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JP2528959B2 - ポリエチレン―2,6―ナフタレ―トフイルム - Google Patents

ポリエチレン―2,6―ナフタレ―トフイルム

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Publication number
JP2528959B2
JP2528959B2 JP1020861A JP2086189A JP2528959B2 JP 2528959 B2 JP2528959 B2 JP 2528959B2 JP 1020861 A JP1020861 A JP 1020861A JP 2086189 A JP2086189 A JP 2086189A JP 2528959 B2 JP2528959 B2 JP 2528959B2
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JP
Japan
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particles
film
polyethylene
tape
magnetic recording
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JP1020861A
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久 浜野
正広 細井
達也 小川
秀雄 加藤
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は磁気記録テープ用ポリエチレン−2,6−ナフ
タレートフイルムに係わり、更に詳しくは長時間記録が
可能で、出力変動が少なくかつスキューが改良され、さ
らに易滑性、耐久性に優れた磁気記録テープを製造に有
用なポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルムに関す
るものである。
[従来技術] 磁気記録テープは、最近記録時間の延長(長時間化)
の要求が強く、その記録時間を長くする為には磁気記録
テープの全厚を薄くして供給リールに、より長く収納す
る必要がある。しかしテープの全厚を薄くする為にはベ
ースフイルムを薄くする必要があるものの、実際にはテ
ープのスティフネスが低下してローディング時及びアン
ローディング時にテープのエッジに傷がつき易くなった
り、また瞬間的に高引張力が加わったときテープが変形
して記録に歪が生じる場合があった。
従って、長時間記録用磁気記録テープのベースとなる
フイルムには高ヤング率が要求される。
更に、最近のカメラ一体型VTR普及に伴ない、戸外へ
の持ち出し、自動車内への持ち込み等の苛酷な温度条件
にテープが曝される場合が多く、スキュー歪みを生じな
いようなテープの寸法安定性ひいてはベースフイルムの
寸法安定性の要求が強くなっている。
磁気記録テープのベースフイルムなどに、従来から二
軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムが使用され
てきていて、特に長時間記録用として縦方向のヤング率
を高めたいわゆるスーパーテンシライズフイルムが使用
されている。しかしポリエチレンテレフタレートフイル
ムにあっては、縦方向のヤング率は高々850kg/mm2、そ
の場合横方向のヤング率は高々450kg/mm2が限度であ
る。一方、縦方向ヤング率を高めようとすると横方向の
ヤング率が必然的に低下する為、テープは走行中にエッ
ジ部の損傷を受けやすくなる。他方、フイルムの製造に
おいて幅(横)方向ヤング率を高めようとすると、この
場合も必然的に充分な縦方向ヤング率が得られず、磁気
ヘッドとのタッチが悪くなり出力変動を生じる。
更に一方向のみのヤング率を高めると、その方向の引
裂き強度が低下し磁気テープにおいてはテープ切断をお
こしたりする別な問題がある。
更に高倍率延伸を施して、ヤング率を高くしたベース
フイルムには成形時に生じた歪が残存し、寸法安定性が
低い問題がある。また高倍率の延伸加工は製品歩留が低
下するという別な問題点もある。
従来技術では、ベースフイルム製膜工程又はテープ加
工工程にて弛緩熱処理とかエージング処理などの残存歪
を取り除く工程が不可欠であり製造条件の選択,組合せ
が煩雑であった。
一方磁気記録テープ分野は昨今、高密度記録化,高品
質化の要求がますます高まり、これに伴ってベースとな
るポリエステルフイルムには表面が平坦でしかも滑り性
に優れ、かつ耐久走行性,耐削れ性に優れていることの
要求がますます強くなっている。
従来、易滑性を向上させる方法としてポリエステルに
酸化ケイ素,炭酸カルシウム等の無機質粒子を添加する
方法、又はポリエステルの合成時に重合体内でカルシウ
ム,リチウムあるいはリンを含む微粒子を析出せしめる
方法が提案されている。いずれの方法もポリエステルを
製膜した際に微粒子に由来してフイルム表面に突起を形
成し、フイルムの易滑性を向上させるものである。
しかしながら、上記の如き微粒子による突起によって
フイルムの滑り性を改善する方法では、通常、フイルム
表面を粗面化する程滑り性は向上するが、一方ではこの
粗面化に起因して磁気塗料を塗布した表面が粗れ電磁変
換特性が悪化する傾向がある。
これらの相反する平坦性と易滑性とを解決する方策の
一つとして大粒径の粒子と小粒径の粒子とを併存させる
複合系無機粒子を利用する手段も数多く提案されてい
る。しかしながら、これらの手段にも問題があり、その
ままでは磁気記録テープの高級グレード化例えば高密度
化,高品質化等の要求に応じることが難しい。この理由
は、複合系無機粒子に用いられる大粒径粒子のサイズが
高級グレード化の要求品質に対して粗大であること、大
粒子になればなる程フイルム表面の突起は高くなると共
に粒子の囲りのボイドも大きくなり、カレンダー加工工
程において高い突起部が削り落とされドロップアウトの
原因をひきおこすこと、更に添加粒子の分布が制御し難
いことよりフイルム表面の突起が設計通りに調整し難い
ことにある。
本発明者は、上述の問題点を解決し、長時間記録で、
高品質の磁気記録テープの製造に適用可能な平坦性と易
滑性と耐久性とを兼備したフイルムの開発に成功した。
[発明の目的] 本発明の目的は、上記欠点を解消せしめ、磁気記録の
長時間化が可能で、出力変動が少なくかつスキューが改
良され、さらに易滑性、耐久性等に優れた磁気記録テー
プ用ポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルムを提供
