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JP2575340B2 - 積層樹脂シ−ト - Google Patents

積層樹脂シ−ト

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JP2575340B2
JP2575340B2 JP20713587A JP20713587A JP2575340B2 JP 2575340 B2 JP2575340 B2 JP 2575340B2 JP 20713587 A JP20713587 A JP 20713587A JP 20713587 A JP20713587 A JP 20713587A JP 2575340 B2 JP2575340 B2 JP 2575340B2
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小山  廣
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、カール防止性の優れた積層樹脂シートに係
り、特に印刷時に熱が加えられてもカールすることがな
く、トランプカード、アート紙、ポスター紙などの印刷
用紙やコンピュータフォーム用紙、静電プロッタ用紙、
熱転写記録用画像受容シートの基材シートなどの情報用
紙として用いることのできる積層樹脂シートに関する。
本発明の積層樹脂シートは、取り分けて熱転写記録用
画像受容シートの支持体、特にサーマルヘッドなどの電
気信号により文字や画像を受容体上に形成するビデオプ
リンタなどに用いるカラーコピー用の熱転写後のカール
の防止された支持体として有用なものである。
[従来技術] 従来、熱転写記録用画像受容シートにおいては、昇華
性又は気化性染料を含有する転写層を有する転写シート
と、受容シートとを重ね合せ、印刷の際にはこの転写シ
ートを加熱して、転写層に含まれる染料を昇華又は気化
させて受容シートに染着させ、受容シート上に染料画像
を形成させることによって熱転写が行なわれている。
具体的には、サーマルヘッド等の電気信号により制御
される熱源を用いた転写型感熱記録方式では、第2図に
ように色材層22と基体21を有する転写体2と、画像受容
層11と支持体12を有する受容シート1をドラム3と熱源
4の間に挟着させて、電気信号に応じて層22の色材を加
熱して画像受容層11上に転写することによりカラーコピ
ーを印刷している。
前記画像受容層11は、用いる色材の内容により使用さ
れる素材が異なり、顔料を含む熱溶融型色材の場合に
は、支持体12そのものを用いてもよいが、昇華性塩基性
染料型色材の場合には活性白土(活性クレー)層が用い
られ、また、昇華性分散染料型色材の場合にはポリエス
テル等の高分子材料コート層等が用いられている。
ところが、従来の受容シートでは支持体の厚みむら
や、あるいはその表面凹凸のために、画像受容層11自体
の表面には5〜15μmの凹凸があったり、また、1mm当
り10〜20μmのうねりがあった。このような凹凸及びう
ねりは、スーパーカレンダーによる表面処理によっても
多少の改善がなされるとしても、それには自ずと限界が
あった。このため、色材層22から転写される色材は、画
像受容層11の表面凹凸が3〜5μm以上又はうねりが1m
m当り10μm以上のものでは熱溶融色材は勿論、昇華性
色材でも画像信号に応じて正確に転写されず、画像のド
ット抜け、ドット欠け等の画像品質の乱れを生じ、中間
色調にザラツキ感を与えていた(特開昭59−214696
号)。
また、支持体12としては、紙や無機微細粉末を40〜50
重量%含有する熱可塑性樹脂の延伸フィルムよりなる合
成紙(特公昭46−40794号)、あるいは透明なポリエチ
レンテレフタレートフィルム又は透明フィルムの表面に
シリカや炭酸カルシウム等の無機化合物をバインダーと
共に塗布して白色度及び染着性を高めた塗工合成紙など
が用いられている。
しかし、熱転写された受容シートのアフターユース
(複写、鉛筆筆記性、保存性等)を考慮した場合、熱転
写記録用画像受容シートとしては、強度、寸法安定性、
印字ヘッドとの密着性の面から無機微細粉末を含有する
ポリオレフィン樹脂フィルムを延伸して得られる内部に
マイクロボイドを多数有する合成紙であることが好まし
い(特開昭60−245593号、同61−112693号、特願昭62−
25080号)。
