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JP2835696B2 - 平面スピーカ - Google Patents

平面スピーカ

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JP2835696B2
JP2835696B2 JP6243446A JP24344694A JP2835696B2 JP 2835696 B2 JP2835696 B2 JP 2835696B2 JP 6243446 A JP6243446 A JP 6243446A JP 24344694 A JP24344694 A JP 24344694A JP 2835696 B2 JP2835696 B2 JP 2835696B2
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plane
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vibration
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  • Diaphragms For Electromechanical Transducers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はオーデイオ・スピー
カ、特に可聴周波数の全域を単一のスピーカで忠実再生
をするための、オーデイオ・スピーカに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近時、録音技術の発達によつて、録音さ
れる音声信号の周波数帯域が広く、又ダイナミツクレン
ジ(強弱音声信号の比)が極めて大きく、これを再生す
るに当つて音声周波数帯域(20Hz〜30KHz)を
2ないし3分割して、分割された各々の周波数帯域を専
用のスピーカに分担させるのが一般的である。
【0003】音声周波数帯域を3分割する場合、スピー
カは、低域は直径20cm以上、中域は直径10cm前
後の円錐形振動板であり、また高域は直径数cm以下の
ドーム形振動板が一般的である。通常オーデイオ分野に
おいては、以上のように、3つのスピーカに分担させる
方法を3ウエイスピーカシステムと称し、また全周波数
帯域を低域と高域に分割して、各々専用のスピーカに分
担させる方式を2ウエイスピーカシステムと称してい
る。これらのスピーカを各々、分割された周波数帯域専
用のスピーカとして駆動するためには、増巾器からの出
力信号をインダクタ(L)、キヤパシタ(C)、レジス
タ(R)の組合わせにより、分担するスピーカの特性に
合わせた周波数帯域に分割して、供給することになる。
【0004】3つのスピーカによつて再生合成される音
声波形が、増巾器出力信号波形と異なるのが当然であ
る。この波形の相違は、現実の音声を構成する周波数成
分の位相差によるものであるが、連続音については、音
響学的には、波形が異なつても、周波数成分が同じであ
れば、聴感上に差は生じないとされている。しかし、実
在する音声では、連続音は殆んどあり得ない。
【0005】このため一般的には、直径10cm前後の
円錐形振動板を有する単一のスピーカで、全周波数帯域
に対応させている。また平面振動板を有する平面スピー
カにおいても、8cm×15cm程度の振動板で、全周
波数帯域に対応させることが試みられた。しかしこれら
のスピーカでは、次の点から低域の一部を忠実に再生す
ることが不可能であつた。
【0006】すなわち、直径10cm前後の円錐形振動
板又は8cm×15cmの平面振動板で、充分な音圧の
高音域を再生するためには、単位面積当りの駆動力を大
きくする必要があり、このために振動板の分割振動を利
用したり、磁気空隙の磁束密度を大きくすることによつ
て実現している。しかし充分な音圧の最低音域を再生す
るためには、2mm前後又はそれ以上の振動板の振巾が
必要であり、特に平面振動板のスピーカにおいて、この
振巾を可能にする駆動コイル又はその巻枠を支持する方
法がなかつた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な従来のスピーカの欠点を、平面スピーカによつて改善
し、広い周波帯域で大きなダイナミツクレンジの音声信
号を、単一スピーカによつて忠実再生することを可能に
しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の平面ス
ピーカにおいては、平面振動板に装着された矩形の駆動
コイル又は駆動コイルの巻枠の4つの角部を、互いにつ
ながることのない複数個の切込み(スリツト)を持つ平
板板ばねによつて、平面振動板と面的に平行で4つの方
