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JP3097550B2 - 紡機のリフティング制御方法及びリフティング装置 - Google Patents

紡機のリフティング制御方法及びリフティング装置

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JP3097550B2
JP3097550B2 JP08077182A JP7718296A JP3097550B2 JP 3097550 B2 JP3097550 B2 JP 3097550B2 JP 08077182 A JP08077182 A JP 08077182A JP 7718296 A JP7718296 A JP 7718296A JP 3097550 B2 JP3097550 B2 JP 3097550B2
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drive motor
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lifting
motor
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昌宏 寺下
究 新美
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Toyota Industries Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリング精紡機、リン
グ撚糸機等の紡機のリフティング制御方法及びリフティ
ング装置に係り、詳しくはリフティング駆動系がローラ
パート及びスピンドル駆動系と別のモータで駆動される
紡機のリフティング制御方法及びリフティング装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の紡機においては管糸形成のため
に、機台運転中にリングレールの昇降運動を繰り返しな
がら次第にリングレールを上昇させ、それに伴ってラペ
ットアングル等も昇降させるリフティング装置が採用さ
れている。そして、フィリングビルディングを行う場
合、リングレールが1回毎に上下する量及び1回の巻き
上げ量の変更を容易にするために、リフティング駆動系
をローラパート及びスピンドル駆動系と別のモータで駆
動する構成の装置が提案されている。しかし、ローラパ
ート及びスピンドル駆動系とリフティング駆動系とは慣
性モーメントが大きく異なり、リフティング駆動系の慣
性モーメントはスピンドル駆動系の慣性モーメントより
かなり小さい。その結果、停電時にスピンドル駆動系と
リフティング駆動系のモータへの通電がそれぞれ同時に
停止された場合、リフティング駆動系が停止した後もス
ピンドル駆動系はしばらく作動を継続する。そして、管
糸の同じ位置に糸が長く巻き取られ、再起動時に糸切れ
が多発したり、ワインダ工程での巻き返し時に輪抜けが
起こるという不都合がある。
【0003】この問題点を解消するため、実公平3−4
8223号公報には、リフティング駆動系と、ローラパ
ート及びスピンドル駆動系とを独立して駆動モータによ
り駆動可能とするとともに、両駆動系をクラッチを介し
て連結し、停電時のみクラッチを接続状態にする制御機
構を設けた装置が開示されている。この装置では、通常
運転時にはリフティング駆動系がドラフトパート及びス
ピンドル駆動系の駆動モータとは別の駆動モータにより
駆動される。機台運転中、停電によりリフティング駆動
系及びスピンドル駆動系の駆動モータへの通電が停止さ
れると、両駆動系がクラッチにより接続される。そし
て、両駆動系は駆動モータが惰性回転となった後も、同
期した状態で停止時まで駆動される。
【0004】特開昭60−246826号公報には、ド
ラフトパート駆動系、リフティング駆動系及びスピンド
ル駆動系をそれぞれ別個のモータで駆動する構成の精紡
機において、停電時にはバックアップ電源により各モー
タを駆動して各駆動系を同期状態で停止させる装置が開
示されている。また、スピンドル駆動系のモータは惰性
回転とし、その他の駆動系のモータをバックアップ電源
により駆動する装置も開示されている。
【0005】また、特開昭62−215022号公報に
は、スピンドル駆動系、ドラフトパート駆動系及びリフ
ティング駆動系がそれぞれ別個の駆動モータで駆動され
るリング精紡機において、停電時に慣性モーメントの大
きなスピンドル駆動系の駆動モータの回生電力を使用し
て各駆動系を同期して停止させる方法が開示されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】実公平3−48223
号公報に開示された装置では、停電時にスピンドル駆動
系とリフティング駆動系とを連結して、スピンドル駆動
系のモータの回転力をリフティング駆動系に伝達する伝
達機構が必要となる。そして、スピンドル駆動系の回転
をリフティング駆動系に伝達する場合に大幅な減速を必
要とし、減速機構のスペースが大きくなる。その結果、
停電時にスピンドル駆動系とリフティング駆動系とを接
続する伝達機構をギヤエンド側に配置する必要があり、
装置のレイアウトの自由度が少なくなる。
【0007】一方、特開昭60−246826号公報に
開示された装置では、停電時にバックアップ電源から各
モータに電力が供給され、各駆動系が同期した状態で停
止状態に導かれるため前記の不都合はない。しかし、ス
ピンドル駆動系のモータやリフティング駆動系のモータ
