JP2576883B2 - S−632−b▲下1▼およびs−632−b▲下2▼物質 - Google Patents
S−632−b▲下1▼およびs−632−b▲下2▼物質Info
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- JP2576883B2 JP2576883B2 JP63118873A JP11887388A JP2576883B2 JP 2576883 B2 JP2576883 B2 JP 2576883B2 JP 63118873 A JP63118873 A JP 63118873A JP 11887388 A JP11887388 A JP 11887388A JP 2576883 B2 JP2576883 B2 JP 2576883B2
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、抗生物質等として有用な新規な物質に関す
る。
る。
従来の技術及びその課題 本発明のS−632−B1およびS−632−B2物質は、文献
未記載の新規化合物である。
未記載の新規化合物である。
本発明の目的は、抗生物質等として有用な上記新規物
質を提供することにある。
質を提供することにある。
課題を解決するための手段 上記目的は、下記性質を有するS−632−B1およびS
−632−B2物質により達成される。
−632−B2物質により達成される。
〔S−632−B1物質〕 (1) 性状:淡黄色油状物質。
(2) 分子量:323(電子衝撃(EI)マススペクトル法
による)。
による)。
(3) 元素分析値(%):C 62.76、 H 7.71、N 4.12。
(4) 比施光度:▲〔α〕25 D▼=+68°(C=1.0、
クロロホルム中)。
クロロホルム中)。
(5) 紫外吸収スペクトル:エタノール中、λmax(n
m)(ε):206(14500)、282(450)。チャートを第1
図に示す。
m)(ε):206(14500)、282(450)。チャートを第1
図に示す。
(6) 赤外吸収スペクトル:液膜法(クロロホルム
中)、νmax(cm-1):3490、2915、1710、1697、1370、
1245。チャートを第3図に示す。
中)、νmax(cm-1):3490、2915、1710、1697、1370、
1245。チャートを第3図に示す。
(7) 核磁気共鳴スペクトル:重クロロホルム中、10
0MHzで測定したチャートを第5図に示す。
0MHzで測定したチャートを第5図に示す。
(8) 溶解性:メタノール、エタノール、クロロホル
ム、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドに良
く溶け、ヘキサン、エーテルにわずかに溶け、水に不溶
である。
ム、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドに良
く溶け、ヘキサン、エーテルにわずかに溶け、水に不溶
である。
(9) 呈色反応:ヨード蒸気、硫酸、エーリッヒ、リ
ンモリブデン酸反応に陽性。ニンヒドリン、トレンス反
応に陰性。
ンモリブデン酸反応に陽性。ニンヒドリン、トレンス反
応に陰性。
(10) 塩基性、酸性、中性の区別:弱酸性。
〔S−632−B2物質〕 (1) 性状:淡黄色油状物質。
(2) 分子量:323(電子衝撃(EI)マススペクトル法
による)。
による)。
(3) 元素分析値(%):C 62.59、 H 7.91、N 4.23。
(4) 比施光度:▲〔α〕25 D▼=+73°(C=1.0、
クロロホルム中)。
クロロホルム中)。
(5) 紫外吸収スペクトル:エタノール中、λmax(n
m)(ε):207(14800)、282(610)。チャートを第2
図に示す。
m)(ε):207(14800)、282(610)。チャートを第2
図に示す。
(6) 赤外吸収スペクトル:液膜法(クロロホルム
中)、νmax(cm-1):3350、2920、1725、1705、1250。
チャートを第4図に示す。
中)、νmax(cm-1):3350、2920、1725、1705、1250。
チャートを第4図に示す。
(7) 核磁気共鳴スペクトル:重クロロホルム中、10
0MHzで測定したチャートを第6図に示す。
0MHzで測定したチャートを第6図に示す。
(8) 溶解性:メタノール、エタノール、クロロホル
ム、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドに良
