JP2537716B2 - 鋼管柱と梁の接合構造およびそれに使用する接合金物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、土木や建築もしくは橋
梁の分野において、閉鎖断面材である鋼管柱と梁の接合
構造およびそれに使用する接合金物に関する。

【０００２】

【従来の技術】鋼管柱と鉄骨はりとの仕口の接合は溶接
以外はボルト接合の手段により行われる。かかるボルト
接合では、ボルトの締め付けを行うに際し鋼管柱内部に
手が入らないためにタップネジ孔等を設けた板状の金物
を予め鋼管内部に設けたり、仕口部のみを全て特殊な金
物で作ったりして種々の提案がなされている。

【０００３】その一例として図９に示すような接合金物
を使用することが考えられる。図中１は鋼管柱、２はＨ
型鉄骨によるはりであるが、鋼管柱１は仕口部側部に取
付孔12を穿設し、また、はり２の上下フランジ２ａ端に
はＴ型接合金物である外部用接合金物３が溶接やボルト
止めで取付けられる。一方、鋼管柱１の内側ではタップ
ネジ孔11を穿設した環状の内部用接合金物４が配設され
る。そして、この外部用接合金物３を鋼管柱１の外周面
に当接し、鋼管柱１を貫通させるタップネジとしての高
力ボルト５で外部用接合金物３と内部用接合金物４とを
前記取付孔12を介して鋼管柱１を挟んで締付ける。

【０００４】このようにすれば、鋼管柱１を切断するこ
となくそのまま使用でき、また、溶接も不要のため、加
工が容易となるだけでなく、切断加工や溶接による製品
精度の低下も防止できる。さらに、内部用接合金物４は
鋼管柱１の面外曲げ補強部材として作用し、また、内部
用接合金物４のネジ孔はタップネジであるため、仮付け
ナットに比べ落下等の心配もなく、かなりハードな取扱
にも充分耐えられる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この図９に示
す内部用接合金物４を使用した鋼管柱と梁の接合構造で
は、鋼管柱１のせい（丈）の変化に対応できない。

【０００６】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、鋼管柱とはりとの仕口部において、鋼管柱がはりを
介して面外曲げ応力等の外力を受けた場合にでも鋼管柱
の変形を確実に防ぐことができ、しかも鋼管柱のせいの
変化に対応して鋼管柱を中にしてはりからはりへ力をス
ムーズに伝えることができる鋼管柱と梁の接合構造およ
びそれに使用する接合金物を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、鋼管柱と梁の接合構造としては、鋼管柱の仕
口部側部に取付孔を設け、一方、鋼管柱との接合面側に
開口するタップネジ孔を穿設し、かつ鋼管柱への接合面
と反対側の面に上下方向に開口する係合穴を有するフッ
クを突設してなる接合板を使用し、この接合板を前記接
合面側を鋼管柱内面に接合させて鋼管柱内に配設し、は
り端部に設けた外部用接合金物とこの接合板とを前記取
付孔及びタップネジ孔を介して高力ボルトで締付固定す
るとともに、鋼管柱の対向する内側面相互の接合板を該
係合穴に端部を挿入する鉤状の鋼棒材で連結し、鋼管柱
内にはコンクリートを充填したことを要旨とするもので
ある。

【０００８】また、鋼管柱と梁の接合金物としては、鋼
管柱との接合面側には鋼管柱を挟んではり端部に設けた
外部用接合金物との締結を行うためのタップネジ孔をす
くなくとも鋼管柱との接合面側に開口するように穿設
し、かつ、鋼管柱への接合面と反対側の面に上下方向に
開口する係合穴を有するフックを突設した接合板であ
り、かつ、この接合板は鋼管柱と梁の接合用として鋼管
柱の対向する内側面に対として配置する複数の接合板か
らなり、これら対としての接合板相互を連結するものと
して該係合穴に端部を挿入する鉤状の鋼棒材を接合板に
組み合わせることを要旨とするものである。

【０００９】

【作用】請求項１および請求項２記載の本発明によれ
ば、鋼管柱の内側面に設ける接合板ははり端部に設けた
外部用接合金物を固定する役割の他に鋼管柱仕口部の面
曲げ補強部材としても作用する。そして、鋼管柱の内側
面で対向する接合板は係合穴に鉤状の鋼棒材の端部を挿
入することで連結されており、鋼管柱の内部に充填する
コンクリートがこの鋼棒材を固定するので、はりからの
力は、鋼管柱の内側で前記鋼棒材を介して接合板から接
合板へと伝わり、他のはりへスムーズに伝達することが
できる。

【００１０】

【実施例】以下、図面について本発明の実施例を詳細に
説明する。図１は本発明の鋼管柱と梁の接合構造の１実
施例を示す横断平面図、図２は同上縦断側面図で、前記
従来例を示す図13と同一構成要素には同一参照符号を付
している。

【００１１】先に本発明の鋼管柱と梁の接合構造で使用
する接合金物について説明すると、図３に示すように、
タップネジ孔11を設けた接合板６と、この接合板６同士
を連結する鋼棒材７との組合せからなる。このタップネ
ジ孔11はすくなくとも接合板６の鋼管柱１への接合面８
に開口するものであるが、反対側の面にも開口して接合
板６を貫通するように穿設するものでもよい。

【００１２】接合板６は鋼管柱１への接合面８と反対側
の面に略コ字形のフック９を一体的に水平に突設した。
このフック９により接合板６には上下方向に開口する垂
直方向の係合穴10が形成される。なお、本実施例ではフ
ック９の内側は円弧状に形成し、また、このフック９に
対応して接合板６の面に円弧状の凹部14を縦に設けた。

