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JP2816998B2 - 高剛性防湿フィルム - Google Patents

高剛性防湿フィルム

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JP2816998B2
JP2816998B2 JP1343714A JP34371489A JP2816998B2 JP 2816998 B2 JP2816998 B2 JP 2816998B2 JP 1343714 A JP1343714 A JP 1343714A JP 34371489 A JP34371489 A JP 34371489A JP 2816998 B2 JP2816998 B2 JP 2816998B2
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thin film
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勉 沢田
慎一 大橋
重信 吉田
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Mitsubishi Chemical Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高剛性防湿フィルムに関するものであり、詳
しくは、透明で且つ高い剛性を有し、水蒸気等のガスを
殆んど透過しない高度な防湿性能を有する積層プラスチ
ックフィルムに関するものである。
本発明の防湿フィルムは、液晶ディスプレイのバック
ライト用EL素子等のパッケージフィルムとして好適であ
る。
〔従来技術〕
液晶表示素子は、低消費電力駆動が可能であるという
最大の特徴を活かし、OA機器をはじめとする各種分野で
多用されている。
一方、有機分散型のエレクトロルミネセンス(EL)素
子は、薄型、軽量の特徴を活かし、液晶表示素子用の安
価な平面発光のバックライト(補助光源)として用途が
広がりつつある。この有機分散型EL素子は、ZnS:Mn、Zn
S:Cuなどの蛍光物質を含み、その発光輝度が吸湿により
著しく損なわれるため、防湿性能の優れた透明なフィル
ムによりパッケージされて使用される。
従来、上記有機分散型EL素子のパッケージには、フッ
素化樹脂フィルム、特に、ポリ塩化三フッ化エチレン
(PCTFE)を主体にした積層フィルムが、優れた防湿性
能、透明性を有するところから奨用されている。
上記有機分散型EL素子用パッケージフィルムとして
は、一般には、厚さが70〜300μm程度のPCTFEフィルム
に、ヒートシール用のシーラントとして厚さが20〜100
μm程度のポリオレフィンを積層したフィルムが使用さ
れており、このフィルムは、水蒸気を殆ど透過しないと
ころから、既存の透明なプラスチックフィルムでは最も
防湿性能が優れたものであると言われている。
また、最近では、透明なプラスチック基体フィルムの
表面に、金属酸化物、特に、ケイ素あるいはアルミニウ
ム系の透明な酸化物薄膜を設けた透明プラスチックフィ
ルムが、ガスバリヤ性の包装材として商品化されてい
る。
しかしながら、フッ素化樹脂フィルム、特にポリ塩化
三フッ化エチレン(PCTFE)を主体にした積層フィルム
は、極めて高価であるために、バックライトの製造コス
トが高くなるという問題がある。加えて、PCTFEを主体
にした積層フィルムでは、雰囲気の温度から50℃を越え
るとその防湿性能がかなり劣化するため、高温下でのEL
素子の寿命が極端に短くなるという問題がある。
また、表面に金属酸化物の透明な薄膜を設けた透明プ
ラスチックフィルムは、現状のままでは防湿性能が充分
ではなく、有機分散型EL素子のパッケージフィルムとし
て使用できるまでには至っていない。
このような理由から、液晶ディスプレイの製造コスト
ダウンおよび性能アップを目的とした、バックライト用
の有機分散型EL素子のパッケージフィルムとして、PCTF
Eよりも安価で防湿性能の優れた透明なプラスチックフ
ィルムの開発が望まれていた。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その
目的とするところは、優れた透明性と防湿性を有し、強
