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JP2844270B2 - 耐食性のすぐれた永久磁石 - Google Patents

耐食性のすぐれた永久磁石

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JP2844270B2
JP2844270B2 JP3135458A JP13545891A JP2844270B2 JP 2844270 B2 JP2844270 B2 JP 2844270B2 JP 3135458 A JP3135458 A JP 3135458A JP 13545891 A JP13545891 A JP 13545891A JP 2844270 B2 JP2844270 B2 JP 2844270B2
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JP
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permanent magnet
coating
corrosion resistance
resin
phosphate
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JP3135458A
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芳憲 瀬良
裕治 金子
富活 久保
宏樹 徳原
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Proterial Ltd
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐食性を改善した高
磁石特性を有するFe−B−R系永久磁石に係り、磁石
表面にエッチングプライマーによる耐酸化性被膜を有
し、密着性および耐食性を低下させることなく耐酸化性
樹脂層の膜厚を薄くできる耐食性のすぐれたFe−B−
R系永久磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、高性能永久磁石として代表的なF
e−B−R系永久磁石(特開昭59−46008号)
は、三元系正方晶化合物の主相とRリッチ相を有する組
織にて高磁石特性を発現し、現在では工業的規模の量産
において安定して、iHcが25kOe以上、(BH)
maxが40MGOe以上と従来の高性能希土類コバル
ト磁石と比較しても、格段に高い高性能を発揮する。ま
た、用途に応じて選定された種々の磁石特性を発揮する
よう、種々組成のFe−B−R系永久磁石が提案されて
いる。
【0003】しかしながら、上記のすぐれた磁石特性を
有するFe−B−R系永久磁石は主成分として、空気中
で酸化あるいは水酸化し次第に酸化物あるいは水酸化物
を生成し易い希土類元素及び鉄を含有するため、Fe−
B−R系永久磁石を磁気回路に組込んだ場合に磁石表面
に生成する酸化物あるいは水酸化物により、磁気回路の
出力低下及び磁気回路間の磁性のばらつきを惹起し、ま
た、表面に生成した酸化物の脱落による周辺機器への汚
染の問題があった。
【0004】上記のFe−B−R系永久磁石の耐食性の
改善のため、出願人は先に磁石体表面に耐酸化性樹脂層
を有する永久磁石(特開昭60−63901号)および
磁石体表面に化成処理を施してリン酸塩被膜またはクロ
ム酸塩被膜等を被着した永久磁石(特開昭60−639
03号)または前記化成被膜上に、スプレー法、浸漬
法、または電着法にて、耐酸化性樹脂層を被着した永久
磁石(特開昭60−63902号、特開昭61−130
453号)を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の耐酸化
性樹脂層のみを有する永久磁石は、樹脂層と磁石体の密
