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JP2891533B2 - α―(4―イソブチルフェニル)エチルハイドロパーオキサイドおよびその製造方法 - Google Patents

α―(4―イソブチルフェニル)エチルハイドロパーオキサイドおよびその製造方法

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JP2891533B2
JP2891533B2 JP27363790A JP27363790A JP2891533B2 JP 2891533 B2 JP2891533 B2 JP 2891533B2 JP 27363790 A JP27363790 A JP 27363790A JP 27363790 A JP27363790 A JP 27363790A JP 2891533 B2 JP2891533 B2 JP 2891533B2
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hydroperoxide
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祐一 徳本
一夫 坂本
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、新規な物質であるα−(4−イソブチルフ
ェニル)エチルハイドロパーオキサイドおよびその製造
方法に関するものである。
α−(4−イソブチルフェニル)エチルハイドロパー
オキサイドは、消炎剤などの医薬として有用なα−(4
−イソブチルフェニル)プロピオン酸(商品名:イブプ
ロフェン)あるいはそのエステルを安価にかつ経済的に
製造するための中間体となる化合物である。
[従来の技術とその課題] イブプロフェンの合成法としては、p−イソブチルス
チレンを中間体として用い、これをカルボニル化する方
法が多く提案されている。
従来p−イソブチルスチレンは、例えば特公昭59−35
899号公報に開示されているように、p−イソブチルア
セトフェノンを水素添加した後脱水して製造することが
知られている。また、特開昭61−24527号公報に開示さ
れているように、イソブチルベンゼンとアセトアルデヒ
ドとを硫酸触媒の存在下に反応させて1,1−ビス(p−
イソブチルフェニル)エタンとし、この1,1−ビス(p
−イソブチルフェニル)エタンを酸触媒の存在下に接触
分解してp−イソブチルスチレンを製造している。
また、イブプロフェンの合成法として、特開昭63−28
4143号公報では、α−(4−イソブチルフェニル)エタ
ノールを中間体として用い、これを直接カルボニル化す
る方法を開示しているが、やはり原料α−(4−イソブ
チルフェニル)エタノールは、p−イソブチルアセトフ
ェノンの水素添加により製造されている。
しかしこれらのイブプロフェン製造法は、高価な原料
を使用する、収率が好ましくない、および工程数が多い
など、実用上解決すべき点が少なくない。そこで新規な
イブプロフェンの合成用中間体の出現が望まれている。
従来からアルキルベンゼン類を酸素酸化してアルキル
ベンゼンハイドロパーオキサイドを製造する方法は、例
えば、クメン等のモノアルキルベンゼンに対して広く工
業的に実施されている。また、同一のアルキル基を2つ
以上持ったベンゼン類の酸化によるポリアルキルベンゼ
ンハイドロパーオキサイドの製造も実施されている。
しかるに異なるアルキル基を持つジアルキルベンゼン
の一方のアルキル基のみを選択的に酸素酸化してモノハ
イドロパーオキサイドにする方法に関してはその例が少
ない。例えば、J.Prakt.Chem.,324、12(1982)でK.Bla
u、W.Pritzkowはp−メチルエチルベンゼン、p−メチ
ルイソプロピルベンゼンおよびp−エチルイソプロピル
ベンゼンについて、側鎖アルキル基のベンジル位の炭素
の酸化反応性は1級炭素<2級炭素<3級炭素の順に大
きくなると報告している。
しかし本反応のジアルキルベンゼンであるp−イソブ
チルエチルベンゼンにおいては、後述のように酸化され
る炭素は共に2級ベンジル炭素(式3)であり、その他
の炭素は酸化されないところから、本発明の反応はW.Pr
itzkowらの報告の反応とは明らかに相違するものであ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明は上述のような課題を解決するために、イブプ
ロフェンを容易に、短い工程で、かつ高収率で合成する
