JP2791098B2 - 新規凝乳酵素及びその製造法 - Google Patents
新規凝乳酵素及びその製造法Info
- Publication number
- JP2791098B2 JP2791098B2 JP12526889A JP12526889A JP2791098B2 JP 2791098 B2 JP2791098 B2 JP 2791098B2 JP 12526889 A JP12526889 A JP 12526889A JP 12526889 A JP12526889 A JP 12526889A JP 2791098 B2 JP2791098 B2 JP 2791098B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- enzyme
- activity
- milk
- added
- soymilk
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、豆乳を凝固する新規な凝乳酵素及びその製
法に関する。
法に関する。
従来、大豆より食品素材を製造する方法としては、豆
乳ににがりをはじめとした塩類を添加する方法、グルコ
ノデルタラクトンをはじめとした酸類を添加する方法及
びプロテアーゼ等の酵素を使用する方法等が知れられて
いる。
乳ににがりをはじめとした塩類を添加する方法、グルコ
ノデルタラクトンをはじめとした酸類を添加する方法及
びプロテアーゼ等の酵素を使用する方法等が知れられて
いる。
しかしながら、塩類や酸類を添加する方法により得ら
れた食品素材は食感としてざらつきが強く乳化性も劣
り、且つ、塩味や酸味が残る等、今だ満足できる品質の
ものは得られていはいのが現状である。
れた食品素材は食感としてざらつきが強く乳化性も劣
り、且つ、塩味や酸味が残る等、今だ満足できる品質の
ものは得られていはいのが現状である。
酵素を使用する方法としては、プロテアーゼによるも
の(特開昭62−232340号)プロテアーゼとマグネシウム
塩の共存化によるもの(特開昭63−265号)が知られて
いるが、酵素法では確かに滑らかな食感を有するペース
ト状素材が得られるが、酵素法によるものは収率が極め
て低く、苦み、渋味等の雑味を有する等の問題点があ
り、又、プロテアーゼとマグネシウム塩の共存化による
ものは、収率は改善されているもののやはり苦み、渋味
等の雑味を有する問題点がある。
の(特開昭62−232340号)プロテアーゼとマグネシウム
塩の共存化によるもの(特開昭63−265号)が知られて
いるが、酵素法では確かに滑らかな食感を有するペース
ト状素材が得られるが、酵素法によるものは収率が極め
て低く、苦み、渋味等の雑味を有する等の問題点があ
り、又、プロテアーゼとマグネシウム塩の共存化による
ものは、収率は改善されているもののやはり苦み、渋味
等の雑味を有する問題点がある。
一方、このような背景のもと新規な豆乳凝乳酵素を開
発する試みもなされており、豆乳凝乳酵素としては、特
開昭61−282074号,特開昭62−179386号,特開昭51−48
455号が知られている。
発する試みもなされており、豆乳凝乳酵素としては、特
開昭61−282074号,特開昭62−179386号,特開昭51−48
455号が知られている。
なお、特開昭61−282074号は、バシラス属の属する細
菌が生産する凝乳酵素であり、以下に示す本発明の凝乳
酵素とはその起源が異なる上に、その酵素学的性質も、
分子量、最適作用温度、アルカリ側でのpH安定性が大き
く異なっている。
菌が生産する凝乳酵素であり、以下に示す本発明の凝乳
酵素とはその起源が異なる上に、その酵素学的性質も、
分子量、最適作用温度、アルカリ側でのpH安定性が大き
く異なっている。
特開昭62−179386号は、稈菌に属する細菌が生産する
凝乳酵素であり、その酵素学的性質は粗酵素であるた
め、酵素の特定は出来ていないが、本発明の凝乳酵素と
は熱安定性が大きく異なっている。
凝乳酵素であり、その酵素学的性質は粗酵素であるた
め、酵素の特定は出来ていないが、本発明の凝乳酵素と
は熱安定性が大きく異なっている。
特開昭51−48455号は、ロドシェードモナス属に属す
