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JP3038474U - インフレータ及びインフレータの低圧着火装置 - Google Patents

インフレータ及びインフレータの低圧着火装置

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JP3038474U
JP3038474U JP1996012394U JP1239496U JP3038474U JP 3038474 U JP3038474 U JP 3038474U JP 1996012394 U JP1996012394 U JP 1996012394U JP 1239496 U JP1239496 U JP 1239496U JP 3038474 U JP3038474 U JP 3038474U
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JP
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inflator
chamber
housing
base
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JP1996012394U
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ジェイ.グリーン デビット
アール.ローリツェン ドナルド
Original Assignee
モートン インターナショナル,インコーポレイティド
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温のガス及び粒子状物質を生じる大きな火
炎前面を生成するエアバッグインフレータ用の低圧着火
装置を提供する。 【解決手段】 着火装置30は、着火装置ハウジング3
2、起爆部材34、自己発火化合物36、自己発火蓋3
8、着火化合物40、封止板42及び有孔端蓋44を備
える。ハウジング32はベース46を備え、ベース46
の外縁からスカート48が延設される。起爆部材34は
ベース46に受容支持され、自己発火化合物36はベー
ス46内で起爆部材34の電気部分を包囲する。封止板
42は、端蓋44の複数の孔を被覆するとともに、着火
化合物40をスカート48のチャンバ56内に保持す
る。起爆部材34が始動すると、端蓋44の複数の孔を
通して、高温のガス及び粒子状物質を前面に生じる大径
かつ低圧の火炎が発射体特性を示すことなく放出され、
インフレータ内のガス発生剤を円滑に燃焼させる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、乗物の乗員拘束装置の一部であるエアバッグを膨張させるために花 火式ガス発生剤を使用するガス発生装置すなわちインフレータに関する。本考案 はさらに、そのようなインフレータの着火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
膨張可能なエアバッグ(又はガスバッグ)は、乗物内部で、衝突発生時に乗員 を衝突の影響から緩衝すべく展開可能な位置に搭載される。可燃性の固形ガス発 生装薬を使用するインフレータによりエアバッグを膨張させることは、当該技術 分野で周知である。
【0003】 一般に乗客側エアバッグのインフレータは、ガス放出用の穴を設けた円筒形ハ ウジングと、ハウジングの内部で長手方向へ分散配置されるペレット又はウェハ 状のガス発生剤(又はガス発生装薬)と、可燃性のガス発生剤を包囲して高温燃 焼粒子群を濾過するとともにガス発生剤から生じたガスを冷却する濾過及び冷却 構造とを備える。インフレータ内でのガス発生剤の着火は、着火装置によって行 われる。
【0004】 現行のインフレータの着火装置は、1990年1月2日にシュナイター(Schneiter ) に付与された米国特許第 4,890,860号に開示されるような、ガス発生剤の内側 で長手方向に延びる直線管状の着火装置、並びに1995年8月22日にカニンガム(C unningham)及びエリクソン(Erickson)に付与された米国特許第 5,443,286号に開 示されるような、ヘッド端閉鎖形の高圧着火装置のいずれかである。いずれの特 許も、本考案と同一の譲受人に譲渡されている。
