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JP2839837B2 - 顆粒球コロニー刺激因子受容体のリガンド結合領域蛋白質をコードしているdna - Google Patents

顆粒球コロニー刺激因子受容体のリガンド結合領域蛋白質をコードしているdna

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JP2839837B2
JP2839837B2 JP6116252A JP11625294A JP2839837B2 JP 2839837 B2 JP2839837 B2 JP 2839837B2 JP 6116252 A JP6116252 A JP 6116252A JP 11625294 A JP11625294 A JP 11625294A JP 2839837 B2 JP2839837 B2 JP 2839837B2
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dna
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博之 穴口
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
【0001】本発明は顆粒球コロニー刺激因子受容体
(以下、G−CSF受容体と呼称)の細胞質外領域の
内、リガンド結合領域蛋白質、即ちG−CSF結合領域
蛋白質をコードするDNA、該DNAを含有し、大腸菌
内で複製可能な発現ベクター、該ベクターを用いるG−
CSF受容体のリガンド結合領域蛋白質およびその誘導
体の製造方法、並びにそのようにして製造された蛋白質
に関するものである。
【0002】
【従来技術】顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)は血
液細胞の増殖と分化に関与するコロニー刺激因子の1員
であり、好中性顆粒球の増殖および分化に重要な役割を
担っている。この因子は、血液中の好中球濃度の制御、
並びに成熟好中球の賦活化に深く関与していることが分
かっている。例えば、G−CSFは好中球の前駆細胞等
の受容体(G−CSF受容体)を介して該細胞に作用し、
その増殖、あるいは分化を刺激して主に好中性顆粒球を
与える。また、G−CSFには好中球の調節因子として
の作用や、臨床面では、がん患者の化学療法および骨髄
移植療法における有用性も示唆されている。他方、骨髄
性白血病細胞などのがん細胞の増殖を刺激する場合があ
ることも分かっている。G−CSFの作用する細胞は好
中球の前駆体および成熟した好中球、および種々の骨髄
性白血病細胞に限定されているのに対して、G−CSF
受容体は非血液細胞、例えばヒト内皮細胞および胎盤に
も存在しており、これらのリガンド(つまりG−CSF)
とG−CSF受容体との複合体形成反応の機構を解明す
ることは、関連する疾患や異常の研究、治療または予防
に有効である。例えば、骨髄性白血病細胞などのがん細
胞がG−CSFにより増殖することが示唆されている
が、それをG−CSF受容体に拮抗する物質で阻止する
ことが可能である。既に、マウスおよびヒト由来のG−
CSF受容体をコードするDNAはクローニングされ、
配列が明らかにされている[福永ら、Cell,61,3
41−350(1990);Proc.Natl.Acad,Sc
i.USA,87,8702−8706(1990);
WO91/14776(1991年10月3日公
開)]。福永らは、また、G−CSF受容体の発現に成
功したことを報告しているが(Cell,前掲;Proc. N
atl. Acad, Sci. USA,前掲;EMBO J.,
,2855−2865(1991)),いずれも相補D
NAの全配列を動物細胞を用いて発現させたものであ
り、その発現量は極めて低く、需要を満たすだけのG−
CSF受容体の製造には最適でなく、構造解析、反応機
構の研究も十分に行うことができなかった。
【0003】
【発明が解決すべき課題】本発明者らは、上記の様々な
目的を達成するためには、G−CSF受容体の全分子を
用いる必要はなく、むしろ、G−CSFとの結合に最も
重要な役割を果す領域、即ちリガンド結合領域の蛋白質
が有用であることに着目し、そのような蛋白質の有効な
製造方法を確立するために研究を重ねてきた。本発明の
目的に有用なリガンド結合領域蛋白質のアミノ酸配列
は、上記文献により、ヒトおよびマウス等に関して既知
である。即ち、福永らはG−CSF受容体をコードする
cDNA(相補DNA)をクローニングし、この受容体
はイムノグロブリン様領域、サイトカイン受容体相補領
域(以下CRH領域と略す)、フィブロネクチンタイプ
III領域からなることを示した(Cell,前掲;Pro
c.Natl.Acad,Sci.USA,前掲)。
【0004】CRH領域とは、インターロイキン2−
7、エリスロポイエチン、成長ホルモン、GM−CSF
さらにインターフェロンα,β,γなどのサイトカイン系
受容体の細胞質外領域に見られる約200アミン酸から
なる相補性領域で、これらの受容体のリガンド結合部位
と考えられている。このことから、これらの受容体はサ
イトカイン受容体ファミリーと呼ばれている[バザン
(Bazan),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,
,6934−6938(1990)]。事実G−CS
F受容体でもこのCRH領域が必須であり、現在のとこ
ろこのCRH領域がこのファミリーのリガンド結合、お
よびシグナル伝達のために必要な1つのユニットと考え
られている。このCRH領域はさらにアミノ末端側ドメ
イン(以下BNドメインと略す)およびC末端側ドメイン
の2つの部分からなり、BNドメインを欠失させると、
活性能が完全に失われる。このことは、リガンド結合に
はBNドメインが最も重要な役割を果たしていることを
示唆しているが、BNドメインのみで活性が保持される
か否かは未だ明瞭でなく、例えば成長ホルモンやインタ
ーロイキン6受容体の場合には、C末端側ドメインも必
要と考えられている。以上の結果は、本発明におけるリ
ガンド結合領域蛋白質として、BNドメインまたは該B
Nドメインと同等の活性を有する類似体を含む蛋白質が
有用であることを示唆しているが、BNドメインのみで
発現させた例はなく、また、BNドメインのみで結合活
性を有するか否かも不明であった。これらの課題を解決
するためには、G−CSF受容体結合領域蛋白質を大量
に製造する必要がある。
【0005】そのような活性を有する蛋白質(例、リガ
ンド結合領域蛋白質)の産生に大腸菌を用いることが出
来れば、その産生量の高さ、取り扱いの容易さ、および
変異体作成の有利さなどから、極めて好都合であり、意
義深い。従来、サイトカイン受容体のリガンド結合部位
(CRH)の大腸菌での発現は非常に困難と考えられて
いた。その理由として、この結合部位は、多くのシステ
イン残基やプロリン残基を含み、容易にフォールデイン
グをしないことが挙げられていた。例外的にヒト成長ホ
ルモン受容体の場合には発現に成功しているが、その成
功の理由の一つは、ヒト成長ホルモン受容体では、同様
の他の受容体に比較してシステイン残基の含量が低いこ
とにあると考えられる。例えば、同じサイトカイン受容
体ファミリーでもエリスロポイエチン[ハリスら(Harr
is),J.Biol.Chem.,267,15205−15
209(1992)]やインターフェロンγ[フォントラ
キスら(Fountoulakis),J.Biol.Chem.,26
,13268−13275(1990)]の受容体の場
合、大腸菌で発現された産生物のほとんどが菌体内で不
溶化されている。これらの受容体の発現が困難である他
の理由として、これら受容体が、多くの複雑なドメイン
の複合によって成立していることがある。G−CSF受
容体も、前述のように、CRH領域、イムノグロブリン
様領域、フィブロネクチン様領域からなる複雑な構成を
示している。上記のヒト成長ホルモン受容体の場合は細
胞質外領域がCRH領域のみからなっており、これもヒ
ト成長ホルモン受容体の発現の成功のもう一つの原因と
して考えられる。しかしながら、この成長ホルモン受容
体のCRH領域もBNドメインとC末端領域からなって
おり、決して単純な構成を有するとは断言できない。現
に、前述のインターフェロンγ、エリスロポイエチンは
その細胞質外ドメインはほとんどCRH領域のみからな
っているが、発現させるとその大部分は不溶化される。
【0006】ところで、シグナル伝達にはC末端領域も
含めたCRH領域全体が必要である(前掲福永らEMB
O.J.,10,2855−2865(1991)が、リ
ガンド結合に関する限り、BNドメインのみでも活性で
あると考えられる。即ち約100アミノ酸残基のBNド
メインのみでも、天然とほぼ同じ構造を維持してフォー
ルドさせ、発現させることが出来れば、従来、発現が困
難であったG−CSF受容体を始め、様々なサイトカイ
ン受容体の機能ドメインを大量に取り出すことが可能と
なる。次いで、発現産物のリガンド結合活性を調べ、こ
の部分のリガンド結合への寄与の程度を明確にすること
ができる。このようにして、小分子量のリガンド結合活
性を有する蛋白質を大量に得ることが可能となる。その
ような小分子量のリガンド結合蛋白質は、X線やNMR
の高次構造解析において著しく有利である。上記の理由
から、本発明で開示する、G−CSF受容体のリガンド
結合領域蛋白質のDNA組換え法による製造は、従来困
難であった他の受容体のリガンド結合領域蛋白質の製造
への途をも開くものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、G−CSF受
容体のリガンド結合領域蛋白質の組換え法による製造に
有用なDNA、該DNAを含有する発現ベクター、該発
現ベクターで形質転換された大腸菌宿主細胞および該形
質転換体を用いてG−CSF受容体結合領域蛋白質を製
造する方法を提供するものである。本発明方法により製
造されたG−CSF受容体のリガンド結合領域蛋白質
は、後述するように、天然のG−CSF受容体とほぼ同
様な、特異的なG−CSF結合活性を示した。従って、
該蛋白質は、G−CSF受容体とリガンドとの相互作用
に関連する疾患の研究や治療に有用であり、臨床的に投
与した場合には、生体内のG−CSF受容体に対する拮
抗作用を通して、G−CSF依存性の疾患や異常、例え
ば、顆粒球の増殖の異常に起因する白血病の治療または
予防にも有用である。さらに、本発明のリガンド結合領
域蛋白質は、BNドメインとして約100アミノ酸から
なる小分子量蛋白質であるために、以下の利点を有す
る。即ち、体内に投与した場合に抗体の生成させる可能
性が低く、治療目的に応じて適当なキャリアー蛋白質と
結合させる等、応用範囲が広い。しかも、X線やNMR
による高次構造の解析にも有利である。
【0008】また、本発明のG−CSF受容体結合領域
蛋白質は、ペプチドライブラリーなどを用いてのペプチ
ド性のG−CSFのアゴニストまたはアンタゴニストの
