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JP2024541988A - 耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板及びその製造方法 - Google Patents

耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板及びその製造方法 Download PDF

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JP2024541988A
JP2024541988A JP2024525373A JP2024525373A JP2024541988A JP 2024541988 A JP2024541988 A JP 2024541988A JP 2024525373 A JP2024525373 A JP 2024525373A JP 2024525373 A JP2024525373 A JP 2024525373A JP 2024541988 A JP2024541988 A JP 2024541988A
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ヨン-サン アン、
ジュ-ヒョン リュ、
ウル-ヨン チェ、
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ポスコ カンパニー リミテッド
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Abstract

Figure 2024541988000001
本発明は、自動車構造部材用に使用される高強度鋼板に関し、より詳細には、耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板及びその製造方法に関する。

Description

本発明は、自動車構造部材用に使用される高強度鋼板に関し、より詳細には、耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板及びその製造方法に関する。
近年、自動車産業において環境及び安全に対する規制がますます厳しくなっており、二酸化炭素排出及び燃費に対する規制も次第に強化されている。米国の高速道路安全保険協会は、搭乗者を保護するための衝突安定性に対する規制を次第に強化してきており、2013年からは25%small overlapといった過酷な衝突性能を要求している。
このような環境及び安全に関するイシューを解決できる唯一の解決策は、自動車の軽量化である。軽量化を達成するには鋼材の高強度化が必要であり、また、高強度鋼材を適用するためには高い成形性が求められる。さらに、車体の衝突性能を同時に高めるためには降伏比(YS/TS)が高いことが要求されている。
一般に、高強度自動車素材は、析出強化鋼、焼付硬化鋼、固溶強化鋼、変態強化鋼などに区分することができる。
上記変態強化鋼としては、二相組織鋼(Dual Phase Steel、DP鋼)、複合組織鋼(Complex Phase Steel、CP鋼)や変態誘起塑性(Transformation Induced Plasticity、TRIP鋼)鋼などがある。これらの変態強化鋼を先端高強度鋼(Advance High Strength Steel:AHSS)ともいう。
このうち、DP鋼は、軟質のフェライト内に硬質のマルテンサイトが微細かつ均質に分散して高強度を確保する鋼であり、CP鋼は、フェライト、マルテンサイト、ベイナイトの2相又は3相を含み、強度向上のためにTi、Nbなどの析出硬化元素を添加する鋼である。TRIP鋼は、微細かつ均質に分散された残留オーステナイトを含み、常温加工時に上記残留オーステナイト相がマルテンサイトへの変態を起こして高強度及び高延性を確保できる鋼である。
一方、最近の自動車用鋼板は、燃費向上、耐久性向上などのために、強度がより高い鋼板が求められており、衝突安全性及び乗客保護の観点から、引張強度980MPa以上の超高強度鋼板を車体構造用や補強材として適用する事例 が増加している。
特に、車体の耐衝突性を向上するために、メンバ(member)、シートレール(seat rail)、ピラー(pillar)等の構造部材に、降伏強度に優れた高強度鋼が採用されている。構造部材は、引張強度(TS)に対する降伏強度(YS)、すなわち、降伏比(YR=YS/TS)が高いほど耐衝突特性に有利な特徴を有している。
ところが、一般に鋼板の強度が増加するほど延性は減少するため、成形加工性等が低下するという問題が発生しており、これを補完できる材料の開発が求められているのが実情である。言い換えれば、衝突安定性と部品成形性を同時に確保するためには、降伏強度が高く、延性に優れた素材の開発が必須である。
また、加工される部品の大部分が内部又はエッジ(edge)の剪断面を有するため、穴拡げ性(Hall Expansion Ration、HER)に優れて初めて剪断面のクラックなどの欠陥なく成形することができ、衝突時にも衝撃吸収により衝突性能を高めることができる。
したがって、高強度鋼の衝突特性及び成形性を向上させるために変態強化型高強度鋼の中で最も広く使用されているDP鋼の欠点である低い降伏比及び劣った穴拡げ性を高めるとともに、優れた延性を確保することができれば、高強度鋼の適用をさらに拡大させることができる。
一方、鋼の降伏比を高めるためには、引張強度に対する降伏強度を高める必要があり、これを達成できる代表的な方法としては連続焼鈍時に水冷却を用いる方法がある。一例として、焼鈍工程で均熱させてから水に沈積させることによりマルテンサイトを形成させた後、焼戻し工程により微細組織がテンパードマルテンサイト相を有する鋼板を製造することができる。
ところが、この方法には、水冷時の幅方向、長さ方向の温度偏差により形状品質が劣り、成形時のクラック発生など作業性の劣化及び位置別の材質ばらつき等を誘発するなど、非常に深刻な欠点が存在する。
上記技術に係る従来技術として、特許文献1は、炭素(C)を0.18%以上含有する鋼材を連続焼鈍処理してから常温まで水冷した後、120~300℃の温度で1~15分間過時効処理してマルテンサイトの体積率が80~97%となるマルテンサイト鋼材を開示する。このように、水冷後に焼戻し方式による超高強度鋼を製造する場合、降伏比は非常に高いが、幅方向、長さ方向の温度偏差によりコイルの形状品質が劣化するという問題が発生し、成形加工時にクラック発生及び作業性低下などの問題が発生する。
特許文献2には、マルテンサイトを主体とする複合組織から構成された鋼板であって、加工性を向上させるために組織の内部に粒径1~100nmの微細析出銅粒子を分散させた高張力鋼板を製造する方法が開示されている。ところが、微細な銅粒子を析出させるためにCuを2~5%で過剰に添加することで、Cuに因る赤熱脆性が発生するおそれがあり、製造コストが過度に上昇するという問題がある。