ための、下記式1で表わされる新規な中間体α−(4−
イソブチルフェニル)エチルハイドロパーオキサイドお
よびその選択的製造方法を提供するものである。下記式
1の化合物にはその光学異性体も含まれる。
上記式1の化合物は、ジアルキルベンゼンであるp−
イソブチルエチルベンゼンを分子状酸素により酸化する
ことにより製造する。すなわち、この酸化方法は、液相
で反応温度0〜300℃、反応圧力1〜200kg/cm2で、かつ
p−イソブチルエチルベンゼンの転化率をC%、反応温
度をT℃とすると、次式 2.7×10≦C(T+273)≦3.7×104を満たす反応条件下
で、分子状酸素と反応させることにより、α−(4−イ
ソブチルフェニル)エチルハイドロパーオキサイドを選
択的に製造することを特徴とする方法である。
ここで、2.7×10>C(T+273)となる反応条件では
エチル基に対する選択性は高いが、原料の転化率が低く
工業的に好ましくない。またC(T+273)>2.7×104
となる反応条件では、エチル基の選択率とイソブチル基
の選択率に大きな差はみられなくなる上に、望ましくな
い副生成物が増加するため好ましくない。
更に、より好ましい反応条件としては、 2.7×102≦C(T+273)≦2.7×104 の範囲であり、工業的に適当である。
本発明の方法により、p−イソブチルエチルベンゼン
のエチル基のベンジル位の炭素が選択的に酸化され、同
じ2級ベンジル位炭素でありながらイソブチル基のベン
ジル位炭素の酸化選択性は低く抑えることができる。し
かもイソブチル基の3級炭素が酸化されたハイドロパー
オキサイドの生成はない。
上記の酸化反応に用いる分子状酸素としては、純酸
素、空気あるいは酸素に窒素、アルゴンのような不活性
気体を加えた混合ガスが使用できる。
触媒としてはマンガン錯体のごときVII属金属錯体触
媒を使用してもよいが、特に触媒を用いない無触媒であ
っても十分な酸化速度が得られる。また、2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカル
ボニトリル、あるいはtert−ブチルハイドロパーオキサ
イドのごときラジカル発生剤を開始剤として用いてもよ
い。
生成するハイドロパーオキサイドの濃度は、酸素濃
度、反応温度、反応時間、触媒の種類とその量などによ
り適宜に選択できるが、実用上は急激な分解を避けるた
めに、50重量%程度以下に抑えておくことが好ましい。
得られたハイドロパーオキサイドは、低い濃度である
限りは安定に存在する。通常はそのまま、すなわち酸化
反応の反応液をそのまま、あるいは適宜に濃縮してイブ
プロフェン製造のための次の工程に供される。
次にこのα−(4−イソブチルフェニル)エチルハイ
ドロパーオキサイド(式1)を用いたα−(4−イソブ
チルフェニル)プロピオン酸あるいはそのアルキルエス
テルの合成について説明する。合成法はこれに限定され
るものではないが、例えば以下の通りである。
まず、α−(4−イソブチルフェニル)エチルハイド
ロパーオキサイドを還元しα−(4−イソブチルフェニ
ル)エタノールを製造する。
p−イソブチルエチルベンゼンの酸素酸化反応で得た
α−(4−イソブチルフェニル)エチルハイドロパーオ
キサイドとp−イソブチルエチルベンゼンの混合液をそ
のままあるいは濃縮して、金属触媒の存在下にC2〜C10
程度の低級オレフィン、好ましくはプロピレンと反応さ
せ、α−(4−イソブチルフェニル)エタノール(式
4)およびプロピレンオキサイド等の低級オレフィンの
エポキシ化合物のp−イソブチルエチルベンゼン溶液を
得る。これらの副生エポキシ化合物にも別途の用途があ
る。
なお、式中R1はHまたはC1〜C8のアルキル基である。
低級オレフィンは、ハイドロパーオキサイドに対し0.
5〜20モル当量、好ましくは2〜8モル当量用いられ
る。触媒はハイドロパーオキサイドに対し0.20〜3.3モ
ル%で十分である。
触媒としてV、W、Mo、Ti、Se、Cr、Zr、Nb、Te、T
a、Re、U等の金属触媒を使用する。特に優れた触媒は
モリブデン触媒である。触媒は金属のまま、あるいは二
硫化モリブデンや二酸化セレンのごとき無機化合物のま
ま、またはヘキサカルボニルモリブデンのごときカルボ
ニル化合物またはタングステンナフテネートのごときナ
フテネート類、あるいはリンモリブデン酸およびそのナ
トリウムおよびカリウム塩類のごときヘテロ多重酸(ヘ
テロポリ酸)類およびその塩類の形で使用可能である。
これらは単独で、あるいは混合物として使用可能であ