度および経済性の面でも優れた積層プラスチックフィル
ムを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記課題解決のために鋭意検討の結
果、特定のポリビニルアルコールフィルム上にケイ素酸
化物薄膜を形成したフィルムが、優れた透明性および防
湿性を有すると共に、このフィルムを、ケイ素酸化物薄
膜を表面に形成した他の透明なプラスチックフィルムで
保護することにより、高温、多湿な雰囲気下でも安定し
た防湿性能を長期間に亘って持続するとの知見を得た。
本発明は、上記知見を基に完成されたものであり、そ
の要旨は、下記の通り定義される第1層(A)、第2層
(B)及び第3層(C)からなり、第1層の一方の面に
第2層が、第1層の他方の面に第3層が接合されている
ことを特徴とする高剛性防湿フィルムに存する。
(a)第1層(A)は、ケン化度99モル%以上のポリビ
ニルアルコールよりなる基体フィルムとその少なくとも
片面に形成された透明なケイ素酸化物薄膜とより構成さ
れる透明積層フィルムの単層体または積層体からなる。
(b)第2層(B)は、ポリビニルアルコール以外の透
明プラスチックフィルムの単層体または積層体で構成さ
れてなり、少なくとも1層のフィルムの少なくとも片面
には透明なケイ素酸化物薄膜が形成され、しかも、次式
で定義される剛性指数が15kg/mm以上の高剛性フィルム
を少なくとも1層含み、そのうちの1層は、第1層
(A)に第2層(B)を接合した際に外表面として露出
するように、最外層に位置している。
Im=E×t (式中、Imは剛性指数を意味し、EはASTM D−638に準
拠して測定したフィルムの引張弾性率(kg/mm2)を表
し、tは厚さ(mm)を表す) (c)第3層(C)は、シール可能な樹脂層からなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の防湿フィルムは、前記のように定義される第
1層(A)、第2層(B)及び第3層(C)からなり、
第1層(A)の一方の面に第2層(B)が、他方の面に
第3層(C)が接合されて構成される。
先ず、上記の各層について順次説明する。
(1) 第1層(A) 本発明に係る防湿フィルムにおいて、第1層(A)
は、ケン化度99モル%以上のポリビニルアルコール(以
下、「PVA」と略記する)よりなる基体フィルムとその
少なくとも片面に形成された透明なケイ素酸化物薄膜
(以下、「SO薄膜」と略記する)とより構成される透明
積層フィルムの単層体または積層体からなる。
PVAフィルム表面に形成されるSO薄膜中のケイ素酸化
物のケイ素の結合エネルギーは、この薄膜の厚み方向に
対し特異な値を示し、PVAフィルム近傍部において表層
部や中央部より大きなエネルギーを有し、このため、PV
Aフィルム以外のフィルムの表面に形成されたSO薄膜に
比し、特別に高度の防湿性能を発揮するものと推定され
る。
基体のPVAフィルムは、ケン化度が99モル%であるPVA
からなることが必要である。99モル%未満のケン化度の
PVAからなるフィルムでは、このフィルムの表面にSO薄
膜を形成しても優れた防湿性能は得られない。
PVAフィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムで
もよいが、フィルム強度および防湿性能の点から、延伸
フィルム、特に、3×3倍程度延伸された二軸延伸フィ
ルムが好ましい。また、その厚さは、5〜400μmの範
囲で選ぶことができる。中でも10〜200μmの範囲で選
ぶのが好ましい。
PVAフィルム表面に形成されるSO薄膜は、フィルムの
片面だけに形成しても、両面に形成しても構わないが、
高度の防湿性能を長期に保持させるには、むしろ、保護
層として機能する第2層(B)を積層すべき面だけに形
成した方がよい。
SO薄膜の形成は、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、また
は、それらの混合物等を蒸着原料とし、真空蒸着法、ス
パッタリング法またはイオンプレーティング法のいずれ
かの方法により行うことができる。その外にも、蒸着原
料としてケイ素、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、また
は、それらの混合物等を用い、酸素ガスを供給しながら