特許文献3は、フェライトを基地組織としてパーライト(pearlite)を2~10面積%で含む析出強化型鋼板であって、Nb、Ti、V等の炭・窒化物形成元素を添加することにより、析出強化及び結晶粒微細化による強度向上を図っている。この鋼板は、穴拡げ性は良好であるものの、引張強度を高めることには限界があり、降伏強度が高く延性が低いため、プレス成形時にクラックが発生するという問題がある。
特許文献4には、テンパードマルテンサイトを活用して高強度と高延性を同時に確保し、連続焼鈍後に板形状にも優れた冷延鋼板を製造する方法が開示されているが、炭素が0.2%以上と高く溶接性に劣り、多量のSiを含有するため、炉内にデント欠陥が発生するおそれがある。
特開第1992-289120号公報 特開第2005-264176号公報 韓国公開特許第2015-0073844号公報 特開第2010-090432号公報
本発明の一態様は、自動車構造部材用等に好適な鋼板であって、強度だけでなく延性に優れ、耐衝突性能及び成形性が向上した鋼板及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の課題は、上述した内容に限定されない。本発明の課題は、本明細書の内容全体から理解することができ、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の更なる課題を理解する上で何ら困難がない。
本発明の一態様は、重量%で、炭素(C):0.06~0.2%、シリコン(Si):0.4~1.4%、マンガン(Mn):1.8~3.0%、酸可溶アルミニウム(Sol.Al):1.0%以下、モリブデン(Mo):0.4%以下、クロム(Cr):1.0%以下、アンチモン(Sb):0.06%以下、ボロン(B):0.01%以下、リン(P):0.1%以下、硫黄 (S):0.01%以下、残部Fe及びその他の不可避不純物を含み、上記C、Si及びAlは下記関係式1を満たし、
微細組織として、テンパードマルテンサイトとベイナイト相を面積分率の合計で40~80%、残留オーステナイト相を3~15%、残部フェライト及びフレッシュマルテンサイト相を含み、上記残留オーステナイト相は、全残留オーステナイト分率(A)のうち、テンパードマルテンサイトとベイナイトに隣接している残留オーステナイト(ATM+B)の占有率(ATM+B/A)が90%以上であることを特徴とする、耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板を提供する。
[関係式1]
(8×C)+(1.1×Si)+(0.8×Al)≧1.7
(ここで、各元素は重量含有量を意味する。)
本発明の他の一態様は、上述した合金組成及び関係式1を満たす鋼スラブを1050~1250℃の温度範囲で加熱する段階と、上記再加熱された鋼スラブを仕上げ熱間圧延の出口側温度Ar3~Ar3+50℃の温度範囲で仕上げ熱間圧延して熱延鋼板を製造する段階と、上記熱延鋼板を400~700℃の温度範囲で巻き取る段階と、上記巻取り後、熱延鋼板を0.1℃/sの冷却速度で常温まで冷却する段階と、上記冷却後、熱延鋼板を総圧下率30~80%で冷間圧延して冷延鋼板を製造する段階と、上記冷延鋼板を連続焼鈍処理する段階と、上記連続焼鈍処理された冷延鋼板を450~700℃まで10℃/s以下の冷却速度で1次冷却する段階と、上記1次冷却後、250~500℃まで3℃/s以上の冷却速度で冷却する2次冷却する段階と、上記2次冷却された冷延鋼板を490℃以下の温度に再加熱して30秒以上保持する段階と、を含み、
上記冷間圧延は、最初1~3番スタンドの累積圧下率20%以上で行うことを特徴とする、耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板の製造方法を提供する。
本発明によれば、高強度を有しながらも延性に優れた鋼板を提供することができる。特に、本発明の鋼板は、既存のDP鋼に比べて降伏比が高く、穴拡げ性に優れ、耐衝突性能及び成形性に優れるという特徴がある。
このような本発明の鋼板は、複雑な形状への加工が要求される自動車構造部材用等の素材に好適に適用可能である効果がある。
本発明の一実施例に係る関係式1による機械的物性(関係式2)の変化をグラフ化して示したものである。 本発明の一実施例に係る発明鋼の微細組織測定写真である。
本発明の発明者らは、既存のDP鋼の特性である高い延性を満たしながらも、既存のDP鋼に比べて降伏比(YR)及び穴拡げ性を高めて、耐衝突性能及び成形性が向上した高強度鋼板を提供すべく鋭意研究した。
その結果、鋼の合金成分系及び製造条件を最適化することにより目標とする物性の確保に有利な組織を有することができ、これにより複雑な形状への加工が要求される自動車用の構造部材用などに適した鋼板を提供できることを確認し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一態様による耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板は、重量%で、炭素(C):0.06~0.2%、シリコン(Si):0.4~1.4%、マンガン(Mn):1.8~3.0%、酸可溶アルミニウム(Sol.Al):1.0%以下、モリブデン(Mo):0.4%以下、クロム(Cr):1.0%以下、アンチモン(Sb):0.06%以下、ボロン(B):0.01%以下、リン(P):0.1%以下、硫黄(S):0.01%以下を含むことができる。
以下では、本発明で提供する鋼板の合金組成を上記のように制限する理由について詳細に説明する。
一方、本発明で特に断らない限り、各元素の含有量は重量を基準とし、組織の割合は面積を基準とする。
炭素(C):0.06~0.2%
炭素(C)は、変態組織の強化のために添加される非常に重要な元素である。このようなCは、鋼の高強度化を図り、複合組織鋼においてマルテンサイトの形成を促進する。上記Cの含有量が増加すると、マルテンサイトの量が増加する。
上記Cの含有量が0.2%を超えると、マルテンサイトの形成による強度は高くなるが、炭素濃度の低いフェライトとの強度差が大きくなる。このような強度差は、塑性変形時に相間の界面で破壊が発生しやすいため、延性と加工硬化率が低下するという問題がある。また、溶接性に劣るため部品加工時に溶接欠陥が発生し、溶接時にLME(Liquid Metal Embrittlement)割れが発生し、部品性能を阻害する。一方、上記Cの含有量が0.06%未満であると、目標レベルの強度を確保することが難しく、延性に必要な一定分率の残留オーステナイト相が確保し難くなる。
したがって、本発明において、上記Cは0.06~0.20%を含むことができ、より有利には0.08%以上、0.18%以下で含むことができる。
シリコン(Si):0.4~1.4%
