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JP2024024811A - 植物の殺菌用液体、植物の殺菌用液体の生成方法及び植物の殺菌方法 - Google Patents

植物の殺菌用液体、植物の殺菌用液体の生成方法及び植物の殺菌方法 Download PDF

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JP2024024811A JP2022127715A JP2022127715A JP2024024811A JP 2024024811 A JP2024024811 A JP 2024024811A JP 2022127715 A JP2022127715 A JP 2022127715A JP 2022127715 A JP2022127715 A JP 2022127715A JP 2024024811 A JP2024024811 A JP 2024024811A
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好浩 岡
Yoshihiro Oka
智裕 橋本
Tomohiro Hashimoto
藍乃 川口
Aino Kawaguchi
豊 岩本
Yutaka Iwamoto
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DAINICHI SEISAKUSHO KK
Hyogo Public University Corp
Hyogo Prefectural Government
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DAINICHI SEISAKUSHO KK
Hyogo Public University Corp
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Abstract

【課題】適用方法や適用対象に制約がなく、植物の殺菌の用途に広く利用できる植物の殺菌用液体、植物の殺菌用液体の生成方法及び植物の殺菌方法を提供すること。【解決手段】キャビテーション発生機構2により、水を流動させながら、水にキャビテーションを起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、殺菌力を有する金属からなる電極31間にパルス電圧を印加するようにしたプラズマ発生機構3により、プラズマを発生させることによって殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水を生成する。【選択図】図1

Description

本発明は、植物の殺菌用液体、植物の殺菌用液体の生成方法及び植物の殺菌方法に関するものである。
従来から、うどんこ病等の伝染性糸状菌病に対して、殺菌作用を発揮する各種農薬のほか、重曹や酢が、その予防や治療のために用いられている。
特開2011-41914号公報 特開2015-3297号公報 特開2017-176201号公報
ところで、農薬等を使用する、上記従来の植物の殺菌方法は、適用方法や適用対象に制約があったり、殺菌効果が得にくいという問題があった。
本発明は、上記従来の植物の殺菌方法とはまったく異なる手法で、適用方法や適用対象に制約がなく、植物の殺菌の用途に広く利用できる植物の殺菌用液体、植物の殺菌用液体の生成方法及び植物の殺菌方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の植物の殺菌用液体は、殺菌性を発揮するナノ粒子(ナノ粒子が凝集して二次粒子になっているものを含む。以下、本明細書において同じ。)を含有する水からなることを特徴とする。
また、同じ目的を達成するため、本発明の植物の殺菌用液体の生成方法は、キャビテーション発生機構により、水を流動させながら、水にキャビテーションを起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、殺菌力を有する金属からなる電極間にパルス電圧を印加するようにしたプラズマ発生機構により、プラズマを発生させることによって殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水を生成することを特徴とする。
また、同じ目的を達成するため、本発明の植物の殺菌方法は、殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水を用いて、植物の殺菌を行うことを特徴とする。
