JP2544759B2 - 超電導薄膜の作成方法 - Google Patents
超電導薄膜の作成方法Info
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Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は超電導薄膜の製造方法に関するものであり、
より詳細には、高い超電導臨界温度を有する複合酸化物
超電導薄膜の臨界電流を大幅に向上させ超電導薄膜の作
製方法に関するものである。
より詳細には、高い超電導臨界温度を有する複合酸化物
超電導薄膜の臨界電流を大幅に向上させ超電導薄膜の作
製方法に関するものである。
本発明により得られる超電導薄膜は高い臨界電流を持
つと同時に、平滑性等の他の特性においても優れた特性
を有しており、ICパッケージを始めとする各種電子部品
の配線材料として特に有用である。
つと同時に、平滑性等の他の特性においても優れた特性
を有しており、ICパッケージを始めとする各種電子部品
の配線材料として特に有用である。
従来の技術 電子の相転移であるといわれる超電導現象は、特定の
条件下で導体の電気抵抗が零の状態となり完全な反磁性
を示す現象である。
条件下で導体の電気抵抗が零の状態となり完全な反磁性
を示す現象である。
エレクトロニクスの分野では各種の超電導素子が知ら
れている。代表的なものとしては、超電導材料どうしを
弱く接合した場合に、印加電流によって量子効果が巨視
的に現れるジョセフソン効果を利用した素子が挙げられ
る。
れている。代表的なものとしては、超電導材料どうしを
弱く接合した場合に、印加電流によって量子効果が巨視
的に現れるジョセフソン効果を利用した素子が挙げられ
る。
トンネル接合型ジョセフソン素子は、超電導材料のエ
ネルギーギャップが小さいことから、極めて高速な低電
力消費のスイッチング素子として期待されている。ま
た、電磁波や磁場に対するジョセフソン効果が正確な量
子現象として現れることから、ジョセフソン素子を磁
場、マイクロ波、放射線等の超高感度センサとして利用
することも期待されている。さらに、単位面積当りの消
費電力が冷却能力の限界に達する。そこで超高速計算機
には超電導素子の開発が要望されている。
ネルギーギャップが小さいことから、極めて高速な低電
力消費のスイッチング素子として期待されている。ま
た、電磁波や磁場に対するジョセフソン効果が正確な量
子現象として現れることから、ジョセフソン素子を磁
場、マイクロ波、放射線等の超高感度センサとして利用
することも期待されている。さらに、単位面積当りの消
費電力が冷却能力の限界に達する。そこで超高速計算機
には超電導素子の開発が要望されている。
また、電子回路の集積度が高くなるにつれてICパッケ
ージを始めとする各種電子部品の配線材料とし、電流ロ
スの無い超電導材料を用いることが要望されている。
ージを始めとする各種電子部品の配線材料とし、電流ロ
スの無い超電導材料を用いることが要望されている。
一方、様々な努力にもかかわらず、超電導材料の超電
導臨界温度Tcは長期間に亘ってNb3Geの23Kを越えること
ができなかったが、昨年末来、〔La,Ba〕2CuO4または
〔La,Sr〕2CuO4等の酸化物の焼結材が高いTcをもつ超電
導材料として発見され、非低温超電導を実現する可能性
が大きく高まっている。これらの物質では、30乃至50K
という従来に比べて飛躍的に高いTcが観測され、70K以
上のTcも観測されている。
導臨界温度Tcは長期間に亘ってNb3Geの23Kを越えること
ができなかったが、昨年末来、〔La,Ba〕2CuO4または
〔La,Sr〕2CuO4等の酸化物の焼結材が高いTcをもつ超電
導材料として発見され、非低温超電導を実現する可能性
が大きく高まっている。これらの物質では、30乃至50K
という従来に比べて飛躍的に高いTcが観測され、70K以
上のTcも観測されている。
また、YBCOと称されるY1Ba2Cu3O7-Xで表される複合酸
化物は、90K級の超電導体であることが発表されてい