【0005】 直線管状の着火装置は産業界で周知である。この種の着火装置は、インフレー タの長手方向に延びる金属製の有孔管を備える。有孔管は、特に急速爆燃コード (Rapid Deflagrating Cord) からなる直線伝達導線すなわち導体を収容し、花火 式(pyrotechnic) の点火化合物(最も一般的にはホウ素硝酸カリウム(BKNO3) ) が有孔管に充填される。この着火装置の欠点は、製造コストが嵩むことである。
【0006】 閉鎖形の着火装置は、バスケット形着火装置としても知られており、比較的高 圧で作動する。この着火装置は、ベース付カップに点火化合物を充填して使用す る。この着火装置が起爆部材によって発火すると、装置内に高い圧力が生じる。 充分な圧力に達すると、破裂板が破裂し、高温のガス及び粒子状物質の火玉がノ ズル出口を通って高速で強力に放出される。この火玉は高圧下でガス発生剤内部 に流れる。その結果、小径でかつ破裂板を含む幅の小さな火炎により、ガス発生 剤(ペレット)が粉砕される。この着火装置の欠点は、火炎が高圧かつ高速であ り、しかも発射体としての特性を有する破裂板を含有すること、及び着火装置と その濾過装置とを、高い着火圧力に耐えられるだけの強度に製造しなければなら ず、その結果製造コストが著しく高騰することである。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、当該技術分野で現存する技術的欠陥を補うべく考案されたものであ り、技術的かつ能率的に有効な低コストのインフレータ着火装置に対する必要性 及び要求に応えようとするものである。 本考案の1つの目的は、ガスバッグインフレータに使用される着火装置であっ て、高温のガス及び粒子状物質を生成する大きな火炎前面を有する低圧着火装置 を提供することにある。
【0008】 本考案の他の目的は、低コストのインフレータハウジングを板金材料から成形 したり、或いは鍛造や絞りにより成形したりできる低圧着火装置を提供すること にある。 本考案のさらに他の目的は、ガスバッグインフレータに使用される着火装置で あって、優れた高温微粒子分布を示し、かつ発射体特性を示さない(すなわち無 発射体の)大径の火炎前面を有した低圧着火装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本考案は、ガスバッグインフレ ータの低圧着火装置であって、ベースとベースの外縁から延設されるスカートと を一体物として備えた着火装置ハウジングと、スカートに取付けられてハウジン グ内にチャンバを画成する有孔端板と、ハウジングのベースに装着され、起爆部 分をチャンバ内に延出させる起爆部材と、チャンバ内に配置される着火化合物と 、有孔端板を封止して、着火装置が始動するまでの間、着火化合物をチャンバ内 に保持する封止手段とを具備し、高温のガス及び粒子状物質を生じる大径かつ無 発射体の火炎前面を作動時に生成すること、を特徴とする低圧着火装置を提供す る。
【0010】 請求項2に記載の本考案は、請求項1に記載の低圧着火装置において、有孔端 板が複数の孔を備える低圧着火装置を提供する。 請求項3に記載の本考案は、請求項1に記載の低圧着火装置において、チャン バの容積が小さく、それにより起爆部材の起爆作用時に、チャンバをガスで満た すに要する時間を短縮して、チャンバ内の圧力が急速に上昇することを可能にす る低圧着火装置を提供する。
【0011】 請求項4に記載の本考案は、請求項1に記載の低圧着火装置において、封止手 段が0.0127mm〜0.0254mmの厚みを有するフィルムからなる低圧着火 装置を提供する。 請求項5に記載の本考案は、請求項4に記載の低圧着火装置において、封止手 段がプラスチックフィルムからなる低圧着火装置を提供する。
【0012】 請求項6に記載の本考案は、請求項4に記載の低圧着火装置において、封止手 段が金属フィルムからなる低圧着火装置を提供する。 請求項7に記載の本考案は、請求項1に記載の低圧着火装置において、起爆部 材が側方点火スキブからなる低圧着火装置を提供する。 請求項8に記載の本考案は、請求項1に記載の低圧着火装置において、起爆部 材及びチャンバに隣接してベースに形成される凹状空間と、凹状空間に配置され る自己発火化合物と、凹状空間及び自己発火化合物を着火化合物から離隔する自 己発火蓋とをさらに具備した低圧着火装置を提供する。