することにある。さらに本発明の他の目的は、(1)フ
イルムにおいて表面に大きな突起はなく、平坦であるが
ドロップアウト等のノイズの原因とならない程度の微小
な突起が存在しており、そして走行時の摩擦係数が小さ
く、さらに(2)磁気記録テープにおいてこの加工工程
及び磁気記録再生装置の部分との接触によるベースフイ
ルムの削れ性が極めて少なく、連続的使用における耐久
性が良好な二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレート
フイルムを提供することにある。
[発明の構成及び効果] 本発明者は、上記目的を達成する為、鋭意検討した結
果、磁気記録テープのベースフイルムとして、二軸配向
ポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルムからなり、
そのヤング率及び熱収縮率を調整し、且つフイルム表面
を特定の粗さ、好ましくはフイルム中に特定の微細粒子
を含有させてこの表面を特定の表面状態に調整すること
により上記特性を同時に満足させ得ることを知見したも
のである。
すなわち、本発明は、縦方向のヤング率(EM)が650
kg/mm2以上で、横方向のヤング率(ET)が650kg/mm2
上でかつ両者の差|EM−ET|が200kg/mm2以下であり、7
0℃において無荷重で1時間放置した際の縦方向の熱収
縮率が0.15%以下であり、そして表面粗さRaが0.01μm
以上0.05μm以下であることを特徴とする磁気記録テー
プ用ポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルムであ
る。
本発明にいうポリエチレン−2,6−ナフタレートと
は、その繰返し構造単位が実質的にエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレート単位から構成されているも
のであればよく、共重合されないポリエチレン−2,6−
ナフタレンジカルボキシレートのみならず繰返し構造単
位の数の10%以下、好ましくは5%以下が他の成分で変
性されたような共重合体、及び他のポリマーとの混合
物,組成物をも含むものである。
ポリエチレン−2,6−ナフタレートはナフタリン−2,6
−ジカルボン酸またはその機能的誘導体とエチレングリ
コールまたはその機能的誘導体とを触媒の存在下で適当
な反応条件の下に結合せしめることによって合成される
が、本発明にいうポリエチレン−2,6−ナフタレートに
は、このポリエチレン−2,6−ナフタレートの重合完結
前に適当な1種又は2種以上の第三成分(変性剤)を添
加し、共重合または混合ポリエステルとしたものであっ
てもよい。適当な第三成分としては、2価のエステル形
成官能基を有する化合物、例えばシュウ酸,アジピン
酸,フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,ナフタレ
ン−2,7−ジカルボン酸,コハク酸,ジフェニルエーテ
ルジカルボン酸等のジカルボン酸、またはその低級アル
キルエステル,P−オキシ安息香酸,P−オキシエトキシ安
息香酸の如きオキシカルボン酸、またはその低級アルキ
ルエステル、あるいはプロピレングルコール,トリメチ
レングリコールの如き2価アルコール類等の化合物があ
げられる。ポリエチレン−2,6−ナフタレートまたはそ
の変性重合体は、例えば安息香酸,ベンゾイル安息香
酸,ベンジルオキシ安息香酸,メトキシポリアルキレン
グリコールなどの1官能性化合物によって末端の水酸基
および/またはカルボキシル基を封鎖したものであって
もよく、あるいは、例えば極く少量のグリセリン,ペン
タエリスリトールの如き3官能,4官能エステル形成化合
物で実質的に線状の共重合体が得られる範囲内で変性さ
れたものでもよい。
上記ポリエステルは、それ自体公知であり、且つそれ
自体公知の方法で製造することができる。
上記ポリエステルとしては、フェノール60%,1,1,2,2
−テトラクロロエタン40%の混合溶液として35℃で測定
して求めた極限粘度が約0.4〜約0.9のものが好ましい。
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
イルムは縦方向のヤング率が650kg/mm2以上、好ましく
は680kg/mm2以上、更に好ましくは720kg/mm2以上であ
り、横方向のヤング率が650kg/mm2以上、好ましくは680
kg/mm2以上、更に好ましくは720kg/mm2以上である。も
っともあまり一方向にのみヤング率が高い場合にはその
方向での引裂き強度が低下し、例えば磁気テープなどの
用途の場合テープの切断等も懸念され、一方向にのみヤ
ング率が高いのは好ましくない。そのために縦方向ヤン
グ率(EM),横方向のヤング率(ET)の両者の差は20
0kg/mm2以下、好ましくは150kg/mm2以下、更に好ましく
は100kg/mm2以下である。また磁気テープにした時、一
方向(縦方向)にのみ特にヤング率が高い場合にはステ
イフネスのバランスもとれず、テープとしてヘッドタッ
チが悪くなり、結果として電磁変換特性の高い高品質の
テープが得られない。横方向のヤング率は1000kg/mm2
下であることが好ましい。
縦方向,横方向ともにヤング率が650kg/mm2以下のも
のではベースフイルムの厚み10μm以下の薄物のときテ
ープに加工すると充分なステイフネスが得られず、長時
間用の薄物テープを作ることは困難となる。テープが薄
くなると、使用(走行)時においてテープの端面が損傷
を受けるエッジダメージが発生する。横方向のヤング率
を1000kg/mm2以上に高めようとすると極端な横配向型と
なりテープとしたとき引裂き強度が低下し好ましくな
い。
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
イルムは70℃で1時間無荷重下で熱処理したときの熱収
縮率が0.15%以下、好ましくは0.10%以下、更に好まし
くは0.06%以下である。この熱収縮率が0.15%より大き
いとき、磁気記録テープのスキューも大きくなり、受像
機によっては画面に歪が現れ、貴重な記録が台なしにな
る場合すらあるため好ましくない。
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
イルムは、さらに、表面粗さRaが0.01μm以上0.05μm
以下、好ましくは0.01μm以上0.03μm以下である。こ
のRaが0.01μmより小さいと滑り性(走行性)が劣り、
一方0.05μmより大きいと表面平坦性が低下し電極変換
特性が悪くなるので好ましくない。
