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JP2741804B2 - コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

コンデンサ及びその製造方法

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JP2741804B2
JP2741804B2 JP3143498A JP14349891A JP2741804B2 JP 2741804 B2 JP2741804 B2 JP 2741804B2 JP 3143498 A JP3143498 A JP 3143498A JP 14349891 A JP14349891 A JP 14349891A JP 2741804 B2 JP2741804 B2 JP 2741804B2
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capacitor
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    • H01G4/002Details
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンデンサに関するも
のである。さらに詳しくは、誘電体膜として特定の単分
子膜を用いたコンデンサに関する。
【従来の技術】
【0002】コンデンサは一例として樹脂フィルムなど
の誘電体の上に電極を形成し、積層または巻き上げて製
造されている。
【0003】近年、電子機器などの小形化にともないこ
れに収容される各種電子部品への小形化が高まってきて
いる。コンデンサにおいても小形・大容量化を目的とし
て種々の材料、構造が検討されている。たとえばポリエ
ステルフィルムの両面をアルミ蒸着などにより金属化し
その表面にラッカー層を形成して、これを積層、または
巻回して金属化フィルムコンデンサとすることが前記小
形・大容量化の一手段として知られている。このような
従来技術は、薄膜電極上にポリエステル樹脂やエポキシ
樹脂をコートする方法やポリエステル薄膜を薄膜電極に
挟む方法が一般的であった。コンデンサを小形化、大容
量化するには、誘電体の厚さをできる限り薄くするのが
有効であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記従来
技術の方法では、樹脂フィルムを薄くするには限度があ
り、またピンホールが発生しやすいという問題があっ
た。すなわち、従来のコーティング方法では、静電容量
を大きくするため、フィルムのコート厚を薄くすると機
械的強度は十分得られているが、ピンホール不良が多数
発生し歩留まりが悪くなったり、さらに耐環境性、耐電
圧性が大幅に劣化する。ピンホールが発生すると短絡
(ショート)が発生し、事故につながるという新たな問
題を発生する。
【0005】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、小型で高性能な薄膜コンデンサを提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、第1番目の発明のコンデンサは、誘電体膜の少なく
とも片面に電極が形成されたコンデンサであって、前記
誘電体膜を構成する分子は最表面に−CF 3 基を含むと
ともにフッ化炭素鎖を含むシロキサン系単分子膜であ
り、かつ前記少くとも片面の電極の表面と単分子膜とは
シロキサン結合を介して結合していることを特徴とす
る。
【0007】次に本発明の第2番目の発明のコンデンサ
は、誘電体膜の少なくとも片面に電極が形成されたコン
デンサであって、前記誘電体膜を構成する分子は最表面
に−CF 3 基を含むとともにフッ化炭素鎖を含むシロキ
サン系単分子累積膜であり、かつ前記少くとも片面の電
極の表面と累積膜の第1層の単分子膜とはシロキサン結
合を介して結合していることを特徴とする。次に本発明
のコンデンサの製造方法は、表面に酸化膜が形成された
電極表面に、両末端にクロロシリル基(SiCl)を含
む直鎖状フッ化炭素系界面活性剤を脱塩酸反応により化
学吸着させる工程と、非水系有機溶媒を用いて前記電極
表面に残った未反応の前記活性剤を洗浄除去した後水と
