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JP3059450B2 - フイルム - Google Patents

フイルム

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JP3059450B2
JP3059450B2 JP1262211A JP26221189A JP3059450B2 JP 3059450 B2 JP3059450 B2 JP 3059450B2 JP 1262211 A JP1262211 A JP 1262211A JP 26221189 A JP26221189 A JP 26221189A JP 3059450 B2 JP3059450 B2 JP 3059450B2
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film
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章 尾村
義隆 谷口
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Kaneka Corp
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、フイルムに関し、さらに詳しくは、光学的
等方性に優れたフイルムに関する。
〔従来の技術〕
従来、光学的に等方性を有する芳香族ポリエステル系
樹脂フイルムは、時計、テレビ、ICカード、ワープロ、
パソコン、計器盤及び各種表示盤等に広く使用されてい
る液晶表示部及びエレクトロルミネッセンス表示部及び
偏光板の透明導電フイルム用及び表面保護フイルム用と
して、また光フロッピーディスク及び光カード及びその
表面保護フイルム用等に近年特に使用されてきている。
しかし、これら芳香族ポリエステル系樹脂は、その光
学特性からして、主として溶剤流延法で製造されること
が屡々あり、フイルム中に残留している僅かな溶剤を乾
燥させるために200〜300℃の温度雰囲気中に長時間晒す
ことによりようやく得られ、極めて生産性が低いもので
あった。また得られたフイルムは、フイルムへの光の入
射角(θ)が直角である時には光学的等方性に優れてい
るが、入射角が大きくなるにつれて光学的等方性能が低
下してしまうため、上記表示部等では狭い視野でのみで
使用され、広い視野で使用することが難しかった。
また、従来より芳香族ポリエステル系樹脂の一種であ
るポリアリレートと炭酸エステル系樹脂の一種であるポ
リカーボネートとのブレンド物は種々提案されている。
例えば、特開昭47−22949号公報には、ポリカーボネー
トの耐衝撃性および耐熱変形性を改良するために、ポリ
アリレートをブレンドすることが記載されており、ま
た、特開昭48−54158号公報及び特開昭58−83050号公報
には、ポリアリレートとポリカーボネートをブレンドす
ることによって、成形性を改良することが記載されてい
る。以上のようにこれらの提案は、ポリカーボネート及
びポリアリレート樹脂をブレンドすることによって、素
材としての樹脂の機械的性質および成形加工性を向上さ
せることを目的としており、光学的特性、特にフイルム
の広い入射角においても、光学的等方性を得ることがで
きるフイルムに関しては全く提案はされておらず、業界
からは、光学的等方性に優れ、かつ生産性も高いフイル
ムの開発が熱望されていた。
〔発明の解決しようとする問題点〕
本発明の目的は、従来技術が有していた前述の問題を
解決しようとするものであり、従来知られていなかった
全く新規なフイルム組成物を提供することである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明に係るフイルムは、下式(I)で表される芳香
族ポリエステル系樹脂と下式(IV)で表される炭酸エス
テル系樹脂とを主たる樹脂成分として含有する溶剤流延
法により得たフイルム原反を、前記芳香族ポリエステル
系樹脂のガラス転移温度(Tg)より10℃以上高温で熱処
理することにより作製した、入射角が0度の場合の複屈
折値が50nm以下、且つ下式(III)で定義される複屈折
変化量Rθが0.5nm/度以下であるフイルムである。
〔式(I)中、Xは置換基を有することのある炭素数1
〜10の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO2−及
び−CO−から選ばれた2価基;R及びR′は、各独立し
て、置換基を有することのある炭素数1〜20のアルキル
基、置換基を有することのあるアリル基、置換基を有す
