JP2711446B2 - 耐食軟磁性鋼 - Google Patents
耐食軟磁性鋼Info
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Description
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は軟磁性鉄鋼材料に関し、詳しくは電子燃料噴
射装置、電磁弁、磁気センサ等に用いられる磁気特性、
電気特性、耐食性、被削性および冷間鍛造性に優れた耐
食軟磁性鋼に関する。 [従来の技術] 近年開発された電子燃料噴射装置、電磁弁、磁気セン
サ等の磁芯材料には、応答性を改善するための高い電気
抵抗と、優れた磁気特性、さらに耐環境性を改善するた
めの優れた耐食性、そして低コスト化を図るために欠か
せない優れた冷関鍛造性が要求されていた。そして、こ
れら装置の磁芯材料としては、純鉄、3Si鉄、13Cr−2.5
Si鋼、13Cr−1Si−0.25Al鋼が使用されている。 しかし、純鉄は磁気特性、冷間鍛造性については優れ
ているが、電気抵抗が低く、かつ耐食性が劣るものであ
る。また、3%Si鉄は純鉄に比べ電気抵抗が優れている
が、その値は60μΩcmと必ずしも十分でなく、さらに耐
食性、冷間鍛造性についても劣っているものである。13
Cr−2.5Si鋼は、耐食性、電気抵抗については優れてい
るが、冷間鍛造性については劣るものである。さらに、
13Cr−1Si−0.25Al鋼は、耐食性、切削性については優
れているが、冷間鍛造性、磁気特性、電気抵抗について
は満足し得るものではなかった。 このように、従来鋼についてはいずれも磁気特性、電
気抵抗、冷間鍛造性、耐食性の総てを同時に満足するも
のはなかった。 [発明が解決しようとする問題点] 本発明は電子燃料噴射装置等の磁芯材料として使用さ
れる従来鋼の前記のごとき欠点を解決すべくなされたも
ので、電子燃料噴射装置、電磁弁、磁気センサ等の磁芯
材料に要求される電気抵抗が90μΩcm以上であって優れ
た電気抵抗を示し、引張り強さが44Kgf/mm2以下であっ
て優れた冷間鍛造性を有し、さらに耐食性、磁気特性、
被削性に優れた耐食軟磁性鋼を提供することを目的とす
る。 [問題点を解決するための手段] 本発明の耐食軟磁性鋼は、重量比にしてC+N;0.015
%以下、Si;0.20%以下、Mn;0.20%以下、Cr;7〜13%、
Al;2〜5%を必須成分とし、必要に応じてTi;0.08%以
下を含有し、さらに必要に応じてS;0.050%以下、Se;0.
050%以下、Pb;0.30%以下のうち1種以上と、さらにZ
r;0.20%以下、Te;0.030%以下のうち1種以上を含有
し、残部Feならびに不純物元素からなることを要旨とす
る。 本発明者等は、従来鋼の前記のごとき欠点に鑑み、純
鉄の磁気特性、電気抵抗、耐食性、冷間鍛造性におよぼ
す各種合金元素の影響について鋭意研究を重ねた結果、
本発明を完成するに至ったものであり、本発明は次に述
べるような新たな知見に基づくものである。 第1に、電気抵抗と引張り強さとは相反する性質であ
り、電気抵抗を上げるためSi量を増加させると、引張り
強さが著しく増加して冷間鍛造性が大幅に損なわれる。
このことはFe−Si鋼についての引張り強さと電気抵抗の
関係について示した第1図の線より明らかである。一
方、Fe−Cr−Al成分系において、Cr;7〜13%、Al;2〜5
%を同時に複合添加させた場合、Fe−Cr−Al系鋼につい
ての引張り強さと電気抵抗の関係を示した第1図より明
らかなように、引張り強さを殆ど増加することなく電気
抵抗を著しく増加し得ることを見出だしたものである。 また、第2にCr;7〜13%、Al;2〜5%を複合添加する
と、耐食性、磁気特性について、単独添加では予想し得
ないような驚異的な向上が得られることを見出だしたも
のである。 さらに、第3にこれらのCr、Al、の冷間鍛造性等の効
果を最大限に発揮させるためには、固溶強化元素である
