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JP2757523B2 - 積層状食品の製造方法 - Google Patents

積層状食品の製造方法

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JP2757523B2
JP2757523B2 JP2051670A JP5167090A JP2757523B2 JP 2757523 B2 JP2757523 B2 JP 2757523B2 JP 2051670 A JP2051670 A JP 2051670A JP 5167090 A JP5167090 A JP 5167090A JP 2757523 B2 JP2757523 B2 JP 2757523B2
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  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Seeds, Soups, And Other Foods (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、パイやクラッカー等の積層状食品の製造方
法および該食品用のミックスに関する。
[従来の技術] 積層状食品の代表例としてはパイが挙げられ、パイク
ラスト(パイの台)の製造法は、通常、折り方式と練り
方式に大別される。折り方式による場合は、小麦粉に食
塩等の他の材料を加えた混合物に油脂の一部を加えまた
は加えずに加水混捏して生地をつくり、この生地を圧延
して得たシートの中央に残量または全量の油脂を載せ、
これを生地で包み込み、圧延および折り返しを多数回繰
り返して多数の生地層と油脂層が交互に薄層状になった
状態とし、これを成形焼成しパイクラストが製造され
る。また、練り方式による場合は、小麦粉に食塩やその
他の材料とともに全量の固形脂を切り刻んで混合し、水
を加えて軽く捏ね合わせて固形脂細片が均一に分布して
いる状態の生地にし、圧延と折り返しを数回繰り返した
後成形焼成することによりパイクラストが製造される。
折り方式による場合は、練り方式による場合に比べ
て、層の形成がよく、口当たりの軽い品質の良好なパイ
クラストが得られるが、上記のように製造工程が複雑で
あるという欠点があり、かかる点から練り方式によって
口当たりの軽いパイクラストを簡単につくることが従来
から試みられている。
かかる従来技術としては、20℃および38℃における液
状油の含有割合がそれぞれ55%以下85%以上である細分
された固形脂と小麦粉等を軽く混捏後、圧延・折りたた
み・焙焼してパイを製造する方法が提案されている(特
公昭44−21388号)が、かかる方法による場合でも、薄
い生地層と油脂層を形成するために圧延・折りたたみを
数回繰り返す必要があった。また、他の技術として0℃
における固形脂含有率が30以上でかつ且つ20℃における
固形脂含有率が10〜45の油脂またはその乳化物を、厚さ
0.05〜1.5mmのフレーク状またはフイルム状とし、これ
を固形脂含有率が25以上となる温度条件下に小麦粉等に
加え軽度に混捏、圧延を行い、折りたたみ操作を行うこ
となくそのまま成形、焙焼して積層状菓子を製造する方
法が提案されている(特公昭48−21505号)。この方法
による場合は、圧延・折りたたみ操作を繰り返す必要は
ないが、油脂を0.05〜1.5mmという極め薄いフレーク状
またはフイルム状にする必要があり、かかる薄いフレー
ク状またはフイルム状の油脂の形成が困難である。しか
も該フレーク状またはフイルム状油脂同士の間で付着や
融解が生じて小麦粉等の原料中への均一分散が困難にな
り、薄い生地層および油脂層が形成されず、その結果、
軽い食感を有する口当りのよい積層状菓子の製造が困難
であった。
[発明の内容] 本発明者らは、層の形成が良好で口当りの良好な軽い
食感を有するパイ等の積層状食品を簡単に製造し得る方
法を求めて研究を続けてきた。その結果、特定の固形脂
含有率を有する油脂を加熱溶解して小麦粉中に均一に混
合すると、極めて簡単な操作で食感の良好な積層状食品
が得られることを見出して本発明を完成した。
したがって、本発明は、固形脂含有率が10℃において
30〜60%および30℃において0〜20%である油脂を加熱
溶融し、この溶融油脂を小麦粉およびその他の材料から
なる原料に均一に混合した後冷却し、次いで水を加え混