シリコン(Si)は、フェライト安定化元素であって、フェライトの変態を促進させ、未変態オーステナイト内に炭素(C)の濃縮を助長してマルテンサイトの形成に寄与する元素である。また、上記Siは、固溶強化能に優れ、フェライトの強度を高めて相(phase)間の硬度差を減らす上で効果的である。そして、ベイナイト領域での保持時、ベイナイト内に炭化物の析出を効果的に抑制させることにより、未変態オーステナイトへのC濃縮を助長し、低温急冷時にマルテンサイトの変態を遅延させることで延性に必要な残留オーステナイトを形成するため、鋼板の延性向上に有用な元素である。すなわち、上記Siは、鋼板の延性を低下させることなく強度を確保できる有用な元素である。
このようなSiの含有量が1.4%を超えると、表面スケール欠陥を誘発してめっき表面品質に悪影響を及ぼし、化成処理性を阻害し、溶接性が劣化して部品の加工時に溶接欠陥が発生するという問題がある。特に、溶接時にLME割れが発生して部品性能を低下させる。一方、その含有量が0.4%未満であると、延性に必要な一定分率の残留オーステナイト相を確保することが難しく、固溶硬化能が劣り、フェライトの強度が低くなるため、相間の硬度差を減らすのに限界がある。
したがって、本発明において、上記Siは0.4~1.4%で含むことができ、より有利には0.5%以上、1.2%以下で含むことができる。
マンガン(Mn):1.8~3.0%
マンガン(Mn)は延性の低下なしに粒子を微細化させ、鋼中の硫黄(S)を完全にMnSとして析出させてFeSの生成による熱間脆性を防止するとともに、鋼の強化に有効な元素である。また、上記Mnは、複合組織鋼においてマルテンサイト相が得られる臨界冷却速度を下げることにより、マルテンサイトの形成をより容易にする。
このようなMnの含有量が1.8%未満であると、本発明で目標とする強度の確保に困難がある。一方、その含有量が3.0%を超えると、溶接性、熱間圧延性などの問題が発生する可能性が高く、マルテンサイトが過剰に形成され、材質が不安定になるだけでなく、組織内にマンガン酸化物帯(Mn-Band)が形成され、加工クラック、板破断などの欠陥を引き起こす危険性が高くなる。そして、焼鈍過程でMn酸化物が表面に溶出して表面品質を大きく阻害するという問題がある。
したがって、本発明において、上記Mnは1.8~3.0%で含むことができ、より有利には2.0%以上、2.9%以下で含むことができる。
酸可溶アルミニウム(Sol.Al):1.0%以下
酸可溶アルミニウム(Sol.Al)は、鋼の粒度微細化と脱酸のために添加される元素であって、Siと同様にフェライト安定化元素である。上記Alは、フェライト内の炭素をオーステナイトに分配してマルテンサイトの硬化能を向上させる上で有用な元素である。また、焼鈍中、ベイナイト領域での保持時、ベイナイト内に炭化物の析出を効果的に抑制させることで未変態オーステナイトへのC濃縮を助長し、低温急冷時にマルテンサイト変態を遅延させ、残留オーステナイト相を生成させて鋼板の延性を向上させることができる。
このようなAlの含有量が1.0%を超えると、製鋼の連鋳操業時に介在物が過度に形成され、鋼板の表面で表面不良が発生する可能性が高くなるだけでなく、製造コストの上昇を招くという問題がある。さらに、溶接性に劣り、部品加工時に溶接欠陥が発生するおそれがある。
したがって、上記Alは1.0%以下で含むことができ、0%は除く。より有利には0.01%以上で含むことができる。
モリブデン(Mo):0.4%以下
モリブデン(Mo)は、オーステナイトがパーライトに変態することを遅延させるとともに、フェライトの微細化及び強度を向上させる元素である。このようなMoは、鋼の硬化能を向上させ、マルテンサイトを結晶粒界に微細に形成させて降伏比の制御が可能であるという利点を有する。但し、高価な元素であって、その含有量が高くなるほど製造コストが上昇し、経済的に不利である。
上述の効果を十分に得るためには、上記Moを最大0.4%添加することができる。上記Moの含有量が0.4%を超えると、合金コストの急激な上昇を招くため経済性が低下し、結晶粒微細化及び固溶強化の効果が過剰に発生し、むしろ鋼の延性が低下するという問題がある。
したがって、本発明において、上記Moは0.4%以下で含むことができる。本発明は、上記Moを添加しなくても意図する微細組織、物性等の確保には無理がないため、0%であってもよい。但し、上記Moの添加時、より有利には0.01%以上で含むことができる。
クロム(Cr):1.0%以下
クロム(Cr)は、鋼の硬化能を向上させ、高強度を確保するために添加する元素であって、マルテンサイトの形成に重要な役割を果たす。また、強度上昇に対する伸び率の低下を最小限に抑え、高延性を有する複合組織鋼の製造に有利である。
このようなCrの含有量が1.0%を超えると、上述の効果が飽和するだけでなく、熱延強度が過度に増加して冷間圧延性が劣化するという問題がある。また、Cr系炭化物が過剰に形成され粗大化することで、焼鈍後のマルテンサイトのサイズが粗大になり、伸び率の低下を招くという問題がある。
したがって、本発明において、上記Crは1.0%以下で含むことができる。本発明において、上記Crを添加しなくても意図する微細組織、物性等の確保には無理がないため、0%であってもよい。但し、上記Crの添加時、より有利には0.1%以上で含むことができる。
アンチモン(Sb):0.06%以下
アンチモン(Sb)は、結晶粒界に分布し、Mn、Si、Alなどの酸化性元素の結晶粒界を介した拡散を遅延させることにより、酸化物の表面濃化を抑制する。また、温度上昇及び熱延工程の変化による表面濃化物の粗大化を抑制する上で卓越な効果がある。このようなSbの含有量が0.06%を超えると、上述の効果が飽和するだけでなく、製造コストの上昇を招き、加工性が劣化するという問題がある。
したがって、上記Sbは0.06%以下で含むことができる。本発明は、上記Sbを添加しなくても意図する微細組織、物性等の確保には無理がないため、0%であってもよい。但し、上記Sbの添加時、より有利には0.01%以上で含むことができる。
ボロン(B):0.01%以下
ボロン(B)は、焼鈍中、冷却過程でオーステナイトがパーライトに変態することを遅延させる元素であって、フェライトの形成を抑制し、マルテンサイトの形成を促進する硬化能元素である。このようなBの含有量が0.01%を超えると、鋼の表面にBが過度に濃化してめっき密着性等を劣化させるという問題がある。
したがって、上記Bは0.01%以下で含むことができる。本発明は、上記Bを添加しなくても意図する微細組織、物性等の確保には無理がないため、0%であってもよい。但し、上記Bの添加時、より有利には0.0005%以上で含むことができる。
リン(P):0.1%以下
リン(P)は、固溶強化効果が大きい置換型元素であって、面内異方性を改善し、成形性を大きく損なうことなく強度の確保に最も有利な元素である。しかし、上記Pの含有量が過剰である場合、脆性破壊が発生する可能性が大きく増加し、熱間圧延中にスラブの板破断が発生する可能性及びめっき表面特性を阻害するという問題がある。