く溶け、ヘキサン、エーテルにわずかに溶け、水に不溶
である。
ム、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドに良
く溶け、ヘキサン、エーテルにわずかに溶け、水に不溶
である。
(9) 呈色反応:ヨード蒸気、硫酸、エーリッヒ、リ
ンモリブデン酸反応に陽性。ニンヒドリン、トレンス反
応に陰性。
ンモリブデン酸反応に陽性。ニンヒドリン、トレンス反
応に陰性。
(10) 塩基性、酸性、中性の区別:弱酸性。
本発明のS−632−B1およびS−632−B2物質は、サッ
カロマイセス(Saccharomyces)属の酵母類等の真菌類
等に抗菌活性を有する。
カロマイセス(Saccharomyces)属の酵母類等の真菌類
等に抗菌活性を有する。
また、S−632−B1およびS−632−B2物質は、ヒト鼻
咽腔癌由来の株化培養細胞(KB細胞)に対する殺菌胞作
用をも有する。
咽腔癌由来の株化培養細胞(KB細胞)に対する殺菌胞作
用をも有する。
本発明のS−632−B1およびS−632−B2物質は、微生
物の培養により得ることができる。即ち、本物質はS−
632−B1およびS−632−B2物質の生産能力を有する菌株
(以下S−632物質生産菌と称する。)を適当な条件下
で培養することによって培養液から採取することができ
る。
物の培養により得ることができる。即ち、本物質はS−
632−B1およびS−632−B2物質の生産能力を有する菌株
(以下S−632物質生産菌と称する。)を適当な条件下
で培養することによって培養液から採取することができ
る。
本物質の製造に用い得るS−632物質生産菌には、ス
トレプトミセス(Streptomyces)属に属する菌株が包含
される。その一例として、ストレプトミセス・スピーシ
ーズS−632(Streptomyces species S−632)株を例示
できる。この菌株は、本発明者らが中華人民共和国山東
省の土壌から新たに分離したストレプトミセス属に属す
る菌株であり、通商産業省工業技術院微生物工業技術研
究所に、微生物の表示「Strain S−632」、受託番号
「微工研条寄第1849号(FERM BP-1849)」として寄託さ
れている。
トレプトミセス(Streptomyces)属に属する菌株が包含
される。その一例として、ストレプトミセス・スピーシ
ーズS−632(Streptomyces species S−632)株を例示
できる。この菌株は、本発明者らが中華人民共和国山東
省の土壌から新たに分離したストレプトミセス属に属す
る菌株であり、通商産業省工業技術院微生物工業技術研
究所に、微生物の表示「Strain S−632」、受託番号
「微工研条寄第1849号(FERM BP-1849)」として寄託さ
れている。
その菌学的性質は、次の通りである。
(a) 形態 胞子形成菌糸の分枝法:単純分枝。
胞子形成の形態:螺旋状(spirals)(胞子の形は円
筒状)。
筒状)。
胞子の酢:10〜50胞子又はそれ以上。
胞子の表面構造:著しいしわ状(rugose)、輪郭はこ
ぶ状(warty)、一部平滑、(smooth)。
ぶ状(warty)、一部平滑、(smooth)。
胞子の大きさ:0.8〜1.0×1.1〜1.2μm(ただし個々
の胞子形が不明瞭のものが多い)。
の胞子形が不明瞭のものが多い)。
鞭毛胞子の有無:無。
胞子のうの有無:無。
胞子柄の着生位置:気菌糸。
菌核形成性の有無:無。
(b) 各種培地における生育状態 各種培地における生育状態は第1表に示す通りであ
る。観察法はISPの方法便覧に従い、分離色名は「色の
標準」(日本色彩研究所)で示した。なお、詳細な色は
「カラー・ハーモニイ・マニュアル」の色コードで
( )内につけ加えた。
る。観察法はISPの方法便覧に従い、分離色名は「色の
標準」(日本色彩研究所)で示した。なお、詳細な色は
「カラー・ハーモニイ・マニュアル」の色コードで
( )内につけ加えた。
(c) 生理的性質 生育温度範囲:27〜30℃の温度範囲で良好に生育す
る。
る。
ゼラチンの液化(グルコース・ペプトン・ゼラチン培
地、27℃):陽性(弱い)。
地、27℃):陽性(弱い)。
同(単純ゼラチン培地、20℃):陰性。
ミルクの凝固(37℃):陽性。
ミルクのペプチト化(37℃):陽性。
メラミン様色素の生成: チロシン寒天(ISP−7)培地上、ペプトン・酵母エ
キス・鉄寒天(ISP−6)培地上およびトリプトン・酵
母エキス(ISP−1)液体培地中で陰性。
キス・鉄寒天(ISP−6)培地上およびトリプトン・酵
