JP2911267B2 - 高強度非晶質マグネシウム合金及びその製造方法 - Google Patents
高強度非晶質マグネシウム合金及びその製造方法Info
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Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C23/00—Alloys based on magnesium
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- Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
- Powder Metallurgy (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は比強度及び延性に優れた
特性をもつ非晶質マグネシウム合金及びその製造方法に
関する。
特性をもつ非晶質マグネシウム合金及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】マグネシウム合金は、JIS H520
3,MC2で規定されている如く引張強さが約24kg
/mm2 、比重が1.8であるために比強度が高く、最
近の自動車の燃費軽減などのための車重軽量化に対して
有力な材料である。マグネシウム合金は特開平3−10
041に見られるようにMg−希土類金属−遷移金属系
非晶質合金とすることにより高強度化できるが、非晶質
化のために添加される希土類元素の量が多いため比強度
が期待される程大きくならず、他の高比強度材料との競
争力に問題があった。そのため現在の軽量化材料の代表
であるアルミニウム合金に比べて用途開発が遅れてい
た。
3,MC2で規定されている如く引張強さが約24kg
/mm2 、比重が1.8であるために比強度が高く、最
近の自動車の燃費軽減などのための車重軽量化に対して
有力な材料である。マグネシウム合金は特開平3−10
041に見られるようにMg−希土類金属−遷移金属系
非晶質合金とすることにより高強度化できるが、非晶質
化のために添加される希土類元素の量が多いため比強度
が期待される程大きくならず、他の高比強度材料との競
争力に問題があった。そのため現在の軽量化材料の代表
であるアルミニウム合金に比べて用途開発が遅れてい
た。
【0003】前掲特許公開公報以外にさらにMg−Al
−Ag三元系マグネシウム合金も非晶質化できることが
知られている。
−Ag三元系マグネシウム合金も非晶質化できることが
知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前掲Mg−Al−Ag
系非晶質合金は結晶化温度が低く、作製後室温で大気中
に24時間程度放置すると脆化を生じる問題点があっ
た。また、前掲特開平3−10041号で公開されたM
g−希土類金属−遷移金属系非晶質Mg合金は、Mg−
Al−Ag系合金より比重が高いために比強度が十分に
高くなく、また同様に放置すると脆化するものが少なく
ないため特性が安定していなかった。
系非晶質合金は結晶化温度が低く、作製後室温で大気中
に24時間程度放置すると脆化を生じる問題点があっ
た。また、前掲特開平3−10041号で公開されたM
g−希土類金属−遷移金属系非晶質Mg合金は、Mg−
Al−Ag系合金より比重が高いために比強度が十分に
高くなく、また同様に放置すると脆化するものが少なく
ないため特性が安定していなかった。
【0005】したがって、本発明は、Mg含有量を多く
しつつ高強度を得て比強度を高め、結晶化温度の上昇に
より耐熱性を高め、さらに常温放置でも脆化しない非晶
質マグネシウム合金及びその製法を提供することを目的
とする。
しつつ高強度を得て比強度を高め、結晶化温度の上昇に
より耐熱性を高め、さらに常温放置でも脆化しない非晶
質マグネシウム合金及びその製法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、Mgリッチ側
の組成範囲で特定の元素を添加することによりマグネシ
ウム非晶質合金を得るとともにその強度上昇を図ること
を見出し、完成した。
の組成範囲で特定の元素を添加することによりマグネシ
ウム非晶質合金を得るとともにその強度上昇を図ること
を見出し、完成した。
【0007】
【0008】本発明のマグネシウム合金は、組成が、M
gd Me Xf Tg (MはZn,Gaの1種または2種の
