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JP2598487B2 - 親水性基含有ab型ブロック共重合体 - Google Patents

親水性基含有ab型ブロック共重合体

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Publication number
JP2598487B2
JP2598487B2 JP63236063A JP23606388A JP2598487B2 JP 2598487 B2 JP2598487 B2 JP 2598487B2 JP 63236063 A JP63236063 A JP 63236063A JP 23606388 A JP23606388 A JP 23606388A JP 2598487 B2 JP2598487 B2 JP 2598487B2
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block copolymer
carbon atoms
hydrophilic group
hydrogen atom
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俊一 桧森
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Mitsubishi Chemical Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 産業上の利用分野 本発明は、親水性基含有高分子鎖及び樹脂と親和性を
有する高分子鎖とを併せ持つ親水性基含有AB型ブロック
共重合体に関するものである。
樹脂の表面あるいは界面を改質し、その効果を永続化
させるためにブロック共重合体が有用であることはすで
に知られている。
本発明の親水性基含有AB型ブロック共重合体は、親水
性基含有高分子鎖が改質すべき樹脂の表面あるいは界面
へ配向し、一方、樹脂と親和性を有する高分子鎖が改質
すべき樹脂に固定されて働くものである。
従来の技術 従来より、親水性基含有ブロック共重合体は、優れた
表面あるいは界面改質効果が期待できるため、その合成
が試みられているが、通常のラジカル重合法による合成
例は数少ない。
特開昭59−202261号公報では、ポリメリックペルオキ
シド又はポリアゾ化合物を用いて親水性基含有ブロック
共重合体が合成できると提案されている。
発明が解決しようとする課題 ところが、上述のポリメリックペルオキシド又はポリ
アゾ化合物を用いて親水性基含有ブロック共重合体を合
成する場合は生成共重合体の分子量が制御できないばか
りでなく、ホモポリマーが副成することが避け難いの
で、純度の高いブロック共重合体を得ることが困難であ
るという問題点がある。
〔発明の概要〕
要旨 本発明は、上記の点に解決を与えることを目的とする
ものであって、改質すべき高分子材料の表面あるいは界
面に、親水性基の有する諸性質、例えば、吸水性、帯電
防止性、導電性、防汚性、防曇性等を与え、且つその改
良効果が永続的であるような共重合体を提供しようとす
るものである。
即ち、本発明による親水性基含有AB型ブロック共重合
体は、下記一般式(イ)〜(ロ)で示される化合物群か
ら選ばれた1種または2種以上の化合物(M1)からなる
高分子鎖と、下記一般式(ハ)〜(リ)で示される化合
物群から選ばれた1種または2種以上の化合物(M2)か
らなる親水性基含有高分子鎖とを有する、下記一般式
(I) で表わされるものである。
(式(I)中、MはM2 M1 またはM1
M2 であり、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を、R2
水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を、R3はベン
ジル基、 (R4は炭素数1〜18のアルキル基を示す)または炭素数
1〜18のアルキル基を、示す。mおよびnは、何れも20
〜5000の自然数である。) M1は、下記の(イ)〜(ロ)のいずれかを示す。
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル残基 (式中、R5は水素原子またはメチル基を、R6は炭素数1
〜18の炭化水素基、またはアルコキシ基もしくは水酸基
で置換された炭素数1〜18の炭化水素基を、示す。)、 で表わされる芳香族ビニル残基 (式中、R7は水素原子またはメチル基を、R8はフェニル
基またはアルキルフェニル基を、示す) M2は、下記のいずれかを示す。
で表わされる親水性基含有ビニル残基、 で表わされる親水性基含有ビニル残基、またはその4級
アンモニウム塩、 で表わされる親水性基含有ビニル残基、またはその4級
アンモニウム塩、 で表わされる親水性基含有ビニル残基、 で表わされる親水性基含有ビニル残基、 で表わされる親水性基含有ビニル残基、 (リ) ビニルピロリドン残基 (上記一般式(ハ)〜(チ)各式中で、 R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、メチ
ル基または水酸基のいずれかを示す。
R12は、炭素数1〜10のアルキレン基を示す。
Z1は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは
有機アミンのいずれかを示す。
R13およびR14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素
数1〜10のアルキル基または−R12SO3Z1(ここで、R12
