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JP3054048B2 - 抗菌性粒子 - Google Patents

抗菌性粒子

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JP3054048B2
JP3054048B2 JP6323328A JP32332894A JP3054048B2 JP 3054048 B2 JP3054048 B2 JP 3054048B2 JP 6323328 A JP6323328 A JP 6323328A JP 32332894 A JP32332894 A JP 32332894A JP 3054048 B2 JP3054048 B2 JP 3054048B2
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Sekisui Kasei Co Ltd
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  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生鮮食品等の食品の鮮
度保持等に用いられる抗菌性粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、殺菌作用を有する銀等の金属およ
びその金属塩の抗菌性、耐熱性が着目され、特開平5-1
54号公報に開示されているように、上記金属およびその
金属塩を合成樹脂等に混合し成形して安全に長期間にわ
たって抗菌性を発揮する成形物を得るため、生理的に不
活性な無機担体に抗菌性銀化合物を吸着担持させた抗菌
性組成物、あるいはゼオライトにイオン交換により抗菌
性金属イオンを担持させた抗菌性ゼオライト組成物など
が知られている。
【0003】他の抗菌組成物として、特公平4-28646号
公報に開示されているように、上記金属およびその金属
イオンを無機担体、例えばゼオライトに吸着またはイオ
ン交換により担持したものが知られている。
【0004】さらに、近年、リン酸カルシウム系として
最も多く使用されているハイドロキシアパタイト〔化学
式:Ca10(PO4)6(OH)2 〕に抗菌性金属およびその金属イ
オンを担持させた抗菌組成物が、特開平2-180270号公
報、特開平2-273165号公報、特開平3-47118号公報、特
開平3-137298号公報、特開平3-218765号公報、特開平4
-13605号公報に開示されている。
【0005】これらに開示された抗菌組成物は、ハイド
ロキシアパタイトに抗菌性金属およびその金属イオンを
吸着担持させた後、 800℃以上で焼成することにより抗
菌性金属およびその金属イオンをハイドロキシアパタイ
トに結合させたアパタイト複合粒子である。また、特開
平3-90007号公報、特開平3-271209号公報では、ハイド
ロキシアパタイトスラリー中で抗菌性金属イオンを吸着
させて、上記のようなアパタイト複合粒子を作製するこ
とが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
アパタイト複合粒子では、焼成等のように高温で処理し
た場合、抗菌性金属の溶出を防止できるが、抗菌力が低
下し、特に黄色ブドウ球菌等に対する抗菌力の低い銀の
ような抗菌性金属を用いたとき抗菌効果に欠けるという
問題を生じている。
【0007】そこで、焼成工程を省いた、抗菌性金属お
よび金属イオンをハイドロキシアパタイトスラリー中へ
の添加によって吸着担持したハイドロキシアパタイトで
は、水中で使用したり、水分を多く有する物質に接触し
たりすると抗菌性金属が溶出して抗菌性が劣化すると共
に太陽光や蛍光灯の光に曝されたり、熱が加わったりす
ると黄色や茶色等に変色するという問題を有している。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の抗菌性粒子は、
以上の課題を解決するために、塩素を含有する非晶質リ
ン酸カルシウムに、抗菌性金属イオンが担持されている
ことを特徴としている。
【0009】上記非晶質リン酸カルシウム(Amorphous
Calcium Phosphate :以下、ACPと略す)は、ACP