る。これら複合酸化物超電導体の超電導特性には、結晶
中の酸素欠陥が大きな役割を果たしている。すなわち、
結晶中の酸素欠陥が適正でないと、Tcは低く、また、オ
ンセット温度と抵抗が完全に0となる温度との差も大き
くなる。
化物は、90K級の超電導体であることが発表されてい
る。これら複合酸化物超電導体の超電導特性には、結晶
中の酸素欠陥が大きな役割を果たしている。すなわち、
結晶中の酸素欠陥が適正でないと、Tcは低く、また、オ
ンセット温度と抵抗が完全に0となる温度との差も大き
くなる。
発明が解決しようとする問題点 従来、上記複合酸化物超電導体薄膜を作製する際に
は、焼結等で生成した酸化物を蒸着源として物理蒸着を
行っていた。
は、焼結等で生成した酸化物を蒸着源として物理蒸着を
行っていた。
物理蒸着法としては、特にスパッタリング法が一般的
である。しかしながら、上記の超伝導体は、臨界電流密
度Jcが小さいため、臨界温度Tcが高くても実用性が低か
った。この特性は、薄膜にした場合も変わらず、複合酸
化物超電導体の実用化に際して大きな問題となってい
た。
である。しかしながら、上記の超伝導体は、臨界電流密
度Jcが小さいため、臨界温度Tcが高くても実用性が低か
った。この特性は、薄膜にした場合も変わらず、複合酸
化物超電導体の実用化に際して大きな問題となってい
た。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解
決し、高い臨界電流Jcを有し、しかも、均一な組成およ
び組織の複合酸化物超電導材料の薄膜を作製する方法を
提供することにある。
決し、高い臨界電流Jcを有し、しかも、均一な組成およ
び組織の複合酸化物超電導材料の薄膜を作製する方法を
提供することにある。
問題点を解決するための手段 本発明に従うと、下記の式: Ln1Ba2Cu3O7-X (ただし、LnはLa、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Y、Er、
Ybの中から選択される少なくとも一つのランタノイド系
元素を表し、xは0≦x<1を満たす数である) で表される複合酸化物を含有する複合酸化物超電導体薄
膜をスパッタリングで作製するする方法において、高周
波電力を0.064〜1.27〔W/cm2〕の範囲、更に好ましくは
0.12〜0.76〔W/cm2〕の範囲としたことを特徴とする超
電導薄膜の作製方法が提供される。尚、スパッタリング
に際しては、マグネトロンスパッタリング法を採用する
ことも有利である。
Ybの中から選択される少なくとも一つのランタノイド系
元素を表し、xは0≦x<1を満たす数である) で表される複合酸化物を含有する複合酸化物超電導体薄
膜をスパッタリングで作製するする方法において、高周
波電力を0.064〜1.27〔W/cm2〕の範囲、更に好ましくは
0.12〜0.76〔W/cm2〕の範囲としたことを特徴とする超
電導薄膜の作製方法が提供される。尚、スパッタリング
に際しては、マグネトロンスパッタリング法を採用する
ことも有利である。
本発明の方法で作製される複合酸化物超電導薄膜は、
上記一般式: Ln1Ba2Cu3O7-X で示される複合酸化物を含んでおり、これらの複合酸化
物はペロブスカイト型または擬似ペロブスカイト型酸化
物を主体としたものと考えられる。
上記一般式: Ln1Ba2Cu3O7-X で示される複合酸化物を含んでおり、これらの複合酸化
物はペロブスカイト型または擬似ペロブスカイト型酸化
物を主体としたものと考えられる。
上記ランタノイド系元素LnはLnはLa、Nd、Sm、Eu、G
d、Dy、Ho、Y、Er、Ybの中から選択されるが、この中
で、臨界電流密度Jcが高く、臨界温度Tcが高く且つ表面
平滑性にも優れた超電導薄膜とるHo、Y、ErおよびDyが
特に好ましい。
d、Dy、Ho、Y、Er、Ybの中から選択されるが、この中
で、臨界電流密度Jcが高く、臨界温度Tcが高く且つ表面
平滑性にも優れた超電導薄膜とるHo、Y、ErおよびDyが
特に好ましい。
上記ランタノイド系元素Lnと、Baと、Cuの原子比は上
