JP3140194U - 歯ブラシ用のフィラメント及び歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】植毛部12に複数の刷毛束13が植毛されてなり、刷毛束13は、複数の歯ブラシ用のフィラメント14が束ねられてなり、フィラメント14は、芯成分と鞘成分とからなる芯鞘構造を有しており、前記芯成分が熱可塑性エラストマーから構成され、フィラメント14の断面形状が多角形状とされ、フィラメント14の毛先部には扁平状のへら部が形成され、へら部において芯成分が鞘成分から露出されていることを特徴とする歯ブラシを採用する。
【選択図】図2
Description
例えば、特許文献1には、十分な歯垢除去力が得られるように、植毛部の中央部分に大径刷毛束を配設し、その外側に小径刷毛束を配設し、更に小径刷毛束の毛先高さを大径刷毛束よりも低くすることで、柔らかい感触と、十分な歯垢除去能力とが奏されるとした歯ブラシが開示されている。
また、特許文献2には、外側刷毛束のフィラメント長を内側刷毛束のフィラメント長よりも高低差で0.5〜1.0mm程度長くすることで、凹凸のある歯面、歯頸部または歯間部を効率よく刷掃できるとされた歯ブラシが開示されている。
本考案の歯ブラシ用のフィラメントは、芯成分と鞘成分とからなる芯鞘構造の歯ブラシ用のフィラメントであって、前記芯成分が熱可塑性エラストマーから構成されるとともに、前記鞘成分が硬質熱可塑性樹脂から構成され、また、前記フィラメントの断面形状が多角形状とされるとともに、前記フィラメントの毛先部には前記フィラメントの毛先に向かうに従って扁平となるへら部が形成され、更に、前記へら部において前記芯成分が前記鞘成分から露出されていることを特徴とする。
また、本考案の歯ブラシにおいては、前記複数のフィラメントにおける前記扁平状のへら部が、相互に同一方向に配向されていることが好ましい。
更に、本考案の歯ブラシにおいては、前記フィラメントの前記へら部以外の部分において、前記芯成分となる前記熱可塑性エラストマーが、前記フィラメントの断面視多角形状を構成する端面の幅方向中央部に露出されていることが好ましい。
更にまた、本考案の歯ブラシにおいては、前記植毛部に植毛穴が設けられ、前記植毛穴に前記刷毛束の折り返し部が刷毛束固定用の平線を挟んだ状態で挿入され、前記平線の両端部が前記植毛穴の壁面に係止されていることが好ましい。
また、上記の歯ブラシによれば、扁平状のへら部が、相互に同一方向に配向されているので、芯成分である熱可塑性エラストマーの露出部が同一方向を向くことになり、これにより熱可塑性エラストマーによるステイン除去能力を大幅に高められる。
更に、上記の歯ブラシによれば、芯成分となる熱可塑性エラストマーが、フィラメントの断面視多角形状を構成する端面の幅方向中央部に露出されているので、へら部以外の部分においても、熱可塑性エラストマーの露出部が同一方向を向くことになり、これにより熱可塑性エラストマーによるステイン除去能力を大幅に高められる。
また、平線を用いて刷毛束を植毛穴に植え込むことで、植毛穴においてフィラメント14同士が稠密に束ねられ、これにより刷掃効果をより高めることができる。
(歯ブラシ)
先ず、本考案を適用した歯ブラシの一例について説明する。
図1は、本考案を適用した歯ブラシ1を示す側面図であり、図2は、図1に示す歯ブラシ1の要部を拡大して示す側面図である。
この歯ブラシ1は、図1に示すように、長尺状の柄部11と、この柄部11の先端に柄部11と一体に成形された植毛部12とを備えている。柄部11は、使用者が把持する部分であり、植毛部12には、複数の刷毛束13が植毛されている。
本考案に係るフィラメント14は、芯成分と鞘成分とからなる芯鞘構造を有しており、芯成分が熱可塑性エラストマーから構成されるとともに、鞘成分が硬質熱可塑性樹脂から構成されている。また、本考案に係るフィラメント14は、断面形状が多角形状とされている。図4(a)に、フィラメントの一例を模式図で示す。図4(a)には、フィラメント14の正面図、側面図及び平面図を表している。