捏して生地を調製し、該生地を圧延、成形および加熱す
ることを特徴とする積層状食品の製造方法である。
更に、本発明は、固形脂含有率が10℃において30〜60
%および30℃において0〜20%である油脂を加熱溶融
し、この溶融油脂を小麦粉およびその他の材料からなる
原料に均一に混合した後冷却して積層状食品用のミック
スを製造する方法、および該方法により得られた積層状
食品用ミックスをも包含する。
本発明における「積層状食品」とは、生地層と油脂層
が交互に薄層状となって多数重なった構造のものを加熱
して得られる食品をいう。かかる積層状食品の例として
は、パイ、クラッカーおよびこれらの類似品等を挙げる
ことができるが、本発明は特にパイの製造に適してい
る。
本発明では、油脂として、固形脂含有率が10℃におい
て30〜60%おおび30℃において0〜20%である油脂を使
用することが必要である。10℃における固形脂含有率は
生地中での伸展性を左右し、10℃において固形脂含有率
が30%未満の場合は油脂が柔らか過ぎて得られる積層状
食品の浮きが悪くべとついた食感になり、また固形脂含
有率が60%を超えると油脂に伸展性がなくなり浮きのほ
とんどない硬い積層状食品しか得られない。また、30℃
における固形脂含有率は積層状食品の食感を左右し、30
℃において固形脂含有率が20%を超える油脂は、融点が
高すぎて積層状食品の食感を低下させる。一年を通して
浮きがよく、且つ口当りや食感のよい安定した積層状食
品を提供できるという点で、10℃における固形脂含有率
が35〜50%であり、且つ30℃における固形脂含有率が10
〜20%の油脂が特に好ましい。
本発明では上記条件を満たす食用油脂のいずれもが使
用できる。かかる油脂の原料の例としては、大豆油、綿
実油、コーン油、サフラワー油、パーム油、菜種油、カ
ポック油、ヤシ油等の植物性油;バター、牛脂、ラー
ド、魚油、鯨油等の動物性油脂類;マーガリンやショー
トニング等の上記油脂類の混合物等を挙げることができ
る。油脂原料は1種類のみを単独で使用しても複数種を
併用してもよい。上記油脂原料のうちでも、食味、風
味、取扱性等の点から、綿実油、菜種油、大豆油および
それらの混合物が好ましい。
油脂の配合量は、小麦粉等の穀粉や殿粉(以下「穀粉
類」という)100重量部(以下「重量部」を単に「部」
という)に対して、40〜80部、特に50〜70部とするのが
積層状食品の食感がよくなり好ましい。油脂量が40部未
満であると、成形された生地の火通りが悪くて積層数の
少ない硬い食感のものになりやすく、また油脂量が80部
を超えると層の形成が安定せずやはり食感の劣ったもの
となりやすい。
また、本発明では穀粉類の外に、積層状食品の製造に
おいて通常使用されている食塩、砂糖、乳製品、卵、乳
化剤、香辛料、調味料等のうちの任意の材料を添加する
ことができる。この場合、穀粉類100部に対して、一般
に、食塩0〜2部、砂糖0〜5部、乳製品0〜5部、卵
0〜10部および乳化剤0〜2部を添加するのが好ましい
が、これに限定されない。乳化剤を使用する場合は、特
に親水性乳化剤が好ましく、これを使用することにより
積層状食品の浮きが良くなり口当りや食感がよくなる。
そして本発明では、上記の油脂を好ましくは40〜80℃
に加熱溶融し、この溶融油脂を穀粉類およびその他の材
料からなる原料に均一に混合した後冷却することが必要
である。この場合に、油脂の溶融温度が40℃未満である
と油脂の溶融が不充分で穀粉類への混合が不均一になり
やすく、また80℃を超すと油脂が劣化しやすく且つ積層
状構造が形成しにくくなる。本発明では油脂を溶融して
液状にしてから穀粉類等に混合するため、穀粉類中への
均一な分散が容易であり、従来技術における油脂の切り
刻みやフレーク状またはフイルム状油脂をつくるという
繁雑な工程を省くことができる。
穀粉類中への油脂の混合は、通常の混合手段によって
簡単に行うことができる。混合後の材料は放冷等によっ
て冷却しそこに含まれる油脂を固化させて冷却混合物を
得る。これをそのまま直接積層状食品の製造に用いても
よく、またはその適量を包装して積層状食品用ミックス
として流通、販売することができる。後者の場合には各
家庭等でも該ミックスを用いて以下の方法で極めて簡単
にパイ等の積層状食品を製造することができる。
そして、上記により得られた冷却混合物またはミック
スら積層状食品を製造するにあたっては、該混合物また
はミックスに水を加えてまず生地をつくる。この場合
に、該混合物やミックスが塊状のままの場合には適当な
手段により(例えばフォークやスプーン等を使用して)