をバックアップ電源で駆動するには容量の大きなバック
アップ電源を必要とし、バックアップ電源が大型化する
とともにコストが高くなるという問題がある。
【0008】また、特開昭62−215022号公報に
開示されたスピンドル駆動系の駆動モータの回生電力を
利用する場合は制御が難しいという問題がある。本発明
は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目
的はリフティング駆動系がローラパート及びスピンドル
駆動系と別のモータで駆動される紡機において、停電時
にスピンドル駆動系の惰性回転が停止あるいはほぼ停止
するまで、リフティング駆動系を簡単な構成でかつ通常
運転時より少ない動力消費量で作動させることができる
紡機のリフティング制御方法及びリフティング装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、リフティング駆動系が
ローラパート及びスピンドル駆動系と別のモータで駆動
される紡機において、前記リフティング駆動系に第1の
駆動モータと、前記第1の駆動モータより小さな動力消
費量で駆動可能な第2の駆動モータとを設け、通常運転
時に第1の駆動モータでリフティング駆動系を駆動し、
停電時にはスピンドル駆動系の惰性回転が停止あるいは
ほぼ停止するまでバックアップ用のバッテリを電源とし
て前記第2の駆動モータによりリフティング駆動系を駆
動する。
【0010】請求項2に記載の発明では、リフティング
駆動系がローラパート及びスピンドル駆動系と別のモー
タで駆動される紡機において、通常運転時に前記リフテ
ィング駆動系を駆動する第1の駆動モータと、前記リフ
ティング駆動系を前記第1の駆動モータより小さな動力
消費量で駆動可能な第2の駆動モータと、停電時に前記
スピンドル駆動系の惰性回転が停止あるいはほぼ停止す
るまで前記第2の駆動モータの制御を行う制御手段と、
停電の発生を検出して前記制御手段に停電検出信号を出
力する停電検出手段と、停電時に前記第2の駆動モータ
及び前記制御手段に電力を供給するバッテリとを備え
た。
【0011】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記制御手段は前記スピンドル駆動
系の作動状態を検出するスピンドル駆動系作動検出手段
の出力信号に基づいて前記第2の駆動モータを制御す
る。
【0012】請求項4に記載の発明では、請求項2又は
請求項3に記載の発明において、前記第2の駆動モータ
は正逆回転駆動可能に構成され、前記制御手段はリング
レールの位置を検出するリングレール位置検出手段によ
り検出された停電発生時におけるリングレールの位置に
基づいて、前記第2の駆動モータの回転方向を決定す
る。
【0013】請求項1に記載の発明では、通常運転時に
は、リフティング駆動系は通常電源から供給される電力
で第1の駆動モータにより駆動される。運転中に停電が
発生すると、スピンドル駆動系は惰性回転となり、リフ
ティング駆動系はスピンドル駆動系の惰性回転が停止あ
るいはほぼ停止するまで、バックアップ用のバッテリか
ら電力が供給される第2の駆動モータにより駆動され
る。第2の駆動モータは第1の駆動モータより小さな動
力消費量(電力消費量)で駆動される。
【0014】請求項2に記載の発明では、通常運転時に
は、各駆動系を駆動する駆動モータは通常電源から供給
される電力で駆動され、リフティング駆動系は第1の駆
動モータにより駆動される。停電が発生すると停電検出
手段から制御手段に停電検出信号が出力される。停電が
発生するとバッテリから第2の駆動モータ及び制御手段
にそれぞれ電力が供給される。第2の駆動モータはスピ
ンドル駆動系の惰性回転が停止あるいはほぼ停止するま
で制御手段により駆動制御され、リフティング駆動系が
第2の駆動モータにより駆動される。第2の駆動モータ
は通常運転時の第1の駆動モータより小さな動力消費量
で駆動される。
【0015】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記制御手段はスピンドル駆動系作
動検出手段の出力信号に基づいてスピンドル駆動系の作
動状態を確認し、スピンドル駆動系の惰性回転が停止あ
るいはほぼ停止するまで前記第2の駆動モータを駆動さ
せる。
【0016】請求項4に記載の発明では、請求項2又は
請求項3に記載の発明において、前記制御手段はリング
レール位置検出手段の検出信号に基づいて停電発生時に
おけるリングレールの位置を認識する。そして、リング
レールの位置に基づいてリングレールを上昇側及び下降
側のいずれに駆動するかを決定する。そして、第2の駆
動モータがその決定された方向にスピンドル駆動系の惰
性回転が停止あるいはほぼ停止するまで回転駆動され、
リングレールが所定の昇降範囲内で停止される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明をラインシャフトを
正逆回転させることによりリングレール及びラペットア
ングルを昇降動する構成のリフティング装置を備えたリ
ング精紡機に具体化した一実施の形態を図1〜図4に従
って説明する。
【0018】図1に示すように、精紡機機台(図示せ
ず)の長手方向に沿って延びるドライビングシャフト1
は主モータMによりベルト伝動機構2を介して回転駆動
され、スピンドル3(1錘のみ図示)はドライビングシ
ャフト1に固定されたチンプーリ4との間に巻き掛けら
れたスピンドルテープ5を介して回転駆動されるように
なっている。主モータMにはインバータ6を介して駆動