着性が十分でなく、さらに化成被膜上に耐酸化性樹脂層
を形成した場合、樹脂層との密着性は改善され、耐食性
も向上するが、Fe−B−R系永久磁石は非常に活性で
あり、工業的には湿式処理である化成処理中に磁石体の
腐食が進行する問題、あるいは化成被膜の生成量にばら
つきが生じ、化成被膜上に耐酸化性樹脂層を形成させた
後の耐食性にばらつきが生じ、最終的に要求される耐食
性を得るために耐酸化性樹脂層が厚くなり、該樹脂層が
磁気回路上のギャップとなり、磁気回路の出力が低下す
る等の問題があった。
【0006】この発明は、耐酸化性樹脂層を有するFe
−B−R系永久磁石体の耐食性および樹脂層の密着性を
低下させることなく、耐酸化性樹脂層の膜厚を薄くでき
る永久磁石の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、主相が正方
晶相からなるFe−B−R系永久磁石において、その表
面に、Fe及びRのリン酸塩被膜からなる不動態化被膜
と、ポリビニルブチラール被膜とを有する構成、あるい
は、Fe及びRのリン酸塩被膜からなる不動態化被膜
と、Crのリン酸塩と、リン酸亜鉛被膜と、ポリビニル
ブチラール被膜とを有する構成を特徴とする耐食性のす
ぐれた永久磁石である。
【0008】またこの発明は、主相が正方晶相からなる
Fe−B−R系永久磁石において、その表面に、Fe及
びRのリン酸塩被膜からなる不動態化被膜と、ポリビニ
ルブチラール被膜とを有し、さらに樹脂層を積層被膜し
た構成、あるいは、Fe及びRのリン酸塩被膜からなる
不動態化被膜と、Crのリン酸塩と、リン酸亜鉛被膜
と、ポリビニルブチラール被膜とを有し、さらに樹脂層
を積層被膜した構成を特徴とする耐食性のすぐれた永久
磁石である。
【0009】
【作用】この発明は、耐酸化性樹脂層を有する主相が正
方晶相からなるFe−B−R系永久磁石の耐食性および
耐酸化性樹脂層と磁石体との密着性を低下させることな
く、耐酸化性樹脂層の膜厚を薄くすることを目的に、リ
ン酸塩あるいはクロム酸塩等による化成処理に代わる下
地処理法について種々検討した結果、スプレー法、ハケ
塗り法、浸漬法にて磁石体表面をエッチングプライマー
で被覆することにより、主としてエッチングプライマー
中に含まれているポリビニルブチラール樹脂、リン酸、
クロム酸亜鉛等のうちリン酸やクロム酸亜鉛等が磁石体
と反応し、正方晶及び粒界相の表面にFe及びRのリン
酸塩からなる極めて緻密な不動態化被膜とともに、Cr
のリン酸塩、リン酸亜鉛被膜が形成され、さらにこれら
の被膜を覆うが如く接着力の非常に強いポリビニルブチ
ラール被膜が形成され、これらの耐酸化性被膜によって
磁石体の耐食性が著しく改善されることを知見した。
【0010】さらに上記のエッチングプライマーによる
耐酸化性被膜上に耐酸化性樹脂を積層することにより、
すぐれた密着性を有し、極めて耐食性のすぐれた永久磁
石体が得られ、樹脂層の密着性および耐食性を低下させ
ることなく耐酸化性樹脂層の膜厚を薄くできることを知
見し、この発明を完成した。
【0011】詳述すると、従来の化成処理はFe−B−
R系永久磁石の主成分であるFe及びRが化成処理液中
に溶出することにより化成被膜が形成される。例えばリ
ン酸亜鉛処理の場合、磁石表面の正方晶や粒界相からF
e及びRが溶出して化成処理液中のH3PO4を消費し、
磁石表面と化成溶界面のpHが上昇するため消費したH
3PO4を補充しようとして、下記式のようにZn(H2
PO42が分解し、不溶性リン酸亜鉛Zn3(PO42
・4H2Oが磁石表面に析出固着、一部はZn2Fe(P
42・4H2Oとして析出固着する。同時に溶出した
Fe及びRイオンは難溶性のFePO4X2O、RP
4X2Oとして化成処理液中に沈殿する。 従って、磁石表面に露出した正方晶及び粒界相の表面
は化学的に不動態化されるのではなく、単にZn3(P
42・4H2O、Zn2Fe(PO42・4H2Oが被
着するだけである。従来の化成処理被膜は磁石表面が不
