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JP2879921B2 - カチオン電着用樹脂組成物 - Google Patents

カチオン電着用樹脂組成物

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JP2879921B2
JP2879921B2 JP5194790A JP5194790A JP2879921B2 JP 2879921 B2 JP2879921 B2 JP 2879921B2 JP 5194790 A JP5194790 A JP 5194790A JP 5194790 A JP5194790 A JP 5194790A JP 2879921 B2 JP2879921 B2 JP 2879921B2
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俊生 藤林
治朗 長岡
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Kansai Paint Co Ltd
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Kansai Paint Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規な被覆用樹脂組成物に関し、さらに詳し
くは、塗面平滑性、浴安定性水分散性が改善されたカチ
オン電着塗料用樹脂組成物に関する。
本発明は、硬化剤としてのブロックポリイソシアネー
トや硬化触媒としての有機錫化合物を用いる必要がな
く、安定性及び硬化性に優れ、しかも塗膜の付着性、耐
候性、低温硬化性等の性能にも優れたカチオン電着塗料
用樹脂組成物に関する。
[従来の技術とその課題] 従来、カチオン電着塗料用樹脂組成物として、アミン
付加エポキシ樹脂のようなポリアミン樹脂とアルコール
類などでブロックした芳香族ポリイソシアネート化合物
(硬化剤)とを主成分とするものがもっとも多く使用さ
れ、塗膜の防蝕性にかんして優れた評価を得ている。し
かしながらこのカチオン電着塗料用樹脂組成物は本質的
な問題点として、硬化開始温度が高い(170℃以上);
また、硬化開始温度を低くするために硬化触媒として有
機錫化合物をもちいると、該錫化合物が焼き付け炉の排
気燃焼触媒を被毒させることがある。;さらに、塗膜を
硬化させるために高温加熱すると、ブロックポリイソシ
アネートが熱分解して、ヤニ、ススを生成し、しかも上
塗り塗膜に黄変、ブリード、硬化阻害等を引起こすと共
に該上塗り塗膜の耐候性が著しく低下し、白化しやすい
などの重大な欠点を有しており、その改良が強く望まれ
ている。
このため、本発明者らは、ブロックポリイソシアネー
ト化合物や有機錫化合物を使用しないでイソシアネート
硬化タイプの優れた長所を有し、且つこれらを用いたこ
とによって生じる上記欠点を解決したカチオン電着塗料
用樹脂組成物を提供すべく鋭意研究を重ねた。
従来より、硬化剤を使用せず、エポキシ基の開環反応
による自己架橋硬化性を利用した電着塗料用樹脂も知ら
れており、例えば、特公昭49−31736号公報、特公昭49
−23807号公報、特公昭48−69896号公報、特公昭47−13
432号公報などで提案されているが、これらはいずれも
電着塗料の浴安定性と塗膜の硬化性とが両立出来るもの
ではない。例えばこの内、もっとも一般的なグリシジル
エーテルタイプのポリエポキシ化合物は、硬化性に優れ
ているが、浴安定性に劣る。
また本発明者らは先にある種の特定の多官能重合体を
硬化剤としてもちいることにより、防蝕性を低下させる
ことなく、浴安定性および硬化性に優れており、さらに
有機錫化合物やブロックポリイソシアネート化合物の使
用に基づく前記した種々の欠陥を解消でき、しかも体積
収縮による歪みの発生がないため付着性に優れ、塗膜の
耐候性を著しく改良し、低温硬化性にも優れているカチ
オン電着塗料用樹脂組成物を提供した。
しかし、このものは無処理鋼板に塗装し50℃での塩水
浸漬試験に合格させようとするとカチオン性基の分散能
力の低下がみられ、エマルジョンの分散性が低下するお
それがあった。
[課題を解決するための手段] そこで発明者らは鋭意研究を行なった結果、ある種の
特定の多官能重合体を硬化剤としてもちい且つ、基体樹
脂のカチオン化剤として特定のアミノ化合物を用いるこ
とにより、防蝕性を低下させることなく、浴安定性およ
び硬化性に優れており、さらに有機錫化合物やブロック
ポリイソシアネート化合物の使用に基づく前記した種々
の欠陥を解消でき、しかも体積収縮による歪みの発生が
ないため付着性に優れ、塗膜の耐候性を著しく改良し、
低温硬化性にも優れ、無処理塩水浸漬試験に合格でき、
塗面平滑性に優れたカチオン電着塗料用樹脂組成物を見
出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、1分子中に水酸基、2級ア
ミノ基およびアミド基を併存するアミン化合物をエポキ
シ樹脂中のエポキシ基に反応させてなるエポキシ樹脂誘
導体(A)と;脂環式骨格および/または有橋脂環式骨
格にエポキシ基が結合してなるエポキ基含有官能基を1
分子あたり平均2個以上有するエポキシ樹脂(B)とを
主成分として含有するカチオン電着塗料用樹脂組成物が
提供される。
本発明のカチオン電着塗料用樹脂組成物をもちいて形
成される電着塗膜は約250℃以下の温度で硬化する。そ
して特に、鉛、ジルコニウム、コバルト、アルミニウ
ム、マンガン、銅、亜鉛、鉄、クロム、ニッケル等の金
属を含む化合物の単独又は複数を触媒として配合する
と、約70℃〜約160℃という低温加熱でも硬化させるこ
とが出来る。これらの硬化はエポキシ樹脂(B)に含ま
れるエポキシ基が開環して、樹脂(A)中の水酸基(好
ましくは第1級のもの)と反応して、さらに、該樹脂
(B)中のエポキシ基同士が反応して、それぞれエーテ
ル結合を形成して架橋硬化するものと推察される。
従って、本発明のカチオン電着塗料用樹脂組成物は、
錫触媒を用いなくても160℃以下の低温で硬化させるこ
とが出来る。;さらに、ブロックイソシアネート化合物
又はその誘導体を使用することがないのでこれらを用い
たことによる前記した種々の欠陥を解消出来る。;熱分
解による体積収縮がなく良好な付着性を示す;架橋結合
中に芳香族ウレタン結合又は芳香族尿素結合を持込むこ
とがないので、耐候性を損うことが少ない;電着塗膜の
防蝕性ならびに硬化性が優れている;電着浴の安定性が
良好である;(I)式で示されるアミンをカチオン化剤
として使用することにより、エマルション安定性が良好
である;塗面平滑性が良好である;無処理板に塗装した
塗膜の50℃塩水浸漬試験においても優れた防蝕性をしめ
す;などの種々の優れた利点を有するものである。
本発明において用いる上記エポキシ樹脂誘導体(A)
およびエポキシ樹脂(B)についてさらに詳細に説明す
る。
成分(A): 1分子中に水酸基、2級アミノ基およびアミド基を併
存するアミン化合物をエポキシ樹脂中のエポキシ基に反
応させてなるエポキシ樹脂誘導体。
成分(A)において用いる化合物は、一般式(I)、 [式中、nは1から6の整数、R1は水素原子、メチル基
またはエチル基、R2は炭素数4から36の炭化水素鎖であ
って、水酸基、不飽和基を含有しても良い。] で示される化合物があげられ、具体的には下記反応式の
ごとく、例えば、1モルのNヒドロキシアルキルアルキ
レンジアミンに1モルの炭素数5以上37以下のモノカル
ボン酸を付加することにより製造することが出来る。
[式中、R1、R2およびnは前記と同じ] 前記反応において用いられるNヒドロキシアルキルア
ルキレンジアミンとしては、例えばNヒドロキシエチル
エチレンジアミン、Nヒドロキシエチルプロピレンジア
ミン、Nヒドロキシエチルブチレンジアミン、Nヒドロ
キシエチルベンチレンジアミン、Nヒドロキシエチルヘ
キシレンジアミン、N(2ヒドロキシ)プロピルエチレ
ンジアミン、N(2ヒドロキシ)プロピルプロピレンジ
アミン、N(2ヒドロキシ)プロピルブチレンジアミ
ン、N(2ヒドロキシ)プロピルペンチレンジアミン、
N(2ヒドロキシ)プロピルヘキシレンジアミンなどが
挙げられ、中でもNヒドロキシエチルエチレンジアミン
が好適である。
又カルボン酸としては例えば椰子油脂肪酸、ひまし油
脂肪酸、こめぬか油脂肪酸、大豆油脂肪酸、トール油脂
肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、あま
に油脂肪酸、桐油脂肪酸等の混合脂肪酸、カプリル酸、
カプリン酸、ラウチン酸、ミリスチン酸、パルチミン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノー
ル酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、12ヒドロキシ
ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられ、このうち、
特にステアリン酸、オレイン酸および12−ヒドロキシス
テアリン酸などが好ましい。
上記反応式の一般式(II)で示されるジアミンにおい
て、R1のアルキル基の炭素数が3以上になると水酸基の