細粒状に粉砕してから、水を加えると均一な生地になり
易い。通常、該混合物またはミックス100部に対して、
水を約10〜60部加えるのが好ましい。この場合、捏上げ
生地の温度は、通常、約5〜30℃の範囲であればよく厳
密な温度管理は必要でない。従来、パイ生地の捏上生地
温度は約5〜10℃であることが良好な層状構造を得る上
で必要とされてきたが、本発明では上記のように約5〜
30℃という広い範囲の捏上生地温度で良好な層状構造を
有する積層状食品を得ることができるために、厳密な生
地温度管理が必要でない。
次に、上記により調製した生地を圧延する。圧延後の
厚さは、積層状食品の種類により異なるが、パイクラス
トの場合は通常約2〜5mm、クラッカーの場合は約1〜2
mmとするのが、次工程での熱の通り具合の点から望まし
い。
圧延した生地は折りたたみ操作を行わずに直接成形
し、加熱することにより積層状食品を得ることができ
る。しかしながら、圧延後、2〜3回の折りたたみ・圧
延を繰り返すと上記した折り方式と同様な極めて良好な
層状構造を有する積層状食品を得ることができる。
生地の成形は、積層状食品の製造において通常採用さ
れている方法によって行うことができる。
成形された生地は、オーブン等を使用して、通常約20
0〜230℃に加熱焼成することにより積層状食品にするこ
とができる。更にまた、電子レンジによる短時間加熱
(通常、約1〜3分)によっても良好な積層状食品を得
ることができ、かかる電子レンジ加熱による積層状食品
の製造は、オーブン等による加熱焼成のみによって積層
状食品を得ていた従来技術からすると全く予想外のこと
である。
本発明の方法により得られる積層状食品としては、前
記したようにパイ、クラッカーおよびこれらの類似品等
が挙げられるが、パイの例としては、 生地とフィリング材(アプリコット、パイナップル、
アップル、ミート等)を一緒にして加熱処理するタイプ
のパイ:アプリコーゼン、アナナスコーゼン、アップル
パイ、チーズパイ、ミートパイ等、 生地を加熱処理してからフィリング材を充填したり載
置するタイプのパイ:ジュレ、スーズ、ショコラ、チョ
コレートパイ、ミルフィース等、および フィリング材を使用せずに生地を加熱処理するタイプ
のパイ:コネルパイ、リーフパイ、スティックパイ、パ
ルミエ等 がある。成形された生地の加熱を電子レンジにより行う
場合は、上記およびのタイプのパイを製造するのが
よい。
また、クラッカーの例としては、イギリスタイプのク
ラッカーやソーダクラッカー類似品等が挙げられ、その
他所望の形状にすることによりバラエティーに富んだも
のが得られる。
[発明の効果] 本発明では従来技術におけるような油脂の切り刻み混
合や油脂を予めフレーク状またはフイルム状にするとい
う繁雑で手間のかかる油脂分散工程を必要としない。
本発明で得られる積層状食品用ミックスは、そのまま
流通、販売することができ、該ミックスを使用して各家
庭等でも極めて簡単に積層状食品を製造できる。
すなわち、該積層状食品用ミックスを使用してパイ等
の積層状食品を製造するにあたっては、該ミックスに水
を加えて得た生地を圧延後、折りたたみ処理することな
く、直接そのまま成形、加熱して積層状食品を製造する
ことができる。また折りたたみ操作を行う場合も2〜3
回の折りたたみ・圧延でよく、従来技術に比べて折りた
たみ・圧延の回数を半分以下に省略できる。
また、本発明によると、従来技術におけるような厳密
な捏上生地の温度管理が必要でなく、常温下で特殊な装
置を使用することなく簡単に積層状食品を製造すること
ができる。
更に、積層状食品を得るための加熱法として、従来の
焼成加熱による方法以外に電子レンジによる加熱法も採
用でき、その結果、電子レンジによる短時間加熱により
目的とする積層状食品を製造することができる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが本
発明はそれにより限定されない。
実施例1 この実施例1では、下記の物性を有する菜種硬化油を
使用した。
小麦粉(強力粉:薄力粉の重量比=75:25)100部に食
塩1.5部および乳化剤(シューガーエステル)2部を予
め均一に混合分散させておき、これに60℃に加熱した上
記菜種硬化油60部を加えて軽く混合した後、一夜室温で
放冷して固化させてパイクラスト用ミックスを調製し
た。
次いで、これをフォークを使用して小粒状に破砕し、
これに20℃の水30部を添加混合した後(捏上生地温度20
℃)、麺棒で約2.5mmの厚さに圧延した。
