JP2685976B2 - ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物及びその製造法 - Google Patents
ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物及びその製造法Info
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Description
組成物及びその製造法に関する。
において、ポリアリーレンサルファイド樹脂にポリオレ
フィン系樹脂を配合してなる靭性、耐衝撃性等の機械的
物性、耐熱性に優れたポリアリーレンサルファイド樹脂
組成物及びその製造法に関する。
料、化学機器部品材料等には、高い耐熱性でかつ耐化学
薬品性を有し、なおかつ難燃性の熱可塑性樹脂が要求さ
れてきている。
レンサルファイド樹脂もこの要求に応える樹脂の一つで
あり、対コスト物性比が良いこともあって需要を伸ばし
ている。しかしながら、該樹脂はナイロン、ポリカーボ
ネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート
等のエンジニアリングプラスチックスと比較して、靭性
に乏しく、脆弱であるという重大な欠点を有している。
これを補うため、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化
材を配合することが一般に行われ、強度、剛性、靭性、
耐熱性等の性能が大幅に改善されることが知られている
が、該繊維状強化材の配合によってもなお、上記のエン
ジニアリングプラスチックスに比べて靭性に乏しく、優
れた耐化学薬品性、耐熱性、難燃性を有するにもかかわ
らず多くの用途への適用が制限されている。
を向上させる有力な方法であるが、延性でかつ耐熱性、
耐薬品性に優れるポリマーが少ないことや、ポリアリー
レンサルファイド樹脂との相溶性が悪いため、ポリアリ
ーレンサルファイド樹脂の特徴を損なわずに充分な靭性
や耐衝撃性が改善されたポリアリーレンサルファイド樹
脂組成物を得るに至っていない。安価な延性ポリマーの
1つとしてポリオレフィン系樹脂が挙げられるが、ポリ
アリーレンサルファイド樹脂とポリオレフィン系樹脂と
の組み合わせは特に相溶性が悪く、成形品の表層剥離を
生じる等の問題がある。その対策として、例えばエポキ
シ又は不飽和カルボン酸変成ポリオレフィン系樹脂を更
に配合する方法が提案されている(特開昭63−213562号
公報、特開昭64−26670号公報)。しかし、実用面でま
だ充分でなく、更に一層の靭性、耐衝撃性の向上が望ま
れている。
械的物性等を改良するため鋭意検討し、主鎖があまり切
断されない条件下でポリアリーレンサルファイド樹脂と
反応し、延性のあるポリオレフィン系樹脂との相溶性を
改善して、物性の向上を図るべく検討した結果、アルコ
キシシラン基を持つ高分子化合物をポリアリーレンサル
ファイド樹脂及びポリオレフィン系樹脂と一緒に特定の
温度で、特定時間溶融混練処理することによって、成形
品の表面状態が良く、機械的物性特に靭性や耐衝撃性が
高く、耐熱性も良好な実用性のある成形材料を提供し得
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
脂成分100重量部に対して、 (C)アルコキシシラン基を含有する高分子化合物を0.