したがって、上記Pは0.1%以下で含むことができ、鋼の製造過程中に不可避に添加されるレベルを考慮して0%は除くことができる。
硫黄(S):0.01%以下
硫黄(S)は、鋼中に不可避に添加される不純物であって、延性及び溶接性を阻害する元素であるため、その含有量をできるだけ低く管理することが有利である。特に、赤熱脆性を発生させる可能性が高いため、その含有量を0.01%以下に制御することが好ましい。但し、鋼の製造過程中に不可避に添加されるレベルを考慮して0%は除くことができる。
本発明の鋼板は、上述した合金組成に加えて、鋼板の機械的物性をさらに向上させるための目的で、Ti及びNbのうち1種以上をさらに含むことができる。
チタン(Ti):0.05%以下及びニオブ(Nb):0.05%以下
チタン(Ti)及びニオブ(Nb)は、鋼の強度上昇及びナノ析出物の形成による結晶粒微細化において有効な元素である。これらの元素を添加すると、炭素と結合して非常に微細なナノ析出物を形成し、このようなナノ析出物は基地組織を強化させ、相(phase)間の硬度差を減少させる役割を果たす。
このようなTi及びNbの添加時、その含有量がそれぞれ0.05%を超えると、製造コストが上昇し、析出物が過度に形成されて延性が大きく低下するという問題がある。
したがって、上記TiとNbのうち1種以上を添加する場合、それぞれ0.05%以下で含むことができる。
本発明の残りの成分は鉄(Fe)である。但し、通常の製造過程では、原料又は周囲環境から意図しない不純物が不可避に混入する可能性があるため、これを排除することはできない。これらの不純物は、通常の製造過程における技術者であれば、誰でも分かるものであるため、本明細書では、特にその全ての内容について言及しない。
上述の合金組成を満たす本発明の鋼板は、上記C、Si及びAlの含有量の関係が下記関係式1を満たすことが好ましい。
[関係式1]
(8×C)+(1.1×Si)+(0.8×Al)≧1.7
(ここで、各元素は重量含有量を意味する。)
鋼中のSiとAlは、フェライト安定化元素であって、フェライト変態を促進させ、未変態オーステナイトへのC濃縮を助長することにより残留オーステナイト及びマルテンサイトの形成に寄与する元素である。Cも未変態オーステナイトへのC濃縮を助長することによりマルテンサイトの形成及び分率調整に寄与する元素である。
具体的に、上記関係式1の値が1.7以上に制御されると、延性に寄与し得る残留オーステナイトの分率を確保することができ、これにより鋼板の延性及び成形性の向上を図ることができる。一方、上記関係式1を満たさない場合、残留オーステナイト分率が十分でなく、生成した残留オーステナイトの分布が均一にならず、延性及び成形性の確保が難しくなる。
具体的に後述するが、本発明は、上述した合金成分系と共に、鋼板の製造工程を最適化することにより生成された残留オーステナイトを硬質相(hard phase)の周辺に微細に分布させることで、局所的な応力集中を緩和させることができ、これにより延性の向上に加え、優れた成形性を確保することができる。
本発明の鋼板は、微細組織として、テンパードマルテンサイトとベイナイト相を面積分率の合計で40~80%、残留オーステナイト相を3~15%、残部フェライト及びフレッシュマルテンサイト相を含むことができる。
本発明において、上記テンパードマルテンサイトとベイナイト組織は強度に寄与する効果の他にも、残留オーステナイトの形成に役立つ。具体的に、鋼中にSiとAlを添加する場合、ベイナイト変態時に炭化物の析出を遅延させることにより、ベイナイト周辺の未変態オーステナイトに炭素(C)を蓄積させることで、マルテンサイト変態温度が常温以下に低下する。このとき、常温で残留オーステナイトを確保することができる。また、マルテンサイトを焼戻しする場合、マルテンサイト内に導入されていた炭素(C)が周辺の未変態オーステナイトに移動して蓄積することで、マルテンサイト変態温度が常温以下に低下し、やはり常温で残留オーステナイトを確保することができる。
これにより、本発明の鋼板は残留オーステナイト相を3~15%で含むことができる。上記残留オーステナイト相を3%以上確保することで、成形中に変態誘起塑性を起こして鋼板の延性確保に有利である。但し、その分率が過度になると、めっき鋼板を自動車部品等に組み立てるためのスポット溶接時に、液体金属脆性(LME)に脆弱になるという傾向がある。したがって、上記残留オーステナイト相は15%以下で含むことが好ましい。
一方、上記残留オーステナイト相は、全残留オーステナイト分率(A)のうち、テンパードマルテンサイトとベイナイトに隣接している残留オーステナイト(ATM+B)の占有率(ATM+B/A)が90%以上である特徴がある。
ここで、テンパードマルテンサイトとベイナイトに隣接するとは、これらの相の周辺、より具体的に、これらの相の界面部位を指すことができる。一例として、図2に示すように、テンパードマルテンサイトとベイナイト相の粒界周辺部に残留オーステナイト相が主に分布することを意味する。
上記のように残留オーステナイト相をテンパードマルテンサイトとベイナイトの周辺に微細かつ均一に分布させることにより、局所的な応力集中を緩和させる効果により延性を向上させることができ、結果的に、部品成形時にクラックが発生することなく優れた成形性を確保することができる。
上記テンパードマルテンサイトとベイナイトの合計分率が40%未満であると、残留オーステナイトをテンパードマルテンサイトとベイナイトの周辺に均一に分布させることができなくなり、その量も少なくなるため、成形性の向上が図れなくなる。一方、その分率が80%を超えると、延性に寄与するフェライトの分率が著しく低下するだけでなく、残留オーステナイトの分率も低くなり延性及び成形性を向上させることができなくなる。
より有利には、上記合計分率のうち、上記テンパードマルテンサイト相は25~65%で含むことができる。
本発明では、上述したテンパードマルテンサイト、ベイナイト及び残留オーステナイト相以外に、フェライトとフレッシュマルテンサイト相を含むことができる。このとき、上記フェライト相は40%以下、フレッシュマルテンサイト相は20%以下で含むことができる。ここで、上記フェライト相とフレッシュマルテンサイト相は0%を排除する。
上記フェライト相の分率が40%を超えると、目標レベルの強度が確保できないだけでなく、降伏比の向上も困難になるという問題がある。また、上記フレッシュマルテンサイト相の分率が20%を超えると、残留オーステナイト相の分率が低くなって延性が低下するという問題があり、成形性が確保できなくなる。
上述した合金成分系と微細組織を有する本発明の鋼板は、引張強度980MPa以上と高強度を有するだけでなく、降伏比が0.6~0.9、伸び率が10%以上、穴拡げ性が20%以上である効果がある。上記降伏比が0.6未満であると穴拡げ性が劣り、一方、0.9を超えると延性が低下する。