C、N、Si、Mnを極力低減させる必要があることを見出
だしたものである。その結果100μΩcm以上という優れ
た電気抵抗を有し、かつ引張り強さを42Kgf/mm2以下と
いう優れた冷間鍛造性を有する耐食軟磁性鋼が得られる
ことを見出だしたものである。 本発明はこれらの知見をもとにCr;7〜3%を含有させ
ると共にAl;2〜5%を含有させ引張り強さを殆ど増加さ
せることなく電気抵抗、耐食性および磁気特性を大幅に
改善したものであり、かつ、上記重量%のCrとAlを含有
させると共にC+N;0.015%以下、Si;0.20%以下、Mn;
0.20%以下とその含有量を抑制することにより、冷間鍛
造性を大幅に改善したものである。 さらに、本発明は上記に加えてTi;0.08%以下を含有
させ、耐食性を改善したものであり、かつS;0.050%以
下、Se;0.050%以下Pb;0.30%以下を含有させると共
に、Zr;0.20%以下、Te;0.030%以下を含有することに
より、冷間鍛造性を損なうことなく被削性を改善したも
のである。 よって、本発明は90μΩcm以上という優れた電気抵抗
を有し、かつ引張り強さが44Kgf/mm2以下、限界加工率
が60%以上と優れた冷間鍛造性を有し、さらに耐食性、
磁気特性、被削性についても優れた耐食軟磁性鋼であ
り、電子燃料噴射装置、電磁弁、磁気センサ等に適した
鋼である。 本発明の第1発明は、重量比にしてC+N;0.015%以
下、Si;0.20%以下、Mn;0.20%以下、Cr;7〜13%、Al;2
〜5%を含有し、残部Feならびに不純物元素からなるも
のである。第2発明は第1発明にさらにTi;0.08%以下
を含有して第1発明の磁気特性、耐食性、冷間鍛造性を
さらに改善したものである。第3発明は第1発明にさら
にS;0.050%以下、Se;0.050%以下、Pb;0.30%以下のう
ち1種以上と、さらにZr;0.20%以下、Te;0.030%以下
のうち1種以上を含有させ第1発明の冷間鍛造性を損な
うことなく被削性を改善したものである。第4発明は第
2発明にS;0.050%以下、Se;0.050%以下、Pb;0.30%以
下のうち1種以上と、さらにZr;0.20%以下、Te;0.030
%以下のうち1種以上を含有させ、第2発明の冷間鍛造
性を損なうことなく被削性を改善したものである。 次に本発明において成分組成を限定する理由について
説明する。 Cr;7〜13% Crは、耐食性、電気抵抗、磁気特性を改善する元素
で、特に2〜5%のAlと複合添加された場合、その効果
は顕著になる。Cr7%未満の場合には、その効果は十分
でなく、優れた耐食性、電気抵抗が得られないので、下
限を7%とした。しかし、13%を越えて含有させると、
冷間鍛造性を損なうので上限を13%とした。 Al;2〜5% AlはCrと同じく耐食性、電気抵抗、磁気特性を改善す
る本発明の主要な元素で、特に7〜13%のCrと複合添加
された場合、その効果は顕著となる。Al2%未満の場合
には、優れた耐食性、電気抵抗が得られないので、下限
を2%とした。しかし、5%を越えて含有させると、冷
間鍛造性を損なうので、上限を5%とした。 C+N;0.015%以下 CおよびNは、磁気特性、耐食性、冷間鍛造性を著し
く損なう元素で、C+N;0.010%以下が望ましいが、実
際の製造性を考慮して0.015%以下とした。このCおよ
びNの悪影響を小さくするためには、なるべくC+Nの
5倍程度のTiを添加することが望ましい。 Si;0.20%以下 Siは、通常製鋼時の脱酸に必要な元素であるが、Fe−
Cr−Al系の製鋼においては特に必要ではない。Siは冷間
鍛造性を著しく損なう元素であるので、0.10%以下が好
ましいが、実際の製造性を考慮して0.20%以下とした。 Mn;0.20%以下 Mnは耐食性、磁気特性、冷間鍛造性を著しく損なうの
で、0.10%以下が望ましいが、実際の製造性を考慮して
0.20%以下とした。 Ti;0.08%以下 Tiは磁気特性、耐食性、冷間鍛造性を改善する元素