記の式のように1:2:3であるのが好ましいが、必ずしも
厳密にこの比に限定されるものではなく、これらの比か
ら±50%の範囲、さらに好ましくは±20%の範囲でずれ
た原子比の組成のものも本願発明の範囲に入るというこ
とは理解できよう。すなわち、特許請求の範囲において
「上記の式で表される複合酸化物を含有する」という表
現は上記のように上記の式で定義されるLn:Ba:Cuの原子
比が1:2:3のもの以外のものも含むというを意味する。
記の式のように1:2:3であるのが好ましいが、必ずしも
厳密にこの比に限定されるものではなく、これらの比か
ら±50%の範囲、さらに好ましくは±20%の範囲でずれ
た原子比の組成のものも本願発明の範囲に入るというこ
とは理解できよう。すなわち、特許請求の範囲において
「上記の式で表される複合酸化物を含有する」という表
現は上記のように上記の式で定義されるLn:Ba:Cuの原子
比が1:2:3のもの以外のものも含むというを意味する。
さらに、上記の定義は上記のLn、Ba、CuおよびO以外
の元素、すなわち、ppmオーダーで混入する実用上避け
られない不純物と、他の特性を向上させる目的で添加さ
れる第3成分を含有していてもよいということを意味し
ている。
の元素、すなわち、ppmオーダーで混入する実用上避け
られない不純物と、他の特性を向上させる目的で添加さ
れる第3成分を含有していてもよいということを意味し
ている。
第3成分として添加可能な元素としては、周期律表II
a族元素のSr、Ca、Mg、Be、上記以外の周期表III a族
元素、周期律表I b、II b、III b、IV aおよびVIII a族
から選択される元素、例えば、Ti、Vを挙げることが出
来る。
a族元素のSr、Ca、Mg、Be、上記以外の周期表III a族
元素、周期律表I b、II b、III b、IV aおよびVIII a族
から選択される元素、例えば、Ti、Vを挙げることが出
来る。
本発明の一実施態様では、成膜速度を0.05〜1Å/
秒、さらに好ましくは0.1〜0.8Å/秒にしてスパッタリ
ングがおこなわれる。
秒、さらに好ましくは0.1〜0.8Å/秒にしてスパッタリ
ングがおこなわれる。
また、上記スパッタリングは、0.001〜0.5Torrの圧
力、さらに好ましくは0.01〜0.3Torrの圧力下でかつO2
を5〜95分子%、さらに好ましくは10〜80分子%で含む
雰囲気で行うのが好ましい。このO2以外と一緒に用いる
ことが可能な他のスパッタリングガスとしては不活性ガ
スであるアルゴンが好ましい。また、基板を200〜950
℃、さらに好ましくは500〜920℃に加熱しながらスパッ
タリングを行うのが好ましい。
力、さらに好ましくは0.01〜0.3Torrの圧力下でかつO2
を5〜95分子%、さらに好ましくは10〜80分子%で含む
雰囲気で行うのが好ましい。このO2以外と一緒に用いる
ことが可能な他のスパッタリングガスとしては不活性ガ
スであるアルゴンが好ましい。また、基板を200〜950
℃、さらに好ましくは500〜920℃に加熱しながらスパッ
タリングを行うのが好ましい。
本発明の態様に従うと、上記の複合酸化物超電導薄膜
を形成する基板としては、MgO単結晶、SrTiO3単結晶ま
たはZrO2単結晶が好ましく、特に、MgO単結晶またはSrT
iO3単結晶基板の成膜面を、{001}面または{110}面
とすることが好ましい。
を形成する基板としては、MgO単結晶、SrTiO3単結晶ま
たはZrO2単結晶が好ましく、特に、MgO単結晶またはSrT
iO3単結晶基板の成膜面を、{001}面または{110}面
とすることが好ましい。
さらに、本発明の態様では、成膜後の薄膜を酸素分圧
0.1〜10気圧の酸素含有雰囲気で800〜960℃、さらに好
ましくは850〜950℃に加熱し、10℃/分以下の冷却速度
で冷却してアニールを行うことが好ましい。
0.1〜10気圧の酸素含有雰囲気で800〜960℃、さらに好
ましくは850〜950℃に加熱し、10℃/分以下の冷却速度
で冷却してアニールを行うことが好ましい。