母エキス(ISP−1)液体培地中で陰性。
硫化水素の産生(ペプトン・酵母エキス・鉄寒天(IS
P−6)に0.5%酵母エキスを添加した培地):陽性。
P−6)に0.5%酵母エキスを添加した培地):陽性。
デンプンの加水分解(スターチ・無機塩寒天、ISP−
4培地):陽性。
4培地):陽性。
硫酸塩の還元(1%硝酸カリウム含有ブイヨン、ISP
−8培地):陽性。
−8培地):陽性。
セルロースの分解:陽性。
(d) 炭素源の利用性(プリードハム・ゴトリーブ寒
天、ISP−9培地) L−アラビノース、D−キシロース、D−フラクトー
ス、シュークロース、L−ラムノース、ラフィノース、
ノイシトール、D−マンニトール、D−ガラクトース、
溶性デンプン、デキストリン、グリセロールおよびマル
トースを利用してよく発育し、D−グルコース、サリシ
ンを利用する。炭素源無添加の培地上でもわずかな生育
が認められる。
天、ISP−9培地) L−アラビノース、D−キシロース、D−フラクトー
ス、シュークロース、L−ラムノース、ラフィノース、
ノイシトール、D−マンニトール、D−ガラクトース、
溶性デンプン、デキストリン、グリセロールおよびマル
トースを利用してよく発育し、D−グルコース、サリシ
ンを利用する。炭素源無添加の培地上でもわずかな生育
が認められる。
(e) 菌体組成 ベッカー(Becker)らの方法〔アプライド・ミクロバ
イオロジー(Appl.Microbiol.12、421〜423(1964)〕
により分析した結果、LL型のジアミノピメリン酸が検出
された。
イオロジー(Appl.Microbiol.12、421〜423(1964)〕
により分析した結果、LL型のジアミノピメリン酸が検出
された。
以上の菌学的性質、特に本菌株が基本菌糸より多数の
胞子の連鎖を有する気菌糸を形成し、細胞壁組成のアミ
ノ酸がLL−ジアミノピメリン酸であり、鞭毛胞子や胞子
のうを形成しない性質を有することから、ストレプトミ
セス属に属する菌株であることが明らかである。
胞子の連鎖を有する気菌糸を形成し、細胞壁組成のアミ
ノ酸がLL−ジアミノピメリン酸であり、鞭毛胞子や胞子
のうを形成しない性質を有することから、ストレプトミ
セス属に属する菌株であることが明らかである。
よって本菌株を、ストレプトミセス・スピーシーズS
−632(Streptomyces species S−632)と称すること
にした。
−632(Streptomyces species S−632)と称すること
にした。
本発明のS−632−B1およびS−632−B2物質は、例え
ば上記S−632株又はその変異株等のストレプトミセス
属に属する各種のS−632物質生産菌を適当な培地で培
養することにより製造できる。
ば上記S−632株又はその変異株等のストレプトミセス
属に属する各種のS−632物質生産菌を適当な培地で培
養することにより製造できる。
上記微生物の培養は、原則的に一般微生物の培養に準
じるものであり、通常液体培養による振盪培養法、通気
撹拌培養法等の好気的条件下で行なわれるのが好適であ
る。
じるものであり、通常液体培養による振盪培養法、通気
撹拌培養法等の好気的条件下で行なわれるのが好適であ
る。
培養に用いられる培地として、S−632物質生産菌が
利用できる栄養源を含有する培地であればよく、各種の
合成培地、半合成培地、天然培地等をいずれも用いるこ
とができる。培地組成としては炭素源としてのグルコー
ス、シュークロース、フラクトース、グリセリン、デキ
ストリン、澱粉、糖蜜、コーン・スティープ・リカー、
有機酸等を単独又は組合せて用い得る。窒素源としては
ファーマメディア、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、
大豆粉、カゼイン、アミノ酸、尿素等の有機窒素源、硝
酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等の無機窒素源を単独
又は組合せて用い得る。また培地には、ナトリウム塩、
カリウム塩、マグネシウム塩、リン酸塩、その他の重金
属塩等も必要に応じて適宜添加使用され得る。
利用できる栄養源を含有する培地であればよく、各種の
合成培地、半合成培地、天然培地等をいずれも用いるこ
とができる。培地組成としては炭素源としてのグルコー
ス、シュークロース、フラクトース、グリセリン、デキ
ストリン、澱粉、糖蜜、コーン・スティープ・リカー、
有機酸等を単独又は組合せて用い得る。窒素源としては
