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JP2802424B2 - 誘電性もしくは圧電性を有する組成物 - Google Patents

誘電性もしくは圧電性を有する組成物

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Publication number
JP2802424B2
JP2802424B2 JP8065730A JP6573096A JP2802424B2 JP 2802424 B2 JP2802424 B2 JP 2802424B2 JP 8065730 A JP8065730 A JP 8065730A JP 6573096 A JP6573096 A JP 6573096A JP 2802424 B2 JP2802424 B2 JP 2802424B2
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JP
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dielectric
fiber
piezoelectric
resin
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JP8065730A
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正俊 谷口
紀八郎 西内
幸哉 晴山
稔 安喜
稔 竹中
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Otsuka Chemical Co Ltd
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Otsuka Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はチタン酸金属塩繊維
及び結合剤からなる誘電性もしくは圧電性を有する組成
物及びその成形物に関し、更に詳しくはチタン酸金属塩
繊維及び硬化性結合剤からなる誘電性もしくは圧電性を
有する硬化性組成物、チタン酸金属塩繊維及び被覆形成
能を有する結合剤からなる誘電性もしくは圧電性を有す
る被覆組成物及びチタン酸金属塩繊維と結合剤よりなる
誘電性もしくは圧電性を有する複合シートに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】近年、電子産業の発展
に伴ない誘電材料や圧電材料の発展もめざましいものが
ある。誘電性や圧電性を有する材料はいろいろのものが
知られている。セラミックス系では、水晶、ロッシェル
塩(NaKC4HO6・4H2O)、BaTiO3系、PZ
T系(PbTiO3−PbZrO3)、CdS、ZnOな
どが知られている。工業的にはBaTiO3系やPZT
系の材料を焼結した誘電体磁器や圧電体磁器が多量に使
用されている。しかしながら、高温での焼結のため省エ
ネルギー的でないこと、自由な賦形性がないことなどの
理由から高分子誘電体や高分子圧電体などが開発されて
いる。高分子誘電体や高分子圧電体は以下に述べる特長
を有している。即ち 柔軟性があること 各種の形状の製品が出来る事 人体とか水などの力学的整合性が良いこと 大きな面積が可能であること 薄いフィルムが作れること フィルム上に誘電・圧電の設計された分布を与える
ことが出来る事 など、セラミックス系にはない特徴を持っている。
【0003】高分子誘電体や高分子圧電体の種類には大
きく別けて2つの流れがあり、そのうちの1つは高分子
それ自体に誘電性や圧電性を有している群があげられ
る。その具体例としてはポリフッ化ビニリデン、シアノ
エチル化ポリオール、ポリビニルフォスファベンゼン、
ポリビニルキノリン、シアン化ビニリデン・酢酸ビニル
共重合体、フッ化ビニリデン・トリフルオロエチレン共
重合体などが挙げられる。しかしながら、これら高分子
誘電・圧電材料は、その代表例であるポリフッ化ビニリ
デンをセラミックス系のPZT系と比較すると誘電率が
13と1200と誘電率が低いことが問題であった。
【0004】そこで高分子誘電・圧電材料の特徴とセラ
ミックス系誘電・圧電材料の特徴と組合せてそれぞれの
特徴をあわせ有する材料の開発が盛んである。もう1つ
