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JP3078807B2 - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JP3078807B2
JP3078807B2 JP11275807A JP27580799A JP3078807B2 JP 3078807 B2 JP3078807 B2 JP 3078807B2 JP 11275807 A JP11275807 A JP 11275807A JP 27580799 A JP27580799 A JP 27580799A JP 3078807 B2 JP3078807 B2 JP 3078807B2
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竜二 中尾
好明 石井
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリフェニレンサ
ルファイド系樹脂組成物から形成された摺動部材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】最近、プラスチック製摺動部材の用途は
拡大しており、従来の金属材料に代わる新素材として有
望視されている。プラスチック部材は、摺動部材に望ま
れる特性である自己潤滑性に優れている反面、金属材料
と比較すると、限界PV値が低く、剛性などの機械的強
度に劣るという欠点を有している。「限界PV値」と
は、材料が溶けたり、焼け付いたりして、正常な摩擦状
態が続けられなくなったときの圧力(P)と周速度
(V)の積で表される値である。従って、軸受けなどの
摺動部品にプラスチック材料を適用するためには、強度
や剛性などの機械的性質、耐熱性、成形品の形状、寸法
精度等に優れていることに加え、動摩擦係数が小さく、
限界PV値が高く、摩耗量が少なく、しかも相手材料を
傷つけないという摩擦摩耗特性を備えた材料が要求され
る。
【0003】高い耐熱性と剛性を有し、耐薬品性に優れ
た難燃性のエンジニアリングプラスチックとして、ポリ
フェニレンサルファイド(以下、「PPS」と略す)樹
脂が知られている。このPPS樹脂も、摺動部材用の樹
脂として検討されており、特開平9−59514号公報
及び特開平9−31328号公報等においては、PPS
樹脂に、α,β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物
で変性したポリエチレンを配合したPPS系樹脂組成物
が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
変性ポリエチレンを配合した樹脂組成物は、成形時に金
型に付着物(モールドデポジット)を生じたり、成形品
が層剥離を起こすという問題があった。
【0005】本発明の目的は、このような従来の問題点
を解決し、摩擦摩耗特性に優れ、かつ成形時のモールド
デポジット及び成形品の層剥離の発生を低減することが
できるPPS系樹脂組成物を用いた摺動部材を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明において用いる
PS系樹脂組成物は、(A)PPS樹脂50〜94.5
重量%、(B)α,β−不飽和カルボン酸及び/または
α,β−不飽和カルボン酸無水物により変性されたポリ
エチレン(以下、「変性ポリエチレン」という)3〜2
0重量%、及び(C)α−オレフィン70〜99重量%
とα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜
30重量%を共重合させて得られるオレフィン系共重合
体(以下、「グリシジル基含有オレフィン系共重合体」
という)0.5〜50重量%を含有させたことを特徴と
している。
【0007】本発明の摺動部材は、上記PPS系樹脂組
成物から形成されることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるPPS樹脂(A)としては、一般にPP
S樹脂として知られている種々のタイプのものを用いる
ことができ、線状構造、架橋構造の何れの構造のもので
あってもよい。具体的には、以下の一般式で示される繰
り返し単位を主構成要素として含有する結晶性高分子を
挙げることができる。
【0009】
【化1】
【0010】(ここでArは、1,4−フェニレン基、
1,3−フェニレン基、または1,2−フェニレン基を
示す。) 本発明においては、上記繰り返し単位を主成分要素とす
るもの、すなわち上記繰り返し単位のみからなるもの、