粒子を含むスラリーから調製される。上記スラリーは、
攪拌下の水酸化カルシウム懸濁液を、攪拌下にてリン酸
水溶液の滴下によってpH11〜5に調整して得られる。
上記スラリーでは、ACP粒子がほぼ均一に分散されて
粒径約0.1μm以下にて形成されている。
【0010】上記ACP粒子は、粉末X線回折法によ
り、その回折パターンからリン酸カルシウム〔Ca3(PO4)
2 ・nH2O〕であり、また、そのパターンがブロードであ
ることから、非晶質なリン酸カルシウムであることが確
認される。その上、上記ACP粒子は、結晶水を含むこ
とから静電気的に活性な物質であると思われ、種々な菌
体やウイルスを吸着し易くなったものであると想定され
る。
【0011】前記スラリーに対して、無機塩化物、例え
ば塩化カルシウムを、水酸化カルシウム量に対して1な
いし90重量%、好ましくは1ないし50重量%、さらに好
ましくは1ないし30重量%となるように添加することに
より、ACP粒子に所定量の塩素をイオン置換によって
保持させて塩素含有スラリーが得られる。
【0012】この塩素含有スラリー中に、50重量%以下
となるように抗菌性金属粉末、抗菌性金属化合物、ある
いはそれらの水溶液を混合した混合物を噴霧乾燥造粒法
などにより造粒して抗菌性粒子が得られる。
【0013】また、得られた抗菌性粒子が大きな比表面
積をそなえるために、塩素含有スラリー中のACP粒子
は、その粒径が 0.1μm以下であることが、また、加え
る抗菌性金属および抗菌性金属化合物が粉体の場合、上
記粉体の粒径は20μm以下であることが望ましい。その
上、塩素含有スラリーに加える抗菌性金属粉末、抗菌性
金属化合物粉末あるいは抗菌性金属水溶液とは室温中で
混合することが望ましい。
【0014】一方、塩素含有スラリーにおけるACP粒
子が90重量%以上となると、塩素含有スラリーの粘度が
高くなるので、造粒に不適となる。なお、塩素含有スラ
リーにおけるACP粒子の含量を1〜90重量%の範囲で
変えることにより、所望の平均粒径を有する抗菌性粒子
を得ることができる。
【0015】また、造粒法としては、得られる粒子が、
多孔質、かつ、粒径 200μm以下にできるものであれ
ば、特に限定されるものではないが、例えば噴霧乾燥造
粒法を用いることができ、他にフリーズドライ後に粉砕
してなる造粒法、また、高速撹拌型造粒法を用いてもよ
い。
【0016】抗菌性金属としては、金、銀、亜鉛、銅、
錫、鉛、砒素、白金、鉄、アンチモン、ニッケル、アル
ミニウム、バリウム、カドミウム、マンガンから少なく
とも一種の金属、またはそれらの混合物、あるいはそれ
らの金属化合物、およびそれらの水溶液を用いることが
できる。
【0017】
【実施例】本発明の各実施例について図1ないし図5に
基づいて説明すれば、以下の通りである。抗菌性粒子
は、抗菌性金属イオンとしての銀イオンと、上記銀イオ
ンを担持するACPと、上記銀イオンに起因する変色を
抑制するための塩素イオンとを含むものである。
【0018】上記ACPは、ACP粒子を含むスラリー
から調製される。上記スラリーは、攪拌下の水酸化カル
シウム懸濁液を、攪拌下、リン酸水溶液の滴下によって
pH10に調整することにより、粒径約0.1μm以下のA
CP粒子を含むものとして得られる。
【0019】次に、上記スラリーに対して、塩素イオン
の添加量および抗菌性金属としての銀イオンの添加量を
それぞれ代えた抗菌性粒子の各例を実施例1〜4として
説明する。
【0020】〔実施例1〕上記スラリーに、無機塩化物
としての塩化カルシウムを、水酸化カルシウム量に対し
て10重量%となるように添加して塩素含有スラリーを調
製した。上記塩素含有スラリーでは、ACP粒子が、添
加された塩素イオンをイオン置換によって担持している
ものと想定された。
【0021】その後、上記塩素含有スラリーをイオン交
換水により希釈して、ACPの濃度が20重量%となるよ
うに調製した塩素含有ACPスラリーを得た後、その塩
素含有ACPスラリーに対して、ACP含量に対して2
重量%となるように秤量した無水硝酸銀粉末をイオン交
換水に溶解して混合し、図1に示すように、塩素イオン
2および銀イオンを担持するACP粒子1を含む上記混
合物スラリー3を攪拌モータで1時間攪拌して得た。
【0022】上記混合物スラリー3を、定量ポンプ4に