反応性が低下するおそれがあり、また、一般式(III)
のR2の炭素数が4より小さくなると塗面平滑性の向上が
困難である。
上記ジアミン(III)とモノカルボン酸(III)との等
モル付加物を得るための反応は、該両成分を等モル比で
混合し、トルエンやメチルイソブチルケトンなどの有機
溶剤を用いて、規定量の生成水を除去し、減圧法などで
残存溶剤を除去することによって行なわれる。
この一般式(I)で示されるアミン化合物に関し、ア
ミン価(2級アミン)は350〜88、特に230〜120が適し
ており、水酸基価(好ましくは1級水酸基価)は350〜4
4、特に230〜60が好ましい。
成分(A)において、上記アミン化合物と反応せしめ
るエポキシ樹脂は、1,2エポキシ基 を1分子中に約2個(平均値)以上有し、且つ200以
上、好ましくは400から4,000、さらに好ましくは800か
ら2,000の範囲内の数平均分子量を有するポリエポキシ
ド化合物が適している。そのようなポリエポキシド化合
物としては、それ自体公知のものを使用することが出
来、たとえば、ポリフェノールをアルカリの存在下にエ
ピクロルヒドリンと反応させることにより製造すること
が出来るポリフェノールのポリグリシジルエーテルが包
含される。かかるポリエポキシド化合物の代表例には、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、4,
4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ
−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス
(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキ
シナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メ
タン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−
エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、4,
4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒド
ロキシジフェニルスルフォン、フェノールノボラック、
クレゾールノボラック等のポリフェノールのグリシジル
エーテル、及びその重合物が挙げられる。
上記したポリエポキシド化合物の中で、成分(A)の
製造に特に好適なものは、数平均分子量が少なくとも約
380、より好ましくは約800から2,000、及びエポキシ当
量が190から2,000、より好ましくは約400から1,000の範
囲内のポリフェノールのポリグリシジルエーテルであ
り、殊に下記一般式 (q:0から7) で示されるポリエポキシド化合物である。
アミン化合物(I)とエポキシ樹脂との反応は、下記
反応式のごとく、アミン化合物(I)の2級アミノ基と
エポキシ樹脂のエポキシ基との間で行なわれるものと思
われる。
[式中、 はエポキシ樹脂の骨格部分を表わし(但し、上記式では
簡素化の為エポキシ基を1個のみ表示しているが、 には他に少なくとも1個のエポキシ基が結合しているこ
とを理解すべきである。)R1、R2及びnは前記と同
じ。] アミン化合物(I)とエポキシ樹脂との反応は、一般
に50℃から140℃、好ましくは100℃から120℃の温度に
加熱するだけで進行し、場合によっては、アルコール
系、ケトン系、エーテル系などの溶媒を使用しても良
い。またエポキシ樹脂とアミン(I)との反応割合は臨
界的ではなく任意に選ぶことができるが、未反応のアミ
ンの残存及び残存エポキシ基は原則として含まないこと
が望ましく、通常エポキシ基/アミン比を2/1から1/1の
範囲、特に1.5/1から1.05/1の範囲内の当量比にするこ
とが好ましく、これを越える場合は、1,2エポキシ基の
一部を予め他の反応試剤と反応させてブロックしておく
ことが望ましい。
アミン化合物(I)は、4以上の炭素を有する炭化水
素鎖を有しており、この部分が可塑成分として働くた
め、本質的には他の可塑成分を必要としないが、より良
い塗面平滑が要求される場合には、前記したポリエポキ
シド化合物の他に、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシ
ル)−2,2−プロパン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘ
キシル)−メタンなどの脂環族ポリグリシジルエーテ
ル、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸などのポリグ
リシジルエステル、エポキシ化1,2−ポリブタジエン、
グリシジル(メタ)アクリレート共重合体などを使用も
しくは併用することも出来る。また、該ポリエポキシド
化合物は、ポリカプロラクトンジオール、ポリプロピレ
ングリコールのようなポリオール、ポリエーテルポリオ
ール、ポリエステルポリオール;ダイマー酸ポリアミド
のようなポリアミドアミン;カルボキシル末端アクリロ
ニトリル・ブタジエン共重合体のようなポリカルボン
酸;ポリイソシアネートなどと部分的に反応させてもよ
く、さらにδ−4カプロラクトン、アクリルモノマー等
をグラフト重合させても良い。
また、成分(A)は、1級水酸基濃度の調整、塗面平
滑性の調整等、別の機能を付与するためにさらに変性す
ることができる。
変性法 活性水素およびアミノ基を有するアミノ系反応試剤
(アミド基を含まず)を反応させて、塩基性、親水性
(水溶解性や分散性)を調整できる。このために用いる
アミン系反応試剤としては例えば、メチルアミン、n−
又はiso−プロピルアミン、モノエタノールアミン、エ
チルアミン、n−又はiso−プロパノールアミンなどの
第1級アミン;ジエタノールアミン、ジエチルアミン、
N−エチルエタノールアミン、ジn−又はiso−プロパ
ノールアミン、N−メチルエタノールアミン等の第2級
アミン; エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヒドロキシ
エチルアミンエチルアミン、エチルアミノエチルアミ
ン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチ
ルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、などのポリ
アミン。
さらに上記アミン化合物以外にアンモニア、フォルム
アルデヒドオキサゾリジン、ヒドラジン、ヒドロキシエ
チルヒドラジン、N−ヒドロキシエチルイミダゾリン化
合物などの塩基性化合物も同様に使用する事が出来る。
変性法 他の活性水素を有しないアミン系反応試剤を予め酸で
プロトン化しエポキシ基と反応させて第4級塩にするこ
とにより、該樹脂誘導体の塩基性、親水性を調節するよ
うにしても良い。このために用いるアミン系反応試剤と
しては例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミ
ン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエ
タノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N
−エチルジエタノールアミンなどの第3級アミンが挙げ
られる。
又アミノ化合物以外に、ジエチルスルフィド、ジフェ
ニルスルフィド、テトラメチレンスルフィド、チオジエ
タノールなどのスルフィド類とほう酸、炭酸、有機カル
ボン酸などとの塩をエポキシ基と反応させて第3級スル
フォニウム塩としても良い。
更に、トリエチルフォスフィン、フェニルジメチルフ
ォスフィン、ジフェニルメチルフォスフィン、トリフェ
ニルフォスフィンと上記のごとき酸との塩をエポキシ基
と反応させて、第4級フォスフォニウム塩としても良
い。
変性法 モノカルボン酸、モノフェノール、モノアルコールと
反応させて該樹脂誘導体の塗面平滑性の調整を行なって
もよい。このために用いるアミン系反応試剤としては例
えば、2−エチルヘキサン酸、リノール酸、ノニルフェ
ノール、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。
上記(a)、(b)、(c)における反応試剤又は変
性剤とエポキシ樹脂誘導体との反応は、エポキシ樹脂
と、アミン(I)との反応に先立って行なうことが好ま
しいが、場合によっては同時に行なうことが出来、ある
いは後で行なっても良い。
エポキシ樹脂の変性に用いられる前記反応試剤又は変
性剤の使用量は、エポキシ樹脂自体の特性を損なわない
範囲であれば特に制限はないが、一般には重量比でエポ
キシ樹脂に対し1/3以下、好ましくは1/5以下とするのが
良い。
本発明で用いる成分(A)の水酸基としては、(I)
式のアミンから導入されるほか、例えば、上記カチオン
化剤中のアルカノールアミン、エポキシド化合物中に導
入されることがあるカプロラクトンの開環物及びポリオ
ールなどから導入できる第1級水酸基;エポキシ樹脂中
の2級水酸基;などがあげられる。
この内、(I)式のR1が水素原子であるアミン、上記
したカチオン化剤で例示したアルカノールアミンにより
