JP2941611B2 - 構造物の補修方法 - Google Patents
構造物の補修方法Info
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- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
- Y02E30/30—Nuclear fission reactors
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、構造物を構成する構造
部材に発生した欠陥により、構造強度が低下して健全性
が損なわれた構造物において、健全性を回復させるため
の補修工法に係わり、特に当該部欠陥を除去(または縮
小)するための切削及び切削部の補強、さらに補修部の
長期健全性の確保に好適な補修工法に関するものであ
る。
部材に発生した欠陥により、構造強度が低下して健全性
が損なわれた構造物において、健全性を回復させるため
の補修工法に係わり、特に当該部欠陥を除去(または縮
小)するための切削及び切削部の補強、さらに補修部の
長期健全性の確保に好適な補修工法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】構造物の健全性を阻害する要因に構造部
材中に発生した欠陥がある。このような欠陥の発生は材
料組成のわずかな違いや使用する環境雰囲気条件に敏感
に依存するため、それを予測することは極めて困難であ
る。さらに発生頻度の最も高い欠陥である亀裂において
は、時間と共に成長するため、構造部材中の欠陥を放置
すれば構造物の健全性を著しく低下させる。したがって
構造部材の欠陥については、検査の徹底による早期発見
と、発見された場合には早期に補修することが極めて重
要である。
材中に発生した欠陥がある。このような欠陥の発生は材
料組成のわずかな違いや使用する環境雰囲気条件に敏感
に依存するため、それを予測することは極めて困難であ
る。さらに発生頻度の最も高い欠陥である亀裂において
は、時間と共に成長するため、構造部材中の欠陥を放置
すれば構造物の健全性を著しく低下させる。したがって
構造部材の欠陥については、検査の徹底による早期発見
と、発見された場合には早期に補修することが極めて重
要である。
【0003】このような欠陥は完全に除去されることが
望ましい。なぜならば、欠陥を残留させた場合、残留欠
陥の成長により、再び健全性が損なわれる可能性がある
ためである。そのためそれが可能な補修を施工するべき
である。しかしながら実際には、当該部材の材質や形状
または作業性等の問題により、欠陥を完全に除去するこ
とは容易ではない。特に原子炉のように、形状の複雑な
構造物が狭隘な空間内に設置され、かつ放射線の照射が
あるような特殊環境においてはとりわけ困難である。
望ましい。なぜならば、欠陥を残留させた場合、残留欠
陥の成長により、再び健全性が損なわれる可能性がある
ためである。そのためそれが可能な補修を施工するべき
である。しかしながら実際には、当該部材の材質や形状
または作業性等の問題により、欠陥を完全に除去するこ
とは容易ではない。特に原子炉のように、形状の複雑な
構造物が狭隘な空間内に設置され、かつ放射線の照射が
あるような特殊環境においてはとりわけ困難である。
【0004】亀裂等の欠陥を除去する手法に表面溶融が
ある。しかしこの方法では欠陥除去できる領域は表面部
に限定されており、そのため材料内部にまで広がった欠
陥の除去は不可能である。したがって、最も確実に欠陥
を除去する手法として、欠陥を含む構造部材の切削と、
切削により低下した構造強度を回復させるための補強と
を組み合わせた方法が提案されている。
ある。しかしこの方法では欠陥除去できる領域は表面部
に限定されており、そのため材料内部にまで広がった欠
陥の除去は不可能である。したがって、最も確実に欠陥
を除去する手法として、欠陥を含む構造部材の切削と、
切削により低下した構造強度を回復させるための補強と
を組み合わせた方法が提案されている。
【0005】公知例に挙げた工法の基本部分は特開平4
−15596号公報に掲載されており、原子炉のような厳し
い作業条件下での補修を、上記の考えに基づいて施工す
る。その特徴は、(1)材料欠陥が存在する(またはそ
の可能性のある)部材を欠陥ごと切削すること、(2)
切削部にふた板を取り付けることにより、切削した部分
を構造的に補強すること、(3)これらの作業は遠隔で
実施されていること、等が挙げられる。