【0013】 請求項9に記載の本考案は、請求項8に記載の低圧着火装置において、ベース の凹状空間が、環形状を有して起爆部材の一部を包囲する低圧着火装置を提供す る。 請求項10に記載の本考案は、請求項1に記載の低圧着火装置において、スカ ートが有孔端板上に丸く縁曲げされ、それによりスカートと有孔端板とが一体に 組み合わされる低圧着火装置を提供する。
【0014】 さらに、請求項11に記載の本考案によれば、ガスバッグインフレータの低圧 着火装置であって、ベースとベースの外縁から延設されるスカートとを一体物と して備えた着火装置ハウジングと、スカートに取付けられてハウジング内にチャ ンバを画成する有孔端板と、ハウジングのベースに装着され、起爆部分をチャン バ内に延出させる起爆部材と、チャンバ内に配置される着火化合物と、有孔端板 を封止して、着火装置が始動するまでの間、着火化合物をチャンバ内に保持する 封止手段とを具備し、有孔端板が複数の孔を備え、スカートが有孔端板上に丸く 縁曲げされて、スカートと有孔端板とが一体に組み合わされ、封止手段が0.0 127mm〜0.0254mmの厚みを有するフィルムからなり、起爆部材が側方点 火スキブからなり、高温のガス及び粒子状物質を生じる大径かつ無発射体の火炎 前面を作動時に生成すること、を特徴とする低圧着火装置が提供される。
【0015】 さらに、請求項12に記載の本考案によれば、乗物の乗員拘束装置用のインフ レータであって、複数のガス放出穴を貫通形成して備える伸長円筒形のハウジン グと、ハウジング内に収容され、多数の開口部を有するとともに1つの伸長形の 開放中心通路を画成する火花式ガス発生剤と、火花式ガス発生剤を燃焼させる実 質的全ての着火材を収容するとともに、着火材を発火させる手段を備え、火花式 ガス発生剤に隣接配置されるとともに、ガス発生剤に形成された開放中心通路の 直径と実質的同一の直径を有して開放中心通路に隣接する1つの放出口を画成す る着火装置とを具備し、着火装置は、ベースとベースの外縁から延設されるスカ ートとを一体物として備えた着火装置ハウジングと、スカートに取付けられて着 火装置ハウジング内にチャンバを画成する有孔端板と、着火装置ハウジングのベ ースに装着され、起爆部分をチャンバ内に延出させる起爆部材と、チャンバ内に 配置される着火化合物と、有孔端板を封止して、着火装置が始動するまでの間、 着火化合物をチャンバ内に保持する封止手段とを具備し、以て始動時に、着火装 置の着火化合物の発火及び燃焼により、多数の高温粒子状物質を含有した大径か つ無発射体の低圧火炎を、有孔端板を通してインフレータ内のガス発生剤上に放 出し、火炎の火炎前面が、ガス発生剤を破砕することなくガス発生剤の多数の開 口部を縫うように円滑に進んで、ガス発生剤を円滑に燃焼させること、を特徴と するインフレータが提供される。
【0016】 請求項13に記載の本考案は、請求項12に記載のインフレータにおいて、ガ ス発生剤が複数のペレットからなるインフレータを提供する。 請求項14に記載の本考案は、請求項12に記載のインフレータにおいて、ガ ス発生剤が離間配置された複数のウェハからなるインフレータを提供する。 請求項15に記載の本考案は、請求項12に記載のインフレータにおいて、伸 長円筒形のハウジングがアルミニウムから形成されるインフレータを提供する。
【0017】 請求項16に記載の本考案は、請求項12に記載のインフレータにおいて、伸 長円筒形のハウジングが鋼から形成されるインフレータを提供する。
【0018】
【考案の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本考案をその実施形態に基づき詳細に説明する。 各図面において、同一又は類似の構成要素には同一参照符号を付す。 図面、特に図4及び図5を参照すると、乗物の乗員拘束装置のエアバッグを膨 張させるインフレータ10が示されている。ここに開示したインフレータ10は 、乗物の乗客側(助手席側)のエアバッグを膨張させるために特に適している。 しかし本考案は、他の場所用のエアバッグを膨張させるためにも適用できるもの である。