本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルム
はそのフイルム表面に多数の微細な突起を有している。
それらの多数の微細な突起は本発明によればポリエステ
ル中に分散して含有される多数の球状の微細粒子、好ま
しくは球状シリカ粒子、球状シリコーン樹脂粒子、球状
架橋ポリスチレン粒子等に由来するものである。
かかる球状の微細粒子(好ましくはグリコール中のス
ラリーとして)を分散含有するポリエステルは、通常ポ
リエステルを形成するための反応時、例えばエステル交
換法による場合のエステル交換反応中あるいは重縮合反
応中の任意の時期、又は直接重合法による場合の任意の
時期に、球状の微細粒子を反応系中に添加することによ
り製造することができる。好ましくは、重縮合反応の初
期例えば固有粘度が約0.3に至るまでの間に、該球状の
微細粒子を反応系中に添加するのが好ましい。
また、本発明で用いる球状の微細粒子は、下記式 f=V/D3 で定義される体積形状係数(f)が0.4〜π/6であるも
のである。
上記定義において、Dの粒子の平均最大粒径は粒子を
横切る任意の直線が粒子の周囲と交叉する2点間の距離
のうち最大の長さを持つ距離をいうものと理解すべきで
ある。
上記体積形状係数(f)の値がπ/6である粒子は真球
である。0.4よりも小さいf値を持つ微粒子の使用では
フイルム表面諸特性の制御が極めて困難となる。
上記球状の微細粒子は平均粒径が0.3〜2.5μm、好ま
しくは0.4〜1.0μm、更に好ましくは0.4〜0.8μmであ
る。
球状の微細粒子の平均粒径が0.3μm未満では、フイ
ルムの充分な滑り性が得られず好ましくない。また平均
粒径が2.5μmを超えると、フイルム表面の突起が高く
なり充分な電磁変換特性が得られず好ましくない。
また、上記球状の微細粒子は粒径分布がシャープであ
ることが好ましく、分布の急峻度を表わす相対標準偏差
は0.3以下であり、好ましくは0.12以下である。
この相対標準偏差は次式で表わされる 相対標準偏差が0.3以下の球状の微細粒子を用いる
と、該粒子が真球状で且つ粒度分布が極めて急峻である
ことから、フイルムの表面に形成される突起の分布は極
めて均一性が高く、突起高さのそろった滑り性の優れた
ポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルムが得られ
る。
球状の微細粒子の添加量は、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレートに対して0.005〜2.0重量%であり、好ましく
は0.01〜0.6重量%、更に好ましくは0.05〜0.5重量%で
ある。この添加量が0.005重量%未満では、滑り性や耐
削れ性の向上効果が不充分となり、一方2.0重量%を超
えると表面平坦性が低下し、好ましくない。
本発明で用いる球状シリカ粒子は上述の条件を満たせ
ば、その製法その他に何ら限定されるものではない。例
えば球状シリカ粒子は、オルト珪酸エチル [Si(OC2H5]の加水分解から含水シリカ [Si(OH)]単分散球をつくり、更にこの含水シリカ
単分散球を脱水化処理してシリカ結合 [≡Si−O−Si≡]を三次元的に成長させることにより
製造できる(日本科学会誌'81,NO.9,P1503)。
Si(OC2H5+4H2O→Si(OH)+4C2H5OH ≡Si−OH+HO−Si≡→≡Si−O−Si≡+H2O かかる球状シリカ粒子は、従来から滑剤として知られ
ているシリカ粒子が10nm程度の超微細な魂状粒子か、こ
れらが凝集して0.5μm程度の凝集物(凝集粒子)を形
成しているのと著しく異なる点に特徴がある。
また、本発明で用いる球状シリコーン樹脂粒子は上述
の条件を満たせばその製造に何ら限定されるものではな
いが、下記式(A) で表わされる組成を有する。
上記(A)におけるRは炭素数1〜7の炭化水素基で
あり、例えば炭素数1〜7のアルキル基,フェニル基あ
るいはトリル基が好ましい。炭素数1〜7のアルキル基
は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例えばメ
チル,エチル,n−プロピル,iso−プロピル,n−ブチル,i
so−ブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,n−ヘプチル等
を挙げることができる。
これらのうち、Rとしてはメチル及びフェニルが好ま
しく、就中メチルが特に好ましい。
上記式におけるxは1〜1.2の数である。上記式
(A)においてxが1であるとき、上記式(A)は、下
記式(A)−1 R SiO1.5 ……(A)−1 [ここで、Rの定義は上記に同じである。] で表わすことができる。
上記式(A)−1の組成は、シリコン樹脂の三次元重
合体鎖構造における下記構造部分; に由来するものである。
又、上記式(A)においてxが1.2であるとき、上記
式(A)は下記式(A)−2 R1.2SiO1.4 ……(A)−2 [ここで、Rの定義は上記に同じである。] で表わすことができる。
上記式(A)−2の組成は、上記式(A)−1の構造
0.8モルと下記式(A)′ R2SiO ……(A)′ [ここで、Rの定義は上記に同じである。] で表わされる構造0.2モルとからなると理解することが
できる。
上記式(A)′は、シリコン樹脂の三次元重合体鎖に
おける下記構造部分; に由来する。
以上の説明から理解されるように、本発明の上記式
(A)の組成は、例えば上記式(A)−1の構造のみか
ら実質的になるか、あるいは上記式(A)−1の構造と
上記式(A)−2の構造が適当な割合でランダムに結合
した状態で共存する構造からなることがわかる。
球状のシリコン樹脂微粒子は、好ましくは上記式
(A)において、xが1〜1.1の間の値を有する。
このシリコーン樹脂微粒子は、例えば、下記式 RSi(OR′) で表わされるトリアルコキシシランまたはこの部分加水
分解縮合物を、アンモニアあるいはメチルアミン,ジメ
チルアミン,エチレンジアミン等の如きアミンの存在
下、撹拌下に、加水分解及び縮合せしめることによって
製造できる。上記出発原料を使用する上記方法によれ
ば、上記式(A)−1で表わされる組成を持つシリコー
ン樹脂微粒子を製造することができる。
また、上記方法において、例えば下記式 R2Si(OR′) 〔ここで、R及びR′の定義は上記に同じである。〕 で表わされるジアルコキシシランを上記トリアルコキシ
シランと一緒に併用し、上記方法に従えば、上記式
(A)−2で表わされる組成を持つシリコーン樹脂微粒
子を製造することができる。
また、本発明で用いる球状架橋ポリスチレン粒子は、
上述の条件を満たせば、その製法,その他に何ら限定さ