−15596号公報に掲載されており、原子炉のような厳し
い作業条件下での補修を、上記の考えに基づいて施工す
る。その特徴は、(1)材料欠陥が存在する(またはそ
の可能性のある)部材を欠陥ごと切削すること、(2)
切削部にふた板を取り付けることにより、切削した部分
を構造的に補強すること、(3)これらの作業は遠隔で
実施されていること、等が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述公知例において提
供された補修工法は、構造部材から欠陥を除去するため
に切削された構造部材の補強において、ふた板の他、ふ
た板を取り付けるためのネジ類及び工具類,ネジ類を固
定するための溶接機及びその付属機器(溶接監視カメ
ラ)等を補修部に導入する必要があること、ふた板のネ
ジ止め、及びネジを固定するための溶接が必要であるこ
と、これらの作業を遠隔で行う必要があること、等の理
由により、構造が複雑で、しかも作業空間的に余裕のな
い場所での作業は非常に困難と考えられる。つまり原子
炉内構造物の中でも比較的構造が単純で、さらに作業空
間的に余裕のある部分(アクセス穴)にしか適用するこ
とはできない。
供された補修工法は、構造部材から欠陥を除去するため
に切削された構造部材の補強において、ふた板の他、ふ
た板を取り付けるためのネジ類及び工具類,ネジ類を固
定するための溶接機及びその付属機器(溶接監視カメ
ラ)等を補修部に導入する必要があること、ふた板のネ
ジ止め、及びネジを固定するための溶接が必要であるこ
と、これらの作業を遠隔で行う必要があること、等の理
由により、構造が複雑で、しかも作業空間的に余裕のな
い場所での作業は非常に困難と考えられる。つまり原子
炉内構造物の中でも比較的構造が単純で、さらに作業空
間的に余裕のある部分(アクセス穴)にしか適用するこ
とはできない。
【0007】また従来法においては、欠陥を除去するた
めに一部切削した構造部材を補強するためにふた板を取
り付けるが、このような方法では、配管のように管内の
密封性の確保を必要とする場合には、補修した部材とふ
た板との隙間から密封が破られる可能性が十分ある。ま
た原子炉内構造物のように通常水中にあるような場合に
は、このような隙間部は極めて腐食され易く、そのため
補修部の長期健全性を保障することも困難である。
めに一部切削した構造部材を補強するためにふた板を取
り付けるが、このような方法では、配管のように管内の
密封性の確保を必要とする場合には、補修した部材とふ
た板との隙間から密封が破られる可能性が十分ある。ま
た原子炉内構造物のように通常水中にあるような場合に
は、このような隙間部は極めて腐食され易く、そのため
補修部の長期健全性を保障することも困難である。
【0008】かかる課題を克服するべく、本発明におい
ては、以下の事柄を目的とする。
ては、以下の事柄を目的とする。
【0009】(1)狭隘な空間にある複雑な構造の構造部
材の補修に適用することができ、(2)補修部の密封性を
確保することができ、(3)補修部の長期健全性を確保す
ることができる補修工法を提供すること。
材の補修に適用することができ、(2)補修部の密封性を
確保することができ、(3)補修部の長期健全性を確保す
ることができる補修工法を提供すること。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の特徴は、構造部材に発生した、構造物の構造強度
を低下せしむる、またはその可能性を有する欠陥におい
て、必要に応じて切削,表面溶融及び肉盛とを組み合わ
せた補修を、構造部材の両面または片面より施工するこ
とによって、構造部材に発生した欠陥と環境雰囲気との
接触を遮断せしむることにある。具体的には、切削は例
えば放電加工法により構造部材から欠陥の一部を除去す
ることである。
発明の特徴は、構造部材に発生した、構造物の構造強度
を低下せしむる、またはその可能性を有する欠陥におい
て、必要に応じて切削,表面溶融及び肉盛とを組み合わ
せた補修を、構造部材の両面または片面より施工するこ
とによって、構造部材に発生した欠陥と環境雰囲気との
接触を遮断せしむることにある。具体的には、切削は例
えば放電加工法により構造部材から欠陥の一部を除去す
ることである。
【0011】
【作用】構造部材に発生した欠陥と環境雰囲気との接触
を遮断せしめるために、補修部に溶接機及びその付属機
器(溶接監視カメラ)を導入すれば良いので、作業に必
要な空間を従来法に比べて大幅に低減することができ
