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JP2024123569A - 燃料電池システム、水素生成装置 - Google Patents

燃料電池システム、水素生成装置 Download PDF

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JP2024123569A JP2023031103A JP2023031103A JP2024123569A JP 2024123569 A JP2024123569 A JP 2024123569A JP 2023031103 A JP2023031103 A JP 2023031103A JP 2023031103 A JP2023031103 A JP 2023031103A JP 2024123569 A JP2024123569 A JP 2024123569A
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佑輝 向原
快貴 森
貴洋 田村
道夫 西川
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Abstract

【課題】脱硫器に対して脱硫剤の還元に必要とされる量の還元剤を供給可能な燃料電池システムおよび水素生成装置を提供する。【解決手段】燃料電池システム1および水素生成装置は、改質用原料から燃料ガスを生成する改質器30と、改質用原料に含まれる硫黄成分を脱硫剤によって除去して改質器33へ供給する脱硫器32と、を備える。また、燃料電池システム1および水素生成装置は、酸化した脱硫剤を還元させる還元剤を脱硫器32へ供給する還元剤供給部と、改質器33への改質用原料の供給量および脱硫器32への還元剤の供給量を制御する制御部100と、を備える。そして、制御部100は、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量を求め、還元剤の必要量に応じて脱硫器32への還元剤の供給量を制御する。【選択図】図1

Description

本開示は、燃料電池システム、水素生成装置に関する。
従来、燃料電池システムにおいて、起動時に燃焼部の吹き消え状態が検出されると、改質用原料を増加させて、脱硫器への還元剤の供給量を増やすことで、酸化した脱硫剤の還元を促進して再起動させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-119187号公報
ところで、特許文献1に記載の燃料電池システムは、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量が定量的に把握されていないので、脱硫器へ供給する還元剤の過不足が生じる虞がある。例えば、脱硫剤を還元させるために改質用原料を増加させる場合に、脱硫器への還元剤の供給が少ないと、燃料電池への燃料ガスの供給量が過剰となることで、燃料電池システムの効率が低下する。また、脱硫器への還元剤の供給が多いと、燃料電池への燃料ガスの供給量が不足することで、バーナの失火等が生じてしまう。このことは、燃料電池システムに限らず、水素生成装置においても生じ得る。これらは、本発明者らの鋭意検討の末に見い出された。
本開示は、脱硫器に対して脱硫剤の還元に必要とされる量の還元剤を供給可能な燃料電池システムおよび水素生成装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、
燃料電池システムであって、
水素を含む燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により電気エネルギを出力する燃料電池(10)と、
改質用原料から燃料ガスを生成して燃料電池へ供給する改質器(33)と、
改質用原料に含まれる硫黄成分を脱硫剤によって除去して改質器へ供給する脱硫器(32)と、
酸化した脱硫剤を還元させる還元剤を脱硫器へ供給する還元剤供給部(50、50A、51、51A)と、
改質器への改質用原料の供給量および脱硫器への還元剤の供給量を制御する制御部(100)と、を備え、
制御部は、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量を求め、還元剤の必要量に応じて脱硫器への前記還元剤の供給量を制御する。
請求項10に記載の発明は、
水素を含む燃料ガスを生成する水素生成装置であって、
改質用原料から燃料ガスを生成する改質器(30)と、
改質用原料に含まれる硫黄成分を脱硫剤によって除去して改質器へ供給する脱硫器(32)と、
酸化した脱硫剤を還元させる還元剤を脱硫器へ供給する還元剤供給部(50、50A、51、51A)と、
改質器への改質用原料の供給量および脱硫器への還元剤の供給量を制御する制御部(100)と、を備え、
制御部は、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量を求め、還元剤の必要量に応じて脱硫器への還元剤の供給量を制御する。
これによると、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量を定量的に求めた上で、当該還元剤の必要量に応じて脱硫器への還元剤の供給量を制御するので、脱硫器に対して脱硫剤の還元に必要とされる量の還元剤を適切に供給することができる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。 燃料電池システムの制御部が実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。 第1実施形態の燃料電池システムにおける脱硫剤の還元の有無と燃料電池の電圧との関係を説明するための説明図であえる。 脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量の求め方を説明するための説明図である。 ガス循環流路を流れる燃料ガスの流量の求め方を説明するための説明図である。 第2実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第2実施形態の燃料電池システムにおける脱硫剤の還元の有無と燃料電池の電圧との関係を説明するための説明図であえる。 第3実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第3実施形態の燃料電池システムにおける脱硫剤の還元の有無と燃料電池の電圧との関係を説明するための説明図であえる。 第4実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1~図5を参照して説明する。本実施形態の燃料電池システム1は、図1に示すように、固体酸化物型の燃料電池10を備えている。固体酸化物型の燃料電池10は、一般的にSOFC(Solid Oxide Fuel Cell の略)とも呼ばれ、作動温度が高温(例えば、500℃~1000℃)となるものである。