この場合において、前記殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水を植物に散布し、ナノ粒子を植物に付着させることにより、植物の殺菌を行うことができる。
本発明の植物の殺菌用液体、植物の殺菌用液体の生成方法及び植物の殺菌方法によれば、原料の水を処理することで生成することができる殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水を、植物に付着させることで、極めて微量の殺菌性を発揮するナノ粒子により植物の殺菌を行うことができることから、安心、安全なものであり、適用方法や適用対象に制約がなく、植物の殺菌の用途に広く利用することができる。
本発明の植物の殺菌用液体の生成に用いる装置の一例を示す概念図である。 活性酸素種を含む各種物質の酸化電位及び結合エネルギを示す図である。 電極の材質ごとの処理時間とpH、導電率、過酸化水素の濃度及び電極消耗量との関係を示す図である。 電極を装着せず、水循環のみした場合と条件2の電圧・電流・電力波形を示す図である。 電極を装着せず、水循環のみした場合と条件3の電圧・電流・電力波形を示す図である。 CBP装置を5min稼働(W電極、Ag電極)した水を放置した場合の水質の経時変化(経過時間とpH及び導電性の関係)を示す図である。 CBP装置を5min稼働(W電極、Ag電極)した水を放置した場合の水質の経時変化(経過時間とORP及びH濃度の関係)を示す図である。 乾燥させたナスの葉の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 乾燥させたナスの葉(イオン交換水(DIW))の走査電子顕微鏡(SEM)を用いたエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)による構造観察写真である。 乾燥させたナスの葉(イオン交換水(DIW))のエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)によるスペクトル解析を示す図である。 乾燥させたナスの葉(CBP処理水(W電極)(CBPTW(W)))の走査電子顕微鏡(SEM)を用いたエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)による構造観察写真(×1000)である。 乾燥させたナスの葉(CBP処理水(W電極)(CBPTW(W)))のエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)によるスペクトル解析を示す図(×1000)である。 乾燥させたナスの葉(CBP処理水(Ag電極)(CBPTW(Ag)))の走査電子顕微鏡(SEM)を用いたエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)による構造観察写真(×300)である。 乾燥させたナスの葉(CBP処理水(Ag電極)(CBPTW(Ag)))のエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)によるスペクトル解析を示す図(×300)である。 乾燥させたナスの葉(CBP処理水(Ag電極)(CBPTW(Ag)))の走査電子顕微鏡(SEM)を用いたエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)による構造観察写真(×3000)である。 乾燥させたナスの葉(CBP処理水(Ag電極)(CBPTW(Ag)))のエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)によるスペクトル解析を示す図(×3000)である。 乾燥させたナスの葉(CBP処理水(Ag電極)(CBPTW(Ag)))の走査電子顕微鏡(SEM)を用いたエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)による構造観察写真(×10000)である。 乾燥させたナスの葉(CBP処理水(Ag電極)(CBPTW(Ag)))のエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)によるスペクトル解析を示す図(×10000)である。 乾燥させたナスの葉(CBP処理水(W電極)(CBPTW(W)))のエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)によるスペクトル解析を示す図である。
以下、本発明の植物の殺菌用液体、植物の殺菌用液体の生成方法及び植物の殺菌方法の
実施の形態を説明する。
本発明の殺菌用液体は、殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水からなることを特徴とするものである。