反応させる工程とを複数回繰り返す工程と、一方の末端
には−CF 3 基を含み他方の末端にはクロロシリル基
(SiCl)を含む直鎖状フッ化炭素系界面活性剤を脱
塩酸反応により累積することにより、前記電極表面に誘
電体膜を形成することを特徴とする。 次に本発明の別の
コンデンサの製造方法は、表面に酸化膜が形成された電
極表面に、クロロシリル基(SiCl)を一方の末端に
含み他方の末端にはジメチルシリル基(HSi(C
3 2 )−を含む直鎖状フッ化炭素系界面活性剤を脱塩
酸反応により化学吸着させる工程と、非水系有機溶媒を
用いて前記電極表面に残った未反応の前記活性剤を洗浄
除去する工程と、電極表面のジメチルシリル基を化学処
理してクロロシリル基に対して活性な水酸基(−OH)
に変化させる工程とを複数回繰り返す工程と、一方の末
端には−CF 3 基を含み他方の末端にはクロロシリル基
(SiCl)を含む直鎖状フッ化炭素系界面活性剤を脱
塩酸反応により累積することにより、前記電極表面に誘
電体膜を形成することを特徴とする。
【0008】
【作用】前記本発明の構成によれば、誘電体膜はフッ化
炭素鎖を含むシロキサン系単分子膜であるので、この単
分子膜は誘電体膜として優れた特性を有するとともにナ
ノメーターレベルの均一厚さのごく薄いものであり、か
つピンホールのないものとすることができる。また少く
とも片面の電極の表面と単分子膜とはシロキサン結合を
介して結合しているので、密着強度も高いものとするこ
とができる。さらに前記単分子膜は、フッ化炭素鎖を含
んでいるので、撥水性を有し、空気中の湿度や水分に対
しても耐性があり、誘電体膜としても優れたものとする
ことができる。
【0009】また第2番目の発明である、誘電体膜を累
積膜とすることにより、さらにピンホールフリーに優れ
たコンデンサとすることができる。また本発明の製造方
法は、本発明のコンデンサを効率良く合理的に製造でき
る。以上から、コンデンサ用の誘電体膜としてフッ化炭
素系シラン界面活性剤を化学吸着法することにより耐湿
性が高く耐電圧性に優れた小型で高性能なコンデンサを
低コストで製造できる。
【0010】
【実施例】本発明は、コンデンサ製造における誘電体膜
コーティング工程において、フッ化炭素系シリコン界面
活性剤を用い、化学吸着法により薄膜電極表面にピンホ
ールフリーで、耐電圧性の高い単分子膜を1層または複
数層形成することを特徴とする。
【0011】すなわち、所定の薄膜電極表面に非水系の
有機溶媒中で直鎖状のフッ化炭素鎖を含むクロロシラン
系界面活性剤を化学吸着させ、前記電極表面に直接前記
活性剤のシリル基と前記電極表面の酸化膜とを化学結合
させて単分子膜を形成する。例えば、薄膜の金属電極を
用意し、クロロシリル基を分子両末端に含むフッ化炭素
系界面活性材を混ぜた非水系溶媒に接触させて前記電極
表面の水酸基と前記フッ化炭素系界面活性剤の一端のク
ロロシリル基とを反応させて前記活性剤を前記電極表面
に析出させる工程と、非水系有機溶媒を用い前記電極上
に残った余分な前記活性剤を洗浄除去した後水と反応さ
せて、前記電極上にシラノール基を複数個含む界面活性
剤よりなる単分子膜を形成する工程によってコンデンサ
を製造する。また累積膜を形成するには、前記工程を複
数回繰り返して、フッ化炭素系化学吸着単分子累積膜を
製造する。
【0012】なお、このとき、クロロシリル基を分子両
末端に含むフッ化炭素系界面活性剤として、XpCl3-p
Si−R1−(CF2n−R2−SiXqCl3-q(ただ
し、nは整数、R1,R2はアルキル基またはシリコン若
しくは酸素原子を含む置換基を表わすがなくとも良い、
XはHまたはアルキル基等の置換基、p、qは0または
1または2)を用いると好都合である。
【0013】また、フッ化炭素系化学吸着単分子膜を累
積する工程において、クロロシリル基を一端に含み他の
一端に反応性官能基を含む界面活性剤を混ぜた非水系溶
媒に接触させて前記基体表面の水酸基と前記活性剤の一
端のクロロシリル基とを反応させて前記物質を前記電極
表面に析出させる工程と、非水系有機溶媒を用い前記電
極上に残った余分な前記活性剤を洗浄除去し前記電極上
に単分子膜を形成する工程によってコンデンサを製造す
る。また、累積膜を得るには、前記単分子膜の表面を化
学試薬で処理したり、あるいは反応性ガス中でプラズマ
