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JP2953286B2 - 薄板の電極回転式tig溶接方法 - Google Patents

薄板の電極回転式tig溶接方法

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JP2953286B2
JP2953286B2 JP5332888A JP33288893A JP2953286B2 JP 2953286 B2 JP2953286 B2 JP 2953286B2 JP 5332888 A JP5332888 A JP 5332888A JP 33288893 A JP33288893 A JP 33288893A JP 2953286 B2 JP2953286 B2 JP 2953286B2
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康郎 鈴木
忠志 藤岡
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Nippon Kokan Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄板の重ね溶接に関
し、上板及び下板側の母材を溶融させることでビードを
形成するTIG溶接方法において、薄板の重ね部に形成
される溶接線を自動的に検出し溶接線に対して適正位置
でトーチを倣わせ、ビード表面形状が良好でかつ広幅・
浅溶込み溶接部を形成する薄板の電極回転式TIG溶接
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、薄板の重ね溶接における溶接線へ
のトーチの追従は作業者の手動操作によるか、或いは高
価ではあるがその検出に接触式センサを用いたり、光学
式センサによる複雑な画像処理方式を採用していた。溶
接の自動化を図るためには前記した後2者の方式が必要
となるが、いずれにせよトーチのほかに他にセンサとい
う固有の機器をトーチ近傍に設ける必要があるため、検
出位置と制御対象位置との間に寸法的な制約で一定の間
隔が生じていた。そのため、その間隔に応じた時間差を
与えてトーチ位置を制御する必要があり、複雑な割りに
は精度に限度のある制御しか実施できなかった。別体と
してのセンサを用いることなく且つ精度的に優れた溶接
線倣い方法として溶接アーク自体をセンサとしたアーク
センサ開先線倣い方法が「特公昭61−17591号公
報」に開示されている。このアークセンサ開先線倣い方
法は開先内でのトーチ揺動によるアーク特性の変化を、
揺動の幅中心を基準として左・右の揺動の半周期とにつ
いて時間積分後比較し、その両者が等しくなるように、
即ちその両者の差が零になるようにトーチ揺動中心を移
動制御することにより開先線倣いを達成するものであ
る。しかし、薄板の重ね溶接部の溶接線のような一方の
開先が存在しない継手に対しては適用できないという欠
点があった。また、「特公平1−4875号公報(特開
昭57−91877号公報)」に開示された方法におい
ても、電極回転による場合の開先倣い方法が開示されて
いるが前述のように開先が存在する場合についてのみ適
用が可能であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】溶接の自動化を図るた
めには、溶接中に時々刻々へ変化する溶接線の二次元的
なズレに対してトーチ位置を自動的に制御するために開
先検出センサ及び検出センサによるトーチ位置移動調整
機構が必要である。従来、薄板の重ね溶接における溶接
線へのトーチの追従は溶接作業者の操作によるか、溶接
の自動化を図るためには高価ではあるがその検出に接触
式センサを用いたり、光学式センサによる複雑な画像処
理方式を採用することが必要となるが、いずれにせよト
ーチのほかに他のセンサという固有の機器をトーチ近傍
に設ける必要があり、検出位置と制御対象位置との間に
寸法的な制約で一定の間隔があり、その間隔に応じた時
間差を与えてトーチ位置を制御する必要があり、複雑な
割には精度に限界のある制御しか実施できないという問
題点があった。また、薄板の重ね溶接において、溶加材
を用いないで上板及び下板側の母材を溶融させることで
ビードを形成するTIG溶接やプラズマ溶接等の非消耗
電極アーク溶接方法において良好または要求されるビー
ド表面形状を得るためには、トーチの狙い位置を常に適
正位置に保持しなければならないものであった。
【0004】本発明は、薄板の重ね溶接部の溶接線のよ
うに、一方の開先つまり段差しか存在しない継手に対し
ても別体としてのセンサを用いることなく且つ精度的に
優れた溶接線自動倣い行うとともに、その結果、薄板の
重ね溶接部のビード表面形状を適正に保つことができる
薄板の電極回転式TIG溶接方法を提供することを目的
としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明に係る薄
板の電極回転式TIG溶接方法は、厚さが0.5〜2.