この液体殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水は、キャビテーション発生機構により、水を流動させながら、水にキャビテーションを起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、殺菌力を有する金属からなる電極間にパルス電圧を印加するようにしたプラズマ発生機構により、プラズマを発生させることによって生成することができる。
そして、殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水を、噴霧すること等により植物に付着させることで、極めて微量の殺菌性を発揮するナノ粒子により、植物の殺菌を行うことができる。
植物の殺菌用液体の生成に用いる装置としては、従来公知の装置、すなわち、水にキャビテーションを起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、電極間にパルス電圧を印加するようにしたプラズマ発生機構によりプラズマを発生させる機構、より具体的には、先行技術文献の欄に記載した特許文献1-2に記載された、ノズル、障害物等によって流路断面積を変化させて水にキャビテーションを起こさせるキャビテーション発生機構とプラズマ発生機構とを組み合わせた装置、同特許文献3に記載された、回転翼を回転させることによって水にキャビテーションを起こさせるキャビテーション発生機構とプラズマ発生機構とを組み合わせた装置等を用いることができる。
ここでは、植物の殺菌用液体の生成に用いる装置として、回転翼を回転させることによって水にキャビテーションを起こさせるキャビテーション発生機構とプラズマ発生機構とを組み合わせた装置を用いた例について、以下説明する。
この植物の殺菌用液体の生成に用いる装置は、図1に示すように、水を貯留するタンク1と、キャビテーション発生機構としてのタンク1から供給された水を撹拌する撹拌装置2と、撹拌装置2によってキャビテーションを起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡(キャビテーション気泡)を含む水中で、プラズマを発生させるプラズマ発生機構3と、これらの機構を接続して水を循環させる管路4とを備えて構成されている。
ここで、水を循環させることは必須ではなく、例えば、プラズマ発生機構を複数設けたり、電極対を複数組設置したりすることによって、より処理効率を高めることができれば、1パス処理でもよい。
撹拌装置2は、ケーシング21の内部に同心状で回転可能に設けられたロータ22と、ロータ22を回転駆動するモータ23等を備えて構成されている。
また、プラズマ発生機構3は、導体からなる電極31と、電極31間に、例えば、放電開始電圧以上の電圧、パルス幅1.5μs以下、繰り返し周波数100kHz以上のパルス電圧を印加するパルス電源32等を備えて構成され、絶縁性の気泡領域で、パルス電圧による高電圧絶縁破壊放電により気化物が電離(プラズマ化)して液中プラズマ(キャビテーションプラズマ。本明細書において、「CBP(Cavitation bubble plasma)」という場合がある。)を発生させるものである。
パルス電圧によって生起される放電形態は、グロー放電であることが好ましく、電極31の消耗成分に起因する金属や金属酸化物、液中プラズマによって生成される水に含まれる不純物に起因する硫化物、塩化物等の無機化合物等からなる、結晶、準結晶、アモルフ
ァス等の形態のナノ粒子の合成を、低温で、かつ、エネルギ効率よく行うことができる。すなわち、ナノ粒子は、電極31の成分のナノ粒子であり、電極が金属の場合、ナノ粒子ができた瞬間は金属ナノ粒子となり、金属の種類によって、そのナノ粒子が酸化されたり、水に塩素や硫黄が含まれているとナノ粒子が塩化されたり硫化されたりする(不純物に含まれる物質によってその物質との化合物になる場合がある。)。
ここで、プラズマ発生機構3内の電極31付近の水の流速は約10m/sであり、5m/s以上が望ましい。
電極31は、水の流れに対して垂直方向に、対向させて配置することが好ましいが、プラズマが生成できる限りにおいて、ハの字等の配置形態を採用することができる。
電極31の形状は、円柱のほか、角柱、楕円柱、円錐、角錘であってもよい。電極31は、1対あれば問題ないが、より処理効率を上げるために2対以上設置してもよい。また、プラズマ発生機構は1セットあれば問題ないが、より処理効率を上げるために2セット以上設置してもよい。
電極31の片側は接地してもよいし、接地しなくてもよい。接地しない方が放電路は電極間に限定されるため、安全である。