処理したり、反応性ガス中でエネルギービームを照射し
て、電極表面の反応性官能基をクロロシリル基に対して
活性な基に変化させる工程とを複数回繰り返して、フッ
素系化学吸着単分子累積膜を製造する。
【0014】なお、このとき、クロロシリル基を一端に
複数個含み他の一端に反応性官能基を含む界面活性剤と
して、R1−R2−(CF2n−R3−SiXpCl
3-p(ただし、nは整数、R1は不飽和基あるいはジメチ
ルシリル基,R2、R3はアルキル基またはシリコン若し
くは酸素原子を含む置換基を表わすがなくとも良い、X
はHまたはアルキル基等の置換基、pは0または1また
は2)を用いると好都合である。
【0015】本発明によれば、誘電体膜として直鎖状の
フッ化炭素鎖を含むクロロシラン系界面活性剤を吸着形
成して作成した単分子膜や単分子累積膜をコンデンサ用
誘電体膜を提供できる。
【0016】以下に本発明コンデンサ用誘電体膜として
用いるフッ化炭素系化学吸着単分子膜の累積に用いる化
学吸着剤と単分子膜の累積方法の実施例を順に説明す
る。本発明に関するフッ化炭素系単分子累積膜の作製に
は、両端にクロルシラン基(SiCln3-n基、n=
1、2、3、Xは官能基)を有し、内部にフッ化炭素鎖
を有する直鎖状のクロロシラン系界面活性剤なら殆どす
べてが使用可能であるが、特に、クロロシリル基を分子
両末端に複数個含むフッ化炭素系界面活性剤としてXp
Cl3-pSi−R1−(CF2n−R2−SiXqCl3-q
(ただし、nは整数、R1,R2はアルキル基またはシリ
コンや酸素原子を含む置換基を表わすがなくとも良い、
XはHまたはアルキル基等の置換基、p、qは0または
1または2)を用いる。また単分子膜又は累積膜の最外
層には、CF3−(CF2n−R−SiXqCl3-q(た
だし、nは整数、Rはアルキル基またはシリコンや酸素
原子を含む置換基を表わすがなくとも良い、XはHまた
はアルキル基等の置換基、qは0または1または2)を
用いると好都合である。
【0017】また、他のフッ化炭素系化学吸着単分子膜
を累積する方法として、一端にクロルシラン基(SiC
n3-n基、n=1、2、3、Xは官能基)を他の一端
に反応性官能基を有し、内部にフッ化炭素鎖を有する直
鎖状のクロロシラン系界面活性剤なら殆どすべてが使用
可能であるが、特に、フッ化炭素系界面活性剤としてR
1−R2−(CF2n−R3−SiXpCl3-p(ただし、
nは整数、R1はビニル基やアセチレン基等の不飽和基
またはジメチルシリル基、R2、R3はアルキル基または
シリコンや酸素原子を含む置換基を表わすがなくとも良
い、XはHまたはアルキル基等の置換基、pは0または
1または2)を用いると好都合であるが、以下、Cl3
Si−(CH22−(CF26−(CH22−SiCl
3 、CF3−(CF27−(CH22−SiCl3 、C
2=CH−(CF26−(CH22−SiCl3 、H
Si(CH32−(CH22−(CF26−(CH22
−SiCl3を用いてそれぞれ説明する。
【0018】実施例1 図1に示すように、圧延法などにより作成されたコンデ
ンサ用の薄膜電極となる金属フィルムの一例である厚さ
25μmのアルミ箔(Sn,Cu,ステンレス鋼、ある
いはそれらを含む合金などても良い)1上に自然酸化膜
2を介して、化学吸着法によりフッ化炭素鎖を含むクロ
ロシラン系界面吸着剤を吸着させてクロロシラン系界面
活性剤よりなる単分子または複数層の単分子膜状の誘電
体膜3を形成する。なお、このとき自然酸化膜の代わり
に前記金属フィルム表面を電解酸化して電解酸化膜を形
成して置いたり、あるいはSiO2やAl23などの酸
化物薄膜をスパッター蒸着法などで数千オングストロー
ムの厚みで付けておくと更に高性能なコンデンサが得ら
れる。
【0019】化学吸着条件は、親水性の薄膜金属電極1
を、よく乾燥した後(図1(a))、分子両末端にクロロシ
リル基を複数個含む物質、例えばCl3Si−(CH2
2−(CF26−(CH22−SiCl3を用い、2wt
%程度の濃度で溶かした80wt%ヘキサデカン(トル
エン、キシレン、ジシクロヘキシル等でもよい)、12
wt%四塩化炭素、8wt%クロロホルム溶液を調整
し、前記電極を2時間程度浸漬すると、電極の表面には
自然酸化膜が存在し水酸基2が多数含まれているので、
クロロシリル(−SiCl)基を分子両末端に複数個含