る。
オレフィンとの反応条件は適宜に選択できるが、実用
上、その反応温度は50〜300℃、反応圧力は大気圧ない
し200kg/cm2の範囲が好ましい。
また、α−(4−イソブチルフェニル)エチルハイド
ロパーオキサイドを還元してα−(4−イソブチルフェ
ニル)エタノールを製造する場合には、以下のようなホ
スフィン、ホスファイト、ホスホン酸またはスルフィド
による還元反応あるいは他の常法を用いることもでき
る。
例えば、p−イソブチルエチルベンゼンの酸素酸化反
応で得たα−(4−イソブチルフェニル)エチルハイド
ロパーオキサイドとp−イソブチルエチルベンゼンの混
合液を、そのままあるいは濃縮して、攪拌下に、必要で
あれば冷却してトリフェニルホスフィン、トリブチルホ
スフィンなどのホスフィンと反応させ、α−(4−イソ
ブチルフェニル)エタノール(式4)のp−イソブチル
エチルベンゼン溶液を得る。ホスフィンは1〜1.2当量
でよい。また、ジエチルエーテル等の不活性な有機溶媒
を用いてもよい。反応終了後は、必要であれば副生ホス
フィンオキサイドおよび未反応ホスフィンを濾過、蒸留
等により除いてもよい。ホスフィンの代りにトリフェニ
ルホスファイト、トリメチルホスファイト等のホスファ
イト、あるいはジフェニルスルフィド、ジターシャリー
ブチルスルフィド等のスルフィドを用いてもよい。
なお、このホスフィン等により還元する方法では、本
発明のパーオキサイドはほぼ定量的に還元される。
その他の使用し得る常法としては、例えば、第四アン
モニウム塩あるいはアルコール等水素供与体の存在下
で、Na、Li等の金属あるいは金属塩による水素添加、あ
るいはAl、B等の金属水素錯化合物による水素添加、あ
るいはAl、B、Si、Sn等の金属水素化物による水素添
加、あるいはCo、Cu、Pt、Pd、Rh等の金属触媒の存在下
で分子状水素による水素添加などの公知の方法がある。
次の反応に先立ってα−(4−イソブチルフェニル)
エタノールは必要に応じて蒸留等により単離してもよ
い。未反応のp−イソブチルエチルベンゼンは処理後再
び酸化の原料に用いられる。
α−(4−イソブチルフェニル)エタノール(式4)
を用いたイブプロフェンの製造法は、特開昭52−51338
号公報、特開昭52−97130号公報、あるいは特開昭63−2
84143号公報に開示されているのでこれら公報に記載さ
れた方法に従えばよい。
すなわち、α−(4−イソブチルフェニル)エタノー
ル(式4)は脱水反応等により容易にかつ有効にp−イ
ソブチルスチレン(式5)に変換し得る。
このp−イソブチルスチレンは、遷移金属錯体カルボ
ニル化触媒の存在下に、一酸化炭素および水もしくはア
ルコールにより容易にヒドロカルボキシル化あるいはヒ
ドロエステル化され、医薬品として有用なα−(4−イ
ソブチルフェニル)プロピオン酸あるいはそのエステル
(式2においてRはHまたは任意のアルキル基)が得ら
れる。
また、α−(4−イソブチルフェニル)エタノールを
一酸化炭素および水もしくはアルコールと直接反応させ
てα−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸あるい
はそのエステルを得ることもできる。
ヒドロエステル化物は、酸またはアルカリによって常
法に従い加水分解することにより、消炎効果に優れたα
−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸を容易に得
ることができる。
[発明の効果] 以上に詳述したように、本発明によれば、ジアルキル
ベンゼンであるp−イソブチルエチルベンゼンは選択的
に酸化される。すなわち、そのエチル基が選択的に酸化
されα−(4−イソブチルフェニル)エチルハイドロパ
ーオキサイドは高選択率で得られる。
本発明において提案した新規化合物であるα−(4−
イソブチルフェニル)エチルハイドロパーオキサイドは
α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸と同一の
炭素骨格を持っているので、この化合物を出発物質とす
るとα−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸を容
易に、短い工程で、且つ高収率で製造することができ
る。
例えば、α−(4−イソブチルフェニル)エチルハイ
ドロパーオキサイドは、低級オレフィン、ホスフィン、
ホスファイト、またはスルフィドと反応させるか、ある
いは任意の常法で還元することにより選択的にα−(4