行なう反応蒸着法も採用することができる。
SO薄膜の形成に先立って、薄膜とフィルムの接着強度
を上げるため、アンカーコート剤を使用することも可能
である。好適なアンカーコート剤としては、イソシアネ
ート系、ポリエチレンイミン系、有機チタン系などの接
着促進剤およびポリウレタンポリエステル系などの接着
剤をあげることができる。また、アンカーコート剤とし
て、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系の
無溶剤タイプの接着剤を使用してもよい。
なお、SO薄膜は、10重量%以下であればその中に不純
物として、カルシウム、マグネシウム又はそれらの酸化
物等が混入していても、目的とする防湿フィルムの防湿
性能の極端な低下は認められない。
SO薄膜の厚さは、100〜5000Åの範囲で選ぶのがよ
い。SO薄膜の厚さが100Å未満であると、防湿性能が不
十分であり、また5000Åを越えると、フィルムにカール
が発生して問題となったり、透明な薄膜自体に亀裂や剥
離が生じ易いので好ましくない。
なお、この第1層(A)は、前記PVAフィルムの片面
に透明なSO薄膜を有する透明積層フィルム1枚からなる
単層体または透明積層フィルム2枚以上を透明な接着剤
を用いて接合した積層体のいずれであってもよい。この
場合に用いることのできる接着剤としては、ウレタン
系、アクリル系、ポリエステル系等のものをあげること
ができる。
(2) 第2層(B) 本発明においては、前記第1層(A)の一方の面、好
ましくは、SO薄膜側の面に、第2層(B)が接合され
る。
第2層(B)は、保護層として機能し、PVA以外の透
明プラスチックのフィルムの単層体または積層体からな
る。そして、第2層(B)は、これを構成する少なくと
も1層のフィルムの少なくとも片面にはSO薄膜が形成さ
れており、しかも、次式で定義される剛性指数が15kg/m
m以上の高剛性フィルムを少なくとも1層含み、そのう
ちの1層(1層の場合は高剛性フィルムそれ自体)は、
第1層(A)に第2層(B)を接合した際に外表面に露
出するように、最外層に位置している。
Im=E×t (式中、Imは剛性指数を意味し、EはASTM D−638に準
拠して測定したフィルムの引張弾性率(kg/mm2)を表
し、tは厚さ(mm)を表す) PVA以外の透明プラスチックフィルムは、特に限定さ
れず、ポリ塩化ビニールや所定厚みで高剛性フィルムと
して使用される後述の各フィルムが用いられる。
高剛性フィルムは、200μm以下の厚みとするのが好
ましく、厚み200μm以下でも15kg/mm以上の剛性値を有
する透明プラスチックフィルムとしては、例えば、二軸
延伸フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リスルホン、ポリアセテート、ポリプロピレン、ナイロ
ン−6等の各フィルムが挙げられ、就中、ポリエチレン
テレフタレートの二軸延伸フィルムが好適である。
第2層(B)は、上記のようなプラスチックフィルム
の単層体または積層体で構成され、単層体の場合には、
これ自体を前記高剛性透明プラスチックフィルムで構成
する必要がある。積層体として使用する場合には、高剛
性フィルムを最外層に位置させる必要があり、積層体を
構成する際の接合用接着剤としては、前記のウレタン
系、アクリル系、ポリエステル系等の接着剤を用いるこ
とができる。
第2層(B)は、これを構成する少なくとも1層の透
明プラスチックフィルムの少なくとも片面にSO薄膜を形
成し、透明積層フィルムとして使用する。第2層(B)
が単層体の場合には、これ自体(高剛性透明プラスチッ
クフィルム)にSO薄膜を形成して透明積層フィルムとす
る必要がある。SO薄膜の形成は、PVAフィルム表面にSO
薄膜を形成する前述の方法により行うことができる。
第2層(B)は、最外層の高剛性フィルムが外表面に
露出するように、第1層(A)に接合されるが、このよ
うな層構造により、SO薄膜自体を引っ掻きや押し潰しか
ら保護することができ、その結果、該SO薄膜の破損によ
り懸念される防湿性能の低下の問題もなくなる。
(3)第3層(C) 本発明においては、第1層(A)の他方の面、好まし
くはPVAフィルム側の面に、第3層(C)が接合され
る。
第3層(C)は、シーラントとして機能し、ヒートシ