[発明が解決しようとする問題点] このようなポリオレフィン樹脂系合成紙は、不透明性
及びソフト感を出し、印字ヘッドとの密着性、給排紙性
を良好なものとするために、素材のポリオレフィン樹脂
の融点よりも低い温度でフィルムを延伸して内部にマイ
クロボイドを形成させている。
しかし、前記ポリオレフィン樹脂は融点がポリエチレ
ンテレフタレートやポリアミド(240〜255℃)と比較し
て167℃以下と低く、かつ、印字ヘッドによる印刷のと
きの受容シートの表面の温度が、短時間ではあるが上記
融点よりも高い190〜200℃となることから、印字の際の
熱により合成紙が収縮して、感熱転写された受容シート
が印字、印刷された内側面にカールする問題が指摘され
ている(特開昭60−245593号、同61−283595号)。
一方、このような熱収縮率を小さくしてカールを防止
するために、延伸温度を基材樹脂の融点近傍にして積層
することもできるが、この場合には基材樹脂の不透明度
やソフト感などが低下してしまうといった問題を生ず
る。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであっ
て、二軸延伸フィルムを基材層とし、その表面及び裏面
を一軸延伸フィルムにて挟着した少なくとも表面層、基
材層及び裏面層の三層構造からなる積層樹脂シートにお
いて、前記表面層の肉厚及びフィラー含量を最も大とし
て、基材層、裏面層にゆくに従って順次肉厚及びフィラ
ー含量を小さくして形成したことを特徴とする積層樹脂
シートである。
本発明においては、画像受容層が設けられる側の積層
樹脂シートの一軸延伸フイルムの表面層の肉厚を、サー
マルヘッドより熱伝導を受けて収縮し易い二軸延伸フィ
ルムの基材層の肉厚よりも厚くすることにより、上記熱
伝導の基材層への影響を小さく(基材層の収縮を小さ
く)してカールを防止している。このことは市販の合成
紙ユポFPG(王子油化合成紙(株)商品名)の基材層が
全体の肉厚の約1/2を占め、表面層と裏面層の肉厚が各
々合成紙の約1/4を占めているものとは明らかに異なる
ものである。
また、カール防止のため、熱収縮率の小さいフイルム
にする必要があり、そのために積層樹脂シート製造時の
延伸温度、アニーリング処理温度は高めに設定される。
また、不透明度や表面ソフト感を表面層に付与するた
め、本発明においては表面層の無機微細粉末の含量を基
材層のそれよりも多くすることによりマイクロボイドの
発生を多くし、サーマルヘッドとの密着性を良好にし、
転写された画像が良好となるようにした。
裏面層の一軸延伸フィルムにおいては、無機微細粉末
の含量を基材層のそれよりも少なくすることにより、延
伸によって発生するマイクロボイドの数を減少させて、
サーマルヘッドが表面層に触れて表面層に発生する熱収
縮力に打ち勝つ剛性を表面層に付与すると共に、裏面層
の肉厚を表面層よりも薄くすることにより、裏面層が凹
状にカールする癖を付与し、これが積層樹脂シートの凸
状にカールする性質を打ち消して、積層樹脂シート全体
のカール性を改善している。
本発明の積層樹脂シートは基本的に表面層、基材層、
裏面層の少なくとも三層から構成されている。
(基材層) 基材層(B)としては、比表面積が10,000cm2/g以上
の無機微細粉末を10〜45重量%、好ましくは15〜35重量
%含有し、二軸延伸により生じるミクロボイドを多数含
有する二軸延伸されたポリオレフィン樹脂フィルムで、
その肉厚が積層樹脂シートの全厚の20〜40%を占める。
肉厚は45〜180μm、好ましくは50〜100μmのものが用
いられるが、このような基材層にはその両面に無機微細
粉末を0〜25重量%含有するポリオレフィン樹脂フィル
ムを表面接着層(E)と無機微細粉末を0〜25重量%含
有するポリオレフィン樹脂フィルムよりなる裏面接着層
(F)とを有していてもよい。これらの接着層(E,F)
の肉厚は、0.5〜10μmで十分である。
基材層の肉厚が全厚の20%以下になると、積層樹脂シ
ートの剛さ(腰)が低下し、熱転写受容紙用基材や各種
印刷用紙としての実用適性に欠け、また、逆に肉厚が48
%を越えると、表面層の肉厚が薄くなるためにサーマル
ヘッドなどの加熱による基材層の温度上昇が高くなって
収縮量が大きくなり、カール防止効果が低下する。
(表面層) インク受容層側の多層ポリオレフィン樹脂延伸フィル
ムの表面層(A)は、比表面積が10,000cm2/g以上の無
機微細粉末を30〜80重量%未満、好ましくは40〜65重量