ることのあるアラルキル基、置換基を有することのある
アルコキシル基、置換基を有することのあるアリロキシ
ル基、置換基を有することのあるアリルアルコキシル基
及びハロゲン原子から選ばれた1種又は2種以上の1価
基;p及びqは0又は自然数であり、p+q=0〜8;m及
びnは0又は1である(但し、m=1のとき、n≠
0)。〕 −〔−O−R″−O−CO−〕− (IV) 〔式(IV)中、R″は2価の脂肪族基又は芳香族基であ
る。〕 複屈折変化量Rθ={入射角が45度の場合の複屈折値
(nm)−入射角が0度の場合の複屈折値(nm)}/45
(度) (III) 本発明において「光学的等方性」とは、本発明フイル
ム中に光が透過する際、光学的性質において、実質的に
変化を生じさせないことであり、光学的性質としては、
例えば、複屈折性をもって判断される。
ここで「複屈折」とは、物質に入射した光が互いに垂
直な振動方向をもっ2つの光波に分かれる現象である。
厚さd、複屈折n2−n1なるシートに波長λなる光が入
射したとき、シート内において速い方の波長λ、遅い
方の光の波長をλとすると、遅い方の光がシートを出
て早い方の光に遅れる量をレターデーションと呼び、次
の式で表わし、この度合Rを複屈折値とする。
R=λ(d/λ−d/λ) =d(λ/λ−λ/λ) =d(n2−n1) この複屈折値は、例えば日本光学工業(株)の偏光顕
微鏡(OPTIPHOT−POL型)を使用し、セナルモンコンペ
ンセーター法にて測定することができ、本発明において
は、入射角が0度の場合の複屈折値(以下、単に「複屈
折値」と記すことがある。)は50nm以下、好ましくは20
nm以下、さらに好ましくは10nm以下である。
複屈折値が50nm以上のフイルムを、例えば2枚の偏光
板の間に設置された液晶セル部に使用すると、各波長に
おける位相差(複屈折率×フイルム厚さの積)に応じた
着色が生じ、液晶画像が極めて不鮮明となり、実用的に
は使用し難いものである。
また、本発明でいう「光の入射角」とは、フイルム基
材に対する垂直軸からの光線の傾斜角度であり、本発明
に係るフイルムにおいては、従来の芳香族ポリエステル
系樹脂に比較して、入射角度が大きくなっても複屈折を
低く保持できるのである。この特性を示す1つの指標が
上式(III)で定義される複屈折変化量Rθであり、本
発明においては、Rθが0.50nm/度以下、好ましくは0.4
0nm/度以下、さらに好ましくは0.30nm/度以下である。
このRθの測定方法は、通常の偏光顕微鏡を使用し
て、セナルモンコンペンセーター法にて測定することが
できる。たとえば、光源に対する垂直軸からフイルム基
材を傾斜(θ゜)することにより、それぞれの傾斜角
(θ゜)における複屈折を測定することができる。更に
(III)式にてRθ値が得られる。
本発明における芳香族ポリエステル系樹脂は、一般式
が、 〔式(I)中、Xは置換基を有することある炭素数1〜
10の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO2−及び
−CO−から選ばれた2価基;R及びR′は、各独立して、
置換基を有することある炭素数1〜20のアルキル基、置
換基を有することあるアリル基、置換基を有することあ
るアラルキル基、置換基を有することあるアルコキシル
基、置換基を有することあるアリロキシル基、置換基を
有することあるアリルアルコキシル基及びハロゲン原子
から選ばれた1種又は2種以上の1価基;p及びqは0又
は自然数であり、p+q=0〜8;m及びnは0又は1で
ある(但し、m=1のとき、n≠0)。〕で示される合
成樹脂であれば、いずれの合成樹脂であってもよいが、
その一部又は全部が、下記一般式 〔式中、X、m及びnは前式(I)中のX、m及びnと
同義;R1〜R4は、各独立しては、炭素数1〜4のアルキ
ル基、アルコキシル基、フェニル基及びハロゲン原子か
ら選ばれた1価基である。〕で示される合成樹脂が好ま
しく、さらに好ましい合成樹脂として、テレフタル酸と
イソフタル酸とのモル比が10/0〜7/3、好ましくは9/1、
の酸成分と、ビスフェノールAと3,3′,5,5′−テトラ
メチルビスフェノールFとのモル比が2/1であるビスフ
ェノール成分との共重合体が挙げられる。また、本発明
に使用される芳香族ポリエステル系樹脂の分子量は、特
に制限されるものではないが、一般的には5〜15万、好
ましくは6〜13万である。
また、これらの芳香族ポリエステル系樹脂は、テレフ
タル酸及び又はイソフタル酸と1種または2種以上のビ
スフェノール類あるいはビスフェノール類と少量の2価
の化合物による重合体または共重合体、さらには、これ