スクリーニング、非ペプチド性のG−CSFのアゴニス
トまたはアンタゴニストのスクリーニングを可能にし、
G−CSFとG−CSF受容体の結合の研究(その立体
構造の解析など)を飛躍的に発展させ、ひいてはG−C
SFのアゴニスト、アンタゴニストの合成を可能にする
ものである。現在、G−CSFは、その骨髄性白血病細
胞の分化誘導と成熟顆粒球の機能亢進作用に基き、放射
線治療や抗ガン剤治療を受けたガン患者での白血球減少
を回復するための治療剤として有用性が期待されている
が、上記のG−CSFアゴニストまたはアンタゴニスト
は、それら白血球減少患者の治療において、G−CSF
と同等またはそれ以上の効果を発揮し得ると予想され
る。
【0009】本発明の目的に従い、本明細書で用いる語
句を以下に定義する。本発明において、G−CSF受容
体という語句はヒトを含む天然のあらゆる哺乳動物起源
のG−CSF受容体を意味すると共に、遺伝子操作によ
って作られるそれら天然のG−CSF受容体の変異体も
含むものとする。G−CSF受容体のリガンド結合領域
蛋白質とは、G−CSF受容体の内、G−CSFとの結
合に関与する領域を構成する蛋白質を指す。該蛋白質
は、G−CSF受容体のCRH領域、中でもBNドメイ
ンを構成するアミノ酸配列を有する。発明の目的にとっ
ては、天然のアミノ酸配列を有するリガンド結合領域蛋
白質のみならず、当業者既知の方法で1またはそれ以上
のアミノ酸の変化によって得られる同様の活性を有する
誘導体も有用である。従って、本明細書中、単に、リガ
ンド結合領域蛋白質と言うときは、天然のアミノ酸配列
を有する蛋白質のみならず、その誘導体(上記の意味で
の変異体)をも包含するものとする。
【0010】BN、mBN(マウス由来BN)、hBN
(ヒト由来BN)とは、上記の定義に従うG−CSF受
容体のリガンド結合領域を意味し、mBNおよびhBN
は、それぞれマウスおよびヒト由来の該領域を指す。ま
た、本明細書では特記しない限り、該領域のタンパク
質、その誘導体をも表すものとする。G−CSF受容体
のリガンド結合領域蛋白質をコードするDNAとは、G
−CSF受容体の内、G−CSFとの結合に関与する領
域を構成するアミノ酸配列をコードするDNAを指す。
該DNAは、G−CSF受容体のCRH領域、中でもB
Nドメインを構成するアミノ酸配列をコードするDNA
を含有するものである。上記の蛋白質に関する定義と同
様に、該DNAは天然のリガンド結合領域蛋白質をコー
ドするもののみならず、当業者既知の方法で得られた該
蛋白質の誘導体をコードするDNAをも包含する。DN
Aは、相補DNA、合成DNAのいずれでもよい。
【0011】G−CSF受容体のCRH領域とは、サイ
トカイン受容体相補領域を指し、該領域のアミノ酸配列
はマウス[配列表の配列番号1;福永ら、Cell,61,
341−350(1990)]およびヒト[配列表の配列
番号2;福永ら,Proc.Natl.Acad,Sci.USA,
87,8702−8706(1990)]について既知で
ある。本明細書では、マウスまたはヒトG−CSF受容
体のBN部分に対応する領域の相補DNAを用いてリガ
ンド結合領域蛋白質の発現を示したが、合成DNAでも
よい。当業者ならば容易に理解するように、コドンの異
なるDNAであっても、本発明の蛋白質のアミノ酸配列
をコードする限り、本発明の範囲に含まれ、実施例の記
載に限定されない。
【0012】配列番号1に記載のアミノ酸配列をコード
している相補DNAはプラスミッドpBLJ17[福永
ら,Cell,61,341−350(1990)]に組み
込まれており、FERM BP−3312(寄託日平成
2年3月9日)の下で通商産業省工業技術院生命工学工
業技術研究所に寄託されている、Escherichia coli K12
から入手可能である。また配列番号2に記載のアミノ酸
配列をコードしている相補DNAは、プラスミッドpH
Q3[福永ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,
87,8702−8706(1990)]に組み込まれて
おり、FERM BP−3314(寄託日平成2年6月
28日)の下で通商産業省工業技術院生命工学工業技術
研究所に寄託されている、Escherichia coli pHQ3
から入手可能である。
【0013】G−CSF受容体のBNドメインとは、既
述のごとく、G−CSF受容体のCRH領域を2分した
場合、アミノ末端側領域であり、G−CSF受容体のジ
ェノミックDNA(genomic DNA)のエクソン5と6
[セタら(Seta),J.Immunol.,148,259−2
66(1992)]に対応する領域である。これは、具体
的には上記の福永らの開示した配列において、マウスG
−CSF受容体では、97番目のチロシンから201番
目のバリンに至る部分を指す(配列番号1においては、
それぞれ1番目のチロシンと105番目のバリンに相当
する)。同様に、ヒトG−CSF受容体では、98番目
のチロシンから202番目のバリン(配列番号2ではそ
れぞれ1番目のチロシンと105番目のバリンに相当す
る)に至る領域とされている。
【0014】しかしながら、BNドメインの開始部位お
よび終了部位は必ずしも、本発明にとって厳密でなく、
該BNドメイン全体の立体構造に大きな影響を与えるこ
とはない。その機能が保持されることを条件として、N
末端および/またはC末端が、数残基いずれかの方向に
ずれたもの、あるいは、N末端および/またはC末端に
数残基のアミノ酸が付加したものも包含される。通常、
このような一次構造上の僅かな差異は該BNドメイン全
体の立体構造に大きな影響を与えず、機能は保たれると
考えられる。後述の実施例では、マウスの場合、マウス
G−CSF受容体のBNドメインをコードするDNA断
片を用いた。このDNA断片はグリシン−セリンから始
まり、元の配列(配列番号1)における97番目のチロ
シンを経てC末端では、201番目のバリンに202番
目のリジンが付加したアミノ酸配列をコードしている
(配列番号3)。また、ヒトの場合、ヒトGーCSF受
容体のBNドメインをコードするDNA断片を用いた。
このDNA断片も、そのN末端はグリシンーセリンから
始まり、元の配列(配列番号2)の98番目のチロシン
を経て、C末端では202番目のバリンにリジンを付加
したアミノ酸配列をコードしている(配列番号11)。
【0015】さらに、本発明のリガンド結合領域蛋白質
をコードするDNAの配列を用い、当業者周知の方法で
1またはそれ以上のヌクレオチドの欠失、挿入または置
換により修飾することにより、該DNAがコードするリ
ガンド結合領域蛋白質を構成するアミノ酸やペプチドを
修飾し、天然のリガンド結合領域蛋白質と同等またはそ
れ以上の望ましい生物学的特性を有する、ヒト由来の、
あるいはその他の哺乳動物由来の、改良されたリガンド
結合蛋白質を製造することができる。望ましい性質とは
個々の目的により異なるが、高いG−CSFとの結合活
性、G−CSFとG−CSF受容体の結合を阻害する活
性等が含まれる。従って、そのような方法で改変された
DNAも本発明の範囲に包含される。本発明はまた、G
−CSF受容体結合領域蛋白質の製造方法を提供するも
のである。そのような蛋白質の製造は、本発明のDNA
を適当な発現ベクターに挿入し、該発現ベクターで宿主
細胞を形質転換し、形質転換体を培養することにより行
うことができる。
【0016】本発明のG−CSFレセプターの発現に
は、例えば、大腸菌のような原核性微生物、S.セレビ
シエのような真核性微生物、さらには哺乳類細胞が用い
られる。組織培養細胞にはトリ、または哺乳類細胞、例
えばネズミ、ラットおよびサル細胞が含まれる。適当な
宿主細胞−ベクターシステムの選択および使用方法等
は、当業者に既知であり、それらの内から本発明のG−
CSF受容体のリガンド結合領域蛋白質をコードするD
NAの発現に適した系を任意に選択することができる。
しかしながら、本発明の目的には、上記の理由から、大
腸菌が好ましい。mBNまたはhBNをコードするDN
Aを大腸菌宿主中で発現させるためには、あらかじめ、
このDNAを大腸菌の遺伝子発現系に連結しておく必要
がある。大腸菌の発現系についてはすでに多くの成書が
あり、それらに従って操作すればよい。即ち、大腸菌を
用いる遺伝子操作法は、当該技術分野で既知の文献[マ
ニアティスら(Maniatis),(1982),Moleular
Cloning:A LaboratoryManual,Cold Spring H
arbor Laboratory]を初めとして、近年出版された多
くの実験書に詳述されている。また蛋白質の精製などの
基本的な方法も生化学実験講座(日本生化学編,東京化学
同人)などの多くの成書に詳述されている。本発明方法
はこれら文献既知の方法を用いて行うことができるが、
以下に、簡単に説明する。
【0017】mBNドメインまたはhBNドメインは、
ポリメラーゼチェインリアクション法(以下PCR法と
略す)によって取り出すことができる。次いで、これら
のBNドメイン遺伝子を大腸菌由来の発現プラスミッド
に挿入する。大腸菌由来の遺伝子発現系としては、それ
自身の菌体内で機能している遺伝子のプロモーター活性
と翻訳能とを持つDNA断片由来のものが多い。このよ
うなものとしては、トリプトファン遺伝子、ラクトース
遺伝子、アルカリ性ホスファターゼ遺伝子、さらには、
トリプトファン遺伝子とラクトース遺伝子のハイブリッ
ドであるtac遺伝子などがある[中原,松原(198
6),日本生化学会編,“遺伝子工学研究法II",1〜1
72,東京化学同人]。通常は、これらのDNA断片を
目的物の遺伝子の前に連結させることによって、該遺伝
子を発現させる。通常、発現には菌体内発現と分泌発現
の2種類があり、各々について適当な発現系が存在す
る。
【0018】目的物が本来、細胞外に分泌される蛋白質
である場合には、目的物の遺伝子のN末端に大腸菌由来
の分泌蛋白質のシグナル配列の遺伝子を連結させて、発
現生成物がペリプラスムに分泌されるように発現系を構
築することが多い。また、目的物質を他の蛋白質との融
合蛋白質として発現させるために、後者をコードする遺
伝子の直後に、目的物質の遺伝子を連結させる方法が一
般的に用いられる。融合させる蛋白質としては大腸菌内
でよく発現するものなどから選択される。本発明のリガ
ンド結合領域蛋白質と融合させ得る蛋白質としては、β
−ガラクトシダーゼ、β−ラクタマーゼやマルトース結
合蛋白質(MBP)などを挙げることができる。これら
の蛋白質は、大腸菌の発現制御下では非常によく発現す
るので、融合蛋白質としての発現も極めて良好である場
合が多い。融合蛋白質から目的蛋白質を分離する方法も
既知である。例えば目的物にメチオニンが含まれていな
い場合には、臭化シアン処理を行う。それ以外の場合に
は、例えば融合蛋白質の各々の遺伝子の連結部分に制限
プロテアーゼファクターXaの認識配列を入れておき、
制限プロテアーゼファクターXaによる切り出しを可能
にするなどの手法が用いられる。
【0019】以下に、本発明について具体的に説明す
る。マウス由来のG−CSF受容体のリガンド結合領域
蛋白質をコードするDNAを得るために、後述の実施例