る。また肉盛溶接は溶接機を走査させるだけで良いた
め、装置制御も大幅に簡略化できる。つまり本発明の目
的は、構造部材に発生した欠陥と環境雰囲気との接触を
遮断せしめるために溶接機を適用することができるの
で、補修作業に必要な空間の低減と装置制御の簡略化が
可能である。したがって構造物の補修工法において、狭
隘な空間にある複雑な構造部材に対する適用性が大幅に
向上される。
を遮断せしめるために、補修部に溶接機及びその付属機
器(溶接監視カメラ)を導入すれば良いので、作業に必
要な空間を従来法に比べて大幅に低減することができ
る。また肉盛溶接は溶接機を走査させるだけで良いた
め、装置制御も大幅に簡略化できる。つまり本発明の目
的は、構造部材に発生した欠陥と環境雰囲気との接触を
遮断せしめるために溶接機を適用することができるの
で、補修作業に必要な空間の低減と装置制御の簡略化が
可能である。したがって構造物の補修工法において、狭
隘な空間にある複雑な構造部材に対する適用性が大幅に
向上される。
【0012】同様に肉盛溶接を適用することによって、
切削した構造部材に対して隙間を作ることなく補強する
ことができる。そのため補修部の密封性を確保すること
が可能である。
切削した構造部材に対して隙間を作ることなく補強する
ことができる。そのため補修部の密封性を確保すること
が可能である。
【0013】同様に肉盛溶接を適用することによって、
切削した構造部材に対して隙間を作ることなく補強する
ことができる。そのため隙間腐食等の発生もなく、補修
部の長期健全性を確保することができる。
切削した構造部材に対して隙間を作ることなく補強する
ことができる。そのため隙間腐食等の発生もなく、補修
部の長期健全性を確保することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。欠陥は通常表面で発生し、材料内部に向かって成長
する。欠陥の先端は特有なノッチ形状をしているが、そ
の形状を改善すれば欠陥の成長を阻止することができ
る。そのため、たとえばレーザー等を照射して表面を溶
融することにより、欠陥の先端形状を改善したり、欠陥
自体を消去しようとする試みがなされている。しかしな
がら、材料表面からのアプローチでは、その効果が到達
する深さに限界があるため、現状では材料内部の深いと
ころまで欠陥が成長している場合においては、あまり効
果的な方法ではない。
る。欠陥は通常表面で発生し、材料内部に向かって成長
する。欠陥の先端は特有なノッチ形状をしているが、そ
の形状を改善すれば欠陥の成長を阻止することができ
る。そのため、たとえばレーザー等を照射して表面を溶
融することにより、欠陥の先端形状を改善したり、欠陥
自体を消去しようとする試みがなされている。しかしな
がら、材料表面からのアプローチでは、その効果が到達
する深さに限界があるため、現状では材料内部の深いと
ころまで欠陥が成長している場合においては、あまり効
果的な方法ではない。
【0015】欠陥の発見は表面を丹念に観察すれば可能
であるが、欠陥の成長方向や長さまで把握することは困
難である。そのため、深い位置まで成長した欠陥も含め
て、最も確実に除去する方法は、欠陥を含む構造部材の
切削である。図1aに構造部材1を貫通した欠陥2(以
後、貫通欠陥と記す)と、貫通していない欠陥3(以後
非貫通欠陥と記す)を示すが、予め長さを明確にできな
い非貫通欠陥の場合も、貫通欠陥と同様に構造部材の肉
厚に相当する厚さ4(以後、肉厚と記す)を切削するこ
とが望ましい。切削の手段としては、公知例にもある通
り、切削する部分の形状や量を任意に制御することがで
きる放電加工が望ましい。
であるが、欠陥の成長方向や長さまで把握することは困
難である。そのため、深い位置まで成長した欠陥も含め
て、最も確実に除去する方法は、欠陥を含む構造部材の
切削である。図1aに構造部材1を貫通した欠陥2(以
後、貫通欠陥と記す)と、貫通していない欠陥3(以後
非貫通欠陥と記す)を示すが、予め長さを明確にできな
い非貫通欠陥の場合も、貫通欠陥と同様に構造部材の肉
厚に相当する厚さ4(以後、肉厚と記す)を切削するこ
とが望ましい。切削の手段としては、公知例にもある通
り、切削する部分の形状や量を任意に制御することがで
きる放電加工が望ましい。
【0016】図2に本実施例の手順を示す。まず除去す
べき欠陥を含む構造部材の一部を切削する。この場合、
構造部材の肉厚を切削しても良いが、後で実施する肉盛
溶接を要領良く行うためには、ある深さまで切削して一
旦中断させ、切削した部分を肉盛溶接する。これと同じ