で、C+N量の5倍程度添加した場合に最も大きな効果
を発揮する。しかし、多量の添加は逆に冷間鍛造性を損
なうので、0.08%以下とした。 S;0.050%以下、Se;0.050%以下 S、Seは切削性を改善するために添加するが、多量の
添加は冷間鍛造性を損なうので、上限を0.050%とし
た。 Pb;0.30%以下 Pbは切削性を改善する元素であるが、多量の添加は冷
間鍛造性を損なうので、0.30%以下とした。 Te;0.030%以下 Teは切削性を改善し、しかもS介在物、Se介在物の球
状化を促進して冷間鍛造性を改善する元素である。しか
し、多量の添加は返って冷間鍛造性を損なうので上限を
0.030%とした。 Zr;0.20% ZrはS介在物、Se介在物を球状化し、冷間鍛造性を改
善する元素である。しかし、多量の添加は逆に冷間鍛造
性を損なうので、上限を0.20%とした。 [実施例] 次に本発明鋼の特徴を従来鋼、比較鋼と比べて実施例
でもって明らかにする。第1表はこれら供試鋼の化学成
分を示すものである。 第1表において、A1〜A9鋼は本発明鋼で、A1〜A3は第
1発明鋼、A4は第2発明鋼、A5〜A8は第3発明鋼、A9は
第4発明鋼である。B1〜B4鋼は従来鋼で、B1鋼は純鉄、
B2鋼は3%Si鋼、B3鋼は13Cr−2.5Si鋼、B4鋼は13Cr−1
Si−0.25Al鋼である。C1〜C3鋼は比較鋼であって、C1鋼
は本発明の組成範囲より低いCrの含有する鋼、C2鋼は本
発明の組成範囲より高いCrを含有する鋼、C3鋼は本発明
の組成範囲よりも低いAlを含有する鋼である。 第1表の供試鋼について、900℃×2Hr保持し、ついで
冷却速度100℃/Hrという熱処理を施した後、A1〜A9、B1
〜B4、C1〜C3鋼の引張り強さ、限界加工率、磁束密度、
保磁力、耐食性、電気抵抗、被削性を測定し、その結果
を第2表に示した。 引張り強さについては、JIS4号試験片を用いて測定し
たものであり、限界加工率については、日本塑性加工学
会冷間鍛造分科会基準、冷間据込み性試験方法(暫定基
準)に基づいて、試験片として直径14φ、高さ21mm、ノ
ッチ付を用い、圧縮試験を行い割れ発生率50%の据込率
を測定したものである。 磁気特性については、直流型BHトレーサを用いて、試
験片として外径24φ、内径16φ、厚さ16mmのリングを作
製し、磁束密度、保磁力を測定したものである。 また、耐食性については、5%NaCl、35℃水溶液にて
塩水噴霧試験を行いその発銹率を測定し、発銹率が5%
以下のものを◎、発銹率が5超〜25%のものを○、発銹
率が25〜50%のものを△、発銹率が50%以上のものを×
とした。 電気抵抗についてはホイーストンブリッジ法により試
験片として1.2φ×500mm線を用いて測定したものであ
る。 被削性については、10mm厚の試験片を用いて回転数72
5r.p.m、ドリルSKH5φ、荷重4Kgで穿孔試験を行い、穴
明けに要する時間を測定したものである。 第2表より知られるように、従来鋼であるB1鋼は、冷
間鍛造性と磁束密度の点では優れているが、耐食性、電
気抵抗、保磁力については劣っている。B2鋼は、磁束密
度の点では優れているが、電気抵抗、冷間鍛造性、耐食
性、保磁力について劣るものである。B3鋼は、耐食性、
電気抵抗については優れているが、保磁力、磁束密度、
冷間鍛造性について劣るものである。B4鋼は、耐食性、
切削性については優れているが、保磁力、磁束密度、冷
間鍛造性について劣るものである。 また、比較鋼であるC1鋼については、Cr量が5.20%と
低いため、電気抵抗、耐食性について劣るものである。
C2鋼については、Cr量が15.10%と高いために、冷間鍛
造性に劣るものである。C3鋼については、Al量が1.25%
と低いために、電気抵抗について劣るものである。 これらに対して、本発明鋼であるA1〜A9鋼は、Cr量を
7〜12%、Al量を2〜5%を含有し、かつC、N、Si、
Mn等の固溶強化元素の値を、C+N;0.015%以下、Si;0.