元素、XはLa,Ce,Mm(ミッシュメタル)、Y,
Nd,Pr,Sm及びGdからなる1種または2種以上
の元素、TはAg,Zr,Ti,Hfからなる1種また
は2種以上の元素、dは65〜96.5at%、eは2
〜30at%、fは0.2〜8at%、gは0.5〜1
0at%)で表される組成を有し、非晶質相マトリック
スと、このマトリックスに分散したhcp−Mg粒子と
からなる複合組織を有し、非晶質相の割合が50%以上
であることを特徴とする高強度非晶質マグネシウム合金
である。
gd Me Xf Tg (MはZn,Gaの1種または2種の
元素、XはLa,Ce,Mm(ミッシュメタル)、Y,
Nd,Pr,Sm及びGdからなる1種または2種以上
の元素、TはAg,Zr,Ti,Hfからなる1種また
は2種以上の元素、dは65〜96.5at%、eは2
〜30at%、fは0.2〜8at%、gは0.5〜1
0at%)で表される組成を有し、非晶質相マトリック
スと、このマトリックスに分散したhcp−Mg粒子と
からなる複合組織を有し、非晶質相の割合が50%以上
であることを特徴とする高強度非晶質マグネシウム合金
である。
【0009】
【0010】本発明に係る高強度非晶質マグネシウム合
金の製造方法は、Mgd Me Xf Tg (MはZn,Ga
の1種または2種の元素、XはLa,Ce,Mm(ミッ
シュメタル)、Y,Nd,Pr,Sm及びGdからなる
1種または2種以上の元素、TはAg,Zr,Ti,H
fからなる1種または2種以上の元素、dは65〜9
6.5at%、eは2〜30at%、fは0.2〜8a
t%、gは0.5〜10at%)で表される組成を有す
るマグネシウム合金溶湯を102 〜10 5℃/secの
冷却速度で冷却することにより、非晶質相マトリックス
と、このマトリックスに分散したhcp−Mg粒子とか
らなる複合組織を有し、非晶質相の割合が50%以上で
あるマグネシウム合金を製造する方法である。
金の製造方法は、Mgd Me Xf Tg (MはZn,Ga
の1種または2種の元素、XはLa,Ce,Mm(ミッ
シュメタル)、Y,Nd,Pr,Sm及びGdからなる
1種または2種以上の元素、TはAg,Zr,Ti,H
fからなる1種または2種以上の元素、dは65〜9
6.5at%、eは2〜30at%、fは0.2〜8a
t%、gは0.5〜10at%)で表される組成を有す
るマグネシウム合金溶湯を102 〜10 5℃/secの
冷却速度で冷却することにより、非晶質相マトリックス
と、このマトリックスに分散したhcp−Mg粒子とか
らなる複合組織を有し、非晶質相の割合が50%以上で
あるマグネシウム合金を製造する方法である。
【0011】
【作用】本発明のマグネシウム合金は、非晶質化元素M
(Zn及び/又はGa)及びX(La,Ce,Mm、
Y,Nd,Pr,Sm及び/又はGd)を、さらに耐熱
性と強度付与元素T(Ag,Zr,Ti及び/又はH
f)を、軽量化のための主成分であるMgに添加するこ
とによって構成される。
(Zn及び/又はGa)及びX(La,Ce,Mm、
Y,Nd,Pr,Sm及び/又はGd)を、さらに耐熱
性と強度付与元素T(Ag,Zr,Ti及び/又はH
f)を、軽量化のための主成分であるMgに添加するこ
とによって構成される。
【0012】次に各成分の限定理由について述べる。M
は30at%以上ではMgとの化合物が多量に析出する
ことに加えて比重が大きくなり、一方3at%以下では
非晶質合金化が困難になる。Xは0.2at%以下では
非晶質化が困難になり、8at%を超えると脆化が起こ
ることに加えて比重が大きくなる。Tは0.5at%以
下では耐熱特性や高強度化に効果がなく、10at%を
超えると非晶質化が困難になる。非晶質相を50%以上
と限定した理由は50%未満であると脆化が生じるため
である。
は30at%以上ではMgとの化合物が多量に析出する
ことに加えて比重が大きくなり、一方3at%以下では
非晶質合金化が困難になる。Xは0.2at%以下では
非晶質化が困難になり、8at%を超えると脆化が起こ
ることに加えて比重が大きくなる。Tは0.5at%以
下では耐熱特性や高強度化に効果がなく、10at%を
超えると非晶質化が困難になる。非晶質相を50%以上
と限定した理由は50%未満であると脆化が生じるため
である。
【0013】これらの合金は溶湯から通常の冷却速度1
02 〜105 ℃/sec で冷却されることにより50%以
上が非晶質化される。非晶質相は冷却速度を高めること