る細菌が生産する凝乳酵素であるが、その酵素学的性質
は明らかにされていない。
る細菌が生産する凝乳酵素であるが、その酵素学的性質
は明らかにされていない。
そして、これら凝乳酵素を使用した場合においても、
苦みは比較的弱いものの依然として苦み、渋みについて
の問題点は解消されているとは言い難い。
苦みは比較的弱いものの依然として苦み、渋みについて
の問題点は解消されているとは言い難い。
また、本発明者等は、先にムコール属等の系状菌の産
生する粗酵素を用いた優れた乳化特性及びテクスチャを
有し、苦味、渋味、異臭のない素材及びその製造方法に
ついて出願している(特眼昭63−208287号)。
生する粗酵素を用いた優れた乳化特性及びテクスチャを
有し、苦味、渋味、異臭のない素材及びその製造方法に
ついて出願している(特眼昭63−208287号)。
本発明の課題は、優れた乳化特性を有し、滑らかなテ
クスチャーを与え、苦み、渋み等の雑味及び大豆臭等の
異臭のない豆乳又は豆乳類原料由来の新規食品素材を得
るために有用な新規凝乳酵素並びにその製造法を提供し
ようとするものである。
クスチャーを与え、苦み、渋み等の雑味及び大豆臭等の
異臭のない豆乳又は豆乳類原料由来の新規食品素材を得
るために有用な新規凝乳酵素並びにその製造法を提供し
ようとするものである。
大豆を原料とする食品素材をめぐるこのような技術的
背景を踏え、本発明者らは、滑らかな食感を有し、乳化
性に優れ、苦み、渋み等の雑味及び大豆臭等の異臭のな
大豆由来の新しい食品素材その効率的な製造方法及び当
該食品素材を使用した新しい食品を開発することを目標
とした鋭意研究を重ねた結果、ムコール属に属する糸状
菌が産生する特定の凝乳酵素、即ち、ムコール属に属す
る糸状菌を固体培養して固体麹の酵素抽出物又は液体培
養して得た酵素含有培養液上清を豆乳又は豆乳類に添加
することにより前記問題点を回避し得ることを見い出し
て本発明を完成するに至った。
背景を踏え、本発明者らは、滑らかな食感を有し、乳化
性に優れ、苦み、渋み等の雑味及び大豆臭等の異臭のな
大豆由来の新しい食品素材その効率的な製造方法及び当
該食品素材を使用した新しい食品を開発することを目標
とした鋭意研究を重ねた結果、ムコール属に属する糸状
菌が産生する特定の凝乳酵素、即ち、ムコール属に属す
る糸状菌を固体培養して固体麹の酵素抽出物又は液体培
養して得た酵素含有培養液上清を豆乳又は豆乳類に添加
することにより前記問題点を回避し得ることを見い出し
て本発明を完成するに至った。
本発明は、優れた乳化特性を有し、滑らかなテクスチ
ャーを与え、苦み、渋み等の雑味及び大豆臭等の異臭の
ない豆乳又は豆乳類原料由来の新規食品素材を提供する
新規凝乳酵素並びにその製造法を提供することを目的と
するものである。
ャーを与え、苦み、渋み等の雑味及び大豆臭等の異臭の
ない豆乳又は豆乳類原料由来の新規食品素材を提供する
新規凝乳酵素並びにその製造法を提供することを目的と
するものである。
本発明者らは、目的とする酵素を生産する能力を有す
る微生物の検索を自然界から広く行った結果、ムコール
属に属する1菌株が該酵素を効率よく菌体外に大量生産
することを見出し、本発明を完成するに到った。
る微生物の検索を自然界から広く行った結果、ムコール
属に属する1菌株が該酵素を効率よく菌体外に大量生産
することを見出し、本発明を完成するに到った。
(I)凝乳酵素の諸性質 本発明の凝乳酵素の理化学的性質は以下の通りであ
る。
る。
(1) 作用 豆乳に作用し、豆乳を凝固する。
(2) 基質特異性 主として豆乳を凝固する。
(3) 至適pH及び安定pH範囲 豆乳をpH5.9〜7.0に調整したものについて、50℃での
活性を測定した。豆乳は1.25mM塩化カルシウム溶液を添
加したものと無添加のものについて測定をおこなった。
その結果至適pHは6.1付近であった。pH6.0以下では、プ
レインキュベートの段階で凝固したため、測定出来なか
った。(第1図参照) また、安定pH範囲は、酵素溶液をpH3.0〜11.0の範囲
で30℃、1時間処理した後pH6.1、50℃にて活性を測定
した結果pH3.0〜7.0の範囲内のいずれのpH値においても