燃料電池10は、複数の発電セルを積層したスタック構造を有し、燃料ガスおよび酸化剤ガス(本例では空気の酸素)の電気化学反応により電気エネルギを出力する。なお、発電セルの形状は、平板型および円筒型のいずれであってもよい。
発電セルは、固体酸化物電解質、空気極(すなわち、カソード)、燃料極(すなわち、アノード)を含んで構成されている。発電セルは、炭化水素系の燃料である都市ガス(すなわち、メタンを主成分とするガス)を改質して生成される水素および一酸化炭素を燃料ガスとしている。なお、使用する燃料は、炭化水素系のガスであれば、都市ガス以外のガスが採用されていてもよい。
燃料電池10は、以下の反応式F1、F2に示す水素および酸素の電気化学反応により電気エネルギを出力する。
(燃料極)2H+2O →2HO+4e …(F1)
(空気極)O+4e→2O …(F2)
また、燃料電池10は、以下の反応式F3、F4に示す一酸化炭素および酸素の電気化学反応により電気エネルギを出力する。
(燃料極)2CO+2O →2CO+4e …(F3)
(空気極)O+4e→2O …(F4)
燃料電池10は、後述する改質器33、燃焼器63等とともに断熱性を有するハウジングの内側に配置されている。
燃料電池10は、空気の導入部位に、空気の流通経路である空気供給流路20が接続されている。空気供給流路20は配管等によって構成される。空気供給流路20には、燃料電池10に空気を圧送する圧送ブロワ21と、燃料電池10に供給する空気を加熱する不図示の空気予熱器とが設けられている。
一方、燃料電池10は、燃料ガスの導入部位に、改質用原料や燃料ガスの流通経路である燃料供給流路30が接続されている。燃料供給流路30は配管等によって構成される。燃料供給流路30には、上流側から順に、燃料ポンプ31、脱硫器32、改質器33が設けられている。
燃料ポンプ31は、システム外部等から改質用原料である都市ガスを燃料電池10側に向けて供給するためのポンプである。燃料ポンプ31は、制御部100からの制御信号によって作動が制御される電動ポンプで構成されている。
脱硫器32は、改質用原料に含まれる硫黄成分を除去するための装置である。本実施形態の脱硫器32は、改質用原料に含まれる硫黄成分を水素と反応させて改質用原料から硫黄成分を除去する水添脱硫器が採用されている。水添脱硫器は、例えば、容器に脱硫剤が充填されて構成されるものである。脱硫剤として、例えば、硫黄化合物を硫化水素に変換する機能と硫化水素を吸着する機能を共に有するCuZn系触媒が用いることができる。なお、脱硫剤は、例えば、硫黄化合物を硫化水素に変換するCoMo系触媒と、硫化水素を吸着する吸着剤であるZnO系触媒のいずれか一方で構成されていてもよい。
ここで、脱硫器32は、充填される脱硫剤の温度が高いほど除去可能な硫黄成分の量が多くなる傾向がある。このため、脱硫器32は、加熱された状態で用いられる。脱硫器32は、電気ヒータ等の加熱手段によって加熱される構成であってもよいし、後述の燃焼器63で生成される排ガスを熱源として加熱される構成であってもよい。
改質器33は、改質用原料を改質して燃料ガスを生成するものである。改質器33は、例えば、ロジウムやルテニウム等の貴金属を含む水蒸気改質触媒を含んで構成されている。具体的には、改質器33は、改質用原料および水蒸気を混合した混合ガスを加熱するとともに、以下の反応式F5に示す改質反応、および反応式F6に示すシフト反応により燃料ガス(水素、一酸化炭素)を生成する。
CH+HO→CO+3H …(F5)
CO+HO→CO+H …(F6)
ここで、改質器33における水蒸気改質は吸熱反応であり、高温となる条件下にて改質率が向上する特性を有している。このため、改質器33は、加熱された状態で用いられる。例えば、改質器33は、燃料電池10の発電時に周囲に放出される熱を吸熱できるように、燃料電池10の周囲に配設されていてもよいし、後述の燃焼器63で生成される排ガスを熱源として加熱される構成であってもよい。
燃料供給流路30には、燃料ポンプ31と改質器33との間に水供給流路40が接続され、この水供給流路40に、システム外部または内部の水を供給する不図示の水ポンプ、水蒸気を生成する気化器41が設けられている。
また、燃料供給流路30には、改質器33よりも下流側を流れる燃料ガスの一部を、脱硫剤を還元させる還元剤として脱硫器32に導くガス循環流路50が接続されている。ガス循環流路50は、改質器33で生成された燃料ガスの一部が燃料ポンプ31の上流側に戻るように、上流側の端部が燃料供給流路30における改質器33の下流に接続され、下流側の端部が燃料供給流路30における燃料ポンプ31の上流に接続されている。
ガス循環流路50には、ガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量(すなわち、還元剤の流量)を制御する流量調整弁51が設けられている。本実施形態では、ガス循環流路50および流量調整弁51が、脱硫剤を還元させる還元剤を脱硫器32へ供給する“還元剤供給部”を構成している。本実施形態では、流量調整弁51が、ガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量を調整する“流量調整部”を構成している。以下では、燃料供給流路30を流れる燃料ガスとガス循環流路50を流れる燃料ガスとを区別するために、ガス循環流路50を流れる燃料ガスを循環ガスとも呼ぶ。
流量調整弁51は、絞り開度を連続的または不連続に変更可能な可変絞り機構を含んで構成されている。流量調整弁51は、ガス循環流路50を全閉可能に構成されている。流量調整弁51は、制御部100からの制御信号に基づいて、絞り開度が調整される電気式バルブで構成されている。なお、流量調整弁51は、固定絞りと電磁式の開閉弁とで構成されていてもよい。
燃料電池10には、燃料オフガスの排出部位および酸化剤オフガスの排出部位に、燃料オフガス流路61および酸化剤オフガス流路62を含むオフガス流路60が接続されている。オフガス流路60は配管等によって構成される。
