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JP2809927B2 - 定電流源回路 - Google Patents

定電流源回路

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JP2809927B2
JP2809927B2 JP4075309A JP7530992A JP2809927B2 JP 2809927 B2 JP2809927 B2 JP 2809927B2 JP 4075309 A JP4075309 A JP 4075309A JP 7530992 A JP7530992 A JP 7530992A JP 2809927 B2 JP2809927 B2 JP 2809927B2
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喜久男 加藤
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Mitsubishi Electric Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、集積回路等でよく使
用される定電流源回路に関し、特にその温度補償の改善
を図ったものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図11は定電流源回路の従来例を示す回
路図である。図において、1は基準電圧V1 を発生する
基準電圧源、2はこの基準電圧源1の基準電圧V1 がそ
の非反転入力に印加される演算増幅器、3はこの演算増
幅器2の出力がベースに印加され、エミッタが演算増幅
器2の反転入力に接続されたNPN型のトランジスタ、
4はトランジスタ3のエミッタとグランド間に接続され
た抵抗である。
【0003】次に動作について説明する。演算増幅器2
とトランジスタ3によって負帰還回路が構成されてお
り、抵抗4には基準電圧源1と同等の電圧が印加されて
いる。基準電圧源1の電圧をV1 、抵抗4の抵抗値をR
1 とすれば、抵抗4に流れる電流は、I1 =V1 /R1
となる。トランジスタ3の電流増幅率が充分高ければ、
コレクタよりほぼI1 と同等の電流を吸い込むことがで
きる。すなわち、V1 が一定、R1 が一定であればトラ
ンジスタ3のコレクタより、一定電流が得られるので、
この回路を定電流源回路として用いることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の定電流源回路は
以上のように構成されていたため、抵抗に温度特性があ
ると、定電流出力も温度特性を持ってしまうため、温度
特性のない抵抗を使用する必要があった。しかしなが
ら、特に定電流源回路をIC化する場合、IC内部の抵
抗(拡散抵抗、ポリシリコン抵抗等)は、温度特性が大
きいことが通常であり、この従来回路の構成で温度特性
のない定電流源を実現するのは困難であった。
【0005】こうした問題を解決するために、抵抗をI
C外部の抵抗として温度補償を行なうことが考えられる
が、それには、ICに余分な端子が必要となり、また外
付け抵抗であるため、IC内部の抵抗との相対比がとれ
ない等の欠点があった。
【0006】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、温度特性の補償された定電流源
回路を、IC化に最適な形で提供せんとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る定電流源
回路は、抵抗の温度特性を補償するために、基準電圧源
に温度補償特性を持たせることによって、定電流源を実
現したものであり、この基準電圧源の温度補償特性はダ
イオードもしくはダイオード接続されたトランジスタの
順方向電圧温度特性を用いて実現したものである。
【0008】
【作用】この発明においては、上述のように構成したこ
とにより、温度特性の大きいIC内部の抵抗を用いて
も、基準電圧源によって温度補償されるため、温度特性
のない外部抵抗等を用いる必要がなく、温度特性を持た
ない定電流源回路が実現できる。
【0009】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図1は本発明の一実施例による定電流源回路を示
すものであり、図において、図11と同一符号は同一の
ものを示す。10は本実施例における基準電圧源であ
り、相互に直列接続された、電流源I2 ,ダイオードD
1 ,電圧源V1 から構成されている。
【0010】この実施例は、基準電圧源10が、電流源
2 ,ダイオードD1 ,電圧源V1から構成され、抵抗
4の温度特性を補償すべくダイオードD1 により温度補
償特性が付与されている点を除けば、従来例と同様の構
成を持つ。