む物質の何れか片方のSiCl基と前記水酸基が反応し
脱塩酸反応が生じ電極表面全面に亘り、下記化1に示す
結合が生成される。
【0020】
【化1】
【0021】そこで、さらに、有機溶剤でよく洗浄し電
極表面に残留した余分の界面活性剤を除去し、水洗する
と、下記化2で表わされるシロキサン系単分子膜3がア
ルミ箔の表面と化学結合(共有結合)した状態で15
オングストロームの膜厚で形成できた(図1(b))。
【0022】
【化2】
【0023】つぎに、化学吸着工程から水洗工程までを
もう一度繰り返せば図1(c)で示される2分子累積膜
4を作成できる。得られた2分子累積膜4の表面に、さ
らにアルミ層を25μmの厚さで蒸着してコンデンサと
した。このコンデンサの比誘電率は7.7(ただし、真
空中の誘電率を1とする)であった。また電極の大きさ
が2mm×5mmのとき、容量は1KHzで20〜30
ナノファラッドであった。さらに耐圧電圧は5Vであっ
た。
【0024】さらに参考までに、前記2分子累積膜4の
上に、同様に化学吸着工程から水洗工程を必要とする層
数分繰り返せば、ピンホールがほとんどなく、きわめて
密着強度の高いフッ化炭素系化学吸着単分子累積膜を作
成できた。
【0025】実施例2 実施例1で2層単分子膜を累積した後、一端にクロロシ
リル基を複数個含み他の一端が3フッ化炭素で置換され
た物質、例えばF3C−(CF2)7−(CH22−SiC
3を用い、2wt%程度の濃度で溶かした80wt%
ヘキサデカン(トルエン、キシレン、ジシクロヘキシル
等でもよい)、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロ
ホルム溶液を調整し、前記累積膜の作成された電極を2
時間程度浸漬すると、累積膜の表面は水酸基が多数含ま
れているので、一端にクロロシリル基を複数個含み他の
一端が3フッ化炭素で置換された物質のSiCl基と前
記水酸基が反応し脱塩酸反応が生じ電極表面全面に亘
り、下記化3で示す結合が生成される。
【0026】
【化3】
【0027】そこで、さらに、有機溶剤でよく洗浄し電
極表面に残留した余分の界面活性剤を除去すると、表面
がフッ化炭素基で被われたきわめて密着強度の高いフッ
化炭素系化学吸着単分子累積膜5を製造できた(図
2)。この累積膜の上に電極を設けてコンデンサにした
ところ、実施例1と同様に高い容量と、より耐電圧の優
れたものが得られた。
【0028】なお、上記実施例では、Cl3Si−(C
22−(CF26−(CH22−SiCl3やCF3
(CF27 −(CH22−SiCl3を用いたが、 Cl3Si−(CH22−(CF28−(CH22−S
iCl3 、 Cl(CH32Si−(CH22−(CF26−(CH
22−SiCl3 、 Cl(CH32Si−(CH22−(CF28−(CH
22−SiCl3 、 Cl3Si−(CH22−(CF26−(CH22−S
i(CH32Cl、 Cl3Si−(CH22−(CF28−(CH22−S
i(CH32Cl、 あるいはCF3−(CF29−(CH22−SiC
3 、 CF3−(CF25−(CH22−SiCl3 、 CF3CH2O(CH215SiCl3 、 CF3(CH22Si(CH32(CH215SiC
3 、 CF3(CF24(CH22Si(CH32(CH29
SiCl3 、 CF3COO(CH215SiCl3 等が利用できた。
【0029】実施例3 まず、図3に示すように、薄膜電極1を用意し(図3
(a))、よく乾燥した後、一端にクロロシリル基(−
SiCl)を複数個含み他の一端にビニル基を含む物
質、例えばCH2=CH−(CF26−(CH22−S
iCl3を用い、2wt%程度の濃度で溶かした80w
t%ヘキサデカン(トルエン、キシレン、ジシクロヘキ
シル等でもよい)、12wt%四塩化炭素、8wt%ク
ロロホルム溶液を調整し、前記電極を2時間程度浸漬す
ると、電極の表面は水酸基が多数含まれているので、一
端にクロロシリル基(−SiCl)を複数個含み他の一
端にビニル基を含む物質のSiCl基と前記水酸基が反
応し脱塩酸反応が生じ電極表面全面に亘り、下記化4に
示す単分子膜6が生成される(図3(b))。
【0030】
【化4】
【0031】そこで、さらに、有機溶剤でよく洗浄し電
極表面に残留した余分の界面活性剤を除去し反応性ガス
雰囲気中でエネルギービーム(電子線やイオンビーム、
