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JP2682071B2 - 架橋ポリアミド系逆浸透膜の処理方法 - Google Patents

架橋ポリアミド系逆浸透膜の処理方法

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JP2682071B2 JP27184788A JP27184788A JP2682071B2 JP 2682071 B2 JP2682071 B2 JP 2682071B2 JP 27184788 A JP27184788 A JP 27184788A JP 27184788 A JP27184788 A JP 27184788A JP 2682071 B2 JP2682071 B2 JP 2682071B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ごく低濃度のイオン性物質を含む被処理原
液を、架橋ポリアミド系逆浸透膜を用いて精製する際
の、架橋ポリアミド系逆浸透膜の処理方法に関するもの
である。
特に、該逆浸透膜を用いた電子工業用超純水やボイラ
ー供給用純水の製造システムに好適に利用される。
[従来の技術] 従来から逆浸透法による選択的分離膜として、各種の
半透膜が提案され、広く利用されているが、これらの逆
浸透膜は、長期の運転で徐々に分離性能が低下するのが
一般的であり、そのような場合逆浸透膜を有機液体処理
して性能を維持あるいは改善するという試みがなされて
きた。
酢酸セルロース膜を対象とするものについては、たと
えば特公昭52−32869号公報で、ポリビニルアルコール
により処理する方法、また、特公昭53−13431号公報に
は酢酸ビニルと不飽和カルボン酸共重合体による処理方
法が提案されている。
また、本発明者らも、フルフリルアルコールを必須成
分とする架橋重合体からなる半透膜を対象に、水溶性ア
ミノ化合物による処理方法を示した(特公昭62−16122
号公報)。さらに、特開昭63−22163号公報では、同様
の半透膜を水溶性多官能アミン水溶液により処理後、水
溶性多官能アルデヒド水溶液で処理する2段処理方法を
鉄案した。
一方、昨今の逆浸透法の産業界への浸透は著しく拡大
しており、電子工業用超純水や火力あるいは原子力発電
所等のボイラー用水供給用途などの最先端技術分野での
利用が活発化してきている。しかるに、該用途使用水に
対する水質基準はわめて厳しく、たとえば、ボイラー供
給用原水中にppb(1億分の1)程度のごく低濃度のナ
トリウムイオンが存在しても、遊離アルカリによるSG細
管の応力腐食割れの原因になるといわれている{大矢晴
彦「純水・超純水製造法」幸書房、頁152(1985)} このような最先端技術分野用の純水あるいは超純水製
造における逆浸透膜として、高い溶質分離性能を有する
上に高い造水速度を示すことから、架橋ポリアミド系逆
浸透膜が大きく貢献しようとしていることが、ごく低濃
度域での金属イオン分離性能は、不充分であるという問
題点を有していた。
[発明が解決しようする課題] 本発明は、かかる従来技術の欠点を解消しようとする
ものであり、10ppm以下の濃度における金属イオン選択
分離性能改善を容易な手段で行なうことを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記目的を達成するために下記の構成を有
する。
「架橋ポリアミド系逆浸透膜を用いて被処理原液を分離
するに際し、被処理原液が10ppm以下の金属イオン濃度
を有し、かつ該逆浸透膜を水溶性アミノ化合物を含有す
る水溶液に接触させることを特徴とする架橋ポリアミド
系逆浸透膜の処理方法。」 本発明は、10ppm以下の低濃度の金属イオンを有する
被処理原液の選択分離性能改善に効果を発揮する。すな
わち、 架橋ポリアミド系逆浸透膜は、自らの有する固定荷電
のために低塩濃度領域では膜の固定荷電と同種のイオン
は排除され、異種のイオンは排除されないというイオン
分離特性が存在する。この傾向は塩濃度が10ppm以下で
より顕著に現れる。逆に塩濃度が高くなると膜の固定荷
電による該イオン分離特性は存在し難くなり、荷電膜の
影響が消滅し、あたかも荷電のない中性膜と同様の分離