60%以上の残存活性が認められた。(第2図参照) (4) 作用温度範囲及び最適作用温度 豆乳をpH6.1に調整後、反応温度40〜75℃の範囲で活
性を測定した。豆乳は1.25mM塩化カルシウム溶液を添加
したものと無添加のものについて測定をおこなった。そ
の結果最適作用温度は塩化カルシウム添加で60℃、無添
加で57℃であった。作用温度は、塩化カルシウム添加で
50〜70℃付近の範囲内の各温度において50%以上の相対
活性を示し、無添加で46〜64℃付近の範囲内の各温度に
おいて50%以上の相対活性を示した。
活性を測定した。豆乳は1.25mM塩化カルシウム溶液を添
加したものと無添加のものについて測定をおこなった。
その結果至適pHは6.1付近であった。pH6.0以下では、プ
レインキュベートの段階で凝固したため、測定出来なか
った。(第1図参照) また、安定pH範囲は、酵素溶液をpH3.0〜11.0の範囲
で30℃、1時間処理した後pH6.1、50℃にて活性を測定
した結果pH3.0〜7.0の範囲内のいずれのpH値においても
60%以上の残存活性が認められた。(第2図参照) (4) 作用温度範囲及び最適作用温度 豆乳をpH6.1に調整後、反応温度40〜75℃の範囲で活
性を測定した。豆乳は1.25mM塩化カルシウム溶液を添加
したものと無添加のものについて測定をおこなった。そ
の結果最適作用温度は塩化カルシウム添加で60℃、無添
加で57℃であった。作用温度は、塩化カルシウム添加で
50〜70℃付近の範囲内の各温度において50%以上の相対
活性を示し、無添加で46〜64℃付近の範囲内の各温度に
おいて50%以上の相対活性を示した。
(5) 分子量 精製凝乳酵素の分子量はセファデックスG−100ゲル
ろ過により約35,000である。
ろ過により約35,000である。
(6) 熱安定性 酵素溶液をpH6.1、30分間各温度で加熱処理後、pH6.
1、50℃にてそれぞれの残存活性を測定した。その結果3
5℃までは100%、40℃で80%、50℃で10%の残存活性を
示し、60℃でほぼ失活した。(第4図参照) (7) 凝乳酵素に対する金属イオンの影響 (イ)pH6.1、50℃において各金属イオン1mM添加した場
合の本酵素の凝乳活性を以下の第1表に示す。
1、50℃にてそれぞれの残存活性を測定した。その結果3
5℃までは100%、40℃で80%、50℃で10%の残存活性を
示し、60℃でほぼ失活した。(第4図参照) (7) 凝乳酵素に対する金属イオンの影響 (イ)pH6.1、50℃において各金属イオン1mM添加した場
合の本酵素の凝乳活性を以下の第1表に示す。
いずれの金属イオンでも凝乳活性の増大が認められ
た。
た。
(ロ)1mMの金属塩を添加した酵素液を30℃、30分間放
置した後、pH6.1、50℃にて活性を測定した結果を第2
表に示す。
置した後、pH6.1、50℃にて活性を測定した結果を第2
表に示す。
第2表の結果から明らかなようにこの場合においては
本酵素の凝乳活性はカルシウム,銅,コバルト,アルミ
ニウム,ニッケルイオンにより活性化され、鉄,ストロ
ンチウム,水銀,亜鉛イオンにより阻害される。
本酵素の凝乳活性はカルシウム,銅,コバルト,アルミ
ニウム,ニッケルイオンにより活性化され、鉄,ストロ
ンチウム,水銀,亜鉛イオンにより阻害される。
(8) 酵素阻害剤による酵素の阻害 pH6.1、30℃において各種酵素阻害剤により30分間処
理した後、pH6.1、50℃で凝乳活性を測定した結果を以
下の第3表に示す。
理した後、pH6.1、50℃で凝乳活性を測定した結果を以
下の第3表に示す。
何れの阻害剤に対しても著しい阻害は認められなかっ
た。
た。
本発明の新規凝乳酵素は、上記性質を有する、もので
あればその由来を問わないものであるが本酵素の具体例
としては、例えばムコール属に属する微生物由来のもの
が挙げられる。
あればその由来を問わないものであるが本酵素の具体例
としては、例えばムコール属に属する微生物由来のもの
が挙げられる。
(II)酵素活性の測定法 本明細書における酵素活性は、豆乳5mlに酵素液0.5ml
を加え、すばやく混和したのち、一定温度に保ち、基質
が凝乳するまでの時間を測定した。
を加え、すばやく混和したのち、一定温度に保ち、基質
が凝乳するまでの時間を測定した。