5mmの薄板の重ね部に電極回転式TIG溶接を行う薄
板の電極回転式TIG溶接方法であって、トーチ傾斜角
度が概略垂直±10°以内に設定された溶接トーチに設
けられているタングステン電極先端に回転径が1〜4m
mの範囲で、板厚に応じて適切な回転径の円運動を与
え、且つ板厚に応じた適切な溶接電流を設定し、該タン
グステン電極に発生するアークを一方向に高速回転させ
ながら薄板の重ね部の溶接線に沿って重ね溶接を行って
いく溶接中にアーク電圧を検出し、そのアーク電圧のう
ち、薄板の重ね部の溶接線と平行なアークの回転円の進
行方向の前方中心を基準としてその左右の5°以上18
0°以下の2つの所定角度範囲の電極の回転位置におけ
るアーク電圧波形のそれぞれの積分値の差を求め、溶接
トーチが薄板面に平行な面内で溶接線と直交する方向
で、上板端部より上板側に0.5〜0.8mm入った範
囲で、板厚に応じた適切な位置に設定された際の前記2
つの所定角度範囲の電極の回転位置におけるアーク電圧
波形のそれぞれの積分値の差を溶接トーチ狙い位置での
基準値として設定し、溶接中の前記積分値の差と溶接ト
ーチ狙い位置での基準値とを比較し、その差が零となる
ように前記溶接トーチを薄板面に平行な面内で溶接線と
直交する方向に移動制御して薄板の重ね部の溶接線に対
して溶接トーチを適正位置に制御するようにしたもので
ある。
【0006】
【実施例】図1は本発明に係る一実施例の薄板の電極回
転式TIG溶接方法に用いられる電極回転式TIG溶接
装置の全体を示す構成図、図2は同電極回転式TIG溶
接装置の電極回転TIGトーチを示す断面図、図3は電
極回転TIGトーチのトーチ傾斜角を示す説明図、図4
は開先倣い方法の倣い信号検出方法を示した模式図、図
5は狙い位置によるビード形状の差異を示す説明図であ
る。図において、1は被溶接材である下板1aに上板1
bを重ねてなる母材、2は母材1の開先線に位置される
非消耗電極であるタングステン電極、3は回転駆動モー
タ、3aは回転駆動モータ3のシャフト、4はシャフト
3aに取り付けられ、回転駆動モータ3により高速回転
を与えられる駆動ギヤ、5は駆動ギヤ4により高速回転
を与えられる従動ギヤ、6はタングステン電極2を先端
に設けたコレットチャック6aで保持する円筒状の電極
保持部材、6bは電極保持部材7の下方に設けられ、タ
ングステン電極2を取り囲むガスカップである。
【0007】7は電極保持部材6の上部を回転自在に支
持する上部自動調心ベアリング、8は上部自動調心ベア
リング7をリング回転中心から一定量偏心して保持す
る、即ち電極保持部材6の上部を従動ギヤ5の回転中心
から一定量偏心して保持する偏心リングであり、上部自
動調心ベアリング7とで偏心リング部材を構成する。9
は偏心リング8を一体的に収納する偏心リング保持ケー
スで、従動ギヤ5に一体的に取り付けられている。10
は電極保持部材6の下部を支持する下部自動調心ベアリ
ングである。11は回転駆動モータ3の回転角度位置、
即ちタングステン電極2の先端の回転角度位置を検出す
るエンコーダ等の回転位置検出器である。なお、電極保
持部材6に保持され、その軸線上に位置するタングステ
ン電極2と母材1との間には後述する定電流溶接電源装
置により溶接電圧が印加され、アークが発生している。
12はタングステン電極2〜回転位置検出器11から構
成される電極回転TIGトーチである。
【0008】12は電極回転式TIG溶接装置の電極回
転TIGトーチで、図2に示したタングステン電極2〜
回転位置検出器11で構成されている。13は定電流溶
接電源装置、14はタングステン電極2と母材1間のア
ーク電圧を検出するアーク電圧検出器、15はタングス
テン電極2を所望回転数で回転させるための回転速度設
定器、16は回転速度設定器15によって設定された回
転数設定値に基づき回転駆動モータ3を駆動する回転用
モータードライバーである。