の高分子誘電・圧電材料としては上述の複合誘電・圧電
材料をあげることができる。複合誘電・圧電材料はセラ
ミックス系強誘電・圧電粉末と高分子のもつ加工性・柔
軟性の両方の特徴を生かしたものである。従来公知のセ
ラミックス系材料としてはBaTiO3系、PZT系な
どであり、従来公知の高分子としては誘電率の高いポリ
フッ化ビニリデン関連高分子やゴム又は熱可塑性樹脂が
代表的なものであった。
【0005】一般に高分子のマトリックス中にセラミッ
クスの微粉末を分散させた複合体の誘電率、圧電定数な
どは、セラミックスの混合量に比例して増加する。した
がって、高い誘電率や圧電定数を得ようとすると、高分
子/セラミックスの比が極端に小さくなり複合誘電・圧
電材料の高分子組成物としての特徴を失うといった欠点
が発生し、従来の技術では未解決のままであった。
【0006】また、特開昭56−162403号公報に
は結晶軸方向に伸長したチタン酸バリウム粒子が提案さ
れ、このものには結晶軸方向に誘電特性の顕著な異方性
を発揮させることが期待されている。しかしながら、上
記公報においては、樹脂との複合化は実際には試みられ
ておらず、実際に如何なる効果が得られるかは知られて
いない。加えて、上記公報に開示されている技術思想
は、繊維が結晶軸方向に伸長していることにより特定方
向の誘電特性を向上させ得るとするものである。従っ
て、斯かる効果を享受するためには繊維が特定方向に配
向されている必要があり、たとえ該公報が予測するよう
な効果が現実に得られるとしても極めて限定的な用途に
しか使用できないものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式MO・
n(Ti,X)O2(式中、Mは単独もしくは複数の二
価イオンの金属元素、Xは零もしくはジルコニウム、n
は実数である)で示される繊維長1〜1000μm、繊
維径0.01〜10μmのチタン酸金属塩繊維(但しチ
タン酸ジルコン酸鉛ウィスカーである場合を除く)と結
合剤とからなる誘電性もしくは圧電性を有する組成物に
係り、本発明によれば、加工性、機械強度の優れた誘電
性もしくは圧電性を有する樹脂組成物が得られることが
明らかになった。
【0008】本発明は従来の強誘電セラミックスの微粉
末に替えて、一般式MO・n(Ti,X)O2(式中、
Mは単独もしくは複数の二価イオンの金属元素、Xは零
もしくはジルコニウム、nは整数)で示されるチタン酸
金属塩繊維を採用した事により、従来の問題点を解決す
ることができた。
【0009】本発明のチタン酸金属塩繊維は従来知られ
ていた強誘電体セラミックス微粉末であるチタン酸金属
塩を例えばウィスカー状等の繊維状としたもので、その
形状としては繊維長、繊維径とも使用目的により異なり
特定されないが、繊維長は通常1〜1000μm、好ま
しくは2〜50μm、繊維径は通常0.01〜10μ
m、好ましくは0.1〜2μmであり、繊維長/繊維径
の比が20〜100程度のものが好ましい。
【0010】特に長繊維状ウィスカーは補強効果として
は一段と優れるが、細密充填時の空隙率が大で且つ均質
な樹脂組成分が得がたいので、一般には微細で且つ高ア
スペクト比(繊維長/繊維径の比)のものが好ましい
が、現在入手できるものは0.1〜2μmの繊維径で繊
維長が1〜20μm程度のものが多く、これらのものは
本発明において充分適用できる。
【0011】このようなチタン酸金属塩繊維を強誘電体
として採用することにより、従来の強誘電体微粉末に比
べ添加量が少なくても目的とする誘電・圧電特性が得ら
れる。また本発明の誘電性もしくは圧電性を有する樹脂
組成物は加工性が良い上、得られる成形品の機械的物性
が高く、この点は本発明で初めて達成できた全く新しい
特徴である。
【0012】即ち、本発明者等は、高誘電体を樹脂に配
合して誘電体材料と樹脂との複合化につき鋭意研究した
結果、結晶軸の伸長方向や繊維の配向方向とは関係な
く、繊維状の誘電体を配合することにより粉末状の誘電
体を配合する場合に比し誘電率を著しく向上させ得るこ
とを見い出した。つまり、本発明によれば、射出成形や
ブロー成形、プレス成形といった繊維の配向方向が一定
しない成形加工法によっても従来に比べてより高い誘電
率を有する樹脂組成物を得ることができるのである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明における上記一般式で示さ
