JP2563877Y2 - 太陽電池モジュール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は太陽電池モジュールに関し、特に太陽電池モ
ジュールにおける起電力取出部の構造に関する。

〔従来の技術と解決すべき課題〕

第３図に示すように、複数の光起電力素子１を出力電
圧及び出力電流に応じて直列に及び／又は並列に接続し
て配列し、その光起電力素子１の受光側にガラス基板２
を配置するとともに、背面側に耐候性フィルム３を配置
して、ガラス基板２と耐候性フィルム３との間にある光
起電力素子１を接着性樹脂４で封入したスーパーストレ
ート構造を基本とする太陽電池モジュールが提供されて
いる。この太陽電池モジュールは耐候性、機械的強度が
高いため、主として屋外電源用手段として、一部実用化
がなされている。

この太陽電池モジュールにおいては、複数の光起電力
素子１は金属箔や導電性ペーストなどで直列・並列に接
続され、ガラス基板２としては一般的に機械的強度の大
きい強化ガラスが用いられている。一方、耐候性フィル
ム３としては湿気から光起電力素子１を保護するととも
に、光起電力素子１の裏面電極との絶縁性を確保するた
め、アルミニウムなどの金属箔５をフッ素系フィルムや
PETフィルムなどの絶縁性フィルム６で挾着した三層構
造のフィルムが一般的に用いられている。また、ガラス
基板２と耐候性フィルム３との間に充填され、光起電力
素子１を封入する接着性樹脂４としては、PVB（ポリビ
ニルブチラート）、EVA（エチレンビニルアセテー
ト）、シリコーンなどが用いられている。

かかる構成の太陽電池モジュールにおいて、光起電力
素子１で発生した起電力は太陽電池モジュールの裏面に
耐候性フィルム３を切除して形成された所定の取出し電
極部に集積され、その取出し電極部に半田付けされた金
属箔リード７を介して外部に取り出されている。ところ
が、耐候性フィルム３は金属箔５が挾着された三層構造
によって構成されているため、金属箔５と金属箔リード
７との絶縁性が不安定となり易く、リーク電流の増大や
短絡の原因となっていた。

そこで、従来より耐候性フィルム３の金属箔５と金属
箔リード７との絶縁性を確保するため、種々の提案が為
されている。たとえば、その一つは第４図に示すよう
に、接着性樹脂４を充填してラミネートするとき、その
接着性樹脂４を取出し電極部にはみ出させて、その樹脂
８によって絶縁させようとするものである。ところが、
金属箔リード７を固定していないため、接着性樹脂４が
はみ出すときに金属箔リード７を耐候性フィルム３の切
断面のいずれかに押して挾着されている金属箔５と接触
してしまうことがあった。

このため、第５図に示すように、絶縁薄板９を耐候性
フィルム３と金属箔リード７との間に介挿させる技術が
提案されている。しかし、絶縁薄板９自体がずれてしま
うことがあり、絶縁性を確保する上で信頼性がなかっ
た。

そこで、本考案者は光起電力素子で発生した起電力の
取出し部の構造に改良を施すことにより、起電力の漏れ
や短絡のない太陽電池モジュールを提供することを目的
に、鋭意研究を重ねた結果、本考案に至ったのである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係る太陽電池モジュールの要旨は、光起電力
素子の受光側に透明基板を配置するとともに、該光起電
力素子の背面側に金属箔の両面に絶縁性フィルムが挟着
された三層構造の耐候性フィルムを配置し、該透明基板
と耐候性フィルムとの間に樹脂を充填して光起電力素子
が封止された太陽電池モジュールであって、該太陽電池
モジュールの該耐候性フィルムの一部に形成された起電
力取出開口部における耐候性フィルムの切断面の少なく
とも一面を覆うように非溶融性の絶縁性フィルムが配設
されるとともに、該配設された非溶融性の絶縁性フィル
ムに接するように起電力取出し用の金属箔リードが配設
されて、前記樹脂により封止されていることにある。

