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JP2024102016A - 複素環化合物の医薬用途 - Google Patents

複素環化合物の医薬用途 Download PDF

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JP2024102016A
JP2024102016A JP2024004951A JP2024004951A JP2024102016A JP 2024102016 A JP2024102016 A JP 2024102016A JP 2024004951 A JP2024004951 A JP 2024004951A JP 2024004951 A JP2024004951 A JP 2024004951A JP 2024102016 A JP2024102016 A JP 2024102016A
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JP
Japan
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disorder
depression
solution
syndrome
compound
Prior art date
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Pending
Application number
JP2024004951A
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English (en)
Inventor
友一 篠原
Yuichi Shinohara
剛史 西山
Takashi Nishiyama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

【課題】中枢刺激薬に匹敵する効力を有し、既存の非中枢刺激薬と同等に薬物依存・乱用リスクの低いADHD治療薬の提供。【解決手段】一般式[I]に示される化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬の提供。式[I]JPEG2024102016000064.jpg4787[式中、各記号は明細書に記載のとおりである。]【選択図】 なし

Description

本発明は、複素環化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬に関する。より詳細にはセロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドパミンの再取り込み阻害作用を有する複素環化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬に関する。
注意欠如・多動症(ADHD:Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)は、不注意や多動性、衝動性を中核症状とする発達障害である。有病率は、小児で5%、成人では2.5%と推定(非特許文献1)され、小児期にADHDと診断された患者の65%以上が、成人期にもADHDの症状が持続するという報告もある(非特許文献2)。
ADHDはその中核症状にとどまらず、成長に伴い様々な二次障害や併存障害を引き起こすことがあると報告されている(非特許文献3)。総じて、ADHD患者は気分障害、不安障害、外在化障害、又は物質使用障害の有病率が高く、生活自立、教育、就労状況、経済状況等の面でも日常生活上の困難も多いとされる(非特許文献4)。
このような障害を克服するためには、早期に診断を確定し、治療に取り組む事が必要と考えられる。
ADHDの病態にはドパミン神経等のモノアミン神経系の関与が考えられており、ADHDの薬物治療には、主にモノアミン神経系に作用する薬剤の中枢刺激薬(アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート及びそれらの誘導体等)と非中枢刺激薬(アトモキセチン、グアンファシン、クロニジン等)等が用いられている。
中枢刺激薬は、効力(即効性・効果)が優れる一方で薬物依存・乱用のリスクがあり、効果持続時間が短い。非中枢刺激薬は、薬物依存・乱用のリスクは低いが、効力が安定するまでに時間を要する。
非中枢刺激薬においては、アトモキセチン(ノルエピネフリン再取り込み阻害薬)が第一選択薬、あるいは、中枢刺激薬が無効な場合やその副作用が耐えられない場合の第二選択薬として用いられている。また、抗うつ薬のブプロピオン(ノルエピネフリン・ドパミン再取り込み阻害薬)が使用されることもある(非特許文献5)。また、ADHDの中核症状の一つである衝動性に関しては、セロトニン神経系の関与が報告されており(非特許文献6)、ADHDモデル動物の衝動性様症状がセロトニン再取り込み阻害薬によって抑えられるという報告もある(非特許文献7)。
特許文献1及び2は、中枢神経系に関わる疾患の治療薬として複素環化合物を開示している。
WO2012/036253 WO2013/137479
Lancet, 395, 450-462, 2020 Psycho Med.,36(2),159-65, 2006 臨床精神薬理, 17(09), 1229-1236,2014 臨床精神薬理, 15(11), 1811-1820,2012 Neuropsychiatr Dis Treat. 2014 Aug 1;10:1439-49 Neurochemistry International 82 (2015) 52-68 Pharmacol Biochem Behav., 105, 89-97, 2013
本発明は、中枢刺激薬に匹敵する効力を有し、既存の非中枢刺激薬と同等に薬物依存・乱用リスクの低いADHD治療薬の提供を目的としたものである。
また、本発明の別の目的としては、優れた薬物動態特性(高い代謝安定性、長い有効血中濃度維持時間、低い蛋白結合率、低いCYP阻害率)と継続的な薬理作用により、薬物相互作用が少なく、より少ない投与量で、かつ、より低い薬物血中濃度で、効果が持続する薬剤を提供する事である。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、所望の薬剤の製造に使用できる下記一般式で表される、アリール部分にヒドロキシエトキシ基が結合した構造を有する複素環化合物の合成に成功した。
本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1-1] 式[I]:
[式中、
R11、R12及びR13は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はC1-6アルキルであるか、又は、R11及びR12は、隣接する炭素原子とともに3~8員のシクロアルカンを形成しており;
R22、R23、R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであるか、又は、R22とR23は隣接するベンゼン環とともに、さらに酸素原子を環構成元素として含有する9~10員の二環系を形成しており;
R31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はハロゲンである]
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬。
[1-2] 式[I]が、式[Ia]、式[Ib]、式[Ic]又は式[Id]から選ばれる[1-1]に記載の医薬。
[式中の各記号は上記と同じ]
[1-3] 式[I]中、R11、R12及びR13は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はメチルであるか、又は、R11及びR12は、隣接する炭素原子とともにシクロブチルを形成し;
R22、R23、R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、フッ素、塩素、メチル又はメトキシであり、又は、R22とR23は隣接するベンゼン環とともに、ベンゾフランを形成しており;
R31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はフッ素である;
[1-1]又は[1-2]に記載の医薬。
[1-4] 式[I]中、R22、R23、R25及びR26のうち、2つ以上は水素である、[1-1]~[1-3]のいずれかに記載の医薬。
[1-5] 式[I]で表される化合物又はその薬学的に許容される塩が、下記化合物及びその薬学的に許容される塩からなる群から選ばれる[1-1]~[1-4]のいずれかに記載の医薬。

[2] 有効成分として[1-1]~[1-5]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
[3-1] セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドパミン神経の機能不全に関連する障害の治療予防及び/又は診断用である、[1-1]~[1-5]のいずれかに記載の医薬。
[3-2] 障害が、注意欠如・多動症(ADHD)、トウレット症、自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群、うつ病;適応障害による抑うつ症状;適応障害による不安、各種疾患に伴う不安、全般性不安障害、恐怖症、強迫性障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、心気症、解離性健忘症、回避性人格障害、身体醜形障害、摂食障害、肥満症、化学物質依存症、疼痛、線維筋痛症、アパシー、アルツハイマー病、記憶障害、パーキンソン病、むずむず脚症候群、内分泌障害、高血圧、血管痙攣、小脳性運動失調、胃腸管障害、統合失調症の陰性症状、統合失調症の感情障害、統合失調症の認知機能障害、月経前症候群、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、衝動性調節障害、抜毛癖、盗癖、ギャンブル依存症、群発頭痛、片頭痛、慢性発作性片頭痛、慢性疲労、早発射精、男性インポテンス、ナルコレプシー、原発性過眠症、脱力発作、睡眠時無呼吸症候群及び頭痛からなる群から選ばれる障害である[3-1]に記載の医薬。
[3-3] うつ病が、大うつ病性障害;双極I型障害;双極II型障害;混合状態;気分変調性障害;ラピッド・サイクラー;非定型うつ病;季節性感情障害;産後うつ病;軽症うつ病;反復性短期うつ病性障害;難治性うつ病・慢性うつ病;治療抵抗性うつ病;アルコール誘発性気分障害;混合性不安抑うつ障害;クッシング症候群、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、アジソン病、無月経・乳汁分泌症候群、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管性認知症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、糖尿病、ウィルス感染症、多発性硬化症、慢性疲労症候群、冠動脈疾患、疼痛、癌等の種々の疾患に伴ううつ病;中年期のうつ病;老年期うつ病;小児・思春期のうつ病及びインターフェロン等の薬物誘発性うつ病からなる群から選ばれるうつ病である[3-2]に記載の医薬。
[3-4] 各種疾患に伴う不安が、頭部外傷、脳の感染症、内耳障害、心不全、不整脈、副腎機能亢進症、甲状腺機能亢進症、喘息及び慢性閉塞性肺疾からなる群から選ばれる不安である[3-2]に記載の医薬。
[3-5] 疼痛が、慢性疼痛、心因性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、外傷性頸部症候群、脊髄損傷痛、三叉神経痛及び糖尿病性神経障害からなる群から選ばれる疼痛である[3-2]に記載の医薬。
[4-1] 有効成分として[1-1]~[1-5]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドパミン神経の機能不全に関連する障害の治療、予防及び/又は診断用医薬組成物。
[4-2] 障害が、注意欠如・多動症(ADHD)、トウレット症、自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群、うつ病;適応障害による抑うつ症状;適応障害による不安、各種疾患に伴う不安、全般性不安障害、恐怖症、強迫性障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、心気症、解離性健忘症、回避性人格障害、身体醜形障害、摂食障害、肥満症、化学物質依存症、疼痛、線維筋痛症、アパシー、アルツハイマー病、記憶障害、パーキンソン病、むずむず脚症候群、内分泌障害、高血圧、血管痙攣、小脳性運動失調、胃腸管障害、統合失調症の陰性症状、統合失調症の感情障害、統合失調症の認知機能障害、月経前症候群、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、衝動性調節障害、抜毛癖、盗癖、ギャンブル依存症、群発頭痛、片頭痛、慢性発作性片頭痛、慢性疲労、早発射精、男性インポテンス、ナルコレプシー、原発性過眠症、脱力発作、睡眠時無呼吸症候群及び頭痛からなる群から選ばれる障害である[4-1]に記載の治療、予防及び/又は診断用医薬組成物。
[4-3] うつ病が、大うつ病性障害;双極I型障害;双極II型障害;混合状態;気分変調性障害;ラピッド・サイクラー;非定型うつ病;季節性感情障害;産後うつ病;軽症うつ病;反復性短期うつ病性障害;難治性うつ病・慢性うつ病;治療抵抗性うつ病;アルコール誘発性気分障害;混合性不安抑うつ障害;クッシング症候群、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、アジソン病、無月経・乳汁分泌症候群、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管性認知症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、糖尿病、ウィルス感染症、多発性硬化症、慢性疲労症候群、冠動脈疾患、疼痛、癌等の種々の疾患に伴ううつ病;中年期のうつ病;老年期うつ病;小児・思春期のうつ病及びインターフェロン等の薬物誘発性うつ病からなる群から選ばれるうつ病である[4-2]に記載の治療、予防及び/又は診断用医薬組成物。
[4-4] 各種疾患に伴う不安が、頭部外傷、脳の感染症、内耳障害、心不全、不整脈、副腎機能亢進症、甲状腺機能亢進症、喘息及び慢性閉塞性肺疾からなる群から選ばれる不安である[4-2]に記載の治療、予防及び/又は診断用医薬組成物。
[4-5] 疼痛が、慢性疼痛、心因性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、外傷性頸部症候群、脊髄損傷痛、三叉神経痛及び糖尿病性神経障害からなる群から選ばれる疼痛である[4-2]に記載の治療、予防及び/又は診断用医薬組成物。