性能を示すようになる。そのため、本発明においては、
10ppm以下の低濃度の金属イオンを有する被処理原液の
選択分離性能改善に効果を発揮する。
本発明において、架橋ポリアミド系逆浸透膜とは、多
官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とのイン・サイチュ
ー界面重縮合反応から得られる架橋重合体を超薄膜層と
する逆浸透膜を示し、多官能アミン、多官能酸ハロゲン
化物ともに、脂肪族系であっても、芳香族系であっても
よく、また、2官能以上、4官能以下のものが好まし
い。多官能酸ハロゲン化物としては、塩化物、臭化物、
またはヨウ化物が好ましく用いられる。このような逆浸
透膜としては、例えば特公昭62−36803号公報に記載さ
れた膜があるが、同種の膜がすでに、UTC−70、SU−40
0、SU−700(以上、東レ(株)製)、FT−30(フイルム
テック(株)製)、HR−95、HR−99(以上、DDS
(株)製)、NTR−729、NTR−739(以上、日東電工
(株)製)などの商品名で数多く、市販されている。ま
た、中でも、SU−700、FT−30−、HR−99などのポリア
ラミド系のものが、溶質排除率が特に高く好ましい。
水溶性アミノ化合物としては、通常のアルキルアミノ
化合物、芳香族アミノ化合物、脂環式アミノ化合物ある
いはその他のアミノ化合物のいずれも、水溶性のもので
あれば用いることができる。具体的には、アルキルアミ
ノ化合物の例としては、エチレンジアミン、モノエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、トリエチレンテトラ
ミンなどが挙げられ、芳香族アミノ化合物としては、フ
ェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、スルフ
ェニル酸、ジアミノ安息香酸などが挙げられる。また、
脂環式アミノ化合物としてはジアミノシクロヘキサンな
どが挙げられ、また、その他にもスルファミン酸、ピペ
ラジン、アミノメチルピペリジンなどが挙げられる。
また、モノアミノ化合物でもポリアミノ化合物でもよ
く、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。高分子化
合物として、具体的には、ポリエチレンイミン、フェニ
レンジアミン変性ポリエピクロルヒドリンなどが挙げら
れる。
本発明において、被処理原液は酸性、中性、アルカリ
性のどれであってもよいが、アルカリ性、すなわち、pH
が7を越える領域においては、水溶性アミノ化合物とし
て4級アンモニウム塩を用いると特に高い効果を有す
る。その理由を以下に説明する。本来架橋ポリアミド系
逆浸透膜は、機能層表面にアニオン性基とカチオン性基
が残存する荷電難逆浸透膜であるが、アルカリ領域にお
いては、アミノ基の解離が抑えられるために、アニオン
荷電性の性質が強い膜となる。そのようなアニオン荷電
難逆浸透膜においては、カチオン荷電型逆浸透膜に比べ
て、金属イオンの排除率が低くなる。そこで、水溶性ア
ミンとして4級アンモニウムを用いることにより、アニ
オン荷電性の性質を弱めることができ、より効果的に金
属イオンを排除することができるのである。4級アンモ
ニウム塩としては、具体的には、ヨウ化エチルトリメチ
ルアンモニウム、塩化フェニルトリメチルアンモニウ
ム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化セチル
トリメチルアンモニウム、臭化セチルジメチルエチルア
ンモニウムなどの低分子量化合物や、ポリヨウ化トリメ
チルアリルアミン、ヨウ化トリメチルアミン変性ポリエ
チレンイミン等の高分子量化合物が挙げられる。また、
アニオン性基としては、上記のハロゲンイオン以外に、
硝酸イオン、硫酸イオンなども用いることができる。
本発明の膜形態としては、単膜だけでなく、スパイラ
ル型、中空糸型、管状型、プリーツ型あるいはプレート
アンドフレーム型などの実際に工業的に使用される形態
のどのようなものであってもよい。
本発明において水溶性アミノ化合物の濃度は、1ppb程
度から1%程度の範囲が好ましいが、さらに好ましくは
10ppm以上、1000ppm以下で用いられる。水溶性アミノ化