れるチタン酸金属塩繊維において、Mで示される金属元
素の具体例としてはBa、Ca、Sr、Mg、Zn、C
o、Ni、Be、Cd及びPbからなる群から選ばれる
1種もしくは2種以上の組合せを挙げることができる。
したがって本発明のチタン酸金属塩繊維の代表的化合物
としてはチタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チ
タン酸ストロンチウム、チタン酸鉛などの強誘電性のチ
タン酸金属塩系繊維が例示でき、圧電性繊維としてはチ
タン酸ジルコン酸鉛等が例示できる。
【0014】本発明においてはこれら例示した各種強誘
電性もしくは圧電性繊維にドーパントとしてもう1種の
二価イオンの金属元素を添加したものも使用できる。更
にはこれら強誘電性繊維もしくは圧電性繊維は単独で、
あるいは併用して使用することもできる。
【0015】本発明に採用した上記一般式で示されるチ
タン酸金属塩繊維の合成法につき、その代表例を記述す
る。
【0016】1)チタン酸バリウム繊維の合成例 特開昭55−113623号公報に示された合成法であ
り、粉末二酸化チタンと無水炭酸カリウムに水を加え、
よく混練したものを乾燥し、1000℃で24時間焼成
する。冷却後水中に投入し、撹拌により繊維状物質を解
繊する。これを濾過して乾燥し、チタン酸カリウム水和
物ウィスカーを得る。
【0017】次いで、このようにして得られたチタン酸
カリウム水和物ウィスカーと水酸化バリウム及び水をオ
ートクレーブ中に仕込み、500℃にて20時間保っ
た。反応後急冷した試料を取り出し、濾過、水洗し、一
昼夜80℃で乾燥し、チタン酸バリウム繊維を得た。得
られたチタン酸バリウム繊維の繊維長と繊維径の比は少
なくとも10以上であった。
【0018】2)チタン酸ジルコン酸鉛ウィスカーの合
成例 チタン酸ジルコン酸鉛は立方晶であるのでPbOとTi
2及びZrO2の反応では等軸状粒子しか合成できない
が、フラックス中でTiZrO4を合成すると針状粒子
が得られることを見い出した。この針状TiZrO4
PbOを乾式混合し、800〜900℃で約1時間焼成
するとチタン酸ジルコン酸鉛ウィスカーが得られた。S
EM写真により観察すると、繊維長と繊維径の比が少な
くとも10以上であった。
【0019】本発明の第1態様において、一般式MO・
n(Ti,X)O2(式中、M、X及びnは前記に同
じ)で示されるチタン酸金属塩繊維を硬化性結合剤で結
合することにより、所望する誘電・圧電特性を有する硬
化性樹脂組成物を得る。このような硬化性結合剤は、当
該チタン酸金属塩繊維及び必要により加える他の成分を
結合して成型性を付与するもの及び/又は、支持体に決
着するものであって、触媒の存在、又は不存在下で、化
学反応を伴って高分子量化、或いは架橋して、不溶、不
融の結合剤となるものであり、一般に、熱、光、電子線
等各種外部エネルギーにより活性化されるが、室温以下
においても、雰囲気中の水分の存在、酸素の存在又は不
存在等の特殊雰囲気下で活性化されるものがある。
【0020】尚、本発明の硬化性結合剤としては通常有
機質の硬化性樹脂が適しているが、加工性、結合力さえ
具備していれば無機質の硬化性結合剤でも良い。
【0021】従って、本発明の結合剤は一般に、熱、
光、電子線及び/又は触媒等により化学反応を起し巨大
分子化する架橋点を有し、これらの架橋点として反応活
性を示す反応基が存在する。これらの反応基の代表的な
ものとしては、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル
基、アミノ基、ニトリル基、エポキシ基、ビニル基等の
不飽和基、アセチル基及びこれらの誘導体、有機金属化
合物における置換有機基等であり、通常これらの反応基
の一種又は二種以上が共存する。
【0022】従って本発明の硬化性結合剤は、反応活性
点で反応硬化しうるものであれば特に限定されないが、
代表的なものを例示すると、1)アミノ樹脂、2)フェノー
ル樹脂、3)アルキド樹脂、4)エポキシ樹脂、5)ウレタン
樹脂、6)ポリアミド樹脂、7)ポリエステル樹脂、8)ビニ
ル樹脂、9)ポリイミド樹脂、10)ポリメルカプト樹脂、
11)シリコン樹脂、12)弗素樹脂、13)ホウ素樹脂、1
4)有機チタン樹脂、15)珪酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩
等の無機質硬化性物質等の一種又は二種以上の混合物及
びこれらの前駆物質であって、熱、光、電子線、触媒等
で硬化して不溶不融の結合剤となるものが挙げられる。
【0023】尚、本発明の硬化性結合剤は一般に加工性
の便利さから、不溶不融化する前の前駆物質として与え
られることが多く、通常、固体粉末、液体、溶媒を含ん
だ溶液、分散媒を含んだ分散物又はエマルジョン、更に
特殊なものは気体として提供又は使用される。また、こ
れらの中には室温下、自然雰囲気下では不安定で直ちに
反応して硬化したり、二種以上混合することにより硬化
するもの、触媒の添加により硬化するもの等、単に熱又
は光等の外部エネルギーを与えなくとも反応するものが
あり、このように反応性が著しいものについては、反応
を抑制する環境例えば、不活性ガス雰囲気、冷暗所保
存、反応抑制剤の添加、触媒や二種以上からなる反応成
分の分割保存等が必要であるが、このような場合でも、
本発明のチタン酸金属塩繊維を結合して硬化させるもの
であれば良い。
【0024】更に本発明では、着色剤、分散剤、触媒、
助触媒、可塑剤、酸化防止剤、老化防止剤、反応抑制
剤、補強性充填剤、非補強用充填剤等、通常用いられる
各種添加剤を併用してもよく、また、本発明のチタン酸
金属塩繊維以外に補強性及び/又は非補強性の強誘電体
を併用しても良い。
【0025】本発明はチタン酸金属塩繊維を硬化性結合
剤で結合することにより誘電性もしくは圧電性を有する
硬化性組成物を得るものであり、チタン酸金属塩繊維と
硬化性結合剤との配合比率は使用目的、チタン酸金属塩
繊維及び硬化性結合剤の種類により特定できないが、チ
タン酸金属塩繊維が少なすぎると、誘電率や圧電特性等
の特性発現が期待できず、逆に硬化性結合剤が少なすぎ
ると結合力が不足して成型体等の強度が不足する。従っ
て通常結合剤100重量部(以下重量部を部と略す)に
対し、チタン酸金属塩繊維10〜2000部、好ましく
は50〜1000部の範囲が実用的である。但し本発明
のチタン酸金属塩繊維は、種々の色相を呈し、補強性充
填剤として優れたものであるので、これらの補強性及び
/又は色相を活用し、実質的に電気特性を利用しない硬
化性組成物、更には誘電性もしくは圧電性を他の誘電材
料に頼ったものであっても、本発明の樹脂組成物に含ま
れる。
【0026】また、硬化性結合剤以外に硬化性結合剤と
相溶する又は相分離する熱可塑性樹脂を併用しても、硬
化性結合剤が組成物の必須の一成分をなしておれば、こ
れらの熱可塑性樹脂を併用しても良い。
【0027】本発明の誘電性もしくは圧電性を有する樹
脂組成物を製造する方法は、使用目的、硬化性結合剤の
種類により異なり、特定できないが、硬化性結合剤が、
安定且つ、作業しやすい条件、雰囲気下で、チタン酸金
属塩繊維と硬化性結合剤を通常用いられている混合機、
分散機により混合又は分散させたのち、硬化条件下で処
理することにより得られ、このような混合、分散時必要
により通常用いられる触媒、溶媒、分散媒、その他各種
添加剤を加えることができる。
【0028】尚、硬化性結合剤又はその前駆物質は一般
に不安定のものがあり、二種以上の硬化性結合剤を併用
したときのこれらの一部又は全部混合時、チタン酸金属
塩繊維や他の添加剤、触媒等の混合時、室温、自然雰囲
気下で硬化するものがあるので、このような場合は、使
用直前迄分離して保存し、使用直前に混合すべきであ
る。
【0029】本発明の硬化性組成物は硬化性結合剤が熱
硬化性であれば、加熱により、光硬化性なら、紫外線、
電子線により、また特殊雰囲気、例えば湿気硬化性、嫌
気硬化性であればそれぞれの雰囲気下で処理することで
所望する誘電性もしくは圧電性の硬化性組成物が得られ
るが、これらの硬化を減圧下又は加圧下で行なっても良
い。また、本発明の誘電性もしくは圧電性を有する硬化
性組成物は、その一種または二種以上の複合物として用
いられるばかりでなく、支持層表面に固着した複合物と
して用いることが出来、一般に塗装、コーティング、印
刷、その他通常用いられる成型法が全て適用できる。ま
た本発明の誘電性もしくは圧電性を有する樹脂組成物を
製造する際あるいは成型体に電場等を印加してエレクト
レット化することも重要である。
【0030】本発明の誘電性もしくは圧電性を有する樹
脂組成物は、耐熱性、耐薬品性、成型物の表面平滑性、
強度、耐久性がすぐれたものであり、誘電体もしくは圧
電体としてセラミックスの代替はもちろん、従来公知の