[5-1] セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドパミン神経の機能不全に関連する障害の治療、予防及び/又は診断に使用するための[1-1]~[1-5]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[5-2] 障害が、注意欠如・多動症(ADHD)、トウレット症、自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群、うつ病;適応障害による抑うつ症状;適応障害による不安、各種疾患に伴う不安、全般性不安障害、恐怖症、強迫性障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、心気症、解離性健忘症、回避性人格障害、身体醜形障害、摂食障害、肥満症、化学物質依存症、疼痛、線維筋痛症、アパシー。アルツハイマー病、記憶障害、パーキンソン病、むずむず脚症候群、内分泌障害、高血圧、血管痙攣、小脳性運動失調、胃腸管障害、統合失調症の陰性症状、統合失調症の感情障害、統合失調症の認知機能障害、月経前症候群、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、衝動性調節障害、抜毛癖、盗癖、ギャンブル依存症、群発頭痛、片頭痛、慢性発作性片頭痛、慢性疲労、早発射精、男性インポテンス、ナルコレプシー、原発性過眠症、脱力発作、睡眠時無呼吸症候群及び頭痛からなる群から選ばれる障害である[5-1]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[5-3] うつ病が、大うつ病性障害;双極I型障害;双極II型障害;混合状態;気分変調性障害;ラピッド・サイクラー;非定型うつ病;季節性感情障害;産後うつ病;軽症うつ病;反復性短期うつ病性障害;難治性うつ病・慢性うつ病;治療抵抗性うつ病;アルコール誘発性気分障害;混合性不安抑うつ障害;クッシング症候群、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、アジソン病、無月経・乳汁分泌症候群、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管性認知症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、糖尿病、ウィルス感染症、多発性硬化症、慢性疲労症候群、冠動脈疾患、疼痛、癌等の種々の疾患に伴ううつ病;中年期のうつ病;老年期うつ病;小児・思春期のうつ病及びインターフェロン等の薬物誘発性うつ病からなる群から選ばれるうつ病である[5-2]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[5-4] 各種疾患に伴う不安が、頭部外傷、脳の感染症、内耳障害、心不全、不整脈、副腎機能亢進症、甲状腺機能亢進症、喘息及び慢性閉塞性肺疾からなる群から選ばれる不安である[5-2]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[5-5] 疼痛が、慢性疼痛、心因性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、外傷性頸部症候群、脊髄損傷痛、三叉神経痛及び糖尿病性神経障害からなる群から選ばれる疼痛である[5-2]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[6-1] [1-1]~[1-5]のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩のセロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドパミン神経の機能不全に関連する障害の治療剤及び/又は予防剤の製造における使用。
[6-2] 障害が、注意欠如・多動症(ADHD)、トウレット症、自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群、うつ病;適応障害による抑うつ症状;適応障害による不安、各種疾患に伴う不安、全般性不安障害、恐怖症、強迫性障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、心気症、解離性健忘症、回避性人格障害、身体醜形障害、摂食障害、肥満症、化学物質依存症、疼痛、線維筋痛症、アパシー、アルツハイマー病、記憶障害、パーキンソン病、むずむず脚症候群、内分泌障害、高血圧、血管痙攣、小脳性運動失調、胃腸管障害、統合失調症の陰性症状、統合失調症の感情障害、統合失調症の認知機能障害、月経前症候群、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、衝動性調節障害、抜毛癖、盗癖、ギャンブル依存症、群発頭痛、片頭痛、慢性発作性片頭痛、慢性疲労、早発射精、男性インポテンス、ナルコレプシー、原発性過眠症、脱力発作、睡眠時無呼吸症候群及び頭痛からなる群から選ばれる障害である[6-1]に記載の使用。
[6-3] うつ病が、大うつ病性障害;双極I型障害;双極II型障害;混合状態;気分変調性障害;ラピッド・サイクラー;非定型うつ病;季節性感情障害;産後うつ病;軽症うつ病;反復性短期うつ病性障害;難治性うつ病・慢性うつ病;治療抵抗性うつ病;アルコール誘発性気分障害;混合性不安抑うつ障害;クッシング症候群、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、アジソン病、無月経・乳汁分泌症候群、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管性認知症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、糖尿病、ウィルス感染症、多発性硬化症、慢性疲労症候群、冠動脈疾患、疼痛、癌等の種々の疾患に伴ううつ病;中年期のうつ病;老年期うつ病;小児・思春期のうつ病及びインターフェロン等の薬物誘発性うつ病からなる群から選ばれるうつ病である[6-2]に記載の使用。
[6-4] 各種疾患に伴う不安が、頭部外傷、脳の感染症、内耳障害、心不全、不整脈、副腎機能亢進症、甲状腺機能亢進症、喘息及び慢性閉塞性肺疾からなる群から選ばれる不安である[6-2]に記載の使用。
[6-5] 疼痛が、慢性疼痛、心因性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、外傷性頸部症候群、脊髄損傷痛、三叉神経痛及び糖尿病性神経障害からなる群から選ばれる疼痛である[6-2]に記載の使用。
セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドパミンを適切な強度と割合で再取り込みを阻害する薬剤は、刺激薬と、非刺激薬の両方の優れた特性を兼ね備えた治療薬になると期待できる。
本化合物は、in vitro試験において、前述の3種類のモノアミンの再取り込みを強力かつ至適割合で阻害する。また、本化合物は、ラットin vivo マイクロダイアリシス試験において、経口投与で低用量から、前頭前皮質及び線条体の細胞外モノアミン濃度を持続的に増加させる作用を持つ。さらに、本化合物は、脳卒中易発性高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用いた多動性様症状と衝動性様症状改善作用の評価において、経口投与で低用量から効果を示す。
本明細書中で用いる語句及び用語について、以下に詳述する。
本明細書において、「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。好ましくはフッ素、塩素又は臭素であり、より好ましくはフッ素又は塩素である。
本明細書において、「C1-6アルキル」は、炭素数1~6(C1-6)の直鎖又は分枝鎖状アルキルであり、その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル等を例示できる。
また、「C1-6アルキル」には、1~7個の水素原子が重水素原子に置換されたC1-6アルキルも包含される。
本明細書において、「C1-6アルコキシ」は、炭素数1~6(C1-6)の直鎖又は分枝鎖状アルコキシであり、その具体例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n-ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、3-メチルペントキシ等を例示できる。
本明細書において、「3~8員のシクロアルカン」は、炭素数3~8(C3-8)のシクロアルカンであり、その具体例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等を例示できる。
本明細書において、「ベンゼン環とともに、さらに酸素原子を環構成元素として含有する9~10員の二環系」は、環構成元素として酸素原子1つを含む、飽和又は不飽和の5~6員のヘテロ環とベンゼン環からなる縮合環であり、その具体例としては、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、ベンゾピラン、ジヒドロベンゾピラン等を例示できる。
本明細書において「保護基」は、保護基として機能すれば特に限定されないが、例えば、アルキル基類(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、アセチルメチル);アルキル(アルケニル)カルボニル基類(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、ピバロイル、バレリル、イソバレリル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、アクリロイル、プロピオロイル、メタクリロイル、クロトノイル、イソクロトノイル、(E)-2-メチル-2-ブテノイル);アリールカルボニル基類(例えば、ベンゾイル、α-ナフトイル、β-ナフトイル、2-ブロモベンゾイル、4-クロロベンゾイル、2,4,6-トリメチルベンゾイル、4-トルオイル、4-アニソイル、4-ニトロベンゾイル、2-ニトロベンゾイル、2-(メトキシカルボニル)ベンゾイル、4-フェニルベンゾイル);テトラヒドロ(チオ)ピラニル(フラニル)基類(例えば、テトラヒドロピラン-2-イル、3-ブロモテトラヒドロピラン-2-イル);シリル基類(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、メチルジイソプロピルシリル、メチルジtert-ブチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジフェニルブチルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、フェニルジイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、ジtert-ブチルイソブチルシリル);アルコキシメチル基類(例えば、メトキシメチル、1,1-ジメチル-1-メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチル、tert-ブトキシメチル、2-メトキシエトキシメチル、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル);アラルキル基類(例えば、ベンジル、α-ナフチルメチル、β-ナフチルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、α-ナフチルジフェニルメチル、9-アンスリルメチル、4-メチルベンジル、2,4,6-トリメチルベンジル、3,4,5-トリメチルベンジル、4-メトキシベンジル、4-メトキシフェニルジフェニルメチル、2-ニトロベンジル、4-ニトロベンジル、4-クロロベンジル、4-ブロモベンジル、4-シアノベンジル);カルバマート基類(例えば、tert-ブチルカルバマート、アリルカルバマート、ベンジルカルバマート)等が挙げられる。
本明細書において「シリル系保護基」は、ケイ素を含有する保護基として機能すれば特に限定されないが、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、メチルジイソプロピルシリル、メチルジtert-ブチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジフェニルブチルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、フェニルジイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、ジtert-ブチルイソブチルシリル等が挙げられる
本明細書において「保護剤」は、目的の官能基に保護基を導入することができれば特に限定されないが、例えば、アルキル化剤(例えば、ジメチル硫酸、ジアゾメタン、メチルブロミド、メチルヨージド、Meerwein試薬、メチルトリフルオロメタンスルホナート、エチルブロミド、イソブチレン、2-ヒドロキシエチルブロミド);アルキル(アルケニル)カルボニル化剤(例えば、無水酢酸、アセチルクロリド、ケテン、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、ピバロイルクロリド、クロロアセチルクロリド、トリフルオロ酢酸無水物);アリールカルボニル化剤(例えば、ベンゾイルクロリド、安息香酸無水物、ベンゾイルシアニド、α-ナフトイルクロリド);テトラヒドロ(チオ)ピラニル(フラニル)化剤(3,4-ジヒドロ-2H-ピラン、2,3-ジヒドロフラン、2-クロロテトラヒドロフラン);シリル化剤(例えば、トリメチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリド、イソプロピルジメチルシリルクロリド、tert-ブチルジメチルシリルクロリド、メチルジイソプロピルシリルクロリド、メチルジtert-ブチルシリルクロリド、トリイソプロピルシリルクロリド、ジフェニルメチルシリルクロリド、ジフェニルブチルシリルクロリド、ジフェニルイソプロピルシリルクロリド、フェニルジイソプロピルシリルクロリド、トリフェニルシリルクロリド、ジtert-ブチルイソブチルシリルトリフラートを用い、塩基としてイミダゾール、ピリジン、2,6-ルチジンなどを用いる);アルコキシメチル化剤(例えば、メトキシメチルクロリド、メトキシメチルブロミド、ジジメトキシメタン、エトキシメチルクロリド、2-メトキシエトキシメチルクロリド、2,2,2-トリクロロエトキシメチルクロリド、2-トリメチルシリルエトキシメチルクロリド、ベンジルオキシメトキシメチルクロリド、エチルビニルエーテル);アラルキル化剤(例えば、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、ベンジル2,2,2-トリクロロアセトイミダート、4-メトキシベンジルクロリド、トリフェニルメチルクロリド、トリフェニルメチルブロミド);カルバマート基類(例えば、二炭酸ジ-tert-ブチル、クロロギ酸アリル、二炭酸ジアリル、クロロギ酸ベンジル、二炭酸ジベンジル)が挙げられる。
本明細書において「脱保護剤」は、保護基を脱保護することができれば特に限定されないが、例えば、アルキル基類(例えば、トリメチルシリルヨージド、三臭化ホウ素、塩化アルミニウム/エタンチオール);アルキル(アルケニル)カルボニル基類(例えば、強アルカリ水溶液、アンモニア水、メチルアミン、2-アミノエタンチオール、チオウレア、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、リチウムアルミニウムヒドリド、ヒドラジン、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体/ジメチルスルフィド);アリールカルボニル基類[アルキル(アルケニル)カルボニル基類の脱保護剤を用いることが出来る];テトラヒドロピラニル(フラニル)基類(例えば、ピリジニウムp-トルエンスルホナート、p-トルエンスルホン酸、酢酸、塩酸、トリフルオロ酢酸);シリル基類(例えば、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム/テトラヒドロフラン、炭酸カリウム/メタノール、2%フッ化水素酸、フッ化水素酸/ピリジン);アルコキシメチル基類(例えば、ピリジニウムp-トルエンスルホナート、チオフェノール/三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、カテコールボロンブロミド、トリメチルシリルブロミド、ブロモジメチルボラン、リチウムテトラフルオロボラート、塩酸、トリフルオロ酢酸、二臭化亜鉛、四塩化チタン、トリメチルシリルクロリド/ヨウ化ナトリウム、テトラフルオロホウ酸、亜鉛、亜鉛/銅、リチウム/アンモニア);アリル基類(例えば、水素/パラジウム炭素、ギ酸アンモニウム/パラジウム炭素、ラネーニッケル、トリメチルシリルヨージド、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、ジクロロジシアノキノン、セリウムアンモニウムナイトライト);カルバマート基類(tert-ブチルカルバマート基の脱保護は、例えば、塩酸/酢酸エチル、トリフルオロ酢酸、トリメチルシリルヨージド、塩化アルミニウム/アニソールなどが挙げられ、アリルカルバマート基の脱保護は、例えば、パラジウム(0)触媒(テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムやトリスジベンジリデンアセトンジパラジウムなど)と求核剤(モルホリン、ジメドン、ギ酸、2-エチルヘキサン酸など)の組み合わせ、ヨウ素/含水アセトニトリルなどが挙げられ、ベンジルカルバマート基の脱保護には、例えば、パラジウム炭素を用いる接触水素化分解、トリメチルシリルヨージド、トリフルオロ酢酸などが挙げられる)などが挙げられる。