さらに、本発明の鋼板は、降伏比、伸び率及び引張強度間の関係が、下記関係式2を満たすことにより、高降伏比と高延性を同時に有する鋼板を提供することができる。
鋼板の高降伏比は、素材の耐衝突性能に優れるようになり、車両の衝突時に安定性向上に寄与することができ、高延性は、部品へのプレス加工時に発生するクラック及びシワなどの加工欠陥を防止し、優れた成形性を確保することができる。
本発明では、下記関係式2の値が9以上の場合、耐衝突性能と成形性を同時に確保できるのに対し、その値が9未満の場合には、耐衝突性と成形性を同時に確保することができなくなる。
[関係式2]
(YR×El×1000)/TS≧9
(ここで、各物性の単位は排除する。)
上記のような機械的物性を有する本発明の鋼板は、部品への加工時におけるクラック、シワ等のような加工欠陥を防止することができ、複雑な形状を有する自動車用の構造部材用として多様に利用することができる。さらに、衝突時の耐衝突性とクラック発生を遅延させることで、構造部品及び車両の安全性向上に寄与することができる。
一方、本発明の鋼板は冷延鋼板であってもよく、上記冷延鋼板の少なくとも一面に亜鉛系めっき層を含む溶融亜鉛めっき鋼板、上記溶融亜鉛めっき鋼板を合金化処理した合金化溶融亜鉛めっき鋼板であってもよい。
特に限定するものではないが、上記亜鉛系めっき層は、亜鉛を主に含有する亜鉛めっき層、亜鉛以外にアルミニウム及び/又はマグネシウムを含有する亜鉛合金めっき層であってもよい。
以下、本発明の他の一態様である、本発明で提供する耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板を製造する方法について詳細に説明する。
簡略に言えば、本発明は、[鋼スラブ再加熱-熱間圧延-巻取り-冷却-冷間圧延-連続焼鈍-冷却-再加熱及び保持]の工程を経て目的とする鋼板を製造することができ、その後、[溶融亜鉛めっき-合金化熱処理]などの工程をさらに行うことができる。
各段階別の条件については、下記で詳細に説明する。
[鋼スラブ加熱]
まず、上述した合金成分系を全て満たす鋼スラブを用意した後、これを加熱することができる。本工程は、後続の熱間圧延工程を円滑に行い、目標とする鋼板の物性を十分に得るために行われる。
上記加熱工程は、1050~1250℃の温度範囲で行うことができる。上記加熱温度が1050℃未満であると、鋼板と圧延機との間で摩擦が増加し、熱間圧延時にローラに負荷される荷重が急激に増加するという問題がある。一方、その温度が1250℃を超えると、温度上昇のために要求されるエネルギーコストが増加するだけでなく、表面スケールの量が増加して材料の損失につながる可能性がある。
したがって、上記加熱工程は1050~1250℃の温度範囲で行うことができる。
[熱間圧延]
上記に従って加熱された鋼スラブをAr3変態点以上で仕上げ熱間圧延して熱延鋼板を製造することができ、このとき、出口側温度はAr3~Ar3+50℃を満たすことが好ましい。
上記仕上げ熱間圧延時の出口側温度がAr3未満であると、フェライト及びオーステナイトの2相域圧延が行われ、材質の不均一を招くおそれがある。一方、その温度がAr3+50℃を超えると、高温圧延による異常粗大粒の形成により材質の不均一が生じるおそれがあり、これによって後続の冷却時にコイル歪み現象が発生するという問題がある。
より具体的に、上記仕上げ熱間圧延は800~1000℃の温度範囲で行うことができる。
[巻取り]
上記に従って製造された熱延鋼板を巻き取ることができ、このとき400~700℃の温度範囲で行うことができる。
上記巻取り温度が400℃未満であると、熱延鋼板の強度が過度に高くなり、後続の冷間圧延時に圧延負荷を誘発する可能性がある。また、熱間圧延された鋼板を巻取り温度まで冷却するためのコスト及び時間が過度にかかり、工程コストが上昇する原因となる。一方、その温度が700℃を超えると、熱延鋼板の表面にスケールが過度に発生して表面欠陥を誘発する可能性が高く、めっき性が弱くなる原因となる。
したがって、上記巻取り工程は400~700℃の温度範囲で行うことができる。
[冷却]
上記巻き取られた熱延鋼板を常温まで0.1℃/s以下(0℃/sを除く)の平均冷却速度で冷却することが好ましい。より有利には0.05℃/s以下、さらに有利には0.015℃/s以下の平均冷却速度で行うことができる。ここで、冷却とは平均冷却速度を意味する。
このように、巻き取られた熱延鋼板を一定速度で冷却することにより、オーステナイトの核生成サイト(site)となる炭化物を微細に分散させた熱延鋼板を得ることができる。すなわち、熱延過程で微細な炭化物を鋼内に均一に分散させ、その後の焼鈍時に、この炭化物が溶解しながら鋼中にオーステナイト相を微細に分散及び形成させることができる。これにより焼鈍が完了した後には均一に分散された微細マルテンサイト相が得られる。
[冷間圧延]
上記に従って巻き取られた熱延鋼板を冷間圧延し、冷延鋼板として製造することができる。このとき30~80%の冷間圧下率(総圧下率)で行うことができる。
特に、本発明は、上記冷間圧延時の初期スタンド、好ましくは1~3番スタンドの累積圧下率を20%以上に制御することで、鋼の内部に貯蔵されるエネルギー(stored engergy)を高めることにより、後続の焼鈍過程でフェライトの再結晶を促進する駆動力として作用する効果を得ることができる。これにより、鋼中に未再結晶フェライトの分率を下げる効果を付与することができる。
鋼中に未再結晶フェライトが存在する場合、局所的に変形及び応力が集中して鋼の延性が劣るのに対し、再結晶フェライトは変形及び応力の集中を緩和させることで延性向上に寄与する。
上記冷間圧延時に、初期1~3番スタンドの累積圧下率が20%未満であるか、又は最終スタンドまでの冷間圧下率(総圧下率)が30%未満であると、目標とする厚さの確保が難しいだけでなく、鋼板の形状矯正が難しくなるという問題がある。また、未再結晶フェライトの分率が高くなり延性が低下するという問題がある。一方、上記冷間圧延時に、最終スタンドまでの冷間圧下率が80%を超えると、強度が高くなり冷間圧延時にロールの負荷をもたらすという問題があり、鋼板のエッジ(edge)部でクラックが発生する可能性が高くなるという問題がある。
本発明において、上記冷間圧延は、5又は6個のスタンドで構成される圧延機を用いて実施することができるが、これに限定されるものではないことを明らかにする。
[連続焼鈍]
上記に従って製造された冷延鋼板を連続焼鈍処理することが好ましい。上記連続焼鈍処理は、一例として、連続合金化溶融めっき炉で行うことができる。
上記連続焼鈍段階は、再結晶と同時にフェライトとオーステナイト相を形成し、炭素を分解するための工程である。
上記連続焼鈍処理は、Ac1+30℃~Ac3+30℃の温度範囲で行うことが好ましく、より有利には800~870℃の温度範囲で行うことができる。