作用 本発明の超電導薄膜の作製方法は、0.064〜1.27〔W/c
m2〕の範囲、更に好ましくは、0.127〜0.76〔W/cm2〕の
範囲の高周波電力を印加しながらスパッタリングを行う
ことをその主要な特徴としている。
m2〕の範囲、更に好ましくは、0.127〜0.76〔W/cm2〕の
範囲の高周波電力を印加しながらスパッタリングを行う
ことをその主要な特徴としている。
すなわち、例えばYBCOと称されるY1Ba2Cu3O7-Xに代表
される複合酸化物超電導体の薄膜を作製する場合には、
従来Y1Ba2Cu3O7等の焼結体をターゲットとしてスパッタ
リングを行っていた。しかしながら、従来の方法で得ら
れた超電導薄膜は、特に臨界電流密度Jcが低く、実用に
はならなかった。
される複合酸化物超電導体の薄膜を作製する場合には、
従来Y1Ba2Cu3O7等の焼結体をターゲットとしてスパッタ
リングを行っていた。しかしながら、従来の方法で得ら
れた超電導薄膜は、特に臨界電流密度Jcが低く、実用に
はならなかった。
これは、上記の複合酸化物超電導体は、その臨界電流
密度に結晶異方性を有するためで、すなわち、結晶のa
軸およびb軸で決定される面に平行な方向に電流が流れ
易いのと、従来の方法では、結晶方向を十分に揃えるこ
とができなかったためである。従来は、結晶方向を揃え
るために、基板として、複合酸化物超電導体結晶の格子
間隔に近い格子間隔を有するMgO、SrTiO3およびYSZ等の
単結晶の特定な面を成膜面として用いていた。
密度に結晶異方性を有するためで、すなわち、結晶のa
軸およびb軸で決定される面に平行な方向に電流が流れ
易いのと、従来の方法では、結晶方向を十分に揃えるこ
とができなかったためである。従来は、結晶方向を揃え
るために、基板として、複合酸化物超電導体結晶の格子
間隔に近い格子間隔を有するMgO、SrTiO3およびYSZ等の
単結晶の特定な面を成膜面として用いていた。
本発明の方法では、従来の方法に加え、さらに、例え
ば10cmφのターゲットに対して、スパッタリング時に印
加する高周波電力を従来の1.9W/cm2程度から5〜100W、
すなわち、単位断面積当たり0.064〜1.27W/cm2、さらに
好ましくは、10〜60W、すなわち、単位断面積当り0.127
〜0.76W/cm2としたことで、複合酸化物の結晶方向を揃
え、また、組織を緻密化した。この結果、従来法と比較
して、大幅にJcが向上した超電導薄膜が得られる。ここ
で、本発明者等の実験によれば、印加する高周波電力が
上記範囲を越えた場合は、従来法により作製した薄膜と
有意な特性の差は見出せなかった。一方、上記範囲に達
しない条件でスパッタリングを実施した場合は、成膜速
度が極端に遅く、有効な膜厚の薄膜を形成できなかっ
た。
ば10cmφのターゲットに対して、スパッタリング時に印
加する高周波電力を従来の1.9W/cm2程度から5〜100W、
すなわち、単位断面積当たり0.064〜1.27W/cm2、さらに
好ましくは、10〜60W、すなわち、単位断面積当り0.127
〜0.76W/cm2としたことで、複合酸化物の結晶方向を揃
え、また、組織を緻密化した。この結果、従来法と比較
して、大幅にJcが向上した超電導薄膜が得られる。ここ
で、本発明者等の実験によれば、印加する高周波電力が
上記範囲を越えた場合は、従来法により作製した薄膜と
有意な特性の差は見出せなかった。一方、上記範囲に達
しない条件でスパッタリングを実施した場合は、成膜速
度が極端に遅く、有効な膜厚の薄膜を形成できなかっ
た。
本発明の方法では、上記の条件で、スパッタリングに
より成膜を行うが、さらにスパッタリング時の基板温度
を200〜950℃、さらに好ましくは500〜920℃に加熱して
スパッタリングすることが好ましい。基板温度が200℃
未満の場合には、複合酸化物の結晶性が悪くアモルファ
ス状になり、超電導薄膜は得られない。また、基板温度
が950℃を越えると、結晶構造が変わってしまい、上記
の複合酸化物は超電導体とはならない。
より成膜を行うが、さらにスパッタリング時の基板温度