される可変速モータが使用され、主モータMにはスピン
ドル駆動系作動検出手段としてのロータリエンコーダ7
が設けられている。ローラパートとしてのドラフトパー
トを構成するフロントローラ8の回転軸8aは歯車列9
を介してドライビングシャフト1に連結されている。主
モータM、ベルト伝動機構2、ドライビングシャフト
1、歯車列9及び回転軸8aによりドラフトパート駆動
系が構成され、主モータM、ベルト伝動機構2、ドライ
ビングシャフト1、チンプーリ4及びスピンドルテープ
5によりスピンドル駆動系が構成されている。即ち、ド
ラフトパート駆動系及びスピンドル駆動系は共通の主モ
ータMにより駆動される。なお、ドラフトパート及びス
ピンドル3は精紡機機台の左右両側に配設されている
が、図1では片側のみ示している。
【0019】スピンドルレール(図示せず)の長手方向
に沿って、即ちドライビングシャフト1と平行にライン
シャフト10(片側のみ図示)が回転自在に配設されて
いる。ラインシャフト10にはそれぞれリングレール1
1及びラペットアングル12を昇降作動する昇降ユニッ
ト13が所定間隔で配設されている(1個のみ図示)。
昇降ユニット13はラインシャフト10に一体回転可能
に嵌着固定されたねじ歯車14と、リングレール11あ
るいはラペットアングル12を支持するポーカピラー1
5の下部に形成されたスクリュー部15aに螺合するナ
ット体16とを備えている。ポーカピラー15は上下方
向に移動可能に機台フレーム(図示せず)に支承されて
いる。ナット体16は機台フレームの所定高さ位置にブ
ラケット(図示せず)を介して回転可能に支持され、そ
の外周に互いに噛合するねじ歯車16aが一体に形成さ
れている。リングレール11あるいはラペットアングル
12を支持するポーカピラー15は2本が隣接して設け
られ、各ポーカピラー15に対応して設けられたナット
体16のねじ歯車16aは互いに噛合するとともに一方
のねじ歯車16aはねじ歯車14とも噛合している。な
お、これらの構成は例えば特開平2−277826号公
報に開示された装置と基本的に同様である。
【0020】ラインシャフト駆動系を構成する回転軸1
7は、両ラインシャフト10と平行に回転自在に配設さ
れ、回転軸17には歯車18が一体回転可能に固定され
ている。歯車18は第1の駆動モータ19の出力軸19
aに一体回転可能に固定された歯車20と噛合してい
る。第1の駆動モータ19には商用の交流電源で駆動さ
れる交流サーボモータが使用されている。両ラインシャ
フト10の端部と対応する位置には、ラインシャフト1
0と直交する状態で回転軸21が配設されている。回転
軸21の両端にはラインシャフト10の端部に一体回転
可能に固定されたウォームホイール22と噛合するウォ
ーム23が一体回転可能に固定されている。回転軸17
にはかさ歯車24が一体回転可能に固定され、かさ歯車
24は回転軸21の中間部に一体回転可能に固定された
かさ歯車25と噛合している。ラインシャフト10の端
部には歯車を介してリングレール位置検出手段としての
アブソリュートタイプのロータリエンコーダ26が連結
されている。そして、第1の駆動モータ19の正逆回転
に伴ってラインシャフト10が正逆回転駆動されるよう
になっている。前記回転軸17,21、歯車18,2
0、ウォームホイール22、ウォーム23、かさ歯車2
4,25及び駆動モータ19によりラインシャフト駆動
系が構成されている。ラインシャフト10、昇降ユニッ
ト13及びラインシャフト駆動系によりリングレール1
1及びラペットアングル12を昇降させるリフティング
駆動系が構成されている。
【0021】前記リフティング駆動系には歯車18と噛
合する歯車27が設けられている。歯車27は第2の駆
動モータ28の出力軸28aに対して制御手段を構成す
る電磁クラッチ29を介して一体回転可能に支持されて
いる。第2の駆動モータ28には第1の駆動モータ19
より動力消費(使用電力)量が少ないものが使用されて
いる。この実施の形態では第2の駆動モータ28とし
て、正逆回転駆動可能な直流ギヤドモータが使用されて
いる。第1の駆動モータ19の使用電力は通常のリフテ
ィング運動を行う場合は数百W程度で、高速でリングレ
ール11を上昇させる場合は1kW程度である。一方、
第2の駆動モータ28の使用電力は数十W程度である。
電磁クラッチ29には励磁状態で歯車27と出力軸28
aとを接続する構成のものが使用されている。
【0022】次に前記の駆動系を駆動するための電気的
構成を図2に従って説明する。なお、図2において矢印
のない線は電源配線を示し、矢印の付いた線は信号線を
示す。第1の駆動モータ19は制御手段を構成する制御
装置30によりサーボドライバ31を介して駆動制御さ
れ、主モータMは制御装置30によりインバータ6を介
して駆動制御される。制御装置30には入力装置32が
接続されている。第1の駆動モータ19にはリングレー
ル11の位置を検出するリングレール位置検出手段とし
てのロータリエンコーダ33が装備されている。
【0023】主モータMはインバータ6を介して、第1
の駆動モータ19はサーボドライバ31を介してそれぞ
れ電源装置34に接続されている。電源装置34は商用
交流電源(例えば、AC400V)を変圧せずにインバ
ータ6に供給し、変圧装置で変圧したAC200Vをサ
ーボドライバ31に供給するようになっている。電源装
置34は商用交流電源を低電圧(この実施の形態では2
4V)の直流に変換する交流/直流(AC/DC)変換
器35を備えている。電源切換装置36は電源装置34
の直流出力端子及びバックアップ用のバッテリ37に接
続されている。第2の駆動モータ28、電磁クラッチ2