作業を、さきに補修を実施した面の反対面から実施す
る。反対面からは既に実施した肉盛溶接部に達するまで
切削し、切削部を肉盛溶接する。これにより、図1bに
示すように欠陥を完全に除去することができ、また構造
部材の形状も回復させることができる。
べき欠陥を含む構造部材の一部を切削する。この場合、
構造部材の肉厚を切削しても良いが、後で実施する肉盛
溶接を要領良く行うためには、ある深さまで切削して一
旦中断させ、切削した部分を肉盛溶接する。これと同じ
作業を、さきに補修を実施した面の反対面から実施す
る。反対面からは既に実施した肉盛溶接部に達するまで
切削し、切削部を肉盛溶接する。これにより、図1bに
示すように欠陥を完全に除去することができ、また構造
部材の形状も回復させることができる。
【0017】本実施例は従来例と異なり、補修面の表裏
を完全に密封させることができる。また、隙間部も発生
しないため、それによる腐食の可能性もない。したがっ
て補修部の健全性を長期に渡って維持していくことがで
きる。
を完全に密封させることができる。また、隙間部も発生
しないため、それによる腐食の可能性もない。したがっ
て補修部の健全性を長期に渡って維持していくことがで
きる。
【0018】非貫通欠陥である場合で、非貫通欠陥の長
さ5を把握することができる場合には、欠陥発生面から
の補修(構造部材の切削と肉盛溶接)だけで良い。また
欠陥は貫通しているが両面からの補修が困難な場合に
は、片面から部材の肉厚を切削した後、肉盛溶接で貫通
孔が閉じるように溶接すれば良い。
さ5を把握することができる場合には、欠陥発生面から
の補修(構造部材の切削と肉盛溶接)だけで良い。また
欠陥は貫通しているが両面からの補修が困難な場合に
は、片面から部材の肉厚を切削した後、肉盛溶接で貫通
孔が閉じるように溶接すれば良い。
【0019】第二の実施例について説明する。材料中の
欠陥には数種類あり、中には構造部材が設置されている
環境雰囲気との接触を遮断することによって、成長を阻
止させることができる欠陥もある。すなわち本実施例に
おいては、欠陥の一部は残留するが、欠陥と環境雰囲気
との遮断を目的とする。もちろんこのような欠陥も、完
全に除去することが最善の補修であるが、作業上の制約
等によりそれが困難な場合には効果的な補修である。
欠陥には数種類あり、中には構造部材が設置されている
環境雰囲気との接触を遮断することによって、成長を阻
止させることができる欠陥もある。すなわち本実施例に
おいては、欠陥の一部は残留するが、欠陥と環境雰囲気
との遮断を目的とする。もちろんこのような欠陥も、完
全に除去することが最善の補修であるが、作業上の制約
等によりそれが困難な場合には効果的な補修である。
【0020】図3は本実施例により補修した部材断面を
模式的に示した図である。図4は本実施例による補修手
順の一例である。本実施例では、欠陥を含む構造部材の
欠陥発生面6を溶融させて、表面近傍で欠陥を消去す
る。貫通欠陥の場合には、部材の両面から表面溶融す
る。表面溶融は、肉盛溶接の他,ノンフィラー溶接やレ
ーザー光照射,その他の熱源を使用しても可能である。
また、残留する欠陥10(以後残留欠陥と記す)の長さ
を低減させるために、表面溶融の代わりに構造部材の切
削と肉盛溶接を実施することも可能である。さらに、構
造強度に問題がなければ、切削後、肉盛溶接の代わりに
表面溶融して、欠陥と環境とを遮断することも可能であ
る。以上のような補修によって欠陥と環境雰囲気との接
触を遮断できれば、欠陥の成長を阻止することができ
る。
模式的に示した図である。図4は本実施例による補修手
順の一例である。本実施例では、欠陥を含む構造部材の
欠陥発生面6を溶融させて、表面近傍で欠陥を消去す
る。貫通欠陥の場合には、部材の両面から表面溶融す
る。表面溶融は、肉盛溶接の他,ノンフィラー溶接やレ
ーザー光照射,その他の熱源を使用しても可能である。
また、残留する欠陥10(以後残留欠陥と記す)の長さ
を低減させるために、表面溶融の代わりに構造部材の切
削と肉盛溶接を実施することも可能である。さらに、構
造強度に問題がなければ、切削後、肉盛溶接の代わりに
表面溶融して、欠陥と環境とを遮断することも可能であ
る。以上のような補修によって欠陥と環境雰囲気との接
触を遮断できれば、欠陥の成長を阻止することができ
る。
【0021】第三の実施例は、貫通欠陥の補修を片面か
らのみ実施する工法である。図5に本実施例により補修
した部材断面を模式的に示す。この図5からもわかる通