を200〜950℃、さらに好ましくは500〜920℃に加熱して
スパッタリングすることが好ましい。基板温度が200℃
未満の場合には、複合酸化物の結晶性が悪くアモルファ
ス状になり、超電導薄膜は得られない。また、基板温度
が950℃を越えると、結晶構造が変わってしまい、上記
の複合酸化物は超電導体とはならない。
本発明の態様に従うと、上記の複合酸化物超電導薄膜
を形成する基板としては、MgO単結晶、SrTiO3単結晶ま
たはZrO2単結晶基板が好ましい。特に、MgO単結晶基板
またはSrTiO3単結晶基板の{001}面または{110}面を
成膜面として用いることが好ましい。
を形成する基板としては、MgO単結晶、SrTiO3単結晶ま
たはZrO2単結晶基板が好ましい。特に、MgO単結晶基板
またはSrTiO3単結晶基板の{001}面または{110}面を
成膜面として用いることが好ましい。
これは、既に説明したように本発明の複合酸化物超電
導体は、その電気抵抗に結晶異方性を有するためで、上
記の基板の上記成膜面上に形成された複合酸化物超電導
薄膜は、その結晶のc軸が基板成膜面に対し垂直または
垂直に近い角度となり、特に臨界電流密度Jcが大きくな
るものと考えられる。従って、MgO単結晶基板またはSrT
iO3単結晶基板の{001}面を成膜面として用いることが
好ましい。また、{110}面を用いてc軸を基板と平行
にし、c軸と垂直な方向を特定して用いることもでき
る。さらに、MgO、SrTiO3は、熱膨張率が上記の複合酸
化物超電導体と近いため、加熱、冷却の過程で薄膜に不
必要な応力を加えることがなく、薄膜を破損する恐れも
ない。
導体は、その電気抵抗に結晶異方性を有するためで、上
記の基板の上記成膜面上に形成された複合酸化物超電導
薄膜は、その結晶のc軸が基板成膜面に対し垂直または
垂直に近い角度となり、特に臨界電流密度Jcが大きくな
るものと考えられる。従って、MgO単結晶基板またはSrT
iO3単結晶基板の{001}面を成膜面として用いることが
好ましい。また、{110}面を用いてc軸を基板と平行
にし、c軸と垂直な方向を特定して用いることもでき
る。さらに、MgO、SrTiO3は、熱膨張率が上記の複合酸
化物超電導体と近いため、加熱、冷却の過程で薄膜に不
必要な応力を加えることがなく、薄膜を破損する恐れも
ない。
本発明の態様に従うと、成膜後の薄膜を酸素分圧0.1
〜10気圧の酸素含有雰囲気中で800〜960℃、さらに好ま
しくは850〜950℃に加熱、10℃/分以下の冷却速度で冷
却する熱処理を施すアニール処理を行うことが好まし
い。この処理は、上記の複合酸化物中の酸素欠陥を調整
するもので、この処理を経ない薄膜の超電導特性は悪
く、超電導性を示さない場合もある。従って、上記の熱
処理を行うことが好ましい。
〜10気圧の酸素含有雰囲気中で800〜960℃、さらに好ま
しくは850〜950℃に加熱、10℃/分以下の冷却速度で冷
却する熱処理を施すアニール処理を行うことが好まし
い。この処理は、上記の複合酸化物中の酸素欠陥を調整
するもので、この処理を経ない薄膜の超電導特性は悪
く、超電導性を示さない場合もある。従って、上記の熱
処理を行うことが好ましい。
実施例 以下に本発明を実施例により説明するが、本発明の技
術的範囲は、以下の開示に何等制限されるものではない
ことは勿論である。
術的範囲は、以下の開示に何等制限されるものではない
ことは勿論である。
上記で説明した本発明の方法により、超電導薄膜を作
製した。使用したターゲットは、下記の第1表に示すラ
ンタノイド系元素Lnと、Baと、Cuの原子比Ln:Ba:Cuの比
が1:2.24:4.35である複合酸化物のLn−Ba−Cu−Oセラ
ミックであり、ターゲットは直径が100mmφの円形とし
た。各々の場合の成膜条件は同一とし、その成膜条件は
以下の通りであった。
製した。使用したターゲットは、下記の第1表に示すラ
ンタノイド系元素Lnと、Baと、Cuの原子比Ln:Ba:Cuの比
が1:2.24:4.35である複合酸化物のLn−Ba−Cu−Oセラ
ミックであり、ターゲットは直径が100mmφの円形とし