【0011】したがって得られる定電流出力I1 は、I
1 =V2 /R1 で、これは従来例と同様である。ここで
2 は、基準電圧源10の基準電圧である。
【0012】次にその温度補償動作について説明する。
ダイオードD1 の順方向電圧VF の温度係数をαとす
る。また抵抗4の温度係数をρとすると、電流I1 は、
【0013】 I1 =〔V1 +VF (1+αT)〕/〔R1 (1+ρT)〕 …(1)
【0014】で表わせる。Tは温度変化値である。した
がって、
【0015】 〔V1 +VF (1+αT)〕/(1+ρT) …(2)
【0016】を一定とすれば、I1 の温度補償が実現で
きる。
【0017】以下、理解を容易にするため具体的な数値
例を用いて説明する。室温(25°C)にて抵抗4の値
をR1 =10kΩ,ダイオードD1 の順方向電圧をVF
=0.7V,電圧源V1 の電圧をV1 =0.3Vとする
と、定電流出力をI1 =100μAと設定できる。
【0018】抵抗4の温度係数ρをρ=−2000pp
m/°Cとする。ダイオードD1 はシリコンであれば、
順方向電圧VF の温度特性は絶対値で−2mV/°Cで
あることが理論上知られているため、この温度特性を温
度係数に換算すると、順方向電圧VF の温度係数αはα
=−2860ppm/°Cとなる。
【0019】温度が100°C上昇した場合を考えてみ
ると、抵抗4の値R1 は、R1 =10kΩ・(1+ρ×
100°C)=8kΩとなる。また基準電圧V2 は、V
2 =V1 +VF ・(1+α×100°C)=0.3V+
0.7V・(1−0.286)=0.8Vとなる。この
時の電流I1 を求めると、I1 =V2 /R1 =0.8V
/8kΩ=100μAとなり、室温と比べ変化せず、温
度補償されていることがわかる。
【0020】図2は本発明の他の実施例である。この実
施例は、図1の基準電圧源10に抵抗R2 ,R3 が追加
されている。これは、ダイオードの順方向電圧の温度係
数を抵抗比に応じて任意の温度係数とするためである。
【0021】理解を容易にするために具体的な数値例を
用いて説明する。抵抗の温度係数ρがρ=−1000p
pm/°Cと、図1の実施例の1/2になった場合を考
える。この場合、補償する基準電圧源1の温度係数も1
/2とすれば良い。このため抵抗R2 =R3 =10kΩ
とする。
【0022】図1の実施例と同様に、室温での抵抗4の
抵抗値をR1 =10kΩ,ダイオードの順方向電圧をV
F =0.7Vとし、定電流値I1 がI1 =100μAと
なるように基準電圧源10の電圧値をV2 =1Vとす
る。このとき、基準電圧源1の電圧値V2 は、
【0023】 V2 =〔(R3 ×VF )/(R2 +R3 )〕+V1 …(3)
【0024】で与えられるから、電圧源V1 の電圧はV
1 =0.65Vとなる。
【0025】次に室温から100°C温度上昇した場合
を考えると、抵抗4の抵抗値R1 はR1 =10kΩ・
(1+ρ×100°C)=9kΩとなる。この時、基準
電圧源10の電圧値V2 は、
【0026】 V2 =〔(R3 ×VF (1+αT))/(R2 +R3 )〕+V1 …(4)
【0027】より、V2 =〔(10kΩ×0.7V(1
+α×100°C))/(10kΩ+10kΩ)〕+
0.65V=〔0.7V・(1−0.286)/2〕+
0.65V=0.9Vとなる。
【0028】したがって、I1 =V2 /R1 =0.9V
/9kΩ=100μAとなり、定電流値は室温と比べ変
化せず、温度補償されたことがわかる。
【0029】以上の数値例から分かるように、抵抗の温
度係数に応じて抵抗R2 とR3 の分圧比を変えてやれば
任意の温度係数について補償可能である。
【0030】以上、抵抗の温度係数が負の場合について
述べたが、図1,図2の接続を、図3,図4のごとく変
えてやれば、抵抗の温度係数が正の場合にも同様に実現
できる。
【0031】また、抵抗の温度係数がかなり大きい場合
は、図5のごとくダイオードを接続し、補償温度係数も
大きくする様に改良してやれば良い。
【0032】さらに、上記実施例では、設定すべき電流
値I1 の設定を容易に決定するため、電圧源V1 を用い
たが、特定の条件(定電流値)では、図6のごとく電圧
源V1 を用いず接地としてもよく、上記実施例と同様の
効果が得られる。
【0033】また、上記実施例では基準電圧源10に定
電流源I2 を使用したが、条件によっては抵抗に置き換
えてもよく、同様に実現できる。この実施例を図7に示
す。
【0034】また、図8のごとく、演算増幅器2とトラ
ンジスタ3を、トランジスタQ1 と抵抗R4 からなる簡
易なボルテージフォロワ5に置きかえてやれば、少ない
構成素子で同様に実現できる。
【0035】また、図1ないし図8のダイオードD1
ダイオード接続されたトランジスタに置き換えてもよ
く、同様に実現できる。
【0036】また、図9のごとく、トランジスタQ2