【0009】17はタングステン電極2と母材1間の基
準アーク電圧を設定するアーク電圧基準設定器、18は
アーク電圧検出器14の検出値とアーク電圧基準設定器
17の基準値との差を比較演算する差動増幅器、19は
差動増幅器18の出力に基づきトーチ近接・離反機構2
0の近接・離反用モーター21を回転制御する近接・離
反用モーター制御器、22はトーチ横移動機構23の横
移動用モータ24を回転制御する横移動機構制御器、2
5はトーチ近接・離反機構20とトーチ横移動機構23
とを支持して母材1上を走行する溶接台車である。
【0010】26は回転位置検出器11の位置検出信号
に基づいて予め設定した2つの所定角度範囲の検出信号
について積分器を動作させる信号を出力するタイミング
回路、27a、27bはアーク電圧検出器14のアーク
電圧の検出信号が入力されると共にタイミング回路26
からの信号も入力される積分器、28は積分器27a、
27bから出力された積分値の差を求める第1比較器、
29は溶接トーチが薄板面に平行な面内で溶接線と直交
する方向で溶接線近傍の適正な狙い位置に設定された際
の予め設定した2つの所定角度範囲のアーク電圧波形の
積分値の差を溶接トーチ狙い位置での基準値として出力
するトーチ狙い位置設定器、30は第1比較器28から
出力された積分値の差とトーチ狙い位置設定器29から
出力された基準値との差を求める第2比較器、31は第
2比較器30から出力された前記積分値の差と基準値と
の差に基づいて当該差が零となるように制御信号を横移
動機構制御器22に出力する溶接線倣い制御回路であ
る。なお、トーチ狙い位置設定器29に第1比較器28
の出力を入力することにより、自動サンプリングするこ
とができ、一層の自動化が可能になる。
【0011】次に上記実施例の薄板の電極回転式TIG
溶接方法に用いられる電極回転式TIG溶接装置の動作
を説明する。まず、図2に示す実施例の薄板の電極回転
式TIG溶接方法に用いられる電極回転式TIGトーチ
12の動作を説明する。回転駆動モータ3が回転する
と、その回転は駆動ギア4、従動ギヤ5及び偏心リング
保持ケース9を介して偏心リング8に伝達される。偏心
リング8は電極保持部材6の上部を回転自在に支持して
いる上部自動調心ベアリング7をリング回転中心から一
定距離離れた偏心位置に回転自在に保持しているから、
電極保持部材6の上部は偏心リング8の回転に伴いその
回転軸を中心として旋回することになる。また、電極保
持部材6の下部は、偏心リング8の回転中心に同軸で取
り付けられ且つその周囲を固定された下部自動調心ベア
リング10にも保持されているから、下部自動調心ベア
リング10と偏心リング8との作用により、電極保持部
材6の下部から下方に伸びるタングステン電極2の先端
は、下部自動調心ベアリング10を回転中心の支点とし
たスリコギ式の円運動を行うことになる。
【0012】タングステン電極2の先端が円運動をして
いるときに、タングステン電極2の基部を保持している
電極保持部材6の下部は下部自動調心ベアリング10に
回転自在に支持され、回転中心の支点となっており、そ
れ自体は回転しないので、図示しない給電ケーブルによ
って電極保持部材6の下部に位置するタングステン電極
2に直接給電することができる。なお、上記上部自動調
心ベアリング7及び下部自動調心ベアリング10に代え
て球面すべり軸受、ユニット用玉軸受等、同様の機能を
果たす自在軸受で代替することもできる。
【0013】次に、電極回転式TIG溶接装置の動作に
ついて説明する。例えば厚みが2mmのステンレススチー
ルの薄板を重ね溶接する場合、非消耗電極であるタング
ステン電極2の電極回転直径を2.5mmとし、回転駆動
モータ3により電極回転周波数を3〜5Hzとし、定電
流溶接装置13により溶接電流を140Aで、タングス
テン電極2の先端に円運動を与え、タングステン電極2
