JP3007135B2 - 食物繊維及びその製造方法 - Google Patents
食物繊維及びその製造方法Info
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Description
れらの脱脂物等を原料とする食物繊維及びその簡便な製
造方法に関し、更に詳しくは、従来の糠等に比較して、
食物繊維の有用な性質を保持したままこの含量が増加
し、なおかつミネラルの吸収阻害があるフィチン含量の
少ない食物繊維、及び、それを蛋白分解酵素を用いて簡
便に製造する方法に関する。
フィチン含量は大幅に低減しているという特徴を有する
ものであるが、糠類等精白粕を起源とする食物繊維にお
いてこのようなものは従来知られておらず、全く新規な
ものである。
の添加で繊維としての生理機能を発揮し、食品の食感、
味に影響を及ぼさないし、フィチン含量が少ないのでミ
ネラルの吸収阻害も少なく健康食品にも利用できる。
又、保水・吸油性などに優れているため、調理加工食品
に利用した場合には、成形性、歩留りが向上し、離水に
よるべたつき、保存中の乾燥が防止できる。
有用であるばかりでなく、濃厚飼料に依存している家畜
や家禽業界にあっては、不足している天然繊維の給源と
して本発明に係る繊維を利用することも大いに可能であ
る。
原料として用いられる糠その他精白粕には主として飼料
に用いる以外には特に有効利用の途がなく、またこれら
を廃棄すると腐敗して公害源となっていたところ、本発
明によって極めて有効な新規用途の開発に成功したもの
である。したがって本発明は、公害防止技術ないし天然
資源の有効利用の面でも非常に重要な意義を有するもの
である。
い、食生活の洋風化、簡便化、グルメ化が進み、食品原
料の高度精製化や加工食品の消費が増大し、食物繊維の
摂取量が不足してきている。その結果、便秘や、大腸癌
などの消化器系疾患や、糖尿病、心臓病、動脈硬化症な
どの代謝性疾患の発生率が著しく増加していることが指
摘されている。そのため、世界的規模でも食物繊維に対
する関心が高まっている。
的性質としては、保水性と水中での膨潤性拡散阻害
作用吸着作用などがあり、それらの性質が消化管腔内
で果たす生理的機能としては、内容物の胃内滞留時間
の延長小腸内移動時間の増加排便回数の増加と排便
量の増加拡散阻害作用特定物質の吸着作用腸管機
能の変化などがあげられる。
分解を受けない難吸収性食品成分の総体」というのが一
般的になりつつある。その定義に基づき、植物、動物、
微生物、合成品由来の食物繊維が数多く製造、販売され
ている。その中で、植物の細胞壁由来の食物繊維である
米糠などは、人類が長い時間食物として摂取しているも
のであり、食物繊維源としては受け入れられやすいもの
であると考えられる。
脂米糠のいわゆるdietary fiberのコレステロール上昇
抑制作用」綾野ら、栄養と食糧、vol33、283−291(198
0)などが報告されている。
を処理することなく直接摂取する場合、米糠自体を大量
に摂取しなければならないが、そのとき、(a)ミネラ
ルの吸収を阻害するフィチンが多量に存在する、(b)
共存する油脂が酸化しやすいために風味が劣化する、
(c)口当り等の食感が悪く大量に摂取すること自体が
困難である、といった問題は避けられない。
摂取したのでは所期の目的を達成することができず、し
たがって米糠等から食物繊維のみを濃縮ないし単離する
ことが必要となる。しかしながら、この際にフィインが
付随してくるために、上記した欠点が出てくる。
るフィチン酸のカルシウム・マグネシウム複塩であっ
て、種子に多く含まれており、特に米糠や豆類に多量に
含まれている(「化学大事典7」共立出版(昭43−1−
10)p.646)。
シウム、鉄、銅などのミネラルとキレート結合をして不
溶化させ、それらの吸収を阻害することが知られてい
る。厚生省の昭和62年度の栄養調査によると、日本人は
カルシウムと鉄が栄養所要量に達していないことが指摘
されている。カルシウムの不足による骨粗しょう症や、
鉄の不足による貧血はもはや社会問題化しているし、微
量ミネラルの不足による疾患も指摘されつつある。従っ
て、穀類の糠・豆類の外皮中の食物繊維を利用するため
には、有用な性質を保持したままその繊維の含量を高
め、なおかつフィチンは除く必要があろう。
