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JP2577061B2 - 複合酸化物超電導体薄膜の製造方法 - Google Patents

複合酸化物超電導体薄膜の製造方法

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JP2577061B2
JP2577061B2 JP63210053A JP21005388A JP2577061B2 JP 2577061 B2 JP2577061 B2 JP 2577061B2 JP 63210053 A JP63210053 A JP 63210053A JP 21005388 A JP21005388 A JP 21005388A JP 2577061 B2 JP2577061 B2 JP 2577061B2
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thin film
layer
oxygen
substrate
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直治 藤森
修示 矢津
哲司 上代
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、複合酸化物超電導体薄膜の製造方法に関す
る。より詳細には、本発明は分子線エピタキシー(MB
E)法あるいは原子層エピタキシ(ALE)法あるいは分子
層エピタキシ(MLE)法等と呼ばれる手法を応用した、
より品質の高い複合酸化物系超電導薄膜を作製し得る新
規な方法に関する。
従来の技術 電子の相転移であるといわれる超電導現象は、特定の
条件下で導体の電気抵抗が零の状態となり完全な反磁性
を示す現象である。即ち、超電導下では、超電導体に電
流を流しても電力損失が全く無く、密度の高い電流が永
久に流れ続ける。従って、例えば送電技術に超電導を応
用すれば、現在送電に伴って生じているといわれる約7
%の不可避な送電損失を大幅に減少できる。また、高磁
場発生用電磁石としての応用は、発電技術の分野ではMH
D発電、電動機等と共に、起動に発電量以上の電力を消
費するともいわれる核融合反応の実現を有利に促進する
技術として期待されている。また磁気浮上列車、電磁気
推進船舶等の動力として、更に、計測・医療の分野でも
NMR、π中間子治療、高エネルギー物理実験装置などへ
の利用が記載されている。
更に、上述のような大型の装置における利用とは別
に、超電導材料は各種の電子素子への応用も提案されて
いる。代表的なものとしては、超電導材料どうしを弱く
接合した場合に印加電流によって量子効果が巨視的に現
れるジョセフソン効果を利用した素子が挙げられる。ト
ンネル接合型ジョセフソン素子は、超電導材料のエネル
ギーギャップが小さいことから、極めて高速な低電力消
費のスイッチング素子として期待されている。また、電
磁波や磁場に対するジョセフソン効果が正確な量子現象
として現れることから、ジョセフソン素子を磁場、マイ
クロ波、放射線等の超高感度センサとして利用すること
も期待されている。更に、電子回路の集積度が高くなる
につれて単位面積当たりの消費電力が冷却能力の限界に
達するものと見られている。そこで超高速計算機には超
電導素子の開発が要望されている。
従来、様々な努力にもかかわらず、超電導材料の超電
導臨界温度Tcは長期間に亘ってNb3Geの23Kを越えること
ができなかった。これに対して、1986年に、ベドノーツ
およびミューラー等によって、複合酸化物系長電導材料
が高いTcを有することが発見されるに至って、高温超電
導の可能性が大きく開けてきた(Bednorz,Mller,“Z.