らの混合物によっても得ることができる。共重合体とし
ては、例えば芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸及び
イソフタル酸の単独もしくは混合成分である。
好ましいビスフェノール成分を例示すれば、2,2−ビ
ス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフエニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3,5−ジ−sec−ブチル−4−ヒドロキ
シフエニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフエニル)プロパン、ビス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフエニル)メタン、1,1−
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフエニル)エタ
ン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフエニ
ル)シクロヘキサン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフエニル)ケトン、ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフエニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシフエニル)スルフイド、2,2−ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフエニル)ヘキサフ
ルオルプロパン、2,2−ビス(3,5−ジメトキシ−4−ヒ
ドロキシフエニル)プロパン、ビス(3,5−ジメトキシ
−4−ヒドロキシフエニル)メタン、2,2−ビス(3−
メトキシ−4−ヒドロキシ−5−メチルフエニル)プロ
パン、ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフエニル)メタン、ビス(3,5−ジフエニル−4−ヒ
ドロキシフエニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジフエノ
キシ−4−ヒドロキシフエニル)プロパン、ビス(3−
フエノキシ−4−ヒドロキシ−5−メチル)メタン、4,
4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,5′−テトラメチルビフエ
ニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,5′−テトラエチ
ルビフエニル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフエ
ニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチ
ルフエニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エ
チルフエニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジエチルフエニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメトキシフエニル)スルホン、ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジエトキシフエニル)スルホン等があ
げられる。
これらの3,5−位に置換基を有するビスフエノール成
分は、4,4′−ジヒドロキシジフエニル、ビス(4−ヒ
ドロキシフエニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフエニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフエ
ニル)プロパン、ヒドロキノン、レゾルシン等と混合し
て用いることができる。また、フエノールフタレイン、
フルオレセイン、ナフトフタレイン、チモールフタレイ
ンなどのビスフエノール性色素等を使用することも可能
である。
このようにして得られた芳香族ポリエステル系樹脂の
Tgは特に制限するものではないが、望ましくは300〜150
℃で、さらに望ましくは300〜180℃である。
さらに、上記芳香族ポリエステル系樹脂の重合方法は
特に制限されるものではなく、従来知られている重合方