ール、超音波シール、高周波シール等の従来公知のシー
ル方法でシール可能な樹脂層からなる。
ヒートシールは、特に、比較的安価な設備により簡単
にシールできることから、好適に適用される。ヒートシ
ール可能な樹脂としては、低密度ポリエチレン、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、エチレン−
アクリル酸塩共重合体(アイオノマー)等の一般的なも
のを使用できるが、EL素子用のパッケージフィルム等高
度な防湿の用途には、シール面からの透湿を防ぐ意味か
ら、エチレン−アクリル酸共重合(EAA)、エチレン−
エチルアクリレート(EEA)が好ましい。
次に、前記各層を接合した積層構造について説明す
る。
第1層(A)面に第2層(B)及び第3層(C)を接
合する場合には、ウレタン系接着剤、アクリル系接着
剤、ポリエステル接着剤などを用いるドライラミネート
法または押出ラミネート法など、公知の方法を採用する
ことができる。また、第3層としてフィルムを接合する
場合、このフィルムは未延伸のもの又は一軸あるいは二
軸に延伸したもののいずれであってもよい。更に、第3
層(C)の積層順序は、第1層(A)のSO薄膜形成の前
でも、後でもかまわない。
第3層(C)は、上記の外、接着剤を使用せずに、第
1層(A)に対し、好ましくはPVAフィルム面に対し、
押出コートにより設けることもできる。
包装する内容物によっては、防湿フィルムの性能とし
て防湿性能以外に紫外線遮断能が必要とされるが、本発
明による防湿フィルムでは必要に応じて紫外線遮断性能
を付与することが可能である。
例えば、上記の各層の接合の際に、接着剤層に紫外線
吸収能を有する物質を添加しておくことにより、紫外線
遮断能を有する防湿フィルムを得ることができる。使用
する紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾ
ール系など市販のものが1種或は何種類か組合せて用い
られ、必要とされる紫外線吸収能によって紫外線吸収剤
の使用量が決められる。なお、紫外線遮断機能は、層
(A)〜(C)形成フィルムとして紫外線吸収能を有す
る物質を配合したものを使用することによっても付与す
ることができるということはいうまでもない。
本発明に係る防湿フィルムにおいては、第2層(B)
と第3層(C)の合計厚さは、50〜1000μmの範囲が好
ましく、また全体の厚さは、強度、柔軟性、経済性など
の点から60〜1100μmの範囲が好ましく、より好ましく
は100〜900μmの厚さである。接着剤層を除いた各層の
厚さの比(A):(B):(C)は、1:1〜10:1〜10で
あることが好ましい。
なお、第1層(A)と第2層(B)との間、または第
1層と第3層(C)との間に、全体の厚さ調整のため
に、透明なプラスチックフィルムを介在させることもで
きる。介在させるプラスチックフィルムは、透明であれ
ば特に限定されないが、第2層(B)を形成するプラス
チックフィルムと同種のものが好適に使用される。介在
させるプラスチックフィルムの厚さは、防湿フィルム全
体の厚さとの関係で選択される。
次に、本発明に係る防湿フィルムの層構造の具体例に
ついて説明する。
第1〜5図は、本発明の高剛性能湿フィルムの具体的
構造例を示す断面略図である。
なお、以下の説明において、「SO薄膜」は透明なSO薄
膜を意味し、「フィルム」は特に断わりがない限り、本
発明で規定する高剛性透明プラスチックフィルムを意味
する。
第1図は、本発明に係る防湿フィルムの基本的構造を
示すものである。
第1層(A)は、PVAフィルム(1)の片面にSO薄膜
(2)を形成した透明積層フィルムの単層体からなり、
そのSO薄膜(2)側に、フィルム(3)の片面にSO薄膜
(4)を形成した透明積層フィルムの単層体からなる第
2層(B)が、SO薄膜(4)を内側にして接着剤層
(a)を介して接合され、更に、第1層(A)のPVAフ
ィルム側(1)に、接着剤層(a)を介してシール可能
な樹脂よりなる第3層(C)が接合された構造となって
いる。
第2図は、他の構造例を示し、第1図の構造例におい
て、第2層(B)として2枚の高剛性透明プラスチック
フィルムを含む積層構造体を用いた例である。
すなわち、第2図中の第2層(B)においては、フィ
ルム(3)の片面にSO薄膜(4)を形成した透明積層フ