2〜20重量部、及び (D)繊維状充填剤、粉粒状充填剤、板状充填剤から選
ばれる何れか1種又はそれらの混合物0〜400重量部 を配合してなることを特徴とするポリアリーレンサルフ
ァイド樹脂組成物、並びに少なくとも(A),(B),
(C)成分、及び場合により(D)成分も配合し、少な
くとも30秒以上加熱溶融混練処理することを特徴とする
ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物の製造法であ
る。
ーレンサルファイド樹脂は、主たる繰り返し単位がAr
−S(但しArはアリーレン基)で構成されたものであ
る。
ニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、置換
フェニレン基(但し置換基はアルキル基、好ましくはC1
〜C5のアルキル基、又はフェニル基)、p,p′−ジフェ
ニレンスルホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジ
フェニレンエーテル基、p,p′−ジフェニレンカルボニ
ル基、ナフタレン基などが使用できる。
レンサルファイド基の中で、同一の繰り返し単位を有す
るポリマー、即ちホモポリマーを用いることができ、又
組成物の加工性という点から、異種繰り返し単位を含ん
だコポリマーが好ましい場合もある。
ニレン基を用いた、p−フェニレンサルファイド基を繰
り返し単位とする実質上線状のものが特に好ましく用い
られる。
るアリーレンサルファイド基の中で、相異なる2種以上
の組み合わせが使用出来るが、中でもp−フェニレンサ
ルファイド基を主とし、m−フェニレンサルファイド基
を含む組み合わせが特に好ましく用いられる。この中で
p−フェニレンサルファイド基を60モル%以上、より好
ましくは70モル%以上含む実質上線状のものが、耐熱
性、成形性、機械的特性等の物性上の点から適当であ
る。この場合、m−フェニレンサルファイド基は5〜40
モル%、特に10〜25モル%含むものが共重合体としては
好ましく、各成分の繰り返し単位がランダム状のものよ
り、ブロック状に含まれているもの(例えば特開昭61−
14228号公報に記載のもの)が、加工性が良く且つ、耐
熱性、機械的物性も優れており、好ましく使用できる。
サルファイド樹脂は、前記の比較的低分子量のポリマー
を酸化架橋又は熱架橋により溶融粘度を上昇させ、成形
加工性を改良したポリマーも使用でき、又、2官能性モ
ノマーを主体とするモノマーから重縮合によって得られ
る実質的に線状構造の高分子量ポリマーを使用すること
もできる。得られる成形物の物性は後者の実質的に線状
構造ポリマーのほうが高く好ましい場合が多い。
は、前記のポリマーの他に、モノマーの一部分として3
個以上の官能基を有するモノマーを混合使用して重合し
た、分岐又は架橋ポリアリーレンサルファイド樹脂を、
前記の線状ポリマーにブレンドした配合樹脂を用いるこ
とができ好適である。
としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチル
ペンテン、ポリブチレン、エチレン・プロピレン共重合
体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、その他オ
レフィン系単位を主体とする重合体又は共重合体が挙げ
られる。これらのポリオレフィン系樹脂は1種又は2種
以上の混合物として使用することも出来る。特に、曲げ
弾性率が20000kg/cm2以下のもの、好ましくは10000kg/c
m2以下のもの、例えばエチレン・プロピレン共重合体や
ポリブテン、エチレン・プロピンレン・ジエン共重合体
等の様なポリオレフィン系エラストマーを用いた場合は
靭性改善に著しい効果がある。
とする物性用途によって異なるが、ポリアリーレンサル
ファイド樹脂99〜20重量部に対してポリオレフィン系樹
脂1〜80重量部が好ましく、更に好ましくは、ポリアリ
ーレンサルファイド樹脂95〜50重量部に対し5〜50重量
部である。ポリオレフィン系樹脂が1重量部より少ない
場合は、この樹脂組成物の靭性等の向上が十分得られな
い。又、ポリオレフィン系樹脂の種類によって異なる
が、80重量部を越えると熱変形温度が著しく低下して好
ましくない。
ルコキシシラン基を含有する高分子化合物を添加配合す
ることに特徴がある。
を含有する高分子化合物としては、ポリオレフィン系樹
脂(B)と相溶性のある分子鎖にアルコキシシラン基が
結合した高分子化合物であれば、特に限定するものでは
ないが、アルコキシシラン基を有するオレフィン系重合
体又は共重合体が好ましく、例えば、アルコキシシラン
基含有ポリエチレン、アルコキシシラン基含有ポリプロ
ピレン、アルコキシシラン基含有エチレン・エチルアク
リレート共重合体等が挙げられる。かかる(C)成分に
おけるアルコキシシラン基の含有量は該樹脂が強固なゲ
ル化を生じない程度とするのが好ましく、通常は該高分
子化合物1モル当たり0.05〜5モルのアルコキシシラン