た。各々の場合の成膜条件は同一とし、その成膜条件は
以下の通りであった。
基板 MgO(001)面 基板温度 700℃ 圧力 0.01〜0.1Torr 高周波電力 40W(0.51W/cm2) 時間 6時間 膜厚 0.8μm 成膜後、大気圧のO2中で900℃の温度を1時間保った
後、5℃/分の冷却速度で冷却した。なお、比較のため
高周波電力を150W(1.9W/cm2)としたこと以外は、全く
等しい条件でHoを含む複合酸化物超電導薄膜を作製した
場合の結果も第1表にあわせて示してある。
後、5℃/分の冷却速度で冷却した。なお、比較のため
高周波電力を150W(1.9W/cm2)としたこと以外は、全く
等しい条件でHoを含む複合酸化物超電導薄膜を作製した
場合の結果も第1表にあわせて示してある。
尚、臨界温度Tcは、常法に従って直流四端子法によっ
て測定した。また、臨界電流密度Jcは、77.0Kの液体窒
素中で、試料の電気抵抗を測定しつつ電流量を増加し、
電気抵抗が検出されたときの電流量を、電流路の単位面
積に換算したものを用いている。
て測定した。また、臨界電流密度Jcは、77.0Kの液体窒
素中で、試料の電気抵抗を測定しつつ電流量を増加し、
電気抵抗が検出されたときの電流量を、電流路の単位面
積に換算したものを用いている。
上記のように本発明の方法により作製された超電導薄
膜は、比較例より大幅に臨界電流が向上している。ま
た、本発明の方法で作製した複合酸化物超電導薄膜の組
織が一様に緻密であることは、従来法により作製した比
較例の複合酸化物超電導薄膜の表面には、数ミクロンの
グレインが存在するのに対し、本発明の方法によるもの
は、表面がSEMで1万倍に拡大して観察しても凹凸が見
られないことからも推測できる。
膜は、比較例より大幅に臨界電流が向上している。ま
た、本発明の方法で作製した複合酸化物超電導薄膜の組
織が一様に緻密であることは、従来法により作製した比
較例の複合酸化物超電導薄膜の表面には、数ミクロンの
グレインが存在するのに対し、本発明の方法によるもの
は、表面がSEMで1万倍に拡大して観察しても凹凸が見
られないことからも推測できる。
発明の効果 以上詳述のように、本発明の方法によって得られた超
電導薄膜は、従来の方法で作製されたものに較べ、高い
Jcを示す。
電導薄膜は、従来の方法で作製されたものに較べ、高い
Jcを示す。
これは、本発明の方法では、高周波電力を小さくし、
成膜速度を低下させてスパッタリングを行うため、従来
よりも成膜中の薄膜表面におけるマイグレーションが十
分に行われるためである。
成膜速度を低下させてスパッタリングを行うため、従来
よりも成膜中の薄膜表面におけるマイグレーションが十
分に行われるためである。
本発明の方法は、従来法と較べ、単に、スパッタリン
グの高周波電力を小さくしただけであり、特殊な装置を
用いたものではない。本発明により、より安定に高性能
な超電導薄膜を供給することが可能となる。
グの高周波電力を小さくしただけであり、特殊な装置を
用いたものではない。本発明により、より安定に高性能
な超電導薄膜を供給することが可能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 12/00 ZAA H01B 12/00 ZAA H01L 39/24 ZAA H01L 39/24 ZAAB (72)発明者 矢津 修示 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 上代 哲司 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 昭64−35819(JP,A) 特開 昭64−14814(JP,A)
Claims (12)
- 【請求項1】下記の式: Ln1Ba2Cu3O7-X (ただし、LnはLa、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Y、Er、
Ybの中から選択される少なくとも一つのランタノイド系