9、制御装置30及びロータリエンコーダ7,26,3
3は電源切換装置36の出力端子に接続されている。電
源切換装置36は停電検出手段38を備え、非停電状態
では電源装置34からの直流電源を負荷に供給する状態
に、停電状態ではバッテリ37からの直流電源を負荷に
供給する状態に切り換えられるようになっている。停電
検出手段38は電源装置34から供給される直流電圧を
検出して、電圧が設定値以下に低下すると停電検出信号
を出力する。電源切換装置36は停電検出手段38の停
電検出信号に基づいてリレーで電源の切換を行うように
なっている。前記停電検出信号は制御装置30にも出力
されるようになっている。バッテリ37としては電源装
置34の直流電圧と同じ起電力の可逆蓄電池が使用さ
れ、バッテリ37は充電回路としての充電器39を介し
て交流電源に接続されている。
【0024】制御装置30は制御手段及び演算手段とし
ての中央処理装置(以下、CPUという)40を備えて
いる。制御装置30は記憶手段としてのプログラムメモ
リ41、記憶手段としての作業用メモリ42、入力イン
タフェース43、出力インタフェース44、主モータ駆
動回路45及びモータ駆動回路46,47を備えてい
る。CPU40は入力インタフェース43を介して入力
装置32、ロータリエンコーダ7,26,33及び停電
検出手段38にそれぞれ接続されている。CPU40は
出力インタフェース44及び主モータ駆動回路45を介
してインバータ6に、出力インタフェース44、モータ
駆動回路46を介してサーボドライバ31にそれぞれ接
続されている。CPU40は出力インタフェース44及
びモータ駆動回路47を介して第2の駆動モータ28
に、出力インタフェース44及び電磁クラッチ励消磁回
路48を介して電磁クラッチ29にそれぞれ接続されて
いる。
【0025】CPU40はプログラムメモリ41に記憶
された所定のプログラムデータに基づいて動作する。プ
ログラムメモリ41は読出し専用メモリ(ROM)より
なり、前記プログラムデータと、その実行に必要な各種
データとが記憶されている。作業用メモリ42は読出し
及び書替え可能なメモリ(RAM)よりなり、入力装置
32により入力されたデータやCPU40における演算
処理結果等を一時記憶する。入力装置32はキースイッ
チを備え、紡出運転時のスピンドル回転数、紡出長、リ
フト長、チェイス長等の紡出条件データを入力する。ま
た、入力装置32により停電時における第2の駆動モー
タ28の回転方向を決定するときに使用するリングレー
ル11の基準位置LS が入力される。
【0026】CPU40は起動時にロータリエンコーダ
26からの出力信号に基づいてリングレール11の位置
を演算し、その後はロータリエンコーダ33からの出力
信号に基づいてリングレール11の移動量及び位置を演
算する。即ち、アブソリュートタイプのロータリエンコ
ーダ26は起動時にリングレール11の位置を確認する
ために使用され、運転中は使用されない。そして、CP
U40は通常運転時、入力装置32で入力されたリフテ
ィング条件となるリングレール11の反転時期をリング
レール11の移動量及び位置に基づいて演算し、リング
レール11等が所定の昇降運動を行うようにサーボドラ
イバ31を介して第1の駆動モータ19を駆動制御する
ようになっている。
【0027】CPU40は停電発生時のリングレール1
1の位置により、第2の駆動モータ28の回転方向を決
定するようになっている。即ち、CPU40は停電発生
時のリングレール11の位置が基準位置より上であれば
リングレール11を下降させる方向に、基準位置より下
であればリングレール11を上昇させる方向にリフティ
ング駆動系を駆動するように第2の駆動モータ28を回
転させる制御信号を出力する。CPU40は停電検出手
段38からの停電検出信号を入力すると、電磁クラッチ
29の励磁信号を出力するとともに、第2の駆動モータ
28の駆動制御信号を出力する。CPU40はロータリ
エンコーダ7の出力信号に基づいて、スピンドル駆動系
の惰性回転がほぼ停止する状態になったときに、電磁ク
ラッチ29の励磁及び第2の駆動モータ28の駆動を停
止させるようになっている。
【0028】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。機台の運転に先立ってまず、紡出運転時のス
ピンドル回転数、紡出長、リフト長、チェイス長等の紡
出条件データが入力装置32により入力される。また、
停電時における第2の駆動モータ28の回転方向を決定
するのに必要な、リングレール11の基準位置データが
入力装置32により入力される。基準位置LS として
は、例えば、停電時にリングレール11を基準位置から
下降移動させたときに、糸が図4に示す管糸49の胴部
50より下の縮径部51に巻き取られない状態となる位
置の下限位置が採用される。そして、機台の起動に伴い
制御装置30からの指令により、主モータM及び第1の
駆動モータ19が駆動される。
【0029】第1の駆動モータ19が駆動されると回転
軸17,21及びウォーム23等を介してラインシャフ
ト10が回転され、ねじ歯車14を介してナット体16
が回転される。そして、ナット体16に螺合されたポー
カピラー15が上昇あるいは下降移動され、リングレー
ル11等が昇降動される。第1の駆動モータ19の正転
時にリングレール11等が上昇移動され、逆転時に下降
移動される。フロントローラ8から送出された糸はスネ
ルワイヤ及びトラベラを経てボビンに巻き取られる。
【0030】CPU40はロータリエンコーダ26から