またはこれを好ましくは80モル%以上、より好ましく
は90モル%含むものが望ましい。PPS樹脂の実質的
な全量が、上記繰り返し単位から成り立っていない場
合、残りは共重合可能な、例えば下記のような繰り返し
単位からなる成分で充足させることができる。
【0011】
【化2】
【0012】(ここで、Rは、アルキル基、アルコキシ
基、ニトロ基またはフェニレン基を示す。) 本発明においては、PPS樹脂として、市販のものを使
用してもよい。市販のPPS樹脂としては、例えば、商
品名「トープレン」(トープレン株式会社製)、商品名
「ライトン」(東レ株式会社製)、商品名「フォートロ
ン」(ポリプラスチックス株式会社製)などが挙げられ
る。
【0013】本発明における変性ポリエチレン(B)
は、α,β−不飽和カルボン酸及び/またはα,β−不
飽和カルボン酸無水物により変性されたポリエチレンで
あり、ポリエチレンにα,β−不飽和カルボン酸及び/
またはα,β−不飽和カルボン酸無水物またはその誘導
体を、ラジカル発生剤の存在のもとにグラフト化したグ
ラフト共重合体、及びエチレンとα,β−不飽和カルボ
ン酸及び/またはα,β−不飽和カルボン酸無水物との
二元共重合体が挙げられる。
【0014】α,β−不飽和カルボン酸及びα,β−不
飽和カルボン酸無水物としては、アクリル酸、メタアク
リル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン
酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、
シトラコン酸、グルタコン酸、マレイン酸モノメチル、
マレイン酸モノエチル、フマル酸モノエチル、イタコン
酸メチル、無水メチルマレイン酸、無水マレイン酸、無
水メチルマレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン
酸等が挙げられ、これらは一種または二種以上で使用さ
れる。また、これらの誘導体も使用し得る。これらの中
でも、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレ
イン酸、無水イタコン酸が好ましく用いられ、特に好ま
しくは無水マレイン酸が用いられる。
【0015】変性ポリエチレン(B)に用いられるポリ
エチレンとしては、低密度、直鎖状低密度、中密度、高
密度ポリエチレンなどが使用できる。変性ポリエチレン
(B)には、上記のα,β−不飽和カルボン酸及びα,
β−不飽和カルボン酸無水物以外の他の不飽和モノマ
ー、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、スチレン、アクリロニトリルなどがグラフト化また
は共重合されていてもよい。
【0016】変性ポリエチレン(B)におけるα,β−
不飽和カルボン酸及びα,β−不飽和カルボン酸無水物
の含有量は、ポリエチレン成分100重量部に対して、
0.05〜10重量部であることが好ましく、さらに好
ましくは0.1〜5重量部である。
【0017】変性ポリエチレン(B)としては、特に無
水マレイン酸をグラフト化した共重合体が好ましく、無
水マレイン酸のグラフト量としては、ポリエチレン10
0重量部に対して0.05〜8重量部が好ましく、さら
に好ましくは0.05〜5重量部である。この変性ポリ
エチレン(B)の粘度としては、特に限定されるもので
はないが、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR
(メルトフローレート)が0.01〜100g/10分
が好ましく、さらに好ましくは0.1〜50g/10分
である。
【0018】本発明におけるグリシジル基含有オレフィ
ン系共重合体(C)は、α−オレフィンとα,β−不飽
和カルボン酸のグリシジルエステルを含む共重合体であ
る。α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、
ブテン−1などが挙げられるが、特に好ましくは、エチ
レンが用いられる。α,β−不飽和カルボン酸のグリシ
ジルエステルは、グリシジル基を有するα,β−不飽和
カルボン酸のエステルであればよい。α,β−不飽和カ
ルボン酸としては、例えば、上記変性ポリエチレン
(B)の説明において列挙したα,β−不飽和カルボン
酸を用いることができる。グリシジルエステルの具体例
としては、このような不飽和カルボン酸とグリシジルア
ルコールのエステルを挙げることができる。例えば、下
記の一般式で示される化合物を挙げることができる。
【0019】
【化3】
【0020】(ここでRは水素原子または低級アルキル