向から放射状に、そして平面振動板の振巾に応じて、こ
の放射状方向に平板板ばねが伸縮できるように、平面振
動板、駆動コイル及び駆動コイルの巻枠等からなる振動
系を支持してなり、かつ平面振動板の全周に平面振動板
と面的に平行に貼り付られた吸音性の可撓性膜とが、互
いに突合又は重なり合っている。
【0009】
【作用】複数で互いに継がることのない切込み(スリツ
ト)を有する平板板ばねで、駆動コイル又はその巻枠を
放射状に支持すると共に、平面振動板の全周とスピーカ
本体構造枠の間の空隙を吸音性可撓性膜でおおう構造で
あつて、振動系の振動方向に対する自由度を充分保証す
ることができ、比較的面積の小さな振動板の単一スピー
カで、ダイナミツクレンジの大きな可聴周波全域の忠実
再生が可能である。
【0010】
【実施例】一般にスピーカは、図1に示すように、磁界
の中におかれたコイルに信号電流が流れるとき、フレミ
ングの左手の法則に基づいて、磁力線と直角の方向に信
号電流の周波数と振巾に応じて振動し、このコイルの振
動を振動板に伝えて音響信号として取り出すものであ
る。信号電流に忠実に振動板を振動させるためには、駆
動コイルを含む振動系全体を支える支持構造が、振動方
向には自由であり、それ以外の方向には拘束力の働く必
要がある。
【0011】この発明では、例えば矩形状に巻かれた駆
動コイルか又は駆動コイルの巻枠の4つの角部を、平面
振動板と面的に平行な板ばねで、他端をスピーカの構造
体である枠に固定し、振動系全体を支持する。一端を固
定された板ばねの振動様態は、図2に示すように、その
自由端は面に直角の方向には自由度がある一方で、面に
平行な方向には自由度を持たない。しかし図3に示すよ
うにこの板ばねも中間に振動板の構造体を介して両端に
接続されるときには、振動系の要求される振動方向にも
自由度を持たなくなる。
【0012】この自由度を得るために、予め弯曲させた
板ばねが考えられるが、弯曲を持つ板ばねでは、図4に
示すように、振動系の振動原点(コイルに入力信号がな
いか入力信号波形のゼロレベルの状態)での振動系の位
置を固定することが困難であり、また弯曲度の経時変化
によつて、振動系の位置づれが生じる恐れがある。
【0013】そこでこの発明では、図5に示すように、
互いにつながることのない複数の切込み(スリツト)の
ある平板板ばねで振動系を支持する。この板ばねは振動
原点では板ばねの面方向には自由度を持たず、振動方向
にのみ自由度を持つ。しかも振動系が一旦振動原点をは
ずれると、板ばねの弾性の範囲内で板ばねの固定端と、
振動系支持端を結ぶ方向に振巾値に応じて伸縮し、振動
系の振動方向に振動するに充分な自由度を与える。すな
わち図5に示す平板板ばねは振動板構造体を介して2箇
所あるいはそれ以上の複数箇所で接続されても、振動板
の要求される振動方向に対して、自由度を失なうことな
く、振動板構造体を支持することができる
【0014】次に、振動板の表裏から発生する再生音を
表裏遮断する方法について述べる。一般に、前述の2ウ
エイあるいは3ウエイスピーカシステムにおいて、周波
数帯域の低域を分担するスピーカは、振動板は充分大き
く、また振動板の駆動点との距離が充分にあるため、振
動板末端の扱いについて、特別な構造は必要とせず、例
えば振動板の末端で、振動板と一体の材料に可撓性を持
たせた上で、スピーカ本体構造の枠に固定する方法によ
つて振動板表裏の再生音を遮断する。
【0015】この発明による平面スピーカでは、振動板
の末端部においても振動の自由度を充分確保し、大振巾
の振動に適応できる構造で、振動板端部全周とスピーカ
構造本体枠との間の空隙を覆い振動板表裏の再生音を遮
断する。振動板末端全周に、吸音性で可撓性のある膜
を、スピーカ本体構造枠との空隙寸法の全部又は一部を
覆う巾で、振動板と面的に平行に貼りつける。
【0016】一方スピーカ本体構造の枠の内側全周に
も、その空隙寸法の全部又は一部を覆う巾で、振動板と
面的に平行に、吸音性で可撓性のある膜を貼り、振動板
に貼り付けられた膜と重ねる構造とする。このとき振動
板に貼られた膜と、枠に貼れられた膜は、位置的突合し
ているか、又は重なつているのみで、互いに可撓性の成
り行きで接触するのみである。このようにすることによ
つて、振動板の振動を、大振巾時にも拘束することな
く、また空気の流通路を狭溢にし、空気振動を吸音性の
可撓性膜で吸収することによつて、振動板の表裏の再生
音を効果的に遮断する。
【0017】この発明は、駆動コイル巻き形状が矩形の
場合について説明する。図6は実施例の全体図である。
但しこの発明の要点をより明確にするために、磁気回路
及びそれを支える構造は省略し、図7に磁気回路の構造
と駆動コイルの関係位置を示してある。
【0018】図6、図7において、1は駆動コイルであ
つて振動板6の補強のために井桁状に装着された桟3の