ィルムのフィルム側に、フィルム(5)の片面にSO薄膜
(6)を形成した透明積層フィルムがSO薄膜(6)を内
側にして接着剤層(a)を介して接合されている。そし
て、この積層構造体よりなる第2層(B)がSO薄膜
(4)を内側にして接着剤層(a)を介して第1層
(A)のSO薄膜(2)側に接合されている。
なお、上記第2図の構造例においては、フィルム
(3)は剛性の大きくない通常の透明プラスチックフィ
ルムとしてもよい。
第3図は、更に他の構造例を示し、第2図の構造例と
同様に、第2層(B)として、2枚の高剛性透明プラス
チックフィルムを含む積層構造体を用いた例であるが、
第2図のものと異なる点は、第2層中(B)に、SO薄膜
がI層しか形成されていない点である。
すなわち、第3図中の第2層(B)においては、フィ
ルム(3)の片面にSO薄膜(4)を形成した透明積層フ
ィルムのSO薄膜(4)側に、SO薄膜を形成していないフ
ィルム(5)が接着剤層(a)を介して接合されてい
る。そして、この積層構造体よりなる第2層(B)がフ
ィルム(3)を内側にして接着剤層(a)を介して第1
層(A)のSO薄膜(2)側に接合されている。
なお、上記第3図の構造例においては、フィルム
(3)は剛性の大きくない通常の透明プラスチックフィ
ルムとしてもよい。
第4図は、更に他の構造例を示し、第2図および第3
図の構造例と同様に、第2層(B)として積層構造体を
用いた例であるが、これらと異なる点は、剛性の大きく
ない通常の透明プラスチックフィルムを更に1枚加えて
3枚の透明プラスチックフィルムを含む積層構造体とし
た点である。
すなわち、第4図中の第2層(B)においては、フィ
ルム(3)の片面にもSO薄膜(4)を形成した透明積層
フィルムのSO薄膜(4)側に、剛性の大きくない通常の
透明のプラスチックフィルム(5)の片面にSO薄膜
(6)を形成した透明積層フィルムがフィルム(5)側
を内側にして接着剤層(a)を介して接合され、SO薄膜
(6)側に、SO薄膜を形成していないフィルム(7)が
接着剤層(a)を介して接合されている。そして、この
積層構造体よりなる第2層(B)がフィルム(3)側を
内側にして接着剤層(a)を介して第1層(A)のSO薄
膜(2)側に接合されている。
なお、上記第4図の構造例においては、フィルム
(3)も剛性の大きくない通常の透明プラスチックフィ
ルムとしてもよい。
第5図は、更に他の構造例を示し、第4図の構造例に
おいて、第1層(A)として積層構造体を用いた例であ
る。
すなわち、PVAフィルム(1)の片面にSO薄膜(2)
を形成した2枚の透明積層フィルムを接着剤層(a)を
介して接合して積層構造体となし、この積層構造体より
なる第1層(A)のSO薄膜(2)側に、第4図の構造例
における3層構造体からなる第2層(B)がフィルム
(3)を内側にして接着剤層(a)を介して接合された
構造となっている。
本発明に係る防湿フィルムは、第2層(B)の特定位
置に高剛性透明プラスチックを使用して高剛性の向上を
図るものであるが、基本的機能の防湿性は、第1層
(A)のPVAフィルム表面に形成したSO薄膜が、第2層
(B)で保護されることにより実現される。
そして、上記の優れた防湿性は、次のような作用に基
づいて発現されるものと推定される。
すなわち、一般に、PVAフィルム表面に形成したSO薄
膜のケイ素の結合エネルギーは、フィルム近傍部におい
て表層部や中央部より大きなエネルギーを持ち、斯かる
SO薄膜を形成したPVAフィルムは、常温下では優れた防
湿性能を有する。しかし、高温、多湿の雰囲気下では、
PVAフィルムが吸湿し、寸法変化を起こすことにより表
面のSO薄膜が破壊され、せっかくの防湿性が損なわれ
る。この問題は、PVAフィルム保護フィルムで保護する
ことによって解決されようが、通常のフィルム、或はPV
DCフィルム、PVDCをコーティングしたフィルム等では高
湿時の防湿性能の劣化が著しくて、50℃以上ではPVAフ
ィルムの吸湿防止効果はほとんど期待できない。これに
対して、本発明で第2層(B)として使用するSO薄膜を
有するプラスチックフィルムを含む透明積層フィルム
は、高温領域での防湿性能の劣化がごくわずかであるた
め、高温領域でも第1層(A)の透明フィルムを有効に
保護して、SO薄膜を形成したPVAフィルムの優れた防止