およびZ1は、上記で定義されたR12およびZ1と同様に定
義された意味を示す。)で表わされるスルホン化アルキ
ル基のいずれかを示す。
R16は、水酸基を1個以上有する炭素数1〜18のヒド
ロキシル化アルキル基を示す。
R17は、CH2-CH2−OXまたは で表わされる(ポリ)アルキレングリコール基を示す。
(ここで、aは1〜10の自然数を表し、Xは水素原子、
−PO3H2、−PO3HZ1または−PO3▲Z1 2▼(ここで、Z
1は、上記で定義されたZ1と同様に定義された意味を示
す。))) 効果 本発明によれば、前記の従来の問題点が克服されて、
表面特性を改質しようとする高分子材料に親和性のある
高分子鎖のブロックが、対象高分子材料のポリマー鎖に
対して親水性基含有高分子鎖を十分に「固定」するの
で、親水性基含有高分子鎖に生得的な各種性質が高分子
材料に付与されて、その表面特性が改質される。
すなわち、親水性基の持つ諸性質、例えば、吸水性、
帯電防止性、導電性、防汚性、防曇性、耐油性あるいは
金属、ガラス、セラミック等への密着性、生体適合性等
の優れた性質を高分子材料に付与させることができ、か
つこの効果を長時間持続させることができる。
従って、本発明によるAB型共重合体は、塗料添加剤、
樹脂添加剤、界面活性剤、消泡剤、凝集剤、分散剤、ビ
ルダー、スケール防止剤として、あるいはトナー、接着
剤、繊維、膜、シーラント、ゴム、粘着剤、吸水性樹脂
等の改質剤として用いることができる。
本発明によるブロック共重合体は、含親水性基含有高
分子の重合を行なわせることに固有の問題として適当な
重合開始剤を選択することが望ましいが、後記のように
好ましい重合開始剤は化合物としては簡単な周知の化合
物であると共にブロック共重合体も容易であって慣用の
技術の範囲のものであるので、このような共重合体によ
ってもたらされる表面特性改質効果の大きいこととあい
まって、本発明は極めて実用的な技術を提供するものと
いうことができる。
〔発明の具体的説明〕
親水性基含有AB型ブロック共重合体 本発明による親水性基含有AB型ブロック共重合体は、
改質させたい高分子材料に親和性を有する高分子鎖(以
下、親和高分子鎖ということもある)と親水性基含有高
分子鎖とが直鎖状に化学結合した構造を有するものであ
って、上述の一般式(I)で示されるものである。な
お、本明細書中で、一般式(イ)〜(リ)中の「残基」
とはビニル基を有する単量体が付加重合により結合した
場合の繰り返し単位そのものを指すものとする。
上記一般式(I)中のmおよびnは、何れも20−5000
の自然数である。mおよびnの具体的数字は、高分子鎖
(M1)および(M2)の種類、対象とする高分子材料ある
いは後述するブロック共重合体の重畳平均分子量等に応
じて適宜決定することができるが、好ましくはmが、30
〜500、nが30〜500、m+nが60〜1000、であるもので
ある。
また、この式(I)中のR1として好ましい炭化水素基
は、炭素数1〜4のものであり、R2として好ましい炭化
水素基は炭素数1〜4のものであり、R4として好ましい
アルキル基は、炭素数2〜10のものである。
この様なAB型ブロック共重合体は、改質しようとする高
分子材料に溶融混練等の方法を用いて混和して組成物を
合成すると、共重合体の含親水性基高分子鎖部分は組成
物系全体の自由エネルギーが最低となる形態(モルフォ
ロジー)を取るように高分子材料の表面あるいは界面に
配向し、一方、親和高分子鎖部分は高分子材料中に埋没
して共重合体を高分子材料に共重合体を固定する役割を
はたしているものと推測されている。従って、この様な
AB型ブロック共重合体は、高分子材料の表面あるいは界
面を改質し、かつ容易にブリードアウトしたり、このAB
型ブロック共重合体自体が容易に樹脂から剥離すること
がないのである。
従って、本発明の親水性基含有AB型ブロック共重合体
は、高分子材料の表面あるいは界面に親水性基の有する
諸性質を付与し、且つその性質に永続性を与えることが
できるのである。
(1) 高分子材料に親和性を有する高分子鎖 高分子材料に親和性を有する高分子鎖は、下記一般式
(イ)〜(ロ)で示される化合物群から選ばれた1種ま
たは2種以上の化合物(M1)からなるものであって、本
発明によるAB型ブロック共重合体のブロック(A)を形
成するものである。この高分子鎖が2種以上の化合物か
らなる場合、厳密にはブロック(A)は同一モノマーが
他をまじえずに結合したブロック部分とは言えないかも
しれないが、高分子材料に親和性を有する化合物(M1
からなるものであるという点で、単一ブロックとして取
り扱うものである。
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル残基 (式中、R5は水素原子またはメチル基を、R6は炭素数1
〜18、好ましくは1〜10、の炭化水素基、またはアルコ
キシ基もしくは水酸基で置換された炭素数1〜18、好ま
しくは1〜10、の炭化水素基を、示す。) (メタ)アクリル酸エステル残基(イ)を形成する単
量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニ
ル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ス
テアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2−メチキシエチル、(メタ)アクリル
酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキ
シエチル、(メタ)アクリル酸ペンタエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル等の(メタ)ア