フィラメント14の毛先をへら状に加工するには、相対する研磨方向でへら加工し、表面を仕上げるといった公知の方法で加工すればよい。
また、図4(a)の側面図及び平面図に示すように、フィラメント14のへら部14c以外の部分においては、芯成分となる熱可塑性エラストマーが、フィラメント14の断面視四角形状を構成する端面14dの幅方向中央部に露出されている。この芯成分の露出部は、各端面14dにおいて、フィラメント14の長手方向に沿って延在している。
図4(b)に示すフィラメントは、横断面視長方形であり、横断面視したときに長方形の長手方向に沿って芯成分が帯状に配置されている。鞘成分は、この帯状の芯成分を両側から挟むように配置されている。そしてこの帯状の芯成分が、毛先部においてテーパー面14b,14bから露出されている。また、へら部14c以外の部分において、横断視四角形のフィラメント14を構成する端面14dのうち、相互に対向する端面14dの幅方向中央部から帯状の芯成分が露出されている。
また、図5(a)に示す刷毛束13が断面視正六角形状となるため、平線15を例えば60°回転させても、芯成分を構成する熱可塑性エラストマーの断面形態が回転前後でほぼ等価となる。従って、図6(a)に示すように、隣接する植毛穴16同士における平線15の角度を60°ずらせてもよい。刷毛束13は、平線15と平行な方向に撓みにくく、平線15と直交する方向には撓みやすいという特性があるので、一つの植毛部12において、異方性のある刷毛束13を同時に植毛することが可能になる。
また、図5(c)に示す刷毛束13は、平線15を挟んで断面視略長方形状となるため、平線15を例えば90°回転させても、芯成分を構成する熱可塑性エラストマーの断面形態が回転前後でほぼ等価となる。
従って、図6(b)に示すように、隣接する植毛穴16同士における平線15の角度を90°ずらせてもよい。刷毛束13は、平線15と平行な方向に撓みにくく、平線15と直交する方向には撓みやすいという特性があるので、一つの植毛部12において、異方性のある刷毛束13を同時に植毛することが可能になる。
また、上記の歯ブラシ1によれば、扁平状のへら部14cが、相互に同一方向に配向されているので、芯成分である熱可塑性エラストマーの露出部が同一方向を向くことになり、これにより熱可塑性エラストマーによるステイン除去能力を大幅に高められる。
更に、上記の歯ブラシ1によれば、芯成分となる熱可塑性エラストマーが、フィラメント14の断面視多角形状を構成する端面14dの幅方向中央部に露出されているので、へら部14c以外の部分においても、熱可塑性エラストマーの露出部が同一方向を向くことになり、これにより熱可塑性エラストマーによるステイン除去能力を大幅に高められる。
なお、パッキングファクターとは、上述した平線植毛法又は熱融着法を用いて刷毛束13を植毛穴16に固定する場合に、固定される1本又は複数本のフィラメント14の断面積の総和を植毛穴16の断面積の総和で除した値を100倍して%で表したものをいう。但し、平線植毛法を用いた場合は、植毛穴16の断面積の総和から平線15の断面積の総和を引いた値を用いる。一方、インモールド法を用いて刷毛束13を植毛部12に固定する場合、固定される1本又は複数本のフィラメント14の断面積の総和を、金型内に設けられたフィラメント14を保持するための貫通孔の断面積の総和で除した値を100倍して%で表したものをパッキングファクターという。
例えば、植毛部12の長さ方向に沿ってフィラメント14の相対する側面を平坦化した場合には、バス法で歯磨きを行なった際の歯頚部に毛先が入りやすく、且つ清掃力がある歯ブラシとなり、植毛部12の幅方向に沿ってフィラメント14の相対する側面を平坦化した場合には、スクラブ法や横磨き法で歯磨きを行なう際に歯間部に毛先が入りやすく、且つ清掃力がある歯ブラシとなり、何れの場合も刷毛束13の深部までテーパー面14b,14bが形成されているため、歯頭部を傷めることがない。