Phys.B64,1986,189")。
これまでにも複合酸化物系のセラミック材料が超電導
特性を示すということは自体は知られていた。例えば、
米国特許第3,932,315号には、Ba−Pb−Bi系の複合酸化
物が超電導特性を示すということが記載されており、ま
た、特開昭60−173,885号公報にはBa−Bi系の複合酸化
物が超電導特性を示すということが記載されている。し
かし、これまでに知られていた複合酸化物超電導材料の
Tcは、10K以下と全般的に極めて低く、超電導現象を得
るには高価且つ稀少な液体ヘリウム(沸点4.2K)の使用
が不可避であった。
ベドノーツおよびミューラー等によって発見された酸
化物超電導体は、(La,Ba)2CuO4なる組成を有し、K2Ni
F4型の結晶構造を有するものと見られている。この複合
酸化物超電導材料は、従来から知られていたペロブスカ
イト型酸化物系超電導材料と結晶構造が類似している
が、Tcは従来の超電導材料に比べて飛躍的に高い約30K
という値てあった。
また、1987年2月に、チュー等によって90K級の臨界
温度を示すBa−Y−Cu系の複合酸化物が発見された。こ
のYBCOと通称される複合酸化物はY1Ba2Cu3O7-Xで表され
る組成を有すると考えられている。
更に、続いて発見されたBi−Sr−Ca−Cu系およびTl−
Ba−Ca−Cu系複合酸化物は、Tcが100K以上であるばかり
でなく化学的にも安定しており、YBCO等のような超電導
特性の経済的劣化が少ないことから実用に向いているの
ではないかと期待されている。
これらの新しい複合酸化物系超電導材料の発見によっ
て高温超電導体実現の機運が昨今俄に高まっている。
発明が解決しようとする課題 上述のような高臨界温度を示す複合酸化物系超電導材
料は、当初結晶体の形で発見された。続いて、その複合
酸化物あるいはこの複合酸化物を形成する元素を含む化
合物をターゲットとして、スパッタリング法あるいはイ
オンビーム法等により複合酸化物薄膜を作製する技術が
種々提案されている。
しかしながら、従来作製された複合酸化物薄膜では、
一般に同じ組成の焼結体に例えば臨界温度等の点で及ば
ないことが知られており、複合酸化物系超電導材料本来
の高い超電導特性を発揮する薄膜の作製方法が模索され
ている。
更に、従来の方法で作製された複合酸化物薄膜は膜質
が均一ではなく、薄膜を利用した各種デバイスを作製で
きるような安定した薄膜を得ることは極めて困難であっ
た。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解
決し、全体が複合酸化物系超電導材料本来の高い超電導
特性を安定して発揮するような薄膜を作製する新規な方
法を提供することにある。
課題を解決するための手段 即ち、層状の結晶構造を有する複合酸化物系超電導材
料の薄膜を基板上に成膜する方法であって、該複合酸化
物系超電導材料を構成する各元素の原子ビームまたは分
子ビームと酸素イオンビームとを同時または交互に照射
して、該複合酸化物系超電導材料の結晶構造にそくした
単分子層を該基板上に順次積層させ、該基板上に所望の
厚さの単結晶薄膜または多結晶薄膜を堆積させることを
特徴とする複合酸化物超電導体薄膜の製造方法が提供さ
れる。
作用 本発明の複合酸化物超電導体薄膜の製造方法は、MBE
法を含む方法によって極めて精密な制御の下に品質の高
い超電導薄膜を形成することにその主要な特徴がある。
即ち、従来の超電導薄膜の作製方法が、ただ単に組成
比と成膜条件によってのみ薄膜形成時の制御を行ってい
たのに対して、本発明に係る方法では、具体的には後述
するように、結晶構造自体に深く関わるプロセスで結晶
の形成自体を制御し、効率良く超電導物質を形成する。
また、複合酸化物の単分子膜積層体薄膜を作製すること
もできる。
所謂MBE(分子線エピタキシ)法あるいは原子層エピ
タキシ(ALE)法等の方法は、GaAs、AlAs等の薄膜形成
法として半導体デバイスの分野での応用が知られている
が、そもそも蒸着法の1種であり、高真空中で遅い成膜
速度で成膜すると共に成膜中の膜の表面状態を検査しな
から成膜することができるので極めて精密な膜質の管理
が可能である。また、極めて遅い成膜速度(1000Å/時