%含む肉厚が50〜200μm、好ましくは60〜120μmの一
軸延伸のポリオレフィン樹脂フィルムである。
この表面層及び後述の裏面層の一軸延伸フイルムは、
それぞれ単層であっても多層構造の一軸延伸フィルムで
あってもよい。
表面層と裏面層の肉厚の和は、積層樹脂シートの全肉
厚の52〜80%である。
(裏面層) 前記インク受容層と反対側に積層される裏面層(C)
は、比表面積が10,000cm2/g以上の無機微細粉末を5〜3
0重量%未満、好ましくは10〜25重量%含む一軸延伸さ
れた肉厚が30〜100μm、好ましくは20〜80μmの樹脂
フィルムであり、該裏面層の一軸延伸樹脂フィルムは、
無機微細粉末を核とした微細な長尺状の空隙(ボイド)
を多数有し、その表面には微細な亀裂を多数有するもの
である。
(構成素材) 前記表面層、基材層及び裏面層を構成するポリオレフ
ィン樹脂としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)など
が利用でき、これらの中でもポリプロピレンが耐熱性、
耐溶剤性、コストの面で好ましい。
このポリオレフィン樹脂に、ポリスチレン、ポリアミ
ド、ポリエチレンテレフタレート、エチレン・酢酸ビニ
ル共重合体の部分加水分解物、エチレン・アクリル酸共
重合体およびその塩、塩化ビニリデン共重合体たとえば
塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体などを配合しても
よい。
無機質微細粉末としては炭酸カルシウム、焼成クレ
ー、ケイ藻土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、硫
酸アルミニウム、シリカなどが挙げられる。
(その他の層) 前記多層ポリオレフィン樹脂延伸フィルムは、他の目
的のために前記表面層、基材層、裏面層以外に他の層を
積層させることができる。例えば、前記表面層の外側及
び/又は裏面層の外側に比表面積が10,000cm2/g以上の
無機微細粉末を8〜60重量%、好ましくは40〜55重量%
含有する一軸延伸のポリオレフィン樹脂フィルムを積層
(D、G)し、筆記性を付与することができる。
(積層樹脂シートの製造) 本発明の積層樹脂シートの製造について具体的に記述
すると、まず、下記(A)、(B)及び(C)の組成物
を調製する。
(A)表面層形成用組成物 (a)ポリプロピレン 20〜70重量% (b)ポリスチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル
共重合体より選ばれた樹脂 0〜20重量% (c)無機微細粉末 30〜80重量% (B)基材層形成用組成物 (a)ポリプロピレン 35〜95重量% (b)高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密
度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体より選
ばれた樹脂 0〜20重量% (c)無機微細粉末 10〜45重量% (C)裏面層形成用組成物 (a)ポリプロピレン 70〜95重量% (b)ポリスチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル
共重合体 0〜20重量% (c)無機微細粉末 5〜30重量% 前記基材層形成用組成物(B)の一軸延伸フィルムシ
ートの片面に、表面層形成用の組成物(A)の樹脂シー
トを溶融積層し、反対面に無機微細粉末を10〜30重量%
含有する裏面層形成用樹脂組成物(C)の樹脂シートを
溶融積層し、この多層シートを一旦冷却した後、再度加
熱して(B)シートの一軸延伸方向と直交する方向に延
伸し、ついで熱処理することによって得られる。
この延伸によって組成物(B)のシートは二軸延伸さ
れ、その内部には多数の空隙(ミクロボイド)が形成さ
れる。一方、表面層(A)及び裏面層(C)は、前記延
伸によって一軸方向にのみ延伸されたフィルムとなり、
表面には微小な凹凸が生じ、表面平滑度(ベック指数)
が300〜3,000秒程度のものとなる。
表面層、裏面層と基材層の各層の厚さは、基材層の肉
厚を1として表面層の肉厚を1.1以上、好ましくは1.15
〜1.30、裏面層の肉厚を0.9以下、好ましくは0.70〜0.8
5とする。
前記表面層の肉厚を上記範囲より小さくするとカール
性が悪化し、また、前記裏面層の肉厚を上記範囲より大
