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JP2836687B2 - 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子 - Google Patents

窒化ガリウム系化合物半導体発光素子

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JP2836687B2 JP10021593A JP10021593A JP2836687B2 JP 2836687 B2 JP2836687 B2 JP 2836687B2 JP 10021593 A JP10021593 A JP 10021593A JP 10021593 A JP10021593 A JP 10021593A JP 2836687 B2 JP2836687 B2 JP 2836687B2
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gallium nitride
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light emitting
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修二 中村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はサファイア基板上に一般
式InXAlYGa1-X-YN(0≦X<1、0≦Y<1)で
表される窒化ガリウム系化合物半導体が積層されてなる
窒化ガリウム系化合物半導体発光素子及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】GaN、GaAlN、InGaN、In
AlGaN等の窒化ガリウム系化合物半導体は直接遷移
を有し、バンドギャップが1.95eV〜6eVまで変
化し、その発光色は紫外から赤色にまで及ぶため、発光
ダイオード、レーザダイオード等、発光素子の材料とし
て有望視されている。その窒化ガリウム系化合物半導体
よりなる発光素子は、一般にMOCVD、MBE法等の
気相成長法を用いてサファイア基板上にn型及びp型、
あるいはn型及びi型に成長して積層し、それぞれの層
から電極を取り出した後、チップ状としてリードフレー
ムに固定し、最後にエポキシ等の樹脂で封止することに
よって得られる。
【0003】しかしながら、その窒化ガリウム系化合物
半導体発光素子は、前記のようにサファイア基板の上
に、窒化ガリウム系化合物半導体という全く異なる材料
を積層するいわゆるヘテロエピタキシャル構造であるた
め、他のGaAs、GaP等、同一材料の上に積層され
る発光素子に比して、基板とエピタキシャル膜との屈折
率の違いにより外部量子効率が悪くなるいう欠点を有し
ている。具体的にはサファイア基板と窒化ガリウム系化
合物半導体との屈折率の違い、および窒化ガリウム系化
合物半導体素子とそれを封止する樹脂との屈折率の違い
により、窒化ガリウム系化合物半導体の発光がそれらの
界面で多重反射されて干渉し、反射光は窒化ガリウム系
化合物半導体内部で吸収されてしまい、発光を効率よく
外部に取り出せないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】窒化ガリウム系化合物
半導体と基板、および封止樹脂との多重反射を抑制し、
干渉を少なくすることができれば、外部量子効率を向上
させて、発光効率を向上させることができる。従って、
本発明はこのような事情を鑑み成されたものであり、そ
の目的とするところは、窒化ガリウム系化合物半導体内
部の光の多重反射により起こる干渉を抑えることによ
り、窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の外部量子効
率を向上させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】我々は窒化ガリウム系化
合物半導体内部の多重反射を抑制し、外部量子効率を上
げるため数々の実験を行ったところ、内部で反射する光
を最上層の窒化ガリウム系化合物半導体の界面で乱反射
させることにより、上記問題が解決できることを新たに
見いだした。即ち、本発明の窒化ガリウム系化合物半導
体発光素子は、サファイア基板C面(0001)のオフ
基板の上に発光素子となる窒化ガリウム系化合物半導体
層が成長され、その窒化ガリウム系化合物半導体の最上
層の表面が非鏡面とされていることを特徴とする。前記
オフ基板の角度はサファイアC面に対し、0.2゜以
上、15゜以下であることが望ましい。
【0006】本発明の一実施例に係る窒化ガリウム系化
合物半導体発光素子の模式断面図を図1に示す。この発
光素子はサファイア基板1の上に、n型GaN層2と、
p型あるいは高抵抗なi型GaN層3(以下p型GaN
層という)とを順に積層してなり、p型GaN層の一部