【0019】 インフレータ10は略円筒形のハウジング12を備え、ハウジング12は、閉 鎖端14、開放端16及びそれら両端の間の管状側壁18を備える。ハウジング 12は、閉鎖端14を伸長形の管状側壁18に一体化してアルミニウムから作製 でき、又は鋼から形成できる。 管状側壁18には複数の穴20が設けられ、生成されたガスがそれら穴20か ら流出できるようになっている。複数の穴20は、正反対向きの群を形成しつつ 側壁18に沿って反復したパターンで設けられ、それにより流出ガスが不均一な 推力を生じることを防止している。不均一な推力は、インフレータ10を発射体 にしてしまう。このような穴群の「スラスト中立」な分散配置は、当該技術分野 では周知である。一般にインフレータは、スラスト中立形の穴配置を有したもの と、スラスト方向性を呈する穴配置を有したものとのいずれかに作製される。ス ラスト中立の構成は、インフレータを反応容器から分離して貯蔵又は運搬する際 に望ましい構成である。
【0020】 ハウジング12はさらに、閉鎖端14の壁面から軸方向へ延設された取付スタ ッド22を備える。スタッド22は、乗物の乗員拘束装置の作用位置にインフレ ータ10を取付けるために使用される。 ハウジング12にはさらに、ガス発生剤24と濾過/冷却組体26とが収容さ れる。図4では、ガス発生剤24は複数のペレット28として示される。これに 対し図6では、ガス発生剤は互いに離隔した複数のウェハ68として示される。
【0021】 ガス発生剤24は、燃焼速度、無毒性及び火炎温度の要求に適合するあらゆる 種類の組成物の1つから形成できる。本考案の好適な実施形態で使用される1つ の組成物は、シュナイター(Schneiter) 他の米国特許第 4,203,787号に記載され る。この特許は、本考案と同一の譲受人に譲渡されており、その記載を参考のた めに本明細書に組込む。極めて好適な組成物は、約65重量%〜約70重量%の アジ化金属と、約4重量%までの硫黄と、約27重量%〜約33重量%の二硫化 モリブデンとを含むものであり、特に、約68重量%のアジ化ナトリウムと、約 3重量%の硫黄と、約30重量%の二硫化モリブデンとを含む組成物である。イ ンフレータ10の構造は、前述したカニンガム(Cunningham)及びエリクソン(Eri ckson)に付与された米国特許第 5,443,286号に、より詳しく開示されている。
【0022】 本考案の実施形態によるインフレータの着火装置30は、ハウジング12の開 放端16にて着火装置ハウジング32に装着される。着火装置30は、ハウジン グ12の開放端16の閉じ具として機能するとともに、可燃性のガス発生剤24 に着火すべく作用する。ハウジング12の開放端16は着火装置30に対し丸く 縁曲げされ、それにより着火装置30と着火装置ハウジング32とがハウジング 12に組付けられる。
【0023】 図1〜図3に明示されるように、着火装置30は、着火装置ハウジング32と 、電気起動式起爆部材34と、自己発火化合物36の装薬と、自己発火蓋38と 、花火式着火化合物40と、封止板42と、多数の孔45を設けた有孔端板ない し端蓋44とを備える。 着火装置ハウジング32は円筒形のベース46を備え、ベース46の外縁から スカート48が延設される。ベース46とスカート48とは同一材料の一体物と して形成される。着火装置30を組立てる前段階では、スカート48は管状であ る。スカート48は端蓋44に対し丸く縁曲げされ、それにより端蓋44とスカ ート48とが一体に組み合わされる。
【0024】 着火装置30のベース46は、起爆部材34を受容支持する開口50を備える 。電気起動式の起爆部材は、「スキブ(squib) 」という名称でも知られており、 その電気端子52に電気パルス信号を印加することにより点火を開始する。一般 にスキブは、着火装置の着火化合物40に着火を生じさせるための小さな爆発性 装薬を収容する。着火化合物40の着火をより促進させるために、図8(a)及 び(b)に示すような周知の側方点火式のスキブを使用することが望ましい。
【0025】 着火装置30では、自己発火化合物36の装薬は、ベース34内部で起爆部材 34の電気部分を包囲する環状チャンバ(凹状空間)54内に配置される。自己 発火蓋38は薄い箔状シールからなり、起爆部材34の電気部分及び自己発火化 合物36を配置したチャンバ54を横断して設置される。 封止板42は、所定の低破裂圧力を有し、0.0127mm〜0.0254mm( 1/2000インチ〜1/1000インチ)の厚みを有する金属又はプラスチッ ク製のフィルムからなる。封止板42は、端蓋44の複数の孔45を被覆すると ともに、着火装置30が作用し始めるまでの間、着火装置30の着火化合物40 をスカート48のチャンバ56内に保持する。チャンバ56は、自己発火蓋38 と封止板42とを対向する境界部として備える。図1及び図2に示すように、起 爆部材すなわちスキブ34の起爆部分は、自己発火蓋38に隣接してチャンバ5 6内に収容される。