〔作用〕

かかる本考案の太陽電池モジュールによれば、光起電
力素子から起電力を取り出す金属箔リードが通される起
電力取出開口部の耐候性フィルムの少なくとも一切断面
が非溶融性の絶縁性フィルムによって覆われ、その絶縁
性フィルムの表面に接するように上記金属箔リードが配
設されて外部に取り出されている。三層構造を成す耐候
性フィルムの金属箔が露出させられる起電力取出開口部
における切断端面のうち少なくとも一箇所は非溶融性の
絶縁性フィルムによって覆われて絶縁されており、その
絶縁された箇所に近接して金属箔リードが通されている
ため、樹脂によるラミネート時に溶融させられた樹脂に
よって金属箔リードが移動させられても金属箔が露出さ
せられた耐候性フィルムの起電力取出開口部の他の切断
面と接触することはなく、絶縁性が確保される。

〔実施例〕

次に、本考案に係る太陽電池モジュールの実施例を詳
しく説明する。

第２図は本考案に係る太陽電池モジュールの要部を示
す断面図であり、太陽電池モジュールは複数の光起電力
素子10を所定の出力電圧を得るように直列に接続すると
ともに、所定の出力電流を得るように並列に接続されて
構成された装置である。これら光起電力素子10間は金属
箔12により結線され、発生させられた起電力は正負一対
の取出し電極部14に集積される。ここで、本考案に用い
られる光起電力素子10としてはアモルファスシリコン系
光起電力素子などの他、結晶系光起電力素子などであっ
ても良く、何ら限定されるものではない。

直列あるいは並列に接続された複数の光起電力素子10
の受光側には透明基板16が配置されている。透明基板16
には強化ガラスや透明プラスチックなどが用いられ、光
起電力素子10に光を透過させるとともに光起電力素子10
を保護するように構成されている。一方、光起電力素子
10の背面側には耐候性フィルム18が配置されている。耐
候性フィルム18は、第１図に拡大して示すように、アル
ミニウムA1などの金属箔20の両面をフッ素系フィルムや
PETフィルムなどの絶縁性フィルム22によって挾着した
三層構造のフィルムである。金属箔20は太陽電池モジュ
ール内に湿気が侵入するのを防止するためであり、ま
た、絶縁性フィルム22は光起電力素子10の裏面電極や結
線用の金属箔12と湿気防止用の金属箔20とが接触して短
絡しないようにするためのものである。

接続された複数の光起電力素子10を挟んで配置された
透明基板16と耐候性フィルム18との間にはPVBやEVAなど
の接着性樹脂24が真空ラミネート法などの手段によって
充填され、光起電力素子10が固着封入される。接着性樹
脂24によって光起電力素子10は透明基板16及び耐候性フ
ィルム18と一体化され、湿気の侵入が防止されるととも
に太陽電池モジュールの強度が補強されている。

太陽電池モジュール内の光起電力素子10によって発生
させられた起電力は正負一対の取出し電極部14に集積さ
れ、その取出し電極部14に接続された金属箔リード26を
介して太陽電池モジュールの外部に取り出される。金属
箔リード26が通される箇所には耐候性フィルム18を切除
して形成された起電力取出開口部28が設けられている。
起電力取出開口部28における耐候性フィルム18の切断面
のうち少なくとも一面には、第１図に拡大して示すよう
に、その切断面を覆うように非溶融性の絶縁性フィルム
30が配設され、耐候性フィルム18中の金属箔20が絶縁さ
せられる。非溶融性の絶縁性フィルム30としてはフッ素
系フィルム,PETフィルム，ポリイミドフィルムなどが用
いられ、耐候性フィルム18の切断面を覆うことによりそ
の中の金属箔20を絶縁させ得るものであれば足りる。