合物の濃度が、100ppm未満であると、該アミノ化合物あ
るいは4級アンモニウム塩の膜への固着が十分でなく、
低濃度の金属イオンの選択分離性能改善効果が完璧でな
いことがある。一方、1000ppmを越えると低濃度の金属
イオンの選択分離率については初期の効果があるものの
膜透過水流束の低下が大きく、経済的でない場合があ
る。
また、操作圧力は、大気圧から100気圧の範囲で使用
できるが、通常は1〜70気圧の範囲が好ましい。
該アミノ化合物含有水溶液と架橋ポリアラミド系逆浸
透膜との接触時間は、接触直後から金属イオン選択分離
性能が向上するが、好ましくは5分から1時間程度の範
囲が用いられる。このような接触は、逆浸透膜の製造直
後でも長時間の逆浸透装置運転中でもよく、また、連続
的に添加しても、間欠的に添加してもよい。
さらに、選択分離性能改善効果の耐久性を高めるため
に、該水溶液アミノ化合物による処理後、水溶性多官能
アルデヒド等で後処理しても良い。
本発明は、逆浸透膜として架橋ポリアミド系膜を用
い、水溶性アミノ化合物を含有する水溶液に接触させる
ことにより、10ppm以下の低濃度の金属イオンを有する
被処理原液の選択分離性能改善に効果を発揮する。特
に、被処理液がアルカリ性である場合には、水溶性アミ
ノ化合物の中でも、4級アンミニウム塩を用いると効果
的である。
[実施例] 以下実施例により、本発明を具体的に説明するが、本
発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
実施例1〜3 架橋ポリアラミド系逆浸透膜を用いた4インチ径のス
パイラル型エレメントとして、三官能芳香族アミンと三
官能酸塩化物とを主成分としてなる逆浸透膜を用いたエ
レメント,東レ(株)製商品名“SU−710"、フイルム
テック(株)製商品名“BW−30"、日東電工(株)製商
品名“NTR−739"の3種の膜エレメントを用いて、圧力1
5Kg/cm2、供給水量が10/分、水温25℃の運転条件で
ナトリウム濃度0.30ppbの1次純水を供給原水として、
逆浸透試験を行った。運転開始80時間目に、ポリエチレ
ンイミン(日本触媒化学工業社製、分子量6〜8万)10
0ppmの濃度で1時間、供給原水に添加して運転を行った
後、また通常の運転に復帰させた。
表1に原水および各々の膜エレメントから得られた透
過水および濃縮水中のナトリウム濃度を運転再開後5時
間目と72時間目に測定した結果を示す。なお、ナトリウ
ム濃度は、フレームレス原子吸光装置で測定した。
比較例1〜3 実施例1〜3で用いた架橋ポリアラミド系逆浸透膜を
用いたスパイラル型エレメントを、ポリエチレンイミン
処理する前の運転開始後65時間目に原水および各々の膜
エレメントから得られる透過水および濃縮水中のナトリ
ウム濃度を確認した。結果を表2に示すが、SU−710お
よびNTR−739では、透過水中のナトリウム濃度が原水よ
りも高くなっていた。
実施例4 実施例1のSU−710エレメントをその後も継続して1
次純水を供給原水として実施例1〜3同一の運転条件で
逆浸透試験を行ったところ、ポリエチレンイミン処理後
880時間後も透過水中のナトリウム濃度は0.05ppbであり
ナトリウムイオン選択分離率の改善が維持されていた。
実施例5 実施例1のSU−710に用いた膜と同様の膜を用いて、
東レ製超純水製造装置(「トレピュアLV10T」)から得
られた超純粋にLiBrを500ppb添加した水を供給水とし
て、圧力15Kg/cm2、供給水量が3.5/分、水温25℃の
運転条件で逆浸透試験を実施した。運転開始後50時間で
透過水中のリチウムイオンの濃度は安定し、4ppbの値を
示した。その運転系に4級アミノ化合物である塩化ベン
ザルコニウムを10ppm添加したところ、透過水中のリチ
ウムイオン濃度は0.05ppbとなった。その後、同薬剤の
添加を停止して逆浸透運転を継続したところ30時間後に
は透過水中のリチウムイオンの濃度は4ppbに戻ってい
た。なお、分析は濃縮カラムを用いてイオンクロマトア
ナライザで行った。
実施例6,比較例4 実施例2で用いたのと同様のBW−30膜エレメントを解
体し、平膜を得た。この平膜を濃度1ppm(実施例6)お
よび1500ppm(0.15%)(比較例4)のNaCl水溶液を供