1分間に基質5mlを凝乳させる酵素量をもって1凝乳
ユニットとしたものであり、以下の式により算出され
る。
ユニットとしたものであり、以下の式により算出され
る。
(III)凝乳酵素の製造 本発明の凝乳酵素の製造方法について以下に述べる。
1.使用微生物 本発明の凝乳酵素を生産するために使用する菌株とし
てはムコールエスピーストレインMucorsp.strain)5121
(FERM P−10221)を挙げることができる。
てはムコールエスピーストレインMucorsp.strain)5121
(FERM P−10221)を挙げることができる。
この菌株は、次の菌学的性質を有する。
サブロー培地、ポテトデキストロース培地、ツェペッ
クドックス培地、麦芽エキス培地、いずれの培地でも生
育は速く、表面は、羊毛状を呈する。集落は、白色〜黄
褐色。菌子は、隔壁が無く、気生菌子で、ほふく菌糸を
形成、高さ0.5〜3.5μで滑面。接合胞子は球状で、有
棘、黒褐色でφ70〜80μm。胞子のう柄は、単軸房状に
分岐している。胞子のうは、球状でφ20〜70μm。
クドックス培地、麦芽エキス培地、いずれの培地でも生
育は速く、表面は、羊毛状を呈する。集落は、白色〜黄
褐色。菌子は、隔壁が無く、気生菌子で、ほふく菌糸を
形成、高さ0.5〜3.5μで滑面。接合胞子は球状で、有
棘、黒褐色でφ70〜80μm。胞子のう柄は、単軸房状に
分岐している。胞子のうは、球状でφ20〜70μm。
2.培養及び粗酵素液の採取 固体培養にて生産する場合は、原料としてフスマ、穀
類の糠、大豆、脱脂大豆、米、小麦糖の穀類を単独ある
いは組み合わせて使用することが出来る。これら原料に
対し60〜150%(W/W)、望ましくは80〜120%(W/W)散
水し、殺菌後、菌を摂取し20〜35℃、望ましくは25〜30
℃にて1〜4日間、望ましくは2〜3日好気的な条件で
培養を行う。
類の糠、大豆、脱脂大豆、米、小麦糖の穀類を単独ある
いは組み合わせて使用することが出来る。これら原料に
対し60〜150%(W/W)、望ましくは80〜120%(W/W)散
水し、殺菌後、菌を摂取し20〜35℃、望ましくは25〜30
℃にて1〜4日間、望ましくは2〜3日好気的な条件で
培養を行う。
培養終了後、5〜20倍、望ましくは10倍量程度の水を
加え撹拌、酵素抽出することにより粗酵素液が得られ
る。
加え撹拌、酵素抽出することにより粗酵素液が得られ
る。
液体培養にて生産する場合は、窒素源としては、有機
窒素含有物として、各種アミノ酸、マルトエキス、ペプ
トン、肉エキス等がまた無機窒素化合物として、塩化ア
ンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等が
単独又は組み合せて使用される。炭素源としては、グル
コース、シュークロース、糖蜜等、通常用いるものは全
て使用出来る。その他、ミネラル、ビタミン類等を適宜
添加使用することが出来る。培養温度は25〜35℃、望ま
しくは27〜32℃が好適である。培養pHは、6.0〜7.0、望
ましくは6.5〜6.8が好適である。
窒素含有物として、各種アミノ酸、マルトエキス、ペプ
トン、肉エキス等がまた無機窒素化合物として、塩化ア
ンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等が
単独又は組み合せて使用される。炭素源としては、グル
コース、シュークロース、糖蜜等、通常用いるものは全
て使用出来る。その他、ミネラル、ビタミン類等を適宜
添加使用することが出来る。培養温度は25〜35℃、望ま
しくは27〜32℃が好適である。培養pHは、6.0〜7.0、望
ましくは6.5〜6.8が好適である。
培養は、2〜7日間、好気的条件下で行う。培養終了
後、培養液中の菌体等を遠心分離にて除去し、培養上清
を粗酵素液として使用する。
後、培養液中の菌体等を遠心分離にて除去し、培養上清
を粗酵素液として使用する。
3.酵素の精製 通常の酵素精製法を適用できるが、例えば硫安塩折に
より得られた沈澱蛋白を硫酸アンモニウム−リン酸ナト
リウムバッバッファーで溶解し、不溶物を遠心分離で除
去した後、ブチル,トヨパール650Sカラムに添加し、同
じバッファーで未吸着区分を溶出させた後、硫安濃度1.