れるものではない。
例えば、球状架橋ポリスチレン粒子は、スチレンモノ
マー,メチルスチレンモノマー,α−メチルスチレンモ
ノマー,ジクロルスチレンモノマー等のスチレン誘導体
モノマーの他に、ブタジエンの共役ジエンモノマー,ア
クリロニトリルのような不飽和ニトリルモノマー,メチ
ルメタアクリレートのようなメタアクリル酸エステル等
のようなモノマー,不飽和カルボン酸のような官能性モ
ノマー,ヒドロキシエチルメタクリレートのようなヒド
ロキシルを有するモノマー,グリシジルメタクリレート
のようなエポキシド基を有するモノマー,不飽和スルホ
ン酸等から選ばれる1種若しくは2種以上のモノマー
と、重合体粒子を三次元構造にするための架橋剤とし
て、多官能ビニル化合物、例えばジビニルベンゼン,エ
チレングリコールジメタクリレート,トリメチロールプ
ロパントリアクリレート,ジアリルフタレート等とを、
水溶性高分子が保護コロイドとして溶存した水性媒体中
で乳化重合させて重合体粒子のエマルジョンを調整し、
このエマルジョンから重合体粒子を回収して乾燥し、し
かる後これをジェットミルにて解砕し、次いで分級する
ことによって得られる。
本発明における球状架橋ポリスチレン粒子は、芳香族
ポリエステルの重合時に溶解又は溶融することはなく、
かつフイルム成形時のポリマーを溶融させる際に溶融す
ることはない。
本発明において用いる球状の微細粒子、好ましくは球
状シリカ粒子、球状シリコーン樹脂粒子、球状架橋ポリ
スチレン粒子等は、球状で且つ粒度分布が極めて急峻で
あることから、フイルム表面突起の高さが極めて均一と
なり、更にフイルム表面の個々の突起は、微細粒子周辺
のボイドが小さいために突起球状が非常にシャープであ
り、従って同じ突起の数であっても滑り性が極めて良好
となるという、特異的な作用を奏する。これらは単独
で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる
が、他の不活性固体微粒子や内部析出粒子と組合せて用
いることもできる。
上記球状の微細粒子と組合せて用いることのできる不
活性固体微粒子は本発明においては、好ましくは、従
来からの二酸化ケイ素;アルミナ;SiO2分を30重量
%以上含有するケイ酸塩(例えば非昌質あるいは結晶質
の粘土鉱物,アルミノシリケート(焼成物や水和物を含
む),温石綿,ジルコン,フライアッシュ等);Mg,Z
n,Zr及びTiの酸化物;Ca及びBaの硫酸塩;Li,Ba及
びCaのリン酸塩(1水素塩や2水素塩を含む);Li,N
a及びKの安息香酸塩;Ca,Ba,Zn及びMnのテレフタル
酸塩;Mg,Ca,Ba,Zn,Cd,Pb,Sr,Mn,Fe,Co及びNiのチタ
ン酸塩;Ba及びPbのクロム酸塩;炭素(例えばカー
ボンブラック,グラファイト等);ガラス(例えばガ
ラス粉,ガラスビーズ等);Ca及びMgの炭酸塩;ホ
タル石;及びZnSが例示される。更に好ましくは、無
水ケイ酸,含水ケイ酸,酸化アルミニウム,ケイ酸アル
ミニウム(焼成物,水和物等を含む),燐酸1リチウ
ム,燐酸3リチウム,燐酸ナトリウム,燐酸カルシウ
ム,硫酸バリウム,酸化チタン,安息香酸リチウム,こ
れらの化合物の複塩(水和物を含む),ガラス粉,粘土
(カオリン,ベントナイト,白土等を含む),タルク,
ケイ藻土,炭酸カルシウム等が例示される。特に好まし
くは二酸化ケイ素,炭酸カルシウムが挙げられる。
上記不活性固体粒子は、平均粒径が0.01〜2.5μm、
さらには0.05〜2.0μm、特に0.1〜1.5μm、就中0.1〜
1.0μmであることが好ましい。またこの添加量は、ポ
リエステルに対して0.005〜2.0重量%、さらに0.01〜1
重量%、特に0.01〜0.5重量%、就中0.05〜0.3重量%で
あることが好ましい。
また、上記球状の微細粒子と組合せて用いることので
きる内部析出粒子は、ポリエステル製造中に触媒残渣等
から生成析出させ、ポリマー中に含有させるものであ
り、この分散含有には従来から知られている内部析出粒
子形成の方法を用いることができる。例えば、特開昭48
−61556号公報,特開昭51−112860号公報,特開昭51−1
15803号公報,特開昭53−41355号公報,特開昭54−9039
7号公報等に開示されている方法を用いることができ
る。内部析出粒子はモノマー生成反応が実質的に終了し
た段階から重縮合反応の初期段階までの間に形成させる
のが好ましい。モノマー生成反応に用いる触媒やこの反
応段階で添加する化合物としては、カルシウム化合物,
リチウム化合物等が好ましく例示される。更に、このカ
ルシウム化合物やリチウム化合物を形成する成分として
は、例えば酢酸,プロピオン酸,酪酸等の如き脂肪族カ
ルボン酸;安息香酸,p−メチル安息香酸,ナフトエ酸等
の如き芳香族カルボン酸;メチルアルコール,エチルア
ルコール,プロピルアルコール,ブチルアルコール等の
如きアルコール;エチレングリコール,プロピレングリ
コール等の如きグリコール;塩素,水素等を挙げること
ができる。
内部析出粒子の形成は、通常上述した化合物の存在す
る系に燐化合物を添加することによって行う。燐化合物
としては例えば燐酸,亜燐酸,これらのエステル(例え
ばアルキルエステル,アリールエステル等)等を挙げる
ことができる。また、内部析出粒子の生成,粒径,安定
化等のために他の添加剤(例えば燐酸リチウム等)を用
いることができる。内部析出粒子において、カルシウ
ム,リチウム及び燐を含むものは粒径が比較的大きく、
またリチウム及び燐を含むものは粒径が比較的小さいか
ら、所望粒径によってその組成を変更することができ
る。内部析出粒子の好ましいものとして、リチウム元素
0.03〜5重量%,カルシウム元素0.03〜5重量%及び燐
元素0.03〜10重量%を含む粒子を挙げることができる。
本発明において内部析出粒子は平均粒径が0.01〜2.5
μm、好ましくは0.05〜2.0μm、更に好ましくは0.1〜
1.5μm、特に好ましくは0.1〜1.0μmのものである。
平均粒径が0.01μm未満のものでは滑り性を満足するに
足る表面凹凸がフイルム表面に現れず、かつ白粉の発生
を防止できず、一方2.5μmを超えるものは白粉の発生
が著しくなるので、好ましくない。
本発明のフイルムは内部析出粒子を0.005〜2.0重量%
(芳香族ポリエステルに対し)を含有することができ
る。該粒子の量が0.005重量%未満では滑り性付与が十
分でなく、一方2.0重量%を超えるとフイルムの表面平
坦性が低下するので好ましくない。
該粒子の量は、0.01〜1重量%(芳香族ポリエステル
に対し)、更には0.01〜0.5重量%(同)、特には0.05
〜0.3重量%(同)が好ましい。