動態化されないだけでなく、被膜がうろこ状に被着する
ため被膜間に隙間があり、化成被膜のみでは十分な耐食
性が得られない。この析出被着したリン酸亜鉛被膜上に
樹脂層を設けた場合、樹脂層の磁石表面に対する密着性
が前述のリン酸亜鉛被膜を介して向上し、リン酸亜鉛処
理を行わずに樹脂層を設けた場合に比較して、耐食性が
向上すると考えられている。
【0012】ところがこの発明では、Fe−B−R系永
久磁石体表面にエッチングプライマーを被着させること
により、磁石表面に露出した正方晶及び粒界相の表面
が、エッチングプライマー中に含まれているH3PO4
反応し、化学的に安定なFePO4X2O、RPO4
X2O被膜が形成されて磁石表面が不動態化される。す
なわち、従来の化成処理では前述のFe及びRのリン酸
塩が化成処理液中に沈殿するが、この発明では正方晶及
び粒界相の表面に緻密な不動態化被膜が生成されること
に大きな違いがあり、特にFe−B−R系永久磁石の腐
食しやすい希土類元素を不動態化する効果が大きいと考
えられる。特に腐食形態が粒界優先腐食である焼結磁石
の場合には、エッチングプライマーにより正方晶表面だ
けでなく粒界相表面が不動態化されるため、粒界優先腐
食の抑制効果が著しく、実施例に示す如く、極めて耐食
性のすぐれた永久磁石体が得られ、密着性および耐食性
を低下させることなく耐酸化性樹脂層の膜厚を薄くでき
ることを確認した。またこの発明では、正方晶及び粒界
相の表面に上記のFe及びRのリン酸塩被膜とともに、
Crのリン酸塩、リン酸亜鉛被膜が形成され、さらにこ
れらの被膜を覆うが如く接着力の非常に強いポリビニル
ブチラール被膜が形成されるため、すぐれた防錆力を発
揮するものと考えられ、焼結磁石、ボンド磁石などのの
いずれの形態の磁石にも同様の作用効果を発揮すると考
えられる。
【0013】また、この発明は、上記のエッチングプラ
イマーによるFe及びRのリン酸塩被膜からなる不動態
化被膜とポリビニルブチラール被膜、あるいはさらに、
Crのリン酸塩、リン酸亜鉛被膜等の耐酸化性被膜上に
スプレー法、浸漬法、蒸着法等により耐酸化性樹脂を被
覆することにより、さらに高い耐食性を有するFe−B
−R系永久磁石を得ることができる。すなわち、従来の
リン酸塩、クロム酸塩等による化成処理被膜の上に耐酸
化性樹脂を順次積層して得られたFe−B−R系永久磁
石と同様の耐食性を得る場合、エッチングプライマー
よる耐酸化性被膜上に積層する耐酸化性樹脂層の膜厚を
1/2以下にすることができ、磁石体を磁気回路に組み
込んだ場合樹脂層によるギャップが減少し、磁気回路の
出力低下を押さえることができる。
【0014】この発明において、Fe−B−R系永久磁
石は、組成がFe−B−Rの三元系、あるいはさらに用
途や要求される特性に応じてCoや各種添加元素を含有
し主相が正方晶相から構成されれば、焼結磁石あるいは
ボンド磁石などのいずれの形態であっても適用できる。
また、Fe−B−R系磁性材粉の製造方法も公知の所要
組成のR−Fe−B系合金を溶解し鋳造後に粉砕する溶
解・粉砕法、合金や箔を水素で崩壊させる水素粉砕法、
Ca還元にて直接粉末を得る直接還元拡散法、所要のR
−Fe−B系合金を溶解しジェットキャスターでリボン
箔を得てこれを粉砕・焼鈍する急冷合金法、所要のR−
Fe−B系合金を溶解し、これをガスアトマイズで粉末
化して熱処理するガスアトマイズ法、所要原料金属を粉
末化したのち、メカニカルアロイングにて微粉末化して
熱処理するメカニカルアロイ法等の各種製法で得ること
ができる。
【0015】この発明において、Fe−B−R系永久磁
石表面に被覆させるエッチングプライマーとしては、例
えばJIS K5633に示される品質を有する主剤、
添加剤を、要求される被膜条件等に応じてその種類や量
を適宜選定するとよい。例えば主剤としてポリビニルブ
チラール樹脂、クロム酸亜鉛及び所定の溶剤、添加剤と
してリン酸、水及び所定の溶剤等が選定され、また溶剤