基を含有するものが好ましい。更に好ましくは該高分子
化合物1モル当たり0.2モル〜1モルのアルコキシシラ
ン基含有率が良い。(C)成分におけるアルコキシシラ
ン基の含有率が過大であるとゲル化を生じ成形性等に支
障をきたし、過少であると相溶性の改善効果に乏しく好
ましくない。又、(C)成分中のアルコキシシラン基を
構成するアルコキシ基としては炭素数1〜4、特に1〜
2のアルコキシ基が適当である。
て異なるが、ポリアリーレンサルファイド樹脂〔(A)
成分〕とポリオレフィン系樹脂〔(B)成分〕との合計
100重量部に対して0.2〜20重量部であり、好ましくは1
〜10重量部である。添加する(C)成分の量が過少の場
合は相溶性改善、機械的物性向上の効果が少なく、又、
過大になると組成物の溶融粘度が上がり過ぎて成形加工
上の不都合を生じる場合がある。
(B)成分のみ使用した場合の相溶性不良による成形品
の表面剥離等の問題等を解決して表面状態の良好な成形
品が得られ、しかも靭性等の物性の著しい向上を実現し
たもので、この点が本発明の特徴である。
須とされる成分ではないが、機械的強度、耐熱性、寸法
安定性、電気的性質等の性能に優れた成形品を得るため
には配合することが好ましい。これは目的に応じて繊維
状、粉粒状又は板状の充填剤が用いられる。
維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊
維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼
素繊維、チタン酸カリ繊維、更にステンレス、アルミニ
ウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などの無機
質繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤
はガラス繊維、又はカーボン繊維である。尚、ポリアミ
ド、フッ素樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維
状物質も使用することができる。
リカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、硅酸カルシ
ウム、硅酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、
硅藻土、ウォラストナイトの如き硅酸塩、酸化鉄、酸化
チタン、アルミナの如き金属の酸化物、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシ
ウム、硫酸バリウムの如き金属の硫酸塩、その他炭化硅
素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられ
る。
各種金属箔等が挙げられる。
できる。繊維状充填剤、特にガラス繊維又はカーボン繊
維と、粒状又は板状充填剤の併用は特に機械的強度と寸
法精度、電気的性質等を兼備する上で好ましい組み合わ
せである。
100重量部に対し400重量部以下であり、これ以上である
と成形加工や、靭性を害し好ましくない。特に好まくは
250重量部以下である。
るが、少なくとも、(A),(B),(C)の3成分の
共存下で加熱溶融し、30秒以上混練処理することが必要
であり、(D)成分、その他の成分も同時に併用配合し
てもよく、又別に加えてもよい。具体的には、例えば
(A),(B),(C)及び(D)成分を予めタンブラ
ー又はヘンシェルミキサーのような混合機で均一に混合
した後、1軸又は2軸の押出機に供給して溶融混練し、
ペレットを製造する。この際、(A),(B)成分の一
部又は全部を粉末状とし、この樹脂の一部と(C)成分
とを一旦ブレンダーで均一に混合した後、更に残りの所
要成分と混合して溶融処理に供するのが好ましい。又
(D)成分は溶融処理の途中又は後で加えてもよい。特
にポリマー成分が(C)成分と溶融混練し反応したあと
で加える方が靭性に対する効果が顕著に現れる傾向にあ
り好ましい。
0℃高い温度であり、特に好ましくは融点より10℃乃至6
0℃高い温度である。高温に過ぎると分解や異常反応を
生じ好ましくない。
添加量によって異なるが、少なくとも30秒以上15分以
内、好ましくは1〜10分である。
化合物(C)の作用効果については、その詳細な機構は
十分解明されていないが、ポリオレフィン系樹脂と相溶
性の良い分子鎖を有する(C)成分が、そのアルコキシ
シラン基を介してポリアリーレンサルファイド樹脂と結
合し、その結果としてポリアリーレンサルファイド樹脂
とポリオレフィン系樹脂の相溶性が改善された為と解さ
れる。このことは本発明による組成物成形品の断面を顕
微鏡等により観察することにより確認される。
囲で酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸
収剤、着色剤、離型剤、その他通常の添加剤を添加する