【００１３】これに対して鋼棒材７は鉄筋、棒鋼を利用
したもので、端を直角に折り曲げて定着部７ａとしたコ
の字の鉤状のものである。

【００１４】次に本発明の鋼管柱と梁の接合構造につい
て説明すると、図１，図２に示すように、接合板６は、
接合面８を鋼管柱１の内側面に当接することで鋼管柱１
内に配設される。そして、鋼管柱１の内側面で対向する
面に配設する接合板６同士は、前記係合穴10に鋼棒材７
の定着部７ａを上方から差し入れて貫通させ、この鋼棒
材７で相互に連結する。なお、この鋼棒材７の定着部７
ａ間の長さは図４に示すように接合板６同士の間隔Ｌか
ら見て、係合穴10同士の間隔と合致させてなるべく定着
部７ａが係合穴10内で遊びを生じないようにすることが
望ましい。また、図示のごとく２本以上の複数の鋼棒材
７で接合板６相互を連結する。

【００１５】はり２の上下フランジ２ａ端に溶接もしく
はボルト止めで取り付けたＴ型接合金物である外部用接
合金物３を鋼管柱１の外周面に当接し、この外部用接合
金物３と接合板６とで鋼管柱１を挟みながらタップネジ
としての高力ボルト５での締め付けを行う。この場合の
高力ボルト５は鋼管柱１に設けた取付孔12を貫通し、接
合部７のタップネジ孔11に挿入する。

【００１６】そして、鋼管柱１内にコンクリート13を充
填する。このようにすれば、鋼管柱１を間にして接合す
るはり２を固定する接合板６同士は鋼棒材７で直状にあ
るいは斜めに連結されるが、該鋼棒材７の直交方向での
交差は、接合板６のフック９の位置を変えることで上下
にずらすことができる。

【００１７】図５〜図８は接合板６の変形例を示すもの
で、図５はフック９を完全なコ字形としたもの、図６は
フック９を小さくしその結果係合穴10を小さくしたも
の、図７はフック９をＨ形のものとして係合穴10を左右
に開口させるようにしたもの、図８は分割タイプとして
複数の接合板６で構成するようにしたものである。いず
れもタップネジ孔11を施した接合部と鋼棒材７を掛ける
部分があれば、いかような形でもよい。また、鋼棒材７
を環状のものとして形成してもよい。

【００１８】

【発明の効果】以上述べたように本発明の鋼管柱と梁の
接合構造およびそれに使用する接合金物は、鋼管柱がは
りを介して面外曲げ応力等の外力を受けた場合でも鋼管
柱の変形を確実に防ぐことができ、しかも、鋼管柱のせ
いの変化に対応できて、はりからはりへ力をスムーズに
伝達することができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の鋼管柱と梁の接合構造の１実施例を示
す横断平面図である。

【図２】本発明の鋼管柱と梁の接合構造の１実施例を示
す縦断側面図である。

【図３】本発明の鋼管柱と梁の接合構造で使用する接合
金物の１実施例を示す斜視図である。

【図４】本発明の鋼管柱と梁の接合構造で使用する接合
金物の１実施例を示す平面図である。

【図５】本発明の鋼管柱と梁の接合構造で使用する接合
金物のうち接合板の第２変形例を示す斜視図である。

【図６】本発明の鋼管柱と梁の接合構造で使用する接合
金物のうち接合板の第３変形例を示す斜視図である。

【図７】本発明の鋼管柱と梁の接合構造で使用する接合
金物のうち接合板の第４変形例を示す斜視図である。

【図８】本発明の鋼管柱と梁の接合構造で使用する接合
金物のうち接合板の第５変形例を示す斜視図である。

【図９】従来例を示す鋼管柱・はり仕口部の横断平面図
である。

【符号の説明】

１…鋼管柱 ２…はり ２ａ…フランジ ３…外部用接合
金物 ４…内部用接合金物 ５…高力ボルト ６…接合板 ７…鋼棒材 ７ａ…定着部 ８…接合面 ９…フック 10…係合穴 11…タップネジ孔 12…取付孔 13…コンクリート 14…凹部

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋼管柱の仕口部側部に取付孔を設け、一
   方、鋼管柱との接合面側に開口するタップネジ孔を穿設
   し、かつ鋼管柱への接合面と反対側の面に上下方向に開
   口する係合穴を有するフックを突設してなる接合板を使
   用し、この接合板を前記接合面側を鋼管柱内面に接合さ
   せて鋼管柱内に配設し、はり端部に設けた外部用接合金
   物とこの接合板とを前記取付孔及びタップネジ孔を介し
   て高力ボルトで締付固定するとともに、鋼管柱の対向す
   る内側面相互の接合板を該係合穴に端部を挿入する鉤状
   の鋼棒材で連結し、鋼管柱内にはコンクリートを充填し
   たことを特徴とする鋼管柱と梁の接合構造。
2. 【請求項２】 鋼管柱との接合面側には鋼管柱を挟んで
   はり端部に設けた外部用接合金物との締結を行うための
   タップネジ孔をすくなくとも鋼管柱との接合面側に開口
   するように穿設し、かつ、鋼管柱への接合面と反対側の
   面に上下方向に開口する係合穴を有するフックを突設し
   た接合板であり、かつ、この接合板は鋼管柱と梁の接合
   用として鋼管柱の対向する内側面に対として配置する複
   数の接合板からなり、これら対としての接合板相互を連
   結するものとして該係合穴に端部を挿入する鉤状の鋼棒
   材を接合板に組み合わせることを特徴とする鋼管柱と梁
   の接合構造に使用する接合金物。