としてイソプロピルアルコール、メタノール、トルエ
ン、メチルイソブチルケトン、ブタノール等、さらに顔
料等を適当量配合することによりこの発明の目的を達成
できる。特に配合後のエッチングプライマーは少なくと
も、 ポリビニルブチラール樹脂 20%〜70% ジンククロメート(クロム酸亜鉛) 1%〜12% リン酸 1%〜12%
(wt%) を主成分とした場合が有効であり、さらに被膜特性に応
じて所定量のフェノール樹脂、クロム酸鉛の含有等も有
効である。
【0016】エッチングプライマーの被覆方法として
は、スプレー法、浸漬法、ハケ塗り法等により塗布する
が、特にその膜厚が薄く、膜厚のコントロールに優れる
スプレー法が最も好ましい。塗布後の乾燥方法は常温中
で自然乾燥するものであるが、乾燥時間短縮のため30
℃〜300℃の温度において3分〜90分の加熱乾燥を
行なってもよい。乾燥後のエッチングプライマーによる
耐酸化性被膜の厚さは0.5μm〜5μmで、0.5μ
m未満では耐食性の改善が不十分であり、5μmを超え
設けても0.5μm〜5μmと同様の耐食性しか得ら
れず、好ましくは1μm〜3μmである。
【0017】この発明において、エッチングプライマー
による耐酸化性被膜上に積層する樹脂としては、エポキ
シ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹
脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、ビニル樹脂、フッ素
樹脂等の合成樹脂あるいはこれらの複合樹脂であればよ
い。かかる樹脂層は、同一樹脂の単層や重ね塗りのほ
か、異種樹脂の積層、樹脂種と塗布方法を種々組合せた
積層樹脂など、磁石用途や要求される耐食特性に応じ
て、適宜選定されることが望ましい。
【0018】また、防錆、塗膜補強改善の目的で、C
r、Mo、Ti、Mg、Fe、Zn、Pb、Si、A
l、Co、Zr、P、Cu、Su、Mn等の酸化物微粉
あるいは金属複合化合物微粉、あるいはクロム酸亜鉛、
鉛丹などの防錆用顔料、あるいはステンレス鋼、Al、
Zn、Ti、Zr、V、Nb、Co、Mo、W、Mn、
Co、Ni等の金属および合金の薄片を含有してもよ
く、あるいはベンゾトリアゾール、シラン系カップリン
グ剤などを含有するものでもよい。
【0019】また、80℃以上の高温で磁石体が使用さ
れる用途に対しては、耐熱性を付与するため、あるいは
磁石体を磁気回路に自動組立てする場合に重要となる磁
石体の滑り性を改善するために、ポリイミド樹脂、ポリ
アミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、
ポリエーテルサルファイド樹脂、アクリル樹脂、エポシ
キ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシフェノール樹脂等に、
添加材として、二硫化モリブテン、二硫化タングステ
ン、グラファイト、四フッ化エチレン樹脂等を単一添加
又はあるいは複合添加した樹脂層を積層被覆してもよ
い。
【0020】また、この発明において、積層する樹脂層
の被覆方法としては、スプレー法、浸漬法、ハケ塗り法
等により塗布したのち、焼き付けるものであり、その膜
厚は5μm〜60μmがよく、5μm未満では耐食性の
改善が不十分であり、60μmを超えると寸法精度が悪
くなるだけでなく、磁気回路上のギャップが増加し、磁
気回路の出力が著しく低下し、好ましくは30μm以下
がよく、膜厚コントロール性に優れにスプレー法が最も
好ましい。
【0021】
【実施例】
実施例1 出発原料として、純度99.9%の電解鉄、フェロボロ
ン、純度99.7%以上のNd、Dyを使用し、これら
を配合後高周波溶解し、その後水冷銅鋳型に鋳造し、1
4Nd−0.5Dy−7B−残Fe(at%)なる組成
の鋳塊を得た。その後インゴットを粗粉砕、次に微粉砕
し、平均粒度3μmの微粉末を得た。この微粉末を12