きくするとカール性が悪化する。
具体的には、表面層と基材層及び裏面層の各層の厚さ
は、表面層と裏面層の合計の厚さが積層樹脂シートの全
肉厚の52〜80%の範囲内で、しかも基材層の厚さが20〜
40%であることが好ましい。なお、最外層(D,G)は表
面層(A)の肉厚の0〜50%であることが好ましい。最
外層(D,G)は積層樹脂シートの表面性質(例えば、表
面平滑性、光沢度、鉛筆筆記性及びスリップ性)を任意
にコントロールするのに重要であり、それぞれの目的に
応じて最適の配合、肉厚の設定が行なわれる。例えば、
次の組成がある。
a)ポリプロピレン 20〜70重量% b)ポリスチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエ
チレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共
重合体より選ばれた樹脂 0〜20重量% c)無機微細粉末 30〜80重量% 基材層の肉厚が全肉厚の40%を越えると、表面層から
の加熱により基材層の熱収縮が大きくなり、カールの改
良効果が少なくなる。逆に基材層の肉厚が全肉厚の20%
以下になると積層樹脂シートの剛さが低下し、熱転写受
容紙用基材や各種印刷用紙としての適性に欠ける。
このように本発明の積層樹脂シートでは基材層(B)
は一軸延伸フィルム層又は無軸延伸フィルム層に比較し
て引張力に対して強いが熱収縮し易くカール防止性に弱
い。そこで、表面層(A)の肉厚を厚くし、フィラー含
有率を高くして延伸することによって表面層(A)内の
ボイドの数量を多くすることにより不透明度を向上させ
ている。
また、裏面層(C)では剛性を付与するために、フィ
ラー量を少なくし、延伸によるボイド量を小さくしてい
る。
したがって表面層としては無機微細粉末を多量に含む
ことが重要であり、基材層、裏面層にゆくに従って順次
無機質微細粉末の含有量及び肉厚を小さく形成されてい
る。表面層の無機微細粉末の含量は、JIS P−8120で測
定した表面平滑度(ベック指数)が500〜3,000秒程度の
ものとなるように選定するのが好ましい。
表面層に混合される無機微細粉末は、できるだけ表面
層に大きな凸部を作らないものが選ばれ、325メッシュ
残が10ppm以下のものが好ましい。粒径は3μm以下の
ものが好ましい。
表面転写画像受容層の反対面の裏面層(C)は、転写
時のロールとのすべり性、転写後の裏面層への筆記性を
賦与するため、無機微細粉末を5〜30重量%、好ましく
は8〜20重量%含有させるのがよく、JIS P−8120で測
定した表面平滑度(ベック指数)が50〜2,000秒となる
ように選定するのが好ましい。
積層樹脂シート全体の肉厚は、一般に30〜500μm、
好ましくは100〜300μmである。また、積層樹脂シート
のヤング率が9,000〜26,000kg/cm2であることが好まし
い。
(効果) 積層樹脂シートは、表面層(A)の肉厚を基材層
(B)よりも厚くし、かつ、無機微細粉末を多く含有さ
せることにより、融点近くの軟化点温度域での延伸及び
アニーリング温度条件下においても、内部に適度のマイ
クロボイドを有して、熱転写受容紙用基材として用いた
場合のサーマルヘッドとの密着性も向上するので、得ら
れる転写画像は鮮明である。
一軸延伸フイルム層である表面層(A)は、二軸延伸
フイルム層である基材層と同じ延伸条件で延伸された
時、縦、横方向とも熱収縮率は小さくなる。したがっ
て、表面層(A)からの一方的な加熱によって生ずるカ
ールを防止するためには、熱収縮率の小さな表面層
(A)を極力厚くすることにより、熱収縮率の大きな基
材層(B)への伝熱(温度)を低くして、収縮を少なく
することでカール防止をしている。
裏面層(C)は表面層(A)のような熱を受けないの
で、基材層(B)より極力無機微細粉末の含有量を少な
くすることによりマイクロボイドの発生を少なくするこ
とができ、剛性を裏面に付与してカール防止をしてい
る。また、裏面層(C)の肉厚を表面層(A)よりも薄
くすることにより裏面方向への若干の(実用上問題のな
い程度)カール癖を持たせることができ、これによっ
て、表面方向へのカール防止を行なっている。
なお、裏面に鉛筆などによる筆記性や熱転写時のロー
ルとの滑り性を付与することなどが必要な場合には、裏
面層(C)の最外層に表面層組成(G)を該裏面層
(C)の厚みの20%を越えない範囲の厚みの層を設けて