1に記載のごとく、リガンド結合領域蛋白質としてマウ
スG−CSF受容体のBNドメイン(以下、mBNと称
する)蛋白質コードするDNAを用いた。該mBNドメ
インのアミノ酸配列をコードするDNAは、既知のプラ
スミッドpBLJ17からPCR法によって得ることが
できる。また、DNA合成法によっても得ることができ
る。後述の実施例では、mBNドメインを、大腸菌内で
よく発現するMBPとの融合蛋白質として発現させた。
この態様では、発現プロモーターとして、IPTGの添
加によって誘導がかかるtacプロモーターを用いた。M
BPのN末端にはそのシグナル配列が付加されているの
で、発現生成物はペリプラスムに蓄積される。融合蛋白
質以外の方法で発現させる目的で、BNドメインの遺伝
子をアルカリンホスファターゼのプロモーターなど様々
なプロモーターと結合させたが、組換え体は得られなか
った。これは、発現量がごく微量であっても、組換え蛋
白質が大腸菌宿主に対して致死作用を及ぼしたためであ
ると考えられる。
【0020】細胞のペリプラスムに蓄積した融合蛋白質
を抽出し、Q−セファロース、ファクターXaによる目
的ペプチドの切り出し、さらにS−セファロース、ゲル
ろ過HPLCからなる一連の操作によって、目的とする
BNドメインを精製することができる。これらの一連の
方法は単なる例示にすぎず、当業者既知の他の精製系を
用いても、目的物質は得ることができる。具体的には、
MBPをコードするDNAの下流にBNドメイン遺伝子
を挿入した。MBP遺伝子の上流には、そのためのシグ
ナル配列に対応する部分が含まれており、産生された融
合蛋白質は、細胞質からペリプラスム画分に分泌発現さ
れる。従って、上記発現プラスミッドで大腸菌宿主を形
質転換し、得られた形質転換体を培養すると、目的の蛋
白質を含む融合蛋白質が宿主菌体のペリプラスムに蓄積
された。次いで、融合蛋白質をオスモティックショック
により抽出・精製し、マルトース結合蛋白質から切り離
すことにより、目的の蛋白質を得た。上記の方法では、
天然のアミノ酸配列を有するmBN蛋白質が得られる
が、1またはそれ以上のアミノ酸の変異(欠失、挿入ま
たは置換)を有する該mBNの変異体も同様にして大腸
菌に発現させることができる。そのような変異は、リガ
ンド結合活性の改善、インビボの安定性等を改善するこ
とを目的とする。
【0021】例えば、天然の配列を有するmBNドメイ
ンの発現を試みた場合、ペリプラスム中の産生物には、
目的とするモノマー状態の融合蛋白質の他に、それらが
会合した巨大分子量の産生物も存在する。これらを、フ
ァクターXaで切断した場合には、会合した状態のmBN
が得られ、しかもこれらには結合活性は見られない。こ
れの多くは還元剤を含まないSDSを含むポリアクリル
アミドゲルで展開するとモノマー状態と同じ分子量を示
すことから、BNドメイン中に存在するシステイン残基
がフォールディングの過程で分子間に架橋してしまって
生ずる会合体ではなく、疎水性基が会合して生ずる会合
体であると考えられる。そこで、mBNドメイン中の7
7番目のロイシン、78番目のチロシンのそれぞれをア
ラニンに変異させることで、より会合の生じにくい変異
mBNの製造を試みた。mBN−L77Aに関しては、こ
れをコードするDNA断片を配列番号9で示すように設
計した。これは配列番号3の77番目のアミノ酸ロイシ
ンをコードするコドンCTGをアラニンをコドンするコ
ドンGCGに変えたものである。またmBN−Y78A
に関しては、これをコードするDNA断片を配列番号1
0で示すように設計した。これは配列3の78番目のア
ミノ酸チロシンをコードするコドンTACをGCCに変
えたものである。
【0022】上記DNA断片の実際の調製はPCRによ
り行った。具体的には、N末端プライマーとして、配列
番号6の塩基配列を有するDNAプライマーをDNA合
成機で合成する。これは、pMALp−mBNプラスミッ
ド中のMBP蛋白質中のC末端に近い部分をコードする
プライマーである。C末端プライマーとしては配列番号
7および配列番号8の塩基配列を有する合成DNAを用
いた。配列番号7のプライマーは、元の配列番号3のア
ミノ酸配列における77番目のロイシンがアラニンに変
るよう、該プライマー中の18−20番目にCGCを有
する。また、配列番号8のプライマーは、同様に、78
番目のチロシンをアラニンに変化させるために、15−
17番目にGGCを有する。さらにこれら変異させる部
分のすぐ外側に、制限酵素PfIMIの認識部位を有す
るよう、構築されている。従って、これらプライマーを
用い、pMALp−mBNをテンペレートとしてPCR反
応を行えば、融合蛋白質のMBPのC末端を含む領域か
ら、mBNのN末端から変異部分を含めて、そのすぐ下
流に位置する制限酵素PfIMIの認識部位に至る部分
をコードする領域が合成される。次いで、PCR反応の
生成物を、mBN部分上流の制限酵素部位BamHIと、
PfIMIで切断し、pMALp−mBNのBamHI−Nde
I切断物とNdeI−PfIMI切断物とをライゲーショ
ンして連結すれば(図5参照)、目的とする変異体の発
現プラスミッドpMALp-mBN-L77AおよびpMAL
p−mBN−Y78Aが構築出来る(図5)。
【0023】他方、ヒトG−CSF受容体のリガンド結
合部位をコードするDNAを宿主内で発現させるため
に、該DNAを配列番号11に示すように設計した。し
かし、この天然型BNドメインを大量に取り出すことは
出来ない。これは、mBNドメインの場合には6個のシ
ステイン残基が存在し、そのそれぞれが3組のジスルフ
ィド結合を形成することで安定に保たれるのに対して、
hBNドメインではもうひとつ余分のシステイン(配列
番号2では67番目のシステイン、配列番号11では6
9番目のシステインに対応)が存在することに起因する
と考えられる。つまりその余分のシステイン残基がhB
Nドメインの発現、精製過程で、ジスルフィド結合の形
成においてかけちがいが起こり、その結果として本来の
ジスルフィド結合を破壊して別のジスルフィド結合を形
成し、hBNドメインの立体構造が破壊されてしまうた
めと考えられる。マウスの場合にはこれに対応する残基
はセリン(配列番号1における67番目のセリンに対
応)である。そこでhBNドメインの余分のシステイン
をセリンに改変することで発現を試みた。hBNーC6
9Sは、配列番号2に示したhBNドメインをコードす
るDNA断片の67番目のアミノ酸システイン(配列番
号11では69番目のシステインに対応)をコードする
TGCをセリンをコードするTCCに変えたものである
(配列番号12)。N末端、C末端には前記のように、
hBNとしてエクソン5と6に対応する領域に天然型の
hBNの場合と同様に、それぞれグリシンーセリンとリ
ジンが付加されている。
【0024】天然型のhBNドメインは既知のプラスミ
ッドpHQ3よりPCR法によって取り出すことが出来
る。具体的には、N末端プライマーとして配列番号13
の塩基配列を有するDNAをDNA合成機で合成する。
これは、hBN蛋白質中のN末端部分をコードするプラ
イマーである。C末端プライマーとしては配列番号14
の塩基配列を有する合成DNAを用いた。これらをプラ
イマーに、pHQ3をテンペレートに用いてPCRを行
うことによりhBNのDNAを得ることが出来る。
【0025】なお、後述の実施例では、hBN−C69
Sを、天然型のhBNを大腸菌由来の発現プラスミッド
に挿入したもの(pMALp−hBN、図7)からさらに
PCR法によって変異を入れることで変異プラスミッド
を取得しているが、pHQ3より直接に変異を入れなが
らのPCRを行うことで、またはDNA合成法によって
も変異プラスミッドは得ることが出来る。この場合、N
末端プライマーとして上記の配列番号6の塩基配列を有
するDNAプライマーを用いる。これは、pMALp−h
BNプラスミッド中のMBP蛋白質中のC末端に近い部
分をコードしている。C末端プライマーとしては配列番
号15の塩基配列を有する合成DNAを用いた。これ
は、69番目のシステインをセリンに変えるため、11
ー13番目にGGAを有する。これらをプライマーと
し、pMALp−hBNをテンペレートとしてPCRを行
う。これによりhBNーC69SのN末端側半分つまり
N末端側から変異のはいった部分までのDNAを得るこ
とが出来る。hBNのC末端側半分については配列番号
16と配列番号17の塩基配列をそれぞれN末端側とC
末端側のプライマーとしてPCRを行う。この場合、前
者は、69番目のシステインがセリンに変わるよう、3
−5番目の塩基がTCCとなっている。後者はpMAL
p−hBNプラスミッド中のhBNをコードするDNA
のすぐ下流の発現ベクター中のDNA配列をコードして
いる。その結果、hBNーC69SのC末端側半分、つ
まり変異の入った部分からC末端までのDNAを得るこ
とが出来る。最後にそれぞれPCR産物を合わせ、さら
に配列番号6のDNAプライマーと配列番号17のDN
Aプライマーを加えてPCRを行うことにより、全hB
N−C69SのDNAを得ることが出来る。
【0026】次いで、このDNA斷片を、pMALTM
(ニューイングランドバイオラボ社から購入可能)のB
amHIとXbaI部位の間に挿入することにより、発
現プラスミッドpMALp−hBN−C69S(図9)
を得た。プラスミッドpMALp−mBN−L77Aお
よびpMALp−mBN−L78Aで形質転換された大
腸菌細胞からは、元のpMALp−mBNで形質転換され
た大腸菌からのhBNに比べて、約2〜3倍量の精製m
BN−L77AおよびmBN−Y78Aが生産され得
る。さらに元のpMALp−hBNを形質転換した大腸
菌細胞からは、極少量しかhBNを抽出できないが、p
MALp−hBN−C69Sを形質転換した大腸菌細胞
からは、大量のhBN−C69Sを精製することができ
る。
【0027】発現した変異体蛋白質、mBN−L77A
およびmBN−Y78A、またはhBN−C69Sは、
リガンドとの結合試験において、mBNまたはhBNと
変らない解離定数を示した。これは、これらの変異体
が、元のmBNまたはhBNと同じ、リガンドへの結合
活性を保持していることを示すものである。以上の結果
は、mBN−L77AおよびmBN−Y78Aが、疎水的
残基における変異によって、会合を起こしにくい形にな
り、そのために大腸菌内での分解を受けにくくなったこ
とを示唆している。また、hBN−C69Sに関して
は、余分のシステイン残基がセリンに置換された結果、
立体構造形式に悪影響を及ぼし得るジスルフィド結合の
かけちがいが解消された結果、安定性が増大したことを
示唆している。このように、変異の結果、生成物の安定
性が増大したことは、収量の向上のみならず、生体内で
の投与を含めて、他のキャリアーへの結合の際の安定性
の維持が可能であり、BN領域蛋白質の取り扱いが容易
になり、その応用範囲を広くする等、有意義である。
【0028】即ち、本発明は、大腸菌遺伝子発現系の制
御下にG−CSF受容体のリガンド結合部位蛋白質をコ
ードするDNAを組み込んだ発現プラスミッド、および
該発現プラスミッドによって形質転換された形質転換体