クリル酸エステル類を挙げることができる。ここで、
「(メタ)アクリル酸」という表現が「アクリル酸」お
よび「メタクリル酸」のいずれをも包含するものである
ことはいうまでもない。
で表わされる芳香族ビニル残基 (式中、R7は水素原子またはメチル基を、 R8はフェニル基またはアルキルフェニル基を、示す。) 芳香族ビニル残基(ロ)を形成する単量体としては、ス
チレン、パラメチルスチレン、オルトメチルスチレン、
α−メチルスチレン、β−メチルスチレン等を挙げるこ
とができる。
(2) 親水性基含有高分子鎖 親水性基含有高分子鎖は、下記一般式(ハ)〜(リ)
で示される化合物群から選ばれた1種または2種以上の
化合物(M2)からなるものである。
この高分子鎖が2種類以上の化合物(M2)からなる場
合、厳密には同一モノマーが他をまじえずに結合したブ
ロック部分とは言えないかもしれないが、親水性基を含
有する特定化合物群(ハ)〜(リ)から選ばれたもので
あり、共に同様の作用を有するという点で単一ブロック
として取り扱うものである。
で表わされる親水性基含有ビニル残基 (式中、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原
子、メチル基または水酸基のいずれかを示す。Z1は、水
素原子、アルカリ金属(好ましくはナトリウム、カリウ
ム)、アンモニウムまたは有機アミンのいずれかを示
す。
一般式(ハ)の親水性基含有ビニル残基を形成する単量
体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(メ
タ)アクリル酸ナトリウム、クロトン酸カリウム、(メ
タ)アクリル酸アンモニウム、 等が挙げられる。前記した様に「(メタ)アクリル酸」
という表現は、「アクリル酸」および「メタクリル酸」
のいずれをも包含するものである。
で表わされる親水性基含有ビニル残基、またはその4級
アンモニウム塩(式中、R10およびR11は、それぞれ独立
して、水素原子、メチル基または水酸基のいずれかを示
す。R13およびR14は、それぞれ独立して、水素原子、炭
素数1〜10(好ましくは1〜6)のアルキル基、または
−R12SO3Z1(ここで、R12は炭素数1〜10(好ましくは
2〜8)のアルキレン基を示し、Z1は水素原子、アルカ
リ金属(好ましくはナトリウム、カリウム)アンモニウ
ムまたは有機アミンのいずれかを示す)で表わされるス
ルホン化アルキル基のいずれかを示す。) 一般式(ニ)の親水性基含有ビニル残基を形成する単
量体としては、(メタ)アクリルアミド、N,Nジメチル
(メタ)アクリルアミド、N,Nジメチル(メタ)アクリ
ルアミド、 等が挙げられる。
一般式(ニ)の4級アンモニウム塩を形成する単量体
としては、 等が挙げられる。
で表わされる親水性基含有ビニル残基、またはその4級
アンモニウム塩(式中、R10およびR11は、それぞれ独立
して、水素原子、メチル基または水酸基のいずれかを示
す。R12は炭素数1〜10、好ましくは2〜8)のアルキ
レン基を示す。R13およびR14は、それぞれ独立して、水
素原子、炭素数1〜10(好ましくは1〜6)のアルキル
基または−R12SO3Z1(ここで、R12は上記で定義されたR
12と同様に定義された意味を示し、Z1は水素原子、アル
カリ金属(好ましくはナトリウム、カリウム)アンモニ
ウムまたは有機アミンのいずれかを示す)で表わされる
スルホン化アルキル基のいずれかを示す。) 一般式(ホ)の親水性基含有ビニル残基を形成する単
量体としては、 等が挙げられる。
一般式(ホ)の4級アンモニウム塩を形成する単量体
としては、 CH2=CHCOOC2H4N+H3C1- 等が挙げられる。
で表わされる親水性基含有ビニル残基(式中、R10およ
びR11は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基また
は水酸基のいずれかを示す。R16は水酸基を1個以上有
する炭素数1〜18、好ましくは2〜10、のヒドロキシル
化アルキル基を示す。) 一般式(ヘ)の親和性基含有ビニル残基を形成する単
量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2
−ヒドロキシエチルメタクリレート、 が挙げられる。
で表わされる親水性基含有ビニル残基、 (式中、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原
子、メチル基または水酸基のいずれかを示す。R17はC
H2−CH2−OXまたは で表わされる(ポリ)アルキレングリコール基を示す
(ここで、aは1〜10の自然数を表し、Xは水素原子、
−PO3H2−PO3HZ1 2または−PO3Z1(ここで、Z1は水素原
子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アミンのい
ずれかを示す)のいずれかを示す。)) 一般式(ト)の親水基含有ビニル残基を形成する単量
体としては、 CH2=CHCOOCH2OCH2OH、 CH2=CHCOOCH2OCH2OPO3H2、 CH2=CHCOOCH2OCH2OCH2OPO3HNa、 CH2=CHCOOCH2OCH2OPO3K2、 等が挙げられる。
で表わされる親水性基含有ビニル残基、(式中、R10
水素原子、メチル基または水酸基のいずれかを示す。Z1
は水素原子、アルカリ金属(好ましくはナトリウム、カ
リウム)、アンモニウムまたは有機アミンのいずれかを
示す。) 一般式(チ)の親水性基含有ビニル残基を形成する単
量体としては、 等が挙げられる。
(リ) ビニルピロリドン残基を形成する単量体とし