導入される第1級水酸基は、エポキシ樹脂(B)との架
橋硬化反応性が優れているので好ましい。
成分(A)における水酸基の含有量は、エポキシ樹脂
(B)に含まれるエポキシ基との架橋硬化反応性からみ
て、水酸基当量で20〜5,000、特に100〜1,000の範囲内
が好ましく、特に第1級水酸基当量は200〜1,000の範囲
内にあることが望ましい。又カチオン性基の含有量は、
該成分(A)を安定に分散しうる必要最低限以上が好ま
しく、(I)式のアミンから導入されるカチオン化剤と
他の併用カチオン化剤との合計量がKOH(mg/g固形分)
(アミン価)換算で一般に10〜200、特に10〜80の範囲
内にあることが好ましい。
次に上記成分(A)と混合して使用される硬化剤とし
てのエポキシ樹脂(B)について説明する。
該エポキシ樹脂(B)(以下このものを「硬化用樹脂
(B)」ということもある)は、成分(A)と主として
エーテル化反応などによって架橋硬化塗膜を形成するた
めの硬化剤であって、特定の「エポキシ基含有官能基」
を1分子あたり平均2個以上、好ましくは3個以上有す
るものである。
すなわち、硬化用樹脂(B)における該エポキシ基含
有官能基は、脂環式骨格および/または有橋脂環式骨格
とエポキシ基とからなり、脂環式骨格は、4〜10員、好
ましくは5〜6員の飽和炭素環式環または該環が2個以
上縮合した縮合環を含有し、また、有橋脂環式骨格は、
上記環式または多環式環を構成する炭素原子2個の間に
直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜6(好ましくはC
1〜4)アルキレン基、[例えば−CH2−、−CH2CH
2−、−CH(CH3)−、−CH2(CH3)CH2−、−C(CH3)2−、
−CH(C2H5)CH2−など]の橋(エンドメチレン、エンド
エチレンなど)が結合した環を含有するものである。
一方、エポキシ基 は、該エポキシ基中の炭素原子の1つが上記脂環式骨格
または有橋脂環式骨格中の環炭素原子に直接結合してい
る[例えば、下記式(II)、(III)参照]か、或いは
該エポキシ基の2個の炭素原子と上記脂環式骨格または
有橋脂環式骨格中の環を構成する隣接する2個の炭素原
子とが共通している[例えば下記式(IV)、(V)参
照]ことが重要である。
そのようなエポキシ基含有官能基の具体例としては、
下記式(II)〜(V)で示されるものが挙げられる。
[式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R10及びR11はそれぞ
れH、CH3またはC2H5を表わし、そしてR4、R8及びR9
それぞれHまたはCH3を表わす。] 本発明で用いるエポキシ樹脂(B)は、上記式(II)
〜(V)から選ばれるエポキシ基含有官能基を1分子あ
たり平均少なくとも2個、好ましくは2個以上、より好
ましくは4個以上有することができ、例えば(II)また
は(III)で示されるエポキシ基含有官能基を少なくと
も1種有することができ、或いは式(IV)または(V)
で示されるエポキシ基含有官能基を少なくとも1種有す
ることができる。さらにまた、エポキシ樹脂(B)は、
式(II)または(III)で示されるエポキシ基含有官能
基の少なくとも1種と、式(IV)または(V)で示され
るエポキシ基含有官能基の少なくともとも1種とを同じ
分子内または異なる分子内に有することもできる。
上記のうち、式(II)及び(IV)で示されるエポキシ
基含有基が好ましく、殊に下記式(VI) で示されるエポキシ基含有官能基、及び下記式(VII) で示されるエポキシ基含有官能基が好適である。
また、本発明で用いるエポキシ樹脂(B)のエポキシ
当量及び分子量は厳密に制限されるものではなく、その
製造方法や最終の樹脂組成物の用途等に応じて変えるこ
とができるが、一般的に言えば、エポキシ当量は通常、
100〜2,000、好ましくは150〜500、さらに好ましくは15
0〜250の範囲内にあることができ、また、数平均分子量
は通常400〜100,000、好ましくは700〜50,000、さらに
好ましくは700〜30,000の範囲内にあるのが適当であ
る。
このようなエポキシ基含有官能基を1分子中に2個以
上有するエポキシ樹脂[硬化用樹脂(B)]は、例え
ば、特公昭56−8016号公報、特開昭57−47365号公報、
特開昭60−166675号公報、特開昭63−221121号公報、特
開昭63−234028号公報などの文献に記載されており、そ
れ自体既知のものを使用することができる。
或いはまた、上記エポキシ基含有官能基を有するエポ
キシ樹脂(B)はそれ自体既知の方法によって得られ、
その主な製造方法を以下に列挙するが、これらに限定さ
れるものではない。
第1の製造方法:1分子中に炭素−炭素二重結合を2個
以上有する脂環化合物の該二重結合の一部を部分エポキ
シ化し、そのエポキシ基を開環重合した後、重合体に残
る該二重結合をエポキシ化する方法。
第2の製造方法:同一分子中にエポキシ基を2個以上有
する脂環化合物を該エポキシ基に基づいて、該エポキシ
基のすべてが消去しない程度に開環重合する方法。
第3の製造方法:同一分子中にエポキシ基含有官能基と
重合性不飽和結合とを有する化合物を重合する方法。
以下、これらの製造方法についてさらに具体的に説明
する。
第1の製造方法: 1分子中に炭素−炭素二重結合を2個以上有する脂環
化合物(以下、「脂環化合物(A)」と略称する)に含
まれる該二重結合の一部をエポキシ化し(部分エポキシ
化物)、次いで該エポキシ基の開環重合によって該部分
エポキシ化物の開環重合体を得たのち、該重合体中に残
存する上記二重結合の一部もしくは全部をエポキシ化す
ることによって硬化用樹脂(B)を得る。
脂環化合物(A)は、脂環式骨格または有橋脂環式骨
格について前述した脂環式環または有橋脂環式環構造を
基本骨格とし、さらに二重結合を、環を構成する隣接炭
素原子2つの間で存在するか、又は該環構造を構成する
炭素原子に他の炭素原子に基づく二重結合が直接結合す
る状態で少なくとも2個以上含有する化合物である。
脂環化合物(A)は、例えば共役ジエン化合物を既知
の方法に基いて加熱することによっても得られる。共役
ジエン化合物は、1分子中に共役関係にある二重結合を
1対以上、好ましくは1〜5対有する炭素数が4〜30の
脂肪族または脂環式の化合物が適しており、具体的に
は、ブタジエン、イソプレン、ピリレン、1,3−ヘキサ
ジエン、2,4−ヘキサジエン、2,4−ヘプタジエン、2−
メチル−6−メチレン−2,7−オクタジエン、2,6−ジメ
チル−1,5,7−オクタトリエン、シクロペンタジエン、
シクロヘキサジエン、4−エチル−2−メチルシクロペ
ンタジエン、3−イソプロピル−1−メチルシクロペン
タジエン、5−イソプロピルシクロペンタジエン、1,2,
3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、1,2,4−トリ
フェニルシクロペンタジエン、1,4−ジフェニルシクロ
ペンタジエン、1,3−オクタクロルペンタジエン、ヘキ
サクロルシクロペンタジエン、5,5−ジエトキシ−1,2,
3,4−テトラクロルシクロペンタジエン、1,2,3,4,5−ペ
ンタクロルシクロペンタジエン、1,2,3,4−テトラクロ
ルシクロペンタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3
−シクロオクタジエン、1,3,5−シクロオクタトリエ
ン、1,3,6−シクロオクタトリエン、シクロオクタテト
ラエン、クロルシクロオクタテトラエン、ブロムシクロ
オクタテトラエン、5−シクロヘキシリデンシクロペン
タジエンなどがあげられ、これらはそれぞれ単独でもし
くは2種以上組合わせて用いることができる。
共役ジエン化合物を必要によりチーグラー触媒を用い
て加熱下で反応を行なわしめると脂環化合物(A)が得
られる。この加熱反応はそれ自体既知の方法で行なうこ
とができ、例えば特開昭49−102643号公報に開示された
方法で行うことができる。このようにして得られる脂環
化物(A)の代表例を示せば次のとおりである。
など。
上記共役ジエン化合物のうち、シクロペンタジエン、
シクロヘキサジエン、4−エチル−2−メチルシクロペ
ンタジエンなどの脂環式構造を有する化合物や、シルベ
ストレン、2,8(9)−p−メンタジエン、ピロネン、
1,3−ジメチル−1−エチル−3,5−シクロヘキサジエ
ン、テレピネン、フェランドレン、ジペンテン、イソリ
モネン、リモネンなどはすでに脂環式化合物(A)の構
造を有しているので、上記熱反応に供することなくその
まま使用することができる。
まず、脂環化合物(A)に含まれる炭素−炭素二重結
合の一部を過酸化物などによってエポキシ基に変性する
(部分エポキシ化)。部分エポキシ化物は、前記脂環化
合物(A)に含まれる複数の二重結合のうち一部をエポ
キシ基に変性したものであり、その具体例を示せば次の
とおりである。
など。
天然に得られるエポキシカレンなども部分エポキシ化
物として使用することができる。
部分エポキシ化物は1分子中にエポキシ基と炭素−炭
素二重結合とをそれぞれ少なくとも1個ずつ有してお
り、該二重結合は環を構成する隣接の炭素原子2個の間
に存在するかもしくは該環の炭素原子に他の炭素原子に