法を採用することができる。例えば、芳香族ジカルボン
酸とビスフエノールを高温溶融状態で反応させる溶融重
合法、芳香族ジカルボン酸ジクロライドとビスフエノー
ルを脱酸剤としてのアミンの存在下に有機溶剤中で反応
させる溶液重合法、芳香族ジカルボン酸ジクロライドと
ビスフエノールとを互いに相溶しない2種の溶媒に溶解
した後、アルカリの存在下で2液を混合攪拌して、その
界面で重縮合反応を行なわせる界面重合法があり、いず
れの方法でも採用することができるが、これらの中で着
色、異物、高重合度及びTgの点から界面重合法が好まし
い。
また、本発明でいう「炭酸エステル系樹脂」とは、炭
酸とグリコールまたは2価フエノールとのエステル系樹
脂であって、下記一般式(IV) O−R″−O−CO (IV) で示される。ここで、(IV)式においてR″は2価の脂
肪族または芳香族基を示すが、本発明においては芳香族
基が好ましい。
上記グリコールとしては、特に制限されるものではな
く、いづれのグリコールも使用されるが、一般的には、
例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、P−キシリレングリコー
ル等があり、中でもエチレングリコール、トリメチレン
グリコール、P−キシリレングリコール、テトラメチレ
ングリコール、ヘキサメチレングリコールが好ましく、
さらに好ましくはエチレングリコール、トリメチレング
リコールがある。
また上記2価フエノールとしては、特に制限されるも
のではなく、いづれの2価フエノールも使用され、一般
的には、例えばビス(4−ヒドロキシフエニル)メタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフエニル)エタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフエニル)プロパン、ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジクロロフエニル)メタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフエニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフエニル)フエニルメダン等
の4,4−ジオキシジフエニルアルカン等があり、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフエニル)エタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフエニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジメチルフエニル)プロパン等が好ま
しく、さらに好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
エニル)プロパンである。
これら炭酸エステル系樹脂の重合方法は、従来知られ
ている重合方法が使用され、例えば、前記のグリコール
または2価のフエノールと、ホスゲンあるいはジフエニ
ルカーボネートより得られるものである。すでに公知の
溶融重合、溶液重合、界面重合など各種方法により製造
される。
このようにして得られた炭酸エステル系樹脂の分子量
は、特に制限されるものではないが、一般的には5〜15
万、好ましくは6〜13万であり、そのTgは一般的には12
0〜180℃、好ましくは130〜160℃である。
本発明における芳香族ポリエステル系樹脂と炭酸エス
テル系樹脂との好ましい重量比は、99:1〜51:49であ
り、さらに好ましい重量比は、98:2〜70:30であり、特
に好ましい重量比は、96:4〜85:15である。
さらに本発明フイルム樹脂組成物として、必要に応じ
少量の樹脂、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、
変性ポリフエニレンエーテル(PPE)、ポリサルホン(P
SF)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド
(PEI)、ポリイミド(PI)等相溶性のある1種または
2種以上の樹脂をさらにブレンドすることも可能であ
る。
また、溶剤流延法により作製される本発明に係るフイ
ルムは、製造工程において、フイルム中に残留している
僅かな溶剤を乾燥させるために、200〜300℃の高温雰囲
気中に長時間晒されたり、また、フイルムに導電性を付
与する際、例えばスパッタリング加工の場合には150
℃、FPCとして使用する時には、少くとも150℃の高温に
晒される。