の出力信号に基づいて起動時のリングレール11の位置
を演算し、その値に基づいてロータリエンコーダ33の
基準値を補正する。そして、運転中は第1の駆動モータ
19に装備されたロータリエンコーダ33からの出力信
号に基づいてリングレール11の移動量及び位置を演算
する。CPU40は予め入力された1チェイスの上昇量
あるいは下降量と対応する距離だけリングレール11が
移動した時点で第1の駆動モータ19の回転方向を変更
するように第1の駆動モータ19をサーボドライバ31
を介して駆動制御する。
【0031】運転中に停電等の異常事態により電源装置
34への通電が遮断されると、主モータM及び第1の駆
動モータ19等への通電が停止され、主モータM及び第
1の駆動モータ19は惰性回転となる。電源装置34へ
の通電が遮断されると停電検出手段38からの停電検出
信号に基づいて電源切換装置36が作動されて、第2の
駆動モータ28、電磁クラッチ29、制御装置30及び
ロータリエンコーダ7,26,33への供給電源がバッ
テリ37に切り換えられる。バッテリ37は非停電時に
充電器39を介して十分に充電され、停電時に第2の駆
動モータ28及び制御装置30等に必要な電力が確実に
供給される。従って、停電状態において第2の駆動モー
タ28、電磁クラッチ29、制御装置30及びロータリ
エンコーダ7,26,33は正常に機能する。
【0032】次に停電時のリフティング駆動系の制御手
順を図3のフローチャートに従って説明する。CPU4
0は停電検出手段38から停電検出信号を入力すると、
停電停止用のプログラムに従って第2の駆動モータ28
及び電磁クラッチ29を制御する。即ち、CPU40は
ステップS1で停電発生時のリングレール11の位置L
0 をロータリエンコーダ33の出力信号に基づいて演算
し、ステップS2で電磁クラッチ29を励磁する。次に
CPU40はステップS3で停電発生時のリングレール
11の位置L0 と、基準位置LS とを比較する。そし
て、リングレール11の位置L0 が基準位置LS より高
い(L0 >LS )ときはステップS4に進んでリングレ
ール11を下降させる制御信号を、また、位置L0 が基
準位置LS以下の(L0 ≦LS )ときはステップS5に
進んでリングレール11を上昇させる制御信号をそれぞ
れサーボドライバ31へ出力する。その結果、リングレ
ール11は第2の駆動モータ28により通常運転時より
遅い速度で所定方向に移動される。
【0033】次にCPU40はロータリエンコーダ7の
出力信号に基づいてドラフトパート及びスピンドル駆動
系の作動状態、即ち惰性回転の状態を判断する。具体的
にはステップS6でスピンドル駆動系の惰性回転速度を
演算し、ステップS7で惰性回転速度が所定速度以下か
否かを判断する。スピンドル駆動系の惰性回転は次第に
遅くなり、やがて停止する。CPU40はスピンドル駆
動系がほぼ停止する状態、即ちステップS6で演算した
惰性回転速度が所定速度以下となった時点でステップS
8に進んで、第2の駆動モータ28の停止信号を出力す
るとともに、電磁クラッチ29に消磁信号を出力して一
連の制御を終了する。その結果、リフティング駆動系へ
の駆動力が遮断されて、リフティング駆動系が停止さ
れ、少し遅れてスピンドル駆動系も停止する。スピンド
ル駆動系はリフティング駆動系の停止より少し遅れて停
止するが、リフティング駆動系が停止した後、スピンド
ル駆動系が停止するまでの間にスピンドル3が回転する
量は1回転より少ないため、リフティング駆動系が先に
停止しても支障はない。
【0034】停電時にスピンドル駆動系の惰性回転が継
続される時間は紡出条件によって異なり、第2の駆動モ
ータ28が一定速度で駆動されるためその間にリングレ
ール11が移動する距離も紡出条件によって異なる。停
電発生時からリングレール11が単に一定方向へ移動を
続ける構成では、紡出条件及び停電発生時におけるリン
グレール11の位置によっては、リングレール11が管
糸49の糸巻付け範囲を越えた位置まで移動する場合が
起こる。その結果、停電解消後の再起動時に支障を来し
たり、ワインダ工程における巻き返し時に支障を来す。
【0035】例えば、リングレール11の移動方向を上
昇方向に限定した場合、8分玉以上の管糸49でリング
レール11の上昇終了付近で停電が発生すると、リング
レール11が玉揚げ停止時のトップバンチ巻き位置より
上方まで移動する場合が起こる。また、リングレール1
1の移動方向を下降方向に限定した場合、糸の巻取り量
が少ない段階で停電が発生すると、不都合が生じる。即
ち、糸の巻取り量が極めて少ない段階でかつ、リングレ
ール11の下降終了付近で停電が発生すると、リングレ
ール11が管糸49の糸巻付け範囲より下方まで移動す
る場合が発生する。また、図4に示すように、フィリン
グビルディングで形成される管糸49は、所定の径の部
分が連続する所謂胴部50の下側に下方ほど縮径となる
縮径部51を有する。そのため、糸の巻取り量がある程
度確保された後であっても、管糸49の胴部50の長さ
が短い段階で停電が発生すると、リングレール11が胴
部50より下方の縮径部51と対応する位置まで移動
し、縮径部51に糸が巻き付けられる場合が発生する。
胴部50が形成された後に、縮径部51に糸が巻き付け
られると、ワインダ工程において糸を巻き返すときに巻
き返し不能となり易い。
【0036】しかし、この実施の形態では第2の駆動モ
ータ28の回転方向、即ち停電時のリングレール11の
移動方向が停電発生時におけるリングレール11の位置
に基づいて決定され、停電時にスピンドル駆動系の惰性
回転が継続される間に管糸49に巻き取られる糸は、前