本明細書において「シリル系保護剤」は、目的の官能基にシリル系保護基を導入することができれば特に限定されないが、例えば、トリメチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリド、イソプロピルジメチルシリルクロリド、tert-ブチルジメチルシリルクロリド、メチルジイソプロピルシリルクロリド、メチルジtert-ブチルシリルクロリド、トリイソプロピルシリルクロリド、ジフェニルメチルシリルクロリド、ジフェニルブチルシリルクロリド、ジフェニルイソプロピルシリルクロリド、フェニルジイソプロピルシリルクロリド、トリフェニルシリルクロリド、ジtert-ブチルイソブチルシリルトリフラートなどが挙げられる。
本明細書において「脱シリル系保護剤」は、シリル系保護基を脱保護することができれば特に限定されないが、例えば、ギ酸、酢酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、フッ化水素酸や、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウムなどが挙げられる。
本明細書において「アルキル化剤」は、目的の官能基をアルキル化することができれば特に限定されないが、例えば、ジメチル硫酸、ジアゾメタン、メチルブロミド、メチルヨージド、Meerwein試薬、メチルトリフルオロメタンスルホナート、エチルブロミド、イソブチレン、2-ヒドロキシエチルブロミドなどが挙げられる。
本明細書において「過酸化物」は、オキシド体を形成することができれば特に限定されないが、例えば、ペルオキシ一硫酸カリウム(Oxone(登録商標))、m-クロロ過安息香酸(MCPBA)、過安息香酸、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過ヨウ素酸ナトリウム、過酸化水素、3,3-ジメチルジオキシラン、N-(ベンゼンスルホニル)-3-フェニルオキサジリジン、モノペルオキシフタル酸 マグネシウム 六水和物、tert-ブチルヒドロペルオキシド、臭素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、二酸化マンガン、二酸化セレン、三酸化クロム、過ほう酸ナトリウム、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム等を挙げることができる。
本明細書において「パラジウム試薬」は、特に限定するものではないが、例えば、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等の4価パラジウム触媒類;[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2)、(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)[2-(2'-アミノ-1,1'-ビフェニル)]パラジウム(II) メタンスルホナート(XPhos Pd G3)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ-1,5-ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)-ジクロロメタン錯体等の2価パラジウム触媒類;トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd2(dba)3)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)等の0価パラジウム触媒類等が挙げられる。これらのパラジウム化合物は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
本明細書において「ホスフィンリガンド」は、特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o‐トリル)ホスフィン、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、トリシクロヘキシルホスフォニウムテトラフルオロボラート、ペンタフェニル(ジ-tertブチルホスフィノ)フェロセン、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(Xantphos)、Bis[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル] エーテル(DPEPhos)、2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(BINAP)、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(XPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジイソプロポキシ-1,1'-ビフェニル(RuPhos)などが使用される。
本明細書において「還元剤」は、目的の官能基を還元することができれば特に限定されないが、例えば、リチウムアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ナトリウムジヒドロビス(2-メトキシエトキシ)アルミナート、水素化ホウ素リチウム等が用いられる。
本明細書において「塩基」は、例えば、無機塩基、有機塩基等が挙げられる。「無機塩基」の例としては、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属リン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム)、アルカリ土類金属リン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム)等が挙げられる。「有機塩基」の例としては、トリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン)、ピコリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン等が挙げられる。
本明細書において「脱離基」は、例えば、ハロゲン、C1-18アルカンスルホニル、低級アルカンスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、アラルキルスルホニルオキシ、ペルハロアルカンスルホニルオキシ、スルホニオ、トルエンスルホキシを挙げることができ、好ましくは、ハロゲンが挙げられる。
上記「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
上記「C1-18アルカンスルホニル」の例としては、炭素数1~18(C1-18)の直鎖又は分枝鎖状アルカンスルホニルを含み、その具体例は、メタンスルホニル、1-プロパンスルホニル、2-プロパンスルホニル、ブタンスルホニル、シクロヘキサンスルホニル、ドデカンスルホニル、オクタデカンスルホニル等である。
上記「低級アルカンスルホニルオキシ」の例としては、炭素数1~6(C1-6)の直鎖又は分枝鎖状アルカンスルホニルオキシを含み、その具体例は、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、1-プロパンスルホニルオキシ、2-プロパンスルホニルオキシ、1-ブタンスルホニルオキシ、3-ブタンスルホニルオキシ、1-ペンタンスルホニルオキシ、1-ヘキサンスルホニルオキシ等である。
上記「アリールスルホニルオキシ」の例としては、フェニル環上に置換基として炭素数1~6(C1-6)の直鎖又は分枝鎖状アルキル、炭素数1~6(C1-6)の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ、ニトロ及びハロゲンなる群より選ばれた基を1~3個有することのあるフェニルスルホニルオキシ、ナフチルスルホニルオキシ等を含む。上記「置換基を有することのあるフェニルスルホニルオキシ」の具体例は、フェニルスルホニルオキシ、4-メチルフェニルスルホニルオキシ、2-メチルフェニルスルホニルオキシ、4-ニトロフェニルスルホニルオキシ、4-メトキシフェニルスルホニルオキシ、2-ニトロフェニルスルホニルオキシ、3-クロロフェニルスルホニルオキシ等である。上記「ナフチルスルホニルオキシ」の具体例は、α-ナフチルスルホニルオキシ、β-ナフチルスルホニルオキシ等である。
上記「アラルキルスルホニルオキシ」の例としては、フェニル環上に置換基として炭素数1~6(C1-6)の直鎖又は分枝鎖状アルキル、炭素数1~6(C1-6)の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ、ニトロ及びハロゲンなる群より選ばれた基を1~3個有することのあるフェニルで置換された炭素数1~6(C1-6)の直鎖又は分枝鎖状アルカンスルホニルオキシ、ナフチルで置換された炭素数1~6(C1-6)の直鎖又は分枝鎖状アルカンスルホニルオキシ等を含む。上記「フェニルで置換されたアルカンスルホニルオキシ」の具体例は、ベンジルスルホニルオキシ、2-フェニルエチルスルホニルオキシ、4-フェニルブチルスルホニルオキシ、4-メチルベンジルスルホニルオキシ、2-メチルベンジルスルホニルオキシ、4-ニトロベンジルスルホニルオキシ、4-メトキシベンジルスルホニルオキシ、3-クロロベンジルスルホニルオキシ等である。上記「ナフチルで置換されたアルカンスルホニルオキシ」の具体例は、α-ナフチルメチルスルホニルオキシ、β-ナフチルメチルスルホニルオキシ等である。
上記「ペルハロアルカンスルホニルオキシ」としては、具体例としてトリフルオロメタンスルホニルオキシ等である。
上記「スルホニオ」としては、具体例は、ジメチルスルホニオ、ジエチルスルホニオ、ジプロピルスルホニオ、ジ(2-シアノエチル)スルホニオ、ジ(2-ニトロエチル)スルホニオ、ジ-(アミノエチル)スルホニオ、ジ(2-メチルアミノエチル)スルホニオ、ジ-(2-ジメチルアミノエチル)スルホニオ、ジ-(2-ヒドロキシエチル)スルホニオ、ジ-(3-ヒドロキシプロピル)スルホニオ、ジ-(2-メトキシエチル)スルホニオ、ジ-(2-カルバモイルエチル)スルホニオ、ジ-(2-カルバモイルエチル)スルホニオ、ジ-(2-カルボキシエチル)スルホニオ、ジ-(2-メトキシカルボニルエチル)スルホニオ又はジフェニルスルホニオ等である。
本明細書において「溶媒」は、反応に不活性な溶媒であればよく、例えば、水、エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル)、ハロ炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、極性溶剤(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル)が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。また、無溶媒で反応させることもできる。
本発明の一般式[I]で表される化合物(以下、「化合物[I]」と称する。)における各置換基について、以下に説明する。
一般式[I]は、好ましくは一般式[Ia]、一般式[Ib]、一般式[Ic]又は一般式[Id]であり、より好ましくは一般式[Ia]又は一般式[Ib]である。
化合物[I]におけるR11、R12及びR13は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はC1-6アルキルであり、好ましくは、水素、メチル、エチル、1-プロピル又は2-プロピルである。
別の態様として化合物[I]におけるR11及びR12は、隣接する炭素原子とともに3~8員のシクロアルカンを形成して、好ましくは、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン又はシクロオクタンであり、より好ましくは、シクロブタンである。
化合物[I]におけるR22、R23、R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであり;好ましくは、水素、フッ素、塩素、メチル又はメトキシであり、より好ましくは、水素、フッ素、塩素又はメチルである。
別の態様として化合物[I]におけるR22とR23は隣接するのベンゼン環とともに、さらに酸素原子を環構成元素として含有する9~10員の二環系を形成して、好ましくは、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、ベンゾピラン又はジヒドロベンゾピランであり、より好ましくは、ベンゾフラン又はベンゾピランである。
化合物[I]におけるR31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はハロゲンであり;好ましくは、水素、フッ素又は塩素である。
本発明の一態様として、
R11、R12及びR13は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はC1-6アルキルであり、好ましくは水素又はメチルであり;
R22、R23、R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであり、好ましくは水素、フッ素、塩素、メチル又はメトキシであり;
R31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はハロゲンであり、好ましくは水素又はフッ素である。
本発明の別の態様として、
R11及びR12は、隣接する炭素原子とともに3~8員のシクロアルカンを形成しており、好ましくはシクロブチルであり、
R13は、水素又はC1-6アルキルであり、好ましくは水素又はメチルであり、
R22、R23、R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであり、好ましくは水素、フッ素、塩素、メチル又はメトキシであり;
R31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はハロゲンであり、好ましくは水素又はフッ素である;
本発明の別の態様として、
R11、R12及びR13は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はC1-6アルキルであり、好ましくは水素又はメチルであり;
R22とR23は隣接するベンゼン環とともに、さらに酸素原子を環構成元素として含有する9~10員の二環系を形成しており、好ましくはベンゾフランを形成しており;
R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであり、好ましくは水素、フッ素、塩素、メチル又はメトキシであり;
R31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はハロゲンであり、好ましくは水素又はフッ素である。
本発明の別の態様として、
R11及びR12は、隣接する炭素原子とともに3~8員のシクロアルカンを形成しており、好ましくはシクロブチルであり、
R13は、水素又はC1-6アルキルであり、好ましくは水素又はメチルであり、
R22とR23は隣接するベンゼン環とともに、さらに酸素原子を環構成元素として含有する9~10員の二環系を形成しており、好ましくはベンゾフランを形成しており;
R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであり、好ましくは水素、フッ素、塩素、メチル又はメトキシであり;