20%以下、Mn;0.20%以下と非常に低くすることによっ
て、電気抵抗が90μΩcm以上であり、かつ引張り強さ44
Kgf/mm2以下、限界加工率60%以上と優れた冷間鍛造性
を有しており、さらに磁気特性についても、磁束密度13
000G以上、かつ保磁力が1.0Oe以下と優れており、さら
に耐食性、被削性についても優れているものである。 [発明の効果] 本発明は以上説明したように、適量のCr、Alを複合添
加し、かつSi、Mn、C、N等の固溶強化元素を極力低減
させることによって、優れた電気抵抗、冷間鍛造性、磁
気特性、耐食性を兼ね合わせ持つものである。さらに、
S、Se、Pb、Te、Zr、Tiを必要に応じて複合添加するこ
とによって、冷間鍛造性を損なうことなく、被削性を改
善したものである。本発明は、パルス作動型の電子燃料
噴射装置、電磁弁等の冷間鍛造によって製造される磁芯
部品に適した耐食軟磁性鋼であり、高い実用性を有する
ものである。
射装置、電磁弁、磁気センサ等に用いられる磁気特性、
電気特性、耐食性、被削性および冷間鍛造性に優れた耐
食軟磁性鋼に関する。 [従来の技術] 近年開発された電子燃料噴射装置、電磁弁、磁気セン
サ等の磁芯材料には、応答性を改善するための高い電気
抵抗と、優れた磁気特性、さらに耐環境性を改善するた
めの優れた耐食性、そして低コスト化を図るために欠か
せない優れた冷関鍛造性が要求されていた。そして、こ
れら装置の磁芯材料としては、純鉄、3Si鉄、13Cr−2.5
Si鋼、13Cr−1Si−0.25Al鋼が使用されている。 しかし、純鉄は磁気特性、冷間鍛造性については優れ
ているが、電気抵抗が低く、かつ耐食性が劣るものであ
る。また、3%Si鉄は純鉄に比べ電気抵抗が優れている
が、その値は60μΩcmと必ずしも十分でなく、さらに耐
食性、冷間鍛造性についても劣っているものである。13
Cr−2.5Si鋼は、耐食性、電気抵抗については優れてい
るが、冷間鍛造性については劣るものである。さらに、
13Cr−1Si−0.25Al鋼は、耐食性、切削性については優
れているが、冷間鍛造性、磁気特性、電気抵抗について
は満足し得るものではなかった。 このように、従来鋼についてはいずれも磁気特性、電
気抵抗、冷間鍛造性、耐食性の総てを同時に満足するも
のはなかった。 [発明が解決しようとする問題点] 本発明は電子燃料噴射装置等の磁芯材料として使用さ
れる従来鋼の前記のごとき欠点を解決すべくなされたも
ので、電子燃料噴射装置、電磁弁、磁気センサ等の磁芯
材料に要求される電気抵抗が90μΩcm以上であって優れ
た電気抵抗を示し、引張り強さが44Kgf/mm2以下であっ
て優れた冷間鍛造性を有し、さらに耐食性、磁気特性、
被削性に優れた耐食軟磁性鋼を提供することを目的とす
る。 [問題点を解決するための手段] 本発明の耐食軟磁性鋼は、重量比にしてC+N;0.015
%以下、Si;0.20%以下、Mn;0.20%以下、Cr;7〜13%、
Al;2〜5%を必須成分とし、必要に応じてTi;0.08%以
下を含有し、さらに必要に応じてS;0.050%以下、Se;0.