で、食物繊維を濃縮するには、糠などにふくまれる食物
繊維以外の成分を物理的、化学的、酵素的方法により除
かなければならない。一般に脂肪分は脂溶性有機溶媒に
より抽出除去するか、リパーゼなどにより分解除去す
る。澱粉は、加熱により溶解除去するか、更にα−アミ
ラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を加え、分解除去
すればよい。蛋白質については水、または塩、アルカリ
溶液により解除除去するか、蛋白分解酵素類により分解
除去すればよい。フィチンの除去は酸による抽出の他
に、フィターゼ、フォスファターゼなどの酵素による分
解除去が可能である。
物繊維を濃縮しない分離精製することは、理論上は一応
可能である。しかしながら、例えば酵素等の使用にあっ
ては、異種酵素の併用によって酵素が失活したりして所
期の目的が達成できない場合も生じるし、そうでなくと
も煩雑且つデリケートな操作は不可避であって、工業的
方法としては到底採用し得ないものである。
その処理工程は煩雑で、実用性に乏しいものであった。
そこで本発明者は鋭意研究した結果、穀類の糠、豆類の
外皮等を原料として蛋白分解酵素を使用するだけで煩雑
な処理工程を必要とせずに、食物繊維含量が高く、かつ
フィチン含量の低い食物繊維を、工業的に製造する方法
を確立するに至ったが、このようなことは従来知られて
おらず、新規な技術である。
であって、糠類から食物繊維含量が高く且つフィチン含
量は低い従来未知の食物繊維を工業的に製造する目的で
なされたものである。
広範な検討を行った結果、糠中での含量があまり多くな
いため、看過されていた糠類のタンパク質に敢えてはじ
めて着目した。
る顆粒体としてミクロフィブリルやアリューロン層に存
在し、物理的にも強固で破壊されにくい。食塩を用いた
穏和な処理では除去できないし、アルカリを用いた処理
では変性し、異臭がついたり味が悪くなったりする。
又、アリューロン層中に多く存在するフィチンは、タン
パク質と強固に結合しており、希酸溶液に浸漬しないと
除去できない。
分解酵素を作用させたところ、最も効率良く繊維が濃縮
されて回収されること、しかもその際、タンパク質のみ
ならずフィチンも同時に除去されることを発見した。つ
まり、本発明者らは、蛋白分割酵素処理によって、フィ
チンが除去され繊維含量がきわめて高められた食物繊維
が得られるという新知見を発見したのである。
成されたものであり、以下に、本発明を詳しく説明する
ことにする。
麦、小麦、裸麦、エン麦、ラン麦、トウモロコシ、マイ
ロ、アワ、キビ、ヒエ、ソバその他)や、豆類(大豆、
小豆、緑豆、エンドウ、ソラマメ、インゲン豆、落花生
その他)の副生物が使用されている。
る際に派生する米糠その他、精白時に派生する各種の精
白粕のほか、小麦製粉工程において派生する その他、麦類や各種雑穀の精白ないし搗精時に副生する
粕類を広く指すものである。また、豆類の副生物として
は、大豆を加工する際に派生する外皮等の副生物が広く
包含される。
脂物、及び/又は、そ(れら)の加工物も更に包含され
る。脱脂物とは、糠、外皮、それらの加工物を、蒸煮し
た後圧搾して搾油した後の残渣、溶媒に温浸して採油し
た後の残渣等、常法にしたがって搾油した後の残渣を広
く指すものである。また、加工物とは、糠等の精白粕自
体、これ(ら)の脱脂物を、加熱、乾燥、加水、ペース
ト化、粉末化、磨砕、混合等各種の処理加工を施したも
のを広く指すものである。
としては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシンとい
った動物起源の酵素、パパイン、ブロメリン、フィシン
といった植物起源の酵素のほか、微生物起源の各種プロ
テアーゼが適宜使用される。蛋白質分解酵素としては、
単離精製された純粋な酵素のほか、粗製の酵素、酵素含
有物、蛋白分解酵素生産菌培養物、培養液等も使用可能
である。
で処理する必要があるが、それには両者を接触せしめて
一定時間インキュベートすればよい。
物等脱脂物、加工物を蛋白分解酵素溶液に浸漬する。蛋
白分解酵素には、各種起源のもの、酸性、中性、アルカ
リ性など種々のものがあるので、酸素量、浸漬条件は、
目標とする繊維含量により適宜設定すればよい。浸漬中
