JP2834355B2 - 強誘電体薄膜構成体の製造方法 - Google Patents
強誘電体薄膜構成体の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焦電型赤外線検出素
子、圧電素子、電気光学素子などに用いられる誘電体薄
膜構成体およびその製造方法に関するものである。
子、圧電素子、電気光学素子などに用いられる誘電体薄
膜構成体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】強誘電体とは、物質自身の中に平行また
は反平行に並んだ永久双極子によって生じる自発分極が
電場がなくても存在し、これが外部電場により向きを反
転できるような性質の物質のことである。この性質をう
まく利用して、強誘電体材料は、焦電型赤外線検出素
子、圧電素子、電気光学効果を利用したメモリー素子な
どの様々な電子部品に応用できる。代表的な強誘電体の
材料として、Pb含有ペロブスカイト結晶構造の酸化
物、たとえば、PbTiO3 、PbZrx Ti1-x O 3
(PZT)が特に有名である。
は反平行に並んだ永久双極子によって生じる自発分極が
電場がなくても存在し、これが外部電場により向きを反
転できるような性質の物質のことである。この性質をう
まく利用して、強誘電体材料は、焦電型赤外線検出素
子、圧電素子、電気光学効果を利用したメモリー素子な
どの様々な電子部品に応用できる。代表的な強誘電体の
材料として、Pb含有ペロブスカイト結晶構造の酸化
物、たとえば、PbTiO3 、PbZrx Ti1-x O 3
(PZT)が特に有名である。
【0003】ところで、強誘電体の自発分極Psの変化
を出力として取り出す応用、たとえば焦電型赤外線検出
素子や圧電素子などでは、強誘電体材料のPsが一方向
に揃っているときに最も大きい出力が得られる。しかし
現在、赤外線検出素子や圧電素子に用いられる強誘電体
材料は、そのほとんどが多結晶体の磁器であり、結晶軸
の配列に方向性はなく、自発分極Psもでたらめに配列
している。
を出力として取り出す応用、たとえば焦電型赤外線検出
素子や圧電素子などでは、強誘電体材料のPsが一方向
に揃っているときに最も大きい出力が得られる。しかし
現在、赤外線検出素子や圧電素子に用いられる強誘電体
材料は、そのほとんどが多結晶体の磁器であり、結晶軸
の配列に方向性はなく、自発分極Psもでたらめに配列
している。
【0004】近年の電子部品の小型化にともなって上記
の強誘電体材料応用の電子部品も小型にすることが要求
されてきており、薄膜の形態で使用されるようになりつ
つあり、薄膜化の研究開発が盛んになってきている。そ
こで、強誘電体を薄膜形態で電子部品に応用する場合に
は、強誘電体薄膜の自発分極の方向Psが一方向に揃う
ように、その強誘電薄膜を含む強誘電体薄膜構成体全体
を工夫されている。具体的には強誘電体薄膜の結晶軸が
一方向に(たとえば、基板面に垂直方向に)揃うように
結晶配列させ、かつPsの方向を揃えることができるよ
うに、基板の材料に工夫をこらした薄膜構成体として使
用している。
の強誘電体材料応用の電子部品も小型にすることが要求
されてきており、薄膜の形態で使用されるようになりつ
つあり、薄膜化の研究開発が盛んになってきている。そ
こで、強誘電体を薄膜形態で電子部品に応用する場合に
は、強誘電体薄膜の自発分極の方向Psが一方向に揃う
ように、その強誘電薄膜を含む強誘電体薄膜構成体全体
を工夫されている。具体的には強誘電体薄膜の結晶軸が
一方向に(たとえば、基板面に垂直方向に)揃うように
結晶配列させ、かつPsの方向を揃えることができるよ
うに、基板の材料に工夫をこらした薄膜構成体として使
用している。
【0005】上述のPbTiO3 、PbZrx Ti1-x
O3 (PZT)の組成の強誘電体薄膜を用いる場合、基
板表面に対して垂直方向にそれらの強誘電体薄膜の結晶
方位〈001〉軸を揃えることが必要である。しかしな
がら、そのまま基板の上に成膜するだけでは、いろいろ
な種類の基板の上に、直接に上述の強誘電体薄膜を〈0
01〉軸に結晶配向させた状態で、すなわち、(00
1)面が結晶配向した薄膜を作製することは極めて困難
である。
O3 (PZT)の組成の強誘電体薄膜を用いる場合、基
板表面に対して垂直方向にそれらの強誘電体薄膜の結晶