−イソブチルフェニル)エタノールを生成する。α−
(4−イソブチルフェニル)エタノールは脱水反応等に
より容易にかつ有効にp−イソブチルスチレンに変換し
得る。このp−イソブチルスチレンは、遷移金属錯体カ
ルボニル化触媒の存在下に、一酸化炭素および水もしく
はアルコールにより容易にヒドロカルボキシル化あるい
はヒドロエステル化され、医薬品として有用なα−(4
−イソブチルフェニル)プロピオン酸あるいはそのエス
テルが得られる。
α−(4−イソブチルフェニル)エタノールを一酸化
炭素と水もしくはアルコールと直接反応させてα−(4
−イソブチルフェニル)プロピオン酸あるいはそのエス
テルを得ることもできる。
ヒドロエステル化物は、酸またはアルカリによって加
水分解することにより、消炎効果の優れたα−(4−イ
ソブチルフェニル)プロピオン酸を得ることができる。
[実施例] 以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明は、これらの実施例のみに限定されるもので
はない。
〈実施例1〉 α−(4−イソブチルフェニル)エチルハイドロパーオ
キサイド(式1)の合成および構造決定 本実施例1は、以下の実験1および参考のための実験
2および実験3よりなるものである。
−実験1− p−イソブチルエチルベンゼンの分子状酸素酸化による
α−(4−イソブチルフェニル)エチルハイドロパーオ
キサイド(式1)の合成 還流冷却器、空気吹き込み管および攪拌機を付けた50
0ml三口フラスコに、p−イソブチルエチルベンゼン
(純度98%)130gと、反応開始剤として2,2′−アゾビ
スイソブチロニトリル3.37gを入れ、空気を150ml/minで
バブリングしながら激しく攪拌した。反応圧力は大気圧
に、および反応温度は130℃に保ち、4時間反応させ
た。反応終了後冷却して反応液(以下この反応液を「反
応液A」と呼ぶ)を得た。分析によると、p−イソブチ
ルエチルベンゼンの転化率は19%であった。
反応液Aのパーオキサイドをヨウ素滴定法により滴定
したところ、パーオキサイド濃度は17.0重量%であっ
た。反応液Aの13C−NMR(溶媒CDCl3、TMS 1%入り、プ
ロトン完全デカップリング、以下同様)スペクトルを第
2図に示す。
生成したハイドロパーオキサイドの構造を決定するた
めに続いて以下の実験を行なった。
トリフェニルホスフィン2.53gをジエチルエーテル20m
lに溶解した溶液を0℃に冷却した。攪拌下に、この溶
液に反応液A10gを滴下した。反応終了後ジエチルエーテ
ルを蒸発により除去し、残油を減圧蒸留してトリフェニ
ルホスフィンとトリフェニルホスフィンオキサイドを除
き、反応液(以下この反応液を「反応液B」と呼ぶ)を
得た。
反応液Bの残留パーオキサイド濃度は0.1重量%であ
った。反応液Bの13C−NMRスペクトルを第3図に示す。
また、反応液Bをガスクロマトグラフィーで分析した結
果を第1表に示す。
表中の生成物の構造はGC−MASS、GC−IRおよび標品と
重ねてGC分析することによって確認した。第1図は酸化
原料のp−イソブチルエチルベンゼン(純度98%、アゾ
ビスイソブチロニトリル3%入り)の13C−NMRスペクト
ルである。
酸素酸化反応による生成パーオキサイドの構造は、13
C−NMRスペクトル、生成パーオキサイドとトリフェニル
ホスフィンとの反応によって得た反応液BのGC分析結果
および次に示す実験2および3の結果をも併せて、以下
の式1および式6で示されるパーオキサイドであると決
定した。
すなわち、本実験1の酸化により下記の2種のパーオ
キサイドが存在することが確認できた。勿論(式1)の
パーオキサイドが本発明のパーオキサイドである。
以下に、p−イソブチルベンゼンの分子状酸素酸化に
よる生成パーオキサイドの構造が式1および式6である
という結論に至った根拠について実験2および実験3の
結果をまじえてさらに説明する。なお、実験2はエチル
ベンゼン、また実験3はイソブチルベンゼンをそれぞれ
原料とする酸化である。
−実験2− エチルベンゼンの分子状酸素酸化によるα−フェニルエ
チルハイドロパーオキサイドの合成、続くトリフェニル
ホスフィンとの反応によるα−フェニルエタノールの合
成 エチルベンゼンの分子状酸素による酸化、続く低級オ
レフィンとの酸化還元反応によるα−フェニルエタノー
ルおよびオキシランの製造は、特公昭44−15771号公
報、特公昭44−23691号公報および特公昭44−28691号公
報に開示されているようによく知られている。また、α