高分子誘電・圧電材料の高性能化をはかることができ、
極めて産業利用性が高いものである。
【0031】本発明の第2の態様はチタン酸金属塩繊維
及び被覆形成能を有する結合剤(以下「基質」という)
からなる誘電性もしくは圧電性を有する被覆組成物であ
る。
【0032】本発明に係るこれら基質は、被覆組成物の
使用目的により異なるが軟質性被覆層を形成する軟質基
質と硬膜性被覆層を形成する硬質基質がある。本発明の
軟質基質とは、1)ワセリン、ラノリン、ペトロラタ
ム、歴青質化合物等非晶質又は低融点の炭化水素化合物
又はそれらの誘導体、2)脂肪酸及び脂肪酸のグリセリ
ンエステル等の油脂類、3)エチレンオキシド、プロピ
レンオキシド等アルキレンオキシドのホモポリマー又は
コポリマーからなるポリアルキレンオキシド、4)脂肪
酸及び脂肪酸のグリセリンオキシドとアルキレンオキシ
ドを付加させたアルキルポリアルキレンオキシド又はこ
れらの誘導体、5)液状ポリエチレン、液状ポリプレ
ン、液状アクリル樹脂、トリブチルフォスフェート等、
室温で液状又は可塑性を示す化合物等が例示され、これ
らの一種又は二種以上の混合物として用いる。
【0033】本発明の硬質基質とは、使用雰囲気条件で
皮膜形成能を有するものであり、一般に塗料、インキ、
接着剤、封止剤、成形材料等に用いられている結合剤を
そのまま用いることができる。本発明の硬質基質を例示
すると高級脂肪酸及びその誘導体、ポリオレフィン樹
脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ビニリ
デン樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニルフォルマール樹
脂、ビニルアセタール樹脂、セルローズ系樹脂、エポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリア
セタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニレンサ
ルファイド樹脂、液晶ポリマー、ポリイミダゾール、ポ
リオキサゾリン樹脂、フッ素樹脂及びシリコン樹脂等か
らなる群から選ばれた少なくとも1種の硬質結合剤が例
示される。
【0034】尚、本発明にあっては、これら基質に対し
通常用いられる触媒、硬化剤、硬化助剤、改質剤等各種
添加剤を併用しても良い。又、使用目的によっては軟質
基質、ゴムエストラマー、硬質基質を共用しても良い。
【0035】本発明のチタン酸金属塩繊維と基質の配合
割合は前述の硬化性組成物と同様であり、具体的には基
質100部に対し、チタン酸金属塩繊維10〜2000
部、好ましくは50〜1000部の範囲が実用的であ
る。チタン酸金属塩繊維が少なすぎると、誘電性や圧電
性等の特性発現が期待できず、逆に基質が少なすぎると
結合力が不足して成型体等の被覆性能が低下し、亀裂が
生じたり、強度が充分でないなど、好ましくない。
【0036】基質としてはそれ自体の誘電率が高い方が
好ましく、例えばポリフッ化ビニリデン、シアノエチル
化ポリオール、ポリビニルフォスファベンゼン、フッ化
ビニリデン・トリフルオロエチレン共重合体、シアン化
ビニリデン・酢酸ビニル共重合体などが好ましい例とし
て挙げることができる。
【0037】本発明のチタン酸金属塩繊維を基質中に含
有させる方法としては、通常用いられる分散機、混合
機、混練機等任意のものが使用でき、室温雰囲気以外、
加熱雰囲気、冷却雰囲気、減圧雰囲気、特定ガス置換雰
囲気等の任意の雰囲気下で行なうことができる。尚、本
発明では基質は、溶媒又は分散溶媒と共用し、溶液とし
て又はエマルジョン、コロイドその他分散液として用い
ることができ、更に基質中に本発明のチタン酸金属塩繊
維を含有させる過程及び/又は含有後において被覆組成
物を使用する前後において、被覆組成物の作成及び/又
は使用時の作業性を改善するための溶液、溶媒、分散助
剤、シランカップリング剤、粘度調整剤、防腐・防バイ
剤、着色剤、可塑剤、沈澱防止剤、難燃助剤等通常用い
られる添加剤を併用することができる。
【0038】更に本発明の組成物の性能を発現させるた
め被覆組成物の作成及び/又は使用前に電場等を与え、
エレクトレット化することもできる。
【0039】本発明はチタン酸金属塩繊維が含まれるこ
とを特徴とする誘電性もしくは圧電性を有する被覆組成