上記フイルム加工、特に光学的用途の加工の場合、フ
イルムが黄変し、この加熱工程によりフイルムは、時に
よって黄変して実用に供し得なくなる場合がある。この
黄変防止の目的のため、必要に応じ抗酸化剤を添加する
ことも可能である。この「抗酸化剤」とは、本フイルム
が高温に晒される際に生じる黄変化を防止もしくは抑制
する作用を示し、かつ透明性を低下させない物質で、融
点が100℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましく
は200℃以上である物質であり、具体的にはフエノール
系及びホスファイト系等の化合物であり、中でもフエノ
ール系の化合物が好適である。また特に上記フエノール
系化合物と上記ホスファイト系化合物とを併用すると、
その効果はさらに大となることが期待できる。
前記フエノール系化合物としては、例えば、2,5−ジ
−tert−ブチルハイドロキノン、4,4′−イソプロピリ
デンビスフエノール、4,4′−ブチルデンビス(3−メ
チル−6−tertブチルフエノール、1,1−ビス(4−ヒ
ドロオキシフエニル)シクロヘキサン、4,4′−メチレ
ンビス(2,6−ジ−tertブチルフエノール)、2,6−ビス
(2′−ヒドロオキシ−3′−tert3ブチル−5′−メ
チルベンジル)4−メチル−フエノール、1,1,3−トリ
ス(2−メチル−4−ヒドロオキシ−5−tertブチルフ
エニル)ブタン、1,3,5−トリス−メチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロオキシベンジ
ル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒ
ドロオキシフエニル)イソシアヌレート、4,4′−チオ
ビス(3−メチル−6−tertブチルフエノール)、2,4,
6−トリ−tertブチルフエノール、4−ヒドロオキシメ
チル−2,6−ジ−tertブチルフエノール、シクロヘキシ
ルフエノール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6
−tertブチルフエノール)、2,2′−メチレンビス(4
−エチル−6−tertブチルフエノール)、テトラキス
〔メチレン−3(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロオ
キシフエニル)プロピオネート〕メタン、トリス〔β−
(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロオキシフエニル)
プロピオニルオキシエチル〕イソシアネート及び4,4′
−チオビス(2−メチル−6−tertブチルフエノール)
等があり、中でも1,3,5−トリス−メチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロオキシベンジ
ル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒ
ドロオキシフエニル)イソシアヌレイト、4,4′−ブチ
リデン−ビス(3−メチル−6−tertブチルフエノー
ル)、2,5−ジ−tertブチルハイドロキノン、4,4′−メ
チレンビス(2,6−ジ−tertブチルフエノール)及び4,
4′−イソプロピリデンビスフエノールが好ましい。
またホスファイト系化合物としては、トリス(2,4−
ジ−tertブチルフエニル)ホスファイト及び下記構造式
で表わされる化合物が好ましい。
本発明に使用される抗酸化剤の使用量は、樹脂100重
量部に対し0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜3重
量部である。
これら抗酸化剤を本発明フイルム樹脂に配合する方法
は、従来行われているいずれの方法によっても良く、例
えば樹脂の粒状物又は粉末とV型ブレンダー、ヘンシエ
ルミキサー、スーパーミキサー、ニーダー等で混合して
も良く、有機溶剤に溶解して樹脂の粒状物又は粉末に噴
霧する方法などでも良い。一般に界面重縮合によって芳
香族ポリエステルを製造する際、樹脂は有機溶剤の溶液
として得られるので、反応系中或いは中和水洗等の後処
理を施した後の溶液に添加するのが便利である。
このようにして得られた組成物から光学的に等方性を
有するフイルムを得るためには、特に制約されるもので
はなく、いずれのフイルム製造方法も採用されるが、以
下その1例を説明する。
(1) フイルム原反製造工程 本発明におけるフイルム原反は、溶剤流延法により作
製される。溶剤流延法で使用される溶媒としては、特に
制限されるものではないが、一般的には、例えば塩化メ