給原水として用い、圧力15Kg/cm2、水温25℃、pH6.5で
逆浸透運転した。次に、両系にアミン系のカチオン凝集
剤である「ハイセットC500(第一工業製薬製、分子量50
0万)」1ppmを添加してナトリウムイオンの選択分離性
能を観察した結果を表3に示す。1ppmのNaCl系では「ハ
イセットC500」添加によりナトリウムイオンの選択分離
性能は改善されているのに反し、1500ppmのNaCl系で
は、特に改善されていない。
実施例7〜12 特開昭62−121603号公報実施例1記載の多官能芳香族
アミンと多官能芳香族酸クロライドの界面重縮合反応か
らなる架橋ポリアラミド系複合膜を用いて、圧力15Kg/c
m2、供給水量が3.5/分、水温25℃の運転条件でナト
リウムイオン濃度1ppmを含む純粋を供給原水として、さ
らに、原水のpHを水酸化カリウムで約8に調整して逆浸
透実験を行った。
その後、4級アンモニウム塩として、ヨウ化エチルト
リメチルアンモニウム、塩化フェニルトリメチルアンモ
ニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化セ
チルトリメチルアンモニウム、臭化セチルジメチルエチ
ルアンモニウム、ヨウ化トリメチルアミン変性ポリエチ
レンイミンを各々100ppmの濃度で4時間連続添加し、逆
浸透運転した後、また初期と同様の逆浸透運転を行っ
た。
4級アンモニウム塩処理前後のナトリウムイオン排除
率変化および透過水流束の変化を表4に示す。
ここで、実験データは、pHを約8に調整した後、6時
間後に測定した。
実施例13 特公昭63−36803号公報実施例1記載のm−フェニレ
ンジアミンとトリメソイルクロライドの界面重縮合反応
による架橋ポリアラミド系複合膜を用いて、pH9で実施
例7と同様の逆浸透実験を行った。
4級アンモニウム塩としてポリヨウ化トリメチルアリ
ルアミンを用いた。
逆浸透実験結果を表5に示す。
実施例14 特公昭62−59604号公報の実施例1記載の4−(アミ
ノメチル)ピペリジン変性ポリエピヨードヒドリンとイ
ソフタル酸クロライドの界面重縮合反応による架橋ポリ
アミド系複合膜を用いて、pH9で実施例7と同様の逆浸
透実験を行った。
4級アンモニウム塩としてヨウ化テトラエチルアンモ
ニウムを用いた。
逆浸透実験結果を表5に示す。
実施例15 特開昭62−201606号公報の実施例14記載の架橋ポリア
ミド系複合膜を用いて、圧力7.5Kg/cm2、供給水量が3.5
/分、水温25℃の運転条件で、4級アンモニウム塩添
加前後のナトリウムイオン排除率の変化を調べた。
結果を表5に示す。
4級アンモニウム塩処理条件としては、ヨウ化フェニ
ルトリメチルアンモニウムを10ppb連続添加した。
[発明の効果] 本発明によれば、架橋ポリアミド系逆浸透膜を用いた
逆浸透法による造水システムにおいて、該逆浸透膜を微
量の水溶性アミノ化合物に接触させることにより、10pp
b以下での金属イオン選択分離性能を著しく向上させる
ことができ、電子工業用超純水やボイラー供給用純水等
の純水製造システムに大きく貢献するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平井 美保 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ 株式会社滋賀事業場内 審査官 中野 孝一 (56)参考文献 特公 昭62−16122(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】架橋ポリアミド系逆浸透膜を用いて被処理
    原液を分離するに際し、被処理原液が10ppm以下の金属
    イオン濃度を有し、かつ該逆浸透膜を水溶性アミノ化合
    物を含有する水溶液に接触させることを特徴とする架橋
    ポリアミド系逆浸透膜の処理方法。
  2. 【請求項2】被処理原液が、アルカリ性であり、水溶性
    アミノ化合物が、4級アンモニウム塩であることを特徴
    とする請求項(1)記載の架橋ポリアミド系逆浸透膜の
    処理方法。
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