方位〈001〉軸を揃えることが必要である。しかしな
がら、そのまま基板の上に成膜するだけでは、いろいろ
な種類の基板の上に、直接に上述の強誘電体薄膜を〈0
01〉軸に結晶配向させた状態で、すなわち、(00
1)面が結晶配向した薄膜を作製することは極めて困難
である。
【0006】そこで、従来、NaCl結晶構造のMgO
の単結晶で、かつ(100)面を切り出した基板を下地
基板として選択し用いて、その表面上にスパッタ法でエ
ピタキシャル成長的に、基板表面に対して垂直方向に
〈001〉軸が結晶配向した上述の化学式PbZrx T
i1-x O3 の強誘電体薄膜を形成して作ることにより、
強誘電体薄膜構成体が作製されていた(ジャーナル オ
ブ アプライド フィジックス,65巻,1998年,1666ペ
ージ〜1670ページ。(J.Appl.Phys.,vo
l.65(1989)p1666〜p1670.))。
の単結晶で、かつ(100)面を切り出した基板を下地
基板として選択し用いて、その表面上にスパッタ法でエ
ピタキシャル成長的に、基板表面に対して垂直方向に
〈001〉軸が結晶配向した上述の化学式PbZrx T
i1-x O3 の強誘電体薄膜を形成して作ることにより、
強誘電体薄膜構成体が作製されていた(ジャーナル オ
ブ アプライド フィジックス,65巻,1998年,1666ペ
ージ〜1670ページ。(J.Appl.Phys.,vo
l.65(1989)p1666〜p1670.))。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法は、下地基板にMgOの単結晶を用いるため、強誘電
体薄膜構成体が高価になってしまい、ひいてはそれを用
いて作られる電子部品素子が高価になってしまうという
問題があった。また、基板の材料もMgOの単結晶の一
種類に制限されてしまうという欠点もあった。
法は、下地基板にMgOの単結晶を用いるため、強誘電
体薄膜構成体が高価になってしまい、ひいてはそれを用
いて作られる電子部品素子が高価になってしまうという
問題があった。また、基板の材料もMgOの単結晶の一
種類に制限されてしまうという欠点もあった。
【0008】本発明は、上記問題を解決するもので、基
板の種類にかかわらず、(001)面が結晶配向したP
bZrxTi1-xO3(0≦x≦1)の強誘電体薄膜構成
体の製造方法を提供することを目的とするものである。
板の種類にかかわらず、(001)面が結晶配向したP
bZrxTi1-xO3(0≦x≦1)の強誘電体薄膜構成
体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の強誘電体薄膜構
成体の製造方法 は、基板上に、ニッケルアセチルアセ
トナート、コバルトアセチルアセトナート、あるいはマ
グネシウムアセチルアセトナートの有機金属錯体の蒸気
を原料ガスとするプラズマ励起MO−CVD法によっ
て、(100)面配向のそれぞれNiO、CoO、ある
いはMgOのいずれかのNaCl型結晶構造の酸化物薄
膜を形成し、さらにその上にスパッタ法によって(00
1)面配向であり、化学式がPbZrxTi1-xO3で、
組成範囲が0≦x≦1であるペロブスカイト型酸化物の
強誘電体薄膜を形成することを特徴とする。
成体の製造方法 は、基板上に、ニッケルアセチルアセ
トナート、コバルトアセチルアセトナート、あるいはマ
グネシウムアセチルアセトナートの有機金属錯体の蒸気
を原料ガスとするプラズマ励起MO−CVD法によっ
て、(100)面配向のそれぞれNiO、CoO、ある
いはMgOのいずれかのNaCl型結晶構造の酸化物薄
膜を形成し、さらにその上にスパッタ法によって(00
1)面配向であり、化学式がPbZrxTi1-xO3で、
組成範囲が0≦x≦1であるペロブスカイト型酸化物の
強誘電体薄膜を形成することを特徴とする。
【0011】
【作用】前述したように、強誘電体薄膜として、Pb含
有ペロブスカイト型酸化物のPbZrx Ti1-x O
3 (0≦x≦1)なる組成の薄膜を用いる場合、結晶方
位を〈001〉軸に揃えることが必要である。しかしな
がら、そのままいろいろな種類の基板の上に〈001〉
軸に配向した膜の状態で作製することは極めて困難であ
った。そこで、下地基板を選んでPbZrx Ti1-x O
3 (0≦x≦1)なる組成の薄膜の〈001〉方位をエ