チレン、1,1,2,2−テトラクロルエタン、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメ
チルアセトホルムアルデヒド及びトルエン等が使用さ
れ、中でも塩化メチレンおよび1,1,2,2−テトラクロル
エタンが好ましい。
(2) フイルム熱処理工程 本工程は、上記工程で得られたフイルム原反に光学的
に等方性を付与するために設定される工程であり、フ
イルム予熱工程及び冷却工程を包含している。
(2−1) 予熱工程 上記フイルムを〔ガラス転移温度(以下「Tg」とい
う)+10〕℃、好ましくは(Tg+20)℃、さらに好まし
くは(Tg+35)℃以上に、1分間好ましくは2分間、さ
らに好ましくは3分間以上、予熱する工程である。
(2−2) 冷却工程(徐冷工程) 前記予熱工程で予熱されたフイルムを、(1〜0.01)
℃/秒、好ましくは(0.8〜0.05)℃/秒、さらに好ま
しくは(0.5〜0.1)℃/秒の冷却速度で、(Tg−15)℃
まで、好ましくは(Tg−65)℃まで、さらに好ましくは
(Tg−100)℃まで徐冷する工程であるこの工程を特に
「徐冷工程」という。
また、上記徐冷工程において、必要に応じ一部冷却時
間を短縮することも可能である。
すなわち、以下に詳述するとおり、上記徐冷工程にお
いて、フイルムを徐冷した後、急速に冷却するものであ
る。
(2−2′)冷却工程〔(徐冷→急冷)工程〕 前記予熱工程で予熱されたフイルムを(Tg+20)℃ま
で、好ましくは(Tg+10)℃まで、さらに好ましくは
(Tg±0)℃まで、(1〜0.01)℃/秒、好ましくは
(0.8〜0.05)℃/秒、さらに好ましくは(0.5〜0.1)
℃/秒の冷却速度で徐冷し、次いで(Tg−15)℃まで、
好ましくは(Tg−65)℃まで、さらに好ましくは(Tg−
100)℃まで、(50〜1)℃/秒、好ましくは(10〜
1)℃/秒、さらに好ましくは(5〜1)℃/秒の冷却
速度で急冷する工程(以下この工程を「徐冷・急冷工
程」という)。
このように、上記のような冷却工程を経ることによっ
て、複屈折性に優れたフイルムを得ることができるので
ある。
このようにして得られたフイルムの膜厚は特に制限さ
れるものではないが、一般的には1〜1500μ、好ましく
は5〜500μ、さらに好ましくは10〜200μ、特に好まし
くは25〜100μである。
さらに、本発明によって得られたフイルムは、複屈折
が極めて小さく、また均一であるため、次工程において
適宜延伸加工することによって得られる位相差フイルム
の原反としても使用することができる。
フイルムを溶剤流延法で製膜した際、溶剤の乾燥速度
が従来の芳香族ポリエステル系樹脂フイルムに比較して
高まり、フイルムの生産性が飛躍的に向上し、さらに得
られたフイルムの複屈折率は、広視野において低く保持
できるという優れた特性を有し、かつフイルムのクラッ
ク発生数も大巾に抑制できるという、従来のフイルムで
は得られなかった全く新規なフイルムを得ることが可能
となったのである。よって本発明は、業界に寄与すると
ころ極めて大である。
以下実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は
実施例に限定されるものではない。
実施例1 テレフタル酸ジクロライドとイソフタル酸ジクロライ
トのモル比が9:1である混合酸クロライドの塩化メチレ
ン溶液とビスフエノールAと3,3′,5,5′−テトラメチ
ルビスフエノールFのモル比が2:1のアルカリ水溶液よ
り界面重合法にてMw7.0万、Tg 215℃のポリアリレート
樹脂を得た。
このポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂(パ
ンライトK−1300、帝人化成(株)製)90:10の割合よ
り成る塩化メチレン溶液(15wt%)のドープを作成し
た。この樹脂溶液に1,3,5−トリス−メチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼン(A−1)を樹脂100重量部当り0.15重量
部及びトリス(2,4−ジ−tertブチルフェニル)ホスフ
ァイト(P−1)を樹脂100重量部当り0.15重量部配合
し攪拌した。
これをフイルム流延設備にて乾燥し(40℃0.5分、60
℃1分)、更にテンター設備にて両面乾燥(150℃1
分、230℃5分)及び熱固定(250℃3分)を行い、約75
μ厚さ、1100mm幅の絶乾フイルムを得た。
次いでこのフイルムをクリップ間隔1050mmの連続フイ
ルム熱処理装置(クリップテンター)にて250℃3分間
