JP3036032B2 - 細胞の培養方法及びその装置 - Google Patents
細胞の培養方法及びその装置Info
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- JP3036032B2 JP3036032B2 JP2246638A JP24663890A JP3036032B2 JP 3036032 B2 JP3036032 B2 JP 3036032B2 JP 2246638 A JP2246638 A JP 2246638A JP 24663890 A JP24663890 A JP 24663890A JP 3036032 B2 JP3036032 B2 JP 3036032B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は接着性の細胞を高密度且つ大量に培養する方
法及び装置に係り、特に細胞が代謝した老廃物を取り出
す濾過設備を備えた細胞の培養方法及びその装置に関す
る。
法及び装置に係り、特に細胞が代謝した老廃物を取り出
す濾過設備を備えた細胞の培養方法及びその装置に関す
る。
近年、生体外で細胞を大量に培養してインターフェロ
ン等の生物薬品を生産する技術はとみにその重要性を増
している。特に接着性の細胞は多くの生理活性物質を生
産するので、その大量且つ高密度培養技術の確立は生産
の効率向上や生産コスト低減のために必須である。
ン等の生物薬品を生産する技術はとみにその重要性を増
している。特に接着性の細胞は多くの生理活性物質を生
産するので、その大量且つ高密度培養技術の確立は生産
の効率向上や生産コスト低減のために必須である。
ところで、一般に接着性の細胞を大量で高密度に培養
する方法として、マイクロキャリア法とホロファイバー
法が知られている。マイクロキャリア法は直径数百μm
のマイクロキャリア上に細胞を付着させ、通気撹拌槽内
で浮遊培養する方法であり、この方法はスケールアップ
が容易で大量培養に適する。
する方法として、マイクロキャリア法とホロファイバー
法が知られている。マイクロキャリア法は直径数百μm
のマイクロキャリア上に細胞を付着させ、通気撹拌槽内
で浮遊培養する方法であり、この方法はスケールアップ
が容易で大量培養に適する。
一方、ホロファイバー法はホロファイバー膜を束ねた
容器内で細胞を膜に付着させて培養するもので、膜を介
して栄養分と酸素を含む新鮮な培養液を細胞に供給で
き、部分的には108個/mlの高濃度まで細胞を培養するこ
とができる(例えば特開昭62−163687号公報参照)。こ
のホロファイバー法は培養液の供給及び取り出しを、ホ
ロファイバー内に培養液を流して供給口と液出口の圧損
を利用して行っている。
容器内で細胞を膜に付着させて培養するもので、膜を介
して栄養分と酸素を含む新鮮な培養液を細胞に供給で
き、部分的には108個/mlの高濃度まで細胞を培養するこ
とができる(例えば特開昭62−163687号公報参照)。こ
のホロファイバー法は培養液の供給及び取り出しを、ホ
ロファイバー内に培養液を流して供給口と液出口の圧損
を利用して行っている。
しかしながら、マイクロキャリア法は撹拌槽内で培養
するため、撹拌翼によって物理的な損傷を受けることが
避けられず、高密度に培養することが困難であるという
問題がある。また、培養開始前にマイクロキャリア上に
種細胞を付着させるために、マイクロキャリアを約10時
間細胞懸濁液中に浸漬する必要があるので、マイクロキ
ャリアに付着せず懸濁液中に残留する細胞が多く、この
間に細胞が死滅するという問題がある。更に、細胞培養
中に酸素の供給をするときに、培養液が発泡したり、マ
イクロキャリアからの細胞の分離が困難であるという問
題がある。
するため、撹拌翼によって物理的な損傷を受けることが
避けられず、高密度に培養することが困難であるという
問題がある。また、培養開始前にマイクロキャリア上に
種細胞を付着させるために、マイクロキャリアを約10時
間細胞懸濁液中に浸漬する必要があるので、マイクロキ
ャリアに付着せず懸濁液中に残留する細胞が多く、この
間に細胞が死滅するという問題がある。更に、細胞培養
中に酸素の供給をするときに、培養液が発泡したり、マ
イクロキャリアからの細胞の分離が困難であるという問
題がある。