も良い。ただし、裏面層(C)の厚みの20%を越えると
前記裏面層(C)による剛性の向上及び裏面カール癖効
果が少なくなる。
(熱転写画像受容シート) 前記本発明の積層樹脂シートの表面に、画像受容層形
成用塗工液を塗布し、乾燥して溶媒を飛散させることに
よって熱転写画像受容シートが得られる。
この画像受容シートの肉厚は80〜280μmで、JIS P−
8125で測定したテーバー剛度が3〜15g−cmのものがカ
ール防止、給排紙性の面で好ましい。
(画像受容層) 画像受容層を形成する樹脂としては、オリゴエステル
アクリレート樹脂、飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル
・酢酸ビニル共重合体、アクリルエステル・スチレン共
重合体、エポキシアクリレート樹脂等が利用され、これ
らはトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロ
ヘキサノン等に溶解し、塗工液として用いられる。
この塗工液は、耐光性を高めるために紫外線吸収剤お
よび/または光安定剤を含有することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば2−(2′−ヒドロキ
シ−3,3′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベ
ンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−t−
アミルフェニル)−2H−ベゾトリアゾール、2−(2′
−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒ
ドロキシ−3′,5′−t−ブチルフェニル)−ベンゾト
リアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられ
る。
光安定剤としては、例えばジステアリルペンタエリス
リトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、
ジノニルフェニルペンタエリスリトールジフォスフアイ
ト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタ
デシルフォスファイト)、トリス(ノニルフェニル)フ
ォスファイト、1−{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エ
チル}−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン等が挙げられる。
これら紫外線吸収剤及び光安定剤の添加量は受像層3
を構成する樹脂100重量部に対しそれぞれ0.05〜10重量
部、好ましくは0.1〜2重量部及び0.5〜3重量部、好ま
しくは0.1〜1重量部であることが好ましい。
また、熱転写シートとの離型性を向上せしめるために
画像受容層中に離型剤を含有せしめることができる。離
型剤としてはポリエチレンワックス、アミドワックス、
テフロンパウダー等の固形ワックス類;フッ素系、燐酸
エステル系の界面活性剤;シリコンオイル等が挙げられ
るがシリコンオイルが好ましい。
シリコンオイルとしては油状のものも用いることがで
きるが、硬化型のものが好ましい。
更に、画像受容層の白色度を向上して転写画像の鮮明
度を更に高めるとともに被熱転写シート表面に筆記性を
付与し、かつ、転写された画像の再転写を防止する目的
で画像受容層中に白色顔料を添加することができる。白
色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレ
ー等が用いられ、これらは2種以上混合して用いること
ができる。酸化チタンとしてはアナターゼ型酸化チタ
ン、ルチル型酸化チタンを用いることができ、アナター
ゼ型酸化チタンとしては、例えばKA−10、KA−20、KA−
15、KA−30、KA−35、KA−60、KA−80、KA−90(いずれ
もチタン工業(株)製)等が挙げられ、ルチル型酸化チ
タンとしてはKR−310、KR−380、KR−460、KR−480(い
ずれもチタン工業(株)製)等が挙げられる。白色顔料
の添加量は画像受容層を構成する樹脂100重量部に対し
て5〜50重量部が好ましい。
画像受容層11の肉厚は、0.2〜20μmが一般である。
[実施例] 以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