に、蛋白分解酵素の作用により、タンパク質が溶出す
る。それにともない澱粉粒が溶出しやすくなる。アルカ
リ性または中性で活性の高い蛋白分解酵素を用いた場合
は、酵素処理後、浸漬液のpHを6以下、望ましくは3〜
5に調整する。酸性で活性の高い蛋白分解酵素の場合は
酵素溶液のpHを上記範囲に調整すればよい。pH調整に用
いる酸は無機酸・有機酸いずれでも良く、乳酸菌などの
微生物を用いてもよい。フィチンは、蛋白分解酵素によ
りタンパク質との結合が切断されているため、容易に除
去することが出来る。また必要ある場合には、蛋白分解
酵素生産菌とともに該副生物をインキューベートした
り、該菌の培養物に該副生物を加えて発酵ないし培養し
て、副生物を酵素処理することも可能である。
繊維が得られるが、必要であればこれを更に破砕、細砕
ないし磨砕してもよく、この処理によって残存する澱粉
がほとんど除去され、繊維含量が更に上昇する。本発明
においては、このようにして調製したウェットなままの
食物繊維のほか、これを更に洗浄したもの、及び/又は
乾燥させたもの等を広く包含される。
ているだけでなく、無味無臭であるので、各種の食品や
飲料に自由に添加することができ、また動物の嗜好性に
も悪影響を及ぼさないため飼餌料用添加物としてもすぐ
れているという特徴を有する。
残渣である脱脂糠を原料とし、0.02%の蛋白分解酵素溶
液を5倍量加え40℃で1晩反応させ、次に、磨砕し、残
渣を洗浄して得た食物繊維は、繊維含量が80%以上で、
フィチンの含量はきわめてわずかであり、なおかつ繊維
の具備すべき性質が備わっていた。しかも、無味無臭で
あって口当りもよく、すぐれたものであった。
量 脱脂糠を原料として、0.02%の蛋白分解酵素(プロチ
ン 大和化成(株)製)溶液を5倍量加え40℃で1晩反
応させる。次に、浸漬液のpHを4.5に調整したのち磨砕
し、残渣を洗浄して食物繊維を得た。このようにして得
たものは、食物繊維含量が81.7%であった。なお、未処
理の脱脂糠中の食物繊維含量は、NDFで乾物換算34%で
あった。
いて脱脂糠より繊維を製造した場合の繊維含量とフィチ
ン含量を測定し、実施例1で製造した繊維と比較した。
その結果を次表に示す。
ラーゼを用い操作が煩雑であり、フィチンも除去されて
いなかった。本法によれば蛋白分解酵素を用いるだけ
で、繊維含量が高くフィチン含量が低いものが効率よく
得られることが判明した。
質を比較した。市販の食物繊維な、小麦、トウモロコ
シ、セルロース由来のものを使用した。その結果を次表
に示す。
% 2.フィチン:有機態のリンの重量(mg/g)によりフィチ
ン量を表した。
に、繊維を1%加えた時に、繊維に吸着した農薬の割合
(%) 上記結果から明らかなように、本方法で得られた食物
繊維はフィチン含量が少なく、そのうえ繊維としての機
能が市販の食物繊維よりも優れていた。
フィチン含量が低減し且つ繊維含量は大幅に増加濃縮さ
れた食物繊維の開発に成功した。
に自由に添加することができるのみでなく、飼餌料へも
添加することもでき、ペットフードにも添加が可能であ
る。
効利用の途を拓くとともに、それらの廃棄による公害を
防止するという効果も併せ奏される。
Claims (2)
- 【請求項1】米糠を酸性域に至適を有する蛋白分解酵素
を用い酸性条件下で処理してなることを特徴とするフィ
チン含量が低減された食物繊維。 - 【請求項2】保水性、膨潤性、吸油性、農薬吸着性の少
なくともひとつを有することを特徴とする請求項1に記
載のフィチン含量が低減された食物繊維。
Priority Applications (1)
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JP2321299A JP3007135B2 (ja) | 1990-11-27 | 1990-11-27 | 食物繊維及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2321299A Expired - Fee Related JP3007135B2 (ja) | 1990-11-27 | 1990-11-27 | 食物繊維及びその製造方法 |
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