ピタキシャル成長させる方法がとられる。それにふさわ
しい基板として、酸素−酸素間の距離がPbZrx Ti
1-x O3 (0≦x≦1)に近い値を示すミスフィットの
少ない単結晶材料であって、NaCl構造のMgOで
(100)面を切り出した基板が使われる。
有ペロブスカイト型酸化物のPbZrx Ti1-x O
3 (0≦x≦1)なる組成の薄膜を用いる場合、結晶方
位を〈001〉軸に揃えることが必要である。しかしな
がら、そのままいろいろな種類の基板の上に〈001〉
軸に配向した膜の状態で作製することは極めて困難であ
った。そこで、下地基板を選んでPbZrx Ti1-x O
3 (0≦x≦1)なる組成の薄膜の〈001〉方位をエ
ピタキシャル成長させる方法がとられる。それにふさわ
しい基板として、酸素−酸素間の距離がPbZrx Ti
1-x O3 (0≦x≦1)に近い値を示すミスフィットの
少ない単結晶材料であって、NaCl構造のMgOで
(100)面を切り出した基板が使われる。
【0012】Pb含有ペロブスカイト型酸化物の〈00
1〉方位の酸素−酸素間の距離はおよそ4.0 オングスト
ローム前後の値を示す。たとえば、その一つであるPb
(Zr1-x Ti)O3 の〈001〉方位の酸素−酸素間
の距離はおよそ3.90から4.15オングストロームの間の値
を示し、一方、〈100〉方位のMgOが4.21オングス
トロームである。同じNaCl構造のNiOは4.19オン
グストロームであり、また、同じNaCl構造のCoO
が4.26オングストロームであって、ともにMgOと同様
にミスフィットが少なく下地基板として望ましい。
1〉方位の酸素−酸素間の距離はおよそ4.0 オングスト
ローム前後の値を示す。たとえば、その一つであるPb
(Zr1-x Ti)O3 の〈001〉方位の酸素−酸素間
の距離はおよそ3.90から4.15オングストロームの間の値
を示し、一方、〈100〉方位のMgOが4.21オングス
トロームである。同じNaCl構造のNiOは4.19オン
グストロームであり、また、同じNaCl構造のCoO
が4.26オングストロームであって、ともにMgOと同様
にミスフィットが少なく下地基板として望ましい。
【0013】本発明者らは、金属アセチルアセトナート
などの有機金属錯体を原料ガスに用いたプラズマ励起M
O−CDV法によって、下地基板にかかわらず、容易に
基板に対して垂直方向に〈100〉軸が配向したNaC
l結晶構造の各種の酸化物薄膜が得られることを見い出
した。この方法を用いると、原料ガスにニッケルアセチ
ルアセトナートを使用して、いろいろな材料の基板の上
に〈100〉軸が結晶配向したNiO薄膜を形成でき
る。コバルトアセチルアセトナートを用いると〈10
0〉軸が結晶配向したCoO薄膜が、マグネシウムアセ
チルアセトナートを用いると〈100〉軸が結晶配向し
たCoO薄膜が形成できる。そこで、従来の単結晶Mg
O基板のかわりに、これらの薄膜を表面に形成した基板
を、上記の強誘電体薄膜の下地として使用することがで
きる。その結果、高価なMgOの単結晶を用いないで、
同様な性質の誘電体薄膜構成体を作製できることにな
る。
などの有機金属錯体を原料ガスに用いたプラズマ励起M
O−CDV法によって、下地基板にかかわらず、容易に
基板に対して垂直方向に〈100〉軸が配向したNaC
l結晶構造の各種の酸化物薄膜が得られることを見い出
した。この方法を用いると、原料ガスにニッケルアセチ
ルアセトナートを使用して、いろいろな材料の基板の上
に〈100〉軸が結晶配向したNiO薄膜を形成でき
る。コバルトアセチルアセトナートを用いると〈10
0〉軸が結晶配向したCoO薄膜が、マグネシウムアセ
チルアセトナートを用いると〈100〉軸が結晶配向し
たCoO薄膜が形成できる。そこで、従来の単結晶Mg
O基板のかわりに、これらの薄膜を表面に形成した基板
を、上記の強誘電体薄膜の下地として使用することがで
きる。その結果、高価なMgOの単結晶を用いないで、
同様な性質の誘電体薄膜構成体を作製できることにな
る。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明の一実施例の強誘電体薄膜構成体
を示す概略断面図である。基板1は、ガラス基板(コー
ニング7059)、単結晶シリコン板で(110 )面を切り出