をエッチングしてn型GaN層を露出させ、n型GaN
層およびp型GaN層に電極を形成している。さらに電
極を形成する最上層のp型GaN層表面を非鏡面として
いる。この構造の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子
において発光観測面はサファイア基板1側である。
【0007】また図2に本発明の他の実施例に係る窒化
ガリウム系化合物半導体素子の模式断面図を示す。これ
も構造的には図1と同様であって、同じく電極を形成す
る最上層のp型GaN層3を非鏡面としているが、この
発光素子は発光観測面がp型GaN層3側となってい
る。
【0008】これらの図に示すように窒化ガリウム系化
合物半導体の最上層を非鏡面、即ち微細な凹凸が形成さ
れた状態とするには、第一に成長中より最上層を非鏡面
とする方法と、第二に成長後最上層を化学的または物理
的方法によって非鏡面とする方法とがある。第一の方法
は、窒化ガリウム系化合物半導体をサファイア基板のC
面(0001)からのオフ基板上に積層する方法であ
る。窒化ガリウム系化合物半導体は通常サファイア基板
のC面に成長されて積層されることが多く、C面上に成
長することにより最上層を鏡面とする窒化ガリウム系化
合物半導体を得ている。しかし本発明の方法では、C面
からのオフ基板、つまりC面から角度を数度ずらしたサ
ファイア基板上に、窒化ガリウム系化合物半導体をn
型、およびp型あるいはi型にステップ成長させて積層
することにより、最上層の窒化ガリウム系化合物半導体
を非鏡面とすることができる。オフ基板の角度(ずらし
た角度)はサファイアのC面に対し、0.2゜以上、1
5゜以下が好ましい。0.2゜より小さいと非鏡面とな
りにくく、また15゜よりも大きいと窒化ガリウム系化
合物半導体の結晶性が悪くなり発光素子の出力が低下す
る傾向にある。
【0009】一方、第二の方法は、鏡面を有する最上層
の窒化ガリウム系化合物半導体表面をエッチングする
か、または研磨することにより、微細な凹凸を設けて非
鏡面とする方法である。エッチングには例えばリン酸+
硫酸の混酸を用いるウエットエッチングと、RIE(反
応性イオンエッチング)等の装置を用いるドライエッチ
ングとの二種類の方法があるがいずれの方法でもよい。
研磨は適当な研磨剤を選択することにより、モース硬度
がほぼ9と非常に硬い窒化ガリウム系化合物半導体でも
研磨してその表面を非鏡面とすることができる。以上、
第一の方法と第二の方法とでは、好ましくは第一の方法
で非鏡面とする方がよい。なぜなら、第二の方法は物理
的または化学的に強制的に結晶に傷をつける方法である
のに対し、第一の方法は成長中より自然に最上層を非鏡
面とできるため、結晶を傷めることがない。従って発光
素子とした場合においても、第二の方法では発光強度が
低下する恐れがあるが、第一の方法では全くその心配が
ない。また第一の方法では窒化ガリウム系化合物半導体
を最初からオフ基板の上に成長しているため、第二の方
法のように余分な工程を省略でき、生産性に優れてい
る。
【0010】
【作用】図3および図4は、発光状態における従来の窒
化ガリウム系化合物半導体発光素子と、本発明の窒化ガ
リウム系化合物半導体発光素子との光路を比較して示す
模式断面図である。これらの図に付された符号は図1お
よび図2の符号と同一物質を指している。なおこの構造
の発光素子において、発光層はp型GaN層3にあた
る。ここで、サファイアの屈折率がおよそ1.6、窒化
ガリウム系化合物半導体の屈折率がおよそ2である場
合、図3に示すように従来の発光素子は、サファイア基
板1、窒化ガリウム系化合物半導体2、3それぞれの材
料において屈折率が異なるため、p型GaN層3の発光
の一部がp型GaN層4と外界(発光ダイオードの場
合、エポキシ樹脂が用いられることが多い。)との界面
で反射され、さらに反射光はサファイア基板1とn型G
aN層2との界面で反射されることにより多重反射とな
り、次第に窒化ガリウム系化合物半導体層2、3中に吸
収されて減衰する。n型GaN層2、p型GaN層3に
関しては同一材料であり、それらの屈折率はほとんど同
一と見なしてもよいため、互いの半導体層界面での多重
反射は零(0)と見なしてよい。一方、図4の本発明の
ように、最上層であるp型GaN層3を非鏡面とした場
合、サファイア基板1とn型GaN層2との界面で反射
した光は、非鏡面なp型GaN層で散乱するため、窒化
ガリウム系化合物半導体内部での多重反射を抑制し、光
の干渉を少なくすることができる。
【0011】
【実施例】[実施例1]C面から1゜ずらしたサファイ
アのオフ基板を用意し、その上にMOCVD法を用い
て、GaNバッファ層と、Siドープn型GaN層と、
Mgドープp型GaN層とを順に成長させる。このよう
にして成長したp型GaN層の表面には微細な凹凸が無
数に形成されていた。次にこのp型GaN層にフォトリ
ソグラフィー技術により所定のパターンを形成して、p