性能が高温でも保持できると考えられる。
そして、本発明に係る防湿フィルムは、高い剛性を有
するために、例えば、EL素子封止時におけるSO薄膜の破
損の恐れがなくなり、SO薄膜破損による防湿能の低下を
防止でき、また、仕上り・寸法安定性が良好となり、液
晶ディスプレイのバックライト用のみならず、自動車や
照明用途に使用可能なEL素子用のパッケージフィルムと
して十分使用することもできる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例および比較例により、更に詳細
に説明する。
なお、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
また、以下の諸例において、得られたフィルムの
(1)透湿度、(2)仕上り・寸法安定性、および
(3)透明性は、次の方法によって測定したものであ
る。また、ケイ素酸化物の透明な薄膜の厚さは、水晶式
膜厚計によって測定した。
(1) 透湿度(gr/m2・24H) 所定の防湿フィルムから、70×70mmの3方シール(シ
ール幅5mm)の袋を作成し、該袋の中に、EL素子の代替
として、吸湿性の強い乾燥状態の厚紙を入れ、2本の加
熱ゴムロールの間を通して残りの1辺をシールし、厚紙
封入サンプルとした。なお、シール条件は、加熱温度12
0℃、ロール圧力10kg/cmとした。
上記の厚紙封入サンプルを夫々10個ずつ50℃×90%RH
の雰囲気下に約500時間放置し、全体の重量変化から防
湿フィルムの透湿度を求めた。
(2) 仕上り・寸法安定性 前記の厚紙封入サンプルを定盤の上に起き、定盤面か
ら厚紙封入サンプルのソリの高さを測定し、これを仕上
り・寸法安定性とした。
(3) 透明性(%) 日立製作所製の分光光度計を用いて可視光におけるフ
ィルムの光線透過率を測定し、550nmにおける光線透過
率をフィルムの透明性とした。
実施例1 本発明で使用したフィルムは次の通りである。
フィルム(A): ケン化度99.9モル%のPVAフィルム(延伸倍率3×3
倍、二軸延伸、厚さ12μm)の表面に、5×10-5Torrの
真空下、電子ビーム加熱方式で、純度99.9%の一酸化ケ
イ素(SiO)を加熱蒸発させて、PVA基材フィルムの片面
に、厚さ1000Åのケイ素酸化物の透明な薄膜を形成させ
て、透明積層フィルム(A)とした。
フィルム(B−1): ポリエチレンテレフタレートのフィルム(延伸倍率3
×3倍、二軸延伸、厚さ12μm)の片面に、上記と同じ
方法により、厚さ1000Åのケイ素酸化物を形成させて、
透明積層フィルム(B−1)とした。
上記フィルム(B−1)を2枚用い、一方のSO薄膜面
と他方の非SO薄膜面同志をウレタン系接着剤で接合して
使用した。
フィルム(B−2): 厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート
フィルム(延伸倍率3×3倍、E=400kg/mm2、Im=40k
g/mm、厚さ100μm) シーラントフィルム: エチレン−アクリル酸エチル樹脂の無延伸フィルム
(厚さ100μm) 先ず、フィルム(A)のSO薄膜面とフィルム(B−
1)の非SO薄膜面同志をウレタン系接着剤(以下、「接
着剤」と略記する)を用いて接合し、次いで、フィルム
(B−1)のSO薄膜面とフィルム(B−2)の非SO薄膜
面同志を接着剤を用いて接合し、4層積層フィルムとし
た。上記4層積層フィルムにおいて、フィルム(A)側
にシーラントフィルムを接着剤を用いて接合し、第4図
に示すような、透明な5層構造の積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムについて、前述の方法により、
透湿度、仕上り・寸法安定性、難燃性および透明性を測
定し、その結果を第−2表に示す。
実施例2〜6及び比較例1〜5 上記実施例1の方法に従い、主として、フィルム(B
−2)の種類,厚みを変更した外は、実施例1と同様に
して積層フィルムを得た。
得られた各積層フィルムの構成を表−1に示し、各物
性値の測定結果を表−2に示す。
なお、各積層フィルムにおけるシーラントフィルムは
実施例1と同一であり、表−1には記載を省略してあ
る。
また、表−1中、「PET」は実施例1の延伸ポリエチ
レンテレフタレート、「Ny」は延伸ナイロン−6フィル