よりスプレードライヤー(大川原化工機械社製 L−8 )
5のアトマイザー6に供給し、上記アトマイザー6を高
速回転させて、上記混合物スラリー3を、スプレードラ
イヤー5内の乾燥用の熱空気流中にアトマイザー6によ
って噴霧し、噴霧造粒乾燥法により造粒乾燥して、塩素
イオン2および銀イオン含有ACP粒子からなる略球状
の抗菌性粒子7が得られた。
【0023】造粒乾燥により得られた上記抗菌性粒子7
は、サイクロン8によって採取された。このとき、サイ
クロン8により採取しきれない超微粉体はバグフィルタ
ー(図示せず)により別に採取された。
【0024】なお、上記造粒における操作条件は次の通
りであった。定量ポンプ4による原料としての混合物ス
ラリー3の供給量は1〜3kg/hであり、エアフィルター
9を介して電気ヒーター10によって加温された熱空気
の温度は、熱ガス室11の入口温度が 200〜 250℃に、
サイクロン8に繋がる排出孔12における出口温度が10
0℃を常に越えるように制御され、また、アトマイザー
6の回転数は 10000〜37000rpmの範囲内に設定された。
【0025】また、上記スプレードライヤー5をよりス
ケールアップした2種のスプレードライヤー(大川原化
工機械社製 FOC-20,OD-25G、FOC-25,OC-25) を用いて、
スラリー供給量を100kg/hrとし、他の条件は上記と同様
に抗菌性粒子を調製したところ、上記スプレードライヤ
ー5による抗菌性粒子7と同様の抗菌性粒子が得られ
た。このようにして得られた抗菌性粒子7は真球状であ
った。
【0026】〔実施例2〕上記実施例1におけるスラリ
ーの塩化カルシウムの混合率10重量%に代えて、スラリ
ーに対する塩化カルシウムの混合率を20重量%とし、他
は上記実施例1と同様の条件で操作して球状の抗菌性粒
子7が得られた。
【0027】〔実施例3〕上記実施例1に記載のスラリ
ー(ACPの濃度20重量%)に、塩化銀粉末をACP含
量に対して2重量%となるように実施例1と同様に混合
し、攪拌モータで1時間攪拌して混合物スラリーを得た
後、混合物スラリーをろ過して上記混合物スラリーから
固形分を分取し、上記固形分を 120℃にて乾燥し、粉砕
して抗菌性粒子が得られた。
【0028】〔実施例4〕上記実施例1に記載のスラリ
ー(ACPの濃度20重量%)に、塩化銀粉末をACP含
量に対して2重量%となるように実施例1と同様に混合
し、攪拌モータで1時間攪拌して混合物スラリーを得た
後、上記混合物スラリーを凍結乾燥し、得られた乾燥物
を粉砕して抗菌性粒子が得られた。
【0029】上記実施例1ないし4において得られた抗
菌性粒子について、粉末X線回折法により、上記ACP
粒子の生成相を調べたところ、図2ないし図5に示すよ
うに、得られた抗菌性粒子は、リン酸カルシウム〔Ca
3(PO4)2 ・nH2O〕と銀との複合体であると同定され、ま
た、上記X線回折パターンが、ブロードであることか
ら、リン酸カルシウム部分が非晶質であることが判っ
た。
【0030】なお、図2ないし図5における横軸は、ブ
ラッグ角θの2倍である散乱角を示し、図2ないし図5
における縦軸は、回折線の強度(CSK)を、その縦軸
の最大値が4kとなるように示した。
【0031】また、上記抗菌性粒子は、非晶質リン酸カ
ルシウムに銀イオンを塩化銀の状態にて取り込んでいる
ものと想定された。これは、上記抗菌性粒子をアンモニ
ア水にて抽出すると、ほぼ添加量と同量となる銀イオン
量が抽出液から検出されたが、下記に示すように、上記
抗菌性粒子を蒸留水にて抽出すると、その抽出液内に銀
イオンが微量しか検出されないことから裏付けられた。
【0032】上記の蒸留水による溶出試験の方法として
は、まず、実施例1および2の抗菌性粒子を試料とし、
比較として銀を担持させた市販品のアパタイト複合粒子
(銀イオン担持量2重量%)を比較試料として用い、上
記各試料および比較試料を1g秤量し、蒸留水 100ml中
で30分間攪拌後、No. 7ろ紙にてろ過し、さらにろ液を
No. 5Bろ紙でろ過したろ液をICP-AES (高温発光分析
法)にてそれぞれ測定した。それらの結果を表1に示し
た。
【0033】
【表1】
【0034】表1から明らかなように、本発明の抗菌性
粒子は、銀イオンの溶出が従来より抑制されており、銀