基を示す。) 上記一般式で示される化合物の具体例としては、アクリ
ル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル
酸グリシジル(α−エチルアクリル酸グリシジル)など
が挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸グリシジ
ルが好ましく用いられる。
【0021】グリシジル基含有オレフィン系共重合体
(C)におけるα,β−不飽和カルボン酸のグリシジル
エステルの含有量は、1〜30重量%であり、好ましく
は3〜20重量%である。その含有量が少ないと、成形
時のモールドデポジット及び成形品の層剥離の発生を低
減するという本発明の効果が十分に得られず、また含有
量が多いと、PPS樹脂との溶融混練時にゲル化を生
じ、押出安定性、成形性等が低下する場合があるため好
ましくない。
【0022】また、グリシジル基含有オレフィン系共重
合体(C)には、本発明の目的及び効果を阻害しない範
囲で他の不飽和モノマーを共重合させてもよい。このよ
うな他の不飽和モノマーとしては、例えば、ビニルエー
テル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メ
チルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチルな
どのメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレ
ンなどが挙げられる。これらの他の不飽和モノマーの含
有量は、40重量%以下であることが好ましい。
【0023】本発明のPPS系樹脂組成物においては、
PPS樹脂(A)50〜94.5重量%、好ましくは6
5〜90重量%、変性ポリエチレン(B)3〜20重量
%、好ましくは7〜15重量%、グリシジル基含有オレ
フィン系共重合体(C)0.5〜50重量%、好ましく
は1〜30重量%が含有される。
【0024】変性ポリエチレン(B)の含有量を上記所
定量以上とすることにより、摩擦摩耗特性の十分な向上
を図ることでき、含有量を上記所定量以下とすること
で、PPS樹脂の優れた耐熱性を損なうことがない。
【0025】グリシジル基含有オレフィン系共重合体
(C)の含有量が少ないと、成形時のモールドデポジッ
ト及び成形品の層剥離の発生を低減するという本発明の
効果が十分に得られず、また、含有量が多いと、PPS
樹脂との溶融混練時にゲル化を生じ、押出安定性、成形
性等が低下する場合があるため好ましくない。
【0026】本発明の樹脂組成物においては、本発明の
目的及び効果を損なわない範囲で、ガラス繊維、チタン
酸カリウム繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭酸カル
シウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、酸化鉄、黒鉛、カーボンブラッ
ク、雲母、アスベスト、セラミックス、金属フレーク、
ガラスビーズ、ガラスパウダーなどの充填剤、水酸化マ
グネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン等
の無機難燃剤、ハロゲン系、燐酸系等の有機難燃剤、紫
外線防止剤、滑剤、結晶核剤、分散剤、発泡剤、架橋
剤、着色剤、可塑剤、添加剤等を添加することができ
る。
【0027】また、摺動特性を高める等の目的で、ポリ
テトラフルオロエチレン、通常のポリエチレン、ポリオ
レフィン系共重合体、ポリオキシベンゾイル、球状フェ
ノール、ポリイミド、シリコーン化合物、グラファイ
ト、二硫化モリブデン等を添加することができる。
【0028】特に耐熱性、機械的強度、寸法精度及び限
界PV値を高めるためには強化繊維を添加することが望
ましい。斯かる強化繊維としては、摺動性に悪影響を与
えないという観点から、チタン酸カリウム繊維等のチタ
ン酸アルカリ金属塩繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ホ
ウ酸マグネシウム繊維等のホウ酸金属塩系繊維、炭素繊
維、ワラストナイト、ゾノトライト等の珪酸カルシウム
繊維、シリカ繊維、酸化亜鉛繊維等及びこれらの繊維表
面に酸化錫−酸化アンチモン系被膜や炭素被膜を設けた
ものが好ましく用いられ、中でも平均繊維径0.05〜
5μm、平均繊維長5〜100μm、アスペクト比3以
上のものが好ましい。
【0029】これらの繊維の中でも特にチタン酸カリウ
ム繊維を用いるのが特に好ましい。これらの強化繊維の
添加量は、全組成物中で5〜50重量%であることが好