0M〜0M直線濃度勾配をかけて酵素を溶出して、およそ0.
7M硫安で溶出される単一の活性画分を集め、濃縮、透析
することにより精製凝乳酵素を得ることができる。
より得られた沈澱蛋白を硫酸アンモニウム−リン酸ナト
リウムバッバッファーで溶解し、不溶物を遠心分離で除
去した後、ブチル,トヨパール650Sカラムに添加し、同
じバッファーで未吸着区分を溶出させた後、硫安濃度1.
0M〜0M直線濃度勾配をかけて酵素を溶出して、およそ0.
7M硫安で溶出される単一の活性画分を集め、濃縮、透析
することにより精製凝乳酵素を得ることができる。
本発明により、滑らかな食感を有し、乳化性に優れ、
苦み、渋み等の雑味及び大豆臭等の異臭のない大豆由来
の全く新しい食品素材を効率的に製造することを可能に
する新規かつ有用な凝乳酵素及びその製造方法を提供す
ることができた。そして、本発明の凝乳酵素を使用して
得られた大豆由来の食品素材は、特に優れた食品の乳化
特性を有し、各種食品の新素材として利用できる利点が
ある。また、当該食品素材を使用することにより、品質
の優れた多種食品を製造することが可能となり、例え
ば、納豆、味噌、豆腐等の大豆を原料とする食品、チー
ズ、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン、ケフィール
等の乳製品、マヨネーズ、ドレッシング、マーガリン等
に使用する乳化剤、油脂類の代替品として使用すること
が出来る。更には、スープ、コロッケ、ハンバーグ等の
惣菜、ムース、ゼリー等デザート食品、カマボコ、ソー
セージ等練り製品、菓子、麺類等に使用し、品質の優れ
た食品を製造できる利点を有するものである。
苦み、渋み等の雑味及び大豆臭等の異臭のない大豆由来
の全く新しい食品素材を効率的に製造することを可能に
する新規かつ有用な凝乳酵素及びその製造方法を提供す
ることができた。そして、本発明の凝乳酵素を使用して
得られた大豆由来の食品素材は、特に優れた食品の乳化
特性を有し、各種食品の新素材として利用できる利点が
ある。また、当該食品素材を使用することにより、品質
の優れた多種食品を製造することが可能となり、例え
ば、納豆、味噌、豆腐等の大豆を原料とする食品、チー
ズ、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン、ケフィール
等の乳製品、マヨネーズ、ドレッシング、マーガリン等
に使用する乳化剤、油脂類の代替品として使用すること
が出来る。更には、スープ、コロッケ、ハンバーグ等の
惣菜、ムース、ゼリー等デザート食品、カマボコ、ソー
セージ等練り製品、菓子、麺類等に使用し、品質の優れ
た食品を製造できる利点を有するものである。
次に、実施例により、本発明を具体的に説明する、 (1)粗酵素液の調整 ムコール エスピー ストレイン5121(FERM P−1022
1)を100(W/W)%散水したふすま培地60gに接種し、30
℃、3日間培養を行った。培養終了後10倍量の水を加え
撹拌、抽出し、粗酵素液600mlをえた。この酵素液は2
ユニット/mlの凝乳活性を含有していた。
1)を100(W/W)%散水したふすま培地60gに接種し、30
℃、3日間培養を行った。培養終了後10倍量の水を加え
撹拌、抽出し、粗酵素液600mlをえた。この酵素液は2
ユニット/mlの凝乳活性を含有していた。
(2)粗酵素液の調整 上記(1)で得られた粗酵素液を硫安80%飽和状態に
して2〜3時間4℃で放置後、沈澱蛋白を遠心分離で回
収した。この沈澱蛋白中の蛋白含量は91.5mgであった。
この沈澱蛋白には13.1ユニット/mgの凝乳活性を含有し
ていた。
して2〜3時間4℃で放置後、沈澱蛋白を遠心分離で回
収した。この沈澱蛋白中の蛋白含量は91.5mgであった。
この沈澱蛋白には13.1ユニット/mgの凝乳活性を含有し
ていた。
(3)酵素の精製 上記(2)で得られた沈澱蛋白をpH6.1の1.0M硫酸ア
ンモニウム−20mMリン酸ナトリウムバファーで溶解し、
不純物を遠心分離で除去した後、ブチル−トヨパール65
0Sカラム(容量13ml)に添加した。同じバファーで未吸
収区分を溶出させた後、硫安濃度1.0Mから0M直線濃度勾
配をかけて酵素を溶出させた。およそ0.7M硫安で溶出さ
れる単一の活性画分を集め、濃縮、透析し、精製凝乳酵
素20.0mgを得た。この精製酵素は37.7ユニット/mgの凝
乳活性を含有していた。また、本精製酵素は前記の
(I)の諸性質を有していた。
ンモニウム−20mMリン酸ナトリウムバファーで溶解し、
不純物を遠心分離で除去した後、ブチル−トヨパール65
0Sカラム(容量13ml)に添加した。同じバファーで未吸
収区分を溶出させた後、硫安濃度1.0Mから0M直線濃度勾
配をかけて酵素を溶出させた。およそ0.7M硫安で溶出さ