物であり、チタン酸金属塩繊維は、一般に単結晶繊維で
あるので誘電性もしくは圧電性に優れた異方性を与える
とともに補強効果をも発揮するので、極めて産業利用性
の高いものである。
【0040】本発明の第3の態様において、チタン酸金
属塩繊維を結合剤により結合して所望の形態の誘電性も
しくは圧電性を有する複合シートが得られる。
【0041】本発明の誘電性もしくは圧電性を有する複
合シートとは、コンデンサー、電線被覆等の電気、電子
部品、更には誘電率の温度変化、圧電効果、残留分極等
を利用した電気電子素子などに適用できるものであり、
誘電性もしくは圧電性を有する部分のみからなるシート
及びフィルム、誘電性もしくは圧電性を有する層と単な
る一般の絶縁層が各一層及び/又は二層以上からなる複
層構造のシート及びフィルム、誘電性もしくは圧電性の
異なった誘電・圧電層と一般の絶縁層が各一層及び/又
は二層以上からなる複層構造のシート及びフィルム、こ
れら誘電・圧電層及び/又は一般の絶縁層が所望する図
案により一部欠落したシート及びフィルムであり、これ
らシート及びフィルム中の誘電・圧電層の少なくとも一
層がチタン酸金属塩繊維を含有する複合シートで構成さ
れたものである。
【0042】本発明において結合剤とは、チタン酸金属
塩繊維及び必要により加える他の成分を結合したシート
成型性を付与するもの及び/又は、支持体に結着するも
のであって、原理的には制限がなく、水溶性高分子、あ
るいは疎水性高分子で熱可塑性、熱硬化性のものを自由
に使用でき、利用目的によって選択されるべきものであ
る。尚、本発明の結合剤は通常有機質の結合剤が適して
いるが、シート形成能、結合力さえ具備していれば、無
機質結合剤であっても良い。本発明の結合剤の具体例を
示すと、1)ワセリン、ラノリン、ペトロタノム、歴青質
化合物等非晶質又は低融点の炭化水素化合物又はそれら
の誘導体、2)脂肪酸及び脂肪酸と多価アルコールの縮合
物、更にはこれらの重合体及び誘導体、3)エチレンオキ
シド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドの単
一重合体又は共重合体、4)ロジン、マレイン化ロジン、
エステルガム等の天然樹脂及びその誘導体、5)オレフィ
ン系樹脂、6)天然又は合成ゴム、7)アルキド樹脂、8)ア
クリル樹脂、9)ビニル樹脂、10)ビニリデン樹脂、11)
ビニルエーテル樹脂、12)ポリエーテル樹脂、13)ビニ
ルアセタール樹脂、14)セルローズ系樹脂、15)エポキ
シ樹脂、16)ウレタン樹脂、17)ポリアミド樹脂、18)
ポリアセタール樹脂、19)ポリエステル樹脂、20)ポリ
サルフォン系樹脂、21)ポリスルフィド系樹脂、22)ポ
リイミダゾール樹脂、23)ポリオキサゾリン、ポリオキ
サゾラン系樹脂、24)シリコン樹脂、25)ポリメルカプ
ト樹脂、26)有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機
リン化合物、有機ホウ素化合物等の含金属有機化合物、
27)珪酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩等の無機質結合剤等の
天然又は合成の化合物であって、これらの一種又は二種
以上の混合物である。これらは既に高分子量化されたも
のばかりでなく、加工する時高分子量化する原料の一種
又は二種以上の混合物を光、熱又は触媒等の存在下で高
分子量化して結合力を発現するものであれば任意に選択
でき、また上述例示の結合剤のみに限定されるものでは
ない。
【0043】本発明はチタン酸金属塩繊維と結合剤を用
いシート又はフィルム状に成型して誘電性もしくは圧電
性を有する複合シートを得るものであり、チタン酸金属
塩繊維と結合剤の配合比率は、使用目的、チタン酸金属
塩繊維及び結合剤の種類により特定できないが、チタン
酸金属塩繊維が少なすぎると誘電・圧電特性が期待でき
ず、逆に結合剤が少なすぎると、結合力が不足して、シ
ート又はフィルムの強度が望めない。従って、通常結合
剤100部に対しチタン酸金属塩繊維50〜2000
部、好ましくは100〜1000部の範囲が実用的であ
る。
【0044】チタン酸金属塩繊維を結合剤中に含有させ
る方法としては、チタン酸金属塩繊維と結合剤成分(結
合剤又は結合剤の原料)又は結合剤成分の分散液、乳化
液、溶液、粉末、ペースト等及び必要により、希釈剤、
触媒、着色剤、シランカップリング剤、分散剤、可塑