に発生するアークを高速回転させながら、母材1の溶接
線に沿って溶接速度25〜30cm/ 分で重ね溶接を行
う。このとき、トーチ傾斜角は0±10°以内の溶接ト
ーチの倣いに必要なアーク電圧の信号を適切に検出する
ために適正値に保持されている。なお、このトーチ傾斜
角は図3に示すように、トーチ軸心が上板1bの上面に
対して垂直な方向を0°とし、下板1a側に傾斜した方
向を+側とし、上板1b側に傾斜した方向を−側とす
る。
【0014】トーチを静止させた状態では、アークが溶
接部に一点集中してアーク直下が常に溶融していたもの
が、アークを発生させながらタングステン電極2の先端
が機械的にほぼ円状に円運動して溶接を行うため、母材
1の被溶接部に対して溶接アークはタングステン電極2
の先端の回転に伴って被溶接部を円状に移動し、アーク
直下の溶融部がある回転径で移動することになり、アー
クの被溶接部への入熱がある径に分散された形となり、
その結果、広幅、浅溶込みの溶接部を高速で効率よく形
成することができる。
【0015】なお、TIGアークの特性上、上記のタン
グステン電極2の回転による効果は回転に伴ってアーク
が溶融部を移動可能かどうかで決まり、TIGアークの
場合は電極回転周波数は約20Hz程度が限度である。
また、入熱の分散効果はある回転径以上で見られ、ま
た、入熱分散による母材の溶融効率の低下を考慮して回
転径の最大値が決定される。薄板の重ね溶接におけるT
IGアークの場合にはタングステン電極2の適切な回転
径及び溶接電流値は薄板の板厚と要求されるビード幅に
よって決定される。板厚に応じて要求されるビード幅が
決定され、その要求ビード幅に対応する適正な溶接電流
値と回転径を実験により求め、表1に板厚に応じた具体
的な溶接条件データを示す。板厚に応じて回転径が1〜
4mmの範囲で、適切な回転径の円運動を与え、適切な
溶接電流を設定することにより、適切なビード幅の溶接
が得られた。なお、表1の溶接条件データは溶接速度が
25〜30cm/分の場合のものであり、溶接速度が変
われば、溶接電流等も若干異なるものとなる。
【0016】
【表1】
【0017】次に、溶接中における開先線倣い方法につ
いて図1、図4及び図5に基づいて説明するまず、開先
線倣い方法の原理について説明する。電極回転TIGト
ーチ12に設けられたタングステン電極2が重ね溶接さ
れる下板1aと上板1bとからなる母材1の溶接線に沿
って溶接を行っていく。そして、図4の(a)に示すよ
うにタングステン電極2の先端、即ちアークがアークの
回転円の進行方向の後方中心C.R位置であるA点から
下板1a側のB点にくると、図4の(b)に示すように
下板1a側の回転位置でのアーク電圧検出器14が検出
するアーク電圧は次第に上昇し、B点でアーク電圧の上
昇はほぼ最大になる。その後、B点からアークの回転円
の進行方向の前方中心C.F位置であるC点にくるに従
いアーク電圧は次第に減少し、さらにアークが回転して
今度はC点から上板1b側のD点にくると、上板1b側
の回転位置でのアーク電圧検出器14が検出するアーク
電圧は次第に減少し、D点でアーク電圧の減少はほぼ最
大になる。その後、D点からA点にいくに従いアーク電
圧は上昇する。図4の(b)は基準電圧を基準として上
記アーク電圧の変化を示したもので、その斜線部分S
L、SRは図4(a)のアークの回転円の進行方向の前
方中心C.Fを基準として左右の0°〜90°(R領
域)と270°〜360°(L領域)の2つの所定角度
範囲θ1、θ2の積分値を表したものである。従って、
回転するタングステン電極2の下板1a側と上板Ib側
のアーク電圧をそれぞれ検出し、両者の電圧を比較すれ
ば、タングステン電極2の先端の回転円の中心が母材1
の溶接線に位置しているかどうかがわかる。そこで、下
板1a側と上板1b側とのアーク電圧を検出し、検出し
た電圧を比較してその差を求め、その差を溶接トーチの