電極31の材料には、プラズマが生成できるという観点からは、タングステン、銅、鉄、銀、金、白金のほか、アルミニウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、ランタノイド、ハフニウム、タンタル、レニウム、オスミウム、イリジウム、タリウム、ビスマス、ポロニウム等の金属、カーボン、導電性ダイヤモンド、それらの合金や複合材料(メッキやドライコーティング等の手法で薄膜で被覆したものを含む。)や酸化物(電極31の表面が水と反応したものを含む。)等の導体材料を、用途に応じて、任意に選択することができる。対向させて配置する電極31で、金と銀など、用いる材料や電極サイズを異ならせることもできる。
なお、電極31の消耗成分に起因する金属や金属酸化物等のナノ粒子は、ナノ粒子が凝集して二次粒子になっているものを含むほか、電極31の材料によっては、液中プラズマによってナノ粒子と同時に生成される過酸化水素(H)等によって、最終的にそのほとんどが水に溶解してしまっている場合(例えば、タングステン。)があるが、本発明は、これを排除しないものとする。
その一方で、電極31の材料には、後述の殺菌試験の結果から、この植物の殺菌用液体の生成に用いる装置で生成した電極31の成分由来のナノ粒子を含有する水を、植物に付着させることで、植物の殺菌を行うことができるようにするためには、ナノ粒子が殺菌作用を発揮するものであることが分かっている。
このため、電極31の材料には、殺菌力が強いといわれている、銅、銀、金、白金、アルミニウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、パラジウム、錫、ジルコニウム、チタン等の金属を好適に用いることができる。
この植物の殺菌用液体の生成に用いる装置は、稼働することにより、循環する水の水温が上昇することになるが、必要に応じて、水温調節機構として冷却手段、例えば、撹拌装置2に設けたジャケット冷却手段(図示省略)を備えることによって、水を所定の温度に維持することができる。
そして、このようにして液中プラズマによって生成された水には、電極31の成分由来のナノ粒子に加えて、活性酸素種としての過酸化水素等が存在することで、その作用により、植物の殺菌作用を発揮することが期待できる。
この液中プラズマによって生成された水は、長寿命の活性酸素種(スーパーオキシドアニオンラジカル(・O )、ヒドロペルオキシラジカル(HOO・)、過酸化水素(H
))による殺菌作用に加えて、過酸化水素(H)が、ナノ粒子の触媒作用によって、活性酸素種の中で最も酸化力の高いヒドロキシルラジカル(・OH)等の活性酸素種を持続的に生成させることにより、より増強され、植物の殺菌作用を発揮することができる。
このため、液中プラズマによって生成された水中に存在する過酸化水素及びナノ粒子の量が重要であり、本発明によって、原料は水だけで簡単、高速、かつ、大量に同時に生成することができる。
図2に、活性酸素種を含む各種物質の酸化電位及び結合エネルギを示す。
図2からも明らかなように、ヒドロキシルラジカル(・OH)等の活性酸素種は、有機物(微生物(ウイルス、細菌、真菌、原虫等を含む。))の大きな分解(殺菌)作用を有するため、植物の殺菌作用を発揮することが期待できる。
次に、植物の殺菌用液体の生成に用いる装置(具体的には、日本スピンドル製造社製「キャビテーションプラズマ装置」。)を使用して行った試験について説明する。
[植物の殺菌用液体の生成に用いる装置の処理条件について]
表1に、植物の殺菌用液体の生成に用いる装置の処理条件(好ましい範囲)を、図3に、電極の材質ごとの処理時間とpH、導電率、過酸化水素の濃度及び電極消耗量との関係を、それぞれ示す。
Figure 2024024811000002
ここで、表1及び図3において、以下のことがいえる。
・初期(「プラズマ処理前」を意味する。他の項目も同じ。)の導電率は低い方がプラズマ生成率(印加したパルス数に対するプラズマが生成したパルス数の割合。)が高くなり、効率よく植物の殺菌用液体を生成することができる。
・初期CODが高いと、生成される活性酸素種が消費されてしまい好ましくない。
・初期導電率、初期pH、初期CODが好ましい範囲内であれば、他の混雑物は影響しない。このため、処理原料となる水としては、イオン交換水(本明細書において、「DIW」という場合がある。)等の精製水を用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。
・撹拌装置の回転数は高い方がキャビテーション気泡が増えるので、プラズマ生成率が高くなり、効率よく植物の殺菌用液体を生成することができる。