り、欠陥が貫通している場合には、欠陥の除去だけでは
なく欠陥と環境雰囲気との接触を完全に遮断することす
ら不可能である。しかしながら、部材の接する環境雰囲
気がその表裏で異なる場合、例えば片面は欠陥の成長を
促進する環境雰囲気で、その裏面はそうでない環境の場
合には、欠陥と欠陥の成長を促進する環境雰囲気との接
触を遮断するだけで欠陥の成長を阻止することができ
る。
らのみ実施する工法である。図5に本実施例により補修
した部材断面を模式的に示す。この図5からもわかる通
り、欠陥が貫通している場合には、欠陥の除去だけでは
なく欠陥と環境雰囲気との接触を完全に遮断することす
ら不可能である。しかしながら、部材の接する環境雰囲
気がその表裏で異なる場合、例えば片面は欠陥の成長を
促進する環境雰囲気で、その裏面はそうでない環境の場
合には、欠陥と欠陥の成長を促進する環境雰囲気との接
触を遮断するだけで欠陥の成長を阻止することができ
る。
【0022】本実施例による補修を行う手順を示す。本
実施例による補修においては、欠陥の成長を促進させる
環境側から、欠陥を含む構造部材の表面を溶融して、環
境雰囲気(欠陥の成長を促進させる側)と欠陥との接触
を阻止する。表面溶融の手段には、肉盛溶接の他,ノン
フィラー溶接やレーザー光照射,その他の熱源の使用も
可能である。
実施例による補修においては、欠陥の成長を促進させる
環境側から、欠陥を含む構造部材の表面を溶融して、環
境雰囲気(欠陥の成長を促進させる側)と欠陥との接触
を阻止する。表面溶融の手段には、肉盛溶接の他,ノン
フィラー溶接やレーザー光照射,その他の熱源の使用も
可能である。
【0023】残留する欠陥の長さを低減するために、構
造部材の切削と肉盛溶接を実施することも可能である。
この場合、構造部材の肉厚を切削すれば、欠陥を完全に
除去することが可能になるが、この場合は第一の実施例
による補修に一致する。また構造強度に問題がなけれ
ば、構造部材の切削後、肉盛溶接の代わりに表面溶融し
て、欠陥と環境雰囲気との接触を遮断することも可能で
ある。これらの補修により、欠陥の成長を阻止すること
ができる。
造部材の切削と肉盛溶接を実施することも可能である。
この場合、構造部材の肉厚を切削すれば、欠陥を完全に
除去することが可能になるが、この場合は第一の実施例
による補修に一致する。また構造強度に問題がなけれ
ば、構造部材の切削後、肉盛溶接の代わりに表面溶融し
て、欠陥と環境雰囲気との接触を遮断することも可能で
ある。これらの補修により、欠陥の成長を阻止すること
ができる。
【0024】第四の実施例について説明する。本実施例
は、第一の実施例において、欠陥を除去するために実施
した一部構造部材の切削に関し、それによる構造強度の
低下が構造物の健全性を阻害しない場合に、それ以後の
補強措置を施すことなく補修を終了させる工法である。
これにより、欠陥を縮小または除去することが可能であ
る。
は、第一の実施例において、欠陥を除去するために実施
した一部構造部材の切削に関し、それによる構造強度の
低下が構造物の健全性を阻害しない場合に、それ以後の
補強措置を施すことなく補修を終了させる工法である。
これにより、欠陥を縮小または除去することが可能であ
る。
【0025】第五の実施例は、第一乃至第三の実施例に
おいて、耐劣化性の高い補修材料を使用して肉盛溶接す
ることによって、補修部の長期健全性を補修前と比較し
て向上させることを特徴とした補修工法である。
おいて、耐劣化性の高い補修材料を使用して肉盛溶接す
ることによって、補修部の長期健全性を補修前と比較し
て向上させることを特徴とした補修工法である。
【0026】第六の実施例は、第一乃至第五の実施例に
おいて、補修前または補修後において、補修部に構造部
材の内部応力を緩和させたり、耐腐食性を向上させる表
面処理を施工することによって、補修部の長期健全性を
補修前と比較して向上させることを特徴とした補修工法
である。
おいて、補修前または補修後において、補修部に構造部
材の内部応力を緩和させたり、耐腐食性を向上させる表
面処理を施工することによって、補修部の長期健全性を
補修前と比較して向上させることを特徴とした補修工法
である。
【0027】第七の実施例は、第一乃至第六の実施例に
おいて、補修部が接触する環境雰囲気を改善することに
よって、補修部の長期健全性を補修前と比較して向上さ
せることを特徴とした補修工法である。
おいて、補修部が接触する環境雰囲気を改善することに
よって、補修部の長期健全性を補修前と比較して向上さ