予熱し、次に250℃から200℃まで連続的に3分間徐冷し
た。このフイルムの複屈折値は3nmであった。
この結果を第1表に示す。
実施例2 実施例2は、実施例1で使用したポリアリレート樹脂
とポリカーボネート樹脂を95:5の割合で成る塩化メチレ
ン溶液(15wt%)のドープを使用する以外は実施例1と
全く同様にして約75μ厚さ、1100mm幅の絶乾ポリアリレ
ートフイルムを得た。
次いで、このフイルムをクリップ間隔1050mmの連続熱
処理装置(クリップテンター)にて250℃、3分間予熱
し、次に250℃から230℃まで連続的に1分間徐冷し、23
0℃から200℃まで連続的に10秒間急冷した。このフイル
ムの複屈折値は3nmであった。
この結果を第1表に示す。
実施例3、4 実施例3及び4は、実施例1で使用したポリアリレー
ト樹脂とポリカーボネート樹脂を80:20及び60:40の割合
より成る塩化メチレン溶液(15wt%)のドープを使用す
る以外は実施例1と全く同様にして、約75μ厚さ、1100
mm幅の絶乾フイルムを得た。
これをフイルム流延設備にて乾燥し(40℃0.5分、60
℃1分)、更にテンター設備にて、両面乾燥(150℃1
分、230℃5分)及び熱固定(250℃3分)を行い、約75
μ厚さ、1100mm幅の絶乾フイルムを得た。
次いで、このフイルムをクリップ間隔1050mmの連続フ
イルム熱処理装置(クリップテンター)にて250℃3分
間予熱し、次に250℃から200℃まで連続的に3分間徐冷
した。このフイルムの複屈折値は3nm及び6nmであった。
この結果を第1表に示す。
比較例1 比較例1は、実施例1で使用したポリアリレート樹脂
単独より成る塩化メチレン溶液(15wt%)のドープを作
成した。
これを実施例1と全く同様にして行った。このフイル
ムの複屈折値は3nmであった。
この結果を第1表に示す。
比較例2 実施例1で使用したポリカーボネート樹脂単独より成
る塩化メチレン溶液(15wt%)のドープを作成した。
これを実施例1と全く同様にして流延設備にて乾燥し
(40℃0.5分、60℃1分)、更にテンター設備にて(130
℃1分、170℃5分)及び熱固定(180℃3分)を行い、
約75μ厚、1100mm幅の絶乾ポリカーボネートフイルムを
得た。
次いで、このポリカーボネートフイルムを実施例1と
同様にして、クリップ間隔1050mmの連続フイルム熱処理
装置(クリップテンター)にて185℃4分間予熱し、次
に185℃から135℃まで連続的に3分間徐冷した。このフ
イルムの複屈折値は6nmであった。
この結果を第1表に示す。
比較例3 比較例3は、実施例1で使用したポリアリレート樹脂
単独より成る塩化メチレン溶液(15wt%)のドープを作
成した。抗酸化剤として1,3,5−トリス−メチル−2,4,6
−トリス(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン(A−1)及びトリス(2,4−ジ−tert
ブチルフェニル)ホスファイト(P−1)を使用しない
以外は、実施例1と全く同様にして行った。このフイル
ムの複屈折値は3nmであった。
この結果を第1表に示す。
比較例4 熱処理装置による熱処理を行わなかったこと以外は実
施例1と同様にして、複屈折値が58nmであるフイルムを
得た。この結果を第1表に示す。
以下、抗酸化剤、物性の測定および評価方法は、下記
の方法により行った値を用いた。
(1) 抗酸化剤 A−1 :1,3,5−トリス−メチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−tertブチル−4−ヒドロオキシベンジル)ベンゼ
ン 融点 244℃ P−1:トリス(2,4−ジ−tertブチルフエニル)ホス
フアイト 融点 183℃ (2) ガラス転位温度(Tg) 一次の熱力学的導関数を温度に対してプロットしたと
き、不連続が起こる温度であり、密度、比容積、比熱、
音響係数または屈折率の関係より求まる。
パーキンエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II型
を用いて測定した。すなわち、試料ポリマー10mgをDSC
装置にセットし、この試料を室温より10℃/分で昇温
し、ガラス転移点を測定した。
(3) 複屈折値 日本光学工業(株)の偏光顕微鏡(OPTIPHOTPOL型)
を使用し、セナルモンコンペンセーター法にて測定し
た。
(4) 黄変性 (株)島津製作所製の分光光度計(ダブルモノクロメ
ーター自己分光光度計UV−365)にて390nmの全光線透過
率を測定した。