・印加電圧は低すぎるとプラズマが点灯せず、高くなるとプラズマ生成率が高くなるが、高すぎると好ましいグロー放電からアーク放電に移行してしまい好ましくない。
・パルス幅は短すぎるとプラズマが点灯せず、長くなるとプラズマ生成率が高くなるが、長すぎるとアーク放電に移行してしまい好ましくない。
・繰り返し周波数は高いほどプラズマ生成率が高くなり、安定してプラズマが生成できる。
・パルス電圧の極性は、両極性でも正極性でも負極性でもよい。
・電極材質は、水中で安定な導体であればよい。
・電極直径は細すぎると電界が集中してプラズマが点灯しやすいが、アーク放電に移行しやすくなり、太すぎるとプラズマが点灯しにくくなる。
・電極のギャップ長は短すぎるとアーク放電に移行しやすくなる、長すぎるとプラズマが点灯しにくくなる。
・処理時間は短すぎると生成される活性酸素種及びナノ粒子が少なくなり、長すぎると生成される活性酸素種及びナノ粒子によって導電率が高くなり、プラズマ生成率が低下する。処理時間は、通常は、2-10分程度、好ましくは、3-8分程度、より好ましくは、5分程度である。ここで、植物の殺菌用液体の生成に用いる装置は、撹拌装置の回転数が7200rpmの場合、1秒間に260mLの水が装置内を1回循環するようにされている。
[植物の殺菌試験]
次に、以下の試験方法で、モデルとしてナスうどんこ病に対する効果試験を行った。
(1)植物の殺菌用液体の生成に用いる装置の操作
植物の殺菌用液体の生成に用いる装置(本明細書において、「CBP装置」という場合がある。)に精製水(イオン交換水)を投入し、表2に示す処理条件で植物の殺菌用液体の生成に用いる装置を稼働した。
Figure 2024024811000003
(1-1)条件1:イオン交換水(対照)(DIW)
CBP装置で処理しないイオン交換水を用意した。
(1-2)条件2:CBP処理水(W電極)(CBPTW(W))
・CBP装置にイオン交換水260mLを導入し、CBP装置を稼働し、5min処理し、容器に処理した水を全量回収した。
・電極を新しいものに交換して同じ処理を3回繰り返し、容器に処理した水を全量回収した。
・W電極の消耗量(4回の処理の合計量)を測定した。
(1-3)条件3:CBP処理水(Ag電極)(CBPTW(Ag))
・CBP装置にイオン交換水260mLを導入し、CBP装置を稼働し、5min処理し、容器に処理した水を全量回収した。
・電極を新しいものに交換して同じ処理を3回繰り返し、容器に処理した水を全量回収した。
・Ag電極の消耗量(4回の処理の合計量)を測定した。
表3に電極消耗量を、図4~図5に電極を装着せず(プラズマ非生成)、水循環のみした場合と条件2~3の電圧・電流・電力波形を、図6~図7にCBP装置を5min稼働(W電極、Ag電極)した水を放置した場合の水質の経時変化を示す。
Figure 2024024811000004
(2)ナスうどんこ病に対する効果試験
以下のとおり、ナスうどんこ病に対する効果試験を行った。
・露地圃場の3ヶ所からナス(千両二号)3株を選定した(うどんこ病発病後)。
・試験開始前に選定したナスの株から発病した葉のみ事前に取り除くようにした。
・1回目散布:3株のナスに対して条件1~3のイオン交換水及びCBP処理水をそれぞれ十分量を散布(約130mL/株)した。
・2回目散布:1回目散布の1週間後に3株のナスに対して条件1~3のイオン交換水及びCBP処理水をそれぞれ散布(約200mL/株)した。
・3回目散布:2回目散布の1週間後に3株のナスに対して条件1~3のイオン交換水及びCBP処理水をそれぞれ散布(約260mL/株)した。
・3回目散布の1週間後に発病状況を調査した(上下の葉は除く。)。
・1回目散布と2回目散布の間に約30mm、2回目散布と3回目散布の間に約40mm、3回目散布と発病状況の調査の間に約80mmの降水量を観測した。
(3)ナスうどんこ病に対する効果の評価方法
以下のとおり、ナスうどんこ病に対する効果の評価を行った。
株当たり12~20葉の病斑面積を程度別(0-4)に調査し、発病葉率、発病度を求め防除価を算出した。
発病度=(Σ(発病指数×該当葉数)/4×調査葉数)×100
発病指数
0:病斑なし
1:病斑面積が葉面積の5%未満
2:病斑面積が葉面積の5~25%未満
3:病斑面積が葉面積の25~50%未満
4:病斑面積が葉面積の50%以上
防除価=100-(処理区の発病度/無処理区の発病度)×100
表4にナスうどんこ病に対する効果試験結果を示す。
Figure 2024024811000005
(4)ナスうどんこ病に対する効果試験を行ったナスの葉の観察
図8~図19に、ナスうどんこ病に対する効果試験を行ったナスの葉を採取し、乾燥したものを、以下の方法で観察した結果を示す。
・走査電子顕微鏡(SEM)