したもの、アルミナ(Al2 O3 )の焼結体基板、また
はステンレス金属基板よりなる大きさが20mm×20mm
で厚さ1mmの基板であり、その表面が鏡面研磨された
ものである。この基板1の上に〈100〉軸に結晶配向
したNiO薄膜のNaCl型酸化物下地膜2を形成し、
さらにその上にスパッタ法でPbZrx Ti1-x O3 な
る組成(0≦x≦1)の強誘電体薄膜3を形成して強誘
電体薄膜構成体4を膜構成したものである。
明する。図1は本発明の一実施例の強誘電体薄膜構成体
を示す概略断面図である。基板1は、ガラス基板(コー
ニング7059)、単結晶シリコン板で(110 )面を切り出
したもの、アルミナ(Al2 O3 )の焼結体基板、また
はステンレス金属基板よりなる大きさが20mm×20mm
で厚さ1mmの基板であり、その表面が鏡面研磨された
ものである。この基板1の上に〈100〉軸に結晶配向
したNiO薄膜のNaCl型酸化物下地膜2を形成し、
さらにその上にスパッタ法でPbZrx Ti1-x O3 な
る組成(0≦x≦1)の強誘電体薄膜3を形成して強誘
電体薄膜構成体4を膜構成したものである。
【0015】このように構成された強誘電体薄膜構成体
4の製造方法について、以下に詳しく説明する。〈10
0〉結晶方位に配向したNiO薄膜のNaCl型酸化物
下地膜2の形成は、上記の基板1の表面上に、下記の方
法で、図2に示すプラズマ励起MO−CVD成膜装置5
を用いて行った。
4の製造方法について、以下に詳しく説明する。〈10
0〉結晶方位に配向したNiO薄膜のNaCl型酸化物
下地膜2の形成は、上記の基板1の表面上に、下記の方
法で、図2に示すプラズマ励起MO−CVD成膜装置5
を用いて行った。
【0016】図2に示すプラズマ励起MO−CVD成膜
装置5は、真空チャンバー6内に平行に配置したアース
側電極7とRF側電極8の二つの電極間に高周波によっ
てプラズマを発生させ、その中で有機金属の原料ガスを
分解して基板1上に化学蒸着(CVD)することで薄膜
を形成する装置である。ここで、この基板1はアース側
電極7に片側面が密着して保持され、基板加熱ヒータ9
によってあらかじめ350 ℃に加熱された状態にした。
装置5は、真空チャンバー6内に平行に配置したアース
側電極7とRF側電極8の二つの電極間に高周波によっ
てプラズマを発生させ、その中で有機金属の原料ガスを
分解して基板1上に化学蒸着(CVD)することで薄膜
を形成する装置である。ここで、この基板1はアース側
電極7に片側面が密着して保持され、基板加熱ヒータ9
によってあらかじめ350 ℃に加熱された状態にした。
【0017】一方、原料気化容器10にニッケルアセチル
アセトナート11を入れ、135 ℃に保持したオイルバス12
を用いて加熱した。このように加熱することによって気
化したニッケルアセチルアセトナート11の蒸気を、10m
l/minの流速のキャリアガス(窒素)13を用いて、
真空チャンバー6内に流し入れた。また、反応ガスとし
て酸素ガス14を12ml/minで流し、これを途中で混
ぜて真空チャンバー6内に吹出ノズル15を介して流し入
れた。このとき、真空チャンバー6内は、その排気口16
から真空排気されることで7.90Paの真空度に保持し
た。
アセトナート11を入れ、135 ℃に保持したオイルバス12
を用いて加熱した。このように加熱することによって気
化したニッケルアセチルアセトナート11の蒸気を、10m
l/minの流速のキャリアガス(窒素)13を用いて、
真空チャンバー6内に流し入れた。また、反応ガスとし
て酸素ガス14を12ml/minで流し、これを途中で混
ぜて真空チャンバー6内に吹出ノズル15を介して流し入
れた。このとき、真空チャンバー6内は、その排気口16
から真空排気されることで7.90Paの真空度に保持し
た。
【0018】以上のような状態において、RF側電極8
に13.56 MHzで400 Wの高周波を10分間印加すること
によって、アース側電極7との間にプラズマを発生さ
せ、基板1の片側表面上に〈100〉方位に結晶配向し
たNiO薄膜を形成した。この成膜中、基板1をアース
側電極7を回転させる基板回転モータ17によって120 r
pmの速度で回転させた。この方法で基板に対して垂直
方向に〈100〉軸に結晶配向したNiO薄膜のNaC
