JP2508640Y2 - 排出ガス後処理装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、ディーゼル・エンジンから排出される排
出ガスを処理する排出ガス後処理装置に関する。

（従来の技術） 排出ガス後処理装置として、三元触媒や酸化触媒など
の触媒を担持した触媒担体中に排出ガスを流して該ガス
を浄化するものがある。ディーゼルエンジンから排出さ
れるガスは、酸素を多量に含んでおり、定置型ディーゼ
ルエンジンでは、窒素酸化物を触媒で分解するために還
元剤を供給している。

（考案が解決しようとする課題） しかし、燃料以外の物質を還元剤として使用すると、
システムが煩雑となり、還元剤の酸化反応の方が窒素酸
化物（NOx）の還元分解反応よりも早いために、還元剤
として有効に作用しなかったり、排出ガス中の炭化水素
（HC）の排出量が増加する傾向がある、という問題があ
る。

そこで、本考案の目的は、還元剤の機能を充分に発揮
させて触媒によるNOxの分解反応をスムーズに行える排
出ガス後処理装置の提供にある。

（課題を解決するための手段） 本考案の排出ガス後処理装置は、排出ガスの流れ方向
に沿って列設されていて、これに担持された触媒で排出
ガスを浄化する複数個の触媒担体と、還元剤タンクに貯
溜した還元剤を、上記複数の触媒担体に選択的に供給す
る分割調量機と、エンジンの状態に応じて上記触媒担体
に対して還元剤を供給するように上記分割調量機の作動
を制御するコントローラとを具備したことを特徴とす
る。

（作用） コントローラは、回転数やアクセル開度で得られるエ
ンジンの状態に応じて上記分割調量機の作動を制御し
て、複数の触媒担体個々に対して適量の還元剤を供給す
る。

（実施例） 以下、図示の一実施例に基づいて本考案を詳細に説明
する。第１図において、符号１は複数個の触媒担体2a,2
b……2nを支持しているハウジングを示している。この
ハウジング１は、排出ガス流路３と排出ガス流路４とで
構成される排出ガス流路に配設されている。各触媒担体
2a,2b……2nは、ガスの流れ方向に沿って列設されてい
て、個々の構造は略同じである。触媒担体は、多孔質セ
ラミックをハニカム構造やペレット構造に成形したもの
であって、ONxを分解する触媒がコーティングなどの適
宜の手段により設けられている。

各触媒担体2a,2b……2n同士は互いに離されて配設さ
れていて、各触媒担体の上流側の空間1a,1b,……1nに
は、分割調量機５からそれぞれ導き出された配管6a,…
…6nの一端が接続されている。この配管６は、触媒担体
２の上流側端面に対して後述する還元剤を可及的均一に
供給するために、第２図に矢印で示すように、一箇所又
は複数箇所でハウジング１に接続されている。分割調量
機５には、ハイドロカーボン，アンモニア，尿素などの
還元剤を貯溜した還元剤タンク７が接続されている。還
元剤は例えば液状で貯溜されていて、分割貯溜機５で調
量されたのち所定の空間に液状のまま或いはガス状にし
て供給される。

分割調量機５は、コンピュータからなるコントローラ
８による、どの空間にどれだけの量の還元剤を供給する
かの制御信号によってその作動を制御される。コントロ
ーラ８には、エンジンの負荷状態を判断するために、ア
クセル開度を検出するセンサ９からのアクセル開度信号
と、エンジン回転センサ10からのエンジン回転信号が入
力されている。

コントローラ８は、エンジンの状態に応じて還元剤の
供給量を決定するマップを持っている。第３図に示す等
還元剤投入線図は等排温線図や等HC線図と同じパターン
である。排温が低くて回転数が低い場合にはHCが多く発
生し、逆に排温が高く回転数も高い場合にはHCの発生量
は少ない。また、回転数が低くて排温が高ければHCの発
生量が少なく、回転数が高くても排温が低ければHCの発
生量は多くなる傾向にある。ところで、HCの処理は高温
の方が効率的に行なえるが、高温域ではNOxが増える。
また、HCは還元剤の性質を有している。そこで、上記の
ようなエンジンの状態に合わせて、HCの多いところでは
還元剤を供給せず、HCの少ないところではその多少に応
じて還元剤の供給量の大小を設定するマップを作成し、
これに従って分割調量機５を制御する。

但し、総供給量のマップだけでは不充分である。すな
わち、分割された触媒担体群の最上流の触媒担体2aに対
して還元剤の全供給量を供給すると、下流側の触媒担体
2nには還元剤が到達しない畏れがある。そこで、コント
ローラ８は、列設された触媒担体の全てに還元剤を供給
して排出ガス浄化の機能を均一に果たせるように、還元
剤を投入する空間（1a……1n）とその順序や、投入する
空間への供給量の大小をマップ化し、これに基づいて分
割調量機５の作動を制御する。空間1a……1nへの還元剤
の投入は、全ての空間に対して一斉に行なっても良く、
排出ガスの流れの上流側から下流側へ、またはこの逆の
順で行なっても良い。各空間に供給する量は、上流側を
多く下流側を少なくするように制御されても良いし、触
媒担体同士に長さの差がある場合には長さの差に応じて
投入量を制御されても良い。

（考案の効果） 以上のように、本考案によれば、エンジンの状態に応
じて、列設された触媒担体に対して還元剤を供給するの
で、還元剤は各触媒担体の位置でNOxを分解するように
無駄なくスムーズに反応させられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す排出ガス後処理装置の
概略構成図、第２図は触媒担体への還元剤の供給方向を
示す触媒担体の正面図、第３図はエンジンの状態に応じ
て供給される還元剤の等還元剤投入線図である。 １……ハウジング、1a,1n……空間、2a,2b,2n……触媒
担体、3,4……排出ガス流路、５……分割調量機,8……
コントローラ,7……還元剤タンク。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ディーゼル・エンジンから排出される排出
   ガスを処理する排出ガス後処理装置であって、 排出ガスの流れ方向に沿って列設されていて、これに担
   持された触媒で排出ガスを浄化する複数個の触媒担体
   と、 還元剤タンクに貯溜した還元剤を、上記複数の触媒担体
   に選択的に供給する分割調量機と、 エンジンの状態に応じて上記触媒担体に対して還元剤を
   供給するように上記分割調量機の作動を制御するコント
   ローラと を具備したことを特徴とする排出ガス後処理装置。