を提供する。さらに本発明は、該形質転換体を用いるリ
ガンド結合部位蛋白質の製造方法、並びに該製造方法に
よって得られるリガンド結合部位蛋白質を提供する。リ
ガンド結合部位蛋白質は好ましくはmBNドメイン蛋白
質またはhBNドメイン蛋白質である。本発明法により
大腸菌を宿主として生産されたmBNドメインまたはh
BNドメインの生理活性を、リガンドへの結合能を指標
として測定したところ、これら両ドメインのリガンドへ
の結合能が認められた。この結果は、本発明方法で得ら
れた組換えリガンド結合領域(mBNドメインまたはh
BNドメイン)蛋白質が、G−CSF受容体のリガンド
結合活性を保持しており、臨床面での有用性を有すると
同時に、立体構造解析などのG−CSF受容体の研究の
飛躍的な発展をもたらし得ることを示すものである。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。実施例1 マウスG−CSF受容体のBNドメイン蛋白
質をコードするDNAの調製および大腸菌発現ベクター
pMALp−mBNの構築 公知のマウスG−CSF受容体のアミノ酸配列[福永
ら,Cell,61,341−350(1990)]を基に、
そのBN−ドメイン(mBNドメイン)蛋白質をコード
するDNAを配列番号3で示すように設計した。このD
NA断片は、マウスのG−CSF受容体の97番チロシ
ンから202番リジンをコードすると共に、その部分を
MBPとの融合蛋白質として発現させ、発現された融合
蛋白質から所望のmBNドメイン蛋白質を単離、精製す
ることができるようにMBPをコードするベクターに挿
入可能な形に設計されている。即ち、MBPとmBNの
間にはファクターXaの認識部位であるIle−Glu−Gl
y−Argをコードする配列が挿入されるよう設計されて
いる。従って、MBPと融合した形で発現したmBN
は、制御プロテアーゼファクターXaによる切断によっ
てMBPから切り離される。配列番号3に示すDNA断
片では、ファクターXaの作用をより効率的にするため
に、97番チロシンのN末端側にグリシン−セリンをコ
ードする配列であるGGTTCTが付加されている。ま
たC末端には終結コドンTAAが付加されている。さら
に、調製したDNA断片をpMALTMpのXbaI部位に連
結すべく、該DNAのC末端側をさらに延長して、その
延長部にXbaI認識部位が形成されている。
【0030】上記DNA断片の実際の調製はPCRを用
いた。具体的には、まず、それぞれ配列番号4及び配列
番号5に記載の塩基配列を有するN−末端プライマー及
びC−末端プライマーをアプライド・バイオシステム社
の380B型DNA合成機を用いて調製する。次いで、
2μMのN−末端プライマー(5末端がリン酸化されて
いるもの)、2μMのC−末端プライマーpJ17DNA
(1ng)、10×反応緩衝液10μl、各0.25mMのd
ATP、dTTP、dGTP、dCTP溶液、TaqDNA
ポリメラーゼ0.5μlを加えて最終の量を100μlと
する。ここで10×反応緩衝液、dATP、dTTP、d
GTP、dCTP、TaqDNAポリメラーゼは宝酒造の
GeneAmpのキットのものを使用した。この反応液をD
NAサーマルサイクラー(型式PJ2000,宝酒造)に
セットし、94℃,1分間熱処理;37℃2分間アニー
リング;72℃,3分間反応のサイクルプログラムで2
5回反応を繰り返すことにより目的のDNA断片を合成
する。さらに、上記PCR反応液をフェノール処理する
ことにより精製する。その精製DNAのうち約1μg
を、0.1M食塩及び10mM塩化マグネシウムを含む5
0mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)50μl及び制限酵素
XbaI(宝酒造)5単位と共に37℃で1時間インキュベ
ートしてDNAを消化する。この消化液をフェノール処
理及びエタノール沈澱した後、1%アガロースゲルの電
気泳動にかけ、約0.3kbpのバンドを切り出し、スプレ
ック01(宝酒造)に入れ、−80℃で15分間凍結した
後、37℃で5分間インキュベートして融解する。これ
を5000回転で10分間遠心して、その濾液を回収す
る。フェノール処理及びエタノール沈澱によって濾液か
ら目的とするDNA断片を取り出す。
【0031】続いて、上記DNA断片を、pMALTMp
(ニューイングランドバイオラボ社から購入可能)のMB
Pの下流に存在する制限プロテアーゼファクターXaの
認識配列Ile−Glu−Gly−Arg末端に存在するStuI
部位と、XbaI部位の間に挿入する(図1)。具体的に
は、約1μgのpMALTMp DNAを50mM食塩及び1
0mM塩化マグネシウムを含む10mMトリス塩酸緩衝液
(pH7.5)50μlに溶解し、さらにそれぞれ5単位の
制限酵素StuIとXbaIを加えて、37℃で1時間イン
キュベートすることにより、加えたDNAを消化する。
次に、1%アガロースゲルの電気泳動にかけて大きい方
のDNA断片に相当するバンドを切り出し、スプレック
01(宝酒造)に入れ、−80℃で15分間凍結した後、
37℃で5分間インキュベートして融解する。これを5
000回転で10分間遠心して、その濾液を回収する。
フェノール処理及びエタノール沈澱によって濾液から目
的とするDNA断片を取り出す。続いてこれを上で調製
したDNA断片と混合し、1mMのEDTAを含む10m
Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4)を加えて4μlとする。
これを16μlのA液(DNAライゲーションキット;宝
酒造)及び4μlのB液(DNAライゲーションキット;宝
酒造)と混合し、16℃で30分間反応させる。さら
に、これを100μlの大腸菌K12株コンピテントセ
ルと混合し、0℃で30分間、さらに42℃で2分間イ
ンキュベートすることで大腸菌へ移入し、発現プラスミ
ッドpMALp−mBNを構築した。このプラスミッドを
導入した大腸菌K12株/pMALp−mBNは通産省工
業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている(受
託日:平成5年 12月 7日;受託番号:FERM−P
14002)。
【0032】実施例2 プラスミッドpMALp−mB
Nで形質転換された大腸菌によるmBNの製造 ごく少量の消泡剤を添加した、バクトトリプトン(ディ
フコ)10g、イーストエキス(ディフコ)5g、食塩5
g、100μg/mlアンピシリンおよび0.2%グルコー
スを含む培地1リットルに上記形質変換体を接種し、2
3℃でミッドログフェーズ(A600=約0.9)まで増
殖させる。それにIPTG(シグマ社)を最終濃度が0.
2mMになるように添加する。続いて、約2時間培養
後、菌体を集める。集めた菌体は100mlの20%ショ
糖2μg/mlアプロチニン、1μg/mlペプスタチンA、
5μg/mlロイペプチンを含む30mMトリス緩衝液(p
H7.5)に懸濁して室温で10分間保温する。続いて
再び集菌し、今度は50mlの2μg/mlアプロチニン、
1μg/mlペプスタチンA、5μg/mlロイペプチンを含
む5mM硫酸マグネシウムに懸濁して0℃で10分間保
温する。これを8,000回転の遠心で除いた後、上清
を集めてペリプラスム画分とする。
【0033】ペリプラスム画分は20mMになるように
リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を加えた後、1mM
EDTAを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.
0)(以後A緩衝液と略す)で平衡化したQ−セファロー
ス(2.2cm直径×10cm;ファルマシア)に添加して全体
で500mlのA緩衝液で0−0.4M食塩の濃度勾配で
溶出する(図2)。MBPとmBNとが融合した形態の目
的とする蛋白質は、280nmの吸光度で追跡すると0.
2M食塩濃度付近にピークとして溶出され、SDSを含
む15%のポリアクリルアミド電気泳動で約54キロダ
ルトンの分子量を示すことで確認することができる。目
的物の画分をPM−10(アミコン)で約5ml位にまで濃
縮するとともに、濃縮液を0.1Mのトリス緩衝液(p
H7.5)におきかえる。これにさらに40μlのプロテ
アーゼファクターXa(ニューイングランドパイオラボ
社)を添加して16℃で20時間反応させる。これによ
りmBNがMBPから切り放される。
【0034】反応液をA緩衝液で10倍希釈する。これ
をA緩衝液で平衡化したS−セェファロース(1.2cm直
径×5cm;ファルマシア)に添加し、全体200mlのA緩
衝液で0−0.4Mの食塩の濃度勾配で溶出する。28
0nmの吸光度で追跡すると、0.13M食塩濃度付近
に、MBPから切り離された目的物質、mBNが溶出さ
れる。これをSDSを含む15%のポリアクリルアミド
ゲル電気泳動にかけ、約13キロダルトンのバンドを検
出することによって、目的物であることを確認すること
ができる。なおMBPの分子量は約42キロダルトンで
あり、S−セェファロースには吸着しないために、mB
Nとは明確に区別される。上記の目的物を含む画分を濃
縮した後、0.2M 食塩を含むA緩衝液で平衡化したゲ
ル濾過HPLCであるTSKgel G2000SW H
PLC(7.6mm直径×600cm;トソー)に添加すると、
mBNドメインが溶出した(図3)。このようにして、1
リットルの培養液で培養した菌体から、単一の標品にま
で精製された約0.1mgのmBNを得た。この蛋白質の
N末端のアミノ酸配列はGly−Ser−Tyr−Pro−Pro
−Ala−Serであり、発現が予想される蛋白質のN末端
の配列と一致している。これは、精製物が目的のmBN
であることを示すものである。
【0035】実施例3 組換えmBNのリガンドとの結
合活性 実施例2で単一にまで精製したmBNの生理活性を下記
の方法により、リガンドであるG−CSFとの結合能を
指標として測定した。mBNと125Iで放射能標識したG
−CSFとを混合してmBNとG−CSFの複合体を形
成させる。形成された複合体に架橋剤を添加して固定し
た後、SDSを含むポリアクリルアミドゲル電気泳動で
展開し、ゲル上のバンドとして分離する。バンドの観察
は、ゲルをイメージングプレートで顕出することにより
行う。この時、放射能標識したG−CSFに非標識のG
−CSFを添加し、標識G−CSFの結合を非標識のそ
れと競争させることにより、mBNとG−CSFの複合
体の解離定数を測定することができる。
【0036】実施例2で調製した0.5μMのmBNドメ
イン、1.2mM125I−ヒトG−CSF(100,000c
pm、アムシャム社)および様々な濃度の非標識ヒトG−
CSF(10-5−10-10M;キリン株式会社より供与)
の混合物を、0.005%ツイーン20を含む0.1M酢
酸緩衝液(pH7.0)中、最終容量50μlとして室温
で90分間保温する。次いで、0.5μlのジメチルスル
ホキシドに溶解した0.1Mジチオビスサクシニミジル
プロピオーネ(ピアスケミカル社)を加え、0℃で30分
間保温する。5μlの2Mトリス塩酸緩衝液(pH7.