せることを特徴とした補修工法である。
【0028】第八の実施例は、第一乃至第七の実施例
を、変形した構造部材の整形に適用することを特徴とす
る材料変形の補修工法である。
を、変形した構造部材の整形に適用することを特徴とす
る材料変形の補修工法である。
【0029】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
従来は困難であった構造部材に発生した欠陥、特に狭隘
な空間に設置された複雑な形状の構造部材に発生した欠
陥を一部残したままでも、構造部材に残したその欠陥と
環境雰囲気との接触を遮断することができる。このた
め、補修部において、密封性と長期健全性を確保できる
補修を、可能ならしむる効果がある。
従来は困難であった構造部材に発生した欠陥、特に狭隘
な空間に設置された複雑な形状の構造部材に発生した欠
陥を一部残したままでも、構造部材に残したその欠陥と
環境雰囲気との接触を遮断することができる。このた
め、補修部において、密封性と長期健全性を確保できる
補修を、可能ならしむる効果がある。
【図1】a図は本発明の第一の実施例である補修工法の
施工対象部を、模式的に示した構造部材の断面図で、b
図は本発明の第一の実施例である補修工法の施工対象部
の肉盛溶接施工後を、模式的に示した構造部材の断面図
である。
施工対象部を、模式的に示した構造部材の断面図で、b
図は本発明の第一の実施例である補修工法の施工対象部
の肉盛溶接施工後を、模式的に示した構造部材の断面図
である。
【図2】本発明の第一の実施例である補修工法の施工手
順を示すフローチャートである。
順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第二の実施例である補修工法の施工部
を、模式的に示した構造部材の断面図である。
を、模式的に示した構造部材の断面図である。
【図4】本発明の第二の実施例である補修工法の施工手
順を示すフローチャートである。
順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第三の実施例である補修工法の施工部
を、模式的に示した構造部材の断面図である。
を、模式的に示した構造部材の断面図である。
1…構造部材、2…貫通した欠陥、3…貫通していない
欠陥、4…構造部材の肉厚に相当する厚さ、5…非貫通
欠陥の長さ、6…欠陥発生面、7…切削後、肉盛溶接し
た部分、8…補修により除去された欠陥、9…表面近傍
の欠陥消去部、10…残留した欠陥、11…表面溶融
部。
欠陥、4…構造部材の肉厚に相当する厚さ、5…非貫通
欠陥の長さ、6…欠陥発生面、7…切削後、肉盛溶接し
た部分、8…補修により除去された欠陥、9…表面近傍
の欠陥消去部、10…残留した欠陥、11…表面溶融
部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉井 康方 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 成瀬 明輔 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 古川 秀康 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 黒沢 孝一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 林 英策 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 服部 成雄 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 進藤 丈典 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日 立株式会社 呉工場内 (56)参考文献 特開 平1−48695(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04G 23/02 B23K 9/04 B23K 31/00 B23P 6/04 G21C 19/02
Claims (6)
- 【請求項1】構造部材に発生した、構造物の構造強度を
低下せしむる、またはその可能性を有する欠陥におい
て、必要に応じて切削,表面溶融及び肉盛とを組み合わ
せた補修を、構造部材の両面または片面より施工するこ
とによって、構造部材に発生した欠陥と環境雰囲気との
接触を遮断せしむることを特徴とした構造物の補修工