【0026】 チャンバ56内の着火化合物40は、急速着火及び無毒性の要件に適合するあ らゆる様々な化合物であることができる。この化合物として使用される好ましい 材料は、IMR社によって製造されているIMR−3031等の無煙ニトロセル ロース黒色火薬である。 封止板42は、起爆部材34が着火化合物を発火させている間、チャンバ56 の容積を小さく維持する。この小さな容積により、その容積にガスが充満するに 要する時間が削減され、着火装置30内の圧力が封止板42の破裂圧力まで急速 に上昇する。また、側方点火式の起爆部材34を使用して、着火化合物自体の発 火をさらに促進させることも望ましい。起爆部材34が始動すると、着火装置ハ ウジング32は、端蓋44の複数の孔45を通して、多くの高温粒子状物質を含 有する大径かつ低圧の火炎を放出する。この火炎は、インフレータ10内のガス 発生剤24にいかなる発射体も作用させることなく着火する。火炎の直径は、図 面から明らかなように、起爆部材34の直径の少なくとも3倍である。これは、 前述した米国特許第 5,443,386号に開示される従来のバスケット形着火装置にお ける着火火炎よりもかなり大きいものである。
【0027】 本考案の着火装置30によれば、起爆部材34の起爆作用時に着火装置30に よって生成される火炎前面は、インフレータのガス発生剤24内へ発火火炎を小 幅前面で高速かつ強力に流出することがない。その代わりに、着火装置30によ って生成される火炎前面は、大径ゆえにかなり小さな力でガス発生剤内に放出さ れ、ガス発生剤の複数のペレット又はウェハの間及び周囲の空間を縫うように進 んで、それらペレット又はウェハを破砕することなく円滑に燃焼させる。さらに 、着火装置30によって生成される大径かつ低圧の火炎は、ガス発生剤24に当 たって着火する多数の高温粒子状物質を含有する特徴を有する。
【0028】 図4に示すように、シールパッド55及び57は、低圧火炎が濾過/冷却組体 26の両端でガス発生剤から流出することを防止する。 必要な構成部品の数を削減したので、着火装置30は製造が容易かつ安価であ る。また本考案の着火装置は、急速爆燃コードを排除し、導線を要しない着火方 式を供与する。このような着火装置30は、図4及び図5、並びに図6及び図7 に示されるような、あらゆる形式の花火式インフレータで使用できる。
【0029】 図6及び図7を参照すると、本考案の他の実施形態によるインフレータ58が 示されている。インフレータ58は、それに収容されるガス発生剤60が、中心 通路72(後述する)を画成する円筒形状を有することを特徴とする。それ以外 の点ではインフレータ58は、前述したインフレータ10と同様の構成を有する 。すなわちインフレータ58は、複数のガス流出穴59を有してアルミニウム又 は鋼から形成される伸長円筒形のハウジング62と、ハウジング62の一端を閉 鎖するとともに、ハウジング62の中心軸線に沿って開口する複数の孔45を有 した端蓋44を備える着火装置30と、ガス発生剤60を包囲する濾過/冷却組 体66とを備える。
【0030】 図6及び図7に示すように、ガス発生剤60は離間配置された複数のウェハ6 8からなる。各ウェハ68は環状に形成され、中心開口70を備える。中心開口 70は、着火装置30の端蓋44によって形成される出口孔に等しいか僅かに小 さな直径を有する。特定の実施形態では、ウェハ68は3.56cm(1.44イ ンチ)の外径と1.27cm(0.5インチ)の中心開口とを備える。複数のウェ ハ68を濾過/冷却組体66の内側で積層すると、複数の中心開口70は整列配 置されてガス発生剤60に中心通路72を形成する。
【0031】 インフレータ58の構成は、前述した米国特許第 5,443,286号にさらに詳細に 開示される。 インフレータ58の作動時には、着火装置30は、発射体として作用しない多 くの高温粒子状物質を含有する大径かつ低圧の火炎を生成する。この火炎は、端 蓋44の複数の孔45を通して放出され、ガス発生剤60の中心通路72に流入 する。火炎は中心通路72を通って妨害なく伝播し、全てのウェハ68を実質的 同時に燃焼させる。各ウェハ68の間のスペーサ74は、ウェハ間に隙間を維持 して、ガスの最初の生成及びウェハのさらなる燃焼のために、生成ガスの初期伝 播が径方向外方へ向かうことを可能にする。シールパッド76及び78は、着火 火炎が濾過/冷却組体26の両端の周辺にガス発生剤から流出することを防止す る。