5)を加えて反応を止める。続いて、反応混合物をSD
Sを含む15%のポリアクリルアミド電気泳動にかけ
る。泳動後、ゲルをフジイメージィングプレート(アナ
ライズ用、タイプBA;(株)富士写真フィルム)に感光さ
せ、イメージアナライザー(バイオ・イメージアナライ
ザーBA100;富士写真フィルム)で解析すると、生成
したmBNとG−CSFの複合体は、ゲル上の30キロ
ダルトンのバンドとして顕出された。この複合体の解離
定数は、非標識G−CSFを加えて行った実験における
値との比較より、30−80nMと測定された(図4)。
この結果は福永ら(EMBO J.10,2855−28
65(1991))が、相補DNAのC末端ドメインのみ
を欠失させた変異体を用いて行った実験の結果とよく対
応しており、本発明方法で得た蛋白質が目的とするmB
N蛋白質であることを示している。
【0037】即ち、福永らは上記変異体に関して、解離
定数約10nMを報告している。C末端ドメイン−欠失
変異体はイムノグロブリン様ドメインを含んでいるが、
このイムノグロブリン様ドメインのみを欠失させた場
合、結合活性は天然のものの約1/10〜1/20に低
下することが知られている(解離定数は増大)。従っ
て、BNドメインのみの場合には、さらに上記C末端ド
メイン−欠失変異体の解離定数の約10nMから増大す
ると予測される。従って本実施例で得た値(30〜80
nM)は、この予測とよく対応していることが分かる。
即ち、実施例2で得た、単一に精製されたmBNは天然
のG−CSF受容体におけるmBN(リガンド結合領域
蛋白質)と同様のフォールディングをしていることが強
く示唆されるものである。
【0038】実施例4 変異mBNドメインL77Aお
よびY78AをコードするDNAの調製および大腸菌発
現ベクターpMALp−mBN−L77AおよびpMALp
−mBN−Y78Aの構築 (1) pMALp mBN−L77Aの構築 変異mBNドメインL77AをコードするDNAを製造
するために、配列番号6の塩基配列を有するN末端プラ
イマー、配列番号7の塩基配列を有するC末端プライマ
ーをアプライド・バイオシステム社の380B型DNA
合成機を用いて調製した。これらプライマーと、テンペ
レートとしてpMALTMp−mBNを用い、実質上、実
施例1と同様にPCR反応に付し、変異DNAを調製し
た。即ち、2μMのN−末端プライマー、2μMのC−
末端プライマー、pMALpTM−mBN DNA(1ng)、
10×反応緩衝液10μl、各0.25mMのdATP、d
TTP、dGTP、dCTP溶液、TaqDNAポリメラー
ゼ0.5μlを加えて最終の量を100μlとする。ここ
で10×反応緩衝液、dATP、dTTP、dGTP、dC
TP、TaqDNAポリメラーゼは宝酒造のGeneAmpの
キットのものを使用した。この反応液をDNAサーマル
サイクラー(型式PJ2000,宝酒造)にセットし、9
4℃,1分間熱処理;37℃2分間アニーリング;72
℃,3分間反応のサイクルプログラムで25回反応を繰
り返すことにより目的のDNA断片を合成する。さら
に、上記PCR反応液をフェノール処理することにより
精製する。その精製DNAのうち約1μgを、0.1M食
塩及び10mM塩化マグネシウムを含む50mMトリス塩
酸緩衝液(pH7.5)50μl及び制限酵素BamHI(宝酒
造)5単位およびPfIMI(ニューイングランドバイ
オラボ)5単位と共に37℃で1時間インキュベートし
てDNAを消化する。この消化液をフェノール処理及び
エタノール沈澱した後、1%アガロースゲルの電気泳動
にかけ、約0.2kbpのバンドを切り出し、スプレック0
1(宝酒造)に入れ、−80℃で15分間凍結した後、3
7℃で5分間インキュベートして融解する。これを50
00回転で10分間遠心して、その濾液を回収する。フ
ェノール処理及びエタノール沈澱によって濾液から目的
とするDNA断片を取り出す。
【0039】他方、pMALTMp−mBN約1μgを50
mM食塩及び10mM塩化マグネシウムを含む10mMト
リス塩酸緩衝液(pH7.5)50μlに溶解し、さらにそ
れぞれ5単位の制限酵素BamHIとPfIMIを加え
て、37℃で1時間インキュベートすることにより、加
えたDNAを消化する。次に、1%アガロースゲルの電
気泳動にかけて大きい方のDNA断片に相当するバンド
を切り出し、スプレック01(宝酒造)に入れ、−80℃
で15分間凍結した後、37℃で5分間インキュベート
して融解する。これを5000回転で10分間遠心し
て、その濾液を回収する。フェノール処理及びエタノー
ル沈澱によって濾液から目的とするDNA断片を取り出
す。続いてこれを上で調製したDNA断片と混合し、1
mMのEDTAを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.
4)を加えて4μlとする。これを16μlのA液(DN
Aライゲーションキット;宝酒造)及び4μlのB液(DN
Aライゲーションキット;宝酒造)と混合し、16℃で3
0分間反応させる。さらに、これを100μlの大腸菌
K12株コンピテントセルと混合し、0℃で30分間、
さらに42℃で2分間インキュベートすることにより大
腸菌へ移入し、発現プラスミッドpMALp−mBN−L
77Aを構築した。プラスミッド中の変異BNドメイン
に対応するDNA断片の塩基配列は配列番号9に示す。
このプラスミッドを導入した大腸菌K12株/pMALp
−mBN−L77Aは通産省工業技術院生命工学工業技
術研究所に寄託されている(受託日:平成5年 12月
7日;受託番号:FERM−P 14003)。
【0040】(2)pMALp−mBN−Y78Aの構築 配列番号8の塩基配列を有するC末端プライマーを用い
る外は、上記(1)と同様にして目的のDNA断片(配
列番号10)を含有する発現プラスミッドpMALp m
BN−Y78Aを構築した。このプラスミッドを導入し
た大腸菌K12株/pMALp−mBN−Y78Aは通産
省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている
(受託日:平成5年 12月 7日;受託番号:FERM
−P 14004)。
【0041】実施例5 プラスミッドpMALp−mB
N−L77AまたはpMALp−mBN−L77AY7
8Aで形質転換された大腸菌による変異mBNの製造お
よびその活性 実施例2と同様にして形質転換体を培養し、そのペリプ
ラズム画分から、目的の変異mBNを得た。このように
して、1リットルの培養液で培養された各形質転換体体
の培養液から、それぞれ、単一の標品にまで精製された
mBN−L77AおよびmBN−Y78Aを約0.25m
gおよび約0.25mgを得た。このように、pMALp−m
BN−L77AおよびpMALp−mBN−Y78Aで形
質転換された大腸菌の培養液からは、元のpMALp−m
BNで形質転換された大腸菌の場合に比べて、同じ量の
培養液から約2〜3倍量の精製mBN−L77Aおよびm
BN−Y78A蛋白質を得ることができる。これらの蛋
白質はいずれも単一標品である。次いで、実施例3と同
様にして、単一にまで精製された変異体mBNの生理活
性を調べた。その結果、mBN−L77AおよびmBN−
Y78Aは、mBNと変らない解離定数を示した(図
6)。この結果は、本実施例で得た、単一に精製された
変異mBNが天然のG−CSF受容体におけるmBN
(リガンド結合領域蛋白質)と同様のフォールディング
をし、かつリガンド結合能力を有することを強く示唆す
るものである。
【0042】実施例6 ヒトG−CSF受容体のBNド
メイン蛋白質をコードするDNAの調製及び大腸菌発現
ベクターpMALp−hBNの構築 公知のヒトGーCSF受容体のアミノ酸配列(福永ら、
Proc. Natl. Acad.Sci. USA, 87, 8702
−8706 (1990))を基に、そのBNドメイン
(hBNドメイン)蛋白質をコードするDNAを配列番
号11に示すように設計した。このDNA断片は、ヒト
のGーCSF受容体の98番チロシンから203番リジ
ン(福永ら、前掲)をコードするとともに、その部分を
MBPとの融合蛋白質として発現させ、発現させた融合
蛋白質から所望のhBNドメイン蛋白質を単離、精製す
ることが出来るように、MBPをコードするベクターに
工夫がなされている。即ち、MBPとhBNの間にファ
クターXaの認識部位であるIle−Glu−Gly−Argを
コードする配列が挿入されている。従って、MBPと融
合した形で発現したhBNは、制限プロテアーゼファク
ターXaによってMBPから切り出される。hBN配列
に示すDNA断片では、ファクターXaの作用をより効
率的にするために、98番チロシンのN末端側にグリシ
ンーセリンをコードする配列であるGGTTCTが付加
されている。またC末端側には終結コドンTAAが付加
されている。さらに、調製したDNA断片をpMALTM
pのXbaIの部位に連結すべく、該DNAのC末端側
をさらに延長して、その延長部にXbaI認識部位が形
成されている。
【0043】上記のDNAを製造するためにPCRを用
いた。具体的には配列番号13および配列番号14で示
されるDNA断片をそれぞれN末端およびC末端プライ
マーとしてアプライドバイオシステム社の380B型D
NA合成機を用いて調製した。即ち2μMのN末端プラ
イマー、2μMのC末端プライマー、pHQ3DNA
(1ng)、10X反応緩衝液10μl、各0.25m
MのdATP、dTTP、dGTP、dCTP溶液、T
aqDNAポリメラーゼ0.5μlを加えて最終液量を1
00μlとする。ここで10X反応緩衝液、dATP、
dTTP、dGTP、dCTP溶液、TaqDNAポリ
メラーゼは宝酒造のGeneAmpのキットものを使用し
た。この反応液をDNAサーマルサイクラー(型式PJ
2000、宝酒造)にセットし、94℃、1分間熱処
理;37℃、2分間アニーリング;72℃、3分間反応
のサイクルプログラムで25回反応を繰り返すことによ
り合成する。さらに、上記PCR産物をフェノール処理
することで精製する。この精製DNAのうち、約10n
gをそれぞれ5単位の制限酵素BamHI(宝酒造)お
よびXbaI(宝酒造)とともに0.1M食塩および1
0mM塩化マグネシウムを含む50mMトリス緩衝液
(pH7.5)50μl 中、37℃で1時間インキュベ
ートしてDNAを消化する。この消化液をフェノール処
理およびエタノール沈殿した後、1%アガロースゲルの
電気泳動にかけ、約0.3kbpのバンドを切り出しスプレ
ック01(宝酒造)に入れ、−80℃で15分間凍結し
た後、37℃で5分間インキュベートして融解する。こ
れを5000回転で10分間遠心して、その濾液を回収
する。フェノール処理およびエタノール沈殿で目的とす
るDNAを取り出す。
【0044】続いて、上記DNA断片を、pMALTM
(ニューイングランドバイオラボ社から購入可能)の下
流に存在する制限プロテアーゼファクターXaの認識配
列Ile−Glu−Gly−Arg末端に存在するBamHIと
XbaI部位の間に挿入する(図7)。具体的には、約
1μgのpMALTMp DNAを50mM食塩および10
mM塩化マグネシウムを含む10mMトリス塩酸緩衝液
(pH7.5)50μlに溶解し、さらにそれぞれ5単位
の制限酵素BamHIとXbaIを加えて、37℃で1時間
インキュベートしてDNAを消化する。次にこれを1%
アガロースゲルの電気泳動にかけ、大きいほうのバンド
を切り出し、スプレック01(宝酒造)に入れ、−80
℃で15分間凍結した後、37℃で5分間インキュベー
トすることにより融解する。これを5000回転で10
分間遠心して、その濾液を回収する。フェノール処理お
よびエタノール沈殿で目的とするDNAを取り出す。続
いてこれを上で調製したDNA断片と混合し、1mMの
EDTAを含む10mMトリス緩衝液(pH7.4)を加
えて4μlとする。これを16μlのA液(DNAライ
ゲーションキット;宝酒造)および4μlのB液(DN
Aライゲーションキット;宝酒造)と混合し、16℃で
30分間反応させる。さらに、これを100μlの大腸
菌K12株コンピテントセルと混合し、0℃で30分
間、さらに42℃で2分間インキュベーションすること
で大腸菌へ移入し、発現プラスミッドpMALp−hB
Nを構築した。このプラスミッドを導入した大腸菌K1
2株/pMALp−hBNは通産省工技術院生命工学工
業技術研究所に寄託されている。(受託日:平成6年
5月 23日;寄託番号:FERM−P 14321)。
【0045】実施例7 プラスミッドpMALp−hB
Nで形質転換された大腸菌によるhBNの製造 バクトトリプトン(ディフコ)10g、イーストエキス
(ディフコ)5g、食塩5g、100μg/mlアンピ
シリンおよび0.2%グルコースを含む培地1リットル
に上記形質転換体を接種し、23℃でミッドログフェー
ズ(A600=約0.9)まで増殖させる。それにIP
TG(シグマ社)を最終濃度が0.2mMになるように
添加する。続いて、約2時間培養後、菌体を集める。集
めた菌体は200mlの20%ショ糖、2μg/mlアプロ
チニン、1μg/mlペプスタチンA、5μg/mlロイペプチ
ンをふくむ30mMトリス緩衝液(pH7.5)に懸濁
して室温で10分間インキュベートする。再び集菌し、
50mlの2μg/mlアプロチニン、1μg/mlペプスタチ
ンA、5μg/mlロイペプチンを含有する5mM硫酸マグ
ネシウムに懸濁して0℃で10分間インキュベートす