l型酸化物下地膜2を厚み500 オングストロームで成膜
した。
に13.56 MHzで400 Wの高周波を10分間印加すること
によって、アース側電極7との間にプラズマを発生さ
せ、基板1の片側表面上に〈100〉方位に結晶配向し
たNiO薄膜を形成した。この成膜中、基板1をアース
側電極7を回転させる基板回転モータ17によって120 r
pmの速度で回転させた。この方法で基板に対して垂直
方向に〈100〉軸に結晶配向したNiO薄膜のNaC
l型酸化物下地膜2を厚み500 オングストロームで成膜
した。
【0019】続いて、その下地膜2の上にPbZrx T
i1-xO3 なる組成の強誘電体薄膜3を形成した。その
成膜方法を以下に述べる。成膜には、高周波マグネトロ
ンスパッタ装置を用いた。
i1-xO3 なる組成の強誘電体薄膜3を形成した。その
成膜方法を以下に述べる。成膜には、高周波マグネトロ
ンスパッタ装置を用いた。
【0020】基板は、厚さ0.2 mmのステンレスマスク
を用い、銅製基板ホルダに取り付けて成膜した。ターゲ
ットは、PbO,ZrO2 ,TiO2 の粉末を、PbZ
rx Ti1-x O3 でx=0,0.20,0.45,0.55,0.80,
1の6種類の組成に配合し、750 ℃で4時間仮焼したの
ち粉砕し、Pbの不足を防止するために、それぞれに20
mol%の過剰のPbO粉末をさらに混合して作製した
6種類の粉体を用いた。スパッタの成膜条件は、基板温
度が600 ℃、スパッタガスはAr(50%)と酸素(50
%)の混合ガスで、ガス圧は0.5 Pa、高周波投入電力
は90W(13.56 MHz)で、成膜時間は20時間であっ
た。このようにして、異なった6種類のターゲットか
ら、表1に示すそれぞれ6種類の異なった組成の強誘電
体の試料薄膜が作製できた。膜の厚さは組成にかかわら
ず4μmと同じ値を示した。
を用い、銅製基板ホルダに取り付けて成膜した。ターゲ
ットは、PbO,ZrO2 ,TiO2 の粉末を、PbZ
rx Ti1-x O3 でx=0,0.20,0.45,0.55,0.80,
1の6種類の組成に配合し、750 ℃で4時間仮焼したの
ち粉砕し、Pbの不足を防止するために、それぞれに20
mol%の過剰のPbO粉末をさらに混合して作製した
6種類の粉体を用いた。スパッタの成膜条件は、基板温
度が600 ℃、スパッタガスはAr(50%)と酸素(50
%)の混合ガスで、ガス圧は0.5 Pa、高周波投入電力
は90W(13.56 MHz)で、成膜時間は20時間であっ
た。このようにして、異なった6種類のターゲットか
ら、表1に示すそれぞれ6種類の異なった組成の強誘電
体の試料薄膜が作製できた。膜の厚さは組成にかかわら
ず4μmと同じ値を示した。
【0021】
【表1】
【0022】図3はガラスの基板の上に、NiO薄膜を
下地膜として形成後、表1に示した膜試料番号FE3の
強誘電体薄膜を形成して作製した強誘電体薄膜構成体の
試料のX線回折パターンを示す。ここでは、ペロブスカ
イト結晶構造の(001)と(100)の反射、および
その高次の反射のみが観察された。また(001)反射
の強度が(100)のそれと比べて著しく大きく、c軸
配向膜になっていることがわかった。このc軸配向率α
を次式(1) で定義し、その値を算出した。
下地膜として形成後、表1に示した膜試料番号FE3の
強誘電体薄膜を形成して作製した強誘電体薄膜構成体の
試料のX線回折パターンを示す。ここでは、ペロブスカ
イト結晶構造の(001)と(100)の反射、および
その高次の反射のみが観察された。また(001)反射
の強度が(100)のそれと比べて著しく大きく、c軸
配向膜になっていることがわかった。このc軸配向率α
を次式(1) で定義し、その値を算出した。
【0023】
【数1】
【0024】ここで、I(001),I(100),I
(110),I(101)およびI(111)は、それ
ぞれ(001)、(100)、(110)、(101)
および(111)反射の回折強度を示す。上述の強誘電
体薄膜構成体の試料のαは97%であった。この結果を表
2の誘電体薄膜構成体試料No2の試料として示した。
(110),I(101)およびI(111)は、それ
ぞれ(001)、(100)、(110)、(101)
および(111)反射の回折強度を示す。上述の強誘電