ガンマ線、紫外線等)を照射(例えば、空気中で電子線
を5Mrad程度照射)すると、下記化5〜7で表わさ
れる単分子膜7が表面と化学結合した状態で形成できた
(図3(c))。
【0032】
【化5】
【0033】
【化6】
【0034】
【化7】
【0035】つぎに、CH2=CH−(CF26−(C
22−SiCl3を用いた化学吸着工程から水洗工程
をもう一度繰り返すと、図3(d)で示されるフッ化炭
素基を含む2分子膜8を作成できた。
【0036】以下、同様に化学吸着工程からエネルギー
ビーム照射工程を必要とする層数分繰り返すと、表面が
水酸基やイミノ基等で被われた密着強度の高いフッ化炭
素系化学吸着単分子累積膜を作成できた。
【0037】この累積膜の上に電極を設けてコンデンサ
にしたところ、実施例1と同様に高い容量と耐電圧の優
れたものが得られた。 実施例4 実施例3で1層単分子膜を形成した後、一端にクロロシ
リル基を複数個含み他の一端が3フッ化炭素で置換され
た物質、例えばF3C−(CF2)7−(CH2)2−SiCl3
を用い、2wt%程度の濃度で溶かした80wt%ヘキ
サデカン(トルエン、キシレン、ジシクロヘキシル等で
もよい)、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロホル
ム溶液を調整し、前記累積膜の作成された電極を2時間
程度浸漬すると、累積膜の表面は水酸基やイミノ基が多
数含まれているので、一端にクロロシリル基を複数個含
み他の一端が3フッ化炭素で置換された物質のSiCl
基と前記水酸基が反応し脱塩酸反応が生じ電極表面全面
に亘り、下記化8で示す結合が生成される。
【0038】
【化8】
【0039】そこで、さらに、有機溶剤でよく洗浄し電
極表面に残留した余分の界面活性剤を除去すると、表面
がフッ化炭素基で被われたきわめて密着強度の高いフッ
化炭素系化学吸着単分子累積膜9を製造できた(図
4)。この累積膜の上に電極を設けてコンデンサにした
ところ、実施例1と同様に高い容量と、より耐電圧の優
れたものが得られた。
【0040】なお、上記実施例では、CH2=CH−
(CF26−(CH22−SiCl3や F3C−(CF27−(CH22−SiCl3を用いた
が、 CH2=CH−(CF28−(CH22−SiCl3 、 CF3−(CF29−(CH22−SiCl3 、 CF3−(CF25−(CH22−SiCl3 、 CF3CH2O(CH215SiCl3 、 CF3(CH22Si(CH32(CH215SiC
3 、 F(CF24(CH22Si(CH32(CH29Si
Cl3 、 CF3COO(CH215SiCl3 等が利用できた。
【0041】実施例5 まず、図5に示すように、薄膜電極1を用意し(図5
(a))、よく乾燥した後、一端にクロロシリル基(−
SiCl)を複数個含み他の一端にジメチルシリル基
(HSi(CH32−)を含む物質、例えばHSi(C
32−(CH22−(CF26−(CH22−SiC
3を用い、2wt%程度の濃度で溶かした80wt%
ヘキサデカン(トルエン、キシレン、ジシクロヘキシル
等でもよい)、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロ
ホルム溶液を調整し、前記電極を2時間程度浸漬する
と、親水性電極の表面は水酸基が多数含まれているの
で、一端にクロロシリル基(−SiCl)を複数個含み
他の一端にジメチルシリル基を含む物質のSiCl基と
前記水酸基が反応し脱塩酸反応が生じ電極表面全面に亘
り、下記化9で示す単分子膜10が生成される(図5
(b))。
【0042】
【化9】
【0043】そこで、さらに、有機溶剤でよく洗浄し電
極表面に残留した余分の界面活性剤を除去した後、KF
およびKHCO3 、MeOH、THFを含むH22溶液
で10時間程度処理すれば、下記化10で表わされる単
分子膜11が表面と化学結合した状態で形成できた(図
5(c))。
【0044】
【化10】
【0045】次に、HSi(CH32−(CH22
(CF26−(CH22−SiCl3を用いた化学吸着
工程からH22処理工程をもう一度繰り返せば図5
(d)で示されるフッ化炭素基を含む2分子膜12を作
成できた。
【0046】以下、同様に化学吸着工程からH22処理
工程を必要とする層数分繰り返せば、表面が水酸基で被