基づく二重結合が結合していることが必要である。
次に、この部分エポキシ化物中のエポキシ基に基いて
開環重合して脂環式化合物(A)の重合体を得る。この
開環重合には開始剤を用いることが好ましく、最終製品
である硬化用樹脂(B)の末端には該開始剤部分による
残基Xが結合していてもよい。ここで、Xは活性水素を
有する有機化合物残基であり、その前駆体である活性水
素を有する有機化合物としては、例えば、アルコール
類、フェノール類、カルボン酸類、アミン類、チオール
類等があげられる。このうち、アルコール類としては、
1価アルコール及び2価以上の多価アルコールのいずれ
であってもよく、具体的には例えば、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘ
キサノール、オクタノール等の脂肪族1価アルコール;
ベンジルアルコールのような芳香族1価アルコール;エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−
ヘキサジオール、ネオペンチルグルコール、オキシビバ
リン酸ネオペンチルグルコールエステル、シクロヘキサ
ンジメタノール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリ
セリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、ペンタエリストール、ジペンタエリストリールなど
の多価アルコール等が例示される。
フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾ
ール、カテコール、プロガロール、ハイドロキノン、ハ
イドロキノンモノメチルエーテル、ビスフェノールA、
ビスフェノールF、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、ビスフェノールS、フェノール樹脂、グレゾールノ
ボラック樹脂等が挙げられる。
カルボン酸類としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、
酪酸、動植物油の脂肪族;フマル酸、マレイン酸、アジ
ピン酸、ドデカン2酸、トリメリット酸、ピロメリット
酸、ポリアクリル酸、フタール酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸等を例示することができ、また、乳酸、クエン
酸、オキシカプロン酸等の水酸基とカルボン酸を共に有
する化合物も使用することができる。
さらに、その他の活性水素を有する化合物として、テ
トラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、メチ
ルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジ
メチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン
等のアルコキシシランと水の混合物又はこれらのシラノ
ール化合物、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部
分加水分解物、デンプン、セルロース、セルロースアセ
テート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシ
エチルセルロース、アクリルポリオール樹脂、スチレン
−アリルアルコール共重合樹脂、スチレン−マイレン酸
共重合樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステルポリオール
樹脂、ポリカプロラクトンポリオール樹脂等も使用する
ことができる。また、活性水素と共に不飽和二重結合を
有していてもよく、さらに該不飽和二重結合がエポキシ
化されたものであっても差し支えない。また、アルコキ
シ金属化合物のように触媒と開始剤が同一であってもよ
い。
通常、上記活性水素を有する有機化合物を開始剤に
し、上記部分エポキシ化物、例えば4−ビニルシクロヘ
キセン−1−オキシド、4−ビニルシクロ[2,2,1]3
−メチル−4(または5)−t−プロペニル−1−シク
ロヘキセンオキシド、2,4−または1,4−ジメチル−4エ
テニル−1−シクロヘキセンオキシド、4−ビニルシク
ロ[2,2,1]ヘプテン−1−オキシド(ピニルノルボル
ネンオキシド)2−メチル−4−イソプロパニル−シク
ロヘキセンオキシドなどを単独または複数用いて開環重
合するこのとき更に上記部分エポキシ化物に属さない他
のエポキシ化合物を併存させて、開環共重合することも
可能である。共重合させ得る他のエポキシ化合物として
は、エポキシ基を有するものであればいかなるものでも
よいが、好適な例には、エチレンオキサイド、プロピレ
ンオキサイド、プチレンオキサイド、スチレンオキサイ
ド等の不飽和化合物の酸化物;アリルグリシジルエーテ
ル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、メチルグ
リシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニ
ルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;
アクリル酸、メタクリル酸のような不飽和有機カルボン
酸のグリシジルエステル化合物;3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチル(メタ)アクリレートなどの脂環式オキシ
ラン基含有ビニル単量体等があげられる。
上記開環重合体は、部分エポキシ化物を単独もしくは
必要に応じてその他のエポキシ化合物を併存させて、こ
れらに含まれるエポキシ基を開環重合(エーテル結合)
させることによって得られる。開環重合体におけるその
他のエポキシ化合物の構成比率は目的に応じて任意に選
ぶことができるが、具体的には、得られる開環共重合体
1分子あたり前記構造式(II)〜(V)のいずれか1種
又は複数種を平均2個以上、好ましくは平均3個以上、
より好ましくは4個以上有する範囲内で選ぶことが望ま
しい。
このようにして得られる該(共)重合体の数平均分子
量は一般に400〜100,000、特に、700〜50,000、さらに7
00〜30,000の範囲内にあることが好ましい。
開環重合反応には、一般に触媒の存在下に行なうこと
が好ましく、使用しうる触媒としては、例えば、メチル
アミン、エチルアミン、プロピルアミン、ピペラジン等
のアミン類;ピリジン類、イミダゾール類の有機塩基
類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類;硫酸、塩
酸等の無機酸;ナトリウムメチラート等のアルカリ金属
ウルコラート類;KOH、NaH等のアルカリ類;BF3、ZnC
l2、AlCl3、SnCl4等のルイス酸又はそのコンプレックス
類;トリエチルアルミニウム、アルミニウムアセチルア
セトナート、チタニウムアセチルアセトナート、ジエチ
ル亜鉛等の有機金属化合物を挙げることができる。
これらの触媒は反応物に対して一般に0.001〜10重量
%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲内で使用すること
ができる。開環重合反応温度は一般に約−70〜約200
℃、好ましくは約−30℃〜約100℃の範囲内である。反
応は溶媒を用いて行なうことができ、溶媒としては活性
水素を有していない通常の有機溶媒を使用することが好
ましい。
開環重合体には脂環化合物(A)に基づく二重結合が
存在しており、そのすべてもしくは一部をエポキシ化す
ることによってエポキシ樹脂(B)が得られる。二重結
合のエポキシ化は例えば過酸類、ハイドロパーオキサイ
ド類等のエポキシ化剤を用いて行なうことができる。エ
ポキシ化反応の際の溶媒使用の有無や反応温度は、用い
る装置や原料物性に応じて適宜調整することができる。
エポキシ化反応の条件によって、原料開環重合体中の二
重結合のエポキシ化と同時に副反応がおこり、変性され
た置換基が、エポキシ樹脂(B)の骨格中に含まれるこ
とがある。この変性された置換基としては、例えばエポ
キシ化剤として過酢酸を用いる場合には、下記構造の置
換基があげられ、これは生成したエポキシ基と副生した
酢酸との反応によるものと思われる。
これらの変性された置換基が含まれる比率はエポキシ
化剤の種類、エポキシ化剤と不飽和基のモル比、反応条
件によって定まる。
このようにして得られるエポキシ樹脂(B)のエポキ
シ当量は一般に100〜2,000、特に150〜500、さらに150
〜250の範囲内であることが好ましい。
このようなエポキシ樹脂(B)としては市販品も使用
可能であり、例えばEHPE−3150、EHPE−3100、EHPE−11
50[ダイセル化学工業(株)製商品名]等があげられ、
これは4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドを用
いたシクロヘキサン骨格をもつ下記構造式のエポキシ樹
脂である。
[式中、nは2以上であり、好ましくは3以上、より好
ましくは4以上である。] 第2の製造方法: 例えば、前記脂環化合物(A)に含まれる二重結合の