〜10μm/時)で実施できるので、厚さ数Åという単原子
層あるいは単分子層レベルでの成膜制御が可能である。
本発明に係る薄膜の製造方法の第1の主要な特徴は、
上述のような分子線あるいは原子線を利用した成膜法の
特徴を活かして、有効な超電導特性を発揮する複合酸化
物系超電導材料の特徴的な結晶構造を効率よく形成する
点にある。
本発明に係る方法を有利に適用できる複合酸化物系超
電導材料として、一般式; (α1-xβ)γyOz 〔但し、αは、周期律表III a族に含まれる元素を表
し、 βは、周期律表II a族に含まれる元素を表し、 γは、周期律表I b、II b、III b、VIII aおよびIV a族
に含まれる元素から選択された少なくとも1種類の元素
を表わし、xは、(α1-xβ)に対するβの原子比で
あり、0.1≦x≦0.9を満たす数であり、yおよびzは、
(α1-xβ)を1とした場合の元素γおよび酸素
(O)の原子比で、それぞれ0.3≦y≦3.0、1≦z≦5
を満たす数である〕 で表わされる組成を有する複合酸化物が挙げられる。こ
の複合酸化物系超電導材料は、結晶中に酸素欠陥を含む
と共に、言わば層状の結晶構造を有している。この結晶
構造は、1層毎に組成および配列が異なっており、これ
に対して従来の薄膜製造法では組成制御のみで結晶構造
の形成を制御していたので、超電導に有効な結晶構造が
薄膜全体に形成されていたわけではなく、これが超電導
特性劣化の原因となっていたと考えられる。
これに対して本発明に係る方法では、上記元素αを含
む原子ビームまたは分子ビームと、上記元素βを含む原
子ビームまたは分子ビームと、上記元素γを含む原子ビ
ームまたは分子ビームとを、超電導材料の結晶構造に対
応した所定の順番で順次照射することによってを形成さ
れる。従って、本発明に係る方法では、有効な超電導特
性を発揮する特定の結晶構造が極めて高い確率で形成さ
れる。尚、上記の操作において、各単分子層の積層操作
は複数回反復することが好ましい。
本発明に係る薄膜の製造方法の第2の特徴は、薄膜に
対する酸素の供給方法にある。
即ち、従来実施されていたMBE(分子線エピタキシ)
法あるいは原子層エピタキシ(ALE)等の方法では蒸発
源の蒸発によって基板に元素を供給している。しかしな
がら、このようて方法で、複合酸化物の形成に不可欠な
酸素を単独で供給することができない。そこで、本発明
者等は、分子線あるいは原子線を使用した薄膜形成にお
いて酸素を薄膜に供給する方法として、以下のような種
々の方法を創案した。。
各層毎に、化学量論的に適切に調整された酸化物蒸発
源を使用する。
各元素の蒸発源と酸素イオンビームとを併用して成膜
する。
酸素の供給手段として有機物を使用する。
酸素の供給手段として酸化物を使用する。
各層毎に酸素雰囲気に酸化処理する。
酸化物蒸発源を使用する。
この方法では、成膜時の蒸発源として酸化物を使用す
ることにより、目的とする結晶構造の各層を直接酸化物
として形成する。従って、酸素の供給量は、蒸発源の組
成によって制御される。尚、各元素と酸素との比率は、
結晶の各層における各元素と酸素との比率に対応して決
定される。
また、本発明の一態様によれば、適切な酸化物蒸発源
が得られない場合には、各元素単体の蒸発源と酸化物の
蒸発源とを併用して酸素の供給量を調整することもでき
る。
酸素イオンビームを併用する。
この方法では、各元素単体の蒸発源によりMBE法によ
り成膜すると同時に、酸素イオンビームを使用して成膜
中の薄膜に酸素を供給する。また、本発明の一態様に従
えば、互いに前後する各元素単体の分子ビームの照射の
間に、酸素のみのビーム照射を行う方法でもよい。
酸素供給手段として有機物を使用する。
各元素の分子ビームの照射によって形成された層上に
酸素を含む有機物を吸着させ、次いでエキシマレーザの
照射下で上記有機物中の酸素のみが上記の層上に残るよ
うに上記有機物の分子鎖を切断する操作を行い、成膜中
の薄膜の各層間に、いわば酸素のみの単分子膜を形成す
ることができる。ここで、各層毎にエキシマレーザの波
長、強度を調整することが有利である。尚、このような
方法で使用じきる有機物としては、アルデヒド、アルコ
ール、カルボン酸、高級脂肪酸、ケトン、エステル等の