体薄膜構成体の試料のαは97%であった。この結果を表
2の誘電体薄膜構成体試料No2の試料として示した。
【0025】基板の種類が異なる場合や下地膜の種類が
異なる場合および強誘電体薄膜の組成が異なる場合につ
いての、本実施例の強誘電体薄膜構成体の結果について
も表2のNo1からNo31にまとめて示した。
異なる場合および強誘電体薄膜の組成が異なる場合につ
いての、本実施例の強誘電体薄膜構成体の結果について
も表2のNo1からNo31にまとめて示した。
【0026】
【表2】
【0027】プラズマ励起MO−CVD法によるNaC
l型酸化物下地膜2の形成の際に、原料ガス源として、
上述のニッケルアセチルアセトナートのかわりに、コバ
ルトアセチルアセトナートまたはマグネシウムアセチル
アセトナートを用いて、それぞれ、CoOまたはMgO
の(100)面配向膜が形成できた。
l型酸化物下地膜2の形成の際に、原料ガス源として、
上述のニッケルアセチルアセトナートのかわりに、コバ
ルトアセチルアセトナートまたはマグネシウムアセチル
アセトナートを用いて、それぞれ、CoOまたはMgO
の(100)面配向膜が形成できた。
【0028】次に、基板が、本実施例と同じガラス、単
結晶シリコンで(110)面を切り出したもの、アルミ
ナ焼結体、またはステンレス金属で、下地膜なしにそれ
ぞれの基板の表面に、表1に示したそれぞれの組成の強
誘電体薄膜をスパッタ法で直接成膜して強誘電体薄膜構
成体作製し、その結晶配向率αについて調べた。基板の
種類や強誘電体薄膜の組成にかかわらず、結晶配向性は
悪く、焼結体等の多結晶体の結晶配向率と変わらなかっ
た。その結果を表2のNo32からNo41に示した。一例
として、No32のX線回折パターンを示すと図4のよう
なものであった。
結晶シリコンで(110)面を切り出したもの、アルミ
ナ焼結体、またはステンレス金属で、下地膜なしにそれ
ぞれの基板の表面に、表1に示したそれぞれの組成の強
誘電体薄膜をスパッタ法で直接成膜して強誘電体薄膜構
成体作製し、その結晶配向率αについて調べた。基板の
種類や強誘電体薄膜の組成にかかわらず、結晶配向性は
悪く、焼結体等の多結晶体の結晶配向率と変わらなかっ
た。その結果を表2のNo32からNo41に示した。一例
として、No32のX線回折パターンを示すと図4のよう
なものであった。
【0029】また、従来例として、基板に単結晶のMg
Oで(100)面を切り出したものを用い、その表面
に、表1に示したそれぞれの組成の強誘電体薄膜をスパ
ッタ法で直接成膜して強誘電体薄膜構成体を作製した。
その結晶配向率について調べた。強誘電体薄膜の組成に
かかわらず、結晶配向率は96%〜98%の値を示し、基板
に垂直方向に結晶配向していることがわかった。その結
果を表2のNo42からNo44に示した。一例として、N
o42のX線回折パターンを示すと図5のようなものであ
った。
Oで(100)面を切り出したものを用い、その表面
に、表1に示したそれぞれの組成の強誘電体薄膜をスパ
ッタ法で直接成膜して強誘電体薄膜構成体を作製した。
その結晶配向率について調べた。強誘電体薄膜の組成に
かかわらず、結晶配向率は96%〜98%の値を示し、基板
に垂直方向に結晶配向していることがわかった。その結
果を表2のNo42からNo44に示した。一例として、N
o42のX線回折パターンを示すと図5のようなものであ
った。
【0030】以上から、本実施例の製造方法により得た
強誘電体薄膜構成体は、従来のように基板として単結晶
のMgOで(100)面を切り出したものに限らず、各
種の材料の基板を用いても基板に垂直方向に結晶方位が
揃った誘電体薄膜を有する強誘電体薄膜構成体であるこ
とがわかった。
強誘電体薄膜構成体は、従来のように基板として単結晶
のMgOで(100)面を切り出したものに限らず、各
種の材料の基板を用いても基板に垂直方向に結晶方位が
揃った誘電体薄膜を有する強誘電体薄膜構成体であるこ
とがわかった。
【0031】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、製造さ
れる強誘電体薄膜構成体は、下地基板に単結晶MgO基
板を用いる必要なしに、安価にかつ下地基板材料を選ば
ずに、同様の性能の強誘電体薄膜構成体が得られ、した
がって、電子部品の分野でより広い範囲に使用できるこ