この起電力取出開口部28のうち絶縁性フィルム30によ
って絶縁させられた箇所に近接した位置に起電力取出し
用の金属箔リード26が配設されている。起電力取出開口
部28における耐候性フィルム18の切断面への絶縁性フィ
ルム30の配設及び金属箔リード26の配設が為された後、
前述の接着性樹脂24が充填されて光起電力素子10が封入
される。その際、接着性樹脂24が起電力取出開口部28か
らはみ出るとき、その接着性樹脂24の流動によって金属
箔リード26が移動させられることがある。しかし、本考
案にあっては非溶融性の絶縁性フィルム30によって金属
箔リード26が配設された起電力取出開口部28は絶縁され
ていて、金属箔リード26と耐候性フィルム18内の金属箔
20との間にリーク電流が流れたり、短絡が生じたりする
ことはない。したがって、光起電力素子10にて発生させ
られた起電力は効率良く導出され、所期の性能を有する
太陽電池モジュールを歩留り良く生産できることが可能
となる。

ここで、金属箔リード26によって太陽電池モジュール
の外部に導出させられた起電力は、金属箔リード26に接
続された外部ケーブル32によって負荷に供給される。な
お、金属箔リード26と外部ケーブル32との接合部は端子
箔34内に収納されるとともにその端子箱34内にはシリコ
ーンが封入されて、接合部を保護するとともにその接合
部から太陽電池モジュールの内部へ湿気が侵入するのが
防止されている。

以上、本考案の実施例を詳述したが、本考案はその他
の形態でも実施し得るものである。

たとえば、金属箔リード26を予め非溶融性の絶縁性フ
ィルム30の表面に貼着させておき、絶縁性フィルム30を
配設した後、金属箔リード26の一端を光起電力素子10の
取出し電極部14に接続するようにしても良い。

また、耐候性フィルムを構成する金属箔の両面に挾着
させられる絶縁性フィルムは、予めフィルム状の成形さ
れていて、そのフィルムを金属箔に貼着させる場合の
他、金属箔の表面に絶縁性樹脂材料を塗布等により被着
させて形成した薄膜であっても良い。

更に、端子箱34やその内部に封入されるシリコーンな
どは必ずしも必要とするものではない等、本考案はその
主旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々
なる改良，修正，変形を加えた形態で実施し得るもので
ある。

〔考案の効果〕

かかる本考案の太陽電池モジュールは、金属箔の両面
に絶縁性フィルムが挾着されてなる耐候性フィルムの一
部を切除して形成された起電力取出開口部の少なくとも
一つの切断面を非溶融性の絶縁性フィルムによって覆
い、その絶縁性フィルムによって覆われた箇所に接する
ように起電力を取り出す金属箔リードを配設しているた
め、耐候性フィルムの金属箔と金属箔リードとが接触す
ることはない。したがって、光起電力素子によって発生
させられた起電力がリーク電流として耐候性フィルムの
金属箔に漏れたり、あるいは短絡によって起電力が失わ
れたりすることはなく、太陽電池モジュールによって得
られた起電力が効率良く導出されることとなる。また、
リーク電流などの欠陥が生じないため、太陽電池モジュ
ールの組立時において生産性、歩留りを向上させること
ができることとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る太陽電池モジュールの実施例の要
部を拡大して示す要部拡大断面図であり、第２図は第１
図に示す実施例の要部全体を示す要部断面図である。 第３図，第４図及び第５図はいずれも従来の太陽電池モ
ジュールの起電力取出開口部を示す要部断面図である。 10;光起電力素子 12;金属箔 16;透明基板 18;耐候性フィルム 20;金属箔 22;絶縁性フィルム 24;接着性樹脂 26;金属箔リード 28;起電力取出開口部 30;非溶融性の絶縁性フィルム

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】光起電力素子の受光側に透明基板を配置す
   るとともに、該光起電力素子の背面側に金属箔の両面に
   絶縁性フィルムが挟着された三層構造の耐候性フィルム
   を配置し、該透明基板と耐候性フィルムとの間に樹脂を
   充填して光起電力素子が封止された太陽電池モジュール
   であって、該太陽電池モジュールの該耐候性フィルムの
   一部に形成された起電力取出開口部における耐候性フィ
   ルムの切断面の少なくとも一面を覆うように非溶融性の
   絶縁性フィルムが配設されるとともに、該配設された非
   溶融性の絶縁性フィルムに接するように起電力取出し用
   の金属箔リードが配設されて、前記樹脂により封止され
   ていることを特徴とする太陽電池モジュール。