ファーマメディア、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、
大豆粉、カゼイン、アミノ酸、尿素等の有機窒素源、硝
酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等の無機窒素源を単独
又は組合せて用い得る。また培地には、ナトリウム塩、
カリウム塩、マグネシウム塩、リン酸塩、その他の重金
属塩等も必要に応じて適宜添加使用され得る。
尚、培養中発泡の著しい時は、例えば大豆油、亜麻仁
油等の植物油、オクタデカノール、テトラデカノール、
ヘプタデカノール等の高級アルコール類、各種シリコン
化合物等の消泡剤を適宜培地中に添加することもでき
る。
油等の植物油、オクタデカノール、テトラデカノール、
ヘプタデカノール等の高級アルコール類、各種シリコン
化合物等の消泡剤を適宜培地中に添加することもでき
る。
培地のpHは、やや酸性ないし中性付近とするのが好ま
しい。培養温度は、S−632物質生産菌が良好に生育す
る温度、通常約20〜37℃、特に好ましくは約27〜30℃付
近に保つのがよい。培養時間は、液体振盪培養及び通気
撹拌培養のいずれの場合も、一般に3〜8日間程度とさ
れる。上記培養によって目的とするS−632B1およびS
−632−B2物質が生成蓄積される。勿論上述した各種の
培養条件は、使用微生物の種類や特性、外部条件等に応
じて適宜変更でき、またそれぞれに応じて上記範囲から
最適条件を選択、調節できる。
しい。培養温度は、S−632物質生産菌が良好に生育す
る温度、通常約20〜37℃、特に好ましくは約27〜30℃付
近に保つのがよい。培養時間は、液体振盪培養及び通気
撹拌培養のいずれの場合も、一般に3〜8日間程度とさ
れる。上記培養によって目的とするS−632B1およびS
−632−B2物質が生成蓄積される。勿論上述した各種の
培養条件は、使用微生物の種類や特性、外部条件等に応
じて適宜変更でき、またそれぞれに応じて上記範囲から
最適条件を選択、調節できる。
この培養により生産された抗生物質等として有用なS
−632−B1およびS−632−B2物質を単離するには発酵生
鮮物を採取する一般的な方法に準じて行なうことができ
る。例えば溶媒抽出、液体交換、あるいは結晶化等の各
種手段を単独または任意の順序に組合せて用いることが
できる。
−632−B1およびS−632−B2物質を単離するには発酵生
鮮物を採取する一般的な方法に準じて行なうことができ
る。例えば溶媒抽出、液体交換、あるいは結晶化等の各
種手段を単独または任意の順序に組合せて用いることが
できる。
より詳しくは、上記培養により生産されるS−632−B
1およびS−632−B2物質は主として培養液体(液)中
に存在するので、常法に従いまず過、遠心分離等を行
なって、培養液と菌体固形分とを分離し、得られたS
−632−B1およびS−632−B2物質を含む培養液につい
ては、水と混合しない酢酸エチル、クロロホルム、ブタ
ノール等の溶媒を用いてS−632−B1およびS−632−B2
物質を有機溶媒層に転溶させ、得られた溶媒層に芒硝を
加え、脱水後、溶媒を減圧下で留去すればS−632−B1
およびS−632−B2物質を含む粗抽出物を得ることがで
きる。必要があれば、塩酸又は硫酸にてpHを調節した
り、又工業用食塩等を加えることにより抽出効率を高く
したり、エマルジョン防止などの方法を講じることがで
きる。
1およびS−632−B2物質は主として培養液体(液)中
に存在するので、常法に従いまず過、遠心分離等を行
なって、培養液と菌体固形分とを分離し、得られたS
−632−B1およびS−632−B2物質を含む培養液につい
ては、水と混合しない酢酸エチル、クロロホルム、ブタ
ノール等の溶媒を用いてS−632−B1およびS−632−B2
物質を有機溶媒層に転溶させ、得られた溶媒層に芒硝を
加え、脱水後、溶媒を減圧下で留去すればS−632−B1
およびS−632−B2物質を含む粗抽出物を得ることがで
きる。必要があれば、塩酸又は硫酸にてpHを調節した
り、又工業用食塩等を加えることにより抽出効率を高く
したり、エマルジョン防止などの方法を講じることがで
きる。
更に精製するためには通常の脂溶性低分子物質の精製
手段を適用できる。すなわちシリカゲル、アルミナ、マ
クロポーラス非イオン系吸着樹脂等の吸着剤による種々
の吸着クロマトグラフィー、およびODS−結合型シリカ
ゲル等を用いる逆相クロマトグラフィーが使用できる。
これらのうち、溶出溶媒にクロロホルム/アセトン、酢
酸エチル/ベンゼン等の混合溶媒系を用いるシリカゲル
