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JP2024022888A - 地図自動生成装置及び搬送車両システム - Google Patents

地図自動生成装置及び搬送車両システム Download PDF

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JP2024022888A JP2022126327A JP2022126327A JP2024022888A JP 2024022888 A JP2024022888 A JP 2024022888A JP 2022126327 A JP2022126327 A JP 2022126327A JP 2022126327 A JP2022126327 A JP 2022126327A JP 2024022888 A JP2024022888 A JP 2024022888A
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和也 杉本
Kazuya Sugimoto
新士 石原
Shinji Ishihara
貴大 酒井
Takahiro Sakai
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Abstract

【課題】車種・台数及び走行環境の形状に依存しない地図生成機能を提供する。さらに、地図作成に向けた車種ごとの環境計測を不要とし、地図生成の工数を削減する。【解決手段】本発明の地図自動生成装置は、搬送車両の走行環境の3次元情報を取得する3次元環境計測部と、前記3次元情報、前記搬送車両の寸法を示す車格情報、並びに、前記搬送車両に搭載される車載センサの性能及び/又は搭載位置に関する情報に基づき、前記搬送車両向けの車両用地図を複数の前記搬送車両ごとに生成する車両用地図生成部と、前記生成した車両用地図を複数の前記搬送車両ごとに送信する地図配信部と、を備えることを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明は、地図自動生成装置及び搬送車両システムに関する。
少子高齢化による労働力不足及びE-コマース市場拡大に伴い、物流倉庫内及び工場内の省人化及び作業効率の向上が課題となっている。これらの課題を解決するため、無人で動作可能な搬送車両、及び、複数台の搬送車両を効率よく動作させる搬送車両システムの導入が進められている。
搬送車両として、AMR(Autonomous Mobile Robot)をはじめとする台車型車両、フォークリフト等がある。搬送車両システムは、これらの搬送車両に対して、目的とするタスク(荷積み・荷下し等)を示す信号を送信する。すると、各搬送車両は、自動的に目的地まで走行し目的地でタスクを実行する。
既存の搬送車両システムは、安全の観点から、搬送車両が移動可能な範囲を限定しており、また、人と搬送車両の作業範囲も異なることが一般的であった。一方で、ロボティクス分野における自律移動技術の発展に伴い、搬送車両及び人の動線が重複しても、搬送車両自身が回避・迂回の必要性を判断し、周囲の状況に応じて柔軟な行動を選択することが可能となってきている。そのため今後は、搬送車両に対し作業領域を限定せず、現場全域を可動範囲とし、複数の搬送車両及び作業員が1つの現場全域を共有する搬送車両システムの形態が予想される。
前記の潮流を受け、近年では、搬送車両システムにおいて、複数車種(複数ベンダ)の搬送車両を運用・管理する技術が注目されている。例えば、前記したAMR、フォークリフト等に対し、それぞれのタスクは異なっても、同じ走行環境を共有させる運行・交通管制技術等が存在する。これらの複数車種に対する管制技術は、Robot Operations、又は、RobOpsとも呼称され、将来、市場がより拡大する技術として注目されている。
複数車種を対象とした搬送車両システムは、車載センサによる自己位置演算において、対象車両ごとに異なる視点の地図を必要とする。これに対し従来は、対象車両・車種ごとに搭載された車載センサが、環境(外界)形状を表現した地図を1台ずつ作成していた。しかしながら、運用する車両台数及び車種が増加するにつれ、地図作成に要する工数が増加する問題がある。
また、導入コスト・運用コスト削減の観点から、搬送車両1台当たりの車載センサのコストを可能な限り抑える必要がある。そこで車載センサは、計測範囲又は計測距離の性能が限定された低スペックモデルである場合が多い。そのため、倉庫又は工場のような、周囲に棚が存在し、路面にも荷が置いてある複雑な走行環境においては、車載センサのみでは画角又は検知範囲が足りず、測距・計測ができない死角領域が発生する問題がある。
そこで前記問題を解決するために、例えば、特許文献1では、走行環境に設置された固定センサの情報から、搬送車両用の局所格子地図を作成し、車載センサにて取得した走行環境全域の格子地図と結合する技術が提案されている。特許文献1の構成を採用することで、車載センサのみでは計測ができない領域に存在する障害物情報も加味し、自己位置推定及び目的地までの経路計画を行うことができる。加えて、例えば作業員の侵入、棚又は荷の配置転換等、周囲の環境形状が変化しても、その変化を固定センサにて捉え、地図情報に反映させることができる。