法。 - 【請求項2】構造部材に発生した、構造物の構造強度を
低下せしむる、またはその可能性を有する欠陥におい
て、構造部材の片面または両面より切削することによっ
て、構造部材に発生した欠陥を縮小または除去すること
を特徴とした構造物の補修工法。 - 【請求項3】請求項1及び2のいずれかの一項におい
て、耐劣化性の高い補修材料を使用して補修することに
よって、新たな欠陥発生もしくは欠陥の成長を阻止せし
むることを特徴とした構造物の補修工法。 - 【請求項4】請求項1,2及び3のいずれかの一項にお
いて、補修部に表面処理を施工することを特徴とした構
造物の補修工法。 - 【請求項5】請求項1,2,3及び4のいずれかの一項
において、補修部が接触する環境雰囲気を改善すること
を特徴とした構造物の補修工法。 - 【請求項6】請求項1,2,3,4及び5のいずれかの
一項において、変形した部材の整形に適用することを特
徴とする構造物の補修方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5215480A JP2941611B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 構造物の補修方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP5215480A JP2941611B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 構造物の補修方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0762893A JPH0762893A (ja) | 1995-03-07 |
JP2941611B2 true JP2941611B2 (ja) | 1999-08-25 |
Family
ID=16673083
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5215480A Expired - Lifetime JP2941611B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 構造物の補修方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2941611B2 (ja) |
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JP2009202201A (ja) * | 2008-02-28 | 2009-09-10 | Katayama Stratec Kk | 供用下における鋼構造物の溶接による補修補強方法 |
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JP5706836B2 (ja) * | 2012-01-31 | 2015-04-22 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | シュラウドサポートの補修方法 |
US9366139B2 (en) | 2013-04-09 | 2016-06-14 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Repair method of plate member, plate member, combustor, ring segment, and gas turbine |
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CN105014184B (zh) * | 2014-04-17 | 2017-07-11 | 四川华都核设备制造有限公司 | 一种压水堆控制棒驱动机构钩爪零件底孔的成型工艺 |
CN114669839A (zh) * | 2022-03-29 | 2022-06-28 | 岭澳核电有限公司 | 焊缝修补方法 |
-
1993
- 1993-08-31 JP JP5215480A patent/JP2941611B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH0762893A (ja) | 1995-03-07 |
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