クロマトグラフィーおよびアセトニトリル/水、メタノ
ール/水等の混合溶媒系を溶出に用いる逆相クロマトグ
ラフィーが最も有効に利用できる。
手段を適用できる。すなわちシリカゲル、アルミナ、マ
クロポーラス非イオン系吸着樹脂等の吸着剤による種々
の吸着クロマトグラフィー、およびODS−結合型シリカ
ゲル等を用いる逆相クロマトグラフィーが使用できる。
これらのうち、溶出溶媒にクロロホルム/アセトン、酢
酸エチル/ベンゼン等の混合溶媒系を用いるシリカゲル
クロマトグラフィーおよびアセトニトリル/水、メタノ
ール/水等の混合溶媒系を溶出に用いる逆相クロマトグ
ラフィーが最も有効に利用できる。
また、更に精製を必要とする場合には上記クロマトグ
ラフィーをくり返し行なうか又は溶出溶媒にメタノール
を用いたセファデックスLH-20(ファルマシア社製)に
よるゲル過クロマトグラフィーなどを適宜組みあわせ
て行なうことにより、高純度のS−632−B1およびS−6
32−B2物質を単離、精製することができる。
ラフィーをくり返し行なうか又は溶出溶媒にメタノール
を用いたセファデックスLH-20(ファルマシア社製)に
よるゲル過クロマトグラフィーなどを適宜組みあわせ
て行なうことにより、高純度のS−632−B1およびS−6
32−B2物質を単離、精製することができる。
実施例 次に実施例を挙げて更に詳細に説明する。
なお、精製工程中の有効物質の確認は、S−632−B1
およびS−632−B2物質により増殖抑制作用のみられる
微生物、例えばサッカロマイセス セレビジェ IFO O
304(Saccharomyces cerevisiae IFO 0304)を用いる
バイオアッセイ法と、薄層クロマトグラフィーまたはペ
ーパークロマトグラフィーで展開させた後、上記検定菌
によるバイオオートグラフィーで検出する方法やヨード
蒸気で発色して検出する方法を併用するのが良い。
およびS−632−B2物質により増殖抑制作用のみられる
微生物、例えばサッカロマイセス セレビジェ IFO O
304(Saccharomyces cerevisiae IFO 0304)を用いる
バイオアッセイ法と、薄層クロマトグラフィーまたはペ
ーパークロマトグラフィーで展開させた後、上記検定菌
によるバイオオートグラフィーで検出する方法やヨード
蒸気で発色して検出する方法を併用するのが良い。
又、ヒト鼻咽腔癌由来の株化培養細胞(KB細胞)に対
する殺細胞効果を調べることにより、有効画分を確認す
ることができる。
する殺細胞効果を調べることにより、有効画分を確認す
ることができる。
実施例1 S−632−B1およびS−632−B2物質の製造 グルコース0.1%、グリセロール4.0%、ポテトスター
チ0.2%、大豆粉2.0%、ベプトン0.5%、乾燥酵母0.5
%、塩化ナトリウム0.5%、炭酸カルシウム0.2%よりな
る培地(pH7.0)100mlを500mlの三角フランスコに分注
し、滅菌後、ストレプトミセス・スピーシーズS−632
株(微工研条寄第1849号)を一白金耳量接種し、27℃で
72時間回転振盪培養した(毎分220回転、振幅7cm)。次
に、グリセロール3.0%、グルコース0.2%、ポテトスタ
ーチ0.2%、ペプトン0.3%、乾燥酵母0.5%、塩化ナト
リウム0.3%よりなる培地(pH6.4)を500mlの三角フラ
スコに100mlずつ分注し、滅菌後、上記の種菌を5%の
割合で加え、27℃、144時間回転振盪培養した。培養終
了後、培養液(12.6l、pH8.2〜8.4)を採取し、遠心、
過後、希水酸化ナトリウム溶液でpH7.6に調整し、酢
酸エチル(2l)で3回撹拌抽出した。この酢酸エチル抽
出画分を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減
圧濃縮して黄褐色の油状物質(6g)を得た。この油状物
質をクロロホルム/アセトン(約20ml)に溶解し、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(メルク社製「キーゼ
ルゲル」、6.0×45cm)に吸着させ、クロロホルム/ア
セトン(4:1)で溶出した。溶出フラクションのサッカ
ロマイセス・セレビジエ IFO 0304を用いるバイオア
ッセイにより、 S−632−B1およびS−632−B2物質の
両方を含む活性画分を集め、溶媒を留去後乾固して、淡
黄色油状物質(429mg)を得た。
チ0.2%、大豆粉2.0%、ベプトン0.5%、乾燥酵母0.5
%、塩化ナトリウム0.5%、炭酸カルシウム0.2%よりな