により100%となる。非晶質相以外の結晶質相はhc
p構造をしたα−Mg(M,X,Tを固溶する)であ
る。このマグネシウム相が非晶質相中に粒子として分散
してマグネシウム合金の強度を高める。このマグネシウ
ム粒子の大きさが1〜100nmであり、マグネシウム
粒子が均一に分散しているときに強度が著しく大きい。
02 〜105 ℃/sec で冷却されることにより50%以
上が非晶質化される。非晶質相は冷却速度を高めること
により100%となる。非晶質相以外の結晶質相はhc
p構造をしたα−Mg(M,X,Tを固溶する)であ
る。このマグネシウム相が非晶質相中に粒子として分散
してマグネシウム合金の強度を高める。このマグネシウ
ム粒子の大きさが1〜100nmであり、マグネシウム
粒子が均一に分散しているときに強度が著しく大きい。
【0014】急冷後の非晶質合金を結晶化温度(Tx)
以下で熱処理することにより、非晶質基地からマグネシ
ウム粒子を析出させ強度を高めることができる。熱処理
すると伸びは減少するが、急冷状態の時に比べて強度は
高くなる。
以下で熱処理することにより、非晶質基地からマグネシ
ウム粒子を析出させ強度を高めることができる。熱処理
すると伸びは減少するが、急冷状態の時に比べて強度は
高くなる。
【0015】以下、実施例により本発明を詳しく説明す
る。
る。
実施例1 高周波溶解炉により表1の組成のマグネシウム合金を母
合金として用意した。それを非晶質合金の作成法として
よく知られている片ロール法(図1参照)により急冷凝
固し箔帯に作成した。図1に示すように先端に小孔1
(口径:0.1mm)を有する片ロール装置の石英管2
にインゴットを充填し、母合金を加熱溶解した後、銅製
のロール3の真上に設置した。石英管2内の溶融合金4
をアルゴンガスの加圧の下で石英管の小孔1から噴射
し、ロール3の表面と接触させることにより急冷凝固さ
せて合金箔帯5を得た。
合金として用意した。それを非晶質合金の作成法として
よく知られている片ロール法(図1参照)により急冷凝
固し箔帯に作成した。図1に示すように先端に小孔1
(口径:0.1mm)を有する片ロール装置の石英管2
にインゴットを充填し、母合金を加熱溶解した後、銅製
のロール3の真上に設置した。石英管2内の溶融合金4
をアルゴンガスの加圧の下で石英管の小孔1から噴射
し、ロール3の表面と接触させることにより急冷凝固さ
せて合金箔帯5を得た。
【0016】このようにして得た厚さは20μm幅1m
mの組成Mg85Zn12Ce3 合金をディフラクトメータ
ーによりX線回折した回折図を図2のAに示す。回折像
には非晶質の散乱像中にMgのピークが認められる。結
晶質相の割合は12%であった。
mの組成Mg85Zn12Ce3 合金をディフラクトメータ
ーによりX線回折した回折図を図2のAに示す。回折像
には非晶質の散乱像中にMgのピークが認められる。結
晶質相の割合は12%であった。
【0017】また、この材料を結晶化温度より約1℃よ
り低い温度で20sec 熱処理したところ図2のBの回折
を得た。熱処理の施さない合金の回折像と比べてhcp
構造のMgのピークが明確になっている。この合金の熱
処理後の組織を観察したところ非晶質基地に10nm以
下の粒子が20%の割合で分散していることが認められ
た(図3参照)。上記マグネシウム合金の特性を表1に
示す。
り低い温度で20sec 熱処理したところ図2のBの回折
を得た。熱処理の施さない合金の回折像と比べてhcp
構造のMgのピークが明確になっている。この合金の熱
処理後の組織を観察したところ非晶質基地に10nm以
下の粒子が20%の割合で分散していることが認められ
た(図3参照)。上記マグネシウム合金の特性を表1に
示す。
【0018】
【表1】
【0019】実施例2 実施例1の方法により、高周波溶解炉により表2に組成
を示すマグネシウム合金を母合金として用意し、片ロー
ル法により急冷凝固し、箔帯を得た。箔帯のX線回折の
結果を図2に示す。また、24時間放置後箔帯から18
0°曲げ試験片及び引張試験片を採取して試験した結果
を表2に示す。
を示すマグネシウム合金を母合金として用意し、片ロー
ル法により急冷凝固し、箔帯を得た。箔帯のX線回折の
結果を図2に示す。また、24時間放置後箔帯から18
0°曲げ試験片及び引張試験片を採取して試験した結果
を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】上記箔帯につき結晶化温度−10℃で0.