050%以下、Pb;0.30%以下のうち1種以上と、さらにZ
r;0.20%以下、Te;0.030%以下のうち1種以上を含有
し、残部Feならびに不純物元素からなることを要旨とす
る。 本発明者等は、従来鋼の前記のごとき欠点に鑑み、純
鉄の磁気特性、電気抵抗、耐食性、冷間鍛造性におよぼ
す各種合金元素の影響について鋭意研究を重ねた結果、
本発明を完成するに至ったものであり、本発明は次に述
べるような新たな知見に基づくものである。 第1に、電気抵抗と引張り強さとは相反する性質であ
り、電気抵抗を上げるためSi量を増加させると、引張り
強さが著しく増加して冷間鍛造性が大幅に損なわれる。
このことはFe−Si鋼についての引張り強さと電気抵抗の
関係について示した第1図の線より明らかである。一
方、Fe−Cr−Al成分系において、Cr;7〜13%、Al;2〜5
%を同時に複合添加させた場合、Fe−Cr−Al系鋼につい
ての引張り強さと電気抵抗の関係を示した第1図より明
らかなように、引張り強さを殆ど増加することなく電気
抵抗を著しく増加し得ることを見出だしたものである。 また、第2にCr;7〜13%、Al;2〜5%を複合添加する
と、耐食性、磁気特性について、単独添加では予想し得
ないような驚異的な向上が得られることを見出だしたも
のである。 さらに、第3にこれらのCr、Al、の冷間鍛造性等の効
果を最大限に発揮させるためには、固溶強化元素である
C、N、Si、Mnを極力低減させる必要があることを見出
だしたものである。その結果100μΩcm以上という優れ
た電気抵抗を有し、かつ引張り強さを42Kgf/mm2以下と
いう優れた冷間鍛造性を有する耐食軟磁性鋼が得られる
ことを見出だしたものである。 本発明はこれらの知見をもとにCr;7〜3%を含有させ
ると共にAl;2〜5%を含有させ引張り強さを殆ど増加さ
せることなく電気抵抗、耐食性および磁気特性を大幅に
改善したものであり、かつ、上記重量%のCrとAlを含有
させると共にC+N;0.015%以下、Si;0.20%以下、Mn;
0.20%以下とその含有量を抑制することにより、冷間鍛
造性を大幅に改善したものである。 さらに、本発明は上記に加えてTi;0.08%以下を含有
させ、耐食性を改善したものであり、かつS;0.050%以
下、Se;0.050%以下Pb;0.30%以下を含有させると共
に、Zr;0.20%以下、Te;0.030%以下を含有することに
より、冷間鍛造性を損なうことなく被削性を改善したも
のである。 よって、本発明は90μΩcm以上という優れた電気抵抗
を有し、かつ引張り強さが44Kgf/mm2以下、限界加工率
が60%以上と優れた冷間鍛造性を有し、さらに耐食性、
磁気特性、被削性についても優れた耐食軟磁性鋼であ
り、電子燃料噴射装置、電磁弁、磁気センサ等に適した
鋼である。 本発明の第1発明は、重量比にしてC+N;0.015%以
下、Si;0.20%以下、Mn;0.20%以下、Cr;7〜13%、Al;2
〜5%を含有し、残部Feならびに不純物元素からなるも
のである。第2発明は第1発明にさらにTi;0.08%以下
を含有して第1発明の磁気特性、耐食性、冷間鍛造性を
さらに改善したものである。第3発明は第1発明にさら
にS;0.050%以下、Se;0.050%以下、Pb;0.30%以下のう
ち1種以上と、さらにZr;0.20%以下、Te;0.030%以下
のうち1種以上を含有させ第1発明の冷間鍛造性を損な
うことなく被削性を改善したものである。第4発明は第
2発明にS;0.050%以下、Se;0.050%以下、Pb;0.30%以
下のうち1種以上と、さらにZr;0.20%以下、Te;0.030
%以下のうち1種以上を含有させ、第2発明の冷間鍛造
性を損なうことなく被削性を改善したものである。 次に本発明において成分組成を限定する理由について
説明する。 Cr;7〜13% Crは、耐食性、電気抵抗、磁気特性を改善する元素
で、特に2〜5%のAlと複合添加された場合、その効果
は顕著になる。Cr7%未満の場合には、その効果は十分
でなく、優れた耐食性、電気抵抗が得られないので、下
限を7%とした。しかし、13%を越えて含有させると、
冷間鍛造性を損なうので上限を13%とした。 Al;2〜5% AlはCrと同じく耐食性、電気抵抗、磁気特性を改善す
る本発明の主要な元素で、特に7〜13%のCrと複合添加
された場合、その効果は顕著となる。Al2%未満の場合
には、優れた耐食性、電気抵抗が得られないので、下限
を2%とした。しかし、5%を越えて含有させると、冷
間鍛造性を損なうので、上限を5%とした。 C+N;0.015%以下 CおよびNは、磁気特性、耐食性、冷間鍛造性を著し
く損なう元素で、C+N;0.010%以下が望ましいが、実