−フェニルエタノールがエチルベンゼンの酸化生成物で
あるα−フェニルエチルハイドロパーオキシドを経由し
て生成していることもよく知られている。本発明者ら
は、エチルベンゼンの分子状酸素による酸化、続く還元
反応をあらためて検討し、13C−NMRによってα−フェニ
ルエチルハイドロパーオキサイドを初めて定量的に確認
した。
すなわち、まずエチルベンゼンの分子状酸素による酸
化反応を以下のように行なった。
還流冷却器、空気吹き込み管および攪拌機を付けた50
0ml三口フラスコに、エチルベンゼン(純度99%)130g
と反応開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリ
ル5.15gを入れ、空気を150ml/minでバブリングしながら
激しく攪拌した。反応圧力は大気圧、および反応温度は
130℃に保ち、6時間反応させた。反応終了後冷却して
反応液(以下この反応液を「反応液C」と呼ぶ)を得
た。反応液Cのパーオキサイド濃度はヨウ素滴定法によ
ると15.0重量%であった。
得られた反応液Cの13C−NMRスペクトルを第5図に示
す。
続いて反応液Cとトリフェニルホスフィンとの反応を
行なった。トリフェニルホスフィン2.60gをジエチルエ
ーテル20mlに溶解した溶液を0℃に冷却した。攪拌下
に、この溶液に反応液C10gを滴下した。反応終了後ジエ
チルエーテルを蒸発により除き、残油を減圧蒸留してト
リフェニルホスフィンとトリフェニルホスフィンオキサ
イドを除き、反応液(以下この反応液を「反応液D」と
呼ぶ)を得た。
反応液Dの残留パーオキサイド濃度はヨウ素滴定法に
よると0.05重量%であった。この反応液Dの13C−NMRス
ペクトルを第6図に示す。また、反応液Dをガスクロマ
トグラフィーで分析した結果を第2表に示す。
表中のトリフェニルホスフィンとの反応後の生成物の
構造はGC−MASS、GC−IRおよび標品と重ねてGC分析する
ことによって確認した。第4図は酸化原料のエチルベン
ゼン(純度99%、アゾビスイソブチロニトリル3%入
り)の13C−NMRスペクトルである。
第2表に示したように、エチルベンゼンの分子状酵素
による酸化、続くトリフェニルホスフィンによる還元反
応の主成物は確かにα−フェニルエタノールであった。
標品α−フェニルエタノールの13C−NMRスペクトルと
比べることによって、第6図の13C−NMRスペクトルのδ
70.5ppmに、生成α−フェニルエタノール(式7)の
位の炭素(水酸基の根元の炭素)のシグナルが確認でき
た。
エチルベンゼンの分子状酸素による酸化によりα−フ
ェニルエタノールを得る方法は、α−フェニルエチルハ
イドロパーオキサイド(式8)を経由する方法であるか
ら、第5図の13C−NMRスペクトルにα−フェニルエチル
ハイドロパーオキサイド(式8)の位の炭素(ハイド
ロパーオキシ基の根元の炭素)の化学シフトが確認され
るはずである。
13C−NMRにおいては化学シフト一に対する置換基によ
る加成則がなり立つといわれている(W.Kemp、“NMR IN
CHEMISTRY"、A Multinuclear Introduction、Chapter
5、Macmillan Publishers(1986))。同じ文献によれ
ばイソブタン(式9)の位の炭素の13C−NMR化学シフ
トはδ25ppmであり、一方、tert−ブチルハイドロパー
オキサイド(式10)の位の炭素の13C−NMR化学シフト
はδ80.3ppmである(Anal.Chem.、53、888(1981))。
つまり位の炭素の化学シフト位置は酸化されてハイ
ドロパーオキシ基が付くと約δ55ppm高周波数側にシフ
トする。
よって同様にあるアルキル炭素数13C−NMR化学シフト
は、酸化されてハイドロパーオキシ基が付くと、酸化さ
れる前に比べて55ppm程度高周波数側にシフトすると考
えられる。
エチルベンゼン(式11)の位の炭素(フェニル基置
換炭素)の化学シフトがδ28.5ppmであるので、α−フ
ェニルエチルハイドロパーオキサイド(式8)の位の
炭素8ハイドロパーオキシ基の根元の炭素)の化学シフ
トはδ83.5ppm程度であろうと考えられる。
そこで第5図の13C−NMRスペクトルを見るとδ83.8pp
mにシグナルがある。このシグナルは第4図の原料エチ
ルベンゼンの13C−NMRスペクトルにはないので酸化生成
物のシグナルであることは確かである。また、このシグ
ナルは第6図の13C−NMRスペクトルにはないのでトリフ
ェニルホスフィンによる還元反応の結果消失する官能基