ては、ビニルピロリドンが挙げられる。
これらの親水性基含有高分子鎖を形成する親水性基含
有ビニル単量体の具体例は前記した通りである。
本発明では、これらの一種又は二種以上を親水性基含
有ビニル単量体の主成分として用いることができるが、
ブロック共重合体の高分子材料表面あるいは界面へ及ぼ
す改質効果が発揮できる範囲内において、前記主成分以
外の親水性基含有ビニル単量体、ビニル単量体、架橋剤
等を加えることも可能である。
(3) ブロック共重合体の製造 ブロック共重合体は、上記のように、ブロック共重合
によつて形成される。
すなわち、親和高分子鎖を形成すべきモノマー(M1
と親水性基含有高分子鎖を形成すべきモノマー(M2)の
一方をラジカル重合開始剤の作用によって重合させて親
和高分子鎖または親水性基含有高分子鎖に対応しかつ末
端にフリーラジカルたまはその前駆体からなるフリーラ
ジカル源を有するポリマー鎖を形成させ(第一工程)、
次いでこのフリーラジカル源によって他方のモノマーを
重合させることによってブロック共重合体を形成させる
(第二工程)ことがふつうである。
この場合のラジカル重合開始剤は、連鎖移動および停
止の機能を併せ持つものが好ましい。そのようなラジカ
ル重合開始剤の一具体例は、生成ポリマー鎖末端にジチ
オカーバメート基を与えるようなものである。あるブロ
ックのポリマー鎖末端に形成されたジチオカーバメート
基は、光エネルギーを与えることによって分解してフリ
ーラジカルを発生して、そこからの他のブロックの生成
を開始させる。
本発明でブロック共重合体を合成する際に好ましく用
いられる開始剤は、上記のように、ラジカル重合過程に
おいて連鎖移動および停止の機能を併せ持ちイニファー
ターと呼ばれるものである(大津、高分子33、3、222
(1984))具体的には、イオウ系化合物であって、その
代表的なものは下記一般式(II)で示されるものであ
る。これら1種又は2種以上を用いてブロック共重合体
を合成することができる。
一般式 (式中、R18は炭素数1〜10、好ましくは1〜6、の炭
化水素基を、R19は水素原子または炭素数1〜10、好ま
しくは1〜6、の炭化水素基を、R20はベンジル基、 (式中、R21は炭素数1〜18、好ましくは2〜10、のア
ルキル基を示す。)または炭素数1〜18、好ましくは2
〜10、のアルキル基を、示す。) なお、これらの開始剤の電子状態を著しく変化させた
り、立体的障害を著しく増加させてラジカル開始能を低
下させるものでなければ、R20の水素原子をハロゲン、
水酸基、アルコキシ基またはカルボン酸基等で置換した
ものであっても差支えない。
これらの化合物は、対応するハロゲン化物とジチオカ
ルバミン塩酸とから収率よく合成することができる。例
えば、ベンジルプロマイドとN,N−ジエチルジチオカル
バミン酸ナトリウムよりN,N−ジエチルベンジルジチオ
カーバメートが合成できる。
これらの化合物は、それ自身が分解して開始剤として
機能するためには、すなわちブロック共重合の第一工程
及び第二工程を開始するためには、波長300〜500nmの紫
外線を用いることができる。
(4) 共重合 このようなブロック共重合体は、前記のように、以下
に示す二つの工程によって合成することができる。
(第一工程) 前述のイオウ系ラジカル重合開始剤を用
いて第一のビニル単量体を重合して高分子末端にジチオ
カーバメート基を有する高分子開始剤を合成する。
(第二工程) 第一工程で合成された高分子開始剤を用
いて第二のビニル単量体を重合させて、ブロック共重合
体とする。なお、ここで高分子末端のジチオカーバメー
トが分解してラジカル開始部位となる(詳細後記)。
このような二つの工程で第一の単量体として親水性基
含有ビニル単量体を用いて、第二の単量体として親和ビ
ニル単量体を用いることができる。また、逆に、第一の
単量体として親和ビニル単量体を用い、第二の単量体と
して親水性基含有ビニル単量体を用いることもできる。
第一および第二工程を通じて光重合を行なう場合は、
重合系はジチオカーバメート基保護の観点から150℃以
下の温度であることが好ましい。
これら二つの工程で光重合を採用する場合は、開始部
位に解離に充分な光エネルギーが伝達されるのであれ
ば、重合は均一系および不均一系どちらでもよい。しか
し、一般には、第一工程では塊状重合または溶液重合、
第二工程では溶液重合あるいは高分子開始剤を第二モノ
マーで溶解させた溶液の重合等が用いられる。
溶液重合用の溶剤としては、300〜500nmの紫外線に特
性吸収がなく、連鎖移動定数が小さく、かつ単量体及び
重合体をよく溶解することのできるものが好ましい。そ
の好ましい溶剤としては、たとえばベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、アセトン、メチルエチ
ルケトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、イソプ
ロピルアルコール、ブタノール、ヘキサン、ペンタン等
が挙げられる。
ブロック共重合体の各成分の分子量は、開始剤と単量
体のモル比により制御することができる。例えば、単量
体の分子量が100のメタクリル酸メチルに対してベンジ
ルN,N−ジエチルジチオカーバメートを1モル%添加し
た場合は、数平均分子量が約10,000であり、重量平均分
子量は約20,000である。m=100に相当する。同様に0.1
モル%添加の場合は、約100,000および約20,000とな
る。m=1,000に相当する。
第二工程においても同様に、高分子開始剤と第二単量
体とのモル比により分子量を制御することができる。
適当なブロック共重合体は、親水性基含有高分子鎖の