なお、実施例におけるカール高さ、熱収縮率、画像評
価及び不透明度の品質評価の方法は以下に示す測定方法
による。
カール高さ 測定しようとする積層樹脂シート及び画像受容シート
を日立カラービデオプリンターVD−50(商品名)で転写
したものをMD(マシンダイレクション)方向に200mm
幅、TD(トラバースダイレクション)方向に120mm幅の
長方形に裁断し、これを23℃の温度、湿度50%の条件下
で平坦面に24時間置いた際の浮き上り高さ(mm)を測定
する。
熱収縮率 積層樹脂シートを固定せずに平坦面に置き、120℃の
温度下で30分間放置した時の寸法(l)を測定し、元の
長さ(lO)とこのlとの差を求め、次式により熱収縮率
を求めた。
不透明度 JIS P−8138により求めた。
画像評価 画像受容シートと昇華性染料を塗布乾燥した三菱製紙
(株)製転写フイルム“TTFシアン”(商品名)を重ね
合せ、熱傾斜試験機(東洋精機製Type−HG−100)を使
用し、熱板を120℃より10℃間隔で5点熱傾斜させ、0.5
Kg/cm2の圧力で2秒間加熱し、転写画像を得た。
得られた転写画像の濃度をマクベス濃度計で測定し、
下記の5段階で評価した。
5:大変良い。
4:良い。
3:実用上支障がない。
2:実用上少々問題がある。
1:実用にならない。
積層樹脂シートの製造例 実施例1 (1)メルトインデックス(MI)0.8のポリプロピレン7
5重量%に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム25重量%
を配合(B)し、270℃に設定した押出機にて混練後、
シート状に押し出し、冷却装置により冷却して、無延伸
シートを得た。このシートを150℃に加熱した後、縦方
向に5倍延伸した。
(2)MI 4.0のポリプロピレン45重量%に平均粒径1.5
μmの炭酸カルシウム55重量%を混合した表面層用の組
成物(A)を押出機で溶融混練し、押し出したシートを
(1)の5倍延伸シートの片面に積層し、(1)の5倍
延伸シートの反対面にMI 4.0のポリプロピレン85重量%
に平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム15重量%を混合し
た裏面層用の組成物(C)を別の押出機で溶融混練し、
押し出し積層し、次いで、60℃まで冷却した後、165℃
まで加熱し、テンターで横方向に7.5倍で延伸し、167℃
でアニーリング処理し、60℃まで冷却し、耳部をスリッ
トして3層(A/B/C:肉厚65/55/45μm)構造の積層樹脂
シートを得た。
この積層樹脂シートの不透明度は95%であり、このシ
ートの熱収縮率はMD方向で1.0%、TD方向で0.2%であっ
た。
比較例1 (1)メルトインデックス(MI)0.8のポリプロピレン7
5重量%に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム25重量%
を配合(B)し、270℃に設定した押出機にて混練後、
シート状に押し出し、冷却装置により冷却して、無延伸
シートを得た。このシートを150℃に加熱した後、縦方
向に5倍延伸した。
(2)MI 4.0のポリプロピレン45重量%に平均粒径1.5
μmの炭酸カルシウム55重量%を混合した表面層用の組
成物(A)を押出機で溶融混練し、押し出したシートを
(1)の5倍延伸シートの片面に積層し、(1)の5倍
延伸シートの反対面にMI 4.0のポリプロピレン重量%に
平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム15重量%を混合した
裏面層用の組成物(C)を別の押出機で溶融混練し、押
し出し積層し、次いで、60℃まで冷却した後、160℃ま
で加熱し、テンターで横方向に7.5倍で延伸し、163℃で
アニーリング処理し、60℃まで冷却し、耳部をスリット
して3層(A/B/C:65/45/55μm)構造の積層樹脂シート
を得た。
この積層樹脂シートの不透明度は97%、熱収縮率はMD
方向で2.5%、TD方向で1.6%であった。
比較例2 ダイのスリットの幅を変更する以外は実施例1と同様
にして肉厚がA/B/C:45/55/60μmの3層構造の延伸積層
樹脂シートを製造した。
比較例3 ダイのスリット幅を変更する以外は実施例1と同様に
して肉厚がA/B/C:40/80/40μmの3層構造の積層樹脂シ
ートを製造した。