R31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はハロゲンであり、好ましくは水素又はフッ素である。
本発明の別の好ましい態様として、
一般式[I]

であって、
R11、R12及びR13は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はC1-6アルキルであり、好ましくは水素又はメチルであり;
R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであり、好ましくは水素、フッ素、塩素、メチル又はメトキシであり;
R31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はハロゲンであり、好ましくは水素又はフッ素であり;
---は、単結合又は二重結合であり、好ましくは二重結合である。
本発明の別の態様として、
R11及びR12は、隣接する炭素原子とともに3~8員のシクロアルカンを形成しており、好ましくはシクロブチルであり
R13は、水素又はC1-6アルキルであり、好ましくは水素又はメチルであり;
R22とR23は隣接するベンゼン環とともに、さらに酸素原子を環構成元素として含有する9~10員の二環系を形成しており、好ましくはベンゾフランであり;
R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであり、好ましくは水素、フッ素、塩素、メチル又はメトキシであり;
R31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はハロゲンであり、好ましくは水素又はフッ素である。
本発明の別の好ましい態様として、
一般式[I]


であって、
R11及びR12は、隣接する炭素原子とともに3~8員のシクロアルカンを形成しており、好ましくはシクロブチルであり、
R13は、水素又はC1-6アルキルであり;
R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであり;
R31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はハロゲンであり、
---は、単結合又は二重結合である。
本発明の化合物[I]の具体的な態様として、下記化合物を挙げることができる。
本明細書において、本発明の化合物、方法及び組成物の異なる特徴に関する好ましい態様及び選択肢の提示は、これらが組合せ可能であって矛盾のない限り、当該異なる特徴についての好ましい態様及び選択肢の組合せの提示も含む。
以下、本発明の化合物[I]の製造法について説明する。本発明の化合物[I]は、例えば下記に示す製造方法に基づき製造することができる。下記に示す製造方法は例示であって、化合物[I]の製造方法はこれらに限定されない。
以下の反応式において、アルキル化反応、加水分解反応、アミノ化反応、エステル化反応、アミド化反応、エーテル化反応、求核置換反応、付加反応、酸化反応、還元反応等を行う場合、これらの反応は、自体公知の方法に従って行われる。このような方法としては、例えば、実験化学講座(第5版、日本化学会編、丸善株式会社)、オーガニック・ファンクショナル・グループ・プレパレーションズ(ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS)第2版、アカデミックプレス社(ACADEMIC PRESS, INC.)1989年刊;コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)VCH Publishers Inc.、1989年刊、ウッツ(P.G.M.Wuts)及びグリーン(T.W.Greene)著、「Greene's Protective Groups in Organic Synthesis」(第4版、2006年)等に記載の方法等が挙げられる。
化合物[I]の一般的な合成経路
1) 化合物[I]の製造方法 (1)
(式中、記号は上記に定義したとおりである。)
上記合成経路で示される反応により、本発明の化合物[1]を製造することができる。具体的には、化合物[2]を反応に不活性な溶媒中で、脱シリル系保護剤でシリル系保護基を脱保護することにより、本発明の化合物[1]を製造することができる。
2) 化合物[I]の製造方法 (2)
(式中、R33はC1-6アルキルであり、その他の記号は上記に定義したとおりである。)
上記合成経路で示される反応により、本発明の化合物[1]を製造することができる。具体的には、化合物[3]を反応に不活性な溶媒中で、還元剤存在下で、還元することにより、本発明の化合物[1]を製造することができる。
3) 中間体[2]の製造方法 (1)
(式中、Y1は脱離基であり、その他の記号は上記に定義したとおりである。)
上記合成経路で示される反応により、本発明の化合物[1]の中間体[2]を製造することができる。具体的には、化合物[4]及び化合物[5]を反応に不活性な溶媒中で、パラジウム試薬、ホスフィンリガンド及び塩基存在下で縮合させることにより、中間体[2]を製造することができる。
4) 中間体[2]の製造方法 (2)
(式中、Y2は脱離基であり、その他の記号は上記に定義したとおりである。)
上記合成経路で示される反応により、本発明の化合物[1]の中間体[2]を製造することができる。具体的には、化合物[6]及び化合物[7]を反応に不活性な溶媒中で、塩基存在下で縮合させることにより、中間体[2]を製造することができる。
5) 中間体[3]の製造方法
(式中、Y2は脱離基、R33はC1-6アルキルであり、その他の記号は上記に定義したとおりである。)
上記合成経路で示される反応により、本発明の化合物[1]の中間体[3]を製造することができる。具体的には、化合物[6]及び化合物[8]を、反応に不活性な溶媒中で、塩基存在下で縮合させることにより、中間体[3]を製造することができる。
6) 中間体[4]の製造方法(1)
(式中、Y1、Y2は脱離基であり、その他の記号は上記に定義したとおりである。)
上記合成経路で示される反応により、本発明の化合物[1]の中間体[4]を製造することができる。具体的には、化合物[9]及び化合物[7]を、反応に不活性な溶媒中で、塩基存在下で反応させることにより、中間体[4]を製造することができる。
7) 中間体[4]の製造方法(2)
(式中、Y1、Y2は脱離基、R33はC1-6アルキルであり、その他の記号は上記に定義したとおりである。)
上記合成経路で示される反応により、本発明の化合物[1]の中間体[4]を製造することができる。具体的には、化合物[9]及び化合物[8]を、反応に不活性な溶媒中で、塩基存在下で縮合反応させることにより中間体[10]を製造することができる。次に反応に不活性な溶媒中で、還元剤存在下で中間体[10]を還元させることにより中間体[11]を製造することができる。さらに、反応に不活性な溶媒中で塩基存在下、シリル系保護剤を用いて中間体[11]にシリル系保護基を導入することで、中間体[4]を製造することができる。
8) 中間体[6]の製造方法 (2)
(式中、Y1は脱離基であり、その他の記号は上記に定義したとおりである。)
上記合成経路で示される反応により、本発明の化合物[1]の中間体[6]を製造することができる。具体的には、化合物[12]及び化合物[5]を反応に不活性な溶媒中で、塩基存在下で縮合させることにより中間体[13]を製造することができる。次に、反応に不活性な溶媒中で、中間体[13]を過酸化物と反応させることにより中間体[6]を製造することができる。
9) 中間体[5]の製造方法
(式中、記号は上記に定義したとおりである。)
上記合成経路で示される反応により、本発明の化合物[1]の中間体[5]を製造することができる。具体的には、反応に不活性な溶媒中で、化合物[14]に保護剤で保護基を導入することにより中間体[15]を製造することができる。次に、反応に不活性な溶媒中で、中間体[15]にアルキル化剤でアルキルを導入することにより中間体[16]を製造することができる。さらに、脱保護剤で中間体[16]の保護基を脱保護することにより、中間体[5]を製造することができる。
上記反応式における各反応の他の反応条件(反応温度、反応時間等)は、公知の反応に基づいて適宜決定することができる。
上記反応式における各反応において、生成物は反応液のまま、又は粗生成物として次反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、通常の分離手段により容易に精製することもできる。通常の分離手段としては、例えば、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーが挙げられる。
上記各工程における出発原料化合物、中間体化合物及び目的化合物並びに本発明の化合物[I]には、幾何異性体、立体異性体、光学異性体及び互変異性体が含まれる。各種異性体は一般的な光学分割法により分離できる。また、適当な光学活性な原料化合物より製造することもできる。
本発明の化合物[I]は、上記の各反応式にて示された合成方法又はそれに準ずる方法により製造することができる。
本発明の化合物[I]の製造における原料化合物は具体的製法を述べない場合、市販のものを用いてもよく、自体公知の方法又はそれに準ずる方法に従って製造したものを用いてもよい。
上記各工程における出発原料化合物及び目的化合物を適切な塩形態で使用することができる。このような塩としては、下記に本発明の化合物[I]の塩として例示されるものと同様のものが挙げられる。
また、本発明の化合物[I]には、その塩の形態が含まれ、酸付加塩又は置換基の種類によっては塩基との塩を形成する場合もある。かかる「酸」の例としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等);及び有機酸(例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸等)等が挙げられる。かかる「塩基」の例としては、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等);及び有機塩基(例えば、メチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、グアニジン、ピリジン、ピコリン、コリン等);及びアンモニウム塩等が挙げられる。また、例えばリジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸と塩を形成してもよい。
本発明は、化合物[I]及びその塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質をも包含する。
本発明の化合物[I]には、1つ又は複数の原子を1つ又は複数の同位体原子で置換された化合物が含まれる。同位体原子の例としては重水素(2H)、三重水素(3H)、13C、15N、18O等が挙げられる。
本発明の化合物[I]には、薬学的に許容されるプロドラッグも含まれる。プロドラッグを形成するために修飾される置換基としては、-OH、-COOH、アミノ等の反応性官能基が挙げられる。これらの官能基の修飾基は、本明細書における「置換基」から適宜選択してもよい。
本発明の化合物[I]又はその塩としては、共結晶又は共結晶塩であってもよい。ここで、共結晶又は共結晶塩とは、各々が異なる物理的特性(例えば、構造、融点、融解熱など)を持つ、室温で2種もしくはそれ以上の独特な固体から構成される結晶性物質を意味する。共結晶及び共結晶塩は、公知の共結晶化法を適用して製造することができる。
本発明の化合物[I]の好適な塩は、薬学的に許容される塩であって、例えば、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等)等の金属塩、アンモニウム塩、炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等)、炭酸水素アルカリ金属(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等)等の無機塩基の塩;例えば、トリ(低級)アルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン等)、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N-(低級)アルキル-モルホリン(例えば、N-メチルモルホリン等)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等の有機塩基の塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸の塩;ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、炭酸塩、ピクリン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、グルタミン酸塩等の有機酸の塩等が挙げられる。
また、各反応式において示された原料及び目的化合物に溶媒和物(例えば、水和物、エタノレート等)が付加された形態の化合物も、各々の一般式に含まれる。好ましい溶媒和物としては水和物が挙げられる。
上記各反応式で得られる各々の目的化合物は、反応混合物を、例えば、冷却した後、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって粗反応生成物を分離し、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の通常の精製操作によって、反応混合物から単離精製することができる。
本発明の化合物[I]には、幾何異性体、立体異性体、光学異性体等の異性体も当然に包含される。
各種の異性体は異性体間の物理化学的な性質の差を利用して常法により単離できる。例えば、ラセミ化合物は一般的な光学分割法により[例えば、一般的な光学活性酸(酒石酸等)とのジアステレオマー塩に導き、光学分割する方法等]立体的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマーの混合物は、例えば分別結晶化又はクロマトグラフィー等により分離できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
本発明の化合物[I]はまた、1個又は複数の原子が、特定の原子質量又は質量数を有する1個又は複数の原子によって置き換わっているということ以外は化合物[I]と同一の同位体標識化合物も包含する。本発明の化合物[I]に組み込むことができる同位体の例には、各々2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、18F、36Cl等の水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素、及び塩素同位体を包含する。上記の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含有する、特定の同位体標識された本発明の化合物[I]、例えば3H及び14C等の放射性同位体が組み込まれている化合物は、薬物組織分布アッセイ及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(すなわち、3H)、及び炭素-14(すなわち、14C)同位体は、調製の容易さ及び検出性によって特に好まれる。さらに、重水素(すなわち、2H)等のより重い同位体による置換によって、代謝安定性の向上、例えばin vivo半減期の増大又は投与必要量の減少に起因する特定の治療上の利点をもたらすことが期待できる。本発明の同位体標識化合物は、一般に、上記反応式及び/又は下記の実施例において開示されている方法において、非同位体標識試薬を、簡単に手に入る同位体標識試薬で置換することによって調製することができる。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物について説明する。