ましく、さらに好ましくは10〜40重量%である。
【0030】これらの強化繊維の使用に際しては、チタ
ネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オ
キサゾリン環を持った有機化合物、その他の表面処理剤
で処理されたものも好適に使用することができる。ま
た、これらの表面処理剤は、樹脂組成物中に添加されて
もよい。
【0031】本発明において用いる樹脂組成物は、例え
ば、以下のようにして調製することができる。すなわ
ち、各成分をブレンダー等を用いて均等に混合した後、
該混合物を押出機などで溶融混練して、目的の樹脂組成
物とすることができる。得られた樹脂組成物は、そのま
ま射出成形などの手段により所望の形状に成形してもよ
いし、一旦ペレタイザーなどを用いてペレット化しても
よい。
【0032】本発明の摺動部材は、上記樹脂組成物を射
出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法により所
望の形状に成形することにより得ることができる。この
ような摺動部材としては、ブッシング、ベアリング、ス
リーブ、スリップシリンダー、ガイドレール、キャリッ
ジ、スイッチ部品、ギア、カムなどを挙げることができ
る。
【0033】本発明の摺動部材が、摩擦摩耗特性に優
れ、かつ成形時のモールドデポジット及び成形品の層剥
離の発生を低減することができる理由について、その詳
細は明らかではないが、グリシジル基含有オレフィン系
共重合体(C)中のグリシジル基がPPS樹脂(A)と
特異的に作用し、さらに変性ポリエチレン(B)と反応
することにより、マトリクスと分散粒子の相溶性が向上
するためと思われる。
【0034】本発明の摺動部材は成形時のモールドデポ
ジット及び成形品の層剥離の発生を低減することができ
るので、効率的に生産することができる。また、成形品
における層剥離の発生を低減できるので、摩擦摩耗特性
に優れると共に、良好な機械的強度を有する摺動部材と
することができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて更
に詳しく説明する。本発明は、これらの実施例により何
ら限定されるものではない。
【0036】実施例1〜4及び比較例1〜4 表1に示す配合割合で各成分を混合した後、二軸押出機
(株式会社日本製鋼所製、TEX44)に供給し、ペレ
ット状組成物を得た。得られたペレット状組成物を射出
成形して、テストピースを作製した。表1に示す各実施
例及び比較例で使用した材料は、以下の通りである。な
お表1に示す配合割合は重量%表示である。 ・ポリフェニレンサルファイド樹脂:東レ株式会社製、
商品名「ライトン2120−60」 ・E−GMA:住友化学工業株式会社製、商品名「ボン
ドファーストE」、グリシジル基含有オレフィン系共重
合体、MFR:3g/分、GMA(グリシジルメタクリ
レート)含有量:12重量%、ρ=0.94g/c
3 、Mw=200000、Mn=35000 ・LDPE:三菱化学社製、商品名「エボリューSP2
040」、Mw=100000、Mn=31000、M
w/Mn=3.3、ρ=0.920g/cm3 ・MAH−LDPE:日本ポリオレフィン株式会社製、
商品名「アドテックスL6100N」、MAH(無水マ
レイン酸)グラフト変性低密度ポリエチレン、MAH含
有量:約0.1重量%、MFR:1g/分、ρ=0.9
2g/cm3 、Mw=110000、Mn=29000 ・チタン酸カリウム繊維:大塚化学株式会社製、商品名
「ティスモD」、平均繊維径0.5μm、平均繊維長1
5μm 得られた試験片について、以下の方法により、摩擦摩耗
試験を行うとともに、モールドデポジットの評価を行っ
た。評価結果を表1に示す。
【0037】(試験方法) ・摩擦摩耗試験(A)(鈴木式スラスト摩耗) 鈴木式摩耗試験機(株式会社オリエンテック製)を使用
し、相手材料としては、円筒状の炭素鋼(S45C)を
用い、射出成形にて円筒状の試料を成形して、全て無潤
滑状態で摩擦速度V=0.3m/秒、面圧力P=10k
gf/cm2 で連続運転し、摩擦距離10kmに達した
ときの摩擦係数及び単位距離、単位面積あたりの摩耗量
(mm3 /kgf・km)を求めた。
【0038】・摩擦摩耗試験(B)(ジャーナル摩耗試
験) 軸受摩耗試験機(株式会社東洋精機製作所製)を使用
し、軸材料として直径6.5mmのSKS鋼を用い、射
出成形にて軸受を成形し、全て無潤滑の状態で軸回転数
1200rpm、面圧力P=1.55kgf/cm2
連続運転し、摩擦距離72kmに達したときの摩擦係数
及び単位距離、単位荷重あたりの摩耗量(mm3 /kg