kOeの磁界中で配向し、磁界と直角方向に1.5to
n/cm2の圧力で成形した。得られた成形体を110
0℃、2時間、Arガス中の条件で焼結し、その後50
0℃、1.5時間の時効処理を施して、Fe−B−R系
焼結永久磁石を作製した。得られた焼結永久磁石から、
長さ20mm×幅15mm×厚み5mm寸法に試験片を
切り出した。得られた試験片を洗浄して乾燥した後、ポ
リビニルブチラール樹脂40wt%、ジンククロメート
6wt%、リン酸4wt%、水2wt%、残部がイソプ
ロピルアルコール、トルエン、メタノール、メチルイソ
ブチルケトンからなるエッチングプライマーを、スプレ
ーを使用して塗布し、室温にて自然乾燥後、層厚2μm
のエッチングプライマー層を設けた。
【0022】実施例2 実施例1と同一組成、同一製造条件で得られた試験片を
洗浄して乾燥した後、ポリビニルブチラール樹脂25w
t%、ジンククロメート3wt%、リン酸8wt%、水
2wt%、残部がイソプロピルアルコール、トルエン、
メタノール、メチルイソブチルケトン、ブタノールから
なるエッチングプライマーを、スプレーを使用して塗布
し、室温にて自然乾燥後、層厚1μmのエッチングプラ
イマー層を設けた。
【0023】実施例3 実施例1と同一組成、同一製造条件で得られた試験片を
洗浄して乾燥した後、ポリビニルブチラール樹脂60w
t%、フェノール樹脂6wt%、ジンククロメート4w
t%、クロム酸鉛1wt%、リン酸4wt%、水2wt
%、残部がイソプロピルアルコール、トルエン、メチル
イソブチルケトンからなるエッチングプライマーを、ス
プレーを使用して塗布し、室温にて自然乾燥後、層厚3
μmのエッチングプライマー層を設けた。
【0024】比較例1 実施例1と同一組成、同一製造条件にて得られた試験片
を、亜鉛4.6g/l、リン酸根17.8g/lのリン
酸塩溶液にて、75℃、3分間の浸漬処理を行ない、水
洗後乾燥し、膜厚2μmの化成被膜を設けた。実施例1
〜3と比較例1で得られた試験片を80℃、相対湿度9
0%の雰囲気に500Hr放置した後の、試験片の外観
状況と、耐食性試験前後の磁石特性を表1に示す。表1
から明らかなように、この発明によるFe−B−R系永
久磁石は比較例に対して格段にすぐれた耐食性を有し、
磁石特性の劣化がないことが判る。
【0025】
【表1】
【0026】実施例4 実施例1と同一組成、同一製造条件で得られた試験片を
洗浄して乾燥した後、同一組成のエッチングプライマー
を、同一スプレー条件で塗布し、室温にて自然乾燥し、
層厚2μmのエッチングプライマー層を設けた試験片
に、さらにエポシキ樹脂をスプレー条件を種々変えてス
プレー塗装し、室温乾燥後、焼付処理をして、層厚が2
0μm、40μm、60μmの樹脂層を設けた。
【0027】実施例5 実施例1と同一組成、同一製造条件で得られた試験片を
洗浄して乾燥した後、同一組成のエッチングプライマー
を、スプレー条件を変えてスプレー塗布し、室温にて自
然乾燥し、層厚3μmのエッチングプライマー層を設け
た試験片に、アクリル樹脂をスプレー塗装し、室温乾燥
後、焼付処理をして層厚20μmの樹脂層を設けた。
【0028】実施例6 実施例1と同一組成、同一製造条件で得られた試験片を
洗浄して乾燥した後、同一組成のエッチングプライマー
を、スプレー条件を変えてスプレー塗布し、室温にて自
然乾燥し、層厚3μmのエッチングプライマー層を設け
た試験片に、フッ素樹脂をスプレー塗装し、室温乾燥
後、焼付処理をして層厚20μmの樹脂層を設けた。
【0029】実施例7 実施例1と同一組成、同一製造条件で得られた試験片を
洗浄して乾燥した後、同一組成のエッチングプライマー
を、スプレー条件を変えてスプレー塗布し、室温にて自
然乾燥し、層厚3μmのエッチングプライマー層を設け
た試験片に、ポリアミドイミド樹脂に4フッ化エチレン
樹脂およびカーボンブラックを添加した樹脂をスプレー
塗装し、室温乾燥後、焼付処理をして層厚20μmの樹
脂層を設けた。