上記医薬組成物は、本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩を通常の医薬組成物の形態に製剤したものであって、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の担体、希釈剤及び/又は賦形剤(本明細書中、「薬学的に許容される担体」とも総称する)を用いて調製される。
このような医薬組成物としては、治療目的に応じて種々の形態の中から選択することができ、その代表的なものとして錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等が挙げられる。
錠剤の形態に成形する際に用いられる担体としては、公知のものを広く使用することができ、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン酸、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が挙げられる。
更に、錠剤は、必要に応じて通常の被覆物質を用いて被覆し、例えば、糖衣剤、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
丸剤の形態に成形する際に用いられる担体としては、公知のものを広く使用することができ、例えば、ブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、寒天等の崩壊剤等が挙げられる。
坐剤の形態に成形する際に用いられる担体としては、公知のものを広く使用することができ、例えば、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等が挙げられる。
注射剤として調製される場合は、液剤、乳剤及び懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であるのが好ましい。これらの液剤、乳剤及び懸濁剤の形態に成形する際に用いられる希釈剤としては、公知のものを広く使用することができ、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルベタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。この場合、等張性の溶液を調製するのに十分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを医薬製剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を、更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等、及び/又は他の医薬品を含有させてもよい。
医薬組成物中に含有される本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩の量は、特に限定されず広い範囲内から適宜選択することができるが、通常、医薬組成物中に本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩を1~70重量%程度含有させるのが好ましい。
本発明に係る医薬組成物の投与方法としては特に制限はなく、各種製剤形態、対象又は患者(特にヒト)の年齢、性別、疾患の状態、その他の条件に応じた方法で投与される。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には経口投与される。また、注射剤の場合には、単独であるいはブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内に投与したり、更には必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下若しくは腹腔内に投与することができる。坐剤の場合には、直腸内に投与される。
上記医薬組成物の投与量は、用法、対象又は患者(特にヒト)の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件に応じて適宜選択すればよく、通常、1日あたり体重1 kgに対して0.001~100 mg程度、好ましくは0.001~50 mg程度を1回~数回に分けて投与される。
上記投与量は、種々の条件で変動するので、上記範囲より少ない投与量で充分な場合もあるし、また上記範囲を超えた投与量が必要な場合もある。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は、1種類、2種類又は3種類のモノアミン(セロトニン、ノルエピネフリン、ドパミン)の再取り込み阻害作用を有している。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は、既存のモノアミン再取り込み阻害活性を有する化合物に比し、3種類のモノアミンのうちいずれか一つ、又はいずれか二つ、又はすべてのモノアミンについてのin vitro試験での取り込み阻害活性が著しく強い。また、脳内微小透析法(in vivo)において、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩は、既存のモノアミン再取り込み阻害活性を有する化合物に比し、3種類のモノアミンのうちいずれか一つ、又はいずれか二つ、又はすべてのモノアミンの増加に対して著しく強い活性を示す。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩のセロトニンの阻害活性(IC50)は100 nM以下であり、好ましくは30 nM以下である。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩のノルエピネフリンの阻害活性(IC50)は100 nM以下であり、好ましくは30 nM以下である。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩のドパミンの阻害活性(IC50)は300 nM以下であり、好ましくは150 nM以下である。ドパミンの阻害活性(IC50)はノルエピネフリンと比較して、弱い傾向にあるのが好ましい。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩のヒト肝固有クリアランスが100 μL/min/mg以下であり、好ましくは50 μL/min/mg以下である。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩のヒト血清タンパク結合率は80%以下であり、好ましくは70%以下であり、さらに好ましくは50%以下である。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩の肝臓における代謝酵素阻害率は、CYP2C9において10 μMの時、50%未満、又はIC50値が100 μM以上であり、CYP2D6において10 μMの時、50%未満、又はIC50値が50 μM以上であり、CYP3A4において10 μMの時、50%未満、又はIC50値が50 μM以上である。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は、セロトニン、ノルエピネフリン及びドパミンの各々の阻害活性(IC50)の比が1~20:1~2:1~100であり、好ましくは、1~5:1~2:1~50であり、さらに好ましくは1~5:1:5~25である。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は、血漿タンパク質との結合率が低い。薬剤が血漿タンパク質と結合すると、薬効を発揮することができないので、血漿タンパク質との結合率が低いと、低用量の服用で効果が期待できる。すなわち、より低い血中濃度で効果が期待できる。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は肝臓における代謝酵素阻害活性が弱く、具体的にはチトクロームP450(CYP)、例えば、CYP2C9、CYP2D6、CYP3A4に対する阻害作用が、弱いため、他の薬剤と併用して服用しても、当該薬剤の代謝への影響が少ない。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は、公知のADHD治療薬に比べ、幅広い治療スペクトラムを有している。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は、短期間の投与で十分な治療効果を発現する。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は、脳内移行性に優れている。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は、ADHD治療薬のスクリーニングに使用される脳卒中易発症系高血圧自然発症ラット(SHRSP)の自発運動量亢進に対する優れた改善作用を発現する。また、本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は、SHRSPの衝動性様症状に対する優れた改善作用も発現する。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は、不安・強迫性障害モデルとして使用されるマウスビー玉埋め行動テストにおいて強い活性を発現する。
本発明の化合物[I]又はその薬学的に許容される塩は、1種類、2種類又は3種類のモノアミン(セロトニン、ノルエピネフリン、ドパミン)の再取り込み阻害作用を有しているので、セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドパミン神経の機能不全に関連している種々の障害の治療に有効である。
このような障害には、注意欠如・多動症(ADHD)、トウレット症(トウレット症候群とも呼ばれる)、自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群、うつ病(例えば、大うつ病性障害;双極I型障害;双極II型障害;混合状態;気分変調性障害;ラピッド・サイクラー;非定型うつ病;季節性感情障害;産後うつ病;軽症うつ病;反復性短期うつ病性障害;難治性うつ病・慢性うつ病;治療抵抗性うつ病・重複うつ病;アルコール誘発性気分障害;混合性不安抑うつ障害;クッシング症候群、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、アジソン病、無月経・乳汁分泌症候群、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管性認知症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、糖尿病、ウィルス感染症、多発性硬化症、慢性疲労症候群、冠動脈疾患、疼痛、癌等の種々の疾患に伴ううつ病;中年期のうつ病;老年期うつ病;小児・思春期のうつ病;インターフェロン等の薬物誘発性うつ病;適応障害による抑うつ症状;適応障害による不安、各種疾患に伴う不安[例えば、神経障害(頭部外傷、脳の感染症及び内耳障害);心血管障害(心不全、不整脈);内分泌障害(副腎機能亢進症、甲状腺機能亢進症);呼吸器障害(喘息、慢性閉塞性肺疾患)]、全般性不安障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症及び単純恐怖症)、強迫性障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、心気症、解離性健忘症、回避性人格障害、身体醜形障害、摂食障害(例えば過食性障害、神経性過食症、神経性食欲不振及び神経壊死無食欲症)、肥満症、化学物質依存症(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタール、ニコチン及びベンゾジアゼピン類に対する嗜癖)、疼痛(例えば、慢性疼痛、心因性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、外傷性頸部症候群、脊髄損傷痛、三叉神経痛及び糖尿病性神経障害)、線維筋痛症、アパシー、アルツハイマー病(例えば、アルツハイマー病による認知症、認知障害及び行動障害等)、記憶障害(例えば、認知症、健忘障害及び年齢関連性認識力減退(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における認知症、神経弛緩薬誘発パーキンソン症候群及び遅発性ジスキネジー)、むずむず脚症候群、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、高血圧、血管痙攣(特に、大脳血管系における)、小脳性運動失調、胃腸管障害(運動及び分泌の変化を包含)、統合失調症の陰性症状、統合失調症の感情障害、統合失調症の認知機能障害、月経前症候群、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、衝動性調節障害、抜毛癖、盗癖、ギャンブル依存症、群発性頭痛、片頭痛、慢性発作性片頭痛、慢性疲労、早発射精、男性インポテンス、ナルコレプシー、原発性過眠症、脱力発作、睡眠時無呼吸症候群及び頭痛(脈管障害に関連した)等が含まれる。
本明細書において引用されるすべての特許文献及び非特許文献の開示は、全体として本明細書に参照により組み込まれる。
本発明は、更に以下の参考例、製造例及び実施例によって詳しく説明されるが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
本明細書において、以下の略語を用いることがある。
Figure 2024102016000018

Figure 2024102016000019





以下の参考例、製造例及び実施例中の「室温」は、通常、約10℃~約35℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
1HNMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)はフーリエ変換型NMR(Bruker AVANCE III 400(400MHz)及びBruker AVANCE III HD(500MHz)の何れか)で測定した。スペクトルは、MestReNova version:14.1.2(Mestrelab Research社)を用いて解析した。
MS(マススペクトル)は、LC/MS(ACQUITY UPLC H-Class)により測定した。イオン化法としては、ESI法を用い、データは実測値(found) を記載した。通常、分子イオンピーク([M+H]+、[M-H]- など)が観測される。塩の場合は、通常、フリー体の分子イオンピークもしくはフラグメントイオンピークが観測される。
シリカゲルカラムクロマ卜グラフィーにおいて、塩基性と記載した場合は、アミノプロピルシラン結合シリカゲルを用いた。
化合物の絶対配置は、公知のX線結晶構造解析法(例えば大場茂及び矢野重信著、「化学者のための基礎講座12 X線結晶構造解析」(第1版、1999年))により決定、又は史不斉エポキシ化の経験則(Waldemar Adam, Rainer T. Fell, Chantu R. Saha-Moller and Cong-Gui Zhao : Tetrahedron: Asymmetry 1998, 9, 397-401. Yuanming Zhu, Yong Tu, Hongwu Yu, Yian Shi :Tetrahedron Lett. 1988, 29, 2437-2440)から推定した。
[参考例]
参考例1.(2-(4-ブロモ-2,6-ジフルオロフェノキシ)エトキシ)(tert-ブチル)ジメチルシランの製造
4-ブロモ-2,6-ジフルオロフェノール(22.93 g) と(2-ブロモエトキシ)-tert-ブチルジメチルシラン (25.0 g)のDMF(120 mL)溶液に、K2CO3(28.9 g、微粉末)を加え、70℃で3時間攪拌した。室温まで冷却後、反応液に氷水を加え、AcOEtで抽出した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製して、目的物(35.0 g)を得た。