れる単一の活性画分を集め、濃縮、透析し、精製凝乳酵
素20.0mgを得た。この精製酵素は37.7ユニット/mgの凝
乳活性を含有していた。また、本精製酵素は前記の
(I)の諸性質を有していた。
〔参考例〕食品素材の製造 上記実施例で得た精製酵素0.2mgをpH6.1に調整した豆
乳500mgに添加し、55℃で10分間反応させた。反応終了
後、1500×gで15分間遠心分離し、水分81%のペースト
状の食品素材を200g得た。本食品素材は、優れた乳化特
性を有し、滑らかなテクスチャーを与え、苦み、渋み等
の雑味及び大豆臭等の異臭のない食品素材であった。
乳500mgに添加し、55℃で10分間反応させた。反応終了
後、1500×gで15分間遠心分離し、水分81%のペースト
状の食品素材を200g得た。本食品素材は、優れた乳化特
性を有し、滑らかなテクスチャーを与え、苦み、渋み等
の雑味及び大豆臭等の異臭のない食品素材であった。
第1図は凝乳酵素のpHと活性の関係を示す図であり、第
2図は当該酵素のpH安定性を示す図である。又、第3図
は当該酵素の温度と活性の関係を示す図であり、第4図
は当該酵素の温度安定性を示す図である。
2図は当該酵素のpH安定性を示す図である。又、第3図
は当該酵素の温度と活性の関係を示す図であり、第4図
は当該酵素の温度安定性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−57154(JP,A) 特開 昭62−232340(JP,A) 特開 昭63−265(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 9/58 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)
Claims (4)
- 【請求項1】下記理学的特質を有する凝乳酵素 (1) 作用 本酵素は豆乳に作用し、豆乳を凝固する。 (2) 基質特異性 主として豆乳を凝固する。 (3) 至適pH及び安定pH範囲 至適pHは6.1付近であり、又、酵素溶液を各種pHにて30
℃、1時間処理した後の残存活性を測定した後の安定pH
範囲はpH3.0〜7.0の範囲内のいずれかのpH値においても
60%以上であった (4) 作用温度範囲及び最適作用温度 最適作用温度は塩化カルシウム添加で60℃、無添加で57
℃でり、作用温度は、塩化カルシウム添加で50〜70℃付
近の各温度において50%以上の相対活性を示し、無添加
で46〜64℃付近の各温度において50%以上の相対活性を
示した。 (5) 分子量 分子量は約35,000(ゲルろ過法による)ある。 (6) 熱安定性 酵素溶液をpH6.1、30分間各温度で加熱処理後pH6.1、50
℃にて残存活性を測定した。その結果35℃までは100
%、40℃で80%、50℃で10%の残存活性を示し、60℃で
ほぼ失活する。 (7) 凝乳活性に対する金属イオンの影響 (イ)pH6.1、50℃で金属イオン1mM添加する場合におい
て特にアルミニウム,銅,マグネシウム,ストロンチウ
ム及びカルシウムイオンにより凝乳活性が増大する。 (ロ)1mMの金属塩を添加した酵素溶液を30℃、30分間
放置した後pH6.1、50℃にて活性を測定した結果カルシ
ウム,銅,コバルト,アルミニウム及びニッケルイオン
により活性化され、鉄,ストロンチウム,水銀及び亜鉛
イオンにより阻害される。 (8) 酵素阻害剤による酵素の阻害 pH6.1、30℃、30分間処理したpH6.1、50℃で活性を測定
した結果P−クロロメルクリ安息香酸,エチレンジアミ
ンテトラ酢酸,ジイソプロピルフルオロリン酸,大豆ト
リプシンインヒビター及びポテトインヒビターにより著
しい阻害を受けない。 - 【請求項2】凝乳酵素がムコール属に属する微生物由来
のものである請求項1記載の凝乳酵素。 - 【請求項3】ムコール属に属する凝乳酵素生産菌を培地
に培養し、培養物から請求項1又は2記載の凝乳酵素を
採取することを特徴とする請求項1又は2記載の凝乳酵
素の製造法。 - 【請求項4】ムコール属に属する微生物がムコールエス
ピーストレイン5121(FERM P−10221)である請求項3
記載の凝乳酵素の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12526889A JP2791098B2 (ja) | 1989-05-18 | 1989-05-18 | 新規凝乳酵素及びその製造法 |