酸素を含む脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族族
炭化水素の含酸素誘導体を用いることができる。
O2供給手段として酸化物を使用する。
酸化アンチモン(SbO)のように、基板に吸着された
後に酸素を残して分解することが知られている他の酸化
物を使用することができる。
酸素雰囲気の導入 酸素は吸着係数が小さいので、チャンバー内の酸素雰
囲気を制御することによて酸素比率を調整することもで
きる。
また、酸素ガスの存在下に成膜操作を行うことも考え
得る。更に、各層の成膜後毎に酸化雰囲気で熱処理する
方法も考えられる。この場合の処理温度としては、200
〜1000℃の範囲無いであることが好ましい。また、各元
素および/またはその酸化物あるいはその励起物の吸着
係数を考慮して上記各層に酸素分圧を調整することが有
利である。
このように、本発明に係る薄膜の製造方法では、結晶
構造に即して結晶の各層を形成すると共に、組成制御も
各層毎に適切に行われるので、薄膜中に有効な超電導物
質が効率よく形成される。
尚、本発明に係る方法において使用できる基板として
は、公知の基板材料をいずれも適用できるが、スパッタ
リング法等の他の方法によって作製した目的とする複合
酸化物と同じ構成元素を有する薄膜を表面に備えたもの
を使用することが有利である。ここで、基板の下地層と
しては、それ自体基板として使用することのできる酸化
マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、シリコン等の
単結晶基板、あるいは、アルミナ等のセラミック基板の
他場合によっては金属基板を用いることができる。
ここで、基板あるいは下地基板としてMgO単結晶また
はSrTiO3単結晶基板を使用する場合は、{001}面また
は{110}面を成膜面とした基板を使用することが好ま
しい。また、基板温度は、200〜1000℃の範囲が好まし
い。
また、本発明が適用できる複合酸化物系超電導材料と
しては、前掲の一般式において、元素αがY、La、Gd、
Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuよりなる群の中から選択さ
れた少なくとも一つの元素であり、元素βがBaまたはSr
であり、元素γがCuであるものに特に有利なものとして
挙げることができる。
更に、上記複合酸化物の他に、下記の一般式; D4(E1-q,CaqmCunOp+r 〔ここで、Dは、BiまたはTlであり、 Eは、DがBiのときはSrであり、 DがTlのときはBaであり、 mは、6≦m≦10を満たす数てあり、 nは、4≦n≦8を満たす数てあり、 pは、p=(6+2m+2n)/2を満たす数であり、 qは、0<q<1を満たす数であり、 rは、−2≦r≦2を満たす数をそれぞれ表す〕 で表される組成を有する複合酸化物系超電導材料も層状
の結晶構造を有することが知られており、本発明の方法
を有利に適用できるものとして例示することができる。
以下に図面を参照して本発明の係る方法をより具体的
に詳述するが、以下の開示は本発明の一実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。
実施例 第1図は本発明に係る薄膜の製造方法を有利に適用で
きる層状の結晶構造を有する複合酸化物系超電導材料の
結晶構造の一例を示している。
即ち、この複合酸化物系超電導材料は酸素と結合した
III a族元素、II a族元素およびI b、II b、III b、VII
I aあるいはIV a族元素が酸素を介してまたは介さずに
層状に積層されている。
本発明ではこの結晶構造をMBE手法を用いて、あるい
はそれとALM手法とを組み合わせて作る。
すなわち、基板上に、上記各元素α、βおよびγの原
子ビームを酸素雰囲気下で、またはそれら元素と酸素を
含む分子ビームを 第一層目が元素βとOよりなる単分子層〔I〕、 第二層目が元素γとOよりなる単分子層〔II〕、 第三層目が元素βとOよりなる単分子層〔III〕、 第四層目が元素γとOよりなる単分子層〔IV〕、 第五層目が元素αとOよりなる単分子層〔V〕、 第六層目が元素γとOよりなる単分子層〔IV〕、 第七層目が元素βとOよりなる単分子層〔III〕、 第八層目が元素γとOよりなる単分子層〔II〕、 第九層目が元素βとOよりなる単分子層〔I〕、 となるようにな順番で順番照射し、更にこれらの照射手