が付いている炭素のシグナルである。
酸化反応の副生成物として若干のα−フェニルエタノ
ールおよびアセトフェノンが生成することがある。しか
し、第5図のδ83.8ppmのシグナルはα−フェニルエタ
ノールあるいはアセトフェノンに由来するシグナルでは
ない。すなわちα−フェニルエチルハイドロパーオキサ
イド(式8)の位の炭素(ハイドロパーオキシ基の根
元の炭素)のシグナルである。また、このシグナルの強
度が、第6図のδ70.5ppmのα−フェニルエタノール
(式7)の位の炭素(水酸基の根元の炭素)のシグナ
ル強度とほぼ一致していることもそれを裏付けている。
−実験3− イソブチルベンゼンの分子状酸素酸化とそれに続くト
リフェニルホスフィンによる還元反応 還流冷却器、空気吹き込み管および攪拌機を付けた50
0ml三口フラスコに、イソブチルベンゼン(純度98%)1
30gと、反応開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニ
トリル4.07gを入れ、空気を150ml/minでバブリングしな
がら激しく攪拌した。反応圧力は大気圧、および反応温
度は130℃に保ち、12時間反応させた。反応終了後冷却
して反応液(以下この反応液を「反応液E」と呼ぶ)を
得た。反応液Eのパーオキサイド濃度は10.4重量%であ
った。反応液Eの13C−NMRスペクトルを第8図に示す。
続いて反応液Eとトリフェニルホスフィンとの反応を
行なった。トリフェニルホスフィン2.17gをジエチルエ
ーテル20mlに溶解した溶液を0℃に冷却した。攪拌下
に、この溶液に反応液E10gを滴下した。反応終了後ジエ
チルエーテルを蒸発により除き、残油を減圧蒸留してト
リフェニルホスフィンとトリフェニルホスフィンオキサ
イドを除き反応液(以下この反応液を「反応液F」と呼
ぶ)を得た。反応液Fの残留パーオキサイド濃度は0.04
重量%であった。反応液Fの13C−NMRスペクトルを第9
図に示す。反応液Fをガスクロマトグラフィーで分析し
た結果を第3表に示す。
表中の生成物の構造はGC−MASS、GC−IRおよび標品と
重ねてGC分析することによって確認した。第7図は酸化
原料のイソブチルベンゼン(純度98%、アゾビスイソブ
チロニトリル3%入り)の13C−NMRスペクトルである。
イソブチルベンゼンには酸素酸化され得る炭素は2つ
あり、式12のおよびの炭素である。
GC分析表3からα−フェニルイソブチルアルコール
(式13)が主生成物であり、β−フェニル−1−メチル
プロピルアルコール(式14)は殆ど生成しないこと、お
よびジオールは生成しないことが分かる。
第9図の13C−NMRスペクトルと、標品の13C−NMRスペ
クトルとを比べることにより、δ80.0ppmに生成α−フ
ェニルイソブチルアルコール(式13)の位の炭素(水
酸基の根元の炭素)のシグナルが確認できたが、β−フ
ェニル−1−メチルプロピルアルコール(式14)の位
の炭素(水酸基の根元の炭素)のシグナルδ71.0ppmは
確認できなかった。
よって、酸化反応においておよびがともに酸化を
受けたジハイドロパーオキサイドは生成しないこと、
位が酸化されたハイドロパーオキサイドが主酸化生成物
であり、位が酸化されたハイドロパーオキサイドは殆
ど生成しないことは明らかである。
第8図の13C−NMRスペクトルにα−フェニルイソブチ
ルハイドロパーオキサイド(式15)の位の炭素(ハイ
ドロパーオキシ基の根元の炭素)の化学シフトが確認さ
れるはずである。
イソブチルベンゼン(式16)の位の炭素の化学シフ
トがδ45.1ppmであり、先にも述べたように13C−NMRの
化学シフト位置に対する置換基による加成則より、ハイ
ドロパーオキシ基の根元の炭素の化学シフトは55ppm程
度高周波数側にシフトし、イソブチルベンゼン(式16)
の位の炭素が酸化された場合δ100ppm程に位の炭素
のシグナルが現れると考えられる。
そこで、第8図の13C−NMRスペクトルのδ100ppm付近
を見ると、δ93.6ppmに第7図にないシグナル、すなわ
ち酸化生成物のシグナルがある。また、このシグナルは
第9図の13C−NMRスペクトルにはないので、トリフェニ
ルホスフィンにより還元されて消失する官能基がついて
いる炭素のシグナルである。イソブチルベンゼンの酸化
反応の副生成物として式13、式14のごときアルコール、
あるいは式17のごときケトンが考えられるが、δ93.6pp
mのシグナルはいずれに由来するものでもない。
すなわちδ93.6ppmのシグナルはハイドロパーオキシ