【0032】 インフレータ10、58の他の作動態様は、焚き火のような高温環境下に置か れるときに生じる。そのような状況では、周囲温度が約177℃(350°F) に達したときに自己発火化合物36が自己発火する。それにより自己発火蓋38 が破裂し、着火化合物40が発火し、その結果、インフレータのガス発生剤が点 火される。177℃(350°F)の温度領域では、アルミニウム製のハウジン グ12、62はその構造的完全性を保持し、インフレータ10、58はそのガス 放出穴20、59を通してガスを生成する。自己発火化合物36が無い場合には 、着火装置の着火化合物及びインフレータのガス発生剤の少なくとも一方は、3 43℃(650°F)の温度領域で自己発火する。このような温度領域では、ア ルミニウム製ハウジングはその構造的完全性を保持できず、破片を伴って破砕さ れるであろう。
【0033】 当業者は、上記した本考案の詳細な説明により、本考案をその精神から逸脱す ることなく様々に修正し得ることを理解できよう。したがって本考案の範囲は、 上記及び図示の特定の実施形態に限定されるものではなく、実用新案登録請求の 範囲の記載によって規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の好適な実施形態によるインフレータの
着火装置の部分断面側面図である。
【図2】図1の着火装置の部分断面斜視図である。
【図3】図1の着火装置の分解斜視図である。
【図4】乗物用乗員拘束装置で使用できる図1〜図3に
示す着火装置を備えたインフレータの部分断面側面図で
ある。
【図5】図4のインフレータの開放端部分の拡大断面図
である。
【図6】乗物用乗員拘束装置で使用できる図1〜図3に
示す着火装置を備え、異なる形状のガス発生剤を使用す
る他の実施形態によるインフレータの部分断面側面図で
ある。
【図7】図6のインフレータの開放端部分の拡大断面図
である。
【図8】側方点火スキブの(a)正面図、及び(b)斜
視図、である。
【符号の説明】
10、58…インフレータ 12…ハウジング 20、59…放出穴 24、60…ガス発生剤 28…ペレット 30…着火装置 32…着火装置ハウジング 34…起爆部材 36…自己発火化合物 38…自己発火蓋 40…着火化合物 42…封止板 44…有孔端板 46…ベース 48…スカート 56…チャンバ 68…ウェハ 72…中心通路

Claims (16)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスバッグインフレータの低圧着火装置
    であって、 ベースと該ベースの外縁から延設されるスカートとを一
    体物として備えた着火装置ハウジングと、 前記スカートに取付けられて前記ハウジング内にチャン
    バを画成する有孔端板と、 前記ハウジングの前記ベースに装着され、起爆部分を前
    記チャンバ内に延出させる起爆部材と、 前記チャンバ内に配置される着火化合物と、 前記有孔端板を封止して、着火装置が始動するまでの
    間、前記着火化合物を前記チャンバ内に保持する封止手
    段とを具備し、 高温のガス及び粒子状物質を生じる大径かつ無発射体の
    火炎前面を作動時に生成すること、を特徴とする低圧着
    火装置。
  2. 【請求項2】 前記有孔端板が複数の孔を備える請求項
    1に記載の低圧着火装置。
  3. 【請求項3】 前記チャンバの容積が小さく、それによ
    り前記起爆部材の起爆作用時に、該チャンバをガスで満
    たすに要する時間を短縮して、該チャンバ内の圧力が急
    速に上昇することを可能にする請求項1に記載の低圧着
    火装置。
  4. 【請求項4】 前記封止手段が0.0127mm〜0.0
    254mmの厚みを有するフィルムからなる請求項1に記
    載の低圧着火装置。
  5. 【請求項5】 前記封止手段がプラスチックフィルムか
    らなる請求項4に記載の低圧着火装置。
  6. 【請求項6】 前記封止手段が金属フィルムからなる請