記不都合が発生しない位置に確実に巻き取られる。
【0037】停電が解消すると、CPU40はリングレ
ール11の位置をロータリエンコーダ26から演算す
る。そして、リングレール11の停止位置が停電発生時
のチェイス外の場合は、停電発生時のチェイス運動の次
のチェイス運動におけるリングレール11の上昇への反
転位置までリングレールを移動させた後、停電発生に伴
って中断した昇降運動を継続するように第1の駆動モー
タ19を駆動制御する。リングレール11の停止位置が
停電発生時のチェイス内の場合は、CPU40は機台の
再起動後、停電発生に伴って中断した昇降運動を継続す
るように第1の駆動モータ19を駆動制御する。
【0038】この実施の形態は以下の効果を有する。 (イ) 停電時にリフティング駆動系を駆動する駆動原
として、通常時にリフティング駆動系を駆動する第1の
駆動モータ19より動力消費量が少なく、バックアップ
用のバッテリ37で駆動される第2の駆動モータ28が
使用される。従って、リフティング駆動系とスピンドル
駆動系との間に回転伝達機構を設けた場合に比較して機
構が簡単になる。その結果、リフティング装置の駆動原
となる第1の駆動モータ19及び第2の駆動モータ28
を紡機機台のギヤエンド側に限らず、アウトエンド側に
配設するのが容易となり、リフティング装置のレイアウ
トの自由度が増す。
【0039】(ロ) 停電時に第2の駆動モータ28へ
の通電がスピンドル駆動系の惰性回転が完全に停止する
より少し前に停止されるため、スピンドル駆動系の惰性
回転の停止に伴って第2の駆動モータ28を停止させる
場合より電力消費量が少なくなる。
【0040】(ハ) スピンドル駆動系の惰性回転の状
態を主モータMに設けられたスピンドル駆動系作動検出
手段としてのロータリエンコーダ7の出力信号に基づい
て判断するため、紡出条件や停電発生時におけるスピン
ドルの回転速度に拘らず、リフティング駆動系をスピン
ドル駆動系の惰性回転が停止するより少し前に簡単かつ
確実に停止できる。また、スピンドルの回転速度とは無
関係に停電時用モータの回転速度が変更可能であり、例
えば太番手の糸を紡出する場合は速く、細番手の糸を紡
出する場合には遅くすることができる。
【0041】(ニ) 第2の駆動モータ28が正逆回転
駆動可能に構成され、停電発生時におけるリングレール
11の位置に基づいて第2の駆動モータ28の回転方向
が決定される。その結果、スピンドル駆動系の惰性回転
中に巻き取られる糸は管糸49に巻き取られている糸量
の多少に拘らず、機台の再起動時における糸切れを防止
し、ワインダ工程における糸の巻き返しに支障を来さな
い状態で管糸49に巻き取られる。
【0042】(ホ) 第2の駆動モータ28の回転方向
を決定する基準位置として、停電時にリングレール11
を基準位置から下降移動させたときに、糸が管糸49の
縮径部51に巻き取られない状態となる位置の下限位置
が採用されている。従って、停電時にリングレール11
が基準位置より上側に位置する場合が多くなる。その結
果、第2の駆動モータ28はリングレール11を下降さ
せる方向にリフティング駆動系を駆動する場合が多くな
り、電力消費量が少なくなる。
【0043】(ヘ) バッテリ37は充電器39を介し
て交流電源に接続されているため、非停電時に充電器3
9を介して十分に充電され、停電時に第2の駆動モータ
28及び制御装置30等に必要な電力が確実に供給され
る。
【0044】(ト) 第2の駆動モータ28としてギヤ
ドモータを使用しているため、回転軸17との間に減速
機構を設ける場合に比較してコンパクトになる。なお、
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、例
えば、次のように具体化してもよい。
【0045】(1) 第2の駆動モータ28をスピンド
ル駆動系の惰性回転の停止と同時に停止させるようにし
てもよい。この場合も(ロ)を除いて前記実施の形態と
同様の効果を発揮する。
【0046】(2) 第2の駆動モータ28の駆動停止
時期を、主モータMに装備されたロータリエンコーダ7
の出力信号に基づいて決める代わりに、停電発生検出信
号が出力されてから所定時間後に第2の駆動モータ28
を停止するようにする。所定時間は紡出条件及び停電発
生時のスピンドル回転速度に基づいて設定される。この
場合、第2の駆動モータ28の制御を開始した後はスピ
ンドル駆動系の作動状態を検出する必要がない。
【0047】(3) 第2の駆動モータ28の回転方向
を決定する基準位置は、停電時にリングレール11を基
準位置から下降移動させたときに、糸が管糸49の縮径
部51に巻き取られない状態となる位置の下限位置と、
リングレール11を基準位置から上昇移動させたとき
に、糸が管糸49の巻付け範囲を越えない上限位置との
間であればよい。
【0048】(4) 停電発生時におけるリングレール
11の位置を基準位置と比較して停電時における第2の
駆動モータ28の回転方向を決め、リングレール11を
停止時まで一定方向に移動する構成に代えて、停電発生
前のチェイス運動を継続するように第2の駆動モータ2
8を駆動してもよい。この場合、リングレール11はそ
の移動速度が遅くなるだけで所定のチェイス運動を継続
するように移動するため、基準位置の入力が不要になる
とともに、停電解消後に機台の運転を再開する際、リン
グレール11を所定の位置まで移動させる必要がない。
【0049】(5) 第2の駆動モータ28として正逆
回転可能な直流モータを使用する代わりに逆転不能な直
流モータを使用し、図5に示すように、第2の駆動モー