参考例2.(4a'S,8a'S)-4'-(4-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エトキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)オクタヒドロ-1'H-スピロ[シクロブタン-1,2'-キノキサリン]の製造
(4a'S,8a'S)-オクタヒドロ-1'H-スピロ[シクロブタン-1,2'-キノキサリン] (300 mg)と(2-(4-ブロモ-2,6-ジフルオロフェノキシ)エトキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン (672 mg)のトルエン(6 mL)溶液に、Pd(OAc)2 (29.9 mg)、t-Bu3P・HBF4 (38.6 mg)、t-BuONa (240 mg)を加え、窒素雰囲気下、90℃で1時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、ろ液を濃縮した。残渣を塩基性シリカゲルクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)にて精製し、目的物(490 mg)を得た。
参考例3.2-(4-ブロモフェノキシ)-2,2-ジフルオロ酢酸エチルの製造
p-ブロモフェノール(5 g)とDBU(5.23 mL)のDMF(25 mL)溶液に、ブロモジフルオロ酢酸エチルエステル(4.08 mL)を加え、室温で一夜攪拌した。反応液に氷水を加え、AcOEtで抽出した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製し、目的物(7.2 g)を得た。
参考例4.2-(4-ブロモフェノキシ)-2,2-ジフルオロエタン-1-オールの製造
2-(4-ブロモフェノキシ)-2,2-ジフルオロ酢酸エチル (13.9 g)のTHF(150 mL)溶液を氷冷攪拌下、LiBH4(2.26 g)を加え、室温で終夜攪拌した。反応液を冷却し、飽和NaHSO4水溶液を加え、AcOEtで抽出した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製して、目的物(10.4 g)を得た。
参考例5.(2-(4-ブロモフェノキシ)-2,2-ジフルオロエトキシ)トリイソプロピルシランの製造
2-(4-ブロモフェノキシ)-2,2-ジフルオロエタン-1-オール(3.00 g)とイミダゾール(1.21g)のDMF(15 mL)溶液を室温攪拌下、TIPSCl(2.76 mL)を加え、一夜攪拌した。反応液に氷水を加えて、AcOEtで抽出した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製して、目的物(4.8 g)を得た。
参考例6.(4a'S,8a'S)-4'-(4-(1,1-ジフルオロ-2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)オクタヒドロ-1'H-スピロ[シクロブタン-1,2'-キノキサリン]の製造
(4a'S,8a'S)-オクタヒドロ-1'H-スピロ[シクロブタン-1,2'-キノキサリン] (300 mg)と(2-(4-ブロモフェノキシ)-2,2-ジフルオロエトキシ)トリイソプロピルシラン (749 mg)のトルエン(6 mL)溶液に、Pd(OAc)2 (29.9 mg)、tBu3P・HBF4 (38.6 mg)、t-BuONa (192 mg)を加えて、窒素雰囲気下、90℃で1時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、ろ液を濃縮した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製し、目的物(680 mg)を得た。
参考例41.(3R,4aS,8aS)-1-(3-クロロ-4-(2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-3-メチルデカヒドロキノキサリンの製造
(2R,4aS,8aS)-2-メチルデカヒドロキノキサリン (500 mg)と(2-(4-ブロモ-2-クロロフェノキシ)エトキシ)トリイソプロピルシラン (1322 mg)のトルエン(5 mL)溶液に、Pd(OAc)2 (58.2 mg)、tBu3P・HBF4 (75 mg)、t-BuONa (467 mg)を加えて、窒素雰囲気下、90℃で1時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、ろ液を濃縮した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製し、目的物(700 mg)を得た。
参考例65. (4aS,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチル の製造
(4aS,8aS)-2,2-ジメチルデカヒドロキノキサリン (7.35 g)のMeOH (70 mL)溶液を氷冷攪拌下、Boc2O (9.65 g)を加え、室温で一夜攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製し、目的物(11.0 g)を得た。
参考例66. (4aS,8aS)-3,3,4-トリメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチルの製造
(4aS,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチル(10.0 g)のDCE (100 mL)、THF (50 mL)溶液に37%ホルムアルデヒド溶液(9.14 mL)を加え、室温で30分攪拌の後、NaBH(OAc)3 (23.9 g)を氷冷攪拌下加えた。室温で一夜攪拌の後、減圧濃縮し、DCMで抽出した。有機層を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(11.0 g)を得た。
参考例67.(4aS,8aS)-1,2,2-トリメチルデカヒドロキノキサリンの製造
(4aS,8aS)-3,3,4-トリメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチル(10 g)のDCM (40 mL)溶液を氷冷攪拌下、TFA (20 mL)を加え、室温で一夜攪拌した。反応液を濃縮し、飽和K2CO3水溶液を加えて、AcOEtで抽出した。有機層を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製し、目的物(4.68 g)を得た。
参考例68.(4aS,8aS)-4-(4-(1,1-ジフルオロ-2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-1,2,2-トリメチルデカヒドロキノキサリンの製造
(4aS,8aS)-1,2,2-トリメチルデカヒドロキノキサリン(200 mg)と(2-(4-ブロモフェノキシ)-2,2-ジフルオロエトキシ)トリイソプロピルシラン (494 mg)のトルエン(5 mL)溶液に、Pd(OAc)2 (19.70 mg)、tBu3P・HBF4 (25.5 mg)、t-BuONa (127 mg)を加えて、窒素雰囲気下、90℃で1時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、ろ液を濃縮した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製し、目的物(480 mg)を得た。
参考例82.(4aR,8aS)-1-(3-クロロ-4-(2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリンの製造
(4aS,8aR)-2,2-ジメチルデカヒドロキノキサリン(250 mg)と(2-(4-ブロモ-2-クロロフェノキシ)エトキシ)トリイソプロピルシラン (697 mg)のトルエン(5 mL)溶液に、Pd(OAc)2 (26.7 mg)、tBu3P・HBF4 (34.5 mg)、t-BuONa (157 mg)を加えて、窒素雰囲気下、90℃で1時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、ろ液を濃縮した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製し、目的物(400 mg)を得た。
参考例85.(4aS,8aR)-4-(3-クロロ-4-(2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-1,2,2-トリメチルデカヒドロキノキサリンの製造
(4aR,8aS)-1-(3-クロロ-4-(2-((トリイソプロピルシリルl)オキシ)エトキシ)フェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリン (180 mg)のDCM/THF(1:1) (4 mL)溶液に、36% ホルムアルデヒド水溶液 (83 μL)を加え室温で撹拌した。30分後、NaBH(OAc)3 (231 mg)を加え室温で二日間攪拌した。溶媒を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(AcOEt/MeOH)で精製し、目的物(170 mg)を得た。
参考例110.2-クロロ-4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-5-フルオロベンズアルデヒドの製造
(4aS,8aR)-2,2-ジメチルデカヒドロキノキサリン(343 mg)と2-クロロ-4,5-ジフルオロベンズアルデヒド(300 mg)のDMSO (3mL)溶液に、DIPEA (445 μL)を加え、窒素雰囲気下、100℃で7時間撹拌した。室温まで冷却後、5N NaOH水溶液を加え、AcOEtで抽出した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/MeOH)で精製し、目的物(490 mg)を得た。
参考例111.2-クロロ-4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-5-フルオロフェノールの製造
2-クロロ-4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-5-フルオロベンズアルデヒド (480 mg)のMeOH (8 mL)溶液に35% 過酸化水素水(323 μL)とH2SO4 (118 μL)を加え、室温で3日間撹拌した。反応液に飽和NaHCO3水溶液を加え、析出した固体をろ取した。水、Hexaneで洗浄して、目的物(400 mg)を得た。
参考例112.(4aR,8aS)-1-(4-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エトキシ)-5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリンの製造
2-クロロ-4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-5-フルオロフェノール (150 mg)とK2CO3 (133 mg、微粉砕)のDMF (3 mL)懸濁液に(2-ブロモエトキシ)-tert-ブチルジメチルシラン(129 μL)を加え、60℃で3時間撹拌した。反応液に水を注ぎ、AcOEtで抽出した。有機層を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製し、目的物(210 mg)を得た。
参考例118.2-(4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-3-フルオロフェノキシ)-2,2-ジフルオロ酢酸エチルの製造
4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-3-フルオロフェノール (150 mg)のDMF (3 mL)溶液に、DBU (244 μL)次いで、ブロモジフルオロ酢酸エチルエステル(138 μL)を加え、60℃で3時間撹拌した。反応液に水を注ぎ、AcOEtで抽出した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製し、目的物(175 mg)を得た。
参考例1~6、41、65~68、82、85、110~112及び118と同様にして、参考例7~40、42~64、69~81、83~84、86~109、113~117及び119~165の化合物を、それぞれ製造した。参考例1~165の化合物の構造式及び物理化学的データを表1-1~1-22にそれぞれ示す。





















[製造例]
製造例1.2-(2,6-ジフルオロ-4-((4a'S,8a'S)-ヘキサヒドロ-1'H-スピロ[シクロブタン-1,2'-キノキサリン]-4'(3'H)-イル)フェノキシ)エタン-1-オールの製造
(4a'S,8a'S)-4'-(4-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エトキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)オクタヒドロ-1'H-スピロ[シクロブタン-1,2'-キノキサリン] (480 mg)のTHF (6 mL)溶液を室温攪拌下、1M-TBAF/THF溶液(1029 μL)を加えた。室温で一夜攪拌後、反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。精製物をHexane/AcOEtから再結晶して、目的物(312 mg)を得た。
製造例2.2,2-ジフルオロ-2-(4-((4a'S,8a'S)-ヘキサヒドロ-1'H-スピロ[シクロブタン-1,2'-キノキサリン]-4'(3'H)-イル)フェノキシ)エタン-1-オールの製造
(4a'S,8a'S)-4'-(4-(1,1-ジフルオロ-2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)オクタヒドロ-1'H-スピロ[シクロブタン-1,2'-キノキサリン] (670 mg)のTHF (6 mL)溶液を室温攪拌下、1M-TBAF/THF溶液(1317 μL)を加えた。室温で一夜攪拌後、反応液を減圧濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。精製物をAcOEt/Hexaneから再結晶して、目的物(436 mg)を得た。
製造例17.2-(2-クロロ-6-フルオロ-4-((3R,4aS,8aS)-3-メチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)フェノキシ)エタン-1-オール 1/2フマル酸塩の製造
(3R,4aS,8aS)-1-(3-クロロ-5-フルオロ-4-(2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-3-メチルデカヒドロキノキサリン (650 mg) のTHF (5 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(1302 μL)を加え、室温で一夜攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。精製物をEtOHに溶解した後、フマル酸(156 mg)のEtOH溶液を加えて濃縮した。析出晶を、EtOH/AcOEtから再結晶して、目的物(420 mg)を得た。
製造例20.2-(4-((4aS,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)フェノキシ)-2,2-ジフルオロエタン-1-オールの製造
(4aS,8aS)-1-(4-(1,1-ジフルオロ-2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリン(540 mg)のTHF (5 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(2.17 mL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。AcOEt/Hexaneから再結晶して、目的物(324 mg)を得た。