一方、ホロファイバー法はホロファイバー内の圧力が
高く液供給口付近では容器内との差圧が大きいので膜を
介して培養液を容器内に供給し、液出口付近ではホロフ
ァイバー内の圧力が容器内より低くなるので膜を介して
培養液を取り出している。このため、ホロファイバーの
中央付近では、ホロファイバー内と容器の差圧が少ない
ので膜を透過する培養液の量が少なくなる。従って、培
養液の供給が不均一になるため、部分的にしか高濃度の
培養を行えないという問題がある。また、束状のホロフ
ァイバー膜から細胞を剥離させることが困難なので、細
胞の収率が低くなると共にホロファイバーの再利用が不
可能になり、ランニングコストが高価になるという問題
がある。
高く液供給口付近では容器内との差圧が大きいので膜を
介して培養液を容器内に供給し、液出口付近ではホロフ
ァイバー内の圧力が容器内より低くなるので膜を介して
培養液を取り出している。このため、ホロファイバーの
中央付近では、ホロファイバー内と容器の差圧が少ない
ので膜を透過する培養液の量が少なくなる。従って、培
養液の供給が不均一になるため、部分的にしか高濃度の
培養を行えないという問題がある。また、束状のホロフ
ァイバー膜から細胞を剥離させることが困難なので、細
胞の収率が低くなると共にホロファイバーの再利用が不
可能になり、ランニングコストが高価になるという問題
がある。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、細
胞に培養や酸素を均一に供給して、大量の細胞を高密度
に培養できる細胞の培養方法及びその装置を提供するこ
とを目的とする。
胞に培養や酸素を均一に供給して、大量の細胞を高密度
に培養できる細胞の培養方法及びその装置を提供するこ
とを目的とする。
本発明は、前記目的を達成する為に、表面に細胞が付
着する複数枚の多孔板と、該複数板の多孔板が所定間隔
で並設されるとともに多孔板の表面と連通する貫通孔を
有する回転自在な支軸とから成る濾過体と、前記濾過体
を収納するとともに該濾過体の支軸を支持する密閉容器
と、培養液を含む1乃至複数の流体を前記密閉容器に加
圧状態で供給する手段と、を備えたことを特徴としてい
る。
着する複数枚の多孔板と、該複数板の多孔板が所定間隔
で並設されるとともに多孔板の表面と連通する貫通孔を
有する回転自在な支軸とから成る濾過体と、前記濾過体
を収納するとともに該濾過体の支軸を支持する密閉容器
と、培養液を含む1乃至複数の流体を前記密閉容器に加
圧状態で供給する手段と、を備えたことを特徴としてい
る。
また、本発明は、前記目的を達成する為に、貫通孔を
有する支軸に細胞を付着させる複数の多孔板を、支軸内
の貫通孔に連通するように装着して成る濾過体を、密閉
容器内に設置した培養装置を用い、培養液を加圧状態に
して密閉容器に供給すると共に、支軸内の貫通孔を大気
圧又は減圧状態にし老廃物を含む培養液を多孔板及び貫
通孔を介して取り出すことを特徴としている。
有する支軸に細胞を付着させる複数の多孔板を、支軸内
の貫通孔に連通するように装着して成る濾過体を、密閉
容器内に設置した培養装置を用い、培養液を加圧状態に
して密閉容器に供給すると共に、支軸内の貫通孔を大気
圧又は減圧状態にし老廃物を含む培養液を多孔板及び貫
通孔を介して取り出すことを特徴としている。
本発明によれば、貫通孔が形成されている支軸に、貫
通孔に連通するように濾過体の多孔板を複数板並設して
支軸を密閉容器内に設け、更に培養液等を供給する供給
手段を密閉容器に連通した。従って、この供給手段を操
作すると新鮮な培養液を密閉容器内に供給して濾過体の
多孔板に付着した細胞に栄養分と酸素とを与え、同時に
細胞に付着している老廃物を除去して培養液と共に多孔
板を透過して細胞から分離すことができる。
通孔に連通するように濾過体の多孔板を複数板並設して
支軸を密閉容器内に設け、更に培養液等を供給する供給
手段を密閉容器に連通した。従って、この供給手段を操
作すると新鮮な培養液を密閉容器内に供給して濾過体の
多孔板に付着した細胞に栄養分と酸素とを与え、同時に
細胞に付着している老廃物を除去して培養液と共に多孔
板を透過して細胞から分離すことができる。
以下添付図面に従って本発明に係る細胞の培養方法及
びその装置の好ましい実施例を詳説する。
びその装置の好ましい実施例を詳説する。