うち少なくとも2個をエポキシ化し、次いでエポキシ基
が残存するように開環重合することによって得られる。
上記1分子あたり平均2個以上のエポキシ基を有する
エポキシ化物としては、単環式もしくは縮合環式の下記
化合物を代表的に示される。
[例えば、ダイセル化学(株)製、商品名「セロキサイ
ド」などがあげられる]、 具体的には、上記エポキシ化物の1種以上を前記第1
の製造方法で述べたのと同様にして、必要に応じ開始
剤、触媒を使用し、開環重合反応を行ないエポキシ基が
残存している所定の反応点で反応を止めることによりエ
ポキシ樹脂(B)を得る。反応を停止させるには、溶剤
による希釈、冷却等任意の手段が使用することができ
る。この製造方法においても前記他のエポキシ化合物を
第1の製造方法と同様に共重合させてもよい。
こうして得られる硬化用樹脂(B)は、前記式(II)
または(III)で示されるエポキシ基含有官能基の少な
くとも1種と前記式(IV)または(Vで示されるエポキ
シ基含有官能基の少なくとも1種とを同一分子中または
異なる分子中に有するエポキシ樹脂であることもでき
る。
このようにして得られる開環重合体[硬化用樹脂
(B)]の数平均分子料は一般に400〜10,000、特に700
〜50,000の範囲内にあることが好ましく、また、エポキ
シ当量は一般に100〜2,000、特に150〜500、さらに150
〜250の範囲内にあることが好都合である。
第3の製造方法: 同一分子中にエポキシ基含有官能基と重合性不飽和結
合とをそれぞれ少なくとも1個ずつ有する化合物(以
下、「重合性エポキシモノマー」と略称することがあ
る)としては、例えば以下の一般式〜に示すものが
あげられる。
上記一般式中、R11は水素原子又はメチル基を表わ
し、R12は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基
を表わし、R13は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表
わす。
上記重合製エポキシモノマーにおいて、R12によって
表わされる炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基とし
ては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、例えばメチ
レン、エチレン、プロピレンテトラメチレン、エチルメ
チレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等を挙げる
ことができる。また、R12によって表わされる炭素数1
〜10の2価の炭化水素基としては、例えばメチレン、エ
チレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエレン、
ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ポリメチレン、フェ
ニレン、 基準を挙げることができる。
上記一般式〜で示される重合性エポキシモノマー
の具体例としては、3,4−エポキシシクロへキシルメチ
ルアクリレートおよび3,4−エポキシシクロへキシルメ
チルメタクリレートなどがあげられる。これらの市販品
として、例えば、ダイセル化学工業製のMETHB、AETHB
(いずれも商品名)等があげられ、これらはいずれも前
記式(1)または(II)で示されるエポキシ基含有官能
基を有しているものである。さらに、4−ビニルシクロ
ヘキセンオキサイドも重合性エポキシモノマーとして使
用できる。
重合性エポキシモノマーから選ばれる1種もしくは2
種以上を重合することによってエポキシ樹脂(B)を製
造することができるが、その際他の重合性不飽和モノマ
ーを共重合させることもできる。
上記他の重合性不飽和モノマーとしては、得られる
(共)重合体に望まれる性能に応じて広範に選択するこ
とができ、その代表例を示せば次のとおりである。
(a)アクリル酸又はメタクリル酸のエステル例え
ば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリ
ル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタ
クリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル
酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステ
ル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシ
ブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メト
キシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸
エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素
数2〜18のアルコキシアルキルエステル;アリルアクリ
レート、アリルメタクリレート等のアクリル酸又はメタ
クリル酸の炭素数2〜8のアルケニルエステル;ヒドロ
キシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸
の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;アリル
オキシエチルアクリレート、アリルオキシメタクリレー
ト等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数3〜18のア
ルケニルオキシアルキルエステル。
(b)ビニル芳香族化合物;例えば、スチレンα−メ
チルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン。
(c)ポリオレフィン系化合物;例えば、ブタジシエ
ン、イソプレン、クロロプレン。
(d)その他;アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニルベオバモ
ノマー(シェル化学製品)、ビニルプロピオネート、ビ
ニルピバレート、ポリカプロラクトン鎖をもつビニル化
合物(例えば、FM−3Xモノマー:ダイセル化学工業製商
品名)。
重合性エポキシモノマーと他の重合性不飽和モノマー
との構成比率は、目的に応じて任意に選択することがで
き、これらの共重合反応によって得られるエポキシ樹脂
(B)の1分子中あたりエポキシ基含有官能基が平均少
なくとも2個、好ましくは平均3個以上、より好ましく
は平均4個以上含有するような範囲で選択することがで
きるが、十分な硬化性を付与する官能基として利用する
ためには、特に該エポキシ樹脂(B)固形分中重合性エ
ポキシモノマー含有率が5〜100重量%、より好ましく
は20〜100重量%の範囲内となるようにするのが好まし
い。
上記第3の製造方法によって得られるエポキシ樹脂
(B)は、通常のアクリル樹脂やビニル樹脂等の重合性
不飽和結合に基く重合反応と同様の方法条件を用いて製
造することができる。このような重合反応の一例とし
て、各単量体成分を有機溶剤に溶解もしくは分散せし
め、ラジカル重合開始剤の存在下で60〜180℃程度の温
度で撹拌しながら加熱する方法を示すことができる。反
応時間は通常1〜10時間程度とすることができる。ま
た、有機溶剤としては、アルコール系溶媒、エーテル系
溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等を使用でき
る。炭化水素系溶媒を用いる場合には、溶解性の点から
他の溶媒を併用することが好ましい。さらに、ラジカル
開始剤として通常用いられているものをいずれも用いる
ことができ、その具体例として、過酸化ベンゾイル、t
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過
酸化物;アゾイソブチルニトリル、アゾビスジメチルバ
レロニトリル等のアゾ化合物等を示すことができる。
上記第3の製造例のエポキシ樹脂(B)は、数平均分
子量が一般に約3,000〜100,000の範囲内にあるものが好
ましく、特に4,000〜10,000の範囲内にあるものがより
好ましい。
上記した硬化用樹脂(B)の中で、自動車ボデー用に
使用されるカチオン電着塗料のような高度の性能が要求
される用途に用いるのに適しているのは、1分子あたり
にエポキシ基含有官能基を平均して3個以上、より好ま
しくは平均して4個以上最も好ましくは平均して5個以
上有するものであり、また、エポキシ当量が好ましくは
100〜2,000、より好ましくは150〜500、特に150〜250の
範囲内にあり、そして数平均分子量が好ましくは400〜1
00,000、より好ましくは700〜50,000、特に好ましくは7
00〜30,000の範囲内にあるものである。
硬化用樹脂(B)の使用量は、用いる成分(A)の種
類に応じて、また得られる塗膜が熱硬化するのに必要な
最少量乃至カチオン電着塗料の安定性をそこなわない最
大量の範囲内で適宜変えることができるが、一般には硬
化用樹脂(B)の成分(A)に対する固形分の重量比が
0.2〜1.0、特に0.25〜0.85、さらに望ましくは0.25〜0.