【0030】実施例8 実施例1と同一組成、同一製造条件で得られた試験片を
洗浄して乾燥した後、同一組成のエッチングプライマー
を、同一スプレー条件で塗布し、室温にて自然乾燥し、
層厚2μmのエッチングプライマー層を設けた試験片
に、ウレタン樹脂をスプレー塗装し、室温乾燥後、焼付
処理をして層厚20μmの樹脂層を設けた。
【0031】実施例9 実施例1と同一組成、同一製造条件で得られた試験片を
洗浄して乾燥した後、同一組成のエッチングプライマー
を、同一スプレー条件で塗布し、室温にて自然乾燥し、
層厚2μmのエッチングプライマー層を設けた試験片
に、平均粒度10μmのMgO微粉を44vol%含有
する分子量3000のエポキシ樹脂をスプレー塗装し、
室温乾燥後、焼付処理をして層厚15μmのエポキシ樹
脂層を設けた。さらに、前記エポキシ樹脂層表面に、平
均粒度0.6μmのTiO2微粉を25vol%含有す
る分子量1000のエポキシ樹脂をスプレー塗装し、室
温乾燥後、焼付処理をして層厚15μmのエポキシ樹脂
層を設けた。
【0032】実施例10 実施例1と同一組成、同一製造条件で得られた試験片を
洗浄して乾燥した後、同一組成のエッチングプライマー
を、スプレー条件を変えてスプレー塗布し、室温にて自
然乾燥し、層厚1μmのエッチングプライマー層を設け
た試験片に、エポシキ樹脂をスプレー塗装し、室温乾燥
後、焼付処理して層厚30μmの樹脂層を設けた。
【0033】実施例11 実施例1と同一組成、同一製造条件で得られた試験片を
洗浄して乾燥した後、同一組成のエッチングプライマー
を、スプレー条件を変えてスプレー塗布し、室温にて自
然乾燥し、層厚5μmのエッチングプライマー層を設け
た試験片に、エポシキ樹脂をスプレー塗装し、室温乾燥
後、焼付処理して層厚10μmの樹脂層を設けた。
【0034】比較例2 比較例1と同一条件で得られた化成被膜を2μm有する
試験片に、エポシキ樹脂をスプレー条件を種々変えてス
プレー塗装し、室温乾燥後、焼付処理をして、層厚が2
0μm、40μm、60μmのエポシキ樹脂層を設け
た。
【0035】比較例3 エッチングプライマー層を有する代わりに炭酸ソーダ5
5g/l、クロム酸ソーダ17.5g/l、珪酸ソーダ
0.8g/lのクロム酸塩溶液にて、95℃7分間の浸
漬処理を行ない、水洗乾燥後、膜厚3μmの化成被膜を
設けた以外は実施例5と同様に、全く同一の条件にて2
0μmのアクリル樹脂層を設けた。
【0036】比較例4 実施例1と同一組成、同一製造条件で得られた試験片
を、比較例1と同一組成のリン酸塩溶液を用い浸漬条件
を変えて層厚3μmの化成被膜を設けた試験片に、フッ
素樹脂をスプレー塗装し、室温乾燥後、焼付処理をし
て、層厚20μmの樹脂層を設けた。
【0037】比較例5 比較例3と同一条件にて得られた化成被膜3μmを有す
る試験片に、実施例7と同一条件にて膜厚20μmの樹
脂層を設けた。
【0038】比較例6 比較例1と同一条件で得られた化成被膜を2μm有する
試験片に、ウレタン樹脂をスプレー塗装し、室温乾燥
後、焼付処理をして、層厚20μmの樹脂層を設けた。
【0039】実施例4〜11及び比較例2〜6の各試験
片を80℃相対湿度90%の雰囲気に放置して、発錆す
る時間および2000時間放置した後の樹脂被膜の密着
強度を表2に示し、耐食試験前と2000時間放置後の
磁石特性を表3に示す。密着強度試験はASTM D−
3359 Method Bに基づき、1mm間隔の升
目部分を粘着テープにて引っぱり、樹脂層の剥離状況
(無剥離升目数/全升目数)にて評価した。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】実施例12 出発原料として、純度99.9%の電解鉄、フェロボロ
ン、純度99.7%以上のNd、Coを使用し、これら
を配合後高周波溶解し、その後水冷銅鋳型に鋳造し、1
2.5Nd−5.0Co−6.0B−残Fe(at%)