平均重合度が20〜5000、親和高分子鎖の平均重合度が20
〜5000、ブロック共重合体全体として平均重合度が40〜
10000、であるものである。親水性基含有高分子鎖の平
均重合度が20未満では高分子材料に対する表面あるいは
界面を充分覆うことができないので、改質効果が充分で
なく、一方、5000超過ではブロック共重合体全体の拡散
速度が小さいためかならずしも表面あるいは界面へ移行
しないため改質効果が充分でない。
又、親和高分子鎖の平均重合度が20未満では高分子材
料に対する親和性や固定化が充分でなく、分散不良を起
こしたり、ブリードアウトしやすい。一方、5000超過で
はブロック共重合体の拡散速度が小さいため、必ずしも
表面あるいは界面へ移行しないため改質効果が充分でな
い。
本発明ブロック共重合体の利用 対象高分子材料 本発明によるブロック共重合体を混練することによっ
てその表面特性を改質しようとする対象高分子材料は、
混練が可能であるために熱可塑性であるということを除
けば、任意のポリマーからなるものでありうる。
このような高分子材料の一群は、エチレン性不飽和モ
ノマーの単独重合または共重合によって形成されたもの
であり、また、このような高分子材料の他の一群は、重
縮合反応あるいは重付加反応によって形成されたもので
ある。
また、本発明で対象とする高分子材料のもう一つの群
は、天然高分子からなるものである。
本発明はこれらのような高分子材料の固有の表面特性
を改質しようとするものであって、対象高分子材料に表
面改質材ポリマーを混練することによって生成ブレンド
が対象ないし基材高分子材料固有の表面特性とは異なっ
た性質(たとえば吸水性)を持つものとなるという現象
を利用するものであるが、そのようなブレンドは高分子
材料という無定形のものである場合の外に繊維、フィル
ムないしシート、パイプ、板材、ブロックその他の成形
物であることができることはいうまでもない。
即ち、本発明による親水性基含有AB型共重合体は、合
成高分子、天然高分子からなる樹脂、繊維、発泡体、ゴ
ム等の材料、より具体的にはプラスチックは言うに及ば
ずこの様な高分子を使った塗料、繊維、膜、布、シーラ
ント、その他の材料のすべてを対象とすることができ
る。更に具体的には、本発明は、ポリアクリル樹脂、ポ
リ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチ
レン樹脂、ABS樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、AS樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩素化ポ
リエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニ
レンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノリル樹
脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、セルロ
ースアセテート樹脂、エチルセルロース樹脂、セルロー
スアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプ
ロピオネート樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ユリア
樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、石油樹
脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ア
セタール樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ク
ロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ポリブタ
ジェンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン−プロピレ
ン−ジェンゴム、ポリアクリル繊維、ナイロン繊維、ポ
リエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化
ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリエチレン繊
維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリビニ
ルアセタール繊維、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピ
レン、発泡ポリウレタン等の合成高分子材料およびロジ
ン、天然ゴム、綿、麻、羊毛、絹等の天然高分子材料を
対象とすることができる。
表面特性改質 高分子材料の表面特性改質は、本発明による親水性基
含有AB型共重合体を、前記の高分子材料に配合すること
によって行なうことができる。例えば、本発明によるブ
ロック共重合体を溶剤に溶解あるいは分散させて高分子
材料の表面に塗布する方法、高分子材料の成型加工時に
混合したり、あるいは高分子材料とブロック共重合体と
を溶剤に溶解してフィルム化する方法、ブロック共重合
体をあらかじめシート状にして加温下で高分子材料表面
に圧着するか、接着剤で接着する方法、ブロック共重合
体を粉体のまま高分子材料表面上に溶着させる方法など
を挙げることができる。これらのうちでは、このブロッ
ク共重合体と対象高分子材料とが溶解ないし溶融する状
態を経て合体する態様が好ましい。
この場合のブロック共重合体の配合量は、高分子材料