65の範囲内となるように選択するのが好ましい。
本発明の組成物には、硬化用樹脂(B)の一部が成分
(A)にあらかじめ付加したものが含まれていてもさし
つかえない。
かくして成分(A)と硬化用樹脂(B)からなる組成
物はカチオン電着塗料用樹脂として使用することができ
る。
本発明のカチオン電着塗料用組成物を調製するには、
例えば、成分(A)と硬化用樹脂(B)を混合した後、
必要に応じて酸を配合し、水中に安定に分散せしめ、次
いで必要に応じて、カーボンブラック、チタン白、鉛
白、酸化鉛、ベンガラのような着色顔料;クレー、タル
クのような体質顔料;クロム酸ストロンチウム、クロム
酸鉛、塩基性クロム酸鉛、鉛丹、ケイ酸鉛、塩基性ケイ
酸鉛、リン酸鉛、塩基性リン酸鉛、トリポリリン酸鉛、
ケイクロム酸鉛、黄鉛、シアナミド鉛、鉛酸カルシウ
ム、亜酸化鉛、硫酸鉛、塩基性硫酸鉛等の防食顔料;或
いはさらに他の添加剤を混練することによって行なわれ
る。配合し得る他の添加剤としては、例えば、分散剤又
は塗面のハジキ防止剤としての少量の非イオン系界面活
性剤;硬化促進剤等が挙げられる。
特に、本発明の組成物による電着塗料を160℃以下の
低温で十分に硬化するようにするには、鉛化合物、ジル
コニウム化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合
物、マンガン化合物、銅化合物、亜鉛化合物、鉄化合
物、クロム化合物、ニッケル化合物などから選ばれる1
種もしくは2種以上の金属化合物を触媒として添加する
ことが有効である。これら金属化合物の具体例として
は、例えば、ジルコニウムアセチルアセトナート、コバ
ルトアセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセ
トナート、マンガンアセチルアセトナートなどのキレー
ト化合物;β−ヒドロキシアミノ構造を有する化合物と
酸化鉛(II)のキレート化反応生成物;2−エチルヘキサ
ン酸鉛、セカノイック鉛、ナフチックス鉛、オクチック
ス鉛、安息香酸鉛、酢酸鉛、乳酸鉛、ギ酸鉛、グリコー
ル酸鉛、オクチックスジルコニウムなどのカルボキシレ
ートなどが挙げられる。
上記金属化合物は、成分(A)と硬化用樹脂(B)と
の合計固形分重量に対し、金属含有率が一般に10重量%
以下、好ましくは5重量%以下の量で使用することがで
きる。
このようにして調製されるカチオン電着塗料用樹脂組
成物を適当な基体上に電着させて得られる塗膜の膜厚は
厳密に制限されるものではないが、一般には、硬化塗膜
に基いて3〜200μの範囲内が適しており、また塗膜
は、例えば70〜250℃、好ましくは120℃〜160℃間の温
度で加熱硬化させることができる。
本発明のカチオン電着塗料用樹脂を用いて基体上に電
着塗膜を形成する方法は特に制限されるものではなく、
通常のカチオン電着塗装条件を用いて行なうことができ
る。例えば、本発明に従う成分(A)及び硬化用エポキ
シ樹脂(B)を前述の如く水中に分散せしめ、次いで顔
料、硬化触媒、その他の添加剤を配合し、さらに浴濃度
(固形分濃度5〜40重量%、好ましくは10〜25重量%及
び浴pH5〜8、好ましくは5.5〜7の範囲内のカチオン電
着浴を調製する。次いでこの電着浴を用い、例えば5cm
×15cm×1cmの大きさのカーボン板を陽極とし且つ例え
ば5cm×15cm×0.7mmの大きさのリン酸亜鉛処理板を陰極
とする場合、下記の条件下に電着を行なうことができ
る。
浴温度:20〜35℃、好ましくは25〜30℃、 直流電流 電流密度:0.005〜2A/cm2、好ましくは0.01〜1A/cm2、 電圧:10〜500V、好ましくは100〜300V、 通電時間:0.5〜5分間、好ましくは2〜3分間、 電着塗装後、電着浴から被塗物を引き上げ水洗したの
ち、電着塗膜中に含まれる水分を熱風などの乾燥手段で
除去することができる。
このようにして本発明のカチオン電着塗料用樹脂組成
物を用いて形成される電着塗膜は前述した如くして加熱
硬化させることができる。
[効果] 本発明によって得られる被覆用樹脂組成物は、被膜形
成樹脂結合剤としてエポキシ樹脂と、一個の水酸基と一
個の二級アミノ基と一個のアミドを有する前記(I)式
で示されるアミンとの反応によって得られるエポキシ樹
脂誘導体を用いることにより、該アミンより導入される
3級アミノ基が低中和での水分散性を良好にし、またC4
以上の炭化水素基が塗面平滑性を与え、且つ活性水素含
有カチオン性基が存在しないため低温解離性のブロック
剤でブロックされたブロックイソシアネートやもしくは
活性な二重結合を有する官能基(例えばヒドロキシエチ
ルアクリレートやNメトキシブチルアクリルアミドでブ
ロックしたイソシアネートなど)を架橋性官能基として
併用しても、安定性を損なうことのないカチオン電着塗
装用又は水性塗装用として好適な被覆用樹脂組成物を提
供することが出来る。
又、該アミンより導入される水酸基は、該水酸基と反
応しうる官能基と反応させることが出来、防蝕性を犠牲
にすることがないため、防蝕性の良好なカチオン電着塗
装用及び水性塗装用の被覆用樹脂組成物を提供すること
が出来る。
次に実施例により本発明を更に具体的に説明する。実
施例中「部」は「重量部」であり、「%」は「重量%」
である。
I製造例 (1)成分(A) (A−1): 温度計、攪拌機、還流冷却器、水分離器を取り付けた
反応容器に、ステアリン酸285部とヒドロキシエチルア
ミノエチルアミン104部およびトルエン80部を仕込み、
混合攪拌しながら徐々に加熱し必要に応じてトルエンを
除去し温度を上げながら反応水18部を分離除去した後、
残存するトルエンを減圧除去し、全アミン価150凝固点7
6℃の試料を得た。
次に、温度計、攪拌機、還流冷却器を取り付けた反応
容器に、エポキシ当量約190のビスフェノールAジグリ
シジルエーテル988部、ビスフェノールA365部およびジ
エタノールアミン10.5部を仕込み、120℃でエポキシ当
量が682になるまで反応させた後、エチレングリコール
モノブチルエーテル343部で希釈、冷却した後、温度を8
0℃に保ちながら、ジエタノールアミン126部および上記
試料224部を加え、粘度上昇が止まるまで反応させた
後、メチルイソブチルケトン228部を添加し、固形分75
%、第1級水酸基当量535、アミン価62を持つ成分(A
−1)を得た。
(A−2) 温度計、攪拌機、還流冷却器、水分離器を取り付けた
反応容器に、オレイン酸283部とヒドロキシエチルアミ
ノエチルアミン104部およびトルエン80部を仕込み、混
合攪拌しながら徐々に加熱し、必要に応じてトルエンを
除去し温度を上げながら反応水18部を分離除去した後、
残存するトルエンを減圧除去し、全アミン価151、凝固
点45℃の試料を得た。
次に、温度計、攪拌機、還流冷却器を取り付けた反応
容器に、エポキシ当量約190のビスフェノールAジグシ
ジルエーテル988部、ビスフェノールA365部およびジエ
タノールアミン10.5部を仕込み、120℃でエポキシ当量
が682になるまで反応させた後、エチレングリコールモ
ノブチルエーテル343部で希釈、冷却した後、温度を80
℃に保ちながら、ジエタノールアミン126部および上記
試料224部を加え、粘度上昇が止まるまで反応させた
後、メチルイソブチルケトン228部を添加し、固形分75
%、第1級水酸基当量535、アミン価62を持つ成分(A
−2)を得た。
(A−3) 温度計、攪拌機、還流冷却器、水分離器を取り付けた
反応容器に、12ヒドロキシステアリン酸300部とヒドロ
キシエチルアミノエチルアミン104部およびトルエン80
部を仕込み、混合攪拌しながら徐々に加熱し、必要に応
じてトルエンを除去し温度を上げながら反応水18部を分
離除去した後、残存するトルエンを減圧除去し、全アミ