本発明における内部析出粒子は、例えば後述する方法
でポリマーから分離し、その粒径,量等を求めることが
できる。
[粒子分離法] ポリエステルまたはポリエステルフイルムをメタノー
ルで充分洗浄し表面付着物を取り除き水洗して乾燥す
る。該フイルム500gを採取し、これにo−クロルフェノ
ール4.5kgを加えて撹拌しつつ100℃まで昇温させ、昇温
後さらに1時間そのまま放置してポリエステル部分を溶
解させる。ただし高度に結晶化している場合などでポリ
エステル部分が溶解しない場合には、一度溶融させて急
冷した後に前期の溶解操作を行う。
次いでポリエステル中に含有されているゴミあるいは
添加されている補強剤など内部粒子以外の粗大不容物除
去のため、前期溶解溶液をC−1ガラスフィルターで
別し、この重量は試料重量から差し引く。
分離の完了はほぼ40分後であるが、この確認は必要あ
れば分離後の液の375mμにおける光線透過率が分離前の
それに比し、高い値の一定値になることで行う。分離
後、上澄液を傾斜法で除去し分離粒子を得る。
分離粒子には分離が不十分なことに起因するポリエス
テル分の混入があり得るので、採取した該粒子に常温の
o−クロルフェノールを加えほぼ均一懸濁後、ふたたび
超遠心分離機処理を行う。この操作は後述の粒子を乾燥
後該粒子を走査型差動熱量分析を行って、ポリマーに相
当する融解ピークが検出できなくなるまで繰り返す必要
がある。最後に、このようにして得た分離粒子を120℃,
16時間真空乾燥して秤量する。
なお前記操作で得られた分離粒子は内部析出粒子と球
状シリカ粒子の両者を含んでいる。このため内部粒子量
と球状シリカ粒子量を別個に求める必要があり、まず前
記分離粒子について金属分の定量分析を行いCa,Liの含
有量及びCa,Li以外の金属含有量を求めておく。次いで
該分離粒子を3倍モルのエチレングリコール中で6時間
以上還流加熱したのち、200℃以上になるようにエチレ
ングリコールを留去して解重合すると内部粒子だけが溶
解する。残った粒子を遠心分離して得られた分離粒子を
乾燥秤量し外部粒子量とし、最初の合計分離粒子量との
差を内部析出量とする。
なお、内部析出粒子中には本発明の効果を妨げない範
囲で微量の他の金属成分、例えば亜鉛,マンガン,マグ
ネシウム,コバルト,あるいはアンチモン,ゲルマニウ
ム,チタンなどが含まれていてもよい。
本発明の二軸配向フイルムを製造する際に、球状の微
細粒子、あるいはこれと他の不活性固体微粒子又は内部
析出粒子をポリエチレン−2,6−ナフタレートの重合前
又は重合中に重合釜中で、重合終了後ペレタイズすると
き、押出機中であるいはシート状に溶融押出しする際押
出機中で該ポリエチレン−2,6−ナフタレートと充分に
混練すればよい。
本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルム
は、例えば融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で
ポリエチレン−2,6−ナフタレートを溶融押出して固定
粘度0.35〜0.9dl/gの未延伸フイルムを得、該未延伸フ
イルムを一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−10)〜
(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエチレン−2,6−ナ
フタレートのガラス転移温度)で2.5〜5.0倍の倍率で延
伸し、次いで上記延伸方向と直角方向(一段目延伸が縦
方向の場合には、二段目延伸は横方向となる)にTg
(℃)〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜5.0倍の倍率で延伸
することで製造できる。この場合、面積延伸倍率は9〜
22倍、更には12〜22倍にするのが好ましい。延伸手段は
同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれでもよい。
更に、二軸配向フイルムは、(Tg+70)℃〜Tm(℃)
の温度、好ましくは190〜240℃で熱固定することができ
る。熱固定時間は例えば1〜60秒である。
また機械特性を上げたい場合にはこれ等の二軸延伸フ
イルムについて、熱固定温度を(Tg+20)℃〜(Tg+7
0)℃として熱固定し、更にこの熱固定温度より10〜40
℃高い温度で縦又は横に延伸し、続いて更にこの温度よ
り20〜50℃高い温度で更に横又は縦に延伸し、縦方向の
場合延伸倍率5.0〜6.9倍、横方向の総合延伸倍率を5.0
〜6.9倍とすることにより得られる。
延伸方法は逐次二軸延伸であっても同時二軸延伸であ
ってもよい。また縦方向・横方向の延伸回数はこれに限
られるものでなく縦−横延伸の数回の延伸により得られ
るものであり、その回数に限定されるものではない。
いずれの方法においても最終的に二軸配向フイルムは
(Tg+70)℃〜Tm℃の温度、好ましくは190〜240℃で熱
固定するのが好ましく、熱固定時間は例えば1〜60秒で
ある。
更に、70℃で1時間無荷重下で熱処理したときのベー
スフイルムの熱収縮率は0.15%以下、好ましくは0.10%
以下、更に好ましくは0.06以下である。この熱収縮率が
0.15%より大きいとき、磁気テープのスキューも大きく
なり、受像機によっては画面に歪が現れ、貴重な記録が
台なしになる場合すらある為好ましくない。
高ヤング率フイルムの熱収縮率をこのように低減せし
める為には、熱処理後のフイルムを低張力下で加熱し、
縦方向に弛緩することによって行うことができる。縦方
向に弛緩する方法としては、例えば空気力による浮遊処
理方式で加熱低張力下、非接触状態で弛緩する方式;夫
々ニップロールを有する加熱ロールと冷却ロール間で速
度差を与えることによって弛緩する方式、又はテンター
内でフイルムを把持したクリップの進行速度を逐次緩め
ることによって縦方向に弛緩する方法等があるが、縦方
向に弛緩できる方式であればいずれの方式も用いること
ができる。
ポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルムの厚み
は、1〜15μmが好ましい。
本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルム
は、走行時の摩擦係数が小さく、操作性が大変良好であ
る。またこのフイルムを磁気テープのベースとして用い
ると、磁気記録再生装置(ハードウエア)の走行部分と
の接触摩擦によるベースフイルムの削れが極めて少な
く、耐久性が良好であり高電磁変換性が得られる。
更に、本発明の二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタ
レートフイルムはフイルム形成時において巻き性が良好
であり、かつ巻き皺が発生しにくく、その上スリット段
階において寸法安定的にシャープに切断されるという長
所がある。
以上のフイルム製品としての長所と、フイルム形成時
の長所との組合せによって、本発明のフイルムは、特
に、高級グレードの磁気テープのベースフイルムとして
極めて有用であり、またその製品も容易で安定に生産で
きる利点を持つ。
本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルム
は高級グレードの磁気記録テープ、例えばオーディオ及
びビデオ等の長時間録画用超薄物,高密度記録磁気テー
プ,高品質画像記録再生用の磁気記録テープ、例えばメ
タルや蒸着磁気記録テープのベースフイルムとして好適
である。
それ故、本発明によれば、上記本発明の二軸配向ポリ
エステルフイルムの片側又は両面に磁性層を設けた磁気
記録媒体が同様に提供される。
磁性層、および磁性層をベースフイルム上に設ける方
法はそれ自体公知であり、本発明においても公知の磁性
層およびそれを設ける方法を採用することができる。
例えば磁性層をベースフイルム上に磁性塗料を塗布す
る方法によって設ける場合には、磁性層に用いられる強
磁性粉体としてはγ−Fe2O3,Co含有のγ−Fe3O4,Co含有
のFe3O4,CrO2,バリウムフェライトなど、公知の強磁性
体が使用できる。
磁性粉体と共に使用されるバインダーとしては、公知
の熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂,反応型樹脂又はこれら
の混合物である。これらの樹脂としては例えば塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体,ポリウレタンエラストマー等
があげられる。
磁性塗料は、更に研磨剤(例えばα−Al2O3等),導
電剤(例えばカーボンブラック等),分散剤(例えばレ
シチン等),潤滑剤(例えばn−ブチルステアレート,
レシチン酸等),硬化剤(例えばエポキシ樹脂等)及び
溶媒(例えばメチルエチルケトン,メチルイソブチルケ
トン,トルエン等)等を含有することができる。
[発明の効果] 本発明ポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルムは1
5μm以下と厚みの薄いものでありながら、テープの走
行性や耐久性が良好で、出力変動が小さく、更にスキュ
ー歪みも改良されている。この結果家庭用VTRの長時間
録画用カセットにおいても、磁気記録用タープの厚みを
薄くすることができ、長時間記録が可能となる。
[実施例] 以下実施例により本発明を更に説明する。
なお、本発明における種々の物性値及び特性の測定法
及び定義は以下の如くである。
(1)ヤング率 フイルムを試料巾10mm,長さ15cmに切り、チャック間1
00mmにして、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分
の条件でインストロンタイプの万能引張試験装置にて引
張った。得られた荷重−伸び曲線の立上り部の接線より
ヤング率を計算した。
(2)熱収縮率 まず試料の長さを測定し、次にその試料を70℃に保持
された空気恒温槽中に張力フリーの状態で1時間放置し
て熱処理を行い、冷却後の長さを室温において測定す
る。そして、その熱処理前後の各長さから熱収縮率を求
める。
(3)スキュー特性 スキュー特性は常温(20℃)常湿下で録画したビデオ
テープを70℃で1時間熱処理した後、再び常温常湿下で
再生し、ヘッド切換点におけるズレ量を読み取る。
(4)球状微細粒子の面積円相当径、平均粒径等 (4−1)球状微細粒子の面積円相当系、平均粒径等の
測定には次の状態がある。
1)微粉体から求める場合。
2)フイルム中の微細粒子から求める場合。
1)微粉体からの場合: 電顕試料台上に微粉体を個々の粒子ができるだけ重な
らないように散在せしめ、金スパッター装置によりこの
表面に金薄膜蒸着層を厚み200〜300Åで形成せしめ、走
査型電子顕微鏡にて10000〜30000倍で観察し、日本レギ
ュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少くとも100
個の粒子の面積円相当径(Di)を求める。そして、この
次式で表わされる数平均値をもって平均粒径()を表
わす。
2)フイルム中の微細粒子からの場合: 試料フイルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台に固定
し、日本電子(株)製スパッターリング装置(JFC−110
0型イオンスパッターリング装置)を用いてフイルム表
面に下記条件にてイオンエッチング処理を施す。条件は
ベルジャー内に試料を設置し、約10-3Torrの真空状態ま
で真空度を上げ、電圧0.25KV,電流12.5mAにて約10分間
イオンエッチングを実施する。更に同装置にてフイルム
表面に金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡にて1000
0〜30000倍で観察し、日本レギュレーター(株)製ルー
ゼックス500にて少くとも100個の面積円相当径(Di)を
求める。以下、上記1)と同様に行う。
(4−2)他の不活性粒子について 粒子の平均粒径(DP) 島津製作所製CP−50型セントリフュグル パーティク
ル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle Siz
e Analyser)を用いて測定する。得られた遠心沈降曲線
を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線
から、50マスパーセントに相当する粒径を読み取り、こ
の値を上記平均粒径とする(Book「粒度測定技術」日刊
工業新聞社発行、1975年、頁242〜247参照)。
(5)粒子の相対標準偏差 1)球状微細粒子の相対標準偏差 上記(4−1)項で求めた面積円相当径(Di)及び平
均粒径()を用い、下記式にもとづいて算出する。
2)他の不活性粒子の相対標準偏差 上記(4−2)項で求めた積算曲線から差分粒度分布
を求め、次の相対標準偏差の定義式にもとづいて相対標
準偏差を算出する。
ここで Di;(4−2)項で求めた各々の粒径 ;(4−2)項で求めた平均粒径 n ;(4−2)項での積算曲線を求めたときの分割数 φi;各粒径の粒子の存在確率(マスパーセント) を表わす。
(6)フイルム表面粗さ(Ra) 中心線平均粗さ(Ra)としてJIS−B0601で定義される