適正位置での基準値と比較することにより、タングステ
ン電極2の先端の回転円の中心が母材1の溶接線に位置
しているかどうかがわかる。
【0018】次に、開先線倣い方法について説明する。
電極回転式TIGトーチ12に設けられたタングステン
電極2が重ね溶接される下板1aと上板1bとからなる
母材1の溶接線に沿って溶接を行っていくとき、アーク
電圧検出器14はタングステン電極2先端の回転によっ
て変化しているアーク電圧を検出し、積分器27a,2
7bに入力している。一方、回転位置検出器11は回転
しているタングステン電極2の回転位置を検出して位置
検出信号をタイミング回路26に出力している。そし
て、タイミング回路26では回転位置検出器11の位置
検出信号に基づきアークの回転円の進行方向前方中心
C.Fを基準として、予め設定した上板1b側の例えば
0°〜90°である90°の角度範囲θ1と下板1a側
の例えば270°〜360°である90°の角度範囲θ
2において積分器27a、27bがアーク電圧を積分す
るようにしている。
【0019】積分器27a、27bがアーク電圧を積分
した積分値は第1比較器28に入力される。このように
積分器27a、27bで積分するのはアーク電圧波形に
ノイズがあり、その影響を受けないようにするためであ
る。第1比較器28では積分器27aによる積分値SL
と積分器27bによる積分値SRの差ΔSを求め、それ
を第2比較器30に出力する。トーチ狙い位置設定器2
9では、溶接トーチが薄板面に平行な面内で溶接線と直
交する方向で溶接線近傍の適正位置に設定された際の予
め設定した2つの所定角度範囲θ1とθ2におけるアー
ク電圧の積分値の差ΔS0を溶接トーチ狙い位置での基
準値として設定し、それを第2比較器30に出力する。
第2比較器30では第1比較器28で求めた積分値の差
ΔSとトーチ狙い位置設定器29によって設定された溶
接トーチ狙い位置での基準値ΔS0とを比較し、その差
の信号を溶接線倣い制御回路31に出力する。溶接線倣
い制御回路31では第2比較器30で求めた差ΔS−Δ
S0が零となるような横移動指令信号を横移動機構制御
器22に出力する。横移動機構制御器22は横移動用モ
ータ24を回転させてトーチ横移動機構23を駆動して
電極回転TIGトーチ12を薄板面に平行な面内で溶接
線と直交する方向に横移動制御して薄板の重ね部の溶接
線に電極回転TIGトーチ12がくるように、即ちタン
グステン電極2の先端の回転円の中心が溶接線に位置す
るように電極TIGトーチ12を適正位置に制御するよ
うにしたものである。
【0020】なお、トーチ狙い位置設定器29におい
て、基準値を例えば0.7Vに設定すると、トーチ狙い
位置は図5に示すトーチ狙い位置Bとなり、適切なビー
ド形状になる。一方、基準値を例えば0Vに設定する
と、トーチ狙い位置は図5に示すトーチ狙い位置Aとな
り、凹面ビードとなって不適切である。また、基準値を
例えば1.0Vに設定すると、トーチ狙い位置は図5に
示すトーチ狙い位置Cとなり、凸面ビードとなって不適
切である。このように、アークが常に溶接線と平行で適
正な狙い位置に存在するように調整することができる。
また、溶接中におけるアーク電圧を検出し、アーク電圧
を信号処理してアークの回転円の中心が狙い位置に位置
するように制御して電極回転TIGトーチ12を自動追
従させるようにしているため、溶接アーク自体がセンサ
の役目を果たし、溶接過程で溶接線に沿って電極回転T
IGトーチ12を精度よく追従できる。
【0021】なお、上記実施例において、アーク狙い位
置は微妙なものであり、0.2〜0.3mm変わるとビ
ード形状が悪化することがある。また、板厚により狙い
位置も変わり、狙い位置によりビード形状が変化する。
0.5〜2.5mm程度の薄板の場合、溶接線倣いの狙
い位置は上板端部から上板側に適切な寸法だけ入った位