われた親水撥油性できわめて密着強度の高いフッ化炭素
系化学吸着単分子累積膜を作成できた。
【0047】この累積膜の上に電極を設けてコンデンサ
にしたところ、実施例1と同様に高い容量と耐電圧の優
れたものが得られた。
【0048】
【発明の効果】以上本発明によれば、金属薄膜電極表面
に薄くて比誘電率の高い誘電体膜を高密度無欠陥でしか
も容易に形成できる。また、この誘電体膜は、強力なシ
ロキサン結合を介して電極表面に共有結合されているた
め、耐湿性が高く、耐電圧性に優れた小型で高性能なコ
ンデンサをきわめて低コストで提供できる。
【0049】さらに、吸着形成された誘電体膜には、分
子内ダイポールを大きくするような化学構造(例えばネ
マティック液晶分子や強誘電液晶分子など)を組み込む
ことが可能なので、誘電体膜として比誘電率を制御でき
る効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 薄膜電極の表面にフッ化炭素系化学吸着単分
子累積膜を形成する方法を説明するために用いた工程概
念図である。
【図2】 薄膜電極の表面にフッ化炭素系化学吸着単分
子累積膜を形成する方法を説明するために用いた工程概
念図である。
【図3】 薄膜電極の表面にフッ化炭素系化学吸着単分
子累積膜を形成する方法を説明するために用いた工程概
念図である。
【図4】 薄膜電極の表面にフッ化炭素系化学吸着単分
子累積膜を形成する方法を説明するために用いた工程概
念図である。
【図5】 薄膜電極の表面にフッ化炭素系化学吸着単分
子累積膜を形成する方法を説明するために用いた工程概
念図である。
【符号の説明】
1 薄膜電極 2 自然酸化膜 3 フッ化炭素系単分子膜 4,5,8,9,11,12 フッ化炭素系単分子累積
膜(撥水フッ化炭素系単分子累積膜) 6 ビニル基を含むフッ化炭素系単分子膜 7 表面改質されたフッ化炭素系単分子膜 10 −SiH基を含むフッ化炭素系単分子膜

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体膜の少なくとも片面に電極が形成
    されたコンデンサであって、前記誘電体膜を構成する分
    子は最表面に−CF 3 基を含むとともにフッ化炭素鎖を
    含むシロキサン系単分子膜であり、かつ前記少くとも片
    面の電極の表面と単分子膜とはシロキサン結合を介して
    結合していることを特徴とするコンデンサ。
  2. 【請求項2】 誘電体膜の少なくとも片面に電極が形成
    されたコンデンサであって、前記誘電体膜を構成する分
    子は最表面に−CF 3 基を含むとともにフッ化炭素鎖を
    含むシロキサン系単分子累積膜であり、かつ前記少くと
    も片面の電極の表面と累積膜の第1層の単分子膜とはシ
    ロキサン結合を介して結合していることを特徴とするコ
    ンデンサ。
  3. 【請求項3】 表面に酸化膜が形成された電極表面に、
    両末端にクロロシリル基(SiCl)を含む直鎖状フッ
    化炭素系界面活性剤を脱塩酸反応により化学吸着させる
    工程と、非水系有機溶媒を用いて前記電極表面に残った
    未反応の前記活性剤を洗浄除去した後、水と反応させる
    工程とを複数回繰り返すことにより、フッ化炭素系単分
    子累積膜を誘電体として前記電極表面に形成することを
    特徴とするコンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 表面に酸化膜が形成された電極表面に、
    クロロシリル基(SiCl)を一方の末端に含み他方の
    末端にはジメチルシリル基(HSi(CH 3 2 )−を含
    む直鎖状フッ化炭素系界面活性剤を脱塩酸反応により化
    学吸着させる工程と、非水系有機溶媒を用いて前記電極
    表面に残った未反応の前記活性剤を洗浄除去する工程
    と、電極表面のジメチルシリル基を化学処理してクロロ
    シリル基に対して活性な水酸基(−OH)に変化させる
    工程とを複数回繰り返すことにより、フッ化炭素系単分
    子累積膜を誘電体として前記電極表面に形成することを
    特徴とするコンデンサの製造方法。
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