オフガス流路60には、燃焼器63が接続されている。燃焼器63は、燃料電池10を通過した未反応ガスを燃焼させることで燃焼ガスを生成する。燃焼器63は、例えば、燃料電池10の発電時に、酸化剤オフガスおよび燃料オフガスを混合した混合ガスを可燃ガスとして燃焼させることで、燃焼ガスを生成する。燃焼器63は、燃料オフガスを燃焼させるためのバーナを有している。燃焼器63では、バーナの点火によって、可燃ガスが燃焼されて高温の排ガスが生成される。
燃焼器63には、高温の排ガスを燃料電池システム1の外部へ排出させる排ガス流路64が接続されている。排ガス流路64を流れる高温の排ガスは、燃料電池10に供給する酸化剤ガスの予熱および改質器33や気化器41を加熱する熱源として利用された後、システム外部へ排気される。
次に、燃料電池システム1の電子制御装置を構成する制御部100について説明する。制御部100は、プロセッサ101、メモリ102を含むマイクロコンピュータと、その周辺回路で構成されている。制御部100は、メモリ102に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い出力側に接続された各種制御機器の作動を制御する。
制御部100の入力側には、燃料電池10の電圧を検出する電圧センサ110、改質器33の温度を検出する温度センサ120、脱硫器32内の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ130を含む各種センサが接続されている。これにより、制御部100は、各種センサの検出結果に応じた検出信号が入力されるようになっている。本実施形態では、電圧センサ110が燃料電池10の電圧を検出する“電圧検出部”を構成している。
また、制御部100には、不図示の操作パネルが接続されている。この操作パネルには、燃料電池10の発電をオンオフするための運転スイッチ、燃料電池10の作動状態を表示するディスプレイ等が設けられている。
一方、制御部100の出力側には、制御機器として、圧送ブロワ21、燃料ポンプ31、流量調整弁51、燃焼器63のバーナ等が接続されている。これら制御機器は、制御部100から出力される制御信号に応じて、その作動が制御される。制御部100は、例えば、燃料ポンプ31によって改質器33への改質用原料の供給量を制御する。また、制御部100は、流量調整弁51によって脱硫器32への還元剤の供給量を制御する。
このように構成される燃料電池システム1は、水素生成装置を含んで構成されている。なお、燃料電池システム1における脱硫器32、改質器33、ガス循環流路50、流量調整弁51、制御部100が、“水素生成装置”を構成している。
次に、燃料電池システム1の基本的な作動について説明する。燃料電池システム1は、操作パネルの運転スイッチがオンされ、燃料電池10が起動されると、制御部100によって燃料電池10から電気エネルギを出力させる発電処理が実行される。この発電処理では、例えば、燃料電池10に対して発電に適した量の酸化剤ガスをおよび燃料ガスが供給されるように圧送ブロワ21および燃料ポンプ31が制御される。
圧送ブロワ21から吹き出される酸化剤ガスである空気が、空気供給流路20を介して燃料電池10に供給される。また、燃料ポンプ31から吐出される改質器用燃料は、脱硫器32、改質器33を介して燃料電池10に供給される。
具体的には、燃料ポンプ31から吐出される改質器用燃料は、脱硫器32を通過する際に、脱硫器32に充填された脱硫剤によって改質器用燃料に含まれる硫黄成分が除去される。脱硫器32にて硫黄成分が除去された改質用原料は、気化器41において生成された水蒸気と混合されて改質器33に流入する。改質器33では、改質用原料および水蒸気の混合ガスが供給されると、前述の反応式F5、F6に示す反応により燃料ガス(水素、一酸化炭素)が生成される。
改質器33で生成された燃料ガスは、流量調整弁51が全閉状態となっている場合、ガス循環流路50へ流れることなく、その全てが燃料電池10へ流入する。これに対して、流量調整弁51が開いている場合、改質器33で生成された燃料ガスの一部が還元剤としてガス循環流路50へ導かれ、残りの燃料ガスが燃料電池10へ流入する。
ガス循環流路50を流れる燃料ガスは、燃料供給流路30における脱硫器32の上流に戻される。脱硫器32では、脱硫剤での硫黄成分と燃料ガスに含まれる水素との反応によって改質器用燃料に含まれる硫黄成分が除去される。
燃料電池10は、酸化剤ガスおよび燃料ガスが供給されると、前述の反応式F1~F4に示す反応により電気エネルギを出力する。この際、燃料電池10は、燃料オフガスおよび酸化剤オフガスを排出する。
燃料電池10から排出される酸化剤オフガスおよび燃料オフガスは、オフガス流路60を介して燃焼器63に流入する。燃焼器63に流入した酸化剤オフガスおよび燃料オフガスは、可燃ガスとして燃焼器63で燃焼される。これにより、高温の排ガスが生成される。そして、燃焼器63で生成された高温の排ガスは、排ガス流路64を流れる。
ところで、燃料電池10の運転停止時には、燃料ポンプ31が停止されて、燃料供給流路30への改質用原料の供給が止まる。この際、燃料供給流路30には、空気が流入することで、脱硫器32の脱硫剤が酸化する。
この状態で、燃料電池10を再び起動させる場合、酸化した脱硫剤を還元させるために、流量調整弁51を開き、改質器33で生成される燃料ガスの一部を還元剤として脱硫器32に導入する。この際、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量が定量的に把握されていないと、脱硫器32へ供給する還元剤の過不足が生じる虞がある。
これらを考慮し、燃料電池システム1は、燃料電池10の起動時等において、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量を定量的に求めた上で、脱硫器32に対して脱硫剤の還元に必要な還元剤を供給する制御処理を制御部100によって実行する。以下、制御部100が実行する制御処理の一例について図2を参照しつつ説明する。なお、図2に示す制御処理は、例えば、操作パネルの運転スイッチがオンされると開始される。
図2に示すように、制御部100は、ステップS100にて、燃料電池10を起動させる起動処理を実行する。例えば、制御部100は、燃料電池10に対して起動に必要とされる量の酸化剤ガスをおよび燃料ガスの供給が供給されるように圧送ブロワ21および燃料ポンプ31を制御する。また、制御部100は、脱硫器32に対して水素を含む燃料ガスが供給されるように流量調整弁51を開く。さらに、制御部100は、燃料オフガスおよび酸化剤オフガスが燃焼器63で燃焼されるようにバーナを制御する。
ここで、図3は、流量調整弁51の絞り開度を全閉から全開まで変化させて、ガス循環流路50におけるガス循環割合を変化させた際の燃料電池10の電圧(本例では、開回路電圧:OCV[Open Circuit Voltage])の変化を示している。なお、図3では、脱硫剤が酸化している場合の電圧変化を実線VAで示し、脱硫剤が酸化していない場合の電圧変化を点線VBで示している。また、ガス流量割合ついては、流量調整弁51の絞り開度が全閉状態を“0%”とし、全開状態を“100%”としている。
脱硫剤が酸化していない場合は、脱硫剤の還元による燃料ガスの消費が発生せず、図3の点線VBで示すように、ガス循環割合が変化しても燃料電池10の電圧が略一定に維持される。
一方、脱硫剤が酸化している場合は、脱硫剤の還元によって燃料ガスが消費されるので、図3の実線VAで示すように、ガス循環割合が増えるに伴って燃料電池10の電圧が低下する。このように、脱硫剤が酸化していない場合と脱硫剤が酸化している場合とでは、ガス循環割合の変化に応じた燃料電池10の電圧の挙動が異なる。なお、脱硫剤が酸化している場合、ガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量と燃料電池10の電圧との間には一定の相関性がある。
本実施形態の制御部100は、燃料電池10の電圧の挙動に基づいて、ステップS110にて、脱硫剤の還元が必要であるか否かを判定する。具体的には、制御部100は、脱硫器32へ還元剤である水素を供給した際の電圧センサ110の検出電圧を、脱硫剤が酸化していない場合に想定される燃料電池10の電圧と比較して、両者の差ΔV1に基づいて、脱硫器32での脱硫剤が還元の有無を判断する。
制御部100は、例えば、脱硫器32へ還元剤である水素を供給した際の電圧センサ110の検出電圧と脱硫剤が酸化していない場合に想定される燃料電池10の電圧の差ΔV1が所定の閾値以上の場合に、脱硫剤の還元が必要と判断する。また、制御部100は、例えば、脱硫器32へ還元剤である水素を供給した際の電圧センサ110の検出電圧と脱硫剤が酸化していない場合に想定される燃料電池10の電圧の差ΔV1が所定の閾値未満の場合に、脱硫剤の還元が不要と判断する。なお、閾値は、例えば、酸化していない場合に想定される燃料電池10の電圧の変動幅に設定される。
制御部100は、脱硫剤の還元が不要な場合は本処理を抜ける。また、制御部100は、脱硫剤の還元が必要な場合はステップS120に移行して、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量を求める。例えば、燃料電池10の停止時間が長いほど、脱硫剤の酸化が進行するので、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量が増える。また、例えば、脱硫剤の温度が高いと、脱硫剤の酸化が進行し易いので、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量が増える傾向がある。さらに、脱硫器32内の酸素濃度が高いと、脱硫剤の酸化が進行し易いので、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量が増える傾向がある。このように、燃料電池10の停止時間、脱硫器32の温度、脱硫器32内の酸素濃度は、還元剤の必要量との間に一定の相関性がある。
このため、本実施形態の制御部100は、例えば、図4に示すように、燃料電池10の停止時間、脱硫器32の温度、脱硫器32内の酸素濃度に基づいて、還元剤の必要量を求める。制御部100は、例えば、燃料電池10の停止時間、脱硫器32の温度、脱硫器32内の酸素濃度、還元剤の必要量を関連付けた制御マップ、学習モデル等を用いて、還元剤の必要量を算出する。なお、制御部100は、燃料電池10の停止時間、脱硫器32の温度、脱硫器32内の酸素濃度のうちの1つまたは2つに基づいて、還元剤の必要量を求めるようになっていてもよい。
脱硫器32の温度は、温度センサ等によって直接的に検出してもよいが、改質器33の温度から推定するようになっていてもよい。また、脱硫器32内の酸素濃度は、酸素濃度センサ130で検出してもよいが、燃料電池10の停止時間から推定するようになっていてもよい。なお、脱硫器32内の酸素濃度は、燃料電池10の停止時間が長くなるに伴って増加する傾向があるので、燃料電池10の停止時間に基づいて推定することが可能である。
ここで、単純に、改質器33で生成された燃料ガスの一部を利用して、必要量の還元剤を脱硫器32に供給すると、脱硫器32にて脱硫剤の還元に燃料ガスに含まれる水素が使用されることで、燃料電池10へ供給する燃料ガスが不足してしまう。
燃料電池10の電圧は、脱硫器32の下流側を流れる改質用原料および燃料ガスの流量が少ないと低下し、脱硫器32の下流側を流れる改質用原料および燃料ガスの流量が多いと上昇する傾向がある。すなわち、燃料電池10の電圧は、脱硫器32の下流側を流れる改質用原料および燃料ガスの流量と一定の相関性がある。
これらを踏まえ、制御部100は、燃料電池10で必要とされる燃料ガスの必要量が確保されるように各種機器の作動を制御するようになっている。例えば、制御部100は、脱硫器32の下流側を流れる改質用原料および燃料ガスの流量に相関性を有する物理量として燃料電池10の電圧をモニタする。そして、制御部100は、燃料電池10の電圧の検出結果を用いて、燃料電池10で必要とされる燃料ガスの必要量が確保されるように燃料ポンプ31等によって改質用原料の供給量等を制御する。なお、本実施形態の電圧センサ110は、脱硫器32の下流側を流れる改質用原料または燃料ガスの流量と相関性を有する物理量を検出する“物理量検出部”を構成する。
具体的には、制御部100は、ステップS130にて、燃料電池10の電圧が所定の基準電圧以上であるか否かを判定する。この基準電圧は、例えば、燃料電池10に対して燃料電池10で必要とされる量の燃料ガスが供給されている際に想定される燃料電池10の電圧に設定される。
燃料電池10の電圧が所定の基準電圧未満である場合、燃料電池10への燃料ガスの供給量が不足していると考えられる。この場合、制御部100は、ステップS140にて、脱硫器32に所定量の燃料ガスが供給されるように流量調整弁51の絞り開度を調整しつつ、燃料電池10の電圧が基準電圧以上に維持されるように改質用原料を調整して、ステップS150に移行する。
例えば、図3に示すように、改質用原料を増加させると、燃料電池10の電圧が上昇するようにシフトする。このため、例えば、制御部100は、還元剤の必要量を多いほど、脱硫器32に供給される燃料ガスが増えるように、流量調整弁51の絞り開度を調整する。そして、制御部100は、燃料電池10の電圧が基準電圧以上に維持されるように、基準電圧に対する燃料電池10の電圧の低下度合いが大きいほど、改質用原料を増加させる。
一方、燃料電池10の電圧が所定の基準電圧以上である場合、燃料電池10への燃料ガスの供給量は足りていると考えられるので、制御部100は、ステップS140をスキップしてステップS150に移行する。
制御部100は、ステップS150にて、ガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量を算出する。ガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量は、改質用原料の供給量が多いほど増える。また、ガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量は、流量調整弁51の絞り開度が大きいほど増える。さらに、ガス循環流路50を流れる燃料ガスの濃度は、改質器33の温度が高くなって改質効率が高いほど大きくなる傾向がある。このように、改質用原料の供給量、流量調整弁51の絞り開度、改質器33の温度は、ガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量との間に一定の相関性がある。
このため、本実施形態の制御部100は、例えば、図5に示すように、改質用原料の供給量、流量調整弁51の絞り開度、改質器33の温度に基づいて、ガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量を求める。なお、制御部100は、改質用原料の供給量および流量調整弁51の絞り開度に基づいて、ガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量を求めるようになっていてもよい。
続いて、制御部100は、ステップS160にて、脱硫剤の還元が完了したか否かを判定する。例えば、制御部100は、ガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量ΔGrに流量調整弁51を開いてからの経過時間Tを乗じて、ガス循環流路50を介して脱硫剤へ供給する燃料ガスの供給量の総量(総供給量Gr=ΔGr×T)を求める。そして、制御部100は、ガス循環流路50を介して脱硫剤へ供給する燃料ガスの総供給量Grが、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量以上であるか否かを判定する。
制御部100は、脱硫剤の還元が未完了である場合、ステップS130に戻り、脱硫器32への燃料ガスの供給を継続する。また、制御部100は、脱硫剤の還元が完了している場合、ステップS160に移行して、脱硫剤の還元のために増やしていた改質用原料の増加分を減少させる。これにより、燃料電池10への燃料ガスの供給量が過剰となったり、不足したりすることが抑制される。なお、脱硫剤の還元が完了している場合の流量調整弁51の絞り開度は、全閉状態とされていてもよいし、絞り状態とされていてもよい。
以上説明した燃料電池システム1は、水素を含む燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により電気エネルギを出力する燃料電池10と、改質用原料から燃料ガスを生成して燃料電池10へ供給する改質器33と、を備える。また、燃料電池システム1は、改質用原料に含まれる硫黄成分を脱硫剤によって除去して改質器33へ供給する脱硫器32と、酸化した脱硫剤を還元させる還元剤を脱硫器32へ供給する還元剤供給部と、制御部100と、を備える。そして、制御部100は、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量を求め、還元剤の必要量に応じて脱硫器32への還元剤の供給量を制御する。
これによると、脱硫剤の還元に必要な還元剤の必要量を定量的に求めた上で、当該還元剤の必要量に応じて脱硫器32への還元剤の供給量を制御するので、脱硫器32に対して脱硫剤の還元に必要とされる量の還元剤を適切に供給することができる。このような効果は、“水素生成装置”においても同様に得られる。
また、本実施形態の燃料電池システム1は、以下の特徴を備える。
(1)制御部100は、燃料電池10の運転の停止時間、脱硫器32の温度、脱硫器32内の酸素濃度に基づいて、還元剤の必要量を求める。燃料電池10の運転の停止時間が長いほど、脱硫器32の脱硫剤が空気に晒される時間が長くなることで、脱硫剤の酸化が促進される。また、脱硫器32の温度が高い状態や脱硫器32内の酸素濃度が高いほど、脱硫剤の酸化が促進される。これらを加味すると、燃料電池10の運転の停止時間、脱硫器32の温度、脱硫器32内の酸素濃度に基づいて、還元剤の必要量を求めるようになっていることが望ましい。
(2)還元剤供給部は、改質器33で生成された燃料ガスの一部を還元剤として脱硫器32へと導くガス循環流路50、ガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量を調整する流量調整弁51を含んでいる。制御部100は、還元剤の必要量に応じて脱硫器32への還元剤の供給量を流量調整弁51によって制御しつつ、燃料ガスの必要量が確保されるように改質用原料の供給量を制御する。これによれば、還元剤を生成する専用の機器や還元剤を貯めておく専用の機器が不要となるので、システム構成の簡素化を図ることができる。
(3)燃料電池システム1は、脱硫器32の下流側を流れる改質用原料または燃料ガスの流量に相関性を有する物理量を検出する物理量検出部を備える。制御部100は、物理量検出部の検出結果を用いて、燃料ガスの必要量が確保されるように改質用原料の供給量を制御する。
単純に、改質器33で生成された燃料ガスの一部を還元剤として脱硫器32に供給すると、燃料電池10へ供給する燃料ガスが不足してしまう。このため、脱硫器32の下流側を流れる水素の流量に相関性を有する物理量をモニタし、その結果を用いて、燃料電池10で必要とされる燃料ガスの必要量が確保されるように改質用原料の供給量を制御するようになっていることが望ましい。
(4)物理量検出部は、燃料電池10の電圧を検出する電圧センサ110を含んでいる。そして、制御部100は、燃料電池10の電圧が所定の基準電圧以上に維持されるように、改質用原料の供給量を制御する。
脱硫剤が酸化している状態で、脱硫器32への燃料ガスを供給すると、脱硫剤の還元によって燃料ガス中の水素が消費されることで、脱硫器32の下流側を流れる燃料ガス中の水素の流量が低下する。この際、燃料電池10への燃料ガス中の水素の供給量が減ることで、燃料電池10の電圧が低下する。このように、脱硫器32の下流側を流れる燃料ガスの流量と燃料電池10の電圧との間には相関性がある。このため、燃料電池10の電圧をモニタし、燃料電池10の電圧が基準電圧以上に維持されるように改質用原料の供給量を増やすことで、燃料電池10で必要とされる燃料ガスの必要量を確保することができる。
(5)制御部100は、脱硫器32へ還元剤を供給した際の電圧センサ110の検出電圧を、脱硫剤が酸化していない場合に想定される燃料電池10の電圧と比較して、両者の差に基づいて、脱硫剤の還元の要否を判断する。これによると、脱硫剤の還元の要否を判断することができる。このことは、脱硫剤の状態を把握する上で有効である。
(6)制御部100は、脱硫器32へ供給する還元剤の総供給量Grが還元剤の必要量以上となると、脱硫剤の還元のための改質用原料の供給量の増加分を減少させる。
脱硫器32への還元剤の供給量の総供給量Grが還元剤の必要量以上となる場合、脱硫剤の還元が完了している可能性が高い。この場合には、脱硫剤の還元のための改質用原料の供給量の増加分を減少させ、改質用原料の無駄な供給を抑制することが望ましい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図6、図7を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
図6に示すように、ガス循環流路50には、ガス循環流路50を流れる燃料ガスに含まれる水蒸気を凝縮させて回収する凝縮部52が設けられている。凝縮部52は、ガス循環流路50を流れる燃料ガスを外気等と熱交換させ、燃料ガスを放熱させる放熱器、当該放熱器で凝縮した水を貯留するタンクを含んでいる。
本実施形態の凝縮部52は、タンクに貯留された水が、外部に排出されるようになっている。なお、凝縮部52は、改質器33での改質に利用されるように、水供給流路40に接続されていてもよい。このようになっていれば、タンクに貯留された水を有効活用して、改質器33での燃料ガスを生成することができる。
ここで、図7は、ガス循環流路50に凝縮部52が設けられた構成において、流量調整弁51の絞り開度を全閉から全開まで変化させて、ガス循環流路50におけるガス循環割合を変化させた際の燃料電池10の電圧の変化を示している。なお、図3では、脱硫剤が酸化している場合の電圧変化を実線VAで示し、脱硫剤が酸化していない場合の電圧変化を点線VBで示している。
脱硫剤が酸化している場合は、図7の実線VAで示すように、ガス循環割合が増えるに伴って燃料電池10の電圧が低下する。一方、脱硫剤が酸化していない場合は、図7の点線VBで示すように、ガス循環割合が増えるに伴って燃料電池10の電圧が増加する。これは、ガス循環割合が増えると、凝縮部52にて燃料ガスに含まれる水蒸気が凝縮して回収され、燃料電池10に流入する水蒸気が制限されることで、燃料電池10内でのガス組成の変化によるネルンストロスが低減されることが要因と考えられる。
このように、本実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態に比べて、脱硫剤が酸化していない場合と脱硫剤が酸化している場合とで、ガス循環割合の変化に応じた燃料電池10の電圧の挙動が大きく異なる(ΔV2>ΔV1)。このような燃料電池10の電圧の挙動の変化は、脱硫剤の還元の要否判定が実施し易くなるといった利点がある。
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態の燃料電池システム1は、以下の特徴を備える。
(1)ガス循環流路50には、ガス循環流路50を流れる燃料ガス含まれる水蒸気を凝縮させて回収する凝縮部52が設けられている。このように、ガス循環流路50に凝縮部52が設けられている場合、脱硫剤が酸化していない状態で、ガス循環流路50に流す燃料ガスの流量が増えると、燃料電池10内における燃料ガスに対する水蒸気の比が大きくなり、燃料電池10の電圧が上昇し易くなる。つまり、ガス循環流路50に凝縮部52が設けられている場合、脱硫器32が酸化している場合の電圧センサ110の検出電圧と脱硫剤が酸化していない場合に想定される燃料電池10の電圧との差が顕著となる。このため、ガス循環流路50に凝縮部52を設ける構成は、脱硫器32での脱硫剤が還元の有無を適切に判断し易くなるといった利点がある。
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の如く、凝縮部52は、放熱器で凝縮した水をタンクに貯留するようになっているが、当該タンクは必須ではなく、省略されていてもよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図8、図9を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
図8に示すように、燃料電池システム1には、燃料電池10を通過した燃料オフガスの一部を改質器33の上流側へ戻すリサイクル部70が設けられている。リサイクル部70は、オフガス循環流路71およびエジェクタ72を含んでいる。
オフガス循環流路71は、一端が燃料オフガス流路61に接続され、他端が燃料供給流路30における脱硫器32と改質器33との間に接続されている。オフガス循環流路71と燃料供給流路30との合流部位には、エジェクタ72が配置されている。
エジェクタ72は、燃料供給流路30を流れる燃料を駆動流として燃料オフガスを吸引して改質用原料とともに改質器33に供給するものである。具体的には、エジェクタ72は、流体を噴射するノズル部、燃料電池10の出口側から流体を吸引する吸引部、ノズル部から噴射される流体と吸引部から吸引される流体とを混合して改質器33に向けて吐出する吐出部を有する。
エジェクタ72は、駆動流としてノズル部に流入する流体の質量流量の増加に伴って吸引部から吸引される吸引流体の流量が増えるといった特性を有する。このため、エジェクタ72のノズル部に流入する改質用原料の質量流量を増加させることで、吸引部から吸引される燃料オフガスの吸引流量を増加させることが可能となる。
例えば、流量調整弁51を開弁してガス循環流路50を流れる燃料ガスの流量を増加させると、燃料供給流路30を流れるガスの流量が増加するため、エジェクタ72の駆動流の流量を増加させることができる。これにより、エジェクタ72の吸引部から吸引される燃料オフガスの吸引流量を増加させることができる。すなわち、流量調整弁51の絞り開度を大きくして燃料オフガスの吸引流量を増加させることで、燃料電池システム1への改質用原料の供給量を増加させることなく、改質器33へ供給するガスの供給量を増加させることができる。
ここで、図9は、リサイクル部70が設けられた構成において、流量調整弁51の絞り開度を全閉から全開まで変化させて、ガス循環流路50におけるガス循環割合を変化させた際の燃料電池10の電圧の変化を示している。なお、図9では、脱硫剤が酸化している場合の電圧変化を実線VAで示し、脱硫剤が酸化していない場合の電圧変化を点線VBで示している。また、図3では、リサイクル部70が設けられていない構成において、流量調整弁51の絞り開度を全閉から全開まで変化させた際の燃料電池10の電圧の変化を二点鎖線VCで示している。
脱硫剤が酸化していない場合は、図9の点線VBで示すように、ガス循環割合が変化しても燃料電池10の電圧が略一定に維持される。一方、脱硫剤が酸化している場合は、図9の実線VAで示すように、ガス循環割合が増えるに伴って燃料電池10の電圧が低下する。
ここで、図9の実線VAおよび二点鎖線VCに示すように、脱硫剤が酸化している場合の燃料電池10の電圧低下は、リサイクル部70が設けられている場合に顕著となる。理由としては次のことが考えられる。燃料電池10の起動中は、改質器33だけでなく、燃料電池10でも改質反応が生ずるので、システムにて生成される水素の量が増加する。そして、オフガス循環流路71およびガス循環経路50を介して脱硫器32に供給される水素の量が増える。これにより、脱硫器32の出口側で水素の消費によって水蒸気が発生し、燃料電池10へ流入する水蒸気が増えることで、燃料電池10内でのガス組成の変化によるネルンストロスが大きくなる。つまり、
このように、本実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態に比べて、脱硫剤が酸化していない場合と脱硫剤が酸化している場合とで、ガス循環割合の変化に応じた燃料電池10の電圧の挙動が大きく異なる(ΔV3>ΔV1)。このような燃料電池10の電圧の挙動の変化は、脱硫剤の還元の要否判定が実施し易くなるといった利点がある。
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態の燃料電池システム1は、以下の特徴を備える。
(1)燃料電池システム1は、燃料電池10を通過した燃料オフガスの一部を改質器33の上流側へ戻すリサイクル部70を備える。そして、リサイクル部70は、改質器33の上流にある改質用原料を駆動流として燃料オフガスの一部を吸引するエジェクタ72を含んで構成されている。このように、リサイクル部70が設けられている場合、リサイクル部70が設けられていないものに比べて、脱硫剤が酸化している状態でガス循環流路50に流す燃料ガスの流量が増えると、燃料オフガスの循環量が増えて燃料電池10の電圧が低下し易くなる。つまり、リサイクル部70が設けられている場合、脱硫器32が酸化している場合の電圧センサ110の検出電圧と脱硫剤が酸化していない場合に想定される燃料電池10の電圧との差が顕著となる。このため、リサイクル部70を備えている場合は、脱硫器32での脱硫剤が還元の有無を適切に判断し易くなるといった利点がある。
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態のオフガス循環流路71は、一端が燃料オフガス流路61に接続され、他端が燃料供給流路30における脱硫器32と改質器33との間に接続されているが、これに限定されない。オフガス循環流路71は、燃料供給流路30における脱硫器32の上流に接続されていてもよい。また、第3実施形態の燃料電池システム1は、第2実施形態の如く、ガス循環流路50に凝縮部52が設けられていてもよい。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図10を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
図10に示すように、本実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態のガス循環流路50の代わりに、還元剤供給流路50Aが備えられている。還元剤供給流路50Aは、システム外部から水素を含む還元剤を脱硫器32に導入する流路である。還元剤供給流路50Aには、還元剤供給流路50Aを流れる還元剤の流量を調整する流量調整弁51Aが設けられている。本実施形態では、還元剤供給流路50Aおよび流量調整弁51Aが、脱硫剤を還元させる還元剤を脱硫器32へ供給する“還元剤供給部”を構成している。
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の燃料電池システム1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第4実施形態の変形例)
第4実施形態の燃料電池システム1は、第3実施形態の如く、リサイクル部70が設けられていてもよい。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
制御部100は、燃料電池10の運転の停止時間、脱硫器32の温度、脱硫器32内の酸素濃度に基づいて、還元剤の必要量を求めるようになっていることが望ましいが、これとは別の手法で、還元剤の必要量を求めるようになっていてもよい。例えば、脱硫器32前後の水素濃度の変化量を検出し、当該変化量によって還元剤の必要量を推定するようになっていてもよい。
上述の実施形態では、脱硫器32の下流側を流れる改質用原料または燃料ガスの流量に相関性を有する物理量を検出する物理量検出部が燃料電池10の電圧を検出する電圧センサ110で構成されていたが、これに限定されない。物理量検出部は、脱硫器32の下流側を流れる改質用原料または燃料ガスの流量を検出する流量センサで構成されていてもよい。但し、燃料電池システム1では、センサ機器に耐熱性が要求されることから、物理量検出部は、電圧センサ110を含んで構成されていることが望ましい。
制御部100は、脱硫器32へ還元剤を供給した際の電圧センサ110の検出電圧を、脱硫剤が酸化していない場合に想定される燃料電池10の電圧と比較して、両者の差に基づいて、脱硫剤の還元の要否を判断する。これによると、脱硫剤の還元の要否を判断することができる。このことは、脱硫剤の状態を把握する上で重要となる。
脱硫器32へ供給する還元剤の総供給量Grが還元剤の必要量以上となると、制御部100が脱硫剤の還元のための改質用原料の供給量の増加分を減少させるようになっていることが望ましいが、そのようになっていていなくてもよい。
上述の実施形態で示した燃料電池システム1のシステム構成は一例であり、一部の構成が上述したものとは異なっていてもよい。このことは、制御部100が実行する制御処理についても同様である。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
本開示の制御部100及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ101及びメモリ102を構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。
本開示の制御部100及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサ101を構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部100及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ101及びメモリ102と一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサ101との組み合わせたもので、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
10 燃料電池
32 脱硫器
33 改質器
50 ガス循環流路
51 流量調整弁
100 制御部

Claims (10)

  1. 燃料電池システムであって、
    水素を含む燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により電気エネルギを出力する燃料電池(10)と、
    改質用原料から前記燃料ガスを生成して前記燃料電池へ供給する改質器(33)と、
    前記改質用原料に含まれる硫黄成分を脱硫剤によって除去して前記改質器へ供給する脱硫器(32)と、
    酸化した前記脱硫剤を還元させる還元剤を前記脱硫器へ供給する還元剤供給部(50、50A、51、51A)と、
    前記改質器への前記改質用原料の供給量および前記脱硫器への前記還元剤の供給量を制御する制御部(100)と、を備え、
    前記制御部は、前記脱硫剤の還元に必要な前記還元剤の必要量を求め、前記還元剤の必要量に応じて前記脱硫器への前記還元剤の供給量を制御する、燃料電池システム。
  2. 前記制御部は、前記燃料電池の運転の停止時間、前記脱硫器の温度、前記脱硫器内の酸素濃度の少なくとも1つに基づいて、前記還元剤の必要量を求める、請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記還元剤供給部は、前記改質器で生成された前記燃料ガスの一部を前記還元剤として前記脱硫器へと導くガス循環流路(50)、前記ガス循環流路を流れる前記燃料ガスの流量を調整する流量調整部(51)を含み、
    前記制御部は、前記還元剤の必要量に応じて前記脱硫器への前記還元剤の供給量を前記流量調整部によって制御しつつ、前記燃料ガスの必要量が確保されるように前記改質用原料の供給量を制御する、請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記脱硫器の下流側を流れる前記改質用原料または前記燃料ガスの流量に相関性を有する物理量を検出する物理量検出部(110)を備え、
    前記制御部は、前記物理量検出部の検出結果を用いて、前記燃料ガスの必要量が確保されるように前記改質用原料の供給量を制御する、請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記物理量検出部は、前記燃料電池の電圧を検出する電圧検出部(110)を含み、
    前記制御部は、前記燃料電池の電圧が所定の基準電圧以上に維持されるように、前記改質用原料の供給量を制御する、請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記制御部は、前記脱硫器へ前記還元剤を供給した際の前記電圧検出部の検出電圧を、前記脱硫剤が酸化していない場合に想定される前記燃料電池の電圧と比較して、両者の差に基づいて、前記脱硫剤の還元の要否を判断する、請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記ガス循環流路には、前記ガス循環流路を流れる前記燃料ガスに含まれる水蒸気を凝縮させて回収する凝縮部(52)が設けられている、請求項6に記載の燃料電池システム。
  8. 前記燃料電池を通過した燃料オフガスの一部を前記改質器の上流側へ戻すリサイクル部(70)を備え、
    前記リサイクル部は、前記改質器の上流にある前記改質用原料を駆動流として前記燃料オフガスの一部を吸引するエジェクタ(72)を含んで構成されている、請求項6に記載の燃料電池システム。
  9. 前記制御部は、前記脱硫器への前記還元剤の供給量の総量が前記還元剤の必要量以上となると、前記脱硫剤の還元のための前記改質用原料の供給量の増加分を減少させる、請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  10. 水素を含む燃料ガスを生成する水素生成装置であって、
    改質用原料から前記燃料ガスを生成する改質器(30)と、
    前記改質用原料に含まれる硫黄成分を脱硫剤によって除去して前記改質器へ供給する脱硫器(32)と、
    酸化した前記脱硫剤を還元させる還元剤を前記脱硫器へ供給する還元剤供給部(50、51)と、
    前記改質器への前記改質用原料の供給量および前記脱硫器への前記還元剤の供給量を制御する制御部(100)と、を備え、
    前記制御部は、前記脱硫剤の還元に必要な前記還元剤の必要量を求め、前記還元剤の必要量に応じて前記脱硫器への前記還元剤の供給量を制御する、水素生成装置。
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