置がよく、板厚が0.5mmのときは0.5mm入った
ところがよく、板厚が2.5mmのときは0.8mm入
ったところがよい。そして、板厚が厚くなるにつれて要
求されるビード幅は大きくなり、板厚が0.5〜2.5
mmの範囲では板厚が厚くなるにつれて上板端部から上
板側に0.5mm入ったところから次第に上板側に入っ
た適切な位置にすることが望ましいさらに、電極回転式
TIGトーチ12はタングステン電極2の母材1への短
絡を防止するためにトーチ近接・離反動作の調整を行う
必要がある。電極回転式TIGトーチ12の溶接中の近
接・離反動作の調整は、アーク電圧検出器14によるア
ーク電圧検出信号と、アーク電圧基準設定器17の基準
アーク電圧の偏差を差動増幅器16により演算し、この
偏差が常に零となるように近接・離反用モータ制御器1
9が近接・離反用モータ21を回転制御して電極回転式
TIGトーチ12を近接・離反させることによって行わ
れる。従って、電極回転式TIGトーチ12を薄板の重
ね部に対して適正な距離の位置に制御することができ
る。
【0022】上記実施例では、積分器27a、27bで
積分するアーク電圧の対象を上板1b側では0°〜90
°である90°の角度範囲θ1とし、下板1a側では2
70°〜360°である90°の角度範囲θ2としてい
るが、上板1b側では5°〜180°である175°の
角度範囲θ1とし、下板1a側では180°〜355°
である175°の角度範囲θ2としても、アークの回転
円の中心が薄板面に平行な面内で溶接線に対して適正位
置にくるように制御できることはいうまでもない。上記
実施例では、2つの積分器27a、27bを用いている
が、1つの積分器で2つの所定角度範囲の検出信号につ
いてそれぞれ積分し、2つの積分値を第1比較器28に
出力してもよく、この場合、一方の所定角度範囲の検出
信号について積分し、その値を他に転送後、高速でリセ
ットし、他方の所定角度範囲の検出信号について積分を
行えば1つの積分器でも充分である。
【0023】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、厚さが
0.5〜2.5mmの薄板の重ね部に電極回転式TIG
溶接を行う薄板の電極回転式TIG溶接方法であって、
トーチ傾斜角度が概略垂直±10°以内に設定された溶
接トーチに設けられているタングステン電極先端に回転
径が1〜4mmの範囲で、板厚に応じて適切な回転径の
円運動を与え、且つ板厚に応じた適切な溶接電流を設定
し、該タングステン電極に発生するアークを一方向に高
速回転させながら薄板の重ね部の溶接線に沿って重ね溶
接を行っている場合に、アーク電圧を検出し、そのアー
ク電圧のうち、薄板の重ね部の溶接線と平行なアークの
回転円の進行方向の前方中心を基準としてその左右の5
°以上180°以下の2つの所定角度範囲の電極の回転
位置におけるアーク電圧波形のそれぞれの積分値の差を
求め、溶接トーチが薄板面に平行な面内で溶接線と直交
する方向で、上板端部より上板側に0.5〜0.8mm
入った範囲で、板厚に応じた適切な位置に設定された際
の前記2つの所定角度範囲の電極の回転位置におけるア
ーク電圧波形のそれぞれの積分値の差を溶接トーチ狙い
位置での基準値として設定し、溶接中の前記積分値の差
と溶接トーチ狙い位置での基準値とを比較し、その差が
零となるように溶接トーチを薄板面に平行な面内で溶接
線と直交する方向に移動制御して薄板の重ね部の溶接線
に対して溶接トーチを適正位置に保つようにしたので、
薄板の重ね溶接継手部の溶接線の自動開先倣いが可能と
なり、各種の板厚に対して溶接アークの入熱が分散し薄
板の重ね部に広幅、浅溶込みの溶接部を高速で効率よく
形成することができ、しかも溶接トーチ狙い位置での基
準値を上板端部より上板側に0.5〜0.8mm入った
範囲で、板厚に応じた適切な位置に設定することによ
り、アークの狙い位置を板厚に応じた適正な位置に調整