ことができる。又、補助的に少量の他の熱可塑性樹脂を
配合することも出来る。
又は別に樹脂組成物中に添加配合することもできる。
(A),(B)成分の相溶性が改善され、次の様な効果
を有する。
問題がなく、 (2)成形品の靭性、耐衝撃性等の機械的特性が向上す
る。
ている。
が、本発明はこれに限定されるものではない。
(PPS)(融点285℃、310℃剪断速度1200sec-1にて測定
した溶融粘度500ポイズ)70重量部に、(B)成分して
エチレン・プロピレン共重合体(EPR)(曲げ弾性率177
kg/cm2)(日本合成ゴム株式会社製EP912P)を30重量部
加え、更に(C)成分としてアルコキシシラン含有エチ
レン・エチルアクリレート共重合体(三井・デュポンケ
ミカル株式会社製AS−252(C−1)を表1に示す割合
で和え、ヘンシェルミキサーで5分間予備混合した。
又、場合により(D)成分としてガラス繊維(直径10μ
m、長さmmのチョップドストランド)を更に加えて混合
した。次いでこれをシリンダー温度310℃の押出機で溶
融混練し(滞留時間約2分)、ポリフェニレンサルファ
イド樹脂組成物のペレットを作製した。
50℃の条件でASTM試験片を成形し、引張試験、衝撃試
験、熱変形温度試験(18.6kg荷重)を行った。又、成形
品の外観を肉眼でよく観察し剥離現象等を調べた。
脂(B)、及びアルコキシシラン含有エチレン・エチル
アクリレート共重合体(C−1)を表2に示す割合で加
え、以下実施例1〜5と同様に行った。
リエチレン(曲げ弾性率12000kg/cm2)(三井石油化学
工業株式会社製ハイゼックス2100J)、ポリプロピレン
(曲げ弾性率19500kg/cm2)(住友化学工業株式会社製
ノーブレンX101A)、ポリメチルペンテン(曲げ弾性率1
3000kg/cm2)(三井石油化学工業株式会社製TPX PT18X
B)、ポリブテン−1(曲げ弾性率3500kg/cm2)(三井
石油化学工業株式会社製ポリブテンM0400)、エチレン
・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)(曲げ弾性率85
kg/cm2)(日本合成ゴム株式会社製EP161SP)に代え
て、表3に示す割合で実施例2、比較例1と同様に行っ
た。
合して同様に行った。
キキシラン含有ポリエチレン(三菱油化株式会社製リン
クロンX)(C−2)に代え、表5に示す割合で実施例
2、9〜13と同様に行った。
Claims (8)
- 【請求項1】(A)ポリアリーレンサルファイド樹脂99
〜20重量部と (B)ポリオレフィン系樹脂(但し(C)成分を除く)
1〜80重量部とからなる樹脂成分100重量部に対して、 (C)アルコキシシラン基を含有する高分子化合物を0.
2〜20重量部、及び (D)繊維状充填剤、粉粒状充填剤、板状充填剤から選
ばれる何れか1種又はそれらの混合物0〜400重量部
(但し有機過酸化物との併用を除く)を配合した溶融混
練してなることを特徴とするポリアリーレンサルファイ
ド樹脂組成物。 - 【請求項2】(C)アルコキシシラン基を含有する高分
子化合物が分子中にアルコキシシラン基を含有するポリ
オレフィン系重合体又は共重合体である請求項1記載の
組成物。 - 【請求項3】(C)アルコキシシラン基を含有する高分
子化合物が、分子中にアルコキシシラン基を含有するポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン・エチルアクリ
レート共重合体から選ばれる少なくとも1種である請求
項1又は2記載の組成物。 - 【請求項4】(C)アルコキシシラン基を含有する高分
子化合物が、該高分子化合物1モル当たり0.05〜5モル
のアルコキシシラン基を含有するものである請求項1〜
3の何れか1項記載の組成物。 - 【請求項5】(B)ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテ
ン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピ
レン・ジエン共重合体より選ばれる少なくとも1種であ
る請求項1〜4の何れか1項記載の組成物。 - 【請求項6】(A)ポリアリーレンサルファイド樹脂と
(B)ポリオレフィン系樹脂との配合比率が、(A)95
〜50重量部対(B)5〜50重量部である請求項1〜5の
何れか1項記載の組成物。 - 【請求項7】(B)成分が曲げ弾性率20000kg/cm2以下
のポリオレフィン系樹脂である請求項1〜6の何れか1
項記載の組成物。 - 【請求項8】請求項1〜7の何れか1項記載の(A),
(B),(C)成分、及び場合により(D)成分も配合
し(但し有機過酸化物との併用を除く)、少なくとも30
秒以上加熱溶融混練処理することを特徴とするポリアリ
ーレンサルファイド樹脂組成物の製造法。
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