比較例4 (1)メルトインデックス(MI)0.8のポリプロピレン8
5重量%に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム15重量%
を配合(B)し、270℃に設定した押出機にて混練後、
シート状に押し出し、冷却装置により冷却して、無延伸
シートを得た。このシートを150℃に加熱した後、縦方
向に5倍延伸した。
(2)MI 4.0のポリプロピレン55重量%に平均粒径1.5
μmの炭酸カルシウム45重量%を混合した表面層用の組
成物(A)を押出機で溶融混練し、押出したシートを
(1)の5倍延伸シートの片面に積層し、(1)の5倍
延伸シートの反対面にMI 4.0のポリプロピレン85重量%
に平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム15重量%を混合し
た裏面層用の組成物(C)を別の押出機で溶融混練し、
押出積層し、次いで、60℃まで冷却した後、165℃まで
加熱し、テンターで横方向に7.5倍で延伸し、167℃でア
ニーリング処理し、60℃まで冷却し、耳部をスリットし
て3層(A/B/C:肉厚40/80/40μm)構造の積層樹脂シー
トを得た。
比較例5 (1)メルトインデックス(MI)0.8のポリプロピレン7
5重量%に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム25重量%
を配合(B)し、270℃に設定した押出機にて混練後、
シート状に押し出し、冷却装置により冷却して、無延伸
シートを得た。このシートを150℃に加熱した後、縦方
向に5倍延伸した。
(2)MI 4.0のポリプロピレン85重量%に平均粒径1.5
μmの炭酸カルシウム15重量%を混合した表面層用の組
成物(A)を押出機で溶融混練し、押し出したシートを
(1)の5倍延伸シートの片面に積層し、(1)の5倍
延伸シートの反対面にMI 4.0のポリプロピレン45重量%
に平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム55重量%を混合し
た裏面層用の組成物(C)を別の押出機で溶融混練し、
押し出し積層し、次いで、60℃まで冷却した後、165℃
まで加熱し、テンターで横方向に7.5倍で延伸し、167℃
でアニーリング処理し、60℃まで冷却し、耳部をスリッ
トして3層(A/B/C:肉厚65/55/45μm)構造の積層樹脂
シートを得た。
実施例2 (1)メルトインデックス(MI)0.8のポリプロピレン7
5重量%に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム25重量%
を配合(B)し、270℃に設定した押出機にて混練後、
シート状に押し出し、冷却装置により冷却して、無延伸
シートを得た。このシートを150℃に加熱した後、縦方
向に5倍延伸した。
(2)MI 4.0のポリプロピレン55重量%に平均粒径1.5
μmの炭酸カルシウム45重量%を配合した配合物(D)
と、MI 4.0のポリプロピレン45重量%に平均粒径1.5μ
mの炭酸カルシウム55重量%を配合した配合物(A)を
別々の押出機で溶融混練し、ダイ内で積層し、シート状
に共押出し、(1)の5倍延伸シートの表面(D)が外
側になるように積層し、一方、反対面にMI 4.0のポリプ
ロピレン85重量%に平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム1
5重量%を混合した組成物(C)を別の押出機で溶融混
練し、押出積層し、次いで、60℃まで冷却した後、165
℃まで加熱し、テンターで横方向に7.5倍で延伸し、167
℃でアニーリング処理し、60℃まで冷却し、耳部をスリ
ットして3層(D/A/B/C:肉厚3/57/55/45μm)構造の積
層樹脂シートを得た。
実施例3 (1)メルトインデックス(MI)0.8、融点165〜167℃
のポリプロピレン72重量%に、高密度ポリエチレン3重
量%、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム25重量%を配
合(B)し、270℃に設定した押出機にて混練後、一
方、メルトインデックス1.0のポリプロピレン99.7重量
%と炭酸カルシウム0.3重量%とを配合した組成物(E,
F)を別の押出機を用いて270℃で混練後、それぞれ一台
の共押出ダイに供給してシート状に押し出し、冷却装置