とになり、実用面で極めて有効である。
れる強誘電体薄膜構成体は、下地基板に単結晶MgO基
板を用いる必要なしに、安価にかつ下地基板材料を選ば
ずに、同様の性能の強誘電体薄膜構成体が得られ、した
がって、電子部品の分野でより広い範囲に使用できるこ
とになり、実用面で極めて有効である。
【図1】本発明の一実施例の強誘電体薄膜構成体の膜構
成を示す概略断面図である。
成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例の強誘電体薄膜構成体の製造
に用いたプラズマ励起MO−CVD成膜装置の概略断面
図である。
に用いたプラズマ励起MO−CVD成膜装置の概略断面
図である。
【図3】本発明の一実施例の強誘電体薄膜構成体におけ
る一例のX線回折パターンを示す図である。
る一例のX線回折パターンを示す図である。
【図4】比較例の強誘電体薄膜構成体における一例のX
線回折パターンを示す図である。
線回折パターンを示す図である。
【図5】従来例の強誘電体薄膜構成体における一例のX
線回折パターンを示す図である。
線回折パターンを示す図である。
1 基板 2 NaCl型酸化物下地膜 3 強誘電体薄膜 4 強誘電体薄膜構成体 5 プラズマ励起MO−CVD成膜装置 6 真空チャンバー 7 アース側電極 8 RF側電極 9 基板加熱ヒータ 10 原料気化容器 11 ニッケルアセチルアセトナート 12 オイルバス 13 キャリアガス 14 酸素ガス 15 吹出ノズル 16 排気口 17 基板回転モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 41/24 H01L 41/18 101D (72)発明者 高山 良一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−211520(JP,A) 特開 平1−99268(JP,A) 特開 平2−57686(JP,A) 特開 昭57−193025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 37/02 G01J 1/02 G01J 5/02 H01L 21/205 H01L 41/187 H01L 41/24
Claims (1)
- 【請求項1】 基板上に、ニッケルアセチルアセトナー
ト、コバルトアセチルアセトナート、あるいはマグネシ
ウムアセチルアセトナートの有機金属錯体の蒸気を原料
ガスとするプラズマ励起MO−CVD法によって、(1
00)面配向のそれぞれNiO、CoO、あるいはMg
OのいずれかのNaCl型結晶構造の酸化物薄膜を形成
し、さらにその上にスパッタ法によって(001)面配
向であり、化学式がPbZrxTi1-xO3で、組成範囲
が0≦x≦1であるペロブスカイト型酸化物の強誘電体
薄膜を形成することを特徴とする強誘電体薄膜構成体の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30815891A JP2834355B2 (ja) | 1991-11-25 | 1991-11-25 | 強誘電体薄膜構成体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30815891A JP2834355B2 (ja) | 1991-11-25 | 1991-11-25 | 強誘電体薄膜構成体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05145123A JPH05145123A (ja) | 1993-06-11 |
JP2834355B2 true JP2834355B2 (ja) | 1998-12-09 |
Family
ID=17977600
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30815891A Expired - Fee Related JP2834355B2 (ja) | 1991-11-25 | 1991-11-25 | 強誘電体薄膜構成体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2834355B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7176604B2 (en) | 2001-08-27 | 2007-02-13 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Piezoelectric device and method of manufacturing the device |