型GaN層を一部エッチングし、電極を形成させるだけ
のn型GaN層を露出させた後、p型GaN層、および
n型GaN層にオーミック電極を付ける。両電極に通電
して、この窒化ガリウム系化合物半導体の発光スペクト
ルを測定したところ、図5(a)に示すようなスペクト
ルであり、400nmにピークを有していた。
【0012】一方、比較のためサファイア基板のC面上
に同様にして成長した従来の窒化ガリウム系化合物半導
体発光素子を同様にして作製し、そのスペクトルを測定
したところ、同じく400nmにピークを有していた
が、図5(b)の破線に示すようなスペクトルであっ
た。
【0013】図5(a)と(b)を比較すると、(b)
の方は400nmのピーク以外にも410nm付近と、
430nm付近と、460nm付近に多重反射による弱
いピークが見られる。一方、本発明の発光素子のスペク
トルである(a)の方では、それらのピークが見られ
ず、ブロードな曲線となっており、多重反射が緩和され
ていることがわかる。しかも発光強度は(a)の方が1
0%以上向上している。
【0014】[実施例2]C面から10゜ずらしたサフ
ァイアのオフ基板を使用する他は、実施例1と同様にし
て、発光素子としたところ実施例1と同一スペクトル、
ほぼ同一強度の発光が観測された。
【0015】[実施例3]サファイア基板のC面上に成
長させる他は実施例1と同様にして、GaNバッファ
層、Siドープn型GaN層、およびMgドープp型G
aN層を積層した。さらに前記窒化ガリウム系化合物半
導体を積層したウエハーをリン酸と硫酸の混酸に浸漬
し、p型GaN層表面を非鏡面とする他は実施例1と同
様にして電極を設け、発光スペクトルを測定したとこ
ろ、実施例1と同一のブロードな曲線が得られ、強度は
実施例1に比して約10%低下していた。
【0016】[実施例4]実施例2と同様にサファイア
のC面上にGaNバッファ層、n型GaN層、p型Ga
N層を成長させたウエハーのp型GaN層をRIEでエ
ッチングし、その表面を非鏡面とする他は、実施例1と
同様にして発光素子の発光スペクトルを測定したとこ
ろ、実施例1と同一のブロードな曲線が得られ、強度は
実施例1に比して約5%低下していた。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の窒化ガリ
ウム系化合物半導体素子はその最上層の窒化ガリウム系
化合物半導体表面を非鏡面としていることにより、窒化
ガリウム系化合物半導体層内の多重反射による光の干渉
を抑えることができる。従って、窒化ガリウム系化合物
半導体の発光を有効に外部に取り出すことができ、発光
素子の外部量子効率が向上する。また、発光スペクトル
に、目的とする発光ピーク以外の干渉によるピークが出
現してこないため、窒化ガリウム系化合物半導体を用い
て青色発光ダイオードを作製した場合にその色純度を向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る窒化ガリウム系化合
物半導体発光素子の構造を示す模式断面図。
【図2】 本発明の他の実施例に係る窒化ガリウム系化
合物半導体素子の構造を示す模式断面図。
【図3】 従来の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子
の光路を示す模式断面図。
【図4】 本発明の一実施例に係る窒化ガリウム系化合
物半導体発光素子の光路を示す模式断面図。
【図5】 本発明の一実施例に係る窒化ガリウム系化合
物半導体発光素子と従来の窒化ガリウム系化合物半導体
発光素子の発光スペクトルを比較して示す図。
【符号の説明】
1・・・・・サファイア基板 2・・・・・n型G
aN層 3・・・・・p型GaN層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−163883(JP,A) 特開 平4−354382(JP,A) 特開 平4−42582(JP,A) 特公 昭51−23868(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 33/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サファイア基板C面(0001)のオフ
    基板の上に発光素子となる窒化ガリウム系化合物半導体
    層が成長され、その窒化ガリウム系化合物半導体の最上
    層の表面が非鏡面とされていることを特徴とする窒化ガ
    リウム系化合物半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記オフ基板の角度はサファイアC面に
    対し、0.2゜以上、15゜以下であることを特徴とす
    る請求項1に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素
    子。
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