なる組成の鋳塊を得た。得られた鋳塊をAr雰囲気中、
単ロール法で非晶質薄体化した。この時の条件は、溶解
温度1400℃、Cuロール周速度30m/sであっ
た。この薄体をAr雰囲気中で、650℃、15分間熱
処理を行ない、ディスクミルで−35meshに粉砕し
て原料磁性粉を得た。この磁性粉に対し、一液型液状エ
ポキシ樹脂を3重量%混合し、成形圧6ton/cm2
で成形、150℃でキュアーを行ない、寸法φ20mm
×厚み10mmのボンド磁石を得た。得られたボンド磁
石に、実施例1と同一組成のエッチングプライマーを、
スプレー条件を変えてスプレー塗布し、室温にて乾燥
後、膜厚2.5μmのエッチングプライマー層を設け
た。
【0043】比較例7 実施例12と同一組成、同一製造条件で得られたボンド
磁石を、カチオン電着塗料を用いて温度28℃、電圧1
50V、3分の条件で電着塗装を施し、水洗し、風乾
後、焼付け処理を行ない、膜厚20μmの樹脂層を設け
た。実施例12および比較例7により得られたボンド磁
石を80℃相対湿度90%の雰囲気に放置して、200
0時間放置後の磁石体の発錆状態および耐食性試験前と
2000時間放置後の磁石特性を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】この発明は、表1〜4に明らかなよう
に、Fe−B−R系永久磁石表面にエッチングプライマ
ーによるFe及びRのリン酸塩被膜からなる不動態化被
膜と、ポリビニルブチラール被膜、あるいはさらにCr
のリン酸塩、リン酸亜鉛被膜からなる耐酸化性被膜を設
けたことにより、耐食性が著しく改善され、樹脂層厚を
薄くしても、80℃相対湿度90%、2000時間とい
う過酷な耐食性試験実施後も耐食性上何ら問題なく、ま
た磁石特性の劣化はなく、従来磁気回路上問題となって
いた樹脂層によるギャップの低減化が可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳原 宏樹 大阪府三島郡島本町江川2丁目15ー17 住友特殊金属株式会社 山崎製作所内 (56)参考文献 特開 昭60−63902(JP,A) 特開 昭62−244476(JP,A) 特開 昭52−109532(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01F 1/08 C22C 38/00 303 H01F 1/053

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主相が正方晶相からなるFe−B−R系
    永久磁石において、その表面に、Fe及びRのリン酸塩
    被膜からなる不動態化被膜と、ポリビニルブチラール被
    膜とを有することを特徴とする耐食性のすぐれた永久磁
    石。
  2. 【請求項2】 主相が正方晶相からなるFe−B−R系
    永久磁石において、その表面に、Fe及びRのリン酸塩
    被膜からなる不動態化被膜と、Crのリン酸塩と、リン
    酸亜鉛被膜と、ポリビニルブチラール被膜とを有するこ
    とを特徴とする耐食性のすぐれた永久磁石。
  3. 【請求項3】 主相が正方晶相からなるFe−B−R系
    永久磁石において、その表面に、Fe及びRのリン酸塩
    被膜からなる不動態化被膜と、ポリビニルブチラール被
    膜とを有し、さらに樹脂層を積層被膜してなることを特
    徴とする耐食性のすぐれた永久磁石。
  4. 【請求項4】 主相が正方晶相からなるFe−B−R系
    永久磁石において、その表面に、Fe及びRのリン酸塩
    被膜からなる不動態化被膜と、Crのリン酸塩と、リン
    酸亜鉛被膜と、ポリビニルブチラール被膜とを有し、さ
    らに樹脂層を積層被膜してなることを特徴とする耐食性
    のすぐれた永久磁石。
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