値であり、本発明では(株)小坂研究所の触針式表面粗
さ計(SURFCORDER SE−30C)を用いて測定する。測定
条件等は次の通りである。
(a)触針先端半径:2μm (b)測定圧力:30mg (c)カットオフ:0.25mm (d)測定長:0.5mm (e)データーのまとめ方 同一試料について5回繰返し測定し、最も大きい値を
1つ除き、残り4つのデーターの平均値の小数点以下4
桁目を四捨五入し、小数点以下3桁目まで表示する。
(7)フイルムの摩擦係数(μk) 温度20℃,湿度60%の環境で、巾1/2インチに裁断し
たフイルムをステンレス鋼(SUS304)製の固定棒(表面
粗さ0.1〜1.0S相当;外径5mm)に角度θ=(152/180)
πラジアン(152゜)で接触させて毎分200cmの速さで移
動(摩擦)させる。入り口テンションT1が35gとなるよ
うにテンション、ントローラーを調整した時の出口テン
ション(T2:g)をフイルムが90m走行したのちに出口テ
ンション検出機で検出し、次式で走行摩耗係数μkを算
出する。
μk=(2.303/θ)log (T2/T1) =0.868 log (T2/35) (8)削れ性 フイルムの走行面の削れ性を5段のミニスーパーカレ
ンダーを使用して評価する。カレンダーはナイロンロー
ルとスチールロールの5段カレンダーであり、処理温度
は80℃、フイルムにかかる線圧は200kg/cm、フイルムス
ピードは50m/分で走行させる。走行フイルムを全長2000
m走行させた時点でカレンダーのトップローラーに付着
する汚れでベースフイルムの削れ性を評価する。
〈4段階判定〉 ◎ ナイロンロールの汚れ全くなし ○ ナイロンロールの汚れほとんどなし × ナイロンロールが汚れる ×× ナイロンロールがひどく汚れる (9)テープの傷の発生頻度 一般市販のVHS方式VTRを用いテープををセットして1
分間走行させる。その後走行を停止してテープを取り出
し走行した部分,ローディング,アンローディングを30
回繰り返す。使用された部分を目視にて検査し、テープ
表面に傷が有るか否かを調査した。
同様の手法にてテープ30巻についてテストした。その
結果、 5巻以上に傷が発生したもの × 3〜4巻に傷が発生したもの △ 2巻以下に傷が発生のもの ○ とした。
(10)電磁変換特性(クロマS/N) 市販の家庭用VTRを用いて50%白レベル信号(100%白
レベル信号はピーク:ツー:ピークの電圧が0.714ボル
トである)に、100%クロマレベル信号を重畳した信号
を記録し、その再生信号をシバソクノイズメーターType
925Rを用いて測定を行う。クロマS/Nの定義はシバソク
の定義に従い次の通りである。
ここでES(p−p)は白レベル信号の再生信号のピー
ク:ツー:ピークの電圧差(p−p)である。
ES(p−p)=0.714V(p−p) また、EN(rms)はクロマレベル信号の再生信号のピ
ークの電圧の平方根値である。
EN(rms)=AMノイズ実効値電圧(V) (11)ドロップアウト 市販のドロップアウトカウンター(例えばシバソクVH
O1BZ型)にて5μsec×10dBのドロップアウトをカウン
トし、1分間のカウント数を算出した。
(12)スキュー スキュー特性は常温(20℃)常湿下で録画したビデオ
テープを70℃で1時間熱処理した後、再び常温常湿下で
再生し、ヘッド切換点におけるズレ量を読み取る。
実施例1 平均粒子径0.5μmの球状シリカ微粒子を0.3重量%含
有してなる極限粘度0.62のポリエチレン−2,6−ナフタ
レート(ホモポリマー)のぺレットを170℃で4時間乾
燥した。
このポリエチレン−2,6−ナフタレートを通常の方法
で溶融押出し、厚さ255μmの末延伸フイルムを得た。
この末延伸フイルムを縦方向に120℃で4.8倍,引続いて
横方向に135℃で4.6倍,逐次二軸延伸を施し、更に200
℃で熱固定を行いつつ15%横に延伸した。次いでこの熱
固定した二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
イルムを加熱ロールで120℃に加熱後冷却ロールとの間
で張力を調整することにより、縦方向の熱収縮率を約0.
06%と調整した。得られたフイルム厚みは10μmであ
る。
更に、このフイルム上に、下記組成 Co含有酸化鉄粉末 100 重量部 エスレックA(積水化学製塩化 ビニル−酢酸ビニル共重合体) 10 重量部 ニッポラン2304(日本ポリウレタン製 ポリウレタンエラストマー) 10 重量部 コロネートL(日本ポリウレタン製 ポリイソシアネート) 5 重量部 レシチン 1 重量部 メチルエチルケトン 75 重量部 メチルイソブチルケトン 75 重量部 トルエン 75 重量部 添加剤(潤滑剤,シリコーン樹脂) 0.15重量部 を持つ磁性粉末塗料をグラビアロールにより塗布し、ド
クターナイフにより磁性塗料層をスムージングし、磁性
塗料の未だ乾かぬ間に常法により磁気配向させ、しかる
後オr−ブンに導いて乾燥キュアリングした。更にカレ
ンダー加工して塗布表面を均一にし、スリットして厚み
約4μmの磁性層を形成した1/2インチ巾の磁気テープ
を作成した。この磁気テープの特性を第1表に示す。
この場合のテープ厚みが14μmと比較的薄いにもかか
わらず、テープ傷も少なく画面への影響も少なく良好の
ものが得られた。
実施例2 実施例1に準じて、球状シリカ粒子含有のペレットを
170℃で4時間乾燥した。
このポリエチレン−2,6−ナフタレートを通常の方法
で溶融押出し厚さ265μmの末延伸フイルムを得た。こ
の末延伸フイルムを縦方向に120℃で2.3倍に、引続いて
横方向に135℃で3.7倍に延伸、そのまま160℃で第1段
目の熱固定処理を実施した。このフイルムを更に数段の
加熱ロールを通過させることにより180℃に加熱し縦方
向に更に2.6倍延伸した。次いでこのフイルムをテンタ
ーオーブンに供給し190〜200℃雰囲気の中で徐々に1.6
倍延伸し、そのまま20℃で熱処理を実施した。
その後の処理は実施例1と全く同様に行いテープ厚み
14μmのものを得た。テープ特性は良好でテープの損傷
もなく電磁変換特性も良好のものを得た。またスキュー
特性も3μsecと極めて良好なものが得られた。
実施例3〜4 実施例1に準じて実施したが添加微粉体を実施例3で
はシリコーン樹脂粒子を添加した。実施例4では架橋ポ
リスチレン粒子を添加し実施例1に準ずるフイルムを得
た。
比較例1〜2 実施例1に準じ実施した。この際添加粒子として粒径
0.6μmの炭酸カルシウム粒子を0.2wt%添加したものと
平均粒径0.6μmのカオリン粒子を0.25wt%添加したも
のである。
このフイルムを実施例1に準じテープ化したが、その