評価 全光線透過率が80%以上 ○ 全光線透過率が70%以上〜80%未満 △ 全光線透過率が70%未満 × (5) 吹出し性 フイルム試験片を雰囲気温度150℃×30分間放置し、
抗酸化剤のフイルム表面への吹出し性を肉眼にて評価し
た。
吹出が全く認められない ○ 吹出がわずかに認められる △ 吹出が認められる × (6) 透明性 フイルム試験片を雰囲気温度150℃×30分間放置し、
(4)で使用した(株)島津製作所製の分光光度計にて
500nm〜750nmにおける平行光線透過率(%)を測定し、
その平均値を算出した。
(7) 複屈折の変化量 Rθ 日本光学工業(株)の偏光顕微鏡(OPTIPHOTPOL型)
を使用し、セナルモンコンペンセーター法にて測定し
た。
光源に対して垂直及び光源に対する垂直軸から、フイ
ルム基材を傾斜(45゜)させて光の入射角における複屈
折値を測定した。
その入射角度の変化量Rθは下記の様にして求めた。
(8) 乾燥速度 30℃条件における乾燥曲線(残溶/乾燥時)から、残
溶20%になる時間を測定した。
(9) クラック フイルム試験片50cm×50cm内におけるクラックの数を
肉眼にて判定した。
クラックの数が見当らない ○ クラックの数が1〜3ケ △ クラックの数が4ケ以上 × 第1表より、複屈折変化量Rθの小さいフイルムを得
るためには、芳香族ポリエステル系樹脂と炭酸エステル
系樹脂とを併用する必要があることが分かる。また、複
屈折値の小さい、すなわち光学的等方性に優れるフイル
ムを得るためには、溶剤流延法により作製したフイルム
原反に、さらに所定の温度以上(芳香族ポリエステル系
樹脂のガラス転移温度(Tg)より10℃以上高温)で熱処
理を施す必要があることが分かる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08G 63/688 C08G 63/688 C08J 5/18 CFD C08J 5/18 CFD (56)参考文献 特開 昭59−187022(JP,A) 特開 昭59−184221(JP,A) 特開 昭63−66262(JP,A) 特開 昭58−83050(JP,A) 特開 昭51−56948(JP,A) 特開 平1−135831(JP,A) 特開 昭61−41539(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/03,69/00 C08G 63/193,63/672 C08G 63/682,63/688

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式(I)で表される芳香族ポリエステル
    系樹脂と下式(IV)で表される炭酸エステル系樹脂とを
    主たる樹脂成分として含有する溶剤流延法により得たフ
    イルム原反を、前記芳香族ポリエステル系樹脂のガラス
    転移温度(Tg)より10℃以上高温で熱処理することによ
    り作製した、入射角が0度の場合の複屈折値が50nm以
    下、且つ下式(III)で定義される複屈折変化量Rθが
    0.5nm/度以下であるフイルム。 〔式(I)中、Xは置換基を有することのある炭素数1
    〜10の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO2−及
    び−CO−から選ばれた2価基;R及びR′は、各独立し
    て、置換基を有することのある炭素数1〜20のアルキル
    基、置換基を有することのあるアリル基、置換基を有す
    ることのあるアラルキル基、置換基を有することのある
    アルコキシル基、置換基を有することのあるアリロキシ
    ル基、置換基を有することのあるアリルアルコキシル基
    及びハロゲン原子から選ばれた1種又は2種以上の1価
    基;p及びqは0又は自然数であり、p+q=0〜8;m及
    びnは0又は1である(但し、m=1のとき、n≠
    0)。〕 −〔−O−R″−O−CO−〕− (IV) 〔式(IV)中、R″は2価の脂肪族基又は芳香族基であ
    る。〕 複屈折変化量Rθ={入射角が45度の場合の複屈折値
    (nm)−入射角が0度の場合の複屈折値(nm)}/45
    (度) (III)
  2. 【請求項2】入射角が0度の場合の複屈折値が20nm以下
    である請求項1記載のフイルム。
  3. 【請求項3】前記芳香族ポリエステル系樹脂と前記炭酸
    エステル系樹脂との重量比が99:1〜51:49である請求項
    1記載のフイルム。
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