段を繰り返すことによって所望の複合酸化物系超電導薄
膜が得られる。尚、各ビームの供給量は、後述するよう
に蒸発セルの付勢エネルギーおよびシャッターの開閉に
より制御することができる。
第2図(a)は、本発明で用いられる装置の概念図で
あり、MBE装置自体は周知であるので、この図には検出
系の質量分析計やオージェ分析装置等の制御装置は省略
して示している。
即ち、この装置は、3つの蒸発セル2、2′、2″と
基板ホルダ4とを備えた真空チャンバ1により主に構成
されており、真空チャンバ1は排気孔6を介して真空ポ
ンプに接続され、真空チャンバ内を排気して高真空にす
ることができる。また、各セル2、2′、2″には、各
セル毎に制御することのできるシャッタ3が設けられて
いる。更に、第2図(a)には、後述する第2実施例に
おいて使用するエキシマレーザ装置7と、真空チャンバ
1に対する吸気孔5とを備えている。
以上のように構成された装置を使用して本発明に係る
方法を実施する場合は、まず、基板ホルダ4に基板10を
取り付け、また、蒸発セル2、2′、2″には目的とす
る複合酸化物を構成する元素またはその酸化物を収容す
る。続いて、真空チャンバ1内を排気して高真空とし、
蒸発セル2、2′、2″を加熱する。各蒸発セル2、
2′、2″からの分子ビームまたは原子ビームは、それ
ぞれのシャッタ3を開閉することによって制御できるの
で、前述のように、目的とする複合酸化物の結晶構造に
即して、順次分子ビームまたは原子ビームの照射を行
う。
次に、本発明の第2実施例として、第2図(a)に示
したエキシマレーザ装置7を使用する方法の実施につい
て説明する。
本実施例では、目的とする複合酸化物薄膜の形成の最
中に、更に酸素分子層を形成する工程を付加している。
この酸素の供給は、含酸素有機物のガスを供給孔5から
チャンバ1内に供給してこれを基板に吸着させた後また
は供給と同時に、エキシマレーザ装置7からレーザビー
ムを照射することによって、含酸素有機物を分解または
解離させて基板上に酸素のみが残留するようにする。
尚、第2図(a)中では、供給孔5から有機物ガスを供
給しているが、実際には基板10の表面に直接ガスを指向
させるような供給装置を用いることが好ましい。また、
エキシマレーザの波長は用いる有機物の種類によって異
なり、更にその強度は基板に付着する酸素の量によって
決まる。
第2図(b)は、同様に酸素を積極的に基板上に供給
しながら成膜を行う場合に使用することができる装置の
他の構成例である。
即ち、第2図(b)に示す装置は、やはり排気孔6と
3つの蒸発セル2、2′、2″を備えた真空チャンバ1
に対して、更に1対のイオンビームガン11を設けたもの
である。このイオンビームガン11は、専ら酸素イオンビ
ームの供給に使用される。従って、第1図に示した複合
酸化物系超電導材料の薄膜の作製にこの装置を使用した
場合、ビーム照射の手順は例えば以下のようになる。
(1)第1層〔I〕を形成する。
(1−a)元素βの原子ビームを照射する。
(1−b)酸素イオンビームを照射する。
(2)第2層〔II〕を形成する。
(2−a)元素γの原子ビームを照射する。
(2−b)酸素イオンビームを照射する。
(3)第3層〔III〕を形成する。
(3−a)元素βの原子ビームを照射する。
(3−b)酸素イオンビームを照射する。
(4)第4層〔IV〕を形成する。
(4−a)元素γの原子ビームを照射する。
(5−b)酸素イオンビームを照射する。
(5)第5層〔V〕を形成する。
(5−a)元素αの原子ビームを照射する。
(5−b)酸素イオンビームを照射する。
(6)第6層〔IV〕を形成する。
(6−a)元素γの原子ビームを照射する。
(6−b)酸素イオンビームを照射する。
(7)第7層〔III〕を形成する。
(7−a)元素βの原子ビームを照射する。
(7−b)酸素イオンビームを照射する。
(8)第8層〔II〕を形成する。
(8−a)元素γの原子ビームを照射する。
(8−b)酸素イオンビームを照射する。
(9)第9層〔I〕を形成する。
(9−a)元素βの原子ビームを照射する。
(9−b)酸素イオンビームを照射する。