1時間熱処理をした後同様の試験を行った結果を表3、
表4に示す。
1時間熱処理をした後同様の試験を行った結果を表3、
表4に示す。
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】以上の実験結果、本発明の非晶質合金はM
gリッチな組成でも高強度化と非晶質化が可能であり、
従来の非晶質合金に比べて比強度に優れ、また延性にす
ぐれた合金であることが確認できた。
gリッチな組成でも高強度化と非晶質化が可能であり、
従来の非晶質合金に比べて比強度に優れ、また延性にす
ぐれた合金であることが確認できた。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により軽量
化材料としてのマグネシウム合金の用途開発が可能にな
った。
化材料としてのマグネシウム合金の用途開発が可能にな
った。
【図1】 片ロール装置の図である。
【図2】 X線回折図である。
【図3】 熱処理後のMg85Zn12Ce3 合金の非晶質
基地に粒子が分散していることを示す電子顕微鏡による
金属組織写真である。
基地に粒子が分散していることを示す電子顕微鏡による
金属組織写真である。
フロントページの続き (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内無番地 川内住 宅11−806 (72)発明者 加藤 晃 宮城県仙台市太白区八木山本町2−36− 1 サクセス 26B101 (72)発明者 柴田 利介 宮城県仙台市青葉区米ケ袋1丁目5番12 号 (72)発明者 西山 信行 東京都中央区八重洲一丁目9番9号 帝 国ピストンリング株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−10041(JP,A) 特開 昭62−83446(JP,A) 特開 平4−45246(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 45/00 C22C 1/00 C22C 1/02 503 C22F 1/06
Claims (3)
- 【請求項1】 Mgd Me Xf Tg (MはZn,Gaの
1種または2種の元素、XはLa,Ce,Mm(ミッシ
ュメタル)、Y,Nd,Pr,Sm及びGdからなる1
種または2種以上の元素、TはAg,Zr,Ti,Hf
からなる1種または2種以上の元素、dは65〜96.
5at%、eは2〜30at%、fは0.2〜8at
%、gは0.5〜10at%)で表される組成を有し、
非晶質相マトリックスと、このマトリックスに分散した
hcp−Mg粒子とからなる複合組織を有し、非晶質相
の割合が50%以上であることを特徴とする高強度非晶
質マグネシウム合金。 - 【請求項2】 Mgd Me Xf Tg (MはZn,Gaの
1種または2種の元素、XはLa,Ce,Mm(ミッシ
ュメタル)、Y,Nd,Pr,Sm及びGdからなる1
種または2種以上の元素、TはAg,Zr,Ti,Hf
からなる1種または2種以上の元素、dは65〜96.
5at%、eは2〜30at%、fは0.2〜8at
%、gは0.5〜10at%)で表される組成を有する
マグネシウム合金溶湯を102 〜10 5℃/secの冷
却速度で冷却することにより、非晶質相マトリックス
と、このマトリックスに分散したhcp−Mg粒子とか
らなる複合組織を有し、非晶質相の割合が50%以上で
ある高強度非晶質マグネシウム合金を製造する方法。 - 【請求項3】 冷却後に結晶化温度より低い温度で熱処
理を行うことを特徴とする請求項2記載の高強度非晶質
マグネシウム合金の製造方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3254143A JP2911267B2 (ja) | 1991-09-06 | 1991-09-06 | 高強度非晶質マグネシウム合金及びその製造方法 |
US07/937,602 US5348591A (en) | 1991-09-06 | 1992-09-02 | High-strength amorphous magnesium alloy |
CA002077475A CA2077475C (en) | 1991-09-06 | 1992-09-03 | High-strength amorphous magnesium alloy and method for producing the same |
EP92308067A EP0531165B1 (en) | 1991-09-06 | 1992-09-04 | High-strength amorphous magnesium alloy and method for producing the same |
DE69225283T DE69225283T2 (de) | 1991-09-06 | 1992-09-04 | Hochfeste amorphe Magnesiumlegierung und Verfahren zu ihrer Herstellung |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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