元素を表し、xは0≦x<1を満たす数である) で表される複合酸化物を含有する複合酸化物超電導体薄
膜をスパッタリングで作製する方法において、以下の条
件でスパッタリングを行うことを特徴とする超電導薄膜
の作製方法: スパッタリングガス:O2を10〜80分子%含む スパッタリングガス圧力:0.001〜0.5Torr 高周波電力:0.064〜1.27W/cm2 基板:MgO単結晶、SrTiO3単結晶又はZrO2単結晶 基板温度:500〜920℃ - 【請求項2】上記スパッタリングがマグネトロンスパッ
タリングであること特徴とする特許請求の範囲第1項に
記載の超電導薄膜の作製方法。 - 【請求項3】上記複合酸化物超電導体が、 Y1Ba2Cu3O7-X(ただしxは0≦x<1を満たす数であ
る)で表される複合酸化物を含むことを特徴とする特許
請求の範囲第1項または第2項に記載の超電導薄膜の作
製方法。 - 【請求項4】上記複合酸化物超電導体が、 Er1Ba2Cu3O7-X(ただしxは0≦x<1を満たす数であ
る)で表される複合酸化物を含むことを特徴とする特許
請求の第1項または第2項に記載の超電導薄膜の作製方
法。 - 【請求項5】上記複合酸化物超電導体が、 Ho1Ba2Cu3O7-X(ただしxは0≦x<1を満たす数であ
る)で表される複合酸化物を含むことを特徴とする特許
請求の第1項または第2項に記載の超電導薄膜の作製方
法。 - 【請求項6】上記複合酸化物超電導体が、 Dy1Ba2Cu3O7-X(ただしxは0≦x<1を満たす数であ
る)で表される複合酸化物を含むことを特徴とする特許
請求の第1項または第2項に記載の超電導薄膜の作製方
法。 - 【請求項7】上記スパッタリング時のガス圧力が、0.01
から0.3Torrの範囲内であることを特徴とする特許請求
の範囲第1項から第6項のいずれか一項に記載の超電導
薄膜の作製方法。 - 【請求項8】上記基板がMgO単結晶基板またはSrTiO3単
結晶基板であり、その{001}面または{110}面を成膜
面とすることを特徴とする特許請求の範囲第1項から第
7項のいずれか一項に記載の超電導薄膜の作製方法。 - 【請求項9】上記成膜の後に薄膜を酸素含有雰囲気で加
熱−徐冷する熱処理を行うことを特徴とする特許請求の
範囲第1項から第8項のいずれか一項に記載の超電導薄
膜の作製方法。 - 【請求項10】上記熱処理時の加熱温度が、800〜960℃
の範囲であることを特徴とする特許請求の範囲第9項に
記載の超電導薄膜の作製方法。 - 【請求項11】上記熱処理時の冷却速度が、10℃/分以
下であることを特徴とする特許請求の範囲第9項または
第10項に記載の超電導薄膜の作製方法。 - 【請求項12】上記熱処理時の酸素分圧が0.1〜10気圧
であることを特徴とする特許請求の範囲第9項から第11
項のいずれか一項に記載の超電導薄膜の作製方法。
Priority Applications (10)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62322380A JP2544759B2 (ja) | 1987-12-20 | 1987-12-20 | 超電導薄膜の作成方法 |
CN88109261A CN1021175C (zh) | 1987-12-20 | 1988-12-19 | 复合氧化物超导薄膜 |
US07/286,860 US5028583A (en) | 1987-12-20 | 1988-12-20 | Superconducting thin film and wire and a process for producing the same |
CA 586516 CA1339020C (en) | 1987-12-20 | 1988-12-20 | Superconducting thin film and wire and a process for producing the same |
KR1019880017018A KR970005158B1 (ko) | 1987-12-20 | 1988-12-20 | 복합 산화물 초전도박막 또는 선재와 그 제작방법 |