100重量部に対して0.01重量部から30重量部、好ましく
は0.1〜10重量部、の範囲が好ましい。配合量が0.01重
量部より少ないと本発明の効果が少なくなり、30重量部
を越えると高分子材料本来の特性が損われる恐れがあ
る。
〔実験例〕
以下に、ブロック共重合体合成例(実施例)及び試験
例をあげて本発明をさらに詳述する。なお、これらの例
に記載した「部」及び「%」は、重量部及び重量%をそ
れぞれ意味する。
実施例1 (第1工程) 50℃の恒温槽内において、出力400Wの紫外線ランプ
(東芝社製H−400L)から10cmの距離の位置にパイレッ
クスガラス製の直径3cm、容積200mlの容器を置き、この
容器内にスチレン100g、ベンジル−N,N−ジエチルジチ
オカーバメート2.39gを仕込み、容器内のガスを窒素置
換したのち密閉し、10時間上記の紫外線ランプで紫外線
照射し、光重合を行なわせた。
得られた重合物は淡黄色透明な固体であり、残存単量
体量は1.6%であった。また、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフ(GPC)で測定したポリスチレン換算数平
均分子量(以下、「Mn」という。)は9800であり、ポリ
スチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)
は22,000であった。この重合物は高分子開始剤である。
(第2工程) 第1工程で得られた重合物の粉砕粉末40g、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル40g、及びメチルエチルケト
ン160gをよく混合し、溶解させたものを、前記の第1工
程において用いたのと同様の装置の容器内に仕込み、窒
素置換したのち、10時間紫外線照射して光重合を行なわ
せた。
得られた半透明白色の重合体分散液からヘキサンを用
いて再沈、乾燥させてブロック共重合体を得た。このブ
ロック共重合体は、GPCによるMn=22,000、Mw=45,000
であり、残存単量体量は合計で1%未満であった。又溶
剤抽出によるブロック化率は86%であった。このブロッ
ク共重合体は、本発明のブロック共重合体(I)に相当
し、そのmの値が94、nの値が94のものであった。
実施例2 (第1工程) 実施例1におけると同一の装置を用い、その容器にメ
タクリル酸メチル100g、ベンジルN,N−ジエチルジチオ
カーバメート2.39gを仕込み、実施例1におけると同様
にして光重合させた。得られた重合物は淡黄色透明な固
体であり、残存単量体は1.0%であった。そのGPCによる
Mn=9,900であり、Mw=23,000であった。
(第2工程) 第1工程で得られた重合物の粉砕粉末40g、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル40g、及びメチルエチルケト
ン160gを用い、そのほかは実施例1と同様にして光重合
を行なわせ、同様の後処理をしてブロック共重合体を得
た。その共重合体のGPCによるMn=23,000、Mw=48,000
であり、残存単量体の合計は1%未満であった。又、溶
剤抽出によるブロック化率は82%であった。
したがって、このブロック共重合体、本発明のブロッ
ク共重合体(I)に相当し、そのmの値が101、nの値
が99のものであった。
実施例3 実施例2の第1工程で得られた重合物の粉砕粉末40
g、アクリル酸40g及びメチルエチルケトン160gを使用
し、そのほかは実施例1の第2工程と同様にして光重合
を行なわせ、同様にして後処理してブロック共重合体を
得た。この共重合体のGPCによるMn=22,000、Mw=46,00
0であり、残存単量体の合計は1%未満であった。又、
溶剤抽出によるブロック化率は84%であった。
したがって、このブロック共重合体は、本発明のブロ
ック共重合体(I)に相当し、そのmの値が168、nの
値が99のものであった。
実施例4 実施例2の第1工程で得られた重合物の粉砕粉末40
g、スチレンスルホン酸ナトリウム40g、メタノール80g
及びアセトン80gを用い、そのほかは実施例1の第2工
程と同様にして光重合させ、同様にして後処理してブロ
ック共重合体を得た。この共重合体はGPCによるMn=21,
000、Mw=46,000であり、残存単量体の合計は1%未満
であった。
又、溶剤抽出によるブロック化率は78%であった。
したがって、このブロック共重合体は、本発明のブロ
ック共重合体(I)に相当し、そのmの値が54、nの値
が99のものであった。
実施例5 (第1工程) メタクリル酸メチル100g、2−N,N−ジエチルジチオ
カルバミルイソ酪酸エチル2.47gを用い、そのほかは実
施例1の第1工程と同様にして光重合させ、同様にして
後処理して、Mn=9,800、Mw=22,000の重合物を得た。
(第2工程) 第1工程で得られた重合物の粉砕粉末40g、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル40g、及びメチルエチルケト
ン160gを使用し、そのほかは合成例1の第2工程と同様
にして光重合させ、同様にして後処理をしてブロック共
重合体を得た。この共重合体GPCによるMn=23,000、Mw
=49,000であり、残存単量体の合計は1%未満であっ
た。又、溶剤抽出によるブロック化率は80%であった。
したがって、このブロック共重合体は、本発明のブロ
ック共重合体(I)に相当し、そのmの値が101、nの
値が98のものであった。
試験例1 ポリスチン樹脂粉末100部と、上記実施例1で得られ
たブロック共重合体5部を押出成形機で練込んでシート
とし、さらにプレス成形して厚さ0.5mmのシートを得