基の根元の炭素のシグナルである。13C−NMRにおける加
成則の誤差は数ppm(W.Kemp、“NMR IN CHEMISTRY"、A
Multinuclear Introduction Chapter 5、Macmillan Pub
lishers(1986))であるから、(100−93.6)ppm=6.4
ppmの誤差は許容差であり、よってδ93.6ppmのシグナル
はα−フェニルイソブチルハイドロパーオキサイド(式
15)の位の炭素(ハイドロパーオキシ基の根元の炭
素)のシグナルであると決定した。さらに、このシグナ
ルの強度が第9図のδ80.0ppmのα−フェニルイソブチ
ルアルコール(式13)の位の炭素(水酸基の根元の炭
素)のシグナル強度とほぼ一致していることも、このシ
グナルがα−フェニルイソブチルハイドロパーオキサイ
ド(式15)の位の炭素(ハイドロパーオキシ基の根元
の炭素)のシグナルであることを裏付けている。
以上のことから次のことが明らかになった。
α−フェニルエチルハイドロパーオキサイド(式8)
の位の炭素(ハイドロパーオキシ基の根元の炭素)の
化学シフト位置:δ83.8ppm α−フェニルイソブチルハイドロパーオキサイド(式
15)の位の炭素(ハイドロパーオキシ基の根元の炭
素)の化学シフト位置:δ93.6ppm 更に、実験1、2および3よりp−イソブチルエチル
ベンゼンの分子状酸素酸化により生成したパーオキサイ
ドの構造決定に至った根拠を述べる。
p−イソブチルエチルベンゼンには酸素酸化されうる
炭素は3つあり、式18の、およびである。
第1表の反応液BのGC分析によると、ジオールおよび
トリオールの生成はないので、先の反応条件におけるp
−イソブチルエチルベンゼンの分子状酸素酸化によりジ
ハイドロパーオキサイド、トリハイドロパーオキサイド
は生成しないことが明らかとなった。更に第1表のGC分
析によると位に水酸基がついたアルコールも生成しな
いので、先の反応条件におけるp−イソブチルエチルベ
ンゼンの分子状酸素酸化では位が酸化されたモノハイ
ドロパーオキサイドは生成しないことも明らかとなっ
た。従って、p−イソブチルエチルベンゼンの分子状酸
素酸化において生成するハイドロパーオキサイドは式19
あるいは式20であると考えられる。
位が酸化されたハイドロパーオキサイド(式19)が
生成していれば、酸化後の13C−NMRスペクトルには、エ
チルベンゼンの酸化の場合と同様にδ83.8ppmにハイド
ロパーオキシ基置が換された位炭素のシグナルがある
筈であり、位が酸化されたハイドロパーオキサイド
(式20)が生成していれば、酸化後の13C−NMRスペクト
ルには、イソブチルベンゼンの酸化の場合と同様にδ9
3.6ppmにハイドロパーオキシ基が置換された位炭素の
シグナルがあるはずである。そこで第2図の13C−NMRス
ペクトルを見ると予想通りδ83.8ppmとδ93.6ppmにシグ
ナルがある。これらのシグナルは第1図の13C−NMRスペ
クトルにはないので酸化生成物のシグナルであることは
明らかである。また、これらのシグナルは第3図の13C
−NMRスペクトルにないので、トリフェニルホスフィン
による還元反応で消失する官能基がついている炭素のシ
グナル、すなわちハイドロパーオキシ基の根元の炭素の
シグナルであるといえる。更に、第2図のδ83.8ppmの
シグナルの強度が、第3図のδ70.5ppmの生成α−フェ
ニルエタノールの水酸基の根元炭素のシグナル強度とほ
ぼ一致していること(第6図参照)、第2図のδ93.6pp
mのシグナルの強度が第3図のδ80.0ppmの生成α−フェ
ニルイソブチルアルコールの水酸基の根元の炭素のシグ
ナル強度とほぼ一致していること(第9図参照)もそれ
を裏付けている。
以上詳述したように、p−イソブチルベンゼンの液相
酸素酸化によって生成するハイドロパーオキサイドの構
造を確認し、α−(4−イソブチルフェニル)エチルハ
イドロパーオキサイド(式1)およびα−(4−エチル
フェニル)イソブチルハイドロパーオキサイド(式6)
の存在を明らかにした。
〈参考例1〉 α−(4−イソブチルフェニル)エタノール(式4)の
合成 実験例1の反応液A50g、二硫化モリブデン20mgを200m
lオートクレーブに入れ、攪拌しながら常温でプロピレ
ンにより約7kg/cm2まで加圧した。激しく攪拌しなが
ら、反応温度110℃で5時間反応させた。
反応終了後冷却し、続いて蒸留により原料、軽質分を
除き、α−(4−イソブチルフェニル)エタノール5.0g
とα−(4−エチルフェニル)イソブチルアルコール0.