ン価148、凝固点69℃の試料を得た。
次に、温度計、攪拌機、還流冷却器を取り付けた反応
容器に、エポキシ当量約190のビスフェノールAジグシ
ジルエーテル912部、ビスフェノールA365部、エポキシ
当量340のポリプロピレングリコールジグリシジルエー
テル136部およびジエタノールアミン10.5部を仕込み、1
20℃でエポキシ当量が712になるまで反応させた後、エ
チレングリコールモノブチルエーテル355部で希釈、冷
却した後、温度を80℃に保ちながら、ジエタノールアミ
ン126部および上記試料227部を加え、粘度上昇が止まる
まで反応させた後、メチルイソブチルケトン237部を添
加し、固形分75%、第1級水酸基当量557、アミン価60
を持つ成分(A−3)を得た。
(A−4)比較例用 モノエタノールアミン39部を反応容器中で60℃に保
ち、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド100部
を滴下し、60℃で5時間反応させ、N,N−ジメチルアミ
ノプロピルアクリルアミドのモノエタノールアミン付加
物を得た。
別にエポキシ当量190のビスフェノールAジグシジル
エーテル950部、エポキシ当量340のプロピレングリコー
ルジグリシジルエーテル340部、ビスフェノールA456部
及びジエタノールアミン21部を仕込み120℃まで上昇
し、エポキシ価が1.02ミリモル/gになるまで反応させた
後、エチレングリコールモノブチルエーテル656部で希
釈、冷却したのち、温度を100℃保ちながら、ジエタノ
ールアミン158部及び上記N,N−メチルアミノプロピルア
クリルアミドのモノエタノールアミン付加物43部を加
え、粘度上昇が止まるまで反応させ、樹脂固形分75%、
第1級水酸基当量518、アミン価54の成分(A−4)を
得た。
(2)硬化用樹脂(B) 硬化用樹脂(B−1) EHPE3150[エポキシ当量175〜195、ダイセル化学工業
(株)製]32.6部とプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル8.2部を100℃で加熱溶解し、固形分80%、エポキ
シ当量190の硬化用樹脂(B−1)40.8部を得た。該樹
脂の数平均分子量は約1,500であった。
硬化用樹脂(B−2) ビニルノルボルネンオキシド136部と4−ビニルシク
ロヘキセン−1−オキシド124部及びトリメチロールプ
ロパン18部、BF3−エーテラートの10%酢酸エチル溶液2
00部を50℃で4時間かけて滴下して開環重合を行なっ
た。酢酸エチルを加えて水洗し、酢酸エチル層を濃縮し
てから新たに酢酸エチル130部を加えて溶解し、過酢酸1
60部を酢酸エチル溶液として50℃で4時間かけて滴下
し、更に50℃で2時間熱成しエポキシ化反応を行なっ
た。酢酸、酢酸エチル、過酢酸を除去後、酢酸エチル50
0部に40℃で溶解し、つづいて250部の蒸留水で4回洗浄
後、酢酸エチルを除去し、80℃で78部のプロピレングリ
コールモノメチルエーテルに溶解し、固形分80%、エポ
キシ当量202の硬化用樹脂(B−2)を得る。該樹脂の
数平均分子量は約1,300であった。
硬化用樹脂(B−3) リモネンの部分エポキシ化物(2−メチル−4−イソ
プロペニル−1−シクロヘキセンオキシド)304部とト
リメチロールプロパン18部に、BF3−エーテラートの10
%酢酸エチル溶液200部を50℃で4時間かけて滴下し
た。以下の操作を硬化用樹脂B−2と同様に行ない、80
℃で80部のエチレングリコールモノブチルエーテルに溶
解し、固形分80%、エポキシ当量205の硬化用樹脂(B
−3)を得た。該樹脂の数平均分子量は約1,000であっ
た。
硬化用樹脂(B−4) 2,4または1,4−ジメチル−4エテニル−1−シクロヘ
キセンオキシド304部を用い、硬化用樹脂(B−2)と
同様に行ない、固形分80%、エポキシ当量199の硬化用
樹脂B−4を得た。該樹脂の数平均分子量は約950であ
った。
硬化用樹脂(B−5) セロキサイド3000[ ダイセル化学(株)社製商品名]460部、アルミニウム
アセチルアセトナート0.3部及びテトラエトキシシラン
5部に蒸留水0.1部を加え、80℃で1時間保った後、120
℃で3時間反応後エチレンクリコールモノブチルエーテ
ル116部を加えて、固形分80%エポキシ当量280の硬化用
樹脂(B−5)を得た、該樹脂の数平均分子量は約1,10
0であった。
硬化用樹脂(B−6) シクロペンタジエンの二量体132部を酢酸エチル70部
に溶解し、過酢酸160部を酢酸エチル溶液として35℃で
7時間かけて滴下し、更に40℃で6時間熟成した。酢
酸、酢酸エチル、過酢酸を除去後、酢酸エチル500部に4
0℃で溶解し、つづいて250部の蒸留水で5回洗浄後酢酸
エチルケトンを除去し、80℃で43部のメチルイソブチル
ケトンに溶解し、固形分80%、エポキシ当量90の化合物
(C)をた。
4−ビニルシクロヘキセン94部を酢酸エチル75部に溶
解し、過酢酸160部を酢酸エチル溶液として50℃で4時
間かけて滴下し、更に50℃で2時間熟成した。酢酸、酢
酸エチル、過酢酸を除去後、酢酸エチル500に40℃で溶
解し、つづいて250部の蒸留水で5回洗浄後酢酸エチル
を除去し、80℃で32部のメチルイソブチルケトンに溶解
し、固形分80%、エポキシ当量65の化合物(D)を得
た。化合物(C)225部と化合物(D)163部にアルミニ
ウムアセチルアセトナート0.2部及びトリメチロールプ
ロパン10部を加え、100℃で1時間保った後、150℃で3
時間反応後エチレンクリコールモノブチルエーテル60部
を加えて冷却する。固形分70%、エポキシ当量210の硬
化用樹脂(B−6)を得た、該樹脂の数平均分子量は約
1,100であった。
硬化用樹脂(B−7) METHB(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリ
レート)33.4部にアゾビスジメチルバレロニトリル2部
を溶解したものを、100℃に加熱したメチルイソブチル
ケトン10部とブチルセロソルブ10部との混合溶剤に2時
間かけて滴下し、1時間熟成後、125℃に昇温して更に
1時間樹脂し、固形分60%、エポキシ当量196の硬化用
熟成(B−7)溶液54部を得た。該樹脂の数平均分子量
は約10,000であった。
硬化用樹脂(B−8) METHBモノマー32.0部とヒドロキシエチルアクリレー
ト8.0部を混合したものにアゾビスジメチルバレロニト
リル2.4部を溶解したものを100℃に加熱したブチルセロ
ソルブ24に2時間かけて滴下し、1時間熟成した後、12
5℃に昇温して更に1時間熟成し、固形分60%、エポキ
シ当量245の硬化用樹脂(B−8)64.8部を得た。該樹
脂の数平均分子量は約12,000であった。
硬化用樹脂(B−9) 3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート37
部とヒドロキシエチルアクリレート3部を混合したもの
にアゾビスジメチルバレロニトリル2.4部を溶解し、以
下硬化用樹脂B−9と同様に行ない固形分60%、エポキ
シ当量200の硬化用樹脂(B−9)を得た。該樹脂の数
平均分子量は約15,000であった。
硬化用樹脂(B−10)比較例用 温度計、攪拌機、還流冷却器を取り付けた反応容器
に、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート250部とメ
チルエチルケトン150部を仕込み、50℃に昇温後、エチ
レングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル348部
を滴下し、80℃に昇温して、NC0過が0になるまで反応
を行ない、硬化樹脂(B−10)を得た。