た。
このシートは着色がなく、表面ににじみ出るブリード
が認められず、加工性が良好であった。
このシートと、空試験としてポリスチレン樹脂だけを
同様にして成形したシートについて、それらの表面固有
抵抗値、及び純水の接触角を測定した(測定環境は、相
対湿度30%、気温20℃であった。)。その結果は第1表
に示すとおりであった。
第1表から明らかなように、ブロック共重合体を配合
したものは、配合しないものと較べて表面固有抵抗値、
及び接触角が非常に低く、表面改質効果が明瞭である。
また、この表面を25℃の水道水で2リットル/分の流速
で1時間水洗したのちに同様の特性を測定した結果は水
洗前と全く変わらなかった。
試験例2 メタクリル酸樹脂粉末100部と上記の実施例2で得ら
れたブロック共重合体5部を試験例1におけると同様に
して成形したところ、得られたシートは着色がなく、ブ
リードもなく、加工性も良好であった。さらに、そのシ
ートについて試験例1と同様の特性値を測定した結果は
第2表に示すとおりであった。
第2表から明らかにように、ブロック共重合体の添加
により表面特性が著しく改質された。また、そのシート
を試験例1におけると同様の条件で水洗した結果は、水
洗前と全く変わらなかった。
試験例3 ポリ塩化ビニル樹脂粉末100部、実施例2で得られた
ブロック共重合体5部を用い、そのほかは試験例1と同
様にしてシートとした。得られたシートは着色がなく、
ブリードもなく加工性も良好であり、試験例1と同様に
して測定した特性値は第3表に示すとおりであった。
第3表から明らかなように、ブロック共重合体の添加
により表面特性が著しく改質された。また、そのシート
を試験例1におけると同様の条件で水洗した結果は、水
洗前と全く変わらなかった。
試験例4 ポリフッ化ビニリデン樹脂粉末100部、実施例2で得
られたブロック共重合体5部を用い、そのほかは試験例
1に準じてシートを製造した。得られたシートは着色が
なく、ブリードもなく、加工性も良好であった。
また、そのシートについて試験例1と同様の特性を測
定した結果は第4表に示すとおりであった。
第4表の結果から明らかなように、ブロック共重合体
の添加により表面特性が著しく改質された。また、その
シートを試験例1におけると同様の条件で水洗した結果
は、水洗前と全く変わらなかった。
試験例5 ポリイソプレンゴム100部と実施例2で得られたブロ
ック共重合体を用い、そのほかは試験例1と同様にして
厚さ1mmのシートを作成した。このシートは着色がな
く、ブリードもなく、加工性も良好であった。また、こ
のシート及びブロック共重合体無添加シートについて表
面固有抵抗値及び摩擦後の表面固有抵抗値を測定した結
果は、第5表に示すとおりであった。
第5表から明らかなように、ブロック共重合体を配合
したものは固有抵抗値が低く、しかも摩擦した後もその
値に殆んど変化がなかった。これに対し、ブロック共重
合体無添加物のシートは固有抵抗値が高く、しかも摩擦
後の同値はさらに高くなった。また、試験例1と同様の
条件で水洗した結果は、水洗前と全く変わらなかった。
試験例6 ポリメタクリル酸メチル樹脂100部と実施例2で得ら
れたブロック共重合体5部を酢酸エチルで溶解し、溶剤
成膜法によりフィルムを作成した。得られたフィルムは
着色がなく、ブリードもなかった。
そのフィルム、及びブロック共重合体を全く用いずに
同様にして成膜したフィルムについて表面固有抵抗値、
及び摩擦後の表面固有抵抗値を測定した。その結果は第
6表に示すとおりであった。
ブロック共重合体を配合したものは、表面摩擦をして
も表面抵抗値が殆んど変わらず、非常に良好な帯電防止
効果を示した。また、その表面を試験例1におけると同
一の条件で水洗した後も、水洗前と全く変わらなかっ
た。
試験例7 実施例2で得られたブロック共重合体30部を酢酸エチ
ル100部に分散させた分散液を、乾燥後の厚さが8μに
なるように、バーコーティングによりアクリル樹脂板に
塗布し、室温で2時間、さらに60℃に加熱して2時間乾
燥させた。得られた塗布アクリル樹脂板の表面固有抵抗
値、及び純水に対する接触角を測定した(測定環境は試
験例1と同様)。その結果は第7表に示すとおりであっ
た。
第7表の結果から明らかなように、ブロック共重合体
を塗布したものは、塗布しないものに較べて表面固有抵
抗値及び接触角が著しく低い。また、その表面を試験例
1におけると同一の条件で水洗した後に同様の特性を測
定した結果は、水洗前と全く変わらなかった。
試験例8 塗料用のアクリル樹脂ワニス(固形分30%の酢酸エチ
ル溶液)100部に、実施例2で得られたブロック共重合
体2部を混合し、予めエタノール洗浄をしたポリメタク
リル酸メチル樹脂のシートに、フォードカップNo.4で19
〜20秒の粘度でスプレー塗布し、60℃で1時間乾燥し
た。得られた塗布シート、及びブロック共重合体を添加
しないアクリル樹脂ワニスを同様に塗布、乾燥したシー
トについて試験例1におけると同様の試験をした結果は
第8表に示すとおりであった。
第8表の結果から明らかなように、ブロック共重合体
添加ワニスを塗布したものは、無添加ワニスを塗布した
ものに較べて、表面固有抵抗値及び接触角がともに非常
に低い。また、その塗布表面を試験例1におけると同じ
条件で水洗したのち、同様の特性を測定した結果は、水
洗前と全く変わらなかった。
試験例9 ポリメタクリル酸メチル樹脂100部及び実施例4で得
られたブロック共重合体5部を使用し、そのほかは試験
例1におけると同様にしてシートを製造し、同様にして
表面特性を試験した。その結果は第9表に示すとおりで
あった。また、得られたシートは着色がなく、ブリード
もなく、加工性も良好であった。