剤、老化防止剤、充填剤等通常用いられる各種添加剤か
らなる配合物を混合機、分散機等により混合又は分散さ
せた混合物、分散物を得る。
【0045】このような混合物又は分散物を用い通常の
方法でシート化するのであるが、その方法として、例え
ば上述の混合物又は分散物を離型性を有する表面に塗布
又は延展してシートを成型する方法、紙、有機又は無機
質繊維からなる布帛、樹脂フィルム等のシート状の支持
層の表面に塗布又は延展してシート成型する方法、カレ
ンダー法及び押し出し成型法等及びこれらの複合構造等
種々の方法が用いられ、加工技術さえ整えば、ブロー成
型等も用いることができる。又、本発明の複合シートの
性能を引き出すため、シート作成時もしくはシート作成
後、電場等を与え、エレクトレット化することもでき
る。
【0046】尚、このような混合物又は分散物が射出成
形能を有する場合には、通常の方法で射出成形すること
により、シート状に限らず、各種の形状に成形すること
ができる。
【0047】本発明の複合シートにあってはチタン酸金
属塩繊維及び結合剤以外に通常用いられるシート改質剤
が含まれていても良い。尚、本発明のチタン酸金属塩繊
維のみで誘電性もしくは圧電性を付与できるが、通常用
いられている粉末状の誘電性セラミックス粉、圧電性セ
ラミックス粉、無機系誘電・圧電性化合物粉末を併用す
ることを何ら排除するものでない。
【0048】本発明の誘電性もしくは圧電性を有する複
合シートは、チタン酸金属塩繊維が補強性に優れ、且つ
必要により配向させることができ、異方性の調整が可能
であり、また通常の使用環境下で酸化等の物理的、化学
的変化を発生しにくく、耐熱性も優れているので、安定
な誘電性もしくは圧電性を有する複合シートが得られ、
極めて産業利用性の高いものである。
【0049】又、結合剤として弾性体を、チタン酸金属
塩繊維としてチタン酸ジルコン酸鉛ウィスカーからなる
複合シートは、その圧電性は特に優れたものであった。
【0050】本発明全体を通じて、焦電性については言
及していないが、焦電性の良好なチタン酸金属塩ウィス
カー、例えばチタン酸鉛ウィスカーを使用した場合は焦
電性を有する組成物が期待できる。
【0051】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明の特徴を更に詳し
く説明する。
【0052】実施例1 ポリプロピレン樹脂(住友ノーブレンH501、住友化
学工業株式会社製)とチタン酸バリウムウィスカー(大
塚化学株式会社製、平均繊維長14.2μm、繊維径
0.3〜0.5μm)をそれぞれ65/35、60/4
0、40/60、30/70の割合になるよう秤量し、
110℃で充分乾燥した後、ラボプラストミル(東洋精
機株式会社製)を用いてポリプロピレン樹脂の溶融を5
分間、混練を5分間、それぞれ175℃の温度で行な
い、得られたコンパウンドを圧縮成型機((株)神藤金
属工業所製)に装填し190℃、ゲージ圧50kgf/cm2
で加熱プレスして平板のサンプルを作成し、それぞれの
誘電率を測定した。
【0053】誘電率(ε)の測定はJIS K 691
1に準拠したLCRメーターを用い、測定周波数1KH
z、試料間電圧1Vの条件で行った。後に述べる比較例
との差は歴然で、約2倍以上の誘電率の差が見られた
(図1)。
【0054】比較例1 実施例1のチタン酸バリウムウィスカーの代りに市販さ
れている粉末状チタン酸バリウム(富士チタン株式会社
製、BT303)を使用したほかは全て実施例1と同様
に作業して同様の平板のサンプルを作成し、それぞれの
誘電率を測定した。
【0055】図1から本発明の組成物が優れた誘電特性
を有することが明瞭に看取される。
【0056】実施例2 ポリアセタール樹脂(ポリプラスチックス(株)製、ジ
ュラコン)とNBR(日本合成ゴム(株)製、JSRP
N30A、CN含量35%)を重量比で60/40に調
整するように加熱ロールを用いて190℃の温度で少量
づつ混ぜ合せながら、応力を加えながら混練を行ない、
よく混合したところで、チタン酸ジルコン酸鉛ウィスカ
ー(大塚化学(株)製、平均繊維長12μm、繊維径
0.5〜0.6μm)を上記ポリマーアロイに対し重量
比でポリマーアロイ/ウィスカー=35/65となるよ
うにわずかづつ添加しながら均一に混合し、次いで、こ
れを加熱プレスを用いて厚さ50μmのフィルムに成形