顔料ペースト(P−1) 基体樹脂(A−2)12.5部に10%ギ酸4.4部を加え、
攪拌しながら脱イオン水15部を加える。更にチタン白15
部、クレー5部、カーボン1部、塩基性ケイ酸鉛2部を
加え、ボールミルで24時間分散後脱イオン水11部を加
え、固形分50%の顔料ペーストを得た。
顔料ペースト(P−2)比較例用 ジブチル錫ジラウレートを1.5部追加する以外は顔料
ペースト(P−1)と同様にして顔料ペースト(P−
2)を得た。
II実施例 上記製造例で得た成分(A)や硬化用樹脂などを用い
て水性エマルションとし、本発明で用いるカチオン電着
塗料を得た。これらの組成および配合量を下記第1表に
示す。
性能試験結果 上記実施例で得られた組成物(固形分含有率20%の水
分散液)450部に前記顔料ペースト66部と脱イオン水99
部を混合し20%の電着浴を作成する。浴温28℃でリン酸
亜鉛処理板に100V−300Vで3分間電着し、160℃で30分
間焼き付けて18−22μの硬化塗膜を得た。
試験結果を下記第2表に示す。
性能試験方法は次のとおりである。
(1)耐衝撃性(デュポン式) 試験板を温度20±1℃、湿度75±2%の恒温恒湿室に
24時間置いたのち、デュポン衝撃試験器に規定の大きさ
の受台と撃心を取り付け、試験板の塗面を上向きにし
て、その間に挟み次に規定のおもりと規定の高さから撃
心の上に落し、塗膜の衝撃によるワレ、ハガレがないと
きを合格とする。
(2)耐ソルトスプレー性 JIS Z2871に従って試験し、塗膜のカット(線状切き
ず)部からのクリーク巾片側20mm以内及びカット部以外
の塗膜のフクレが8F(ASTM)以下のとき合格とする。試
験時間は1,000時間と2,000時間であった。
(3)加熱減量 処理板の重量をW0とし、この処理板に30℃で3分間電
着後80℃で1時間真空乾燥器中で減圧下乾燥させる。こ
のものの重量をW1とし、乾燥器で180℃、30分焼き付け
た後の重量をW2とする。下式から加熱減量ΔWを算出す
る。
(4)無処理塩水浸漬試験 脱脂した無処理ダル鋼板10cm×15cmを10cm電着浴中に
浸漬し、0Vから200Vまで10秒間かけて昇圧し、20クーロ
ン電流が流れた所で電着を終了し、160℃で30分間焼き
つけて18から22μの硬化塗膜を得た。
この塗板を5%の食塩水に浸漬した後、50℃で20日間
静置した。
試験板の塗膜を粘着テープをもちいてはく離し、エッ
ジ部からのはく離幅が3mm以内を合格とした。
(5)塗料貯蔵試験方法 浴塗料を30℃で30日間密閉攪拌を行なった後、電着を
行ない上記条件で硬化塗膜を作成し、初期塗膜の塗面状
態と比較を行なった。

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1分子中に水酸基、2級アミノ基およびア
    ミド基を併存するアミン化合物をエポキシ樹脂中のエポ
    キシ基に反応させてなるエポキシ樹脂誘導体(A)と;
    脂環式骨格および/または有橋脂環式骨格にエポキシ基
    が結合してなるエポキシ基含有官能基を1分子中あたり
    平均2個以上有するエポキシ樹脂(B)とを主成分とし
    て含有するカチオン電着塗料用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】アミン化合物が、一般式(I)、 [式中、nは1から6の整数、R1は水素原子、メチル基
    またはエチル基、R2は炭素数4から36の炭化水素鎖であ
    って、水酸基、不飽和基を含有しても良い。] で示される化合物である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】成分(A)が、第1級水酸基と、請求項2
    に記載の一般式(I)で示されるアミン化合物とエポキ
    シ基との反応によって得られるカチオン性基とを含有す
    る樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】成分(A)が、ポリフェノール化合物とエ
    ピクロルヒドリンとから得られるポリエポキシド化合物
    のエポキシ基に請求項2に記載の一般式(I)で示され
    るアミン化合物単独もしくは他のカチオン化剤との併用
    で反応せしめて得られる反応生成物である請求項1記載
    の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】ポリエポキシド化合物が数平均分子量約80
    0〜2,000及びエポキシ当量190〜2,000のポリフェノール
    化合物のポリグリシジルエーテルである請求項4記載の
    樹脂組成物。
  6. 【請求項6】成分(A)の水酸基当量が20〜5,000の範
    囲内にある請求項1記載の樹脂組成物。
  7. 【請求項7】成分(A)の第1級水酸基当量が200〜1,0
    00の範囲内にある請求項1記載の樹脂組成物。
  8. 【請求項8】成分(A)のカチオン性基の含有量がKOH
    (mg/g固形分)換算で3〜200の範囲内にある請求項1
    記載の樹脂組成物。
  9. 【請求項9】エポキシ樹脂(B)が、エポキシ基含有官
    能基を1分子当り平均3個以上有する請求項1記載の樹
    脂組成物。
  10. 【請求項10】エポキシ樹脂(B)が、エポキシ基含有
    官能基が、下記式(II)〜(V) [式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R10及びR11はそれぞ
    れH、CH3またはC2H5を表わし、そしてR4、R8及びR9
    それぞれHまたはCH3を表わす、] で示されるものから選ばれる少なくとも1種である請求
    項1に記載樹脂組成物。
  11. 【請求項11】エポキシ樹脂(B)が下記式(VI) で示されるエポキシ基含有官能基を有するものである請
    求項10に記載の樹脂組成物。
  12. 【請求項12】エポキシ樹脂(B)が下記式(VII) で示されるエポキシ基含有官能基を有するものである請
    求項10に記載の樹脂組成物。
  13. 【請求項13】エポキシ樹脂(B)が100〜2,000の範囲
    内のエポキシ当量を有する請求項1記載の樹脂組成物。
  14. 【請求項14】エポキシ樹脂(B)が150〜500の範囲内
    のエポキシ当量を有する請求項13記載の樹脂組成物。
  15. 【請求項15】エポキシ樹脂(B)が400〜100,000の範
    囲内の数平均分子量を有する請求項1記載の樹脂組成
    物。
  16. 【請求項16】エポキシ樹脂(B)が700〜50,000の範
    囲内の数平均分子量を有する請求項1記載の樹脂組成
    物。
  17. 【請求項17】エポキシ樹脂(B)の成分(A)に対す
    る固形分の重量比が0.2〜1.0の範囲内にある請求項1記
    載の樹脂組成物。
  18. 【請求項18】鉛化合物、ジルコニウム化合物、コバル
    ト化合物、アルミニウム化合物、マンガン化合物、銅化
    合物、亜鉛化合物、鉄化合物、クロム化合物、及びニッ
    ケル化合物から選ばれる1種もしくは2種以上の金属化
    合物を成分(A)とエポキシ樹脂(B)との合計重量に
    対する金属含有量が10%以下となる割合で含有する請求
    項1記載の樹脂組成物。
  19. 【請求項19】請求項1記載の樹脂組成物を含有するカ
    チオン電着塗料。
  20. 【請求項20】請求項19記載のカチオン電着塗料を用い
    て塗装された塗装製品。
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