して溶接部の要求する適正なビード形状の維持ができる
という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例の薄板の電極回転式TI
G溶接方法に用いられる電極回転式TIG溶接装置の全
体を示す構成図である。
【図2】同電極回転式TIG溶接装置の電極回転TIG
トーチを示す断面図である。
【図3】電極回転式TIGトーチのトーチ傾斜角を示す
説明図である。
【図4】開先線倣い方法の倣い信号検出方法を示した模
式図である。
【図5】狙い位置によるビード形状の差異を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 母材 2 タングステン電極 11 回転位置検出器 12 電極回転式TIGトーチ 14 アーク電圧検出器 22 横移動機構制御器(駆動制御部) 23 トーチ横移動機構 24 横移動用モータ24 26 タイミング回路 27a 積分器 27b 積分器 28 第1比較器 29 トーチ位狙い位置設定器 30 第2比較器 31 溶接線倣い制御回路(駆動制御部)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−312263(JP,A) 特開 平1−148465(JP,A) 特開 平1−91966(JP,A) 特開 昭62−279086(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 9/127 B23K 9/02 B23K 9/167

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さが0.5〜2.5mmの薄板の重ね
    部に電極回転式TIG溶接を行う薄板の電極回転式TI
    G溶接方法であって、 トーチ傾斜角度が概略垂直±10°以内に設定された溶
    接トーチに設けられているタングステン電極先端に回転
    径が1〜4mmの範囲で、板厚に応じて適切な回転径の
    円運動を与え、且つ板厚に応じた適切な溶接電流を設定
    し、該タングステン電極に発生するアークを一方向に高
    速回転させながら薄板の重ね部の溶接線に沿って重ね溶
    接を行っていく溶接中にアーク電圧を検出し、そのアー
    ク電圧のうち、薄板の重ね部の溶接線と平行なアークの
    回転円の進行方向の前方中心を基準としてその左右の5
    °以上180°以下の2つの所定角度範囲の電極の回転
    位置におけるアーク電圧波形のそれぞれの積分値の差を
    求め、溶接トーチが薄板面に平行な面内で溶接線と直交
    する方向で、上板端部より上板側に0.5〜0.8mm
    入った範囲で、板厚に応じた適切な位置に設定された際
    の前記2つの所定角度範囲の電極の回転位置におけるア
    ーク電圧波形のそれぞれの積分値の差を溶接トーチ狙い
    位置での基準値として設定し、溶接中の前記積分値の差
    と溶接トーチ狙い位置での基準値とを比較し、その差が
    零となるように前記溶接トーチを薄板面に平行な面内で
    溶接線と直交する方向に移動制御して薄板の重ね部の溶
    接線に対して溶接トーチを適正位置に制御することを特
    徴とする薄板の電極回転式TIG溶接方法。
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JPH0191966A (ja) * 1987-10-01 1989-04-11 Nkk Corp 高速回転アーク溶接方法
JPH01148465A (ja) * 1987-12-03 1989-06-09 Nkk Corp 高速回転アークパルス隅肉溶接法

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