る。これを8000回転の遠心で除いた後、上清を集め
ペリプラスム画分とする。ペリプラスム画分は20mM
になるようにリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を
加えた後、1mMEDTA、1mM2ーメルカプトエタ
ノールを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH
6.0)(以後A緩衝液と略す)で平衡化したQーセフ
ァロース(2.2cm直径X10cm;ファルマシア)
に添加して全体で500mlのA緩衝液で0−0.4M
食塩の濃度勾配で溶出する。目的のMBPとhBNとの
融合蛋白質は、0.2M食塩濃度付近に溶出され、SD
Sを含む15%のポリアクリルアミドゲル電気泳動で約
54キロダルトンの分子量を示すことで確認することが
出来る。
【0046】目的物の画分をPM−10(アミコン)で
約5mlまで濃縮すると共に、濃縮液を0.1Mトリス緩
衝液に置き換える 。これにプロテアーゼファクターXa
(ニューイングランドバイオラボ社)を添加し、16℃
で20時間反応させる。これによりhBNがMBPから
切り離される。次いで、反応液を1mMEDTA、1m
M2ーメルカプトエタノールを含む20mMリン酸ナト
リウム緩衝液(pH5.5)(以後B緩衝液と略す)で
平衡化したSーセファロース(1.2cm直径X5c
m;ファルマシア)に添加して全体で200mlのB緩
衝液で0−0.4M食塩の濃度勾配で溶出する。280
nmの吸光度で追跡すると、0.2M食塩濃度付近に、
MBPから切り離された目的物hBNが溶出された。こ
れは、SDS含有−15%ポリアクリルアミドゲル電気
泳動で、約12キロダルトンの分子量を示すバンドとし
て確認することが出来る。上記目的物は濃縮した後、
0.2M食塩を含むA緩衝液で平衡化したゲル濾過HP
LCである、TSK gel G2000SW HPLC
(7.6mm直径X600cm;トーソー)に添加し
て、hBNドメインを溶出する。
【0047】実施例8 組み換えhBNドメインのリガ
ンドとの結合活性 hBNの生理活性は実施例3と同様、リガンドであるG
−CSFとの結合能を指標として測定した。hBNと
125Iで放射能標識したG−CSFの複合体を形成させ
る。形成された複合体に架橋剤を添加して固定した後、
SDSを含むポリアクリルアミドゲル電気泳動で展開
し、ゲル上でバンドとして分離する。バンドの観察は、
ゲルをイメージングプレートで顕出することにより行
う。この時、放射能標識したG−CSFに非標識G−C
SFを添加し、標識G−CSFの結合を非標識のそれと
競争させることにより、hBNとG−CSFの複合体の
解離定数を測定することが出来る。実施例6で調製した
0.5mMのhBNドメイン、1.2nM125I−ヒトG
−CSF(100,000 cpm, アムシャム社)およびさまざ
まの濃度に希釈した非標識ヒトG−CSF(10-5−1
-10M;キリンビール株式会社より供与)の混合物を
0.005%ツイーン20を含む0.1M酢酸緩衝液(p
H7.0)中、最終容量50mlとして室温で90分間イ
ンキュベートする。次いで、0.5μlの0.1Mジチオ
ビスサクシニミジルプロピオーネ(ピアSケミカル社)
を加え、0℃で30分間インキュベートする。5μlの
2Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を加えて反応を停
止する。続いて、反応混合物をSDSを含む15%ポリ
アクリルアミドゲルで電気泳動する。泳動後、ゲルをイ
メージングプレート(アナライズ用、タイプBA;
(株)富士写真フィルム)で解析すると、生成したhB
NとG−CSFの複合体は、ゲル上で30キロダルトン
のバンドとして顕出した。この複合体の解離定数は、非
標識G−CSFを加えた実験との比較より約100nM
と測定された(図8)。この結果は福永ら(EMBO
J.,10, 2855−2865 (1991) )が、相
補DNAのCRH領域のC末端ドメインのみを欠失させ
た変異体を用いた結果とよく対応している。
【0048】即ち、福永らは上記相補DNAの変異体に
関して、解離定数約10nMを報告している。この変異
体は イムノグロブリン様ドメインを含んでいるが、こ
のイムノグロブリン様ドメインのみを欠失させた場合、
結合活性は天然のものの約1/10−1/20に低下す
ることが知られている(解離定数は増大)。従ってBN
ドメインのみの場合には、さらに上記相補DNAの変異
体の解離定数10nMから増大すると予測される。従っ
て本実施例で得た100nMはこの予測とよく対応して
いる。即ち、本発明で得たhBNドメインは天然と同様
なフォールディングをしていることが強く示唆される。
【0049】実施例9 変異hBNドメインC69Sを
コードするDNAの調製および大腸菌発現ベクターpM
ALp−hBN-C69Sの構築 変異hBNドメインC69SをコードするDNAを製造
するためにPCRを使った。具体的には配列番号6およ
び配列番号15のDNA断片をそれぞれN末端およびC
末端プライマーとしてアプライドバイオシステム社の3
80B型DNA合成機を用いて調製した。これらをプラ
イマーとし、実施例6で調製したpMALp−hBN D
NAをテンペレートに用いて、PCR法により、N末端
側部分をコードするDNAを製造した。即ち2μMのN
末端プライマー、2μMのC末端プライマー、pMAL
p−hBN DNA(1ng)、10X反応緩衝液10
μl、各0.25mMのdATP、dTTP、dGT
P、dCTP溶液、TaqDNAポリメラーゼ0.5μl
を加えて最終液量を100μlとする。ここで10X反
応緩衝液、dATP、dTTP、dGTP、dCTP溶
液、TaqDNAポリメラーゼは宝酒造のGeneAmp
のキットのものを使用した。これをDNAサーマルサイ
クラー(型式PJ2000、宝酒造)にセットし、94
℃、30秒間熱処理;50℃、30秒間アニーリング;
72℃、1.5分間反応のサイクルプログラムで20回
反応を繰り返すことにより合成する。またC末端側部分
をコードするDNAを製造するために、配列番号16お
よび配列番号17で示されるDNA断片をプライマーと
して同様に合成した。合成したPCR産物はそれぞれ1
%アガロースゲルの電気泳動にかけ、約0.15kbpのバ
ンドを切り出し、スプレック01(宝酒造)に入れ、−
80℃で15分間凍結した後、37℃で5分間インキュ
ベートすることにより融解する。これを5000回転で
10分間遠心して、その濾液を回収する。フェノール処
理およびエタノール沈殿で精製、回収する。続いて回収
したDNA断片(それぞれ1ng)を混合してテンペレ
ートとし、配列番号6と配列番号17の合成DNAをN
末端C末端プライマー(それぞれ2μM)として加え、
10X反応緩衝液10μl、各0.25mMのdAT
P、dTTP、dGTP、dCTP溶液、TaqDNA
ポリメラーゼ0.5μlを加えて最終液量を100μlと
してPCR反応を行い、hBN−C69Sをコードする
DNA全体を製造した。反応は94℃、30秒間熱処
理;37℃、30秒間アニーリング;72℃、1分間反
応のサイクルプログラムで20回を繰り返し行う。
【0050】さらに、上記PCR産物をフェノール処理
することで精製する。この精製DNAのうち、約10n
gをそれぞれ5単位の制限酵素BamHI(宝酒造)お
よびXbaI(宝酒造)とともに0.1 M食塩および1
0mM塩化マグネシウムを含む50mMトリス緩衝液
(pH7.5)50ml 中で37℃で1時間インキュベー
トしてDNAを消化する。この消化液をフェノール処理
およびエタノール沈殿した後、1%アガロースゲル電気
泳動にかけ、約0.3kbpのバンドを切り出し、スプレッ
ク01(宝酒造)に入れ、−80℃で15分間凍結した
後、37℃で5分間インキュベートすることにより融解
する。これを5000回転で10分間遠心して、その濾
液を回収する。フェノール処理およびエタノール沈殿で
目的とするhBN−C69SをコードするDNAを取り
出す。続いて、上記DNA断片を、pMALTMp(ニュ
ーイングランドバイオラボ社から購入可能)の下流の制
限プロテアーゼファクターXaの認識配列 Ile-Glu-Gly
-Arg末端に存在するBamHIとXbaI部位の間に実
施例6と同様に挿入する(図9)。
【0051】具体的には、約1μgのpMALTMp D
NAを50mM食塩および10mM塩化マグネシウムを
含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)50μlに
溶解し、さらにそれぞれ5単位の制限酵素BamHIとX
baIを加えて、37℃で1時間インキュベートしてDN
Aを消化する。次にこれを1%アガロースゲルの電気泳
動にかけ、大きい方のバンドを切り出し、スプレック0
1(宝酒造)に入れ、−80℃で15分間凍結した後、
37℃で5分間インキュベートし、融解する。これを5
000回転で10分間遠心し、その濾液を回収する。フ
ェノール処理およびエタノール沈殿で目的とするDNA
を取り出す。続いてこれを上で調製したDNA断片と混
合し、1mMのEDTAを含む10mMトリス緩衝液
(pH7.4)を加えて4μlとする。これを16μlの
A液(DNAライゲーションキット;宝酒造)および4
μlのB液(DNAライゲーションキット;宝酒造)と
混合し、16℃で30分間反応させる。さらに、これを
100μlの大腸菌K12株コンピテントセルと混合
し、0℃で30分間、さらに42℃で2分間インキュベ
ーションすることで大腸菌へ移入し、発現プラスミッド
pMALp−hBN−C69Sを構築した。このプラス
ミッドを導入した大腸菌K12株/pMALp−hBN
−C69Sは通産省工技術院生命工学工業技術研究所に
寄託されている。(受託日:平成6年 5月 23日;寄
託番号:FERM−P 14320)。
【0052】実施例10 プラスミッドpMALp−h
BN−C69Sで形質転換された大腸菌によるpMAL
p−hBN−C69Sの製造およびその活性 実施例7と同様に形質転換体を培養し、そのペリプラス
ム画分から、目的のhBN−C69Sを得た。これは天
然型のhBNより発現量が高く、1リットルの培養でお
よそ0.8mg以上と考えられる。次いで実施例8と同様
に活性を測定すると上記の天然型のhBNと変わらない
活性を示した(図10)。この結果はhBN−C69S
ドメインが天然のヒトG−CSF受容体におけるhBN
と同様のフォールディングをし、かつリガンド結合能力
を有していることを強く示唆している。
【0053】
【発明の効果】本発明は、大腸菌を宿主とする遺伝子組
換え法によって本発明のリガンド結合領域蛋白質、即
ち、mBNドメインまたはhBNドメインを発現させ、
該宿主からmBNドメインまたはhBNドメインを抽出
・精製する方法を確立したものである。こうして得たm
BNドメインまたはhBNドメインはリガンドであるG
−CSFへの結合能を保持しており、G−CSF受容体
とリガンドとの相互作用に関連する疾患の研究や治療に
有用である。臨床面では、生体内のG−CSF受容体に
対する拮抗作用を通して、G−CSF依存性の疾患や異
常、例えば、顆粒球の増殖の異常に起因する白血病の治
療または予防に有用である。本発明のBNドメインは、
約100アミノ酸からなる小分子量蛋白質であるため
に、体内に投与した場合に抗体の生成させる可能性が低
く、治療目的に応じて適当なキャリアー蛋白質と結合さ
せる等、応用範囲が広い上、X線やNMRによる高次構
造の解析にも有利であるという特徴を有する。また、本
発明のG−CSF受容体結合領域蛋白質は、ペプチドラ
イブラリーなどを用いてのペプチド性のG−CSFのア
ゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング、非ペ
プチド性のG−CSFのアゴニストまたはアンタゴニス
トのスクリーニングを可能にし、G−CSFとG−CS
F受容体の結合の研究(その立体構造の解析など)を飛
躍的に発展させ、G−CSFのアゴニスト、アンタゴニ
スト等の医薬の開発研究、製造に有用である。現在、G
−CSFは、その骨髄性白血病細胞の分化誘導と成熟顆
粒球の機能亢進作用に基き、放射線治療や抗ガン剤治療
を受けたガン患者での白血球減少を回復するための治療
剤として有用性が期待されているが、上記のG−CSF
アゴニストまたはアンタゴニストは、それら白血球減少
患者の治療において、G−CSFと同等またはそれ以上
の効果を発揮し得ると予想される。
【0054】
【配列表】