また、刷毛束は、植毛部に直径1.6mmの円形の植毛穴を28個形成し、そこに平線を用いて植毛した。また、植毛穴の配列は植毛部の短手方向に沿って4列、長手方向に沿って8列のマトリックス状とした。各植毛穴のピッチは1.0mmとした。一つの刷毛束は、約20本のフィラメントを束ね、これを折り曲げて形成した。フィラメントの長さ(植毛面から毛先の高さ)は12mmとした。また、フィラメントの太さは、断面視円形の場合に直径0.2mmとし、断面視長方形の場合は対角線の長さを0.3mmとした。
なお、歯間侵入性、歯間清掃力、当たり心地及び総合評価は、下記のようにして判定した。
専門パネル(n=20名)が歯間の洗浄することによる官能評価を行い、歯間挿入性及び当たり心地について以下に示すような3段階の基準で評価し、各評価段階におけるパネルの人数に応じて判定した。
(1)○:良好と答えたパネラーが15名以上だった。
(2)△:良好と答えたパネラーが10〜15名だった。
(3)×:良好と答えたパネラーが10名未満だった。
顎模型の上顎6番、7番に赤色インクを均一になるように塗布し、該顎模型上を本考案を適用したブラシを使用して約300gの荷重でブラッシングを行った際の歯間部のインク除去率を画像解析した。
歯間清掃力は下記判定基準により評価した。
(1) ◎:除去率90%以上
(2) ○:除去率70%以上
(3) △:除去率50%以上
(4) ×:除去率50%未満
総合評価については、歯間進入性、清掃力、当たり心地の評価において◎を4点、○を3点、△を2点、×を1点とした時、下記判定基準に従って評価した。
(1) ◎:11点以上
(2) ○:8点以上
(3) △:5点以上
(4) ×:5点未満
実験例4〜12については、総合評価では実験例2と同等なものもあるが、歯間侵入性、歯間清掃力、当たり心地の何れかの評価項目を個別に見ると、(◎)は一つもなく、また、(△)または(×)の評価が多くなった。
Claims (5)
- 芯成分と鞘成分とからなる芯鞘構造の歯ブラシ用のフィラメントであって、
前記芯成分が熱可塑性エラストマーから構成されるとともに、前記鞘成分が硬質熱可塑性樹脂から構成され、また、前記フィラメントの断面形状が多角形状とされるとともに、前記フィラメントの毛先部には前記フィラメントの毛先に向かうに従って扁平となるへら部が形成され、更に、前記へら部において前記芯成分が前記鞘成分から露出されていることを特徴とする歯ブラシ用のフィラメント。 - 植毛部に複数の刷毛束が植毛されてなる歯ブラシであって、
前記刷毛束は、複数の歯ブラシ用のフィラメントが束ねられてなり、
前記フィラメントは、芯成分と鞘成分とからなる芯鞘構造を有しており、前記芯成分が熱可塑性エラストマーから構成されるとともに、前記鞘成分が硬質熱可塑性樹脂から構成され、また、前記フィラメントの断面形状が多角形状とされるとともに、前記フィラメントの毛先部には前記フィラメントの毛先に向かうに従って扁平となる扁平状のへら部が形成され、更に、前記へら部において前記芯成分が前記鞘成分から露出されていることを特徴とする歯ブラシ。 - 前記複数のフィラメントにおける前記扁平状のへら部が、相互に同一方向に配向されていることを特徴とする請求項2に記載の歯ブラシ。
- 前記フィラメントの前記へら部以外の部分において、前記芯成分となる前記熱可塑性エラストマーが、前記フィラメントの断面視多角形状を構成する端面の幅方向中央部に露出されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の歯ブラシ。
- 前記植毛部に植毛穴が設けられ、前記植毛穴に前記刷毛束の折り返し部が刷毛束固定用の平線を挟んだ状態で挿入され、前記平線の両端部が前記植毛穴の壁面に係止されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れかに記載の歯ブラシ。
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