製造例22.2-(4-((4aS,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-2-フルオロフェノキシ)-2,2-ジフルオロエタン-1-オールの製造
(4aS,8aS)-1-(4-(1,1-ジフルオロ-2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)-3-フルオロフェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリン(560 mg)のTHF (5 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(2.18 mL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。AcOEt/Hexaneから再結晶して、目的物(347 mg)を得た。
製造例27.2-(2-クロロ-4-((4aS,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)フェノキシ)エタン-1-オールの製造
(4aS,8aS)-1-(3-クロロ-4-(2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリン(1.95 g)のTHF (20 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(3.94 mL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を減圧し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。AcOEt/Hexaneから再結晶して、目的物(1.33 g)を得た。
製造例34.2-(4-((4aS,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-2,6-ジフルオロフェノキシ)エタン-1-オールの製造
(4aS,8aS)-1-(3,5-ジフルオロ-4-(2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリン(500 mg)のTHF (5 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(2.01 mL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。AcOEt/Hexaneから再結晶して、目的物(281 mg)を得た。
製造例37.2,2-ジフルオロ-2-(4-((4aS,8aS)-3,3,4-トリメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)フェノキシ)エタン-1-オールの製造
(4aS,8aS)-4-(4-(1,1-ジフルオロ-2-((トリイソプロピルシリルl)オキシ)エトキシ)フェニル)-1,2,2-トリメチルデカヒドロキノキサリン (480 mg)のTHF (6 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(940 μL)を加え室温で1時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。得られた固体をAcOEt/Hexaneから再結晶して、目的物(296 mg)を得た。
製造例38.2-(2-クロロ-4-((4aS,8aS)-3,3,4-トリメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)フェノキシ)エタン-1-オール 二塩酸塩の製造
(4aS,8aS)-4-(3-クロロ-4-(2-((トリイソプロピルシリルl)オキシ)エトキシ)フェニル)-1,2,2-トリメチルデカヒドロキノキサリン (410 mg)のTHF (6 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(805 μL)を加え室温で1時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。精製物をEtOHに溶解した後、1N-HCl/EtOHを加えて濃縮し、EtOH/AcOEtから再結晶して目的物(285 mg)を得た。
製造例44.2-(2-クロロ-4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)フェノキシ)エタン-1-オール 1/2フマル酸塩の製造
(4aR,8aS)-1-(3-クロロ-4-(2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリン (3.60 g) のTHF (50 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(7.27 mL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。精製物をAcOEt/EtOHに溶解し、フマル酸(0.43 g)のエタノール溶液を加えて濃縮して、EtOHから再結晶して、目的物(2.5 g)を得た。
製造例47.2-(2-クロロ-4-((4aR,8aS)-3,3,4-トリメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)フェノキシ)エタン-1-オール フマル酸塩の製造
(4aS,8aR)-4-(3-クロロ-4-(2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)フェニル)-1,2,2-トリメチルデカヒドロキノキサリン (160 mg)のTHF (4 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(314 μL)を加え室温で1.5時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。精製物をAcOEt/EtOHに溶解した後、フマル酸(40mg)のEtOH溶液を加え濃縮して、DCM/Hexaneにより分散洗浄して目的物(95 mg)を得た。
製造例56.2-(4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-3-メチルフェノキシ)-2,2-ジフルオロエタン-1-オールの製造
(4aR,8aS)-1-(4-(1,1-ジフルオロ-2-((トリイソプロピルシリル)オキシ)エトキシ)-2-メチルフェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリン(290 mg)のTHF (5 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(568 μL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。Hexaneから再結晶して、目的物(130 mg)を得た。
製造例59.2-(2-クロロ-4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-5-フルオロフェノキシ)エタン-1-オール 3/4フマル酸塩の製造
(4aR,8aS)-1-(4-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エトキシ)-5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリン (200 mg)のTHF (3 ml)溶液に1M-TBAF/THF溶液(425 μL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。精製物をAcOEt/EtOHに溶解し、フマル酸(54 mg)のEtOH溶液を加えて濃縮し、EtOH/AcOEtから再結晶して目的物(160 mg)を得た。
製造例60.2-(2-クロロ-4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-3-フルオロフェノキシ)エタン-1-オール フマル酸塩の製造
(4aR,8aS)-1-(4-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エトキシ)-3-クロロ-2-フルオロフェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリン(195 mg) のTHF (3 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(414 μL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。精製物をEtOHに溶解し、フマル酸(53.7 mg)のエタノール溶液を加えて濃縮し、EtOH/AcOEtから再結晶して、目的物(150 mg)を得た。
製造例61.2-(4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-3-フルオロフェノキシ)-2,2-ジフルオロエタン-1-オール 1/2フマル酸塩の製造
2-(4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-3-フルオロフェノキシ)-2,2-ジフルオロ酢酸エチル (165 mg)のTHF (5 mL)溶液を氷冷攪拌下、LiBH4 (19.75 mg)を加え、室温で20時間攪拌した。反応液を氷冷攪拌下、5N-HCl/MeOHを発泡しなくなるまで加えた。その後、5N NaOH水溶液を加えて反応系を塩基性とし、AcOEtで抽出した。有機層を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。精製物をAcOEt/EtOHに溶解し、フマル酸(53 mg)のエタノール溶液を加えて濃縮し、EtOH/AcOEtから再結晶して目的物(120 mg)を得た。
製造例64.2-(3-クロロ-4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)フェノキシ)エタン-1-オール 1/2フマル酸塩の製造
(4aR,8aS)-1-(4-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エトキシ)-2-クロロフェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリン(540 mg) のTHF (8 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(1192 μL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。精製物をEtOHに溶解し、フマル酸(94 mg)のエタノール溶液を加えて濃縮し、EtOH/AcOEtから再結晶して、目的物(400 mg)を得た。
製造例69.2-(4-((4aS,8aR)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-3-フルオロ-2-メチルフェノキシ)-2,2-ジフルオロエタン-1-オール 1/2フマル酸塩の製造
2-(4-((4aS,8aR)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-3-フルオロ-2-メチルフェノキシ)-2,2-ジフルオロ酢酸エチル(460 mg)のTHF(12 mL)溶液を氷冷攪拌下、LiBH4 (53.2 mg)を加え、室温で17時間攪拌した。反応液に5N HCl/MeOHを加え反応を停止し、その後、5N NaOH水溶液を加えて中和した。生成物をAcOEtで抽出し、有機層を濃縮した。残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。精製物をEtOHに溶解し、フマル酸(70 mg)のエタノール溶液を加えて減圧濃縮し、EtOH/AcOEtから再結晶して、目的物(340 mg)を得た。
製造例74.2-(4-((4aR,8aS)-3,3-ジメチルオクタヒドロキノキサリン-1(2H)-イル)-2,3-ジフルオロフェノキシ)エタン-1-オール 1/2フマル酸塩の製造
(4aR,8aS)-1-(4-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エトキシ)-2,3-ジフルオロフェニル)-3,3-ジメチルデカヒドロキノキサリン(440 mg) のTHF (6 mL)溶液に1M-TBAF/THF溶液(968 μL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt)で精製した。精製物をEtOHに溶解し、フマル酸(124 mg)のエタノール溶液を加えて濃縮し、EtOH/AcOEtから再結晶して、目的物(330 mg)を得た。
製造例1、2、17、20、22、27、34、37、38、44、47、56、59~61、64、69及び74と同様にして、製造例3~16、18~19、21、23~26、28~33、35~36、39~43、45~46、48~55、57~58、62~63、65~68、70~73及び75~80の化合物を、それぞれ製造した。製造例1~80の化合物の構造式及び物理化学的データを表2-1~2-12にそれぞれ示す。











[実施例]
以下に、本発明の代表的化合物の薬理試験等結果を示し、該化合物についての薬理作用等を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(ラット脳シナプトソームを用いた試験化合物のセロトニン(5-HT)取り込み阻害活性の測定)
雄のウィスターラットを断頭し、脳を取り出し、前頭皮質を切り取った。分離した前頭皮質を、重量の20倍の0.32モーラー(M)ショ糖溶液内に入れ、ポッター型ホモジナイザーでホモジナイズした。ホモジネートを1000 g、4℃で10分間遠心し、その上清をさらに20000 g、4℃で20分間遠心した。そのペレットをインキュベーションバッファー(10 mM グルコース、145 mM 塩化ナトリウム、4.5 mM 塩化カリウム、1.2 mM 塩化マグネシウム及び1.5 mM 塩化カルシウムを含む20 mM ヘペスバッファー(pH7.4))に懸濁させ、粗シナプトソーム画分として用いた。
96ウェル-ラウンドボトムのプレートの各ウェルを用い、パージェリン(最終濃度10 μM)及びアスコルビン酸(最終濃度0.2 mg/mL)を含む総容量200 μLの溶液で取り込み反応を行った。
つまり、溶媒、未標識5-HT又は段階希釈した試験化合物を各ウェルに加え、それぞれに最終容量の10分の1量のシナプトソーム画分を加え、37℃で10分間プレインキュベーションした後、トリチウムラベル5-HT溶液(最終濃度8 nM)を加えて37℃で取り込み反応を開始した。96ウェルガラス繊維フィルタープレートに吸引濾過することにより10分後に取り込み反応を終了させた。さらにフィルターを冷生理食塩水で洗った後、十分に乾燥させ、マイクロシンチ0(パーキンエルマー)を加え、フィルター上の残存放射活性を測定した。
溶媒のみを加えたときの取り込み値を100%、未標識の5-HT(最終濃度10 μM)を加えたときの取り込み値(非特異的取り込み値)を0%とし、試験化合物の濃度とその阻害活性から50%阻害濃度を計算した。結果を表3に示す。
実施例2(ラット脳シナプトソームを用いた試験化合物のノルエピネフィリン(NE)取り込み阻害活性の測定)
雄のウィスターラットを断頭し、脳を取り出し、海馬を切り取った。分離した海馬を、重量の20倍の0.32モーラー(M)ショ糖溶液内に入れ、ポッター型ホモジナイザーでホモジナイズした。ホモジネートを1000 g、4℃で10分間遠心し、その上清をさらに20000 g、4℃で20分間遠心した。そのペレットをインキュベーションバッファー(10 mM グルコース、145 mM 塩化ナトリウム、4.5 mM 塩化カリウム、1.2 mM 塩化マグネシウム及び1.5 mM 塩化カルシウムを含む20 mM ヘペスバッファー(pH7.4))に懸濁させ、粗シナプトソーム画分として用いた。