US8557352B2 (en) | 2006-06-20 | 2013-10-15 | Tdk Corporation | Method of making a metal oxide film, laminates and electronic devices |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100360468B1 (ko) * | 1995-03-20 | 2003-01-24 | 삼성전자 주식회사 | 강유전성박막제조방법및이를적용한캐패시터및그제조방법 |
JP3890634B2 (ja) * | 1995-09-19 | 2007-03-07 | セイコーエプソン株式会社 | 圧電体薄膜素子及びインクジェット式記録ヘッド |
KR100318457B1 (ko) * | 1998-10-28 | 2002-02-19 | 박종섭 | 플라즈마를이용한강유전체박막형성방법 |
JP2008218879A (ja) * | 2007-03-07 | 2008-09-18 | Seiko Epson Corp | 圧電素子およびその製造方法、液体噴射ヘッド、並びに、プリンタ |
JP5196105B2 (ja) * | 2007-03-07 | 2013-05-15 | セイコーエプソン株式会社 | 圧電素子、液体噴射ヘッド、並びに、プリンタ |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57193025A (en) * | 1981-05-25 | 1982-11-27 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | Manufacture of film |
JPH0672800B2 (ja) * | 1986-03-12 | 1994-09-14 | 松下電器産業株式会社 | 焦電型赤外線センサ |
JPH0199268A (ja) * | 1987-10-13 | 1989-04-18 | Mitsubishi Electric Corp | 異方性酸化物超電導体薄膜の製造方法 |
JP2506978B2 (ja) * | 1988-08-22 | 1996-06-12 | 松下電器産業株式会社 | チタン酸鉛薄膜の製造方法 |
-
1991
- 1991-11-25 JP JP30815891A patent/JP2834355B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7176604B2 (en) | 2001-08-27 | 2007-02-13 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Piezoelectric device and method of manufacturing the device |
US7380320B2 (en) | 2001-08-27 | 2008-06-03 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Piezoelectric device and method of manufacturing the device |
US8557352B2 (en) | 2006-06-20 | 2013-10-15 | Tdk Corporation | Method of making a metal oxide film, laminates and electronic devices |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05145123A (ja) | 1993-06-11 |
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