・走査電子顕微鏡(SEM)を用いたエネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)による構造観察
・エネルギ分散形X線分光器(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:EDS)によるスペクトル解析
表4に示す、ナスうどんこ病に対する効果試験結果及び図8~図19に、ナスうどんこ病に対する効果試験を行ったナスの葉の観察結果から、以下のことが分かった。
・試験終了時に対照区(条件1:イオン交換水(対照)(DIW)の散布区)でうどんこ病は中発生となった。
・条件2:CBP処理水(W電極)(CBPTW(W))の散布区は、対照区に比べて、うどんこ病に対する効果が劣っていた。薬害等は認められなかった。
・条件3:CBP処理水(Ag電極)(CBPTW(Ag))の散布区は、対照区に比べて、うどんこ病に対する効果が優れていた。薬害等は認められなかった。
・ナスうどんこ病に対する効果試験を行ったナスの葉のSEM及びEDSによる観察結果から、散布したCBP処理水の電極の成分由来のナノ粒子(Ag)がナスの葉に付着していることを確認した。これにより、露地圃場に植生されたナスの葉に付着したナノ粒子(Ag)が、降雨によっても流されずに残留して、植物の殺菌を行う効果を発揮することが分かった。
・植物の殺菌用液体の生成に用いる装置で生成した電極の成分由来のナノ粒子を含有する水を、植物に付着させることで、植物の殺菌を行うことができるようにするためには、電極の成分由来のナノ粒子を含有する電極の材料に、ナノ粒子が殺菌作用を発揮するもの、具体的には、殺菌力が強いといわれている、銅、銀、金、白金、アルミニウム、バナジウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、パラジウム、錫等の金属を用いる必要があるといえる。
・有機物(微生物(ウイルス、細菌、真菌、原虫)等を含む。)に対して大きな分解(殺菌)作用を有するヒドロキシルラジカル(・OH)等の活性酸素種は、CBP処理水の放置時間が長くなる程、活性酸素種の量が減少し、殺菌作用が低下することと相俟って、露地圃場のナスうどんこ病に対する効果は認められなかった。
以上、本発明の植物の殺菌用液体、植物の殺菌用液体の生成方法及び植物の殺菌方法について、その実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の植物の殺菌用液体、植物の殺菌用液体の生成方法及び植物の殺菌方法は、適用方法や適用対象に制約がなく、植物の殺菌の用途に広く利用することができる。
このため、殺菌の対象は、実施例に記載した、ナスうどんこ病(伝染性糸状菌病)に限定されず、種々の植物(例えば、ナス、トマト、キュウリ、カボチャ、メロン等の実もの野菜、キャベツ、レタス等の葉もの野菜、花卉類等)の殺菌(微生物(ウイルス、細菌、真菌、原虫等を含む。)の殺菌)の用途に広く利用することができる。
本発明の植物の殺菌用液体、植物の殺菌用液体の生成方法及び植物の殺菌方法は、使用回数や対象作物に制約なく利用できる。
このため、ナスうどんこ病(糸状菌の病害)に限らず、対象作物は野菜類、花卉類、果樹類で、糸状菌による植物の病害のほか、ウイルス、細菌等の病害や収穫後の農産物に発生する貯蔵病害等にも広く利用できる可能性がある。
1 タンク
2 撹拌装置(キャビテーション発生機構)
21 ケーシング
22 ロータ
23 モータ
3 プラズマ発生機構
31 電極
32 パルス電源
4 管路

Claims (4)

  1. 殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水からなることを特徴とする植物の殺菌用液体。
  2. キャビテーション発生機構により、水を流動させながら、水にキャビテーションを起こさせ、それによって発生する水蒸気を主成分とする気泡を含む水中で、殺菌力を有する金属からなる電極間にパルス電圧を印加するようにしたプラズマ発生機構により、プラズマを発生させることによって殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水を生成することを特徴とする植物の殺菌用液体の生成方法。
  3. 殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水を用いて、植物の殺菌を行うことを特徴とする植物の殺菌方法。
  4. 前記殺菌性を発揮するナノ粒子を含有する水を植物に散布し、ナノ粒子を植物に付着させることにより、植物の殺菌を行うことを特徴とする請求項3に記載の植物の殺菌方法。
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