イオンによる抗菌性を長期間にわたって維持できるもの
であることが判った。
【0035】次に、上記実施例1、2、4で得られた各
抗菌性粒子の抗菌力をそれぞれ測定した。比較として、
銀を担持させた市販品のアパタイト複合粒子(銀イオン
担持量2重量%)を用いた。
【0036】試験方法 1.菌液の調製 寒天培地で37℃、18時間培養した試験菌体をリン酸
緩衝液(1/15M、pH7.2)に浮遊させ108 cells/mlの
懸濁液である原液を調整し、その原液を適宜希釈して試
験に用いた。
【0037】2.抗菌性試験(シェークフラスコ法) 各抗菌性粒子およびアパタイト複合粒子を、試料として
0.1gそれぞれ秤量し、上記リン酸緩衝液 100mlの入っ
た 200ml三角フラスコにそれぞれ入れ、これらに、試験
菌懸濁液を約105 cells/mlになるように加えた後、これ
らの三角フラスコを25℃±5℃に保ちながら振とうし、
経時的に上記三角フラスコ内の菌数を経時的にそれぞれ
測定した。なお、使用菌株は次の通り。
【0038】 使用菌株 Escherichia coli(大腸菌) IFO-12734 Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) IFO-12732 Psedomonas aeruginosa (緑膿菌) IFO-12689 Candida albicans(カンジダ) IFO-1060 使用培地 細菌:Mueller Hinton 2 (BBL) 真菌:ポテトデキストロース寒天培地(栄研) 上記の測定結果を表2〜5に示した。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】このように上記各実施例の抗菌性粒子は、
従来の抗菌性粒子として市販されている前記アパタイト
複合粒子より、抗菌作用が高いことが示された。これ
は、上記各実施例の抗菌性粒子が、基材として用いたA
CPが高い菌吸着能(朝日新聞、1993年1月16日付け夕
刊、参照)を有するためと想定される。
【0044】特に、実施例1および2の抗菌性粒子は、
真球状であるから、生鮮食品を載せる発泡プラスチック
トレイ等の樹脂成形品等にブレンドするときにも均一に
分散され易いものであり、樹脂成形品に対する混合性を
従来より向上できるものである。
【0045】次に、上記各抗菌性粒子は、生鮮食品を載
せる発泡プラスチックトレイ等の白色である上記トレイ
を製造するための例えばプラスチックシートに配合され
て用いられることが想定される。このことから、配合さ
れた抗菌性粒子が有色であったり、加工時の熱や、経時
的に光に曝されたことにより変色したりした場合、上記
トレイにゴミや汚れが付着しているとユーザーに誤認さ
れる虞がある。
【0046】そこで、上記各実施例1〜4の抗菌性粒子
について、2週間、自然光に曝された状態における色差
測定をJIS−K7105に基づいてそれぞれ行った。ま
ず、上記で得られた各抗菌性粒子を試料とし、比較のた
めの標準として銀イオンを担持していないACP粒子を
用いた。
【0047】上記各試料と標準とを、積分球方式の色差
計(ND-100P 、日本電色工業製)により測定し、それら
の結果を表6に示した。なお、黄色度については、標準
黄色面を用い、黄変度については上記標準黄色面に対す
る相違点にて評価した。
【0048】
【表6】
【0049】さらに、上記実施例1および2の各抗菌性
粒子、並びに市販品のアパタイト粒子(銀イオン担持量
2重量%)を試料とし、各試料における、熱による変色
についてそれぞれ測定した。
【0050】まず、その測定方法としては、各試料を、
溶融したポリスチレン樹脂に対して1重量%となるよう
にそれぞれ混練し( 200℃、5分間)、その混練物から
シート状にプレス成形法によって成形した成形物をそれ
ぞれ得た。それらの成形物の黄色度を、上記と同様にJ
IS−K7105に基づいて透過法によってそれぞれ測定し
た。それらの結果を表7に示した。
【0051】
【表7】
【0052】表6および表7から明らかなように、本発
明の抗菌性粒子は、標準板より、白色度が若干低下する
ものの、実用上では白色であること、および熱や光等に
よる黄変度が小さいことから、熱や光等によって黄変等
の変色が抑制されたものであることが判った。