一部である矩形の巻枠2に巻かれている。その駆動コイ
ルの長手方向の大部分が、図7に示す磁気空隙の中間の
位置にくるように、磁気回路が装着される。なお図7に
おいて、4は磁石であり、その極性(N,S)は、図6
の駆動コイル1の長手方向部分1’に対して、図7に示
す位置であるときは、駆動コイル1の長手方向部分1”
に対しては、図7に示す位置と反対の極性になるよう、
2つの磁気回路が装着される。図7における5は磁気空
隙を作るための継鉄である。
【0019】図6において、6は平面振動板で、駆動コ
イルの巻枠2が固着されていて、駆動コイル1にその終
端1a,1bから電気信号が入力されるときに、駆動コ
イル1の振動が、平面振動板6に伝えられる。駆動コイ
ル1、巻枠2及び平面振動板6からなる振動系は、4つ
の平板板ばね7の一端を、巻枠2の4つの角部に振動板
6と面的に平行に固着し、他端を、スピーカ本体構造枠
8に固定して四方から放射状に支持される。
【0020】平板板ばね7の実施例としての形状を、図
5に示す。板厚0.5mmの短ざく形樹脂板の長さ方向
の中心線を対称軸としてコの字形、L字形、逆L字形の
3つの切込み(スリツト)を配置した形にしてある。ま
た巻枠2に固着する側は、井桁の桟3の隅部に沿うよう
に、直角の先端にしてある。
【0021】次に、振動板6とスピーカ本体構造枠8と
の間の空隙を覆う膜9について説明をする。図6の断面
を示す図8において、平面振動板6の端部全周に吸音性
可撓性膜9aが、振動板6と面的に平行に、空隙を覆う
ように貼付けられる。またスピーカ本体構造枠8の内側
全周に、吸音性可撓性膜9bが、振動板6と面的に平行
に空隙を覆い、膜9aと重なるように貼付けられる。な
お図8では、膜9aと9bが単に可撓性の成り行きで重
なつていて、一体のものでないことを示すために、敢て
空隙をとつて図示してある。また吸音性の高い材質の場
合には、重なることなく突合するだけでよい。図8で
は、駆動コイル1、巻枠2、板ばね7、振動板6の振動
方向の位置関係も示してある。但し、膜9aと9bとの
位置関係は、図示と上下逆であつてもよい。
【0022】なおこの発明の実施例における振動板6
は、1.5mm厚さの軽量木材のバルサ材を用い、78
mm×148mmの矩形振動板とし、平板板ばね7は、
0.5mm厚さ、12mm×39mmのポリカーボネイ
ト樹脂の板に、図5に示す切込みをつけたもので振動系
を支え、また可撓性膜9a,9bとしては、鹿のなめし
皮を用いて、振動板とスピーカ本体構造枠との間の約9
mmの空隙を覆つている。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、図5に示した複数
で互いに継がることのない切込み(スリツト)を有する
平板板ばねで、駆動コイル又はその巻枠の角部を支持す
ると共に、平面振動板の全周とスピーカ本体構造枠の間
の空隙を、吸音性可撓性膜で覆う構造にすることによつ
て、振動系の振動方向に対する自由度を充分保証するこ
とができ、比較的面積の小さな振動板の、単一スピーカ
でダイナミツクレンジの大きな可聴周波全域の忠実再生
を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピーカの動作原理であるフレミング左手の法
則を図示したものである。
【図2】板ばねの振動の様態を図示したものである。
【図3】平板板ばねで振動構造体をその両端で支持した
状態を示す。
【図4】弯曲させた板ばねで振動構造体をその両端で支
持した状態を示す。
【図5】この発明の要素である平板板ばねの実施例とし
ての形状を図示したものである。
【図6】この発明の実施例の全体を示す斜視図である。
【図7】磁気回路の一部を示すと共に、磁気回路と駆動
コイルとの関係位置を示す図である。
【図8】図6の断面図である。
【符号の説明】 1 駆動コイル 2 巻枠 6 平面振動板 7 平板板ばね 8 スピーカ本体構造枠 9 吸音性可撓性膜

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面振動板に装着された矩形の駆動コイ
    ル又は駆動コイルの巻枠の4つの角部を、互いにつなが
    ることのない複数個の切込み(スリツト)を持つ平板板
    ばねによつて、平面振動板と面的に平行で4つの方向か
    ら放射状に、そして平面振動板の振巾に応じて、この放
    射状方向に平板板ばねが伸縮できるように、平面振動
    板、駆動コイル及び駆動コイルの巻枠等からなる振動系
    を支持してなり、かつ前記振動板の全周に平面振動板と
    面的に平行に貼り付けられた吸音性の可撓性膜とが、互
    いに突合又は重なり合つてなる平面スピーカ。
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