る培地(pH7.0)100mlを500mlの三角フランスコに分注
し、滅菌後、ストレプトミセス・スピーシーズS−632
株(微工研条寄第1849号)を一白金耳量接種し、27℃で
72時間回転振盪培養した(毎分220回転、振幅7cm)。次
に、グリセロール3.0%、グルコース0.2%、ポテトスタ
ーチ0.2%、ペプトン0.3%、乾燥酵母0.5%、塩化ナト
リウム0.3%よりなる培地(pH6.4)を500mlの三角フラ
スコに100mlずつ分注し、滅菌後、上記の種菌を5%の
割合で加え、27℃、144時間回転振盪培養した。培養終
了後、培養液(12.6l、pH8.2〜8.4)を採取し、遠心、
過後、希水酸化ナトリウム溶液でpH7.6に調整し、酢
酸エチル(2l)で3回撹拌抽出した。この酢酸エチル抽
出画分を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減
圧濃縮して黄褐色の油状物質(6g)を得た。この油状物
質をクロロホルム/アセトン(約20ml)に溶解し、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(メルク社製「キーゼ
ルゲル」、6.0×45cm)に吸着させ、クロロホルム/ア
セトン(4:1)で溶出した。溶出フラクションのサッカ
ロマイセス・セレビジエ IFO 0304を用いるバイオア
ッセイにより、 S−632−B1およびS−632−B2物質の
両方を含む活性画分を集め、溶媒を留去後乾固して、淡
黄色油状物質(429mg)を得た。
得られた油状物質をアセトニトリル/水(20:80、約6
ml)に溶解し、不溶物を遠心分離にて除去した後、その
1/3容をODS結合型シリカゲルカラム(山善社製「MM151
5」、1.5×50cm)に吸着させ、アセトニトリル/水(2
0:80)で溶出した。溶出フラクションのバイオアッセイ
により、S−632−B1およびS−632−B2物質を含む活性
画分をそれぞれ集め、有機溶媒を減圧留去した後、水溶
液を凍結乾燥して、淡黄色油状物質、19mg(S−632−B
1)、6mg(S−632−B2)をそれぞれ得た。
ml)に溶解し、不溶物を遠心分離にて除去した後、その
1/3容をODS結合型シリカゲルカラム(山善社製「MM151
5」、1.5×50cm)に吸着させ、アセトニトリル/水(2
0:80)で溶出した。溶出フラクションのバイオアッセイ
により、S−632−B1およびS−632−B2物質を含む活性
画分をそれぞれ集め、有機溶媒を減圧留去した後、水溶
液を凍結乾燥して、淡黄色油状物質、19mg(S−632−B
1)、6mg(S−632−B2)をそれぞれ得た。
得られたS−632−B1およびS−632−B2物質の系列寒
天平板希釈法によるサブロー(Sabouraud)寒天培地で
の真菌類に対する最小発育阻止濃度(MIC)は第2表の
通りである。S−632−B1およびS−632−B2物質は、サ
ッカロマイセス(Saccharomyces)属の酵母類に活性を
示した。
天平板希釈法によるサブロー(Sabouraud)寒天培地で
の真菌類に対する最小発育阻止濃度(MIC)は第2表の
通りである。S−632−B1およびS−632−B2物質は、サ
ッカロマイセス(Saccharomyces)属の酵母類に活性を
示した。
また、S−632−B1およびS−632−B2物質のヒト鼻咽
腔癌由来の株化培養細胞(KB細胞)に対する50%増殖抑
制濃度(IC50)はそれぞれ0.03および3μg/mlであっ
た。
腔癌由来の株化培養細胞(KB細胞)に対する50%増殖抑
制濃度(IC50)はそれぞれ0.03および3μg/mlであっ
た。
第1図はS−632−B1物質の紫外吸収スペクトルを、第
2図はS−632−B2物質の紫外吸収スペクトルを夫々示
す。第3図はS−632−B1物質の赤外吸収スペクトル
を、第4図はS−632−B2物質の赤外吸収スペクトルを
夫々示す。第5図はS−632−B1物質の核磁気共鳴スペ
クトルを、第6図はS−632−B2物質の核磁気共鳴スペ
クトルを夫々示す。
2図はS−632−B2物質の紫外吸収スペクトルを夫々示
す。第3図はS−632−B1物質の赤外吸収スペクトル
を、第4図はS−632−B2物質の赤外吸収スペクトルを
夫々示す。第5図はS−632−B1物質の核磁気共鳴スペ
クトルを、第6図はS−632−B2物質の核磁気共鳴スペ
クトルを夫々示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 雄次 徳島県徳島市住吉4丁目2―8 (72)発明者 松本 宏 徳島県板野郡藍住町乙瀬字中田115―5