AU27099/88A AU615014B2 (en) | 1987-02-17 | 1988-12-20 | Superconducting thin film and wire and a process for producing the same |
DE3854493T DE3854493T2 (de) | 1987-12-20 | 1988-12-20 | Verfahren zur Herstellung eines Dünnschichtsupraleiters. |
EP19880403254 EP0322306B1 (en) | 1987-12-20 | 1988-12-20 | Process for producing a superconducting thin film |
US07/648,964 US5252543A (en) | 1987-12-20 | 1991-01-31 | Superconducting thin film and wire on a smooth substrate |
CN92102035A CN1024859C (zh) | 1987-12-20 | 1992-03-25 | 复合氧化物超导线材及其制造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62322380A JP2544759B2 (ja) | 1987-12-20 | 1987-12-20 | 超電導薄膜の作成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01164727A JPH01164727A (ja) | 1989-06-28 |
JP2544759B2 true JP2544759B2 (ja) | 1996-10-16 |
Family
ID=18143006
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62322380A Expired - Fee Related JP2544759B2 (ja) | 1987-02-17 | 1987-12-20 | 超電導薄膜の作成方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2544759B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2639544B2 (ja) * | 1988-01-08 | 1997-08-13 | 財団法人生産開発科学研究所 | 三層ペロブスカイト構造をもつLaA▲下2▼Cu▲下3▼O▲下7▼▲下−▼xの単結晶薄膜及びLaA▲下2▼Cu▲下3▼O▲下7▼▲下−▼x薄膜の製造法 |
JP5275476B2 (ja) | 2009-12-25 | 2013-08-28 | Ykk株式会社 | ボタン取付用上金型 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6414814A (en) * | 1987-03-19 | 1989-01-19 | Nippon Telegraph & Telephone | Manufacture of oxide superconductive thin film |
JPS6435819A (en) * | 1987-07-31 | 1989-02-06 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | Manufacture of superconducting membrane |
-
1987
- 1987-12-20 JP JP62322380A patent/JP2544759B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH01164727A (ja) | 1989-06-28 |
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