    求項4に記載の低圧着火装置。
  7. 【請求項7】 前記起爆部材が側方点火スキブからなる
    請求項1に記載の低圧着火装置。
  8. 【請求項8】 前記起爆部材及び前記チャンバに隣接し
    て前記ベースに形成される凹状空間と、該凹状空間に配
    置される自己発火化合物と、該凹状空間及び該自己発火
    化合物を前記着火化合物から離隔する自己発火蓋とをさ
    らに具備した請求項1に記載の低圧着火装置。
  9. 【請求項9】 前記ベースの前記凹状空間が、環形状を
    有して前記起爆部材の一部を包囲する請求項8に記載の
    低圧着火装置。
  10. 【請求項10】 前記スカートが前記有孔端板上に丸く
    縁曲げされ、それにより該スカートと該有孔端板とが一
    体に組み合わされる請求項1に記載の低圧着火装置。
  11. 【請求項11】 ガスバッグインフレータの低圧着火装
    置であって、 ベースと該ベースの外縁から延設されるスカートとを一
    体物として備えた着火装置ハウジングと、 前記スカートに取付けられて前記ハウジング内にチャン
    バを画成する有孔端板と、 前記ハウジングの前記ベースに装着され、起爆部分を前
    記チャンバ内に延出させる起爆部材と、 前記チャンバ内に配置される着火化合物と、 前記有孔端板を封止して、着火装置が始動するまでの
    間、前記着火化合物を前記チャンバ内に保持する封止手
    段とを具備し、 前記有孔端板が複数の孔を備え、 前記スカートが前記有孔端板上に丸く縁曲げされて、該
    スカートと該有孔端板とが一体に組み合わされ、 前記封止手段が0.0127mm〜0.0254mmの厚み
    を有するフィルムからなり、 前記起爆部材が側方点火スキブからなり、 高温のガス及び粒子状物質を生じる大径かつ無発射体の
    火炎前面を作動時に生成すること、を特徴とする低圧着
    火装置。
  12. 【請求項12】 乗物の乗員拘束装置用のインフレータ
    であって、 複数のガス放出穴を貫通形成して備える伸長円筒形のハ
    ウジングと、 前記ハウジング内に収容され、多数の開口部を有すると
    ともに1つの伸長形の開放中心通路を画成する火花式ガ
    ス発生剤と、 前記火花式ガス発生剤を燃焼させる実質的全ての着火材
    を収容するとともに、該着火材を発火させる手段を備
    え、該火花式ガス発生剤に隣接配置されるとともに、該
    ガス発生剤に形成された前記開放中心通路の直径と実質
    的同一の直径を有して該開放中心通路に隣接する1つの
    放出口を画成する着火装置とを具備し、 前記着火装置は、ベースと該ベースの外縁から延設され
    るスカートとを一体物として備えた着火装置ハウジング
    と、該スカートに取付けられて該着火装置ハウジング内
    にチャンバを画成する有孔端板と、該着火装置ハウジン
    グの該ベースに装着され、起爆部分を該チャンバ内に延
    出させる起爆部材と、該チャンバ内に配置される着火化
    合物と、該有孔端板を封止して、該着火装置が始動する
    までの間、該着火化合物を該チャンバ内に保持する封止
    手段とを具備し、 以て始動時に、前記着火装置の前記着火化合物の発火及
    び燃焼により、多数の高温粒子状物質を含有した大径か
    つ無発射体の低圧火炎を、前記有孔端板を通して前記イ
    ンフレータ内の前記ガス発生剤上に放出し、該火炎の火
    炎前面が、該ガス発生剤を破砕することなく該ガス発生
    剤の多数の前記開口部を縫うように円滑に進んで、該ガ
    ス発生剤を円滑に燃焼させること、を特徴とするインフ
    レータ。
  13. 【請求項13】 前記ガス発生剤が複数のペレットから
    なる請求項12に記載のインフレータ。
  14. 【請求項14】 前記ガス発生剤が離間配置された複数
    のウェハからなる請求項12に記載のインフレータ。
  15. 【請求項15】 前記伸長円筒形のハウジングがアルミ
    ニウムから形成される請求項12に記載のインフレー
    タ。
  16. 【請求項16】 前記伸長円筒形のハウジングが鋼から
    形成される請求項12に記載のインフレータ。
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