【0053】これにより、本発明の抗菌性粒子は、優れ
た抗菌性を有し、かつ、無色である白色度が高く、その
上、黄変を抑制できるものであるから、上記抗菌性粒子
を混合し練り込んで成形したプラスチックス容器やシー
ト状プラスチック等において、上記抗菌性粒子が汚れ等
に誤認される虞を防止できるものとなっている。
【0054】このことから、上記抗菌性粒子は、プラス
チックス容器に用いた場合、その容器の内表面に露出さ
せて用いても、熱や光や紫外線等による経時的な外観の
劣化を回避することができ、その上、上記プラスチック
ス容器に載置された食品との接触面において、抗菌性を
有する銀イオンによって上記食品における雑菌の増殖を
有効に抑制できるものとなっている。
【0055】また、上記抗菌性粒子は、プラスチック容
器の表面をコーティングするためのラミパック等に用い
た場合でも、コーティングされたプラスチック容器に載
置された食品上における雑菌の増殖を抑制できると共
に、上記プラスチック容器の外観の経時的な劣化も回避
できるものである。
【0056】これにより、上記抗菌性粒子は、魚や肉と
いった生鮮食品の日持ち向上を図ることができるもので
あると共に、雑菌の増殖した食品による食中毒の防止効
果を有し、さらに、きのこ類や果物等の農産物の鮮度保
持効果も有することができるものとなっている。
【0057】この結果、上記抗菌性粒子は、抗菌性に優
れ、かつ、外観の劣化も回避できるものであるから、生
鮮食品等の食品の載置トレイ等に好適に使用されるもの
となっている。
【0058】ところで、従来の抗菌組成物として、リン
酸三、四および八カルシウムに抗菌剤としてヨードホル
ム、クロルヘキシジン等を混合した抗菌組成物が、特開
昭62-19508号公報、特開平4-29907号公報に開示されて
いる。ところが、上記の抗菌性組成物は、溶融した合成
樹脂に対して混練した場合、熱により変性することから
安定した抗菌特性が得られないことがあった。
【0059】しかしながら、本発明の抗菌性粒子では、
耐熱性に優れた抗菌性金属イオンとしての銀イオンを用
いたから、溶融した合成樹脂に対して混練した場合で
も、熱により変性することが防止されて安定した抗菌特
性が得られ、その上、そのような加工時の熱によっても
変色が回避されたものとなっている。
【0060】
【発明の効果】本発明の抗菌性粒子は、以上のように、
塩素を含有する非晶質リン酸カルシウムに、抗菌性金属
イオンが担持されている構成である。
【0061】それゆえ、上記構成は、高い抗菌性を有す
る上に、光や熱による変色を抑制できるものであるか
ら、生鮮食品等の食品の載置トレイ等に好適であるとい
う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗菌性粒子に用いるスプレイドライヤ
ーの概略構成図である。
【図2】本発明の実施例1の抗菌性粒子の組成を示すX
線回折図である。
【図3】本発明の実施例2の抗菌性粒子の組成を示すX
線回折図である。
【図4】本発明の実施例3の抗菌性粒子の組成を示すX
線回折図である。
【図5】本発明の実施例4の抗菌性粒子の組成を示すX
線回折図である。
【符号の説明】
1 ACP粒子(非晶質リン酸カルシウム) 2 塩素
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−265809(JP,A) 特開 平8−173120(JP,A) 特開 平5−293365(JP,A) 特開 平6−319500(JP,A) 特開 平3−120204(JP,A) 特開 平7−51039(JP,A) 特開 平7−165981(JP,A) 特開 平2−180270(JP,A) 特開 平3−90007(JP,A) 特開 平3−218765(JP,A) 特開 平3−271209(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 3/358 A01N 59/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩素を含有する非晶質リン酸カルシウム
    に、抗菌性金属イオンが担持されていることを特徴とす
    る抗菌性粒子。
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