Claims (2)
- 【請求項1】次の性質を有するS−632−B1物質。 (1) 性状:淡黄色油状物質。 (2) 分子量:323(電子衝撃(EI)マススペクトル法
による)。 (3) 元素分析値(%):C 62.76、H 7.71、N
4.12。 (4) 比施光度:▲〔α〕25 D▼=+68°(C=1.0、
クロロホルム中)。 (5) 紫外吸収スペクトル:エタノール中、λmax(n
m)(ε):206(14500)、282(450)。チャートを第1
図に示す。 (6) 赤外吸収スペクトル:液膜法(クロロホルム
中)、νmax(cm-1):3490、2915、1710、1697、1370、
1245。チャートを第3図に示す。 (7) 核磁気共鳴スペクトル:重クロロホルム中、10
0MHzで測定したチャートを第5図に示す。 (8) 溶解性:メタノール、エタノール、クロロホル
ム、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドに良
く溶け、ヘキサン、エーテルにわずかに溶け、水に不溶
である。 (9) 呈色反応:ヨード蒸気、硫酸、エーリッヒ、リ
ンモリブデン酸反応に陽性。ニンヒドリン、トレンス反
応に陰性。 (10) 塩基性、酸性、中性の区別:弱酸性。 - 【請求項2】次の性質を有するS−632−B2物質。 (1) 性状:淡黄色油状物質。 (2) 分子量:323(電子衝撃(EI)マススペクトル法
による)。 (3) 元素分析値(%):C 62.59、H 7.91、N
4.23。 (4) 比施光度:▲〔α〕25 D▼=+73°(C=1.0、
クロロホルム中)。 (5) 紫外吸収スペクトル:エタノール中、λmax(n
m)(ε):207(14800)、280(610)。チャートを第2
図に示す。 (6) 赤外吸収スペクトル:液膜法(クロロホルム
中)、νmax(cm-1):3350、2920、1725、1705、1250。
チャートを第4図に示す。 (7) 核磁気共鳴スペクトル:重クロロホルム中、10
0MHzで測定したチャートを第6図に示す。 (8) 溶解性:メタノール、エタノール、クロロホル
ム、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドに良
く溶け、ヘキサン、エーテルにわずかに溶け、水に不溶
である。 (9) 呈色反応:ヨード蒸気、硫酸、エーリッヒ、リ
ンモリブデン酸反応に陽性。ニンヒドリン、トレンス反
応に陰性。 (10) 塩基性、酸性、中性の区別:弱酸性。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63118873A JP2576883B2 (ja) | 1988-05-16 | 1988-05-16 | S−632−b▲下1▼およびs−632−b▲下2▼物質 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63118873A JP2576883B2 (ja) | 1988-05-16 | 1988-05-16 | S−632−b▲下1▼およびs−632−b▲下2▼物質 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01289491A JPH01289491A (ja) | 1989-11-21 |
JP2576883B2 true JP2576883B2 (ja) | 1997-01-29 |
Family
ID=14747232
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63118873A Expired - Lifetime JP2576883B2 (ja) | 1988-05-16 | 1988-05-16 | S−632−b▲下1▼およびs−632−b▲下2▼物質 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2576883B2 (ja) |
-
1988
- 1988-05-16 JP JP63118873A patent/JP2576883B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01289491A (ja) | 1989-11-21 |
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