圧延した生地の半分をシート状の皿にのせて直ちに予
め230℃に加熱しておいたオーブンに入れて11分間焼成
したところ、良好な積層状の組織を有するパイクラスト
を得た。
一方、残りの半分の圧延生地を4重に折りたたんだ後
2.5mmに圧延し、これをシート状皿にのせて直ちに予め2
00℃に加熱しておいたオーブンに入れて15分間焼成した
ところ、一層良好な積層状構造を有するパイクラストを
得た。
実施例2 この実施例2では、下記の物性を有する大豆硬化油50
重量%および牛脂50重量%からなる混合油脂を使用し
た。
小麦粉(強力粉)100部に食塩1部、脱脂粉乳5部お
よび砂糖5部を予め均一に混合分散させておき、これに
40℃に加熱した上記混合油脂40部を加えて軽く混合した
後、一夜室温で放冷して固化させてパイクラスト用ミッ
クスを調製した。
次いで、これを粉砕機(パン粉用粉砕機:三ツ福機械
製作所製)で粒径約3mm程度に破砕し、これに5℃の水5
0部を加えてミキサーで混合して生地を調製した(捏上
生地温度25℃)。この生地を一つに丸めて麺棒で約3mm
の厚さに圧延した。
圧延した生地の半分をシート状の皿にのせて直ちに予
め230℃に加熱しておいたオーブンに入れて10分間焼成
したところ、良好な積層状の組織を有するパイクスフト
を得た。
一方、残りの半分の圧延生地を4重に折りたたんだ後
3mmに圧延し、これをシート状皿にのせて直ちに予め200
℃に加熱しておいたオーブンに入れて15分間焼成したと
ころ、一層良好な積層状の組織を有するパイクラストを
得た。
実施例3 この実施例3では、下記の物性を有する菜種硬化油50
重量%およびパーム硬化油50重量%からなる混合油脂を
使用した。
小麦粉(強力粉:薄力粉=50:50)100部に食塩2部を
予め均一に混合しておき、これに70℃に加熱溶融した上
記混合油80部を加えて軽く混合した後、5mmの厚さにバ
ットに流し入れ、10℃の冷蔵庫で2時間冷却固化してパ
イクラスト用ミックスを調製した。
次いで、これをフォークで小粒状に破砕しながら、30
℃の水20部を加えて混合し生地を調製した(捏上生地温
度10℃)。
この生地の半量をシート状の皿にのせて手のひらで3
〜4mmの厚さに圧延した後皿の外形に沿って成形し、表
面に全卵を塗って予め200℃に加熱しておいたオーブン
に入れて15分間焼成したところ良好な積層状の組織を有
するパイクラストを得た。
一方、残りの半量の生地を麺棒で2.5mmの厚さに圧延
し、4重に折りたたんだ後2.5mmに圧延し、これをシー
ト状皿にのせて500Wの電子レンジで2分間加熱したとこ
ろ、一層良好な積層状構造を有するパイクラフトを得
た。
実施例4 この実施例4では、下記の物性を有するバター脂を使
用した。
小麦粉(強力粉:薄力粉=50:50)100部に食塩1.5部
を予め均一に混合しておき、これに60℃に加熱溶融した
上記バター脂(水分含量15%)70部を加えて軽く混合し
た後、一夜放冷して固化させて、クラッカー用ミックス
を調製した。
次いで、これをフォークで小粒状に破砕し、これに5
℃の水35部を添加混合した後、麺棒で1〜2mmの厚さに
圧延した。
これを4×4cmの正方形に切断し、270〜300℃で3.5〜
4分加熱焼成してクラッカー様の製品を得た。このクラ
ッカー様製品は、積層状の組織の各層が上記実施例1〜
3で得られたパイに比べてやや厚目であるが良好な層構
造を有しており、食感も良好であった。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固形脂含有率が10℃において30〜60%およ
    び30℃において0〜20%である油脂を加熱溶融し、この
    溶融油脂を小麦粉およびその他の材料からなる原料に均
    一に混合した後冷却し、次いで水を加え混捏して生地を
    調製し、該生地を圧延、成形および加熱することを特徴
    とする積層状食品の製造方法。
  2. 【請求項2】固形脂含有率が10℃において30〜60%およ
    び30℃において0〜20%である油脂を加熱溶融し、この
    溶融油脂を小麦粉およびその他の材料からなる原料に均
    一に混合した後冷却することを特徴とする積層状食品用
    ミックスの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項2記載の方法により製造された積層
    状食品用ミックス。
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