第1図は本発明による培養装置の一実施例を示す全体
図である。培養装置10は円筒型の密閉容器12を備え、密
閉容器12には多孔板ユニット13が設けられている。この
多孔板ユニット13の回転軸14は、第2図に示すように密
閉容器12の中心に回転自在に支持され、回転軸14には軸
線上に貫通孔16が形成されている。貫通孔16は第2図上
で回転軸14の左端部に開口して流入口16Aを形成してい
る。回転軸14にはドーナツ状の多孔板20、20…が装着さ
れ、この多孔板20は連通孔18を介して貫通孔16に連通し
ている。
図である。培養装置10は円筒型の密閉容器12を備え、密
閉容器12には多孔板ユニット13が設けられている。この
多孔板ユニット13の回転軸14は、第2図に示すように密
閉容器12の中心に回転自在に支持され、回転軸14には軸
線上に貫通孔16が形成されている。貫通孔16は第2図上
で回転軸14の左端部に開口して流入口16Aを形成してい
る。回転軸14にはドーナツ状の多孔板20、20…が装着さ
れ、この多孔板20は連通孔18を介して貫通孔16に連通し
ている。
また、密閉容器12には流入口22と流出口24とが設けら
れている。密閉容器12は内径330mm、長さ700mmの円筒状
に形成され、その中に多孔板20、20が設けられているの
で、密封容器12の有効容積は42である。また、密閉容
器12の外周面には温度調節のために外周面に沿って温水
を流すことができるようにジャケット25が取付けられて
いる。
れている。密閉容器12は内径330mm、長さ700mmの円筒状
に形成され、その中に多孔板20、20が設けられているの
で、密封容器12の有効容積は42である。また、密閉容
器12の外周面には温度調節のために外周面に沿って温水
を流すことができるようにジャケット25が取付けられて
いる。
第3図は多孔板20の詳細と、その回転軸14への取付け
状態とを示したもので多孔板20はセラミック製の円板
で、その内周面は回転軸14の貫通孔16と連通する連通孔
18に当接して設けられている。多孔板20は孔径10μm〜
100μmと粗く透過抵抗が小さい多孔質の支持体26A上に
孔径0.01μm〜5μmと細かく透過抵抗が大きい多孔質
の層26Bを設けた多層構造の多孔質層26で形成されてい
る。このため、液が透過するときには多孔板20の表面で
の圧損が律速となって、多孔板20上のいずれの個所にお
いても貫通孔16まで液が流れるときの圧損がほぼ等しく
なる。従って、貫通孔16に近い個所だけから液がショー
トパスすることがなく、いずれの場所からも均一に培養
液の供給及び取り出しが行なえるので、多孔板ユニット
13は培養液の供給用及び細胞の老廃物取り出し用の両方
に用いるとができる。また、多孔板20は細胞の付着を容
易にするために、表面の粗さを約20μmに研磨してい
る。この多孔板20は、その直径が300mm、厚さが5mmに形
成され、密閉容器12の回転軸14に8mm間隔で各々50枚配
設されている。
状態とを示したもので多孔板20はセラミック製の円板
で、その内周面は回転軸14の貫通孔16と連通する連通孔
18に当接して設けられている。多孔板20は孔径10μm〜
100μmと粗く透過抵抗が小さい多孔質の支持体26A上に
孔径0.01μm〜5μmと細かく透過抵抗が大きい多孔質
の層26Bを設けた多層構造の多孔質層26で形成されてい
る。このため、液が透過するときには多孔板20の表面で
の圧損が律速となって、多孔板20上のいずれの個所にお
いても貫通孔16まで液が流れるときの圧損がほぼ等しく
なる。従って、貫通孔16に近い個所だけから液がショー
トパスすることがなく、いずれの場所からも均一に培養
液の供給及び取り出しが行なえるので、多孔板ユニット
13は培養液の供給用及び細胞の老廃物取り出し用の両方
に用いるとができる。また、多孔板20は細胞の付着を容
易にするために、表面の粗さを約20μmに研磨してい
る。この多孔板20は、その直径が300mm、厚さが5mmに形
成され、密閉容器12の回転軸14に8mm間隔で各々50枚配
設されている。
多孔板ユニット13が収納されている密封容器12は第1
図に示すように培養液などを貯留する各槽(34、36、3
8、39、40、42、44、46)、及び送液のための圧力源と
なるコンプレッサ30、真空ポンプ32等に接続されてい
る。
図に示すように培養液などを貯留する各槽(34、36、3
8、39、40、42、44、46)、及び送液のための圧力源と
なるコンプレッサ30、真空ポンプ32等に接続されてい
る。
以下第1図に基づいてこれらの関係を説明する。密封
容器12の流入口22には、種細胞貯槽34、洗浄などに使用
される緩衝液の貯槽36、多孔板20を洗浄するアルカリ液
の貯槽38、及び培養液貯槽39が連通されている。これら
の各貯槽34、36、38及び39はコンプレッサ30と接続され
ており、コンプレッサ30からの無菌圧縮空気で液を加圧
し、密閉容器12に送れるようになっている。また、流入
口22には減菌用の蒸気を発生するボイラ40も連通されて
いる。
容器12の流入口22には、種細胞貯槽34、洗浄などに使用
される緩衝液の貯槽36、多孔板20を洗浄するアルカリ液
の貯槽38、及び培養液貯槽39が連通されている。これら
の各貯槽34、36、38及び39はコンプレッサ30と接続され
ており、コンプレッサ30からの無菌圧縮空気で液を加圧
し、密閉容器12に送れるようになっている。また、流入
口22には減菌用の蒸気を発生するボイラ40も連通されて
いる。
流出口24には、密閉容器12の液を排出する管33A、及
び培養完了後多孔板20から剥離された細胞を種細胞貯槽
34に送るための管33Bが接続されている。
び培養完了後多孔板20から剥離された細胞を種細胞貯槽
34に送るための管33Bが接続されている。
多孔板ユニット13の回転軸14の流出入口16Aには、培
養完了後多孔板20から細胞を剥離させるためのトリプシ
ンを供給するためのトリプシン貯槽42が連通されてい
る。このトリプシン貯槽42もコンプレッサ30と接続され
ており、コンプレッサ30からの無菌圧縮空気で液を加圧
し、密閉容器12に送れるようになっている。また、この
流出入口16Aには、細胞の生産物を回収する生産物貯槽4
4、細胞の老廃物を回収する老廃物貯槽46が連通されて
いる。これらの貯槽44、46は真空ポンプ32と接続されて
おり、多孔板20を介して密閉容器12から液を回収できる
ようになっている。
養完了後多孔板20から細胞を剥離させるためのトリプシ
ンを供給するためのトリプシン貯槽42が連通されてい
る。このトリプシン貯槽42もコンプレッサ30と接続され
ており、コンプレッサ30からの無菌圧縮空気で液を加圧
し、密閉容器12に送れるようになっている。また、この
流出入口16Aには、細胞の生産物を回収する生産物貯槽4
4、細胞の老廃物を回収する老廃物貯槽46が連通されて
いる。これらの貯槽44、46は真空ポンプ32と接続されて
おり、多孔板20を介して密閉容器12から液を回収できる
ようになっている。
尚、第1図上で48は無菌フィルタ、50は培養液供給用
及び細胞の老廃物取出し用の切換弁、第2図上で52はジ
ャケット25への温水供給口、54はジャケット25からの温
水排出口、56はモータ、58、60はプーリ、62はベルトで
ある。
及び細胞の老廃物取出し用の切換弁、第2図上で52はジ
ャケット25への温水供給口、54はジャケット25からの温
水排出口、56はモータ、58、60はプーリ、62はベルトで
ある。
次に、発明の細胞の培養装置による培養の一例とし
て、人繊維芽細胞によるインターフェロン(IFN)の生
産例を示す。
て、人繊維芽細胞によるインターフェロン(IFN)の生
産例を示す。
まず、密閉容器12の流入口22から121℃以上の蒸気を
密閉容器12内に送り、密閉容器12内を20分間以上121℃
に保つことにより空減菌を行う。次に、操作は温水供給
口52から温水を供給して密閉容器12のジャケット25に温
水を循環させて密閉容器12を37℃に保存する。
密閉容器12内に送り、密閉容器12内を20分間以上121℃
に保つことにより空減菌を行う。次に、操作は温水供給
口52から温水を供給して密閉容器12のジャケット25に温
水を循環させて密閉容器12を37℃に保存する。
この状態で細胞を多孔板20、20…の表面に付着させ
る。表面への付着は、コンプレッサ30及び真空ポンプ32
を作動して細胞を種細胞槽34から密閉容器12内に満たす
と共に、濃度105個/mlに懸濁した培養液(仔ウシ血清5
%を加えたMES培地)を培養液貯留槽39から密閉容器12
内に満たした後、減菌し溶存酸素を飽和させた緩衝液
(PBS液)を0.5kgf/cm2に加圧して緩衝液貯留槽36から
流入口22を介して密閉容器12内に送り、多孔板20、20…
を介して培養液を回転軸14の貫通孔16から取り出すこと
によって行う。
る。表面への付着は、コンプレッサ30及び真空ポンプ32
を作動して細胞を種細胞槽34から密閉容器12内に満たす
と共に、濃度105個/mlに懸濁した培養液(仔ウシ血清5
%を加えたMES培地)を培養液貯留槽39から密閉容器12
内に満たした後、減菌し溶存酸素を飽和させた緩衝液
(PBS液)を0.5kgf/cm2に加圧して緩衝液貯留槽36から
流入口22を介して密閉容器12内に送り、多孔板20、20…
を介して培養液を回転軸14の貫通孔16から取り出すこと
によって行う。
これにより、細胞は液とともに多孔板20、20…の方向
に流されるが、多孔板20、20…を透過することができな
いので、強制的に多孔板20、20…の表面に付着させられ
る。通常行われている浸漬のみによる細胞の付着時間が
4〜14時間を要するのに対し、本願発明のろ過を伴う方
法では約30分で付着が完了する。このため、雑菌汚染の
可能性を少なくすることができると共に細菌の付着率及
び生存率をほぼ100%にできる。
に流されるが、多孔板20、20…を透過することができな
いので、強制的に多孔板20、20…の表面に付着させられ
る。通常行われている浸漬のみによる細胞の付着時間が
4〜14時間を要するのに対し、本願発明のろ過を伴う方
法では約30分で付着が完了する。このため、雑菌汚染の
可能性を少なくすることができると共に細菌の付着率及
び生存率をほぼ100%にできる。
次いで、栄養分と酸素を含む新鮮な培養液を供給し、
老廃物を含む培養液を取り出して多孔板20、20…に付着
した細胞を大量に増殖させる。この増殖は、密閉容器12
の流入口22から、0.01〜1.0kgf/cm2に加圧した新鮮な培
養液を圧入し、貫通孔16を大気圧または−0.05kgf/cm2
程度の減圧状態にして流出入口16Aを経て培養液を取り
出すことによって行う。この時、加圧された新鮮な培養
液は多孔板20の表面に付着した細胞に栄養分と酸素とを
与えると共に、細胞が代謝した老廃物を含んで多孔板20
の内面を通り貫通孔16から取り出される。このような老
廃物の除去を伴う培養方法で、数日後には多孔板20、20
…上に高密度の細胞が付着する。
老廃物を含む培養液を取り出して多孔板20、20…に付着
した細胞を大量に増殖させる。この増殖は、密閉容器12
の流入口22から、0.01〜1.0kgf/cm2に加圧した新鮮な培
養液を圧入し、貫通孔16を大気圧または−0.05kgf/cm2
程度の減圧状態にして流出入口16Aを経て培養液を取り
出すことによって行う。この時、加圧された新鮮な培養
液は多孔板20の表面に付着した細胞に栄養分と酸素とを
与えると共に、細胞が代謝した老廃物を含んで多孔板20
の内面を通り貫通孔16から取り出される。このような老
廃物の除去を伴う培養方法で、数日後には多孔板20、20
…上に高密度の細胞が付着する。
続いて、供給する培養液中にIFN誘導剤を加え、IFNの
生産を開始させる。IFNは、貫通孔16の流出入口16Aから
培養液とともに取り出される。
生産を開始させる。IFNは、貫通孔16の流出入口16Aから
培養液とともに取り出される。
次に、IFNの生産が完了した細胞を多孔板20、20…か
ら剥離して、多孔板20、20…を再使用する。これは、密
閉容器12内の培養液を緩衝液と交換した後、貫通孔16を
通じてトリプシン液を多孔板20、20…の内面から滲出さ
せて行うことができる。この方法によると、多孔板20、
20…に付着している細胞の付着面をトリプシンで直接処
理できるので、2分間で剥離が終了する。この時間はト
リプシン液中で攪拌するだけの従来の方法の約1/10に相
当する。
ら剥離して、多孔板20、20…を再使用する。これは、密
閉容器12内の培養液を緩衝液と交換した後、貫通孔16を
通じてトリプシン液を多孔板20、20…の内面から滲出さ
せて行うことができる。この方法によると、多孔板20、
20…に付着している細胞の付着面をトリプシンで直接処
理できるので、2分間で剥離が終了する。この時間はト
リプシン液中で攪拌するだけの従来の方法の約1/10に相
当する。
また、この時モータ56を駆動して多孔板20、20…を回
転すると、さらに短時間で細胞を剥離することができ
る。剥離された細胞は、密閉容器12内を緩衝液で洗浄す
る時緩衝液とともに取り出し、一部は次回の培養の種細
胞として利用するため種細胞貯槽34に貯留する。
転すると、さらに短時間で細胞を剥離することができ
る。剥離された細胞は、密閉容器12内を緩衝液で洗浄す
る時緩衝液とともに取り出し、一部は次回の培養の種細
胞として利用するため種細胞貯槽34に貯留する。
細胞の排出後、多孔板20、20…を洗浄するために、密
閉容器12をアルカリ液(界面活性剤を含む0.5%の水酸
化ナトリウム溶液)で満たし、多孔板20、20…を100rpm
で約1時間回転させる。この操作によって、多孔板20、
20…は、その表面上の付着物や残留物を除去することが
できるので、繰り返し培養に使用できる。
閉容器12をアルカリ液(界面活性剤を含む0.5%の水酸
化ナトリウム溶液)で満たし、多孔板20、20…を100rpm
で約1時間回転させる。この操作によって、多孔板20、
20…は、その表面上の付着物や残留物を除去することが
できるので、繰り返し培養に使用できる。
前記実施例では、培養中の酸素の供給方法として、酸
素を含む新鮮な培地を密閉容器12に供給したが、酸素を
大量に要求する細胞の場合には、次の方法で酸素を供給
することができる。まず、培養液の量を密閉容器12の約
1/2とし、多孔板20、20…の半分が液面からでるように
してから多孔板20、20…を30〜50rpmで回転させる。こ
の状態で流入口22から酸素を含む気体(5%炭酸ガスと
無菌空気など)を送ると、細胞への酸素の供給効率が大
幅に向上する。
素を含む新鮮な培地を密閉容器12に供給したが、酸素を
大量に要求する細胞の場合には、次の方法で酸素を供給
することができる。まず、培養液の量を密閉容器12の約
1/2とし、多孔板20、20…の半分が液面からでるように
してから多孔板20、20…を30〜50rpmで回転させる。こ
の状態で流入口22から酸素を含む気体(5%炭酸ガスと
無菌空気など)を送ると、細胞への酸素の供給効率が大
幅に向上する。
また、前記実施例では生産物の回収方法として、新鮮
な培養液を送って細胞が代謝した生産物を回収したが、
培養液に代えて安価な緩衝液を用いてもよい。
な培養液を送って細胞が代謝した生産物を回収したが、
培養液に代えて安価な緩衝液を用いてもよい。
更に、前記実施例では、多孔板ユニット13の回転軸14
が一軸の場合について説明したが、これに限らず、培養
容量を大きくする場合には、第4図に示すように回転軸
を二軸使用して多孔板ユニットを二セット使用してもよ
い。この場合の細胞の培養装置の全体図を第5図に示
す。尚、第5図上で60は密閉容器であり、第4図、第5
図において前記実施例と同一部材については同一符号を
付して説明を省略する。
が一軸の場合について説明したが、これに限らず、培養
容量を大きくする場合には、第4図に示すように回転軸
を二軸使用して多孔板ユニットを二セット使用してもよ
い。この場合の細胞の培養装置の全体図を第5図に示
す。尚、第5図上で60は密閉容器であり、第4図、第5
図において前記実施例と同一部材については同一符号を
付して説明を省略する。
第4図に示す実施例では、二セットの多孔板ユニット
の多孔板を隣接していないで設けたが、二セットの多孔
板同士がかみ合うように設けてもよい。尚、多孔板ユニ
ットは二セットに限らず複数セット設けてもよい。
の多孔板を隣接していないで設けたが、二セットの多孔
板同士がかみ合うように設けてもよい。尚、多孔板ユニ
ットは二セットに限らず複数セット設けてもよい。
本発明に係る培養方法及びその装置によれば、の濾過
体の多孔板の全域で細胞と培養液を均一に分離できるの
で、多孔板に付着した細胞に培養液に含まれている栄養
分及び酸素を均一に供給することができる。従って、大
量の細胞を高密度に培養できるので効率のよい生産を行
うことができる。
体の多孔板の全域で細胞と培養液を均一に分離できるの
で、多孔板に付着した細胞に培養液に含まれている栄養
分及び酸素を均一に供給することができる。従って、大
量の細胞を高密度に培養できるので効率のよい生産を行
うことができる。
また、細胞懸濁液を濾過することによって、培養開始
前に濾過体の多孔板に細胞を短時間でかつ確実に付着さ
せられることができる。
前に濾過体の多孔板に細胞を短時間でかつ確実に付着さ
せられることができる。
更に、培養終了後に容易に細胞を濾過体の多孔板から
剥離させることができるので多孔板の再生が可能であ
る。
剥離させることができるので多孔板の再生が可能であ
る。
また、濾過体の多孔板を孔径の大きな多孔質の支持体
の外周上に孔径の小さな多孔質の層を設けた多層構造に
することによって、多孔板の表面のいずれの場所からも
均一に培養液の供給及び取り出して行うことができ、更
に、細胞を容易に付着することができる。
の外周上に孔径の小さな多孔質の層を設けた多層構造に
することによって、多孔板の表面のいずれの場所からも
均一に培養液の供給及び取り出して行うことができ、更
に、細胞を容易に付着することができる。
第1図は本発明に係る細胞の培養装置を示す全体図、第
2図は多孔板ユニットの構造を示す断面図、第3図は多
孔板の拡大図、第4図は本発明に係る細胞の培養装置の
他の実施例に使用される多孔板ユニットの断面図、第5
図は第4図の多孔板ユニットが使用された細胞の培養装
置。 10……細胞の培養装置、12、60……密閉容器、 14……回転軸、16……貫通孔、 22……流入口、30……圧縮器、 32……真空ポンプ、34……種細胞貯送、 39……培養液貯槽。
2図は多孔板ユニットの構造を示す断面図、第3図は多
孔板の拡大図、第4図は本発明に係る細胞の培養装置の
他の実施例に使用される多孔板ユニットの断面図、第5
図は第4図の多孔板ユニットが使用された細胞の培養装
置。 10……細胞の培養装置、12、60……密閉容器、 14……回転軸、16……貫通孔、 22……流入口、30……圧縮器、 32……真空ポンプ、34……種細胞貯送、 39……培養液貯槽。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 茂美 神奈川県茅ケ崎市本村2丁目8番1号 東陶機器株式会社茅ヶ崎工場内 (72)発明者 山野 繁 神奈川県茅ケ崎市本村2丁目8番1号 東陶機器株式会社茅ヶ崎工場内 (72)発明者 前橋 信之 神奈川県茅ケ崎市本村2丁目8番1号 東陶機器株式会社茅ヶ崎工場内 (56)参考文献 特開 昭60−98981(JP,A) 特開 平2−200176(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12M 1/00 - 3/08
Claims (8)
- 【請求項1】表面に細胞が付着する複数枚の多孔板と、
該複数枚の多孔板が所定間隔で並設されるとともに多孔
板の表面と連通する貫通孔を有する回転自在な支軸とか
ら成る濾過体と、 前記濾過体を収納するとともに該濾過体の支軸を支持す
る密閉容器と、 培養液を含む1乃至複数の流体を前記密閉容器に加圧状
態で供給する手段と、 を備えたことを特徴とする細胞の培養装置。 - 【請求項2】前記濾過体の支軸の貫通孔に、前記多孔板
から細胞を剥離させるための流体を加圧状態で供給する
手段を備えたことを特徴とする請求項(1)記載の細胞
の培養装置。 - 【請求項3】濾過体の多孔板を、孔径10μm〜100μm
の多孔質の支持体の外周上に、孔径0.01μm〜5μmの
多孔質の層を設けて多層構造としたことを特徴とする請
求項(1)又は(2)記載の細胞の培養装置。 - 【請求項4】貫通孔を有する支軸に細胞を付着させる複
数の多孔板を、支軸内の貫通孔に連通するように装着し
て成る濾過体を、密閉容器内に設置した培養装置を用
い、培養液を加圧状態にして密閉容器に供給すると共
に、支軸内の貫通孔を大気圧又は減圧状態にし老廃物を
含む培養液を多孔板及び貫通孔を介して取り出すことを
特徴とする細胞の培養方法。 - 【請求項5】密閉容器内に種細胞懸濁液を供給して多孔
板の半分又は全体を種細胞懸濁液中に浸漬した後、密閉
容器内を加圧して種細胞懸濁液を多孔板で濾過して多孔
板に細胞を付着させることを特徴とする請求項(4)記
載の細胞の培養方法。 - 【請求項6】密閉容器内に培養液を供給して多孔板の一
部を培養液に浸漬し、密閉容器内に圧縮空気を供給して
多孔板を酸素を含む無菌の気体に接触させ、多孔板を回
転させて細胞に酸素を供給することを特徴とする請求項
(4)又は(5)記載の細胞の培養方法。 - 【請求項7】新鮮な培養液又は緩衝液を加圧して密閉容
器内に供給した後、誘導剤を加圧して密閉容器内に供給
し、生産された生産物を含む培養液を多孔板及び貫通孔
を介して取り出すことを特徴とする請求項(4)、
(5)又は(6)記載の細胞の培養方法。 - 【請求項8】貫通孔を介して多孔板から剥離用の液体を
滲出させて多孔板に付着した細胞を多孔板から剥離する
ことを特徴とする請求項(4)、(5)、(6)又は
(7)記載の細胞の培養方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2246638A JP3036032B2 (ja) | 1990-09-17 | 1990-09-17 | 細胞の培養方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2246638A JP3036032B2 (ja) | 1990-09-17 | 1990-09-17 | 細胞の培養方法及びその装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04126068A JPH04126068A (ja) | 1992-04-27 |
JP3036032B2 true JP3036032B2 (ja) | 2000-04-24 |
Family
ID=17151386
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2246638A Expired - Fee Related JP3036032B2 (ja) | 1990-09-17 | 1990-09-17 | 細胞の培養方法及びその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3036032B2 (ja) |
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DE10016554A1 (de) * | 2000-04-03 | 2001-10-18 | Rootec Ges Fuer Bioaktive Wirk | Vorrichtung zum Kultivieren von pflanzlichen oder tierischen Gewebekulturen |
JP4230176B2 (ja) * | 2002-06-28 | 2009-02-25 | 独立行政法人科学技術振興機構 | 胚の培養装置及び胚の左右非対称性を制御する方法 |
PL1699916T3 (pl) | 2003-11-28 | 2008-06-30 | Ares Trading Sa | Sposób regeneracji stałych nośników do hodowli komórek zależnych od przylegania |
WO2009104296A1 (ja) * | 2008-02-22 | 2009-08-27 | コバレントマテリアル株式会社 | 細胞培養モジュール |
JP2010081823A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Covalent Materials Corp | 細胞培養装置 |
MX349171B (es) | 2011-04-15 | 2017-07-17 | Pluristem Ltd | Metodos y sistemas para cosechar celulas. |
FI3430119T3 (fi) * | 2016-03-14 | 2023-09-11 | Omnibrx Biotechnologies Private Ltd | Bioreaktorijärjestelmä ja sen menetelmä |
-
1990
- 1990-09-17 JP JP2246638A patent/JP3036032B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04126068A (ja) | 1992-04-27 |
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