上記連続焼鈍時の温度がAc1+30℃未満であると、十分な再結晶が行われず、さらに、十分なオーステナイトの形成が難しくなり、焼鈍後に目標レベルのマルテンサイト相及びベイナイト相の分率が確保できない。一方、その温度がAc3+30℃を超えると、オーステナイト結晶粒のサイズが粗大になり、微細な残留オーステナイト相を硬質相の周辺に均一に形成することができなくなる。また、生産性が低下し、高温焼鈍によるSi、Mn、Bなどの溶融亜鉛めっきの濡れ性を低下させる元素によって表面濃化物の形成が激しくなり、めっき表面品質が確保できない。
[段階的冷却]
上記によって連続焼鈍処理された冷延鋼板を段階的に冷却することが好ましい。
具体的に、上記冷却は、450~700℃まで10℃/s以下(0℃/sを除く)の平均冷却速度で冷却(このときの冷却を1次冷却と呼ぶ)した後、250~500℃まで3℃/s以上の平均冷却速度で冷却(このときの冷却を2次冷却と呼ぶ)することが好ましい。
1次冷却
本発明は、最終組織としてテンパードマルテンサイトとベイナイト相を面積分率の合計40~80%で形成する際に、後続の2次冷却過程で終了温度を制御することにより、この際に生成されるマルテンサイトとベイナイトの分率を制御することができる。
具体的に、後続の2次冷却をMs(マルテンサイト変態開始温度)以下で終了する場合、相対的にマルテンサイト相を多量に形成することができるが、そのためには、上記1次冷却の終了温度をできるだけ低く制御することが有利である。また、後続の2次冷却をベイナイト温度領域で終了させると、相対的にベイナイト相を有利に形成することができるが、そのためには、上記1次冷却の終了温度をより高く制御することが有利である。
好ましくは、後続の2次冷却をMs以下で終了する場合、上記1次冷却は450~600℃の温度範囲まで行うことができ、後続の2次冷却をベイナイト温度領域で終了する場合、上記1次冷却を550~700℃の温度範囲まで行うことが好ましい。
上記1次冷却時の終了温度が450℃未満であると、焼鈍炉内の雰囲気ガスを冷却させる設備に大きな負荷となり、冷却速度が速くなって冷却中に生成されるフェライト相を十分に確保できなくなる。一方、上記終了温度が700℃を超えると、後続の冷却(2次冷却)時に過度に高い冷却速度が要求されるという欠点がある。
また、上記1次冷却時の平均冷却速度が10℃/sを超えると、炭素の拡散が十分に行われなくなる。一方、生産性を考慮して上記1次冷却は1℃/s以上の平均冷却速度で行うことができる。
2次冷却
上述した条件で1次冷却を完了した後、2次冷却を行うことが好ましいが、このとき、冷却終了温度と冷却速度を制御することにより目標とする微細組織を形成するように誘導することができる。
上記2次冷却時にMs以下で冷却を行うと、焼入れ(quenching)マルテンサイトを形成することになり、その温度が低いほど焼入れマルテンサイトの分率が高くなり鋼板の強度向上を誘導することができる。また、後続の熱処理(本発明の再加熱工程である)の過程で焼戻しされてテンパードマルテンサイトとなり、マルテンサイト内に過飽和された炭素が、周辺の未変態オーステナイトに分配されて残留オーステナイトの安定性を高め、延性の向上を図ることができる。
上記2次冷却時にMsを超える温度で冷却を行うと、ベイナイト分率を高めることができる。このとき、ベイナイト変態過程でSi、Alの効果により炭化物の析出が遅延され、ベイナイトから周辺の未変態オーステナイトへの炭素が分配されることで残留オーステナイトの安定性が高くなり、延性を向上させることができる。
上記2次冷却の終了温度が250℃未満であると、焼入れマルテンサイトの分率が過度に増加して、むしろ残留オーステナイト相の分率が減少し、鋼板の形状が劣化するという問題がある。一方、その温度が500℃を超えると、ベイナイトが十分に形成されず、残留オーステナイト相の分率が減少し、後続過程でフレッシュマルテンサイト相の分率が大きく増加して強度が過度に高くなるという問題がある。より有利には、上記2次冷却を400℃以下で終了することができる。
また、上記2次冷却時の平均冷却速度が3℃/s未満であると、パーライト相が形成されるため、ベイナイト相が目標レベルに形成されないおそれがある。一方、上記平均冷却速度の上限は特に限定されず、通常の技術者が冷却設備の仕様を考慮して適宜選択することができる。一例として、100℃/s以下で行うことができる。
さらに、上記2次冷却は水素ガス(Hガス)を用いる水素冷却設備を利用することができる。このように、水素冷却設備を用いて冷却を行うことにより、上記2次冷却時に発生し得る表面酸化を抑制する効果が得られる。このとき、上記水素冷却設備は、60~70%の水素(H)と残部窒素(N)で制御されることができる。
一方、上述したように、段階的に冷却を行う際には、1次冷却時の冷却速度よりも2次冷却時の冷却速度を速く行うことができる。
保持
上記に従って2次冷却を完了した後、冷却された温度範囲で30秒以上保持する工程をさらに行うことができる。
上記保持工程により、焼入れマルテンサイトを焼戻し、又はベイナイト変態量をより増加させる効果を得ることができる。上記保持時間が30秒未満であると、上述の効果が期待しにくくなる。
[再加熱及び保持]
上記に従って段階的冷却が完了した冷延鋼板を再加熱及び保持する工程により、本発明で意図する微細組織を形成することができる。具体的に、上記2次冷却された冷延鋼板を490℃以下の温度に再加熱して30秒以上保持する工程を経ることが好ましい。
上述の温度に再加熱して保持することにより、以前の冷却過程で生成された焼入れマルテサイトがテンパードマルテンサイトに変態できるとともに、ベイナイト変態も伴うようになる。
上記焼戻し過程でマルテンサイト内に過飽和していた炭素が、周辺の未変態オーステナイトに再分配される。また、上記2次冷却がMs超で終了した場合には、上記再加熱及び保持過程でベイナイト分率が大きく増加するが、この過程でベイナイトから排出された炭素が未変態オーステナイトに再分配されることで、残留オーステナイトの安定性が向上して延性が高くなる効果を得ることができる。
さらに、上記再加熱及び保持過程で、テンパードマルテンサイトとベイナイトに転位が固着して降伏強度が高くなり、その結果、0.6~0.9の降伏比を有する鋼板が得られるようになる。
但し、上記再加熱時に温度が過度に高くなると、テンパードマルテンサイトとベイナイト内の炭化物が粗大化して強度が低くなり、粗大な炭化物の形成による未変態オーステナイトへの炭素再分配効果が減少し、残留オーステナイト分率が減少し、結局、延性の向上が期待しにくくなる。
したがって、上記再加熱温度を490℃以下に制限することができ、より有利には350℃以上であることができる。
上記のように490℃以下に再加熱された冷延鋼板を、その温度で30秒以上保持することにより、上述した効果が十分に実現されるようにすることが好ましい。
上記保持時、その時間が過度になって5分を超えると、マルテンサイトの焼戻し効果が過度になり、強度が低下するという問題がある。