した。このフィルムに圧電性を付与するために成形品を
約60℃に加熱しながら、そのままの状態で成形物の表
裏より電界強度200KV/cmの直流電界を一時間印加
し、急冷することによって熱エレクトレット化して得ら
れた圧電材料の圧電定数(d31)は130.5×10-8
(CGS esu)であった。参考としてチタン酸ジル
コン酸鉛ウィスカーの代りに一般の圧電セラミックス粉
末として知られるチタン酸ジルコン酸鉛(半井化学薬品
(株)製 試薬1級)を使用し、同様に加熱プレスで厚
さ50μmのフィルムを成形し、エレクトレット化した
後その圧電定数(d31)は50.2×10-8(CGS
esu)であり、本発明の組成物が優れた圧電特性を有
することが明瞭に看取される。尚、エレクトレット化時
及び圧電定数測定時の電極としてフィルムの両面に真空
蒸着した銀蒸着膜を用いた。
【0057】実施例3 過酸化水素を触媒としてブタジエンを重合して、平均分
子量2800、OH基0.85ミリ当量/g、1,2結
合21%、1,4結合79%の液状ポリブタジエンポリ
オールを得た、このポリブタジエンポリオール100
部、乾燥したチタン酸バリウムウィスカー600部、ジ
ブチル錫ジラウレート0.1部を塗料用三本ロールで混
合した。この混合物100部に対し、トリレンジイソシ
アネート1.2部を加えて、120℃において1時間、
プレス内硬化を行った。このようにして得られた硬化物
の電気特性はJIS K 6911に準拠して測定した
ところ、誘電率は24(1KHz、20℃)、22(1
KHz、120℃)、誘電正接(tanδ)は0.01
3及び0.003であった。参考としてチタン酸バリウ
ムウィスカーの代りに市販のチタン酸バリウム粉末(富
士チタン(株)製、BT303)を同量添加する以外は
すべて実施例3と同様にして硬化物を得て、その電気特
性は、誘電率が12(1KHz、20℃)、10(1K
Hz、120℃)であり、誘電正接(tanδ)は0.
02及び0.005であった。
【0058】
【発明の効果】本発明の誘電性もしくは圧電性を有する
組成物は、チタン酸金属塩繊維は補強性に優れ、且つ必
要に応じて配向させることにより異方性の高い誘電・圧
電特性を発揮するので、従来の高分子誘電・圧電材料や
高分子複合誘電・圧電材料に代って利用される、極めて
産業利用性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1と比較例1でそれぞれ得られ
た成形品(平板)のチタン酸バリウムウィスカー及びチ
タン酸バリウム粉末の添加量と誘電率との関係を示した
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安喜 稔 徳島県徳島市川内町加賀須野463番地 大塚化学株式会社徳島研究所内 (72)発明者 竹中 稔 大阪府大阪市中央区大手通3丁目2番27 号 大塚化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−162403(JP,A) 特開 昭57−188462(JP,A) 特開 昭62−274502(JP,A) 特開 昭60−218703(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01G 23/00 H01B 3/00 H01G 4/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式MO・n(Ti,X)O2(式
    中、Mは単独もしくは複数の二価イオンの金属元素、X
    は零もしくはジルコニウム、nは実数である)で示され
    る繊維長1〜1000μm、繊維径0.01〜10μm
    のチタン酸金属塩繊維(但しチタン酸ジルコン酸鉛ウィ
    スカーである場合を除く)と結合剤とからなる誘電性も
    しくは圧電性を有する組成物を、繊維の配向方向が一定
    しない成形加工法により成形した成形体
  2. 【請求項2】 チタン酸金属塩繊維が繊維長2〜50μ
    m、繊維径0.1〜2μmのチタン酸金属塩繊維である
    請求項1記載の成形体
  3. 【請求項3】 結合剤100重量部に対し、チタン酸金
    属塩繊維を50〜1000重量部配合する請求項1又は
    請求項2記載の成形体
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