4gを含む留分(以下この留分を「留分A」と呼ぶ)7.0g
を得た。
生成したα−(4−イソブチルフェニル)エタノール
のGC−IRスペクトルは標品と同一であった。
〈参考例2〉 p−イソブチルスチレン(式5)の合成 理論段数5段の蒸留管とリービッヒ冷却器を付けた10
0mlの三口フラスコにシリコーン油50mlおよび硫酸水素
カリウム3.8gを入れて150〜160℃に加熱し、真空ポンプ
により系内を5mmHg以下の圧力に維持しながら、参考例
1の方法に従って得られた留分A50g(7バッチ分)を徐
々に滴下した。リービッヒ冷却器からの留出物34.1gの
スペクトル等を標品のものと比べ、p−イソブチルスチ
レン31.8gとp−(2−メチル−1−プロペニル)エチ
ルベンゼン2.3gの混合物であることを確認した。
〈参考例3〉 α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸(式2、
R=H)の合成 参考例2で得た留出物34.1g、ビストリフェニルホス
フィンパラジウム5.4g、10%塩酸水溶液80g、溶媒とし
てトルエン80mlを500mlオートクレーブに入れ、攪拌し
ながら常温で一酸化炭素により100kg/cm2まで加圧した
後、120℃に達するまで加圧しながら昇圧し、300kg/cm2
まで加圧した。反応により一酸化炭素の吸収がなくなっ
た後、更に24時間反応を継続した。反応終了後冷却して
反応液を回収し、分液ロートで油層を分離し、油層を8
%水酸化ナトリウムで抽出した。抽出水溶液を分液後の
水層と合わせ、塩酸を添加してpH2とした。次いでクロ
ロホルムで抽出し、その抽出液から溶媒を留去してα−
(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸の淡黄色粗結
晶37.1gを得た。融点、スペクトル等は標品と同一であ
った。p−イソブチルスチレンの転化率は100%、α−
(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸の選択率90.5
%であった。
粗α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸の結
晶37.1gをノルマルヘキサン溶媒で再結晶させ、白色の
精製α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸結晶
30.7gを得た。このものの融点およびスペクトルは標品
と同一であった。
〈参考例4〉 α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸メチル
(式2、R=CH3)の合成 参考例2で得た留出物34.1g、メタノール13.4g、溶媒
としてトルエン90ml、触媒としてジクロロパラジウム0.
72g、更に配位子のトリフェニルホスフィン2.13gを500m
lのオートクレーブに入れ、攪拌しながら90℃に昇温し
た後、一酸化炭素で70kg/cm2の圧力に保ち、8時間反応
させた。
反応終了後冷却して反応液を回収し、触媒を濾別し、
溶媒を留去して残油42.0gをガスクロマトグラフィーで
分析したところ、α−(4−イソブチルフェニル)プロ
ピオン酸メチル91.8%、その他8.2%であった。
〈参考例5〉 α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸メチルの
加水分解によるα−(4− イソブチルフェニル)プロ
ピオン酸(式2、R=H)の製造 参考例4の残油42.0gと10%水酸化ナトリウム水溶液2
00mlとを攪拌しながら還流させ、約3時間加水分解を行
なった。冷却後反応液から水層を分離し、これに塩酸を
添加してpH2とした。次いでクロロホルムで抽出し、そ
の抽出液から溶媒を留去して淡黄色の粗α−(4−イソ
ブチルフェニル)プロピオン酸の結晶35.6gを得た。
粗α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸の結
晶35.6gをノルマルヘキサン溶媒で再結晶させ、白色の
精製α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸の結
晶28.9gを得た。このものの融点およびスペクトルは標
品と同一であった。
〈参考例6〉 ハステロイ製のオートクレーブに、上で得られたα−
(4−イソブチルフェニル)エタノールを含む留分A24.
9g、溶媒メチルエチルケトン45mlおよび10%塩酸40mlを
仕込み、触媒として塩化ロジウム0.004g、ヨウ素0.04g
およびトリフェニルホスフィン(P(Ph)3)0.10gを入
れ、一酸化炭素68kgを張り込み、反応温度130℃でガス
吸収がなくなるまで、80分間維持した。冷却後分析した
結果、α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸を
収率87.8%で得た。
【図面の簡単な説明】
第1図から第9図はそれぞれ13C−NMR(溶媒CDCl3、TMS
1%入り、プロトン完全デカップリング)のスペクトル
チャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 57/30 C07C 57/30 (56)参考文献 特開 平3−31231(JP,A) Oxid.Commun.,6(1− 4),161−172(1984) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 409/00,407/00 C07C 57/00 REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記構造式で表わされるα−(4−イソブ
    チルフェニル)エチルハイドロパーオキサイド。
  2. 【請求項2】p−イソブチルエチルベンゼンを反応温度
    0〜300℃および反応圧力1〜200kg/cm2で分子状酸素と
    選択的に反応させることを特徴とするα−(4−イソブ
    チルフェニル)エチルハイドロパーオキサイドの製造方
    法。
  3. 【請求項3】p−イソブチルエチルベンゼンの転化率を
    C%、反応温度をT℃とすると、 2.7×10≦C(T+273)≦3.7×104である条件下に酸化
    させる請求項2に記載の製造方法。
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