際の製造性を考慮して0.015%以下とした。このCおよ
びNの悪影響を小さくするためには、なるべくC+Nの
5倍程度のTiを添加することが望ましい。 Si;0.20%以下 Siは、通常製鋼時の脱酸に必要な元素であるが、Fe−
Cr−Al系の製鋼においては特に必要ではない。Siは冷間
鍛造性を著しく損なう元素であるので、0.10%以下が好
ましいが、実際の製造性を考慮して0.20%以下とした。 Mn;0.20%以下 Mnは耐食性、磁気特性、冷間鍛造性を著しく損なうの
で、0.10%以下が望ましいが、実際の製造性を考慮して
0.20%以下とした。 Ti;0.08%以下 Tiは磁気特性、耐食性、冷間鍛造性を改善する元素
で、C+N量の5倍程度添加した場合に最も大きな効果
を発揮する。しかし、多量の添加は逆に冷間鍛造性を損
なうので、0.08%以下とした。 S;0.050%以下、Se;0.050%以下 S、Seは切削性を改善するために添加するが、多量の
添加は冷間鍛造性を損なうので、上限を0.050%とし
た。 Pb;0.30%以下 Pbは切削性を改善する元素であるが、多量の添加は冷
間鍛造性を損なうので、0.30%以下とした。 Te;0.030%以下 Teは切削性を改善し、しかもS介在物、Se介在物の球
状化を促進して冷間鍛造性を改善する元素である。しか
し、多量の添加は返って冷間鍛造性を損なうので上限を
0.030%とした。 Zr;0.20% ZrはS介在物、Se介在物を球状化し、冷間鍛造性を改
善する元素である。しかし、多量の添加は逆に冷間鍛造
性を損なうので、上限を0.20%とした。 [実施例] 次に本発明鋼の特徴を従来鋼、比較鋼と比べて実施例
でもって明らかにする。第1表はこれら供試鋼の化学成
分を示すものである。 第1表において、A1〜A9鋼は本発明鋼で、A1〜A3は第
1発明鋼、A4は第2発明鋼、A5〜A8は第3発明鋼、A9は
第4発明鋼である。B1〜B4鋼は従来鋼で、B1鋼は純鉄、
B2鋼は3%Si鋼、B3鋼は13Cr−2.5Si鋼、B4鋼は13Cr−1
Si−0.25Al鋼である。C1〜C3鋼は比較鋼であって、C1鋼
は本発明の組成範囲より低いCrの含有する鋼、C2鋼は本
発明の組成範囲より高いCrを含有する鋼、C3鋼は本発明
の組成範囲よりも低いAlを含有する鋼である。 第1表の供試鋼について、900℃×2Hr保持し、ついで
冷却速度100℃/Hrという熱処理を施した後、A1〜A9、B1
〜B4、C1〜C3鋼の引張り強さ、限界加工率、磁束密度、
保磁力、耐食性、電気抵抗、被削性を測定し、その結果
を第2表に示した。 引張り強さについては、JIS4号試験片を用いて測定し
たものであり、限界加工率については、日本塑性加工学
会冷間鍛造分科会基準、冷間据込み性試験方法(暫定基
準)に基づいて、試験片として直径14φ、高さ21mm、ノ
ッチ付を用い、圧縮試験を行い割れ発生率50%の据込率
を測定したものである。 磁気特性については、直流型BHトレーサを用いて、試
験片として外径24φ、内径16φ、厚さ16mmのリングを作
製し、磁束密度、保磁力を測定したものである。 また、耐食性については、5%NaCl、35℃水溶液にて
塩水噴霧試験を行いその発銹率を測定し、発銹率が5%
以下のものを◎、発銹率が5超〜25%のものを○、発銹
率が25〜50%のものを△、発銹率が50%以上のものを×
とした。 電気抵抗についてはホイーストンブリッジ法により試
験片として1.2φ×500mm線を用いて測定したものであ
る。 被削性については、10mm厚の試験片を用いて回転数72
5r.p.m、ドリルSKH5φ、荷重4Kgで穿孔試験を行い、穴
明けに要する時間を測定したものである。 第2表より知られるように、従来鋼であるB1鋼は、冷
間鍛造性と磁束密度の点では優れているが、耐食性、電
気抵抗、保磁力については劣っている。B2鋼は、磁束密
度の点では優れているが、電気抵抗、冷間鍛造性、耐食
性、保磁力について劣るものである。B3鋼は、耐食性、
電気抵抗については優れているが、保磁力、磁束密度、
冷間鍛造性について劣るものである。B4鋼は、耐食性、
切削性については優れているが、保磁力、磁束密度、冷
間鍛造性について劣るものである。 また、比較鋼であるC1鋼については、Cr量が5.20%と
低いため、電気抵抗、耐食性について劣るものである。
C2鋼については、Cr量が15.10%と高いために、冷間鍛
造性に劣るものである。C3鋼については、Al量が1.25%
と低いために、電気抵抗について劣るものである。 これらに対して、本発明鋼であるA1〜A9鋼は、Cr量を
7〜12%、Al量を2〜5%を含有し、かつC、N、Si、
Mn等の固溶強化元素の値を、C+N;0.015%以下、Si;0.