タ28と回転軸17との間に上昇用及び下降用の2組の
歯車列52,53を設ける。上昇用の歯車列52は前記
実施の形態の歯車18及び歯車27で構成され、新たに
下降用の歯車列53が付加される。歯車列53には電磁
クラッチ54を介して出力軸28aの回転力が伝達され
る。この装置では停電時に電磁クラッチ29のみを励磁
すると、歯車列52を介して回転軸17がリングレール
11を上昇させる方向に駆動され、電磁クラッチ54の
みを励磁すると、歯車列53を介して回転軸17がリン
グレール11を下降させる方向に駆動される。従って、
第2の駆動モータ28が逆転駆動不能なモータであって
も、電磁クラッチ29,54の励消磁を制御装置30で
制御することによりリングレール11の移動方向を自由
に変更でき、停電時に前記実施の形態及び(4)の制御
を実施できる。
【0050】(6) 停電時にリングレール11を上昇
及び下降のいずれの方向にも移動可能な構成に代えて、
上昇及び下降のいずれか一方向のみに移動可能な構成と
する。そして、リングレール11が管糸49の所定の巻
取り範囲の境界に達したときには、スピンドル駆動系の
惰性回転がほぼ停止する状態でなくても、第2の駆動モ
ータ28を停止させる。この場合、リングレール11を
下降させる方向に第2の駆動モータ28を駆動させる方
が、消費電力が少なくなる。
【0051】(7) 実施の形態において電磁クラッチ
29として、停電時に出力軸28aと歯車27を接続
し、通電時には出力軸28aと歯車27とを切り離す作
用をなす所謂スプリングクローズ型の電磁クラッチを使
用してもよい。この場合、停電と同時に自動的に電磁ク
ラッチ29が接続状態となり、バッテリ37による電磁
クラッチ29の励磁が不要となってバッテリ37の消費
量が少なくなる。
【0052】(8) 第1の駆動モータ19として交流
サーボモータに代えて直流サーボモータを使用し、対応
するサーボドライバを使用してもよい。また、サーボモ
ータに代えてインバータを介して変速制御される可変速
モータを使用するとともに、その出力軸とラインシャフ
ト10との間に一対の電磁クラッチの励消磁によりライ
ンシャフト10の回転方向を変更する機構を設けてもよ
い。さらに、主モータMとして定速度電動機を使用して
もよい。
【0053】(9) スピンドル駆動系の作動状態を検
出するスピンドル駆動系作動検出手段として、ロータリ
エンコーダを主モータMではなく主モータMと同期して
回転される箇所、例えばドライビングシャフト1に取り
付けてもよい。また、ロータリエンコーダに代えてタコ
ジェネレータを取り付けてもよい。タコジェネレータを
取り付けた場合は、ロータリエンコーダの場合と異な
り、電力のバックアップ無しに回転数に比例するパルス
信号が出力されるため、配線が簡単になる。また、主モ
ータにより回動される部位にドグを設け、近接スイッチ
でドグの回転を検知するようにしてもよい。
【0054】(10) 第2の駆動モータ28として制
御装置30と異なる使用電圧のものを使用し、制御装置
30と第2の駆動モータ28とに異なるバッテリを使用
してもよい。また、バッテリ37を充電器39を介して
交流電源と接続せず、充電量が所定値以下に減少した
ら、充電済のバッテリと交換する構成としてもよい。
【0055】(11) 停電検出手段38を電源切換装
置36に設けずに、電源装置34に供給される電源の遮
断を検出可能な位置や、主モータMあるいは第1の駆動
モータ19への電源の遮断を検出可能な位置に設けても
よい。
【0056】(12) リングレール11の位置検出手
段としてロータリエンコーダ以外のものを使用してもよ
い。例えば、リングレールの昇降範囲の近傍に多数の永
久磁石がそのN極とS極とが交互に配列されたいわゆる
マグネットスケールを配設するとともに、その検出部を
リングレール11に一体移動可能に固定した構成の装置
を採用してもよい。また、リニアポテンショメータを位
置検出手段として使用してもよい。ロータリエンコーダ
の取付け位置は、ラインシャフト10の回転と同期して
回転される部品であれば、適宜の位置に取り付けてよ
い。
【0057】(13) 充電器39を設ける代わりに、
電源装置34に充電回路を組み込み、その充電回路を介
してバッテリ37を充電可能としてもよい。 (14) スピンドル3をチンプーリ4に巻き掛けられ
るスピンドルテープ5で駆動する構成に代えて、タンゼ
ンシャルベルトにより駆動する構成としてもよい。ま
た、リング撚糸機に適用してもよい。
【0058】前記実施の形態及び変更例から把握できる
請求項記載以外の発明について、以下にその効果ととも
に記載する。 (1) 請求項2又は請求項3に記載の発明において、
第2の駆動モータは正逆回転駆動可能に構成され、制御
手段はリングレールの位置を検出するリングレール位置
検出手段の検出信号に基づいて、停電前のチェイス運動
を継続するように第2の駆動モータの制御を行う。この
場合、基準位置の入力が不要になるとともに、停電解消
後に機台の運転を再開する際、リングレール11を所定
の位置まで移動させる必要がない。また、停電発生時
に、管糸に巻き取られている糸量の多少に拘らず、スピ
ンドル駆動系の惰性回転停止まで糸が管糸に対して、機
台の再起動時に支障を来さず、ワインダ工程での糸の巻
き返し時に支障を来さない状態に巻き取られる。
【0059】(2) 請求項1〜請求項4及び(1)の
いずれかの発明において、バッテリは交流電源に対して
充電回路を介して接続されている。この場合、バッテリ
は非停電時に充電回路を介して十分に充電され、停電時
に第2の駆動モータ及び制御手段等に必要な電力が確実