96ウェル-ラウンドボトムのプレートの各ウェルを用い、パージェリン(最終濃度10 μM)及びアスコルビン酸(最終濃度0.2 mg/mL)を含む総容量200 μLの溶液で取り込み反応を行った。
つまり、溶媒、未標識NE又は段階希釈した試験化合物を各ウェルに加え、それぞれに最終容量の10分の1量のシナプトソーム画分を加え、37℃で10分間プレインキュベーションした後、トリチウムラベルNE溶液(最終濃度12 nM)を加えて37℃で取り込み反応を開始した。96ウェルガラス繊維フィルタープレートに吸引濾過することにより10分後に取り込み反応を終了させた。さらにフィルターを冷生理食塩水で洗った後、十分に乾燥させ、マイクロシンチ0(パーキンエルマー)を加え、フィルター上の残存放射活性を測定した。
溶媒のみを加えたときの取り込み値を100%、未標識のNE(最終濃度10 μM)を加えたときの取り込み値(非特異的取り込み値)を0%とし、試験化合物の濃度とその阻害活性から50%阻害濃度を計算した。結果を表4に示す。
実施例3(ラット脳シナプトソームを用いた試験化合物のドパミン(DA)取り込み阻害活性の測定)
雄のウィスターラットを断頭し、脳を取り出し、線条体を切り取った。分離した線条体を、重量の20倍の0.32モーラー(M)ショ糖溶液内に入れ、ポッター型ホモジナイザーでホモジナイズした。ホモジネートを1000 g、4℃で10分間遠心し、その上清をさらに20000 g、4℃で20分間遠心した。そのペレットをインキュベーションバッファー(10 mM グルコース、145 mM 塩化ナトリウム、4.5 mM 塩化カリウム、1.2 mM 塩化マグネシウム及び1.5 mM 塩化カルシウムを含む20 mM ヘペスバッファー(pH7.4))に懸濁させ、粗シナプトソーム画分として用いた。
96ウェル-ラウンドボトムのプレートの各ウェルを用い、パージェリン(最終濃度10 μM)及びアスコルビン酸(最終濃度0.2 mg/mL)を含む総容量200 μLの溶液で取り込み反応を行った。
つまり、溶媒、未標識DA又は段階希釈した試験化合物を各ウェルに加え、それぞれに最終容量の10分の1量のシナプトソーム画分を加え、37℃で10分間プレインキュベーション後、トリチウムラベルDA溶液(最終濃度2 nM)を加えて37℃で取り込み反応を開始した。96ウェルガラス繊維フィルタープレートに吸引濾過することにより10分後に取り込み反応を終了させた。さらにフィルターを冷生理食塩水で洗った後、十分に乾燥させ、マイクロシンチ0(パーキンエルマー)を加え、フィルター上の残存放射活性を測定した。
溶媒のみを加えたときの取り込み値を100%、未標識のDA(最終濃度10 μM)を加えたときの取り込み値(非特異的取り込み値)を0%とし、試験化合物の濃度とその阻害活性から50%阻害濃度を計算した。結果を表5に示す。
実施例4(代謝安定性試験)
ヒト肝ミクロソーム溶液(最終濃度100 mmol/L リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、5 mmol/L 塩化マグネシウム、0.2 mg/mL ヒト肝ミクロソーム)に、試験化合物溶液(最終濃度0.001 mmol/L)及びNADH/NADPH溶液(最終濃度1 mmol/L)を添加・混合することにより代謝反応を開始した。また、内標準物質のメタノール溶液を調製し、これを反応停止液として用いた。
つまり、氷水中に222.5 μLのヒト肝ミクロソーム溶液に2.5 μLの試験化合物アセトニトリル溶液を添加・混合し、37℃で1分間プレインキュベーションした後、25 μLのNADH/NADPH溶液を添加・混合することで代謝反応を開始した。37℃で0、10及び20分間インキュベーションした後、反応時間ごとに反応溶液を25 μL分取し500 μLの反応停止液に添加・混合することで反応を停止させた。
混合溶液を遠心分離(6130 g、10分間、4℃)し、得られた上清をLC-MS/MS測定試料とした。
試験化合物及び内標準物質を測定対象としてピーク面積比([試験化合物のピーク面積]/[内標準物質のピーク面積])を算出した。
試験化合物の残存率は([各反応時間におけるピーク面積比]/[反応時間0分におけるピーク面積比])から算出した。
残存率とインキュベーション時間について非線形最小二乗法解析を行い、消失速度定数([0.693]/[半減期])を求め、([消失速度定数]/[ミクロソーム濃度])から肝固有クリアランス(μL/min/mg)を算出した。結果を表6に示す。
実施例5(CYP阻害試験(1):濃度評価時の阻害率(%))
3種のCYP特異的基質が含まれたヒト肝ミクロソーム溶液(最終濃度100 mmol/L リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、5 mmol/L 塩化マグネシウム、0.1 mg/mL ヒト肝ミクロソーム、0.005 mmol/L ジクロフェナク(CYP2C9)、0.01 mmol/L ブフラロール(CYP2D6)、0.005 mmol/L ミダゾラム(CYP3A4))に、試験化合物溶液(最終濃度0.01 mmol/L)及びNADH/NADPH溶液(最終濃度1 mmol/L)を添加・混合することにより代謝反応を開始した。また、内標準物質溶液として代謝生成物の安定同位体(50 ng/mL [13C6]ジクロフェナク水酸化体、5 ng/mL [2H9]ブフラロール水酸化体、5 ng/mL [13C6]ミダゾラム水酸化体(いずれも安定同位体))のメタノール溶液を調製し、これを反応停止液として用いた。
つまり、氷水中にて178 μLのヒト肝ミクロソーム溶液に2 μLの試験化合物アセトニトリル溶液(あるいはコントロールとしてアセトニトリル)を添加・混合し、37℃で1分間プレインキュベーションした後、20 μLのNADH/NADPH溶液を添加・混合することで代謝反応を開始した。37℃で10分間インキュベーションした後、反応溶液を50 μL分取し500 μLの反応停止液に添加・混合することで反応を停止させた。
混合溶液を遠心分離(6130 g、10分間、4℃)し、得られた上清をLC-MS/MS測定試料とした。
代謝生成物及び代謝生成物の安定同位体を測定対象としてピーク面積比([代謝生成物のピーク面積]/[対応する安定同位体のピーク面積])を算出した。各試験化合物溶液添加時のピーク面積比をコントロールのそれと比較することにより、(1-[各試験化合物溶液添加時のピーク面積比]/[コントロールのピーク面積比])×100から試験化合物の各CYP分子種阻害率(%)を算出した。結果を表7に示す。
実施例6(CYP阻害試験(2):3濃度の評価結果から50%阻害濃度を算出)
3種のCYP特異的基質が含まれたヒト肝ミクロソーム溶液(最終濃度100 mmol/L リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、5 mmol/L 塩化マグネシウム、0.1 mg/mL ヒト肝ミクロソーム、0.005 mmol/L ジクロフェナク(CYP2C9)、0.01 mmol/L ブフラロール(CYP2D6)、0.005 mmol/L ミダゾラム(CYP3A4))に、試験化合物溶液(最終濃度0.01、0.03及び0.1 mmol/L)及びNADH/NADPH溶液(最終濃度1 mmol/L)を添加・混合することにより代謝反応を開始した。また、内標準物質溶液として代謝生成物の安定同位体(50 ng/mL [13C6]ジクロフェナク水酸化体、5 ng/mL [2H9]ブフラロール水酸化体、5 ng/mL [13C6]ミダゾラム水酸化体(いずれも安定同位体))のメタノール溶液を調製し、これを反応停止液として用いた。
つまり、氷水中にて178 μLのヒト肝ミクロソーム溶液に2 μLの試験化合物アセトニトリル溶液(あるいはコントロールとしてアセトニトリル)を添加・混合し、37℃で1分間プレインキュベーションした後、20 μLのNADH/NADPH溶液を添加・混合することで代謝反応を開始した。37℃で10分間インキュベーションした後、反応溶液を50 μL分取し500 μLの反応停止液に添加・混合することで反応を停止させた。
混合溶液を遠心分離(6130 g、10分間、4℃)し、得られた上清をLC-MS/MS測定試料とした。
代謝生成物及び代謝生成物の安定同位体を測定対象としてピーク面積比([代謝生成物のピーク面積]/[対応する安定同位体のピーク面積])を算出した。各試験化合物溶液添加時のピーク面積比をコントロールのそれと比較することにより、(1-[各試験化合物溶液添加時のピーク面積比]/[コントロールのピーク面積比])×100から試験化合物の各CYP分子種阻害率(%)を算出した。
各CYP分子種について,試験化合物の最終濃度(0.01、0.03及び0.1 mmol/L)の対数と各濃度における阻害率(%)を直線回帰したときの傾きと切片を求め,各CYP分子種阻害率(%)が50%となるときの濃度を算出し、50%阻害濃度とした。結果を表8に示す。
実施例7(蛋白結合率試験)
ヒト血清に試験化合物溶液を添加し、血清試料を調製した(試験化合物の最終濃度0.001 mmol/L)。血清試料とDulbecco's Phosphate-Buffered Saline (D-PBS(-))を透析膜で区切られたウェルに添加し、反応を開始した。また、内標準物質のメタノール溶液を調製し、これを反応停止液として用いた。
つまり、透析膜(分画分子量12000-14000)を蒸留水、20%エタノールの順に浸し、プレコンディショニングを行った。その後、D-PBS(-)で洗浄して平衡透析用キットにセットした。透析膜により2分割された片方に150 μLのD-PBS(-)を添加し、他方に150 μLの血清試料を添加した。全てのウェルをシールで密閉し、37℃で6時間インキュベーション後、各ウェルの血清側から30 μL及びPBS側から90 μL試料を採取し、D-PBS(-) 90 μL又はブランク血清30 μL及び反応停止液480 μLと混合することで反応を停止させた。
混合溶液を遠心分離(6130 g、10分間、4℃)し、得られた上清をLC-MS/MS測定試料とした。
試験化合物及び内標準物質を測定対象としてピーク面積比([試験化合物のピーク面積]/[内標準物質のピーク面積])を算出した。各試験化合物のPBS側のピーク面積比を血清側のそれと比較することにより、(1-[PBS側のピーク面積比]/[血清側のピーク面積比])×100から試験化合物の蛋白結合率(%)を算出した。結果を表9に示す。
本発明の医薬は、幅広い治療スペクトルを有している。

Claims (12)

  1. 式[I]:
    [式中、
    R11、R12及びR13は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はC1-6アルキルであるか、又は、R11及びR12は、隣接する炭素原子とともに3~8員のシクロアルカンを形成しており;
    R22、R23、R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシであるか、又は、R22とR23は隣接するベンゼン環とともに、さらに酸素原子を環構成元素として含有する9~10員の二環系を形成しており;
    R31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はハロゲンである]
    で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬。
  2. 式[I]が、式[Ia]、式[Ib]、式[Ic]又は式[Id]から選ばれる請求項1に記載の医薬。
    [式中の各記号は上記と同じ]
  3. 式[I]中、R11、R12及びR13は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はメチルであるか、又は、R11及びR12は、隣接する炭素原子とともにシクロブチルを形成し;
    R22、R23、R25及びR26は、同一又は異なって、各々独立して、水素、フッ素、塩素、メチル又はメトキシであるか、又は、R22とR23は隣接するベンゼン環とともに、ベンゾフランを形成しており;
    R31及びR32は、同一又は異なって、各々独立して、水素又はフッ素である;
    請求項1に記載の医薬。
  4. 式[I]中、R22、R23、R25及びR26のうち、2つ以上は水素である、請求項1に記載の医薬。
  5. 式[I]で表される化合物又はその薬学的に許容される塩が、下記化合物及びその薬学的に許容される塩からなる群から選ばれる請求項1に記載の医薬。
  6. 有効成分として請求項1~5のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  7. セロトニン、ノルエピネフリン及び/又はドパミン神経の機能不全に関連する障害の治療、予防及び/又は診断用である、請求項1~5のいずれかに記載の医薬。
  8. 障害が、注意欠如・多動症(ADHD)、トウレット症、自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群、うつ病;適応障害による抑うつ症状;適応障害による不安、各種疾患に伴う不安、全般性不安障害、恐怖症、強迫性障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、心気症、解離性健忘症、回避性人格障害、身体醜形障害、摂食障害、肥満症、化学物質依存症、疼痛、線維筋痛症、アパシー、アルツハイマー病、記憶障害、パーキンソン病、むずむず脚症候群、内分泌障害、高血圧、血管痙攣、小脳性運動失調、胃腸管障害、統合失調症の陰性症状、統合失調症の感情障害、統合失調症の認知機能障害、月経前症候群、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、衝動性調節障害、抜毛癖、盗癖、ギャンブル依存症、群発頭痛、片頭痛、慢性発作性片頭痛、慢性疲労、早発射精、男性インポテンス、ナルコレプシー、原発性過眠症、脱力発作、睡眠時無呼吸症候群及び頭痛からなる群から選ばれる障害である請求項7に記載の医薬。
  9. うつ病が、大うつ病性障害;双極I型障害;双極II型障害;混合状態;気分変調性障害;ラピッド・サイクラー;非定型うつ病;季節性感情障害;産後うつ病;軽症うつ病;反復性短期うつ病性障害;難治性うつ病・慢性うつ病;治療抵抗性うつ病;アルコール誘発性気分障害;混合性不安抑うつ障害;クッシング症候群、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、アジソン病、無月経・乳汁分泌症候群、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管性認知症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、糖尿病、ウィルス感染症、多発性硬化症、慢性疲労症候群、冠動脈疾患、疼痛、癌等の種々の疾患に伴ううつ病;中年期のうつ病;老年期うつ病;小児・思春期のうつ病及びインターフェロン等の薬物誘発性うつ病からなる群から選ばれるうつ病である請求項8に記載の医薬。
  10. 各種疾患に伴う不安が、頭部外傷、脳の感染症、内耳障害、心不全、不整脈、副腎機能亢進症、甲状腺機能亢進症、喘息及び慢性閉塞性肺疾からなる群から選ばれる不安である請求項8に記載の医薬。
  11. 疼痛が、慢性疼痛、心因性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、外傷性頸部症候群、脊髄損傷痛、三叉神経痛及び糖尿病性神経障害からなる群から選ばれる疼痛である請求項8に記載の医薬。
  12. 請求項1~5のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の、セロトニン再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤及び/又はドパミン再取り込み阻害剤の製造における使用。
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