国際公開第2019/054209号
しかしながら、特許文献1では、複数車種環境下への対応が困難である。例えば、対象車両ごとに車載センサの搭載位置又はセンサ自身の性能が異なる場合、同じ走行環境で地図を作成しても、同一形状の地図が得られず、地図のスケール誤差や姿勢誤差(歪み)が発生する場合がある。このような状況に対して、車両ごとの地図の形状差分を加味し、固定センサから取得した情報を加工し車両ごとの地図を精度よく作成することは難しい。
また、前記特文献1の技術は、走行環境又は実行されるタスクによっては、多くの固定センサを配置しなければならず、最適な配置及び個数を検討することにも多くの時間を要し、これらは新たな課題となる。
そこで本発明は、車種・台数及び走行環境の形状に依存しない地図生成機能を提供すること、さらに、地図作成に向けた車種ごとの環境計測を不要とし、地図生成の工数を削減することを目的とする。
本発明の地図自動生成装置は、搬送車両の走行環境の3次元情報を取得する3次元環境計測部と、前記3次元情報、前記搬送車両の寸法を示す車格情報、並びに、前記搬送車両に搭載される車載センサの性能及び/又は搭載位置に関する情報に基づき、前記搬送車両向けの車両用地図を複数の前記搬送車両ごとに生成する車両用地図生成部と、前記生成した車両用地図を複数の前記搬送車両ごとに送信する地図配信部と、を備えることを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、車種・台数及び走行環境の形状に依存しない地図生成機能を提供すること、さらに、地図作成に向けた車種ごとの環境計測を不要とし、地図生成の工数を削減することができる。
台車型搬送車両の側面図である。 牽引車両及びフォークリフトの側面図である。 実施例1の走行環境を示す図である。 車載センサが、周囲環境を計測している様子を示す図である。 地図自動生成装置及び車載コントローラの機能ブロック図である。 地図自動生成装置が実行する処理手順のフローチャートである。 3次元点群を説明する図である。 主成分分析を説明する図である。 路面点群を平面で近似する方法の一例を示す図である。 ステップS607の処理の概念図である。 ステップS608の処理の概念図である。 ステップS609の処理の概念図である。 自己位置推定用地図及び経路計画用地図を比較する図である。 実施例2を説明する図である。 実施例3におけるステップS607の概念図である。 信頼度を説明する図である。 信頼度のグラフの一例である。
(用語等)
以下の実施例1~3に共通して使用される主な用語の語義は、以下の通りである。
・搬送車両とは、倉庫、工場等の内部の走行路面(床面)上において、荷を自律的かつ無人で搬送する車両である。搬送車両は、自己位置を推定し、走行経路を計画する。
・車載センサとは、実施例では、走行路面を基準とする所定の高さの位置に搬送車両が搭載するセンサである。車載センサは、走行路面と平行なその高さにおける平面状の領域に光線を発し、光線が壁面等に反射して戻ってくる時間を計測することにより、その高さにおける壁面等の位置を点群として単層的に取得する。車載センサが搭載される高さは、搬送車両の種類等によって異なる。
・マスタセンサとは、倉庫、工場等の内部全体の3次元空間に光線を発し、光線が壁面等に反射して戻ってくる時間を計測することにより、3次元空間における壁面等の位置を点群として多層的に取得するセンサである。マスタセンサが取得した点群を所定の高さの層に切り出した(スライスした)部分は、各種類の搬送車両によって使用され得る。マスタセンサは、固定式であっても移動式であってもよく、搬送車両に搭載されていてもよい。マスタセンサの個数は、通常“1”である。
・マスタ地図とは、マスタセンサによって取得された、3次元空間のすべての領域における多層的な点群であり、換言すれば、スライスする前の3次元地図である。マスタ地図は、特定の搬送車両から見れば冗長な点群を有している。
・車両用地図とは、特定の種類の搬送車両のみに使用可能な、スライス後のマスタ地図の一部である。車両用地図は、特定の種類の搬送車両のみに使用可能である単層的な(又は層の厚さが限定された)点群を有する。車両用地図は、後記する自己位置推定用地図及び経路計画用地図を含む。
・自己位置推定用地図とは、搬送車両が自己位置を推定するための、つまり、搬送車両の車載センサが取得した点群の比較対象としての車両用地図である。自己位置推定用地図は、搬送車両の種類ごとに作成され、その車載センサの高さの単層的な点群を有する。つまり、自己位置推定用地図は、マスタ地図の3次元情報から車載センサが計測可能な領域を抽出した結果としての車両用地図である。
・経路計画用地図とは、搬送車両が走行経路を計画するための車両用地図である。搬送車両は、壁面及び棚等の他の物体と自身の部分及び荷が干渉しないように走行(搬送)する必要がある。そのため、経路計画用地図は、搬送車両の種類ごとに作成され、搬送車両の最下部の高さ(走行路面)以上最上部の高さ以下の厚みを有する単層的な点群を有する。その搬送車両の車載センサの位置は、この厚みに含まれる。想定される荷の最大寸法も、この厚みに含まれる。つまり、経路計画用地図は、マスタ地図の3次元情報から搬送車両が干渉し得る領域を抽出した結果としての車両用地図である。