本発明は、上述した合金成分系及び製造条件を最適化することにより、微細組織としてテンパードマルテンサイト及びベイナイトを基地組織にして形成させながら、一定分率の残留オーステナイトを上記テンパードマルテンサイト及びベイナイトの周辺に微細かつ均一に形成させることで、既存のDP鋼に比べて降伏比及び延性を増加させ、鋼板の部品加工のための成形性及び車両衝突時の耐衝突性能を向上させることができる。このように精密制御した本発明の鋼板は、既存のDP鋼に比べて降伏比を保持しながらも延性を確保することができる。結果的に、優れた延性及び穴拡げ性、成形性、耐衝突性能を有する高強度鋼板を提供することができる。
一方、本発明は、上記に従って製造された冷延鋼板をめっき処理することにより、めっき鋼板を提供することができる。
[溶融亜鉛めっき]
上記に従って再加熱及び保持工程を経た後、鋼板を溶融亜鉛系めっき浴に浸漬して溶融亜鉛系めっき鋼板を製造することが好ましい。
このとき、溶融亜鉛めっきは通常の条件で行うことができるが、一例として、430~490℃の温度範囲で行うことができる。また、上記溶融亜鉛めっき時の溶融亜鉛系めっき浴の組成については特に限定されず、純粋な亜鉛めっき浴であってもよく、Si、Al、Mg等を含む亜鉛系合金めっき浴であってもよい。
[合金化熱処理]
また、必要に応じて、溶融亜鉛系めっき鋼板を合金化熱処理することにより、合金化溶融亜鉛系めっき鋼板を得ることができる。本発明では、合金化熱処理工程条件については特に限定せず、通常の条件であればよい。一例として、480~600℃の温度範囲で合金化熱処理工程を行うことができる。
また、さらに、上記溶融亜鉛めっき又は合金化熱処理後に最終冷却及び調質圧延工程を行うことができる。
[最終冷却]
上記に従って溶融亜鉛めっき又は合金化熱処理された鋼板を最終冷却し、フレッシュマルテンサイトをさらに導入することができる。このとき、上記最終冷却は、3℃/s以上の冷却速度で常温まで行うことが好ましい。
上記冷却時の冷却速度が3℃/s未満であると、冷却過程で意図するレベルのフレッシュマルテンサイト相を確保することができない。一方、上記冷却速度の上限は特に限定しないが、一定分率のフレッシュマルテンサイト相の形成のために50℃/s以下で行うことができる。
[調質圧延]
さらに、必要に応じて、最終冷却された溶融亜鉛系めっき鋼板又は合金化溶融亜鉛系めっき鋼板を調質圧延することにより、鋼中に多量の転位を形成して焼付硬化性をより向上させることができる。このとき、圧下率は2%未満(0%を除く)であることが好ましい。仮に、圧下率が2%以上の場合には、転位形成の面では有利であるが、設備能力の限界により板破断の発生など、副作用が発生する可能性がある。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。但し、下記の実施例は、本発明を例示してより詳細に説明するためのものであり、本発明の権利範囲を限定するためのものではないことに留意する必要がある。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載された事項及びこれにより合理的に類推される事項によって決定されるものである。
下記表1の合金組成を有する鋼スラブを1050~1250℃の温度で加熱した後、それぞれの加熱されたスラブをAr3~Ar3+50℃で仕上げ熱間圧延して熱延鋼板を製造した。その後、各熱延鋼板を400~700℃で巻き取った後、0.1℃/s以下の冷却速度で常温まで冷却した。その後、冷却された熱延鋼板を45~75%の冷間圧下率で冷間圧延して冷延鋼板を製造した。
上記冷間圧延時に、6個のスタンドで構成された圧延機で行い、スタンド1~3の累積圧下率を下記表2に示す条件で実施した。
その後、それぞれの冷延鋼板を下記表2に示す条件で連続焼鈍処理した後、段階的冷却(1次-2次冷却及び保持)を行った。2次冷却及び保持工程が完了した後、490℃以下の温度に再加熱して、その温度で保持する工程を行った。上記2次冷却後に保持する工程は30秒間行った。
その後、430~490℃の溶融亜鉛めっき浴で亜鉛めっき処理して、5℃/sの冷却速度で常温まで最終冷却した後、2%未満に調質圧延して溶融亜鉛系めっき鋼板を製造した。このとき、一部の鋼については、上記亜鉛めっき処理後に合金化熱処理を行った。
Figure 2024541988000002
Figure 2024541988000003
上記に従って製造された各鋼板の微細組織を観察して下記表3に示した。このとき、各鋼板の微細組織は、鋼板の板厚の1/4t(t:鋼板の厚さ(単位mm))地点でナイタル(Nital)腐食後、FE-SEMとイメージ分析器(Image analyzer)、EBSD、XRDを用いてテンパードマルテンサイト(TM)、ベイナイト(B)、フェライト(F)、フレッシュマルテンサイト(FM)及び残留オーステナイト(A)の分率を測定した。このとき、残留オーステナイトの占有率についてもEBSDを用いて測定した。
また、各鋼板の引張試験のために採取された試験片について、DIN規格を用いてL方向に引張物性を評価した。
そして、穴拡げ性(HER)は、ISO 16630の手順に従って直径10mmの円形に打ち抜かれた穴(Hall)を円錐型パンチで試験片にクラックが発生するまで押し上げ、初期穴の直径と変更後の穴の直径との比を測定し、以下の式を用いて算出した。
[式]
穴拡げ率(HER、%)={(D-D)/D}×100
(ここで、Dは割れが厚さ方向に沿って鋼板を貫通したときの孔径(mm)を意味し、Dは初期の孔径(mm)を意味する。)
Figure 2024541988000004
表1~3に示すように、本発明で提案する合金成分系及び製造条件を全て満たす発明例1~6は、意図したとおり、テンパードマルテンサイト相とベイナイト相が合計40~80面積%で形成され、残留オーステナイト相が主に上記テンパードマルテンサイト相とベイナイト相の周辺に形成された。これにより、980MPa以上の高強度だけでなく降伏比が0.6~0.9を満たし、10%以上の伸び率と20%以上の穴拡げ性が確保された。
すなわち、本発明により製造された鋼板は強度と延性が同時に大きく向上し、特に、関係式2の値を満たすことにより、本発明で目標とする耐衝突性能及び成形性を確保できることが分かる。
一方、本発明で提案する関係式1から外れ、製造条件を満たさない比較鋼1~5は、意図するような微細組織が形成されず、少なくとも一つ以上の物性が劣っていた。
比較鋼1は、フェライト相が過剰になり、目標レベルの強度を確保することができず、穴拡げ性に劣り、関係式2から外れているため耐衝突性能及び成形性の確保が不可能であった。
比較鋼2及び5は、フレッシュマルテンサイト相が過度に形成されて高強度は確保可能であるのに対し、関係式2から外れているため耐衝突性能及び成形性が確保できなかった。
比較鋼3は、フェライト相が僅かであり、残留オーステナイト相が硬質相の周辺に形成されないため延性が大きく低下した。