【0055】配列番号:1 配列の長さ:639 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:Mouse 細胞の種類:NFS−60 配列 TAT CCC CCT GCC AGC CCC TCA AAC CTA TCC TGC CTC ATG CAC CTC ACC 48 Tyr Pro Pro Ala Ser Pro Ser Asn Leu Ser Cys Leu Met His Leu Thr 1 5 10 15 ACC AAC AGC CTG GTC TGC CAG TGG GAG CCA GGT CCT GAG ACC CAC CTG 96 Thr Asn Ser Leu Val Cys Gln Trp Glu Pro Gly Pro Glu Thr His Leu 20 25 30 CCC ACC AGC TTC ATC CTA AAG AGC TTC AGG AGC CGC GCC GAC TGT CAG 144 Pro Thr Ser Phe Ile Leu Lys Ser Phe Arg Ser Arg Ala Asp Cys Gln 35 40 45 TAC CAA GGG GAC ACC ATC CCG GAT TGT GTG GCA AAG AAG AGG CAG AAC 192 Tyr Gln Gly Asp Thr Ile Pro Asp Cys Val Ala Lys Lys Arg Gln Asn 50 55 60 AAC TGC TCC ATC CCC CGA AAA AAC TTG CTC CTG TAC CAG TAT ATG GCC 240 Asn Cys Ser Ile Pro Arg Lys Asn Leu Leu Leu Tyr Gln Tyr Met Ala 65 70 75 80 ATC TGG GTG CAA GCA GAG AAT ATG CTA GGG TCC AGC GAG TCC CCA AAG 288 Ile Trp Val Gln Ala Glu Asn Met Leu Gly Ser Ser Glu Ser Pro Lys 85 90 95 CTG TGC CTC GAC CCC ATG GAT GTT GTG AAA TTG GAG CCT CCC ATG CTG 336 Leu Cys Leu Asp Pro Met Asp Val Val Lys Leu Glu Pro Pro Met Leu 100 105 110 CAG GCC CTG GAC ATT GGC CCT GAT GTA GTC TCT CAC CAG CCT GGC TGC 384 Gln Ala Leu Asp Ile Gly Pro Asp Val Val Ser His Gln Pro Gly Cys 115 120 125 CTG TGG CTG AGC TGG AAG CCA TGG AAG CCC AGT GAG TAC ATG GAA CAG 432 Leu Trp Leu Ser Trp Lys Pro Trp Lys Pro Ser Glu Tyr Met Glu Gln 130 135 140 GAG TGT GAA CTT CGC TAC CAG CCA CAG CTC AAA GGA GCC AAC TGG ACT 480 Glu Cys Glu Leu Arg Tyr Gln Pro Gln Leu Lys Gly Ala Asn Trp Thr 145 150 155 160 CTG GTG TTC CAC CTG CCT TCC AGC AAG GAC CAG TTT GAG CTC TGC GGG 528 Leu Val Phe His Leu Pro Ser Ser Lys Asp Gln Phe Glu Leu Cys Gly 165 170 175 CTC CAT CAG GCC CCA GTC TAC ACC CTA CAG ATG CGA TGC ATT CGC TCA 576 Leu His Gln Ala Pro Val Tyr Thr Leu Gln Met Arg Cys Ile Arg Ser 180 185 190 TCT CTG CCT GGA TTC TGG AGC CCC TGG AGC CCC GGC CTG CAG CTG AGG 624 Ser Leu Pro Gly Phe Trp Ser Pro Trp Ser Pro Gly Leu Gln Leu Arg 195 200 205 CCT ACC ATG AAG GCC 639 Pro Thr Met Lys Ala 210 213
【0056】配列番号:2 配列の長さ:639 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:Homo sapiens (ヒト) 組織の種類:胎盤またはU937 配列 TAC CCT CCA GCC ATA CCC CAC AAC CTC TCC TGC CTC ATG AAC CTC ACA 48 Tyr Pro Pro Ala Ile Pro His Asn Leu Ser Cys Leu Met Asn Leu Thr 1 5 10 15 ACC AGC AGC CTC ATC TGC CAG TGG GAG CCA GGA CCT GAG ACC CAC CTA 96 Thr Ser Ser Leu Ile Cys Gln Trp Glu Pro Gly Pro Glu Thr His Leu 20 25 30 CCC ACC AGC TTC ACT CTG AAG AGT TTC AAG AGC CGG GGC AAC TGT CAG 144 Pro Thr Ser Phe Thr Leu Lys Ser Phe Lys Ser Arg Gly Asn Cys Gln 35 40 45 ACC CAA GGG GAC TCC ATC CTG GAC TGC GTG CCC AAG GAC GGG CAG AGC 192 Thr Gln Gly Asp Ser Ile Leu Asp Cys Val Pro Lys Asp Gly Gln Ser 50 55 60 CAC TGC TGC ATC CCA CGC AAA CAC CTG CTG TTG TAC CAG AAT ATG GGC 240 His Cys Cys Ile Pro Arg Lys His Leu Leu Leu Tyr Gln Asn Met Gly 65 70 75 80 ATC TGG GTG CAG GCA GAG AAT GCG CTG GGG ACC AGC ATG TCC CCA CAA 288 Ile Trp Val Gln Ala Glu Asn Ala Leu Gly Thr Ser Met Ser Pro Gln 85 90 95 CTG TGT CTT GAT CCC ATG GAT GTT GTG AAA CTG GAG CCC CCC ATG CTG 336 Leu Cys Leu Asp Pro Met Asp Val Val Lys Leu Glu Pro Pro Met Leu 100 105 110 CGG ACC ATG GAC CCC AGC CCT GAA GCG GCC CCT CCC CAG GCA GGC TGC 384 Arg Thr Met Asp Pro Ser Pro Glu Ala Ala Pro Pro Gln Ala Gly Cys 115 120 125 CTA CAG CTG TGC TGG GAG CCA TGG CAG CCA GGC CTG CAC ATA AAT CAG 432 Leu Gln Leu Cys Trp Glu Pro Trp Gln Pro Gly Leu His Ile Asn Gln 130 135 140 AAG TGT GAG CTG CGC CAC AAG CCG CAG CGT GGA GAA GCC AGC TGG GCA 480 Lys Cys Glu Leu Arg His Lys Pro Gln Arg Gly Glu Ala Ser Trp Ala 145 150 155 160 CTG GTG GGC CCC CTC CCC TTG GAG GCC CTT CAG TAT GAG CTC TGC GGG 528 Leu Val Gly Pro Leu Pro Leu Glu Ala Leu Gln Tyr Glu Leu Cys Gly 165 170 175 CTC CTC CCA GCC ACG GCC TAC ACC CTG CAG ATA CGC TGC ATC CGC TGG 576 Leu Leu Pro Ala Thr Ala Tyr Thr Leu Gln Ile Arg Cys Ile Arg Trp 180 185 190 CCC CTG CCT GGC CAC TGG AGC GAC TGG AGC CCC AGC CTG GAG CTG AGA 624 Pro Leu Pro Gly His Trp Ser Asp Trp Ser Pro Ser Leu Glu Leu Arg 195 200 205 ACT ACC GAA CGG GCC 639 Thr Thr Glu Arg Ala 210 213
【0057】配列番号:3 配列の長さ:327 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA GGT TCT TAT CCC CCT GCC AGC CCC TCA AAC CTA TCC TGC CTC ATG CAC 48 Gly Ser Tyr Pro Pro Ala Ser Pro Ser Asn Leu Ser Cys Leu Met His 1 5 10 15 CTC ACC ACC AAC AGC CTG GTC TGC CAG TGG GAG CCA GGT CCT GAG ACC 96 Leu Thr Thr Asn Ser Leu Val Cys Gln Trp Glu Pro Gly Pro Glu Thr 20 25 30 CAC CTG CCC ACC AGC TTC ATC CTA AAG AGC TTC AGG AGC CGC GCC GAC 144 His Leu Pro Thr Ser Phe Ile Leu Lys Ser Phe Arg Ser Arg Ala Asp 35 40 45 TGT CAG TAC CAA GGG GAC ACC ATC CCG GAT TGT GTG GCA AAG AAG AGG 192 Cys Gln Tyr Gln Gly Asp Thr Ile Pro Asp Cys Val Ala Lys Lys Arg 50 55 60 CAG AAC AAC TGC TCC ATC CCC CGA AAA AAC TTG CTC CTG TAC CAG TAT 240 Gln Asn Asn Cys Ser Ile Pro Arg Lys Asn Leu Leu Leu Tyr Gln Tyr 65 70 75 80 ATG GCC ATC TGG GTG CAA GCA GAG AAT ATG CTA GGG TCC AGC GAG TCC 288 Met Ala Ile Trp Val Gln Ala Glu Asn Met Leu Gly Ser Ser Glu Ser 85 90 95 CCA AAG CTG TGC CTC GAC CCC ATG GAT GTT GTG AAA TAA 327 Pro Lys Leu Cys Leu Asp Pro Met Asp Val Val Lys 100 105 108
【0058】配列番号:4 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GGTTCTTATC CCCCTGCCAG CCCCTCA
27
【0059】配列番号:5 配列の長さ:35 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GCTCTAGATT ATTTCACAAC ATCCATGGGG TCG
AG 35
【0060】配列番号:6 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 CGCCGCCAGC GGTCGTCAGA CTGTCG 26
【0061】配列番号:7 配列の長さ: 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GTGGCCATAT ACTGGTACGC GAGCAAGTTT TTTCGGGGGA T 41
【0062】配列番号:8 配列の長さ: 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GTGGCCATAT ACTGGGCCAG GAGCAAGTTT TTTCGGGG 38
【0063】配列番号:9 配列の長さ:327 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 配列の特徴:229−231:mutation 配列 GGT TCT TAT CCC CCT GCC AGC CCC TCA AAC CTA TCC TGC CTC ATG CAC 48 Gly Ser Tyr Pro Pro Ala Ser Pro Ser Asn Leu Ser Cys Leu Met His 1 5 10 15 CTC ACC ACC AAC AGC CTG GTC TGC CAG TGG GAG CCA GGT CCT GAG ACC 96 Leu Thr Thr Asn Ser Leu Val Cys Gln Trp Glu Pro Gly Pro Glu Thr 20 25 30 CAC CTG CCC ACC AGC TTC ATC CTA AAG AGC TTC AGG AGC CGC GCC GAC 144 His Leu Pro Thr Ser Phe Ile Leu Lys Ser Phe Arg Ser Arg Ala Asp 35 40 45 TGT CAG TAC CAA GGG GAC ACC ATC CCG GAT TGT GTG GCA AAG AAG AGG 192 Cys Gln Tyr Gln Gly Asp Thr Ile Pro Asp Cys Val Ala Lys Lys Arg 50 55 60 CAG AAC AAC TGC TCC ATC CCC CGA AAA AAC TTG CTC GCG TAC CAG TAT 240 Gln Asn Asn Cys Ser Ile Pro Arg Lys Asn Leu Leu Ala Tyr Gln Tyr 65 70 75 80 ATG GCC ATC TGG GTG CAA GCA GAG AAT ATG CTA GGG TCC AGC GAG TCC 288 Met Ala Ile Trp Val Gln Ala Glu Asn Met Leu Gly Ser Ser Glu Ser 85 90 95 CCA AAG CTG TGC CTC GAC CCC ATG GAT GTT GTG AAA TAA 327 Pro Lys Leu Cys Leu Asp Pro Met Asp Val Val Lys 100 105 108