テープ特性は走行性や削れ性で問題があり、満足な電磁
変換特性も得られなかった。
比較例3 エチレングリコール(以下EGと略称する)85重量部
に、500℃における減量率が1.0重量%の球状シリカ微粒
子(平均粒径0.5μm)15重量部を添加した後、混合撹
拌を行いスラリーを得た。該スラリーのフィルターによ
る上物は800ppmであった。
次に、ジメチルテレフタレート100重量部とEG70重量
部を酢酸マンガン・4水和物0.035重量部を触媒として
常法通りエステル交換せしめた後上記で得られた炭酸カ
ルシウム(濃度:0.3重量%対ポリマー)を撹拌下添加し
た。続いて燐酸トリメチル0.03重量部,三酸化アンチモ
ン0.03重量部を添加した後高温真空下で常法通り重縮合
反応を行い、極限粘度0.620のポリエチレンテレフタレ
ートペレットを得た。更に得られたポリエチレンテレフ
タレート(以下PETと略称)ペレットを170℃,3時間乾燥
後押出機ホッパーに供給し溶融温度280〜300℃で溶融
し、この溶融ポリマーを1mmのスリット状ダイを通して
表面仕上げ0.3S程度、表面温度20℃の回転冷却ドラム上
に成形押出し260μmの末延伸フイルムを得た。
このようにして得られた末延伸フイルムを75℃にて予
熱し更に低速,高速のロール間で15mm上方より900℃の
表面温度のIRヒーター1本にて加熱し、低,高速のロー
ル表面速度により1.8倍延伸し、急冷し、更にステンタ
ーに供給し、120℃にて横方向に3.5倍に延伸した。得ら
れた二軸延伸フイルムを100℃の温度で5秒間熱固定を
実施し、更に二軸延伸熱固定フイルムを90℃に再加熱
(加熱ロールと冷却ロール間の速度差)にて縦方向に2.
8倍延伸し、得られたフイルムを更に150〜180℃で1.5倍
に横方向に延伸し、再度220℃で熱固定を実施した。
得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイル
ムを温度120℃,張力30kg/cm2(フイルム断面積)の条
件で縦弛緩処理を実施した。得られたフイルムの厚みは
10μmであった。このフイルムを実施例1に従って磁性
物体の塗布を実施した。
比較例4 実施例2において160℃で第1段熱固定実施後のフイ
ルムを数段の加熱ロールを通過せしめ、縦方向に3倍延
伸し、更に220℃にて第2段の熱固定を実施し10μmの
フイルムを得た。更に120℃,30kg/cm2(フイルム断面)
で縦弛緩した。
本フイルムに磁性物体の塗布を行い14μmのテープを
得た。
実施例5 実施例1において添加粒子を粒径0.5μmの球状シリ
カ0.2wt%と粒径0.3μmの酸化チタンを0.3wt%添加
し、実施例1と全く同様にして14μmのテープを得た。
その結果を示す。
実施例6 実施例1において、表面形成のために平均粒径0.6μ
mの球状のシリコーン樹脂粒子を添加し、更にポリマー
内部より生成された内部析出粒子との混合粒子により表
面を形成し10μmのフイルムを得た。その他は実施例1
と同様である。
実施例7 実施例2において平均粒径0.6μmのシリコーン樹脂
粒子0.1wt%と平均粒径0.3μmの酸化チタン粒子0.3wt
%添加し同様にテープにし評価の結果削れ性も比較的良
好でしかも電磁変換特性の良好のものが得られた。
比較例5〜6 比較例4において添加粒子を球状シリカの代りに平均
粒径0.5μm程度のシリコーン樹脂,架橋ポリスチレン
粒子を添加したものである。
一方向にヤング率が高くなるとフイルムの耐削れ性も
悪化の傾向にあり、しかもテープ特性が悪くなり電磁変
換特性も上らず、またテープの損傷も大となり、あまり
好ましくない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67:00 C08L 67:00 (72)発明者 加藤 秀雄 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人株式会社プラスチック研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−136013(JP,A) 特開 昭62−135339(JP,A) 特開 昭63−289029(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】縦方向のヤング率(EM)が650kg/mm2以上
    で、横方向のヤング率(ET)が650kg/mm2以上でかつ両
    者の差|EM−ET|が200kg/mm2以上であり、70℃におい
    て無荷重で1時間放置した際の縦方向の熱収縮率が0.15
    %以下であり、そして表面粗さRaが0.01μm以上0.05μ
    m以下であることを特徴とする磁気記録テープ用ポリエ
    チレン−2,6−ナフタレートフイルム。
  2. 【請求項2】縦方向のヤング率(EM)が680kg/mm2以上
    で、横方向のヤング率(EM)が680kg/mm2以上でかつ両
    者の差|EM−ET|が100kg/mm2である請求項1に記載の
    磁気記録テープ用ポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
    イルム。
  3. 【請求項3】70℃において無荷重で1時間放置した際の
    熱収縮率が0.10%以下である請求項1に記載の磁気記録
    テープ用ポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルム。
  4. 【請求項4】体積形状係数が0.4〜π/6でかつ下記に定
    義される粒子の相対標準偏差が0.3以下である微細粒子
    であって、その平均粒径()が0.3〜2.5μmのものを
    0.005〜2.0wt%含むことを特徴とする磁気記録テープ用
    ポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルム。 ここで、Di:個々の粒子の面積円相当径(μm) n :粒子の個数 を表わす。
  5. 【請求項5】微細粒子がシリカ,シリコーン樹脂粒子及
    び架橋ポリスチレン粒子の群より選ばれた1種以上から
    なる請求項1に記載の磁気記録テープ用ポリエチレン−
    2,6−ナフタレートフイルム。
  6. 【請求項6】微細粒子と同時に他成分として、他の不活
    性粒子及び(又は)内部析出粒子を含有している請求項
    1又は5に記載の磁気記録テープ用ポリエチレン−2,6
    −ナフタレートフイルム。
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