BEの温度係数を、基準電圧源10に追加した抵抗
2 ,R3 を用いてその抵抗比と同数倍した温度変化を
作り出すことにより、抵抗R1 の温度特性を任意に補償
できる。
【0037】理解を容易にするため、具体的な数値例を
用いて説明する。室温(25°C)にてR1 =10k
Ω,I1 =100μAに設定すると、V2 =1Vであ
る。R1の温度係数ρをρ=−3000ppm/°Cと
すると、トランジスタQ2 (VBE)の温度係数は−2m
V/°Cであることが理論上解っているため、トランジ
スタQ2 (VBE)の温度係数−2mV/°Cが抵抗R1
の温度係数−3000ppm/°Cに等しくなるように
その値を拡大するためには、抵抗比(R2 +R3 )/R
3 を(R2 +R3 )/R3 =(−3000ppm/°
C)/(−2mV/°C)=1.5に選べば良いから、
2 =5kΩ,R3 =10kΩとする。したがってV1
=−0.05Vとしてやれば、V2 =1Vとなり、I1
=100μAとなる(但し、VBE=0.7Vとする)。
室温から100°C温度上昇し、125°Cとなった場
合を考えて見ると、R1 =7kΩとなる。このときV2
=1.5VBE−0.05=0.7Vとなり、I1 =10
0μAと変化しないことが解る。なお、VBEは−2mV
/°Cの温度特性を持つため、125°CではVBE
0.5Vとなる。
【0038】次に、R1 の温度係数がρ=−4500p
pm/°Cである場合を考える。この場合は、(R2
3 )/R3 =(−4500ppm/°C)/(−2m
V/°C)=2.25とすれば良く、これはR2 =1
2.5KΩ,R3 =10KΩとすることにより実現でき
る。また電圧源V1 の電圧をV1 =−0.575Vとす
る。室温(25°c)では同様にR1 =10kΩ,VBE
=0.7Vであるから、V2 =1Vとなり、I1 =10
0μAと設定できる。
【0039】室温から100°c温度上昇したと仮定す
ると、R1 =5.5KΩ,V2 =2.25VBE(0.5
V)+V1 (−0.575V)=0.55Vとなり、I
1 =100μAとなり、やはり変化しない。
【0040】以上述べた様に、この図9の構成によっ
て、トランジスタのVBEの温度係数を抵抗比と同数倍し
てやることによっても、抵抗の温度特性を任意に補償で
き、IC化に最適な温度補償された定電流源を得ること
ができる。
【0041】なお、V1 は設定すべき電流値I1 を任意
に設定するためのものであるが、特定の条件(定電流
値)ではV1 を用いず接地しても同様の効果が得られ
る。
【0042】また、図9は抵抗の温度係数が負の場合に
ついて述べたが、図10の様に抵抗の温度係数が正の場
合も同様に実現できる。
【0043】また、トランジスタQ2 はNPNで説明し
たが、PNPトランジスタにても同様に実現可能であ
る。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように、この発明に係る定電
流源回路によれば、ダイオードもしくはダイオード接続
されたトランジスタの順方向電圧温度特性を用いて抵抗
の温度特性を補償するような温度補償特性を持たせるよ
うにしたので、抵抗の温度特性の影響を受けず、温度変
化のない定電流源回路が得られ、IC化が容易になるも
のが得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例を示す回路図である。
【図2】この発明の第2の実施例を示す回路図である。
【図3】この発明の第3の実施例を示す回路図である。
【図4】この発明の第4の実施例を示す回路図である。
【図5】この発明の第5の実施例を示す回路図である。
【図6】この発明の第6の実施例を示す回路図である。
【図7】この発明の第7の実施例を示す回路図である。
【図8】この発明の第8の実施例を示す回路図である。
【図9】この発明の第9の実施例を示す回路図である。
【図10】この発明の第10の実施例を示す回路図であ
る。
【図11】従来の定電流源回路を示す回路図である。
【符号の説明】
2 演算増幅器 3 トランジスタ 4,R2 ,R3 抵抗 D1 ダイオード Q2 ダイオード接続されたトランジスタ 10 基準電圧源

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基準電圧源の電圧を抵抗により変換して
    定電流を得る定電流源回路において、 上記基準電圧源内に、その順方向電圧温度変化により上
    記抵抗の温度変化を補償する、ダイオードもしくはダイ
    オード接続されたトランジスタと、該ダイオードもしく
    はダイオード接続されたトランジスタと直列接続され
    た,任意の上記定電流値を得るための電圧源とを設けて
    なることを特徴とする定電流源回路。
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