以上のような操作を反復することによって所望の複合
酸化物系超電導薄膜が得られる。
第3図(a)および(b)は、本発明に係る薄膜の製
造方法を有利に適用できる他の複合酸化物の結晶構造を
模式的に示す図である。
第3図(a)は、それぞれ上方に示した式によって示
される組成を有する複合酸化物の結晶構造を、特にc軸
に沿って積層された層構造として捉えた図である。ま
た、第3図(b)は、それぞれ第3図(a)に示した複
合酸化物系超電導材料の結晶構造を立体的に表した図で
ある。
これらの図面に示すように、Tl2CaSr2Cu2Oy(Bi2CaSr
2Cu2Oy)あるいはTl2Ca2Sr2Cu2Oy(Bi2Ca2Sr2Cu2Oy
は、いずれも顕著な層構造を有しており、本発明に係る
薄膜の製造方法が極めて有利に適用できる。
即ち、これらの複合酸化物系超電導薄膜を本発明の方
法に従って製造する場合の、原子ビーム照射の手順は以
下のようになる。
第1層目はTl またはBiとOよりなる単分子層、 第2層目はBaとOよりなる単分子層、 第3層目はCuとOよりなる単分子層、 第4層目はCaとOよりなる単分子層、 第5層目はCuとOよりなる単分子層、 第6層目はCaとOよりなる単分子層、 第7層目はCuとOよりなる単分子層、 第8層目はBaとOよりなる単分子層、 第9層目はTl またはBiとOよりなる単分子層、 第10層目はTl またはBiとOよりなる単分子層、 第11層目はBaとOよりなる単分子層、 第12層目はCuとOよりなる単分子層、 第13層目はCaとOよりなる単分子層、 第14層目はCuとOよりなる単分子層、 第15層目はCaとOよりなる単分子層、 第16層目はCuとOよりなる単分子層、 第17層目はBaとOよりなる単分子層、 (第18層目はTl またはBiとOよりなる単分子層) 尚、第18層は次層に形成される結晶単位の第1層に相
当する。また、第1〜9層と第10〜18層とは同じ結晶構
造を有して互いに水平に変移しており、両者を以って1
単位の結晶構造を構成する。従って、上記のような照射
手順を繰り返すことによって所望の複合酸化物系超電導
薄膜を得ることができる。
発明の効果 以上詳述の如く、本発明に係る薄膜の製造方法によれ
ば、目的とする複合酸化物系超電導材料の結晶構造に即
して結晶の各層を形成すると共に、組成制御も各層毎に
適切に行うので、薄膜中に有効な超電導物質が効率よく
形成される。
また、本発明の方法は、単なる薄膜の作製に限らず、
異なる物質の層を更に連続して積層することによって、
各種のデバイスの作製にもそのまま拡大利用することが
できる。
〔主な参照番号〕
1……真空チャンバ、 2、2′、2″……蒸発セル、 3……シャッタ、4……基板ホルダ、 5……ガス供給孔、6……排気孔、 7……エキシマレーザ、10……基板、 11……イオンビームガン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 13/00 565 H01B 13/00 565Z H01L 39/24 ZAA H01L 39/24 ZAAB // H01B 12/06 ZAA H01B 12/06 ZAA (72)発明者 上代 哲司 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 昭60−112692(JP,A) Japanese Journal of Applied Physics Vol.26 No.5 P.L709− L710

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】層状の結晶構造を有する複合酸化物系超電
    導材料の薄膜を基板上に成膜する方法であって、 該複合酸化物系超電導材料を構成する各元素の原子ビー
    ムまたは分子ビームと酸素イオンビームとを同時または
    交互に照射して、該複合酸化物系超電導材料の結晶構造
    にそくした単分子層を該基板上に順次積層させ、 該基板上に所望の厚さの単結晶薄膜または多結晶薄膜を
    堆積させることを特徴とする複合酸化物超電導体薄膜の
    製造方法。
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