US07/396,662 US4996064A (en) | 1988-08-24 | 1989-08-22 | Novel foodstuff from soymilk and method for production thereof |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12526889A JP2791098B2 (ja) | 1989-05-18 | 1989-05-18 | 新規凝乳酵素及びその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02303487A JPH02303487A (ja) | 1990-12-17 |
JP2791098B2 true JP2791098B2 (ja) | 1998-08-27 |
Family
ID=14905878
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12526889A Expired - Fee Related JP2791098B2 (ja) | 1988-08-24 | 1989-05-18 | 新規凝乳酵素及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2791098B2 (ja) |
-
1989
- 1989-05-18 JP JP12526889A patent/JP2791098B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02303487A (ja) | 1990-12-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2536086B2 (ja) | 長期常温保存可能な豆腐の製造法 | |
JPH0665280B2 (ja) | タンパクゲル化剤及びそれを用いるタンパクのゲル化方法 | |
US3857967A (en) | Preparation of food and beverages with peptidoglutaminase | |
JP2749073B2 (ja) | 食品素材及びその製造方法 | |
KR20010090004A (ko) | 저렴한 콩 단백질 함유 식품 성분 | |
JP3142001B2 (ja) | 酵素加水分解タン白の苦味除去方法 | |
US4315946A (en) | Modified vegetable protein isolates | |
JP2572716B2 (ja) | 新規なトランスグルタミナーゼ | |
JP2791098B2 (ja) | 新規凝乳酵素及びその製造法 | |
US4996064A (en) | Novel foodstuff from soymilk and method for production thereof | |
JP2801376B2 (ja) | チーズ風味組成物の製造方法 | |
WO2006043478A1 (ja) | 乳酸菌発酵豆乳およびその製造法 | |
JP2594340B2 (ja) | チーズフードの製造法 | |
JP2782849B2 (ja) | 植物性タンパク粉末およびそれを用いる豆腐の製造法 | |
JP2871379B2 (ja) | 大豆製品の風味及び色調改善方法 | |
US3482997A (en) | Making cheese using a modified bacterial enzyme complex from the genus bacillus | |
JPH1118714A (ja) | 抗酸化力のある発酵胡麻およびこれを用いた食品 | |
JPH08224063A (ja) | タンパクゲル化組成物 | |
JPS59113869A (ja) | 風味の強いチ−ズフレ−バ−の生成方法 | |
JPH02177863A (ja) | ペースト状食品汎用素材及びペースト状食品の製造法 | |
JP2011182674A (ja) | ケラチナーゼおよびその製造法 | |
JP2590373B2 (ja) | 新規なすり身とその製造方法 | |
JP2002125665A (ja) | 新規なキモトリプシン様プロテア−ゼ及びその製造法並びに新規なキモトリプシン様プロテアーゼを作用させるタンパク質分解物含有物の製造法。 | |
JPH0797973B2 (ja) | 天然牛肉濃縮汁液のフレーバ増強方法 | |
DE2044866C3 (de) | Verfahren zur biotechnischen Herstellung von Peptidoglutaminase I und/oder II und ihre Verwendung in proteinhaltigen Getränken und Nahrungsmitteln |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |