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JP2024121696A - タイヤ - Google Patents

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JP2024121696A
JP2024121696A JP2023028937A JP2023028937A JP2024121696A JP 2024121696 A JP2024121696 A JP 2024121696A JP 2023028937 A JP2023028937 A JP 2023028937A JP 2023028937 A JP2023028937 A JP 2023028937A JP 2024121696 A JP2024121696 A JP 2024121696A
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Abstract

【課題】タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性の向上を図る。【解決手段】カーカス層、トレッド部、および、サイドウォール部を備えたタイヤであって、カーカス層とサイドウォール部との間に、電子部品が設けられており、カーカス層を構成するコードの破断伸びS(%)と、電子部品の長手方向長さL(mm)とが、下記(式1)を満たしているタイヤ。S/L≧0.125 (式1)さらに、温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記トレッド部の損失正接30℃tanδTRが、0.25以下であるタイヤ。【選択図】図1

Description

本発明は、RFIDなどの電子部品が埋め込まれたタイヤに関する。
近年、タイヤの製造/出荷時の情報や走行時の情報などを記録し、外部と通信することを目的として、RFID(Radio Frequency IDentification)用トランスポンダ(以下、単に「RFID」ともいう)などの電子部品をタイヤに埋設することが提案されている(例えば、特許文献1~4)。
特表2021-506676号公報 特表2021-514891号公報 特開2021-084510号公報 特開2021-127114号公報
しかしながら、電子部品を未加硫タイヤの内部に埋め込んだ後、タイヤと一体化した場合、走行時の衝撃荷重などにより電子部品とゴム部材とが剥離して、走行時における電子部品の耐久性を低下させる恐れがある。
そこで、本発明は、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性の向上を図ることを課題とする。
本発明は、
カーカス層、トレッド部、および、サイドウォール部を備えたタイヤであって、
前記カーカス層と前記サイドウォール部との間に、電子部品が設けられており、
前記カーカス層を構成するコードの破断伸びS(%)と、
前記電子部品の長手方向長さL(mm)とが、下記(式1)を満たしていることを特徴とするタイヤである。
S/L≧0.125 (式1)
本発明によれば、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性の向上を図ることができる。
本発明の一実施の形態に係るタイヤの構成を示す模式断面図である。 電子部品の形態を示す模式平面図である。 比較例における電子部品の埋め込み位置を説明する模式断面図である。
[1]本発明に係るタイヤの特徴
最初に、本発明に係るタイヤの特徴について説明する。
1.概要
本発明に係るタイヤは、カーカス層、トレッド部、および、サイドウォール部を備えたタイヤであって、カーカス層とサイドウォール部との間に、電子部品が設けられている。そして、カーカス層を構成するコード(カーカスコード)の破断伸びS(%)と、電子部品の長手方向長さL(mm)とが下記(式1)を満たしている。
S/L≧0.125 (式1)
これらの特徴を有することにより、後述するように、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性の向上を図ることができる。
2.本発明に係るタイヤにおける効果発現のメカニズム
本発明に係るタイヤにおける上記した効果発現のメカニズムについては、以下のように考えられる。
本発明においては、前記したように、カーカス層とサイドウォール部との間に、電子部品が設けられている。
しかし、車両の走行時、タイヤは、トレッド部が路面と接触(接地)することにより変形する。そして、このトレッド部の変形は、サイドウォール部を経由して、カーカス層などの内部へと伝搬していくが、サイドウォール部とカーカス層とでは、その変形量に差がある。そして、この変形量の差が、電子部品の周囲で大きくなると、電子部品とゴム部材との剥離の発生を招いて、電子部品の耐久性を低下させる恐れがある。
そこで、本発明者は、カーカス層を伸び易くさせることにより、走行時、電子部品の周囲に生じる変形量の差(サイドウォール部とカーカス層の変形量の差)が大きくなることを抑制できると考えた。
即ち、カーカスコードの破断伸びS(%)を、電子部品の長手方向長さL(mm)に対して大きくした場合には、カーカス層を伸び易くさせて、変形させ易くできるため、変形量の差を抑制して、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性を向上できると考えられる。
そして、種々の検討の結果、S/Lを0.125以上とすることにより、サイドウォール部の変形に十分に追随させることができ、電子部品とゴム部材との剥離の発生を抑制することができるため、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性を向上できると考えられる。
以上のように、本発明に係るタイヤにおいては、カーカス層とサイドウォール部との間に電子部品を設けると共に、S/Lを適切に制御することにより、走行時、電子部品周辺における変形量を小さくして電子部品のタイヤ内での剥離、損傷を抑制することができるため、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性の向上を図ることができると考えられる。
なお、本発明において、カーカスコードの破断伸びS(%)は、JIS L1017:2002に規定される方法に準拠して測定される値である。
[2]本発明に係るタイヤにおけるより好ましい態様
本発明に係るタイヤは、以下の態様を採ることにより、さらに大きな効果を得ることができる。
1.トレッド部の損失正接
本発明において、温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定されるトレッド部の損失正接30℃tanδTRは、0.25以下であることが好ましく、0.15以下であるとより好ましい。
損失正接tanδは、エネルギーの吸収性能を示す粘弾性パラメータであり、値が大きいほどエネルギーを吸収することができるため、このように、30℃tanδTRを小さな値とすることにより、走行時、トレッド部の剛性を十分に保ってエネルギーを吸収でき、電子部品周辺における変形量をより小さくして、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性をより向上させることができると考えられる。
このとき、温度0℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定されるトレッド部の損失正接0℃tanδTRが、0.50以上であるとより好ましい。このように、低温での損失正接tanδを大きくすることにより、走行時、タイヤ表面において、転動よりも高い周波数の振動を吸収することができるため、電子部品周辺における変形量をさらに小さくして、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性のさらなる向上を図ることができると考えられる。
なお、上記において、損失正接(tanδ)は、例えば、GABO社製「イプレクサー(登録商標)」などの粘弾性測定装置を用いて、測定することができる。
そして、「トレッド部」とはタイヤの接地面を形成する領域の部材であるが、カーカス、ベルト層、ベルト補強層などの繊維材料等を含む部材よりタイヤ半径方向外側の部分を指す。トレッド部は、キャップゴム層の1層のみで形成されていてもよく、キャップゴム層の内側にベースゴム層を設けて、2層にされていてもよく、また、3層でもよく、4層以上であってもよい。この場合、トレッド部全体におけるキャップゴム層の厚みは、10%以上であることが好ましい。なお、トレッド部全体におけるキャップゴム層の厚みは、70%以上であるとより好ましい。
上記したキャップゴム層の厚みおよびベースゴム層の厚みは、タイヤを半径方向に切り出した断面において、ビード部を正規リム幅に合わせた状態にして測定されるトレッド部の厚みにおけるキャップゴム層の厚みおよびベースゴム層の厚みを合計することにより算出することが出来る。
ここで、「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMA(日本自動車タイヤ協会)であれば「JATMA YEAR BOOK」に記載されている適用サイズにおける標準リム、ETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)であれば「STANDARDS MANUAL」に記載されている“Measuring Rim”、TRA(The Tire and Rim Association,Inc.)であれば「YEAR BOOK」に記載されている“Design Rim”を指し、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。そして、規格に定められていないタイヤの場合には、リム組み可能であって、内圧が保持できるリム、即ちリム/タイヤ間からエア漏れを生じさせないリムの内、最もリム径が小さく、次いでリム幅が最も狭いものを指す。
2.タイヤ重量と最大負荷能力
本発明において、タイヤの最大負荷能力(kg)に対するタイヤ重量(kg)の比率(タイヤ重量/最大負荷能力)は、0.0150未満であることが好ましく、0.0135未満であるとより好ましい。このように、タイヤの最大負荷能力に比べてタイヤ重量が小さなタイヤは、相対的にゴムの厚みが薄いため、タイヤ全体の温度上昇を十分に抑制して変形量を小さくでき、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性をより向上させることができると考えられる。
なお、上記において、「タイヤ重量(kg)」は、リムの重量を含まないタイヤ単体の重量を指す。
そして、「最大負荷能力(kg)」は、正規状態で測定されるタイヤ断面幅をWt(mm)、タイヤ断面高さをHt(mm)、タイヤ外径をDt(mm)としたとき、下記式よりWLとして求めることができる。ここで、タイヤ断面幅Wtは、正規状態において、タイヤ側面に模様または文字などがある場合にはそれらを除いたものとしてのサイドウォール外面間の最大幅である。そして、タイヤ断面高さHtは、タイヤの外径とリム径の呼びとの差の1/2である。
V={(Dt/2)-(Dt/2-Ht)}×π×Wt
WL=0.000011×V+100
上記記載において、「正規状態」とは、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態であることを指す。なお、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧を指し、JATMAであれば“最高空気圧”、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値を指し、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。規格に定められていないタイヤの場合には、前記正規リムを標準リムとして記載されている別のタイヤサイズ(規格に定められているもの)の正規内圧(ただし、250KPa以上)を指す。なお、250KPa以上の正規内圧が複数記載されている場合には、その中の最小値を指す。
3.サイドウォール部の複素弾性率と電子部品の長手方向長さ
サイドウォール部の複素弾性率、具体的には、温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定されるサイドウォール部の複素弾性率70℃ESW(MPa)に対して、カーカス層の伸び、即ち、カーカスコードの破断伸びS(%)を十分に高めることにより、サイドウォール部とカーカス層との変形量の差を小さくすることができると考えられる。そして、電子部品で動きが拘束される長さ、即ち、電子部品の長手方向長さL(mm)に対して、上記した(S/70℃ESW)を十分高めることにより、サイドウォール部とカーカス層との変形量の差をより小さくすることができると考えられる。
そして、本発明者が行った種々の検討の結果、(S/70℃ESW)/Lが、0.025以上であれば、サイドウォール部とカーカス層との変形量の差をより小さくでき、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性をより向上できると考えられる。
また、70℃ESW(MPa)に対して、温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定されるトレッド部の複素弾性率30℃ETR(MPa)を高くした場合、即ち、(30℃ETR/70℃ESW)が1以上のとき、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性をさらに向上できると考えられる。
なお、上記において、複素弾性率(E)は、損失正接の測定と同様に、例えば、GABO社製「イプレクサー(登録商標)」などの粘弾性測定装置を用いて、測定することができる。
4.サイドウォール部の損失正接と電子部品の長手方向長さ
前記したように、損失正接tanδは、エネルギーの吸収性能を示す粘弾性パラメータであり、値が大きいほどエネルギーを吸収することができるため、サイドウォール部の損失正接、具体的には、70℃tanδSWを小さくすることにより、サイドウォール部における変形/復元の位相差を小さくして、電子部品周辺における変形量を小さくすることができると考えられる。そして、このように70℃tanδSWを小さくした場合には、電子部品の長手方向長さL(mm)をある程度大きくしても、電子部品周辺における変形量を十分小さくすることができると考えられる。
そして、本発明者が行った種々の検討の結果、70℃tanδSWとLとの積(70℃tanδSW×L)が、12以下であれば、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性をより向上できると考えられる。
5.サイドウォール部の損失正接と電子部品の長手方向長さとカーカスコードの破断伸び
本発明者は、トレッド部の変形が直接伝搬するサイドウォール部における変形/復元の位相差を小さくすると共に、カーカス層を構成するコード(カーカスコード)の破断伸びを向上させることにより、走行時、電子部品の周囲に生じる変形量の差(サイドウォール部とカーカス層の変形量の差)が大きくなることを抑制できると考えた。
具体的には、サイドウォール部については、温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される損失正接70℃tanδSWを小さくすることにより、サイドウォール部における変形/復元の位相差を小さくする。即ち、損失正接tanδは、エネルギーの吸収性能を示す粘弾性パラメータであり、値が大きいほどエネルギーを吸収して、変形/復元の位相差を小さくすることができるため、トレッド部から伝搬される変形量を小さくすることができると考えられる。
一方、カーカス層については、カーカス層を構成するコード(カーカスコード)の破断伸びS(%)を、電子部品の長手方向長さL(mm)に対して大きく、即ち、(L/S)を小さくする。これにより、カーカス層を伸び易くさせて、変形させ易くなるため、サイドウォール部の変形に十分に追随して、カーカス層を変形させることができると考えられる。
そして、この考えに基づいて、上記した70℃tanδSWと(L/S)との好ましい関係について、種々の検討を行った結果、70℃tanδSWと(L/S)との積、即ち、(L×70℃tanδSW)/Sが、1.2以下であれば、サイドウォール部とカーカス層の変形量の差を十分小さくして、電子部品の剥離を抑制でき、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性を向上できると考えられる。
6.電子部品
本発明において、電子部品としては、RFIDまたはセンサを使用することが好ましく、RFIDは、大容量の情報を記憶して非接触で読み取ることができ、圧力、温度などのデータに加えて、タイヤの製造情報や管理情報、顧客情報なども記憶させることができることを考慮すると、より好ましい。なお、具体的なセンサとしては、例えば、圧力センサ、温度センサ、加速度センサ、磁気センサ、溝深さセンサなどを挙げることができる。
そして、電子部品の表面には、ゴムとの接着性の向上を図る接着層やメッキ層が設けられていることが好ましい。これにより、電子部品の剥離を十分に抑制することができる。
なお、具体的な接着層としては、公知の金属-ゴム接着剤を使用することができ、LORD社などから購入することができる。メッキ層としては、例えば、銅を含むことが好ましく、スズ、ニッケル、鉄、亜鉛、コバルト、アルミ、マグネシウムなどと合金化されていることが好ましい。
また、電子部品の表面には、厚み0.5mm以上の電子部品被覆層が設けられていることが好ましい。このように、電子部品と隣接するサイドウォール部やカーカス層との間に適度な間隔を設けることにより、界面での変形による影響を受け難くして、電子部品の剥離を十分に抑制することができる。
なお、具体的な電子部品被覆層としては、例えば、ゴム組成物や熱可塑性エラストマー組成物を用いることができ、例えば、本明細書に記載のゴム組成物や、タイヤ分野で公知のゴム組成物などを挙げることができる。
なお、本発明において、電子部品の長手方向長さL(アンテナを含む)は、80mm以下であることが好ましく、50mm以下であるとより好ましい。このようなサイズとすることにより、局所的な応力集中の発生を抑制すると共に、電子部品をタイヤ部材に適切に沿わせて密着させることができるため、剥離を十分に抑制することができる。
そして、前記したタイヤ外表面までの最短距離D1(mm)と、電子部品の重量W(g)との積(D1×W)は、2.5以下であることが好ましい。このような値にD1×Wを制御することにより、電子部品周囲の変形を十分に抑制して、剥離を抑制することができる。
そして、本発明において、電子部品は、その目的と耐久性とを考慮すると、タイヤ径方向において、電子部品の中心位置からビードコアの下端までの距離D2(mm)の、タイヤ最大幅の位置からビードコアの下端までの距離D3(mm)に対する比率(D2/D3)が、0.3以上、1.7以下となる位置に設けられていることが好ましい。
なお、上記において、「電子部品の中心位置」とは、電子部品の長手方向中央における中心、かつ、当該長手方向に直交する幅方向における中心、かつ、当該長手方向および当該幅方向の両方に直交する高さ方向における中心の位置を指し、また、「ビードコアの下端」とは、ビードコアの、タイヤ半径方向の下縁を指す。
[3]実施の形態
以下、実施の形態に基づいて、本発明を具体的に説明する。
1.本実施の形態に係るタイヤ
図1は、本発明の一実施の形態に係るタイヤの構成を示す模式断面図である。図1において、1はタイヤ、2はビード部、3はサイドウォール部、4はトレッド部、31はサイドウォール、32はカーカス層、33はインナーライナー、34は電子部品である。カーカス層32は、ビード部2を構成するビードコア21およびビードエイペックス22に沿って、ビードコア21の下端でタイヤ幅方向内側から外側に折り返された後、内側のカーカス層32と貼り合わされている。そして、ビード部2のタイヤ幅方向内側にはチェーファー24が、タイヤ幅方向外側にはチェーファー24まで延びるクリンチ23が設けられている。
本実施の形態において、電子部品34は、カーカス層32とサイドウォール部3との間に設けられている。ここで、「カーカス層とサイドウォール部との間に電子部品が設けられて」とは、カーカス層とサイドウォール部とが互いに接するそれぞれの面とは反対側の面と面の間に、電子部品が埋め込まれる形で設けられていることを示しており、カーカス層やサイドウォール部に埋め込まれている場合も含まれる。
図2は、本実施の形態において使用される電子部品の形態を示す模式平面図であり、(a)、(b)2つを例示している。図2(a)、(b)に示すように、電子部品34は、ICチップからなる本体34aとアンテナ34bとからなっている。
このような構成とし、サイドウォール部3、トレッド部4、カーカス層32が、前記した各パラメータを満たすことにより、電子部品周辺における変形量を十分小さくして、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性の向上を図ることができる。
2.ゴム組成物
本実施の形態において、上記したカーカス、トレッド、および、サイドウォールを構成する各ゴム組成物(以下、それぞれを、「カーカス用ゴム組成物」、「トレッド用ゴム組成物」、「サイドウォール用ゴム組成物」と言う)は、ゴム成分、補強材、老化防止剤、オイル、樹脂材料、老化防止剤および添加剤などの各種配合材料を混練することにより得ることができる。
(1)配合材料
(a)ゴム成分
各ゴム組成物において、ゴム成分としては特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムを用いることができる。これらは単独で用いても良いが、2種以上を併用してもよい。例えば、カーカス用ゴム組成物においては、イソプレン系ゴムとSBRとの併用が好ましい。そして、サイドウォール用ゴム組成物においては、BRとイソプレン系ゴムとの併用が好ましい。また、トレッド用ゴム組成物においては、イソプレン系ゴム、BR、SBRの内、2種以上を含むことが好ましく、SBR、イソプレン系ゴム、BRの3種を含むとより好ましい。
(イ)イソプレン系ゴム
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられるが、強度に優れるという点からNRが好ましい。
NRとしては、例えば、SVR-L、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のIR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーカス用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部中におけるイソプレン系ゴムの含有量は、55質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であるとより好ましく、65質量部以上であるとさらに好ましい。一方、90質量部以下であることが好ましく、85質量部以下であるとより好ましく、80質量部以下であるとさらに好ましい。
そして、サイドウォール用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部中におけるイソプレン系ゴムの含有量は、30質量部以上であることが好ましく、35質量部以上であるとより好ましく、40質量部以上であるとさらに好ましい。一方、60質量部以下であることが好ましく、55質量部以下であるとより好ましく、50質量部以下であるとさらに好ましい。
また、トレッド用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部中におけるイソプレン系ゴムの含有量は、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であるとより好まい。一方、25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であるとより好ましい。
(ロ)SBR
SBRの重量平均分子量は、例えば、10万超、200万未満である。SBRのスチレン含有量は、例えば、5質量%超であることが好ましく、10質量%超であるとより好ましく、20質量%超であるとさらに好ましい。一方、50質量%未満であることが好ましく、40質量%未満であるとより好ましく、35質量%未満であるとさらに好ましい。SBRのビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、例えば、5質量%超であることが好ましく、10質量%超であるとより好ましく、15質量%超であるとさらに好ましい。一方、70質量%未満であることが好ましく、40質量%未満であるとより好ましく、30質量%未満であるとさらに好ましい。なお、SBRの構造同定(スチレン含量、ビニル含量の測定)は、例えば、日本電子(株)製JNM-ECAシリーズの装置を用いて行うことができる。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれであってもよい。また、SBR中のブタジエン部を水素添加させた水添SBRを用いてもよく、水添SBRはSBR中のBR部を後発的に水素添加処理して得てもよく、スチレン、エチレン、ブタジエンを共重合させて同様の構造を得てもよい。
変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであることが好ましく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖および末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。
また、変性SBRとして、例えば、下記式で表される化合物(変性剤)により変性されたSBRを使用できる。
Figure 2024121696000002
なお、式中、R、RおよびRは、同一または異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(-COOH)、メルカプト基(-SH)またはこれらの誘導体を表す。RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはアルキル基を表す。RおよびRは結合して窒素原子と共に環構造を形成してもよい。nは整数を表す。
上記式で表される化合物(変性剤)により変性された変性SBRとしては、溶液重合のスチレンブタジエンゴム(S-SBR)の重合末端(活性末端)を上記式で表される化合物により変性されたSBR(特開2010-111753号公報に記載の変性SBR等)を使用できる。
、RおよびRとしてはアルコキシ基が好適である(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基)。RおよびRとしてはアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基)が好適である。nは、好ましくは1~5、より好ましくは2~4、更に好ましくは3である。また、RおよびRが結合して窒素原子と共に環構造を形成する場合、4~8員環であることが好ましい。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等)も含まれる。
上記変性剤の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、変性SBRとしては、以下の化合物(変性剤)により変性された変性SBRも使用できる。変性剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4-ジグリシジルベンゼン、1,3,5-トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’-ジグリシジル-ジフェニルメチルアミン、4,4’-ジグリシジル-ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、N,N’-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物;ビス-(1-メチルプロピル)カルバミン酸クロリド、4-モルホリンカルボニルクロリド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、N,N-ジメチルカルバミド酸クロリド、N,N-ジエチルカルバミド酸クロリド等のアミノ基含有酸クロリド;1,3-ビス-(グリシジルオキシプロピル)-テトラメチルジシロキサン、(3-グリシジルオキシプロピル)-ペンタメチルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物;(トリメチルシリル)[3-(トリメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリブトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジブトキシシリル)プロピル]スルフィド等のスルフィド基含有シラン化合物;エチレンイミン、プロピレンイミン等のN-置換アジリジン化合物;メチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジ-t-ブチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-ビス-(テトラエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノ基および/または置換アミノ基を有する(チオ)ベンゾフェノン化合物;4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジビニルアミノベンズアルデヒド等のアミノ基および/または置換アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-t-ブチル-2-ピロリドン、N-メチル-5-メチル-2-ピロリドン等のN-置換ピロリドンN-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン等のN-置換ピペリドン;N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム、N-メチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム等のN-置換ラクタム類;の他、N,N-ビス-(2,3-エポキシプロポキシ)-アニリン、4,4-メチレン-ビス-(N,N-グリシジルアニリン)、トリス-(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン類、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルマレイミド、N,N-ジエチル尿素、1,3-ジメチルエチレン尿素、1,3-ジビニルエチレン尿素、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、4-N,N-ジメチルアミノアセトフェン、4-N,N-ジエチルアミノアセトフェノン、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-プロパノン、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン等を挙げることができる。なお、上記化合物(変性剤)による変性は公知の方法で実施可能である。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、(株)ENEOSマテリアル、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。なお、SBRは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーカス用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部中におけるSBRの含有量は、20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であるとより好ましく、35質量部以上であるとさらに好ましい。一方、70質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であるとより好ましく、55質量部以下であるとさらに好ましい。
そして、トレッド用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部中におけるSBRの含有量は、50質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であるとより好ましい。上限としては特に限定されないが、90質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であるとより好ましい。
また、サイドウォール用ゴム組成物においては、必要に応じて、ゴム成分100質量部中に1質量部以上、10質量部未満、SBRを含有してもよい。
(ハ)BR
BRの重量平均分子量は、例えば、10万超、200万未満である。BRのビニル含量は、例えば1質量%超、30質量%未満である。BRのシス含量は、例えば1質量%超、98質量%以下である。BRのトランス量は、例えば、1質量%超、60質量%未満である。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
BRとしては特に限定されず、高シス含量(シス含量が90%以上)のBR、低シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。BRは、非変性BR、変性BRのいずれでもよく、変性BRとしては、例えば、下記式で表される化合物(変性剤)により変性されたBRを使用できる。
Figure 2024121696000003
なお、式中、R、RおよびRは、同一または異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(-COOH)、メルカプト基(-SH)またはこれらの誘導体を表す。RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはアルキル基を表す。RおよびRは結合して窒素原子と共に環構造を形成してもよい。nは整数を表す。
上記式で表される化合物(変性剤)により変性された変性BRとしては、重合末端(活性末端)を前記式で表される化合物により変性されたBRを挙げることができる。
、RおよびRとしてはアルコキシ基が好適である(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基)。RおよびRとしてはアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基)が好適である。nは、好ましくは1~5、より好ましくは2~4、更に好ましくは3である。また、RおよびRが結合して窒素原子と共に環構造を形成する場合、4~8員環であることが好ましい。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等)も含まれる。
上記変性剤の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、変性BRとしては、以下の化合物(変性剤)により変性された変性BRも使用できる。変性剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4-ジグリシジルベンゼン、1,3,5-トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’-ジグリシジル-ジフェニルメチルアミン、4,4’-ジグリシジル-ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、N,N’-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物;ビス-(1-メチルプロピル)カルバミン酸クロリド、4-モルホリンカルボニルクロリド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、N,N-ジメチルカルバミド酸クロリド、N,N-ジエチルカルバミド酸クロリド等のアミノ基含有酸クロリド;1,3-ビス-(グリシジルオキシプロピル)-テトラメチルジシロキサン、(3-グリシジルオキシプロピル)-ペンタメチルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物;(トリメチルシリル)[3-(トリメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリブトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジブトキシシリル)プロピル]スルフィド等のスルフィド基含有シラン化合物;エチレンイミン、プロピレンイミン等のN-置換アジリジン化合物;メチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジ-t-ブチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-ビス-(テトラエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノ基および/または置換アミノ基を有する(チオ)ベンゾフェノン化合物;4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジビニルアミノベンズアルデヒド等のアミノ基および/または置換アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-t-ブチル-2-ピロリドン、N-メチル-5-メチル-2-ピロリドン等のN-置換ピロリドン;N-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン等のN-置換ピペリドン;N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム、N-メチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム等のN-置換ラクタム類;の他、N,N-ビス-(2,3-エポキシプロポキシ)-アニリン、4,4-メチレン-ビス-(N,N-グリシジルアニリン)、トリス-(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン類、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルマレイミド、N,N-ジエチル尿素、1,3-ジメチルエチレン尿素、1,3-ジビニルエチレン尿素、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、4-N,N-ジメチルアミノアセトフェン、4-N,N-ジエチルアミノアセトフェノン、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-プロパノン、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン等を挙げることができる。なお、上記化合物(変性剤)による変性は公知の方法で実施可能である。なお、これらの変性BRは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、(株)ENEOSマテリアル、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
トレッド用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部中におけるBRの含有量は、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であるとより好ましい。一方、25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であるとより好ましい。
そして、サイドウォール用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部中におけるBRの含有量は、45質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であるとより好ましい。一方、65質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であるとより好ましい。
また、カーカス用ゴム組成物においては、必要に応じて、ゴム成分100質量部中に、1質量部以上、10質量部未満、BRを含有してもよい。
(ニ)その他のゴム成分
本実施の形態において、各ゴム組成物には、その他のゴム成分として、必要に応じて、ニトリルゴム(NBR)などのタイヤの製造に一般的に用いられるゴム(ポリマー)を含んでもよい。
(b)ゴム成分以外の配合材料
(イ)充填剤
本実施の形態において、各ゴム組成物には、補強剤であるカーボンブラックやシリカなどを、充填剤として含有していることが好ましい。なお、充填剤としては、上記したカーボンブラック、シリカの他に、例えば、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等も挙げることができる。なお、シリカを用いる場合には、シランカップリング剤と併用することが好ましい。
充填剤の合計の配合量は、いずれのゴム組成物においても、ゴム成分100質量部に対して40質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であるとより好ましい。一方、ゴム組成物中における分散性の観点から、150質量部以下であることが好ましく、140質量部以下であるとより好ましい。
(i)カーボンブラック
カーボンブラックは、タイヤの耐亀裂成長性、耐久性、耐紫外線劣化性等を向上させることを目的として使用する。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、ゴムへの補強性の観点から、例えば、30m/g以上であることが好ましく、50m/g以上であるとより好ましく、60m/g以上であるとさらに好ましい。一方、発熱性の観点からは、250m/g以下であることが好ましく、150m/gであるとより好ましく、120m/g以下であるとさらに好ましい。カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、ゴムの剛性の観点から、例えば50ml/100g以上であることが好ましく、100ml/100g以上であるとより好ましい。一方、ゴムの変形に対する追従性の観点からは、250ml/100g以下であることが好ましく、150ml/100g以下であるとより好ましい。なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、ASTM D4820-93に従って測定され、DBP吸収量は、ASTM D2414-93に従って測定される。
カーボンブラックとしては特に限定されず、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCFおよびECFのようなファーネスブラック(ファーネスカーボンブラック);アセチレンブラック(アセチレンカーボンブラック);FTおよびMTのようなサーマルブラック(サーマルカーボンブラック);EPC、MPCおよびCCのようなチャンネルブラック(チャンネルカーボンブラック)などを挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、押出加工性や衝撃吸収性の観点からFEFが好ましい。
具体的なカーボンブラックとしては特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられ、市販品としては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用でき、これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カーカス用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、例えば、30質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であるとより好ましい。一方、60質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であるとより好ましい。
そして、サイドウォール用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、40質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であるとより好ましい。一方、70質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であるとより好ましい。
また、トレッド用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、3質量部以上であることが好ましく、8質量部以上であるとより好ましい。一方、17質量部以下であることが好ましく、12質量部以下であるとより好ましい。
(ii)シリカ
シリカは導電性がないため、補強材として使用した場合、誘電率の低下を図ることができ、電子部品の読み取り範囲を広げることができる。また、シリカに含まれる水和水や表面の官能基は、オゾンを補足することができるため、耐オゾン性が向上して、タイヤの耐久性を向上させることができる。
シリカとしては、平均一次粒子径が小さすぎると加工性が悪くなるため、8nm超のシリカを用いることが好ましい。9nm以上であるとより好ましく、10nm以上であるとさらに好ましい。一方、ゴムの補強性確保及び走行時の濡れた路面での操縦安定性能確保の観点からは、25nm以下であることが好ましく、20nm以下であるとより好ましく、17nm以下であるとさらに好ましい。
なお、シリカの平均一次粒子径とは、凝集構造を構成するシリカの最小粒子単位を円として観察し、その最小粒子の絶対最大長を円の直径として測定した値の平均値を意味し、透過型又は走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されるシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
シリカのBET比表面積は、良好な耐久性能が得られる観点から、100m/g超であることが好ましく、130m/g超であるとより好ましい。一方、250m/g未満であることが好ましく、200m/g未満であるとより好ましい。なお、上記したBET比表面積は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定されるNSAの値である。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)、コロイダルシリカなどが挙げられる。なかでも、水和水を含み、かつ、シラノール基を多く含み、オゾンを効果的に補足できる湿式法シリカが好ましい。また、含水ガラスなどを原料としたシリカや、もみ殻などのバイオマス材用を原料としたシリカなどを用いてもよい。
シリカとしては、エボニックインダストリーズ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
トレッド用ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、40質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であるとより好ましい。一方、ゴム組成物中における分散性の観点から、110質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であるとより好ましい。
また、カーカス用ゴム組成物、および、サイドウォール用ゴム組成物は、必要に応じて、シリカを含有してもよく、この場合、十分な押出加工性や耐オゾン性を考慮すると、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、例えば、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であるとより好ましい。また、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であるとより好ましい。このようなシリカ量とすることにより、十分な押出加工性や耐オゾン性を得ることができる。
(iii)シランカップリング剤
充填剤としてシリカを使用する場合、シリカの分散性を高めると共に、シリカとの反応により機械的性質や成形性の向上などを図るために、シランカップリング剤を併用することが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられるが、これらの内でも、上記したNXTなどのようなチオカルボニル基を有するシランカップリング剤が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、エボニックインダストリーズ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、例えば、3質量部超であることが好ましく、5質量部以上であるとより好ましい。一方、15質量部未満であることが好ましく、10質量部以下であるとより好ましい。
(iv)その他の充填剤
各ゴム組成物には、上記したカーボンブラック、シリカの他に、タイヤ工業において一般的に用いられている、例えば、グラファイト、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ、硫酸マグネシウム等の充填剤をさらに含有してもよい。これらの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部超、150質量部未満である。
(ロ)可塑剤成分
各ゴム組成物には、混練時における粉末材料の適切な分散を考慮すると、必要に応じて、可塑剤成分を用いることが好ましい。なお、ここでの可塑剤成分とは、プロセスオイルやゴム成分の進展油、液状ゴム、樹脂成分など、ゴム組成物を可塑化させるものを指す。
このとき、各ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対する可塑剤成分の含有量としては、2質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であるとより好ましい。一方、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であるとより好ましい。
なお、可塑剤の含有量には、ゴム(油展ゴム)などに含まれるオイルの量も含まれる。
(i)オイル
オイルとしては、例えば、鉱物油、合成油、植物油、動物油、またはその混合物などが挙げられる。
鉱物油としては、例えば、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系などのオイルが挙げられ、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、ENEOS(株)、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらのオイルとして、ライフサイクルアセスメントの観点からゴム混合機のミキサーやエンジンなどに用いられた潤滑油や調理店等で使用された後の廃食油などを適宜精製して用いてもよい。
植物油としては、例えば、あまに油、なたね油、べに花油、大豆油、コーン油、綿実油、こめ油、トール油、ごま油、えごま油、ひまし油、桐油、パイン油、パインタール油、ひまわり油、ココナッツ油、パーム油、パーム核油、オリーブ油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、落花生油、グレープシード油、木ろうなどが挙げられる。
さらに、植物油としては、上記各油を精製した精製油(サラダ油など)、エステル交換したエステル交換油、水素添加した硬化油、熱重合させた熱重合油、酸化させた酸化重合油、食用油等として利用したものを回収した廃食用油等も挙げられる。なお、植物油は常温(25℃)で液体であっても固体であっても良い。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
植物油としては、アシルグリセロールが好ましく、トリアシルグリセロールがより好ましい。なお、アシルグリセロールとは、グリセリンの持つヒドロキシ基とカルボン酸とがエステル結合をした化合物を指す。アシルグリセロールとしては、特に限定されず、1-モノアシルグリセロールでもよく、2-モノアシルグリセロールでもよく、1,2-ジアシルグリセロールでもよく、1,3-ジアシルグリセロールでもよく、トリアシルグリセロールでもよい。さらに、アシルグリセロールは、単量体でもよく、2量体でもよく、3量体以上の多量体であってもよい。なお、2量体以上のアシルグリセロールは、熱重合や酸化重合等によって得ることができる。また、アシルグリセロールは常温(25℃)で液体であっても固体であってもよい。
ゴム組成物中にアシルグリセロールが含まれているか確認する方法としては、特に限定されないが、H-NMR測定によって確認することができる。例えば、トリアシルグリセロールを配合したゴム組成物を常温(25℃)で24時間重クロロホルムに浸漬し、ゴム組成物を除いた後、室温下で1H-NMRを測定し、テトラメチルシラン(TMS)のシグナルを0.00ppmとした場合、5.26ppm付近、4.28ppm付近、4.15ppm付近のシグナルが観測され、該シグナルはエステル基の酸素原子に隣接する炭素原子に結合した水素原子由来のシグナルと推測されるため、アシルグリセロールの含有を確認することができる。なお、ここで「付近」とは、±0.10ppmの範囲を指す。
なお、カルボン酸としては、特に限定されず、不飽和脂肪酸であっても、飽和脂肪酸であっても良い。不飽和脂肪酸としては、オレイン酸等の一価不飽和脂肪酸や、リノール酸、リノレン酸等の多価不飽和脂肪酸が挙げられる。
植物油としては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、ENEOS(株)、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)などより市販されているものを使用することができる。
(ii)液状ゴム
液状ゴムとは、常温(25℃)で液体状態の重合体であり、加硫後のタイヤからアセトン抽出により抽出可能なゴム成分である。液状ゴムとしては、ファルネセン系ポリマー、液状ジエン系重合体及びそれらの水素添加物等が挙げられる。
ファルネセン系ポリマーとは、ファルネセンを重合することで得られる重合体であり、ファルネセンに基づく構成単位を有する。ファルネセンには、α-ファルネセン((3E,7E)-3,7,11-トリメチル-1,3,6,10-ドデカテトラエン)やβ-ファルネセン(7,11-ジメチル-3-メチレン-1,6,10-ドデカトリエン)などの異性体が存在する。
ファルネセン系ポリマーは、ファルネセンの単独重合体(ファルネセン単独重合体)でも、ファルネセンとビニルモノマーとの共重合体(ファルネセン-ビニルモノマー共重合体)でもよい。
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)等が挙げられる。
液状ジエン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、例えば、1.0×10超、2.0×10未満である。ここで、液状ジエン系重合体のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。
液状ゴムの含有量(液状ファルネセン系ポリマー、液状ジエン系重合体等の合計含有量)は、各ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1質量部超、100質量部未満であることが好ましい。
液状ゴムとしては、例えば、クラレ(株)、クレイバレー社等の製品を使用できる。
(iii)樹脂成分
樹脂成分は、粘着性付与成分としても機能し、常温で固体であっても、液体であってもよく、具体的な樹脂成分としては、例えば、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂、クマロン系樹脂、テルペン系樹脂、C5樹脂、C9樹脂、C5C9樹脂、アクリル系樹脂などの樹脂が挙げられ、2種以上を併用しても良い。樹脂成分の含有量は、各ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対して、2質量部超で、45質量部未満が好ましく、30質量部未満がより好ましい。
ロジン系樹脂は、松脂を加工することにより得られるロジン酸を主成分とする樹脂である。このロジン系樹脂(ロジン類)は、変性の有無によって分類可能であり、無変性ロジン(未変性ロジン)、ロジン変性体(ロジン誘導体)に分類できる。無変性ロジンとしては、トールロジン(別名トール油ロジン)、ガムロジン、ウッドロジン、不均斉化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、その他の化学的に修飾されたロジンなどが挙げられる。ロジン変性体は無変性ロジンの変性体であって、ロジンエステル類、不飽和カルボン酸変性ロジン類、不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類、ロジンのアミド化合物、ロジンのアミン塩などが挙げられる。
スチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして用いたポリマーであり、スチレン系単量体を主成分(50質量%以上)として重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等)をそれぞれ単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体およびこれと共重合し得る他の単量体のコポリマーも挙げられる。
前記他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、アクリル類、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル類、クロロプレン、ブタジエンイソプレンなどのジエン類、1-ブテン、1-ペンテンのようなオレフィン類;無水マレイン酸等のα,β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物;等が例示できる。
クマロン系樹脂の中でも、クマロンインデン樹脂が好ましい。クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成するモノマー成分として、クマロンおよびインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
クマロンインデン樹脂の含有量は、各ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1.0質量部超、50.0質量部未満であることが好ましい。
クマロンインデン樹脂の水酸基価(OH価)は、例えば、15mgKOH/g超、150mgKOH/g未満である。なお、OH価とは、樹脂1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、電位差滴定法(JIS K 0070:1992)により測定した値である。
クマロンインデン樹脂の軟化点は、例えば、30℃超、160℃未満である。なお、軟化点は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
テルペン系樹脂としては、ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。ポリテルペンは、テルペン化合物を重合して得られる樹脂およびそれらの水素添加物である。テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素およびその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
ポリテルペンとしては、上述したテルペン化合物を原料とするα-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β-ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、該テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂も挙げられる。テルペンフェノールとしては、上記テルペン化合物とフェノール系化合物とを共重合した樹脂、および該樹脂に水素添加処理した樹脂が挙げられ、具体的には、上記テルペン化合物、フェノール系化合物およびホルマリンを縮合させた樹脂が挙げられる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる樹脂、および該樹脂に水素添加処理した樹脂が挙げられる。なお、芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
「C5樹脂」とは、C5留分を重合することにより得られる樹脂をいう。C5留分としては、例えば、シクロペンタジエン、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等の炭素数4~5個相当の石油留分が挙げられる。C5系石油樹脂しては、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)が好適に用いられる。
「C9樹脂」とは、C9留分を重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C9留分としては、例えば、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデン、メチルインデン等の炭素数8~10個相当の石油留分が挙げられる。具体例としては、例えば、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、および芳香族ビニル系樹脂が好適に用いられる。芳香族ビニル系樹脂としては、経済的で、加工しやすく、発熱性に優れているという理由から、α-メチルスチレン(AMS樹脂)もしくはスチレンの単独重合体またはα-メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましく、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体がより好ましい。芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、クレイトン社、イーストマンケミカル社等より市販されているものを使用することができる。
「C5C9樹脂」とは、前記C5留分と前記C9留分を共重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分およびC9留分としては、前記の石油留分が挙げられる。C5C9樹脂としては、例えば、東ソー(株)、LUHUA社等より市販されているものを使用することができる。
アクリル系樹脂としては特に限定されないが、例えば、無溶剤型アクリル系樹脂を使用できる。
無溶剤型アクリル系樹脂は、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)が挙げられる。なお、本発明において、(メタ)アクリルは、メタクリルおよびアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体と共に、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルを使用してもよい。
上記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル成分のみで構成される樹脂であっても、(メタ)アクリル成分以外の成分をも構成要素とする樹脂であっても良い。また、上記アクリル系樹脂は、水酸基、カルボキシル基、シラノール基等を有していてよい。
樹脂成分としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、クレイトン社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
(ハ)硬化性樹脂成分
各ゴム組成物は、必要に応じて、高温時におけるEの変化を抑制するために、変性レゾルシン樹脂、変性フェノール樹脂などの硬化性樹脂成分を耐熱性向上剤として含有することが好ましい。
具体的な変性レゾルシン樹脂としては、例えば、田岡化学工業(株)製のスミカノール620(変性レゾルシン樹脂)などが挙げられ、変性フェノール樹脂としては、例えば、住友ベークライト(株)製のPR12686(カシューオイル変性フェノール樹脂)などが挙げられる。
硬化性樹脂成分の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、複素弾性率を十分に向上させ、変形時に大きな反力を得るという観点から、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。一方、破断強度の維持という観点から、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。
変性レゾルシン樹脂の使用に際しては、硬化剤として、メチレン供与体を併せて含有することが好ましい。メチレン供与体としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)、ヘキサメトキシメチロールメラミン(HMMM)やヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテル(HMMPME)等が挙げられ、硬化性樹脂成分100質量部に対して、例えば、5質量部以上、15質量部程度含有されることが好ましい。少な過ぎると、充分な複素弾性率が得られない恐れがある。一方、多過ぎると、ゴムの粘度が増大し、加工性が悪化する恐れがある。
具体的なメチレン供与体としては、例えば、田岡化学工業(株)製のスミカノール507などを使用できる。
(ニ)滑剤(ステアリン酸)
各ゴム組成物は、滑剤を含んでもよい。滑剤としては、ステアリン酸などの脂肪酸誘導体ベースの滑剤が好ましく使用できる。ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、具体的には、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。また、ストラクトール社製のストラクトールWB16などを使用することもできる。
ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部超、10.0質量部未満であることが好ましい。
(ホ)老化防止剤
各ゴム組成物は、老化防止剤を含んでもよい。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1質量部超、10質量部未満である。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的な老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
(ヘ)酸化亜鉛
各ゴム組成物は、酸化亜鉛を含んでもよい。酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部超、10質量部未満である。酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
(ト)ワックス
各ゴム組成物は、ワックスを含んでいてもよい。ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5~20質量部であることが好ましく、1.0~15質量部であるとより好ましく、1.5~10質量部であるとさらに好ましい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
(チ)架橋剤および加硫促進剤
各ゴム組成物は、硫黄等の架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部超、10.0質量部未満である。なお、硫黄の含有量は、純硫黄分量であり、不溶性硫黄を用いる場合はオイル分を除いた含有量である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
硫黄以外の架橋剤を使用してもよく、具体的には、例えば、田岡化学工業(株)製のタッキロールV200、フレクシス社製のDURALINK HTS(1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物)、ランクセス社製のKA9188(1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン:ハイブリッド架橋剤)などの硫黄原子を含む加硫剤や、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物等を使用することができる。
そして、各ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.3質量部超、10.0質量部未満である。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(リ)その他
各ゴム組成物には、上記した各成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、セルロース繊維などの有機充填材、脂肪酸金属塩、カルボン酸金属塩、有機過酸化物などを必要に応じて配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部超、50質量部未満である。
(ヌ)カーカスコード
ゴム組成物の配合材料ではないが、カーカスコードについても説明する。カーカスコードには、アラミド、PET、ナイロン6、ナイロン6,6、レーヨン等の材料を用いたコードが用いられ、中でもアラミド製、PET製のコードが好ましく用いられる。そして、本実施の形態において、カーカスコードの繊度は900dtex以上、2500dtex以下であることが好ましい。
そして、本実施の形態において、カーカスコードの太さは、0.5mm以上、0.9mm以下であることが好ましく、0.6mm以上、0.8mm以下であるとより好ましい。また、5cm当たりの打ち込み本数であるエンズは、40以上、60以下であることが好ましく、45以上、55以下であるとより好ましい。また、10cm当たりの撚り数は、20以上、60以下であることが好ましく、30以上、50以下であるとより好ましい。
なお、上記したカーカスコードの繊度、太さ、エンズ、撚り数は、JIS L1017:2002に規定される方法に準拠して測定することができる。
なお、各ゴム組成物において、損失正接(tanδ)は、カーボンブラックや硫黄の量などを調整することにより調整でき、これにより、過度な試行錯誤を必要とせずに、狙いの損失正接(tanδ)を達成することができる。
そして、複素弾性率(E)は、硬化性樹脂成分の量を調整することにより調整することができる。また、カーボンブラックや硫黄量の量を調整することによっても、複素弾性率(E)を調整することができる。具体的には、カーボンブラックや硫黄を増量することで複素弾性率(E)を増加させることができる。但し、カーボンブラックを増量すると発熱性が上昇し、硫黄を増量すると発熱性が下降する。従って、まず、硬化性樹脂成分の使用の有無および配合量を定めた後、次に硫黄量を調整し、最後にカーボンブラック量を調整するという手段を採用することが好ましく、これにより、過度な試行錯誤を必要とせずに、狙いの複素弾性率(E)を達成することができる。
また、カーカスコードの破断伸びS(%)は、例えば、コードの撚り数を増やす(即ち、コードの撚り角度を大きくする)ことや、コードの太さを変更する等、公知の方法を用いて所望の値に制御することができる。
(2)各ゴム組成物の作製
各ゴム組成物は、一般的な方法、例えば、ゴム成分とカーボンブラック等のフィラーとを混練するベース練り工程と、前記ベース練り工程で得られる混練物と架橋剤とを混練する仕上げ練り工程とを含む製造方法により作製することができる。
混練は、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの公知の(密閉式)混練機を用いて行うことができる。
ベース練り工程の混練温度は、例えば、50℃超、200℃未満であり、混練時間は、例えば、30秒超、30分未満である。ベース練り工程では、上記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、オイル等の軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加硫促進剤などを必要に応じて適宜添加、混練してもよい。
仕上げ練り工程では、前記ベース練り工程で得られる混練物と架橋剤とを混練する。仕上げ練り工程の混練温度は、例えば、室温超、80℃未満であり、混練時間は、例えば、1分超、15分未満である。仕上げ練り工程では、上記成分以外にも、加硫促進剤、酸化亜鉛等を必要に応じて適宜添加、混練してもよい。
上記により得られるトレッド用ゴム組成物、サイドウォール用ゴム組成物は、その後、所定の形状に押出加工することにより、それぞれ、トレッド、サイドウォールに成形することができる。そして、カーカス用ゴム組成物は、カーカスコードにトッピング(被覆)して、所定の形状に押出加工することにより、カーカスに成形することができる。
3.タイヤの製造
本実施の形態に係るタイヤは、成形途中に電子部品を埋め込むこと以外は、通常の方法によって製造することができる。まず、上記で得られる各ゴム組成物を用いて所定の形状に成形して、カーカス、トレッド、サイドウォールを製造する。次に、その他のゴム部材と共にタイヤ成型機上にて組み合わせて未加硫タイヤを作製する。
具体的には、成形ドラム上に、タイヤの気密保持性を確保するための部材としてのインナーライナー、タイヤの受ける荷重、衝撃、充填空気圧に耐える部材としてのカーカス、カーカスを強く締付けトレッドの剛性を高める部材としてのベルト部材などを巻回し、両側縁部にカーカスの両端を固定すると共に、タイヤをリムに固定させるための部材としてのビード部を配置して、トロイド状に成形した後、外周の中央部にトレッド、径方向外側にサイドウォールを貼り合せてサイド部を構成させることにより、未加硫タイヤを作製する。この未加硫タイヤ作製工程において電子部品を所定の位置に埋め込む。
その後、作製された未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。加硫工程は、公知の加硫手段を適用することで実施できる。加硫温度としては、例えば、120℃超、200℃未満であり、加硫時間は、例えば、5分超、15分未満である。
得られるタイヤは、先に述べたように、カーカス層とサイドウォール部との間に電子部品を設けると共に、S/Lを適切に制御することにより、走行時、電子部品周辺における変形量を小さくして電子部品のタイヤ内での剥離、損傷を抑制することができるため、タイヤに取り付けられた電子部品の走行時における耐久性の向上を図ることができる。
そして、本発明に係るタイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ、スタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)、オールシーズンタイヤ、ランフラットタイヤ等として好適に用いることができ、とりわけ、乗用車用タイヤとすることが好ましい。
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本発明の範囲は当該実施例に限られない。
以下に示す各種配合材料および表1~表3に基づくインナーライナー用ゴム組成物、トレッド用ゴム組成物、厚部材用ゴム組成物から成形されるインナーライナー、トレッド、厚部材(クリンチまたはサイドウォール)と、表4に示すカーカスコードを使用して作製されるカーカス、および、その他のゴム部材からなるタイヤ(タイヤサイズ195/65R15(検討1)、155/60R16(検討2)、215/50R17(検討3))を検討し、検討結果を表5~表10に示す。
1.各ゴム組成物の作製
以下に示す各種配合材料を用いて、サイドウォール用ゴム組成物、トレッド用ゴム組成物、カーカス用ゴム組成物を作製する。
(1)配合材料
(a)ゴム成分
(イ)NR :TSR20
(ロ)SBR-1:ENEOSマテリアル社製のSBR1502
(スチレン含量:23.5質量%、ビニル含量:16質量%、非油展)
(ハ)SBR-2:ENEOSマテリアル社製のHPR850
(スチレン含量:27質量%、ビニル含量:59質量%、非油展)
(ニ)BR :宇部興産社製のUBEPOL BR150B(ハイシスBR)
(Mw:44万、シス-1,4結合含量:96質量%)
(b)ゴム成分以外の配合材料
(イ)カーボンブラック-1:キャボットジャパン社製のショウブラック N330
(ロ)カーボンブラック-2:キャボットジャパン社製のショウブラック N550
(ハ)シリカ:エポニックインダストリーズ社製のウルトラシル VN3
(NSA:175m/g、平均一次粒子径:17nm)
(ニ)シランカップリング剤:エポニックインダストリーズ社製のSi266
(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
(ホ)樹脂:東ソー社製のペトロタック 100V
(C5C9系石油樹脂、軟化点96℃)
(ヘ)ワックス:日本精蝋社製のOZOACE-0355
(ト)ステアリン酸:日油社製のビーズステアリン酸「椿」
(チ)老化防止剤-1:大内新興化学工業社製のノクラック6C
(N-(1,3ジメチルブチル)-N´-フェニル-p-フェニレンジアミン)
(リ)老化防止剤-2:大内新興化学工業社製のノクラックRD
(ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン))
(ヌ)オイル-1:出光興産社製のダイアナプロセス AH-24(アロマオイル)
(ル)オイル-2:出光興産社製のダイアナプロセス PS-32(ミネラルオイル)
(ヲ)酸化亜鉛:三井金属鉱業社製の酸化亜鉛2種
(ワ)硫黄 :軽井沢硫黄社製の粉末硫黄
(カ)促進剤-1:大内新興化学工業社製のノクラック-NS
(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS))
(ヨ)促進剤-2:住友化学社製のソクシノールDG
(1,3-ジフェニルグアニジン)
(2)サイドウォール用ゴム組成物
表1に示す各配合内容に従い、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りして、混練物を得る。なお、各配合量は、質量部である。
次に、当該混練物に、硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、SW-1~SW-6のサイドウォール用ゴム組成物を得る。
Figure 2024121696000004
(3)トレッド用ゴム組成物の作製
並行して、表2に示す各配合に基づいて、サイドウォール用ゴム組成物の作製と同様にして、TR1~TR5のトレッド用ゴム組成物を得る。
Figure 2024121696000005
2.サイドウォール、トレッドの成形
次に、上記で得られる各ゴム組成物を用いて、所定の形状のサイドウォール、トレッドに成形する。
なお、表1、表2に記載の各物性の内、70℃tanδ、30℃tanδ、0℃tanδは、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmになるように各タイヤからで切り出して作製する試験片を、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張の条件下、温度をそれぞれ、70℃、30℃、0℃として、GABO社製「イプレクサー(登録商標)」を用いて測定する。
また、70℃Eは、同様に作製する試験片を、温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張の条件下GABO社製「イプレクサー(登録商標)」を用いて測定する。
なお、試験片の作製に際しては、試験片の長さ方向と周方向は一致させるものとする。さらに、試験片の厚み方向は、トレッドの場合はタイヤの半径方向と一致させるものとし、サイドウォールの場合は、直線Lと平行な方向とする。なお、各部材の厚みが1mm未満の場合は、その部材の厚みを試験片の厚みとする。
3.カーカスの成形
並行して、表3に示す各配合に基づいて、サイドウォール用ゴム組成物の作製と同様にして、CA-a、CA-bのカーカス用ゴム組成物を得る。
Figure 2024121696000006
次に、上記で得られる各ゴム組成物を、表4に示すコード(CA-1、CA-2)の両面にトッピングして、所定の形状に成形することにより、カーカスを作製する。
Figure 2024121696000007
なお、表4に記載の物性の内、コードの破断伸びは、コード破断時に測定される試料コードの伸び率を指し、各試験タイヤからコード(試料コード)を取り出し、取り出した直後の試料コードをオートグラフの一対の掴み具にコードがたるまずに真っ直ぐになるようにセットし、JIS L1017:2002に規定される方法に準拠して、つかみ間隔250mm、引張速度300mm/分の条件で測定する。
4.タイヤの製造
次に、上記で得られるサイドウォール、トレッド、カーカスを、表5~表10に示す組み合わせで、その他のタイヤ部材と共に貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で10分間プレス加硫して、表5~表10に示す各試験用タイヤを製造する。
なお、未加硫タイヤを形成時、表5~表10に示す埋め込み位置に、表5~表10に示すサイズ(重量W(g)および長手方向長さL(mm))の電子部品(RFID)を埋設する。このとき、電子部品の表面には、予め、銅とニッケルを含有するメッキ層を形成すると共に、厚み0.5mmのゴム被覆層を設けておく。なお、表5~表10において、埋め込み位置1は、サイドウォール部とカーカス層との間に電子部品を埋設すること(図1参照)を示しており、埋め込み位置2は、カーカス層とクリンチ部との間に電子部品を埋設すること(図3参照)を示している。
5.パラメータの算定
次に、各試験用タイヤ(上記試験片を採取するタイヤとは別の個体)について、タイヤ重量(kg)、断面高さH(mm)、外径Dt(mm)を測定し、これらに基づいて、最大負荷能力(kg)を算出する。併せて、D1、D2、D3、Hを測定する。
そして、S/L、タイヤ重量/最大負荷能力、(S/70℃ESW)/L、70℃tanδSW×L、(L×70℃tanδSW)/S、30℃ETR/70℃ESW、D1×W、D2/D3を算出する。
6.性能評価試験(タイヤの走行時における電子部品の耐久性評価)
(1)試験方法
各試験用タイヤを車輌(国産のFF車、排気量2000cc)の全輪に装着させて、内圧が230kPaとなるように空気を充填した後、過積載状態で、テストコース上を走行する。このとき、走行前に、ドライバーが電子部品の読み取り試験を行い、読み取り性能について確認しておく。試験は、路面に設けた突起への乗り上げと通常走行とを繰り返し、50km/hの速度から徐々に速度を上げて、ドライバーが読み取り性能について異変を感じた時点における速度を記録する。
(2)評価方法
次いで、各検討の比較例1(比較例1-1、比較例2-1、比較例3-1)における結果を100として、下式に基づいて指数化し、タイヤの走行時における耐久性評価とする。数値が大きいほど、タイヤの走行時における電子部品の耐久性が優れていることを示す。
タイヤの走行時における電子部品の耐久性
=[(試験用タイヤの結果)/(比較例1の結果)]×100
Figure 2024121696000008
Figure 2024121696000009
Figure 2024121696000010
Figure 2024121696000011
Figure 2024121696000012
Figure 2024121696000013
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
本発明(1)は、
カーカス層、トレッド部、および、サイドウォール部を備えたタイヤであって、
前記カーカス層と前記サイドウォール部との間に、電子部品が設けられており、
前記カーカス層を構成するコードの破断伸びS(%)と、
前記電子部品の長手方向長さL(mm)とが、下記(式1)を満たしていることを特徴とするタイヤである。
S/L≧0.125 (式1)
本発明(2)は、
温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記トレッド部の損失正接30℃tanδTRが、0.25以下であることを特徴とし、本発明(1)に記載のタイヤである。
本発明(3)は、
温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記トレッド部の損失正接30℃tanδTRが、0.15以下であることを特徴とし、本発明(2)に記載のタイヤである。
本発明(4)は、
温度0℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記トレッド部の損失正接0℃tanδTRが、0.50以上であることを特徴とし、本発明(2)または(3)に記載のタイヤである。
本発明(5)は、
タイヤ重量(kg)と、
タイヤの最大負荷能力(kg)とが、下記(式2)を満たしていることを特徴とし、本発明(1)から(4)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
タイヤ重量/最大負荷能力<0.0150 (式2)
本発明(6)は、
タイヤ重量(kg)と、
タイヤの最大負荷能力(kg)とが、下記(式3)を満たしていることを特徴とし、本発明(5)に記載のタイヤである。
タイヤ重量/最大負荷能力<0.0135 (式3)
本発明(7)は、
前記カーカス層を構成するコードの破断伸びS(%)と、
温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記サイドウォール部の複素弾性率70℃ESW(MPa)と、
前記電子部品の長手方向長さL(mm)とが、下記(式4)を満たしていることを特徴とし、本発明(1)から(6)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
(S/70℃ESW)/L≧0.025 (式4)
本発明(8)は、
温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記サイドウォール部の損失正接70℃tanδSWと、
前記電子部品の長手方向長さL(mm)とが、下記(式5)を満たしていることを特徴とし、本発明(1)から(7)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
70℃tanδSW×L≦12 (式5)
本発明(9)は、
前記電子部品の長手方向長さL(mm)と、
温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記サイドウォール部の損失正接70℃tanδSWと、
前記カーカス層を構成するコードの破断伸びS(%)とが、下記(式6)を満たしていることを特徴とし、本発明(1)から(8)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
(L×70℃tanδSW)/S≦1.2 (式6)
本発明(10)は、
温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記トレッド部の複素弾性率30℃ETR(MPa)と、
温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記サイドウォール部の複素弾性率70℃ESW(MPa)とが、下記(式7)を満たしていることを特徴とし、本発明(1)から(9)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
30℃ETR/70℃ESW≧1 (式7)
本発明(11)は、
前記電子部品の重量W(g)と、
前記電子部品からタイヤ外表面までの最短距離D1(mm)とが、下記(式8)を満たしていることを特徴とし、本発明(1)から(10)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
D1×W≦2.5 (式8)
本発明(12)は、
前記電子部品が、RFIDタグまたはセンサであることを特徴とし、本発明(1)から(11)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(13)は、
前記電子部品の表面に、ゴムとの接着性の向上を図る接着層、またはメッキ層が設けられていることを特徴とし、本発明(1)から(12)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(14)は、
前記電子部品を被覆する厚み0.5mm以上の電子部品被覆層が設けられていることを特徴とし、本発明(1)から(13)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(15)は、
前記電子部品の長手方向長さL(mm)が、80mm以下であることを特徴とし、本発明(1)から(14)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
本発明(16)は、
前記電子部品の長手方向長さL(mm)が、50mm以下であることを特徴とし、本発明(15)に記載のタイヤである。
本発明(17)は、
タイヤ径方向において、前記電子部品の中心位置からビードコアの下端までの距離D2(mm)と、タイヤ最大幅の位置からビードコアの下端までの距離D3(mm)とが、下記(式9)を満たしていることを特徴とし、本発明(1)から(16)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
0.3≦D2/D3≦1.7 (式9)
本発明(18)は、
前記カーカス層を構成するコードの繊度が、900dtex以上、2500dtex以下であることを特徴とし、本発明(1)から(17)のいずれかとの任意の組合せのタイヤである。
1 タイヤ
2 ビード部
3 サイドウォール部
4 トレッド部
21 ビードコア
22 ビードエイペックス
23 クリンチ
24 チェーファー
31 サイドウォール
32 カーカス層
33 インナーライナー
34 電子部品
34a 本体
34b アンテナ
L 電子部品の長手方向長さ

Claims (18)

  1. カーカス層、トレッド部、および、サイドウォール部を備えたタイヤであって、
    前記カーカス層と前記サイドウォール部との間に、電子部品が設けられており、
    前記カーカス層を構成するコードの破断伸びS(%)と、
    前記電子部品の長手方向長さL(mm)とが、下記(式1)を満たしていることを特徴とするタイヤ。
    S/L≧0.125 (式1)
  2. 温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記トレッド部の損失正接30℃tanδTRが、0.25以下であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  3. 温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記トレッド部の損失正接30℃tanδTRが、0.15以下であることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ。
  4. 温度0℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記トレッド部の損失正接0℃tanδTRが、0.50以上であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のタイヤ。
  5. タイヤ重量(kg)と、
    タイヤの最大負荷能力(kg)とが、下記(式2)を満たしていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ。
    タイヤ重量/最大負荷能力<0.0150 (式2)
  6. タイヤ重量(kg)と、
    タイヤの最大負荷能力(kg)とが、下記(式3)を満たしていることを特徴とする請求項5に記載のタイヤ。
    タイヤ重量/最大負荷能力<0.0135 (式3)
  7. 前記カーカス層を構成するコードの破断伸びS(%)と、
    温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記サイドウォール部の複素弾性率70℃ESW(MPa)と、
    前記電子部品の長手方向長さL(mm)とが、下記(式4)を満たしていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のタイヤ。
    (S/70℃ESW)/L≧0.025 (式4)
  8. 温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記サイドウォール部の損失正接70℃tanδSWと、
    前記電子部品の長手方向長さL(mm)とが、下記(式5)を満たしていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のタイヤ。
    70℃tanδSW×L≦12 (式5)
  9. 前記電子部品の長手方向長さL(mm)と、
    温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記サイドウォール部の損失正接70℃tanδSWと、
    前記カーカス層を構成するコードの破断伸びS(%)とが、下記(式6)を満たしていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のタイヤ。
    (L×70℃tanδSW)/S≦1.2 (式6)
  10. 温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記トレッド部の複素弾性率30℃ETR(MPa)と、
    温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%の条件下、変形モード:引張で測定される前記サイドウォール部の複素弾性率70℃ESW(MPa)とが、下記(式7)を満たしていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のタイヤ。
    30℃ETR/70℃ESW≧1 (式7)
  11. 前記電子部品の重量W(g)と、
    前記電子部品からタイヤ外表面までの最短距離D1(mm)とが、下記(式8)を満たしていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のタイヤ。
    D1×W≦2.5 (式8)
  12. 前記電子部品が、RFIDタグまたはセンサであることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のタイヤ。
  13. 前記電子部品の表面に、ゴムとの接着性の向上を図る接着層、またはメッキ層が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のタイヤ。
  14. 前記電子部品を被覆する厚み0.5mm以上の電子部品被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のタイヤ。
  15. 前記電子部品の長手方向長さL(mm)が、80mm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載のタイヤ。
  16. 前記電子部品の長手方向長さL(mm)が、50mm以下であることを特徴とする請求項15に記載のタイヤ。
  17. タイヤ径方向において、前記電子部品の中心位置からビードコアの下端までの距離D2(mm)と、タイヤ最大幅の位置からビードコアの下端までの距離D3(mm)とが、下記(式9)を満たしていることを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載のタイヤ。
    0.3≦D2/D3≦1.7 (式9)
  18. 前記カーカス層を構成するコードの繊度が、900dtex以上、2500dtex以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載のタイヤ。
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