20%以下、Mn;0.20%以下と非常に低くすることによっ
て、電気抵抗が90μΩcm以上であり、かつ引張り強さ44
Kgf/mm2以下、限界加工率60%以上と優れた冷間鍛造性
を有しており、さらに磁気特性についても、磁束密度13
000G以上、かつ保磁力が1.0Oe以下と優れており、さら
に耐食性、被削性についても優れているものである。 [発明の効果] 本発明は以上説明したように、適量のCr、Alを複合添
加し、かつSi、Mn、C、N等の固溶強化元素を極力低減
させることによって、優れた電気抵抗、冷間鍛造性、磁
気特性、耐食性を兼ね合わせ持つものである。さらに、
S、Se、Pb、Te、Zr、Tiを必要に応じて複合添加するこ
とによって、冷間鍛造性を損なうことなく、被削性を改
善したものである。本発明は、パルス作動型の電子燃料
噴射装置、電磁弁等の冷間鍛造によって製造される磁芯
部品に適した耐食軟磁性鋼であり、高い実用性を有する
ものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はFe−Cr−Al系鋼と、Fe−Si系鋼について引張り
強さと電気抵抗との関係について示した線図である。
強さと電気抵抗との関係について示した線図である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.重量比にしてC+N;0.015%以下、Si;0.20%以下、
Mn;0.20%以下、Cr;7〜13%、Al;2〜5%を含有し、残
部Feならびに不純物元素からなることを特徴とする耐食
軟磁性鋼。 2.重量比にしてC+N;0.015%以下、Si;0.20%以下、
Mn;0.20%以下、Cr;7〜13%、Al;2〜5%と、Ti;0.08%
以下を含有し、残部Feならびに不純物元素からなること
を特徴とする耐食軟磁性鋼。 3.重量比にしてC+N;0.015%以下、Si;0.20%以下、
Mn;0.20%以下、Cr;7〜13%、Al;2〜5%を含有し、か
つS;0.050%以下、Se;0.050%以下、Pb;0.30%以下のう
ち1種以上と、さらにZr;0.20%以下、Te;0.030%以下
のうち1種以上を含有し、残部Feならびに不純物元素か
らなることを特徴とする耐食軟磁性鋼。 4.重量比にしてC+N;0.015%以下、Si;0.20%以下、
Mn;0.20%以下、Cr;7〜13%、Al;2〜5%と、Ti;0.08%
以下を含有し、かつS;0.050%以下、Se;0.050%以下、P
b;0.30%以下のうち1種以上と、さらにZr;0.20%以
下、Te;0.030%以下のうち1種以上を含有し、残部Feな
らびに不純物元素からなることを特徴とする耐食軟磁性
鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17923886A JP2711446B2 (ja) | 1986-07-30 | 1986-07-30 | 耐食軟磁性鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17923886A JP2711446B2 (ja) | 1986-07-30 | 1986-07-30 | 耐食軟磁性鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6335757A JPS6335757A (ja) | 1988-02-16 |
JP2711446B2 true JP2711446B2 (ja) | 1998-02-10 |
Family
ID=16062356
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP17923886A Expired - Fee Related JP2711446B2 (ja) | 1986-07-30 | 1986-07-30 | 耐食軟磁性鋼 |
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JPH01290749A (ja) * | 1988-05-17 | 1989-11-22 | Daido Steel Co Ltd | 電子制御式燃料噴射弁のハウジングまたはコネクタ材料 |
JPH0649916B2 (ja) * | 1989-03-31 | 1994-06-29 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 耐食軟磁性棒管用鋼 |
JP2820312B2 (ja) * | 1990-07-24 | 1998-11-05 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 高耐食性軟磁性棒管用鋼 |
-
1986
- 1986-07-30 JP JP17923886A patent/JP2711446B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPS6335757A (ja) | 1988-02-16 |
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