f・km)を求めた。
【0039】・モールドデポジット ティアドロップ型キャビティを持つモールドデポジット
評価用金型(投影面積2.6cm2 、1ヶ取)を用いて
15トン射出成型機(住友重機械工業製ミニマットM2
6/15B)にて連続成形した。成形サイクル20秒で
500ショット成形後の金型表面、成形品表面を拡大鏡
にて観察し、以下の基準で評価した。 ○:金型のキャビティに付着物及び曇りがなく、成形品
の表面が鏡面である。 △:金型のキャビティに曇りが認められるが、成形品の
表面は鏡面である。 ×:金型のキャビティに付着物及び曇りが認められ、成
形品の表面に凹凸が認められる。
【0040】
【表1】
【0041】表1の結果から明らかなように、本発明に
従うポリフェニレンサルファイド系樹脂組成物は、良好
な摺動特性を有するとともに、成形時におけるモールド
デポジットの発生を低減することができる。また、成形
品の層剥離においても、比較例1〜4においては層剥離
の発生が認められたのに対し、実施例1〜4においては
層剥離の発生が認められなかった。
【0042】実施例5〜6及び比較例5〜6 表2に示す配合割合で各成分を混合した後、実施例1〜
4で用いた二軸押出機に供給し、ペレット状組成物を得
た。得られたペレット状組成物を射出成形して、テスト
ピースを作製した。表2に示す各実施例及び比較例で用
いたPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)及びE
−GMAは実施例1〜4で用いたのと同じものを使用
し、HDPE及びMAH−HDPEは以下に示すものを
用いた。なお、表2に示す配合割合は重量%表示であ
る。
【0043】・HDPE:三井化学社製、商品名「ハイ
ゼックス2100J」、高密度ポリエチレン、ρ=0.
957g/cm3 、Mw=100000、Mn=110
00 ・MAH−HDPE:三井化学社製、商品名「アドマー
HE040」、マレイン酸変性高密度ポリエチレン、M
AH含有量:約0.1重量%、MFR=1.6g/10
分、ρ=0.949g/cm3 、Mw=65000、M
n=9000得られた試験片について、実施例1〜4と
同様に評価し、評価結果を表2に示した。
【0044】
【表2】
【0045】表2の結果から明らかなように、本発明に
従うポリフェニレンサルファイド系樹脂組成物は、良好
な摺動特性を有すると共に、成形時におけるモールドデ
ポジットの発生を低減することができる。また、成形品
の層剥離においても、比較例5及び6においては層剥離
の発生が認められたのに対し、実施例5及び6において
は層剥離の発生が認められなかった。
【0046】
【0047】
【発明の効果】本発明の摺動部材は、摩擦摩耗特性に優
れ、かつ成形時のモールドデポジット及び成形品の層剥
離の発生を低減することができる摺動部材である。
【0048】本発明の摺動部材は、成形時のモールドデ
ポジット及び成形品の層剥離の発生を低減することがで
るので、効率的に生産することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堤 秀介 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚 化学株式会社徳島研究所内 (56)参考文献 特開 平5−239350(JP,A) 特開 平6−93180(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 81/00 - 81/02 C08L 23/00 - 23/08 C08L 23/26 C08K 7/00 - 7/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリフェニレンサルファイド樹脂
    50〜94.5重量%、 (B)α,β−不飽和カルボン酸及び/またはα,β−
    不飽和カルボン酸無水物により変性されたポリエチレン
    3〜20重量%、及び (C)α−オレフィン70〜99重量%とα,β−不飽
    和カルボン酸のグリシジルエステル1〜30重量%を共
    重合させて得られるオレフィン系共重合体0.5〜50
    重量%を含有させたポリフェニレンサルファイド系樹脂
    組成物から形成されたことを特徴とする摺動部材
  2. 【請求項2】 さらに強化繊維を配合させたことを特徴
    とする請求項1に記載の摺動部材
  3. 【請求項3】 強化繊維がチタン酸カリウム繊維である
    請求項2に記載摺動部材
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