【0064】配列番号:10 配列の長さ:327 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 配列の特徴:232−234:mutation 配列 GGT TCT TAT CCC CCT GCC AGC CCC TCA AAC CTA TCC TGC CTC ATG CAC 48 Gly Ser Tyr Pro Pro Ala Ser Pro Ser Asn Leu Ser Cys Leu Met His 1 5 10 15 CTC ACC ACC AAC AGC CTG GTC TGC CAG TGG GAG CCA GGT CCT GAG ACC 96 Leu Thr Thr Asn Ser Leu Val Cys Gln Trp Glu Pro Gly Pro Glu Thr 20 25 30 CAC CTG CCC ACC AGC TTC ATC CTA AAG AGC TTC AGG AGC CGC GCC GAC 144 His Leu Pro Thr Ser Phe Ile Leu Lys Ser Phe Arg Ser Arg Ala Asp 35 40 45 TGT CAG TAC CAA GGG GAC ACC ATC CCG GAT TGT GTG GCA AAG AAG AGG 192 Cys Gln Tyr Gln Gly Asp Thr Ile Pro Asp Cys Val Ala Lys Lys Arg 50 55 60 CAG AAC AAC TGC TCC ATC CCC CGA AAA AAC TTG CTC CTG GCC CAG TAT 240 Gln Asn Asn Cys Ser Ile Pro Arg Lys Asn Leu Leu Leu Ala Gln Tyr 65 70 75 80 ATG GCC ATC TGG GTG CAA GCA GAG AAT ATG CTA GGG TCC AGC GAG TCC 288 Met Ala Ile Trp Val Gln Ala Glu Asn Met Leu Gly Ser Ser Glu Ser 85 90 95 CCA AAG CTG TGC CTC GAC CCC ATG GAT GTT GTG AAA TAA 327 Pro Lys Leu Cys Leu Asp Pro Met Asp Val Val Lys 100 105 108
【0065】配列番号:11 配列の長さ:327 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 配列 GGT TCT TAC CCT CCA GCC ATA CCC CAC AAC CTC TCC TGC CTC ATG AAC 48 Gly Ser Tyr Pro Pro Ala Ile Pro His Asn Leu Ser Cys Leu Met Asn 1 5 10 15 CTC ACA ACC AGC AGC CTC ATC TGC CAG TGG GAG CCA GGA CCT GAG ACC 96 Leu Thr Thr Ser Ser Leu Ile Cys Gln Trp Glu Pro Gly Pro Glu Thr 20 25 30 CAC CTA CCC ACC AGC TTC ACT CTG AAG AGT TTC AAG AGC CGG GGC AAC 144 His Leu Pro Thr Ser Phe Thr Leu Lys Ser Phe Lys Ser Arg Gly Asn 35 40 45 TGT CAG ACC CAA GGG GAC TCC ATC CTG GAC TGC GTG CCC AAG GAC GGG 192 Cys Gln Thr Gln Gly Asp Ser Ile Leu Asp Cys Val Pro Lys Asp Gly 50 55 60 CAG AGC CAC TGC TGC ATC CCA CGC AAA CAC CTG CTG TTG TAC CAG AAT 240 Gln Ser His Cys Cys Ile Pro Arg Lys His Leu Leu Leu Tyr Gln Asn 65 70 75 80 ATG GGC ATC TGG GTG CAG GCA GAG AAT GCG CTG GGG ACC AGC ATG TCC 288 Met Gly Ile Trp Val Gln Ala Glu Asn Ala Leu Gly Thr Ser Met Ser 85 90 95 CCA CAA CTG TGT CTT GAT CCC ATG GAT GTT GTG AAA TAA 327 Pro Gln Leu Cys Leu Asp Pro Met Asp Val Val Lys 100 105 108
【0066】配列番号:12 配列の長さ:327 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 配列の特徴:205−207:mutation 配列 GGT TCT TAC CCT CCA GCC ATA CCC CAC AAC CTC TCC TGC CTC ATG AAC 48 Gly Ser Tyr Pro Pro Ala Ile Pro His Asn Leu Ser Cys Leu Met Asn 1 5 10 15 CTC ACA ACC AGC AGC CTC ATC TGC CAG TGG GAG CCA GGA CCT GAG ACC 96 Leu Thr Thr Ser Ser Leu Ile Cys Gln Trp Glu Pro Gly Pro Glu Thr 20 25 30 CAC CTA CCC ACC AGC TTC ACT CTG AAG AGT TTC AAG AGC CGG GGC AAC 144 His Leu Pro Thr Ser Phe Thr Leu Lys Ser Phe Lys Ser Arg Gly Asn 35 40 45 TGT CAG ACC CAA GGG GAC TCC ATC CTG GAC TGC GTG CCC AAG GAC GGG 192 Cys Gln Thr Gln Gly Asp Ser Ile Leu Asp Cys Val Pro Lys Asp Gly 50 55 60 CAG AGC CAC TGC TCC ATC CCA CGC AAA CAC CTG CTG TTG TAC CAG AAT 240 Gln Ser His Cys Ser Ile Pro Arg Lys His Leu Leu Leu Tyr Gln Asn 65 70 75 80 ATG GGC ATC TGG GTG CAG GCA GAG AAT GCG CTG GGG ACC AGC ATG TCC 288 Met Gly Ile Trp Val Gln Ala Glu Asn Ala Leu Gly Thr Ser Met Ser 85 90 95 CCA CAA CTG TGT CTT GAT CCC ATG GAT GTT GTG AAA TAA 327 Pro Gln Leu Cys Leu Asp Pro Met Asp Val Val Lys 100 105 108
【0067】配列番号:13 配列の長さ:48 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GGGGATCCAT CGAGGGTAGG GGTTCTTACC CTCCAGCCAT ACCCCACA 48
【0068】配列番号:14 配列の長さ:36 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GGGTCTAGAT TATTTCACAA CATCCATGGG ATC
AAG 36
【0069】配列番号:15 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 TGCGTGGGAT GGAGCAGTGG CTCTGCCCGT
30
【0070】配列番号:16 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GCTCCATCCC ACGCAAACAC CT 22
【0071】配列番号:17 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 CGCCGAGGTT TTCCCAGTCA CGAC
24
【図面の簡単な説明】
【図1】 マウス由来のG−CSF受容体のリガンド結
合領域蛋白質の大腸菌での発現のための発現ベクターp
MALp−mBNの構築模式図である。
【図2】 培養した形質転換体、大腸菌K12株/pM
ALp−mBNのペリプラズムに発現されたmBN−M
BP融合蛋白質のQ−セファロースによる溶出パターン
の模写図である。
【図3】 形質転換体により発現されたmBNドメイン
蛋白質のTSKgelG2000SW HPLCによる
溶出パターンの模写図である。
【図4】 組換え法で製造したmBNとG−CSFとの
解離定数の測定のためのグラフである。
【図5】 マウス由来のG−CSF受容体のリガンド結
合領域蛋白質の誘導体の大腸菌での発現のための発現ベ
クターpMALp−mBN−L77AおよびpMALp
−mBN−Y78Aの構築模式図である。
【図6】 組換え法で製造したmBN−L77Aおよび
mBN−Y78AとG−CSFとの解離定数の測定のた
めのグラフである。
【図7】 ヒト由来のG−CSF受容体のリガンド結合
領域蛋白質の大腸菌での発現のための発現ベクターpM
ALp−hBNの構築模式図である。
【図8】 組換え法で製造したhBNとG−CSFとの
解離定数の測定のためのグラフである。
【図9】 ヒト由来のG−CSF受容体のリガンド結合
領域蛋白質の誘導体の大腸菌での発現のための発現ベク
ターpMALp−hBN−C69Sの構築模式図であ
る。
【図10】組換え法で製造したhBN−C69SとG−
CSFとの解離定数の測定のためのグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:19) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/00 - 15/90 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ EPAT(QUESTEL)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号3または11で示されるアミノ
    酸配列からなる蛋白質をコードするDNA、または配列
    番号3または11に記載のアミノ酸配列におけるアミノ
    酸の欠失、置換若しくは付加による変異体蛋白質であっ
    て顆粒球コロニー刺激因子との結合活性を有する蛋白質
    をコードするDNA。
  2. 【請求項2】 変異体蛋白質が、配列番号9、10また
    は12で示されるアミノ酸配列を有するものである請求
    項1記載のDNA。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のDNAを大腸菌
    遺伝子発現系の制御下に含有している組換え体プラスミ
    ッド。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のDNAを大腸菌
    マルトース結合蛋白質をコードするDNAの下流に含有
    し、大腸菌に顆粒球コロニー刺激因子受容体のリガンド
    結合領域蛋白質と大腸菌マルトース結合蛋白質との融合
    蛋白質を発現させ得る請求項3記載の組換え体プラスミ
    ッド。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載のプラスミッドで
    形質転換された大腸菌。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の大腸菌を培養し、該大腸
    菌内に蓄積された組換え生成物を回収することからなる
    顆粒球コロニー刺激因子受容体のリガンド結合領域蛋白
    質の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の方法で製造された、顆粒
    球コロニー刺激因子受容体のリガンド結合領域蛋白質。
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