により冷却して、三層構造の無延伸シートを得た。この
シートを140℃に加熱した後、縦方向に5倍延伸した。
(2)MI 4.0のポリプロピレン45重量%に平均粒径1.5
μmの炭酸カルシウム55重量%を混合した表面層用の組
成物(A)を押出機で溶融混練し、押し出したシートを
(1)の5倍延伸シートの片面に積層し、(1)の5倍
延伸シートの反対面にMI 4.0のポリプロピレン85重量%
に平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム15重量%を混合し
た裏面層用の組成物(C)を別の押出機で溶融混練し、
押し出し積層した。
次いで、60℃まで冷却した後、165℃まで加熱し、テ
ンターで横方向に7.5倍で延伸し、165℃でアニーリング
処理し、60℃まで冷却し、耳部をスリットして第1図に
示す5層(A/E/B/F/C:肉厚70/2/50/2/40μm)構造の積
層樹脂シートを得た。
この積層樹脂シートの密度は第1表に示すとおりであ
り、不透明度が85%でカール高さは5mmであった。
実施例4 実施例3の(2)の積層の際に、表面層(A)の上に
MI 4のポリプロピレン55重量%に平均粒径1.5μmの炭
酸カルシウム45重量%を混合した最外表面層用の組成物
(D)を別の押出機で溶融混練して積層した。また、同
時に前記裏面層(C)の下側にMI 4のポリプロピレン58
重量%に平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム42重量%を
混合した最外裏面層用の組成物(G)を別の押出機で溶
融混練して積層した。
延伸条件は実施例3と同様に行なって、7層(D/A/E/
B/F/C/G:肉厚8/62/2/50/2/35/5μm)構造の積層樹脂シ
ートを得た。
熱転写記録用画像受容シートの製造 前記実施例及び比較例で製造した3〜7層構造の積層
樹脂シートの表面層(A)の上に下記組成の画像受容形
成組成物をヤイヤーバーコーテイングにより乾燥時の厚
さが4μmとなるように塗布し乾燥させて熱転写記録用
画像受容シートを得た。
飽和ポリエステル (東洋紡製バイロン200 Tg67℃) 5.3重量部 (東洋紡製バイロン290 Tg77℃) 5.3重量部 ビニライトVYHH (ユニオンカーバイド製塩化ビニール・酢酸ビニル共重
合体) 4.5重量部 酸化チタン (チタン工業製KA−10) 1.5重量部 アミノ変性シリコンオイル (信越シリコン製KF−393) 1.1重量部 エポキシ変性シリコンオイル (信越シリコン製X−22−343) 1.1重量部 トルエン 30重量部 メチルエチルケトン 30重量部 シクロヘキサン 22重量部 積層樹脂シートの熱収縮率、不透明度及びカール高さ
の結果を第1表に示す。また、熱転写記録用画像受容シ
ートを熱転写後のカールの高さ、画像の結果を第2表に
示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明実施例の積層樹脂シートの断面図を表
わし、第2図は転写感熱記録装置の平面図を表わす。 1……熱転写記録用画像受容シート、11……画像受容
層、12……支持体、2……転写体、14……突出物、A…
…表面層、B……基材層、C……裏面層、E……表面接
着層、F……裏面接着層。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二軸延伸フィルムを基材層とし、その表面
    及び裏面を一軸延伸フィルムにて挟着された少なくとも
    表面層、基材層及び裏面層の三層構造からなる積層樹脂
    シートにおいて、前記表面層の肉厚及びフィラー含量を
    最も大として、基材層、裏面層にゆくに従って順次肉厚
    及びフィラー含量を小さくして形成したことを特徴とす
    る積層樹脂シート。
  2. 【請求項2】表面層のフィラー含量が30〜80重量%、基
    材層のフィラー含量が10〜45重量%、及び裏面層のフィ
    ラー含量が5〜30重量%の範囲内である特許請求の範囲
    第1項記載の積層樹脂シート。
  3. 【請求項3】基材の肉厚を1とした場合、表面層の肉厚
    を1.1以上に、及び、裏面層の肉厚を0.9以下とした特許
    請求の範囲第1項又は第2項に記載の積層シート。
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