ムを表わす。
表−2の結果から明らかなように、第2層(B)とし
て、外表面に露出する最外層フィルム(B−2)に剛性
指数15kg/mm以上の透明プラスチックフィルムを用いる
ことにより、透湿度および仕上り・寸法安定性を改善し
た防湿性フィルムが得られる。
〔発明の効果〕 本発明に係る防湿フィルムは、仕上り・寸法安定性お
よび透明性に優れ、かつ、極めて優れた防湿性を有する
ものである。そして、柔軟性があって、強度及び経済性
の面でも優れたものである。また、苛酷な条件で長期間
使用されても防湿性能が損なわれることはない。
従って、苛酷な条件下で長期間に亘って使用される液
晶ディスプレイのバックライン用EL素子等のパッケージ
フィルムなど高度な防湿性能が要求される用途に好適で
あり、その工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
第1〜5図は、いずれも本発明による防湿フィルムの具
体的構造例を示す断面図である。 A……第1層、B……第2層、C……第3層 1……ポリビニルアルコールフィルム 2,4,6……ケイ素酸化物薄膜 3,5,7……透明プラスチックフィルム a……接着剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23C 14/08 C23C 14/08 14/22 14/22 (56)参考文献 特開 平1−184127(JP,A) 特開 平2−258251(JP,A) 特開 平1−95038(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 7/00 - 9/00 B32B 27/00 - 27/36 C23C 14/08,14/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の通り定義される第1層(A)、第2
    層(B)及び第3層(C)からなり、第1層の一方の面
    に第2層が、第1層の他方の面に第3層が接合されてい
    ることを特徴とする高剛性防湿フィルム。 (a)第1層(A)は、ケン化度99モル%以上のポリビ
    ニルアルコールよりなる基体フィルムとその少なくとも
    片面に形成された透明なケイ素酸化物薄膜とより構成さ
    れる透明積層フィルムの単層体または積層体からなる。 (b)第2層(B)は、ポリビニルアルコール以外の透
    明プラスチックフィルムの単層体または積層体で構成さ
    れてなり、少なくとも1層のフィルムの少なくとも片面
    には透明なケイ素酸化物薄膜が形成され、しかも、次式
    で定義される剛性指数が15kg/mm以上の高剛性フィルム
    を少なくとも1層含み、そのうちの1層は、第1層
    (A)に第2層(B)を接合した際に外表面として露出
    するように、最外層に位置している。 Im=E×t (式中、Imは剛性指数を意味し、EはASTM D−638に準
    拠して測定したフィルムの引張弾性率(kg/mm2)を表
    し、tは厚さ(mm)を表す) (c)第3層(C)は、シール可能な樹脂層からなる。
  2. 【請求項2】高剛性フィルムの厚みは、200μm以下で
    あることを特徴とする請求項第1項記載の高剛性防湿フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】高剛性フィルムは、ポリエチレンテレフタ
    レートであることを特徴とする請求項1項又は第2項記
    載の高剛性防湿フィルム。
  4. 【請求項4】ケイ素酸化物薄膜は、真空蒸着法、スパッ
    タリング法、イオンプレーティング法のいずれかの方法
    によって形成されたものであることを特徴とする請求項
    第1項ないし第3項のいずれかに記載の高剛性防湿性フ
    ィルム。
  5. 【請求項5】基体フィルム(a)の厚さは5〜400μm
    の範囲、ケイ素酸化物薄膜の厚さは100〜5000Åの範
    囲、第2層(B)と第3層(C)との合計厚さは50〜10
    00μmの範囲であることを特徴とする請求項1項ないし
    は第4項のいずれかに記載の高剛性防湿性フィルム。
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