比較鋼4は、残留オーステナイト相が硬質相の周辺に形成されず、相対的に伸び率が低く、これにより関係式2から外れることになり、耐衝突性能及び成形性の確保が不可能であった。
図1は、関係式1の値による機械的物性(関係式2)の変化をグラフ化して示したものである。
図1に示すように、本発明で提案する関係式1の値が1.7以上を満たす場合、関係式2の値を9以上に確保できることが分かる。
図2は、発明鋼4の微細組織をEBSDで測定した写真を示したものである。
図2に示すように、テンパードマルテンサイト相とベイナイト相の周辺に残留オーステナイト相が主に形成されたことが確認でき、フェライト相とフレッシュマルテンサイト相が適切に形成されたことが分かる。

Claims (15)

  1. 重量%で、炭素(C):0.06~0.2%、シリコン(Si):0.4~1.4%、マンガン(Mn):1.8~3.0%、酸可溶アルミニウム(Sol.Al):1.0%以下、モリブデン(Mo):0.4%以下、クロム(Cr):1.0%以下、アンチモン(Sb):0.06%以下、ボロン(B):0.01%以下、リン(P):0.1%以下、硫黄(S):0.01%以下、残部Fe及びその他の不可避不純物を含み、
    前記C、Si及びAlは、下記関係式1を満たし、
    微細組織として、テンパードマルテンサイトとベイナイト相を面積分率の合計で40~80%、残留オーステナイト相を3~15%、残部フェライト及びフレッシュマルテンサイト相を含み、
    前記残留オーステナイト相は、全残留オーステナイト分率(A)のうち、テンパードマルテンサイトとベイナイトに隣接している残留オーステナイト(ATM+B)の占有率(ATM+B/A)が90%以上であることを特徴とする、耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板。
    [関係式1]
    (8×C)+(1.1×Si)+(0.8×Al)≧1.7
    (ここで、各元素は重量含有量を意味する。)
  2. 前記鋼板は、チタン(Ti):0.05%以下及びニオブ(Nb):0.05以下のうち1種以上をさらに含む、請求項1に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板。
  3. 前記フェライトは、面積分率40%以下で含む、請求項1に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板。
  4. 前記フレッシュマルテンサイトは、面積分率20%以下で含む、請求項1に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板。
  5. 前記鋼板は、引張強度980MPa以上、降伏比0.6~0.9、伸び率が10%以上、穴拡げ性が20%以上である、請求項1に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板。
  6. 前記鋼板は、降伏比、伸び率及び引張強度の関係が下記関係式2を満たす、請求項1に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板。
    [関係式2]
    (YR×El×1000)/TS≧9
    (ここで、各物性の単位は排除する。)
  7. 重量%で、炭素(C):0.06~0.2%、シリコン(Si):0.4~1.4%、マンガン(Mn):1.8~3.0%、酸可溶アルミニウム(Sol.Al):1.0%以下、モリブデン(Mo):0.4%以下、クロム(Cr):1.0%以下、アンチモン(Sb):0.06%以下、ボロン(B):0.01%以下、リン(P):0.1%以下、硫黄(S):0.01%以下、残部Fe及びその他の不可避不純物を含み、前記C、Si及びAlは、下記関係式1を満たす鋼スラブを1050~1250℃の温度範囲で加熱する段階と、
    前記再加熱された鋼スラブを仕上げ熱間圧延の出口側温度Ar3~Ar3+50℃の温度範囲で仕上げ熱間圧延して熱延鋼板を製造する段階と、
    前記熱延鋼板を400~700℃の温度範囲で巻き取る段階と、
    前記巻取り後、熱延鋼板を0.1℃/sの冷却速度で常温まで冷却する段階と、
    前記冷却後、熱延鋼板を総圧下率30~80%で冷間圧延して冷延鋼板を製造する段階と、
    前記冷延鋼板を連続焼鈍処理する段階と、
    前記連続焼鈍処理された冷延鋼板を450~700℃まで10℃/s以下の冷却速度で1次冷却する段階と、
    前記1次冷却後、250~500℃まで3℃/s以上の冷却速度で2次冷却する段階と、
    前記2次冷却された冷延鋼板を490℃以下の温度に再加熱して30秒以上保持する段階と、を含み、
    前記冷間圧延は、最初1~3番スタンドの累積圧下率20%以上で行うことを特徴とする、耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板の製造方法。
    [関係式1]
    (8×C)+(1.1×Si)+(0.8×Al)≧1.7
    (ここで、各元素は重量含有量を意味する。)
  8. 前記連続焼鈍処理は、Ac1+30℃~Ac3+30℃の温度範囲で行うものである、請求項7に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  9. 前記2次冷却時の冷却速度は、1次冷却時の冷却速度より速く行うものである、請求項7に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  10. 前記2次冷却は、水素(H)ガスを用いる水素急冷設備で行うものである、請求項7に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  11. 前記2次冷却後、30秒以上保持する段階をさらに含む、請求項7に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  12. 前記再加熱及び保持後、430~490℃のめっき浴で溶融亜鉛めっきする段階をさらに含む、請求項7に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  13. 前記溶融亜鉛めっき後、合金化熱処理する段階をさらに含む、請求項12に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  14. 前記溶融亜鉛めっき又は合金化熱処理後、平均冷却速度3℃/s以上で常温まで最終冷却する段階をさらに含む、請求項13に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  15. 前記最終冷却後、2%未満の圧下率で調質圧延する段階をさらに含む、請求項14に記載の耐衝突性能及び成形性に優れた高強度鋼板の製造方法。
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