に供給される。 (3) 請求項4に記載の発明において、停電時にリン
グレールを基準位置から下降移動させたときに、糸が管
糸の下側縮径部に巻き取られない状態となる位置の下限
位置を基準位置とする。この場合、停電時にリングレー
ルが基準位置より上側に位置する場合が多くなり、第2
の駆動モータはリングレールを下降させる方向にリフテ
ィング駆動系を駆動する場合が多くなり、電力消費量が
少なくなる。
【0060】(4) 請求項1〜請求項4及び(1)〜
(3)のいずれかに記載の発明において、第2の駆動モ
ータに直流ギヤードモータを使用する。この場合、減速
機構をリフティング駆動系との間に新たに設ける必要が
なく、コンパクトな状態でリフティング駆動系が低速で
駆動される。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項4
に記載の発明によれば、停電時にスピンドル駆動系の惰
性回転が停止あるいはほぼ停止するまで、リフティング
駆動系を簡単な構成でかつ通常運転時より少ない動力消
費量で作動させることができる。また、リフティング装
置のレイアウトの自由度が増す。
【0062】請求項3に記載の発明では、紡出条件や停
電発生時におけるスピンドルの回転速度に拘らず、リフ
ティング駆動系をスピンドル駆動系の惰性回転が停止あ
るいはほぼ停止するまで確実に駆動できる。
【0063】請求項4に記載の発明では、停電解消後に
おける機台の再起動時における糸切れを防止し、ワイン
ダ工程において糸の巻き返しに支障を来さない状態の管
糸を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態の駆動系の概略斜視図。
【図2】 制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】 停電時の作用を示すフローチャートである。
【図4】 巻取り途中の管糸の形状を示す概略図であ
る。
【図5】 変更例の駆動系の部分概略斜視図。
【符号の説明】
1…ドラフトパート及びスピンドル駆動系を構成するド
ライビングシャフト、7…スピンドル駆動系作動検出手
段としてのロータリエンコーダ、8…ローラパートとし
てのドラフトパートを構成するフロントローラ、10…
リフティング駆動系を構成するラインシャフト、11…
リングレール、13…リフティング駆動系を構成する昇
降ユニット、19…第1の駆動モータ、28…第2の駆
動モータ、29…制御手段を構成する電磁クラッチ、3
0…制御手段を構成する制御装置、26,33…リング
レール位置検出手段としてのロータリエンコーダ、34
…電源装置、36…電源切換装置、37…バッテリ、3
8…停電検出手段、40…演算手段及び制御手段として
のCPU、M…主モータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−3823(JP,A) 特開 昭60−246826(JP,A) 特開 平4−214425(JP,A) 特開 昭62−215022(JP,A) 実公 平3−48223(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01H 1/36 D01H 1/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リフティング駆動系がローラパート及び
    スピンドル駆動系と別のモータで駆動される紡機におい
    て、 前記リフティング駆動系に第1の駆動モータと、前記第
    1の駆動モータより小さな動力消費量で駆動可能な第2
    の駆動モータとを設け、通常運転時に第1の駆動モータ
    でリフティング駆動系を駆動し、停電時にはスピンドル
    駆動系の惰性回転が停止あるいはほぼ停止するまでバッ
    クアップ用のバッテリを電源として前記第2の駆動モー
    タによりリフティング駆動系を駆動する紡機のリフティ
    ング制御方法。
  2. 【請求項2】 リフティング駆動系がローラパート及び
    スピンドル駆動系と別のモータで駆動される紡機におい
    て、 通常運転時に前記リフティング駆動系を駆動する第1の
    駆動モータと、 前記リフティング駆動系を前記第1の駆動モータより小
    さな動力消費量で駆動可能な第2の駆動モータと、 停電時に前記スピンドル駆動系の惰性回転が停止あるい
    はほぼ停止するまで前記第2の駆動モータの制御を行う
    制御手段と、 停電の発生を検出して前記制御手段に停電検出信号を出
    力する停電検出手段と、 停電時に前記第2の駆動モータ及び前記制御手段に電力
    を供給するバッテリとを備えた紡機のリフティング装
    置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は前記スピンドル駆動系の
    作動状態を検出するスピンドル駆動系作動検出手段の出
    力信号に基づいて前記第2の駆動モータを制御する請求
    項2に記載の紡機のリフティング装置。
  4. 【請求項4】 前記第2の駆動モータは正逆回転駆動可
    能に構成され、前記制御手段はリングレールの位置を検
    出するリングレール位置検出手段により検出された停電
    発生時におけるリングレールの位置に基づいて、前記第
    2の駆動モータの回転方向を決定する請求項2又は請求
    項3に記載の紡機のリフティング装置。
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