得られる。

【００４１】さらにまた、製作手順が簡略化することに
より、製作誤差や製作不良を引き起こすことの少ない信
頼性の高い多段遠心圧縮機、その羽根車，およびその製
造方法を得ることができる。

【００４２】また、複数の異なる機種へ適用することに
より、さらに原価を低減した高信頼性の遠心圧縮機用羽
根車が得られる。

【００４３】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の多段遠心圧縮機用羽根車の
縦断面図。

【図２】図１の側板を省いた斜視図。

【図３】羽根高さを変えたときの流れ状態を説明するた
めの図。

【図４】本発明の他の実施例の多段遠心圧縮機用羽根車
の縦断面図。

【図５】本発明の一実施例の多段遠心圧縮機の縦断面
図。

【図６】本発明の多段遠心圧縮機用羽根車に用いる羽根
の一実施例の斜視図。

【図７】本発明の多段遠心圧縮機用羽根車に用いる羽根
の他の実施例の斜視図。

【図８】本発明の多段遠心圧縮機の他の実施例の縦断面
図。

【符号の説明】

１…回転軸、２…羽根車、２ａ…心板、２ｂ…側板、２
ｃ…羽根、３…羽根車、３ａ…心板、３ｂ…側板，３ｃ
…羽根，４，４ａ，４ｂ…ケーシング、１０…吸込口，
１１…吐出口、１２ａ，１２ｂ…吸込口，１３ａ，１３
ｂ…吐出口、１４…インタークーラー、１８ａ，…，１
８ｎ…側板側端点、１９ａ，…，１９ｎ…心板側端点、
２０ａ，…，２０ｎ…側板側端点，２１ａ，…，２１ｎ
…直線素、２２ａ，…，２２ｆ…各段の羽根車、３０…
吸込口、３１…吐出口。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】心板および側板と、これら心板と側板との
間に周方向に間隔をおいて配設された複数枚の羽根とを
備えた多段遠心圧縮機用羽根車において、前記羽根を心
板側と側板側とを結ぶ直線群から構成し、この直線群の
各直線毎にその長さを変化させることにより多段遠心圧
縮機の異なる複数段の羽根を形成することを特徴とする
多段遠心圧縮機用羽根車。
【請求項２】心板および側板と、これら心板と側板との
間に周方向に間隔をおいて配設される多段遠心圧縮機用
羽根車の製造方法において、異なる子午面形状に形成し
た平板状の羽根素材を同一形状のプレス型を用いてプレ
ス加工して異なる形状の羽根を成形し、同一形状の羽根
毎を心板および側板に取付けて、異なる複数段の羽根車
とすることを特徴とする多段遠心圧縮機用羽根車の製造
方法。
【請求項３】請求項１に記載の羽根をＮＣ加工機によっ
て加工することを特徴とする多段遠心圧縮機用羽根車の
製造方法。