第9表から明らかなように、ブロック共重合体を添加
したものは、無添加物に較べて表面固有抵抗値及び接触
角とも非常に低い。また、表面を試験例1の場合と同一
の条件で水洗した結果は、水洗前と全く変わらなかっ
た。
試験例10 メタクリル酸メチル樹脂粉末100部及び実施例4で得
られたブロック共重合体を使用し、そのほかは試験例1
におけると同様にしてシートを製造し、同様にして試験
をした。その結果は第10表に示すとおりであった。ま
た、得られたシートは着色がなく、ブリードもなく、加
工性が良好であった。
第10表から明らかなように、ブロック共重合体を添加
したものは、無添加物と較べて表面固有抵抗値及び接触
角ともに非常に低い。また、試験例1におけると同様に
して表面を水洗した結果は、水洗前と全く変わらなかっ
た。
試験例11 ポリメタクリル酸メチル樹脂100部及び実施例5で得
られたブロック共重合体を使用し、そのほかは試験例1
におけると同様にしてシートを製造した。得られたシー
トは、着色がなく、ブリードもなく、加工性も良好であ
った。また、試験例1におけると同様にして表面特性を
測定した結果は、第11表に示すとおりであった。
第11表から明らかなように、ブロック共重合体を添加
したものは、無添加物と較べて表面固有抵抗値及び接触
角とも非常に低い。また、シート表面を試験例1におけ
ると同一の条件で水洗した結果は、水洗前と全く変わら
なかった。
試験例12 塗料用のアクリル樹脂ワニス(固形分30%の酢酸エチ
ル溶液)100部に、実施例3で得られたブロック共重合
体2部を混合したものを、予めエタノールで洗浄した第
12表に示す種々の基板に、フォードカップNo.4で19〜20
秒の粘度でスプレー塗布し、60℃で1時間乾燥した。ま
た、ブロック共重合体を添加しない同じワニスを、同様
にして種々の基板に塗布し、同様にして乾燥した。
得られた各塗布板の塗膜(アクリル樹脂塗膜)の基板
との密着性を試験した。その結果は第12表に示すとおり
であった。
第12表から明らかなように、アクリル樹脂にブロック
共重合体を添加したものは、無添加物と較べて各種の基
板に対する密着性が著しく向上し、表面(界面)改質効
果が得られた。また、ワニスで被覆された各基板を25℃
の水道水に24時間浸漬した後に同様の密着性試験をした
ところ、ブロック共重合体を添加したものも、添加しな
いものも、浸漬前と全く変わらなかった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(イ)〜(ロ)で示される化合
    物群から選ばれた1種または2種以上の化合物(M1)か
    らなる高分子鎖と、下記一般式(ハ)〜(リ)で示され
    る化合物群から選ばれた1種または2種以上の化合物
    (M2)からなる親水性基含有高分子鎖とを有する、下記
    一般式(I)で表わされる親水性基含有AB型ブロック共
    重合体。 (式(I)中、MはM2 M1 または M1 M2 であり、R1は炭素数1〜10の炭化水素
    基を、R2は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基
    を、R3はベンジル基、 (R4は炭素数1〜18のアルキル基を示す)または炭素数
    1〜18のアルキル基を、示す。mおよびnは、何れも20
    〜5000の自然数である。) M1は、下記の(イ)〜(ロ)のいずれかを示す。 で表わされる(メタ)アクリル酸エステル残基(式中、
    R5は水素原子またはメチル基を、R6は炭素数1〜18の炭
    化水素基、またはアルコキシ基もしくは水酸基で置換さ
    れた炭素数1〜18の炭化水素基を、示す。)、 で表わされる芳香族ビニル残基 (式中、R7は水素原子またはメチル基を、R8はフェニル
    基またはアルキルフェニル基を、示す) M2は、下記のいずれかを示す。 で表わされる親水性基含有ビニル残基、 で表わされる親水性基含有ビニル残基、またはその4級
    アンモニウム塩 で表わされる親水性基含有ビニル残基、またはその4級
    アンモニウム塩、 で表わされる親水性基含有ビニル残基、 で表わされる親水性基含有ビニル残基、 で表わされる親水性基含有ビニル残基、 (リ) ビニルピロリドン残基 (上記一般式(ハ)〜(チ)各式中で、 R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、メチル
    基または水酸基のいずれかを示す。 R12は、炭素数1〜10のアルキレン基を示す。 Z1は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有
    機アミンのいずれかを示す。 R13およびR14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数
    1〜10のアルキル基または−R12SO3Z1(ここで、R12
    よびZ1は、上記で定義されたR12およびZ1と同様に定義
    された意味を示す。)で表わされるスルホン化アルキル
    基のいずれかを示す。 R16は、水酸基を1個以上有する炭素数1〜18のヒドロ
    キシル化アルキル基を示す。 R17は、CH2-CH2−OXまたは で表わされる(ポリ)アルキレングリコール基を示す。
    (ここで、aは1〜10の自然数を表し、Xは水素原子、
    −PO3H2、−PO3HZ1または−PO3▲Z1 2▼(ここで、Z
    1は、上記で定義されたZ1と同様に定義された意味を示
    す。)))
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