・マップマッチングとは、搬送車両の走行中に車載センサが取得した点群を、予めマスタセンサが取得したうえで車両用地図上に準備された点群と比較することである。
〈実施例1〉
(搬送車両)
搬送車両は、台車型(低床型)搬送車両、牽引車両及びフォークリフトを含む。
図1は、台車型搬送車両100の側面図である。台車型搬送車両100は、バンパ102を備えた車両フレーム101、車両フレーム101に対して上下左右自在に移動可能な移載装置103、及び、荷112を支持する荷役部材104を備える。車両フレーム101は、内部に移載モータ105を備え、移載モータ105は、移載装置103を駆動する。台車型搬送車両100は、駆動輪106及び従動輪107を備える。車両フレーム101は、内部に走行モータ108及びエンコーダ109を備える。走行モータ108は、駆動輪106を駆動する。エンコーダ109は、駆動輪106の回転速度を計測する。
車両フレーム101は、内部に車載コントローラ120を搭載している。車載コントローラ120は、台車型搬送車両100の自律走行を実現するための演算を実行する計算機であり、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、プログラム及びデータを記憶するメモリとを備える。具体的には、車載コントローラ120は、後記する走行経路計画、自己位置推定、及び、走行モータ108への指令値を演算する制御指令値生成を実行する。
図2は、牽引車両200及びフォークリフト203の側面図である。本実施例は、複数車種を対象にしている。本実施例の搬送車両は、例えば図2上段に示すような、動力車両201の後方に搬送体202を連結した牽引車両200であってもよいし、図2下段に示すようなフォークリフト203であってもよい。なお、運行は、牽引のようなプル(Pull)方式ではなく、搬送体202を押すプッシュ(Push)方式でもよいし、両方で行うプッシュプル方式でもよい。また、連結は、複数台でもよい。
(車載センサ)
実施例1では、各形態の搬送車両に、車載センサとしてLiDAR(Light Detection And Ranging)が設置されている。LiDARは、レーザー光の照射角度を変化させながら、照射範囲に存在する物体との距離を計測するセンサである。LiDARは、レーザー光照射時の光軸角度及び物体との距離から、物体の位置を示す点群情報を取得する。実施例1は、レーザー光が垂直方向に1層のみの2D-LiDARを代表として記載するが、LiDARの構成は、2D-LiDARに限らず、多層に照射可能な3D-LiDARであってもよい。なお、LiDARは、TоFセンサ(Time of Flight Sensor)と呼ばれることもある。
図1の車載センサ111並びに図2の車載センサ211及び221は、多様な走行形態の搬送車両に設置された車載センサの様子を示している。実施例1では、1台の搬送車両に1台の車載センサが搭載されているが、本実施例において、1台の搬送車両に複数台の車載センサが搭載されてもよい。
(走行環境(倉庫・工場))
図3は、実施例1が想定する搬送車両群(台車型搬送車両100、牽引車両200及びフォークリフト203)の走行環境300を示す図である。倉庫又は工場には、棚301等で囲われた狭く細い経路が存在する。棚301上に荷302が保管されている場合がある。経路上にパレット303が仮置きされており、パレット303上に荷302が積まれている場合もある。各搬送車両向けの充電ユニット304、他のエリアから荷を搬送するコンベア305等も存在する。なお、走行環境は、アトラクション等の施設、農場、植物栽培ハウスのような場所も含む。
(走行環境(LiDAR照射面))
図4は、走行環境300において、台車型搬送車両100及びフォークリフト203に搭載した車載センサ111及び221が、走行環境300を計測している様子を示す図である。領域401及び402は、各搬送車両のレーザー光照射領域を示している。車載センサの搭載位置によって照射面は異なる。そのため、マップマッチングによる自己位置推定を実現する場合、各車載センサが測距することになる環境形状を表現した地図を事前に個別に生成する必要がある。
さらに、パレット303、充電ユニット304等は、走行路面に設置された背の低い障害物であるため、車載センサの搭載位置によっては、その測距範囲から外れる。このことは、マップマッチングによる自己位置推定の精度には影響しない。しかしながら、目的地までの経路計画においては、これらの障害物も表現された地図を用いなければ、搬送車両は、障害物が存在する領域を走行可能な領域と誤って判断し、障害物と干渉してしまう。
実施例1では、このような走行環境の中で動作する搬送車両システムが、車種・台数及び走行環境の形状に依存しない地図自動生成機能を提供する。
(地図自動生成装置及び搬送車両システム)
図5は、地図自動生成装置501及び車載コントローラ120の機能ブロック図である。図5の実線矢印は、データの流れを表している。地図自動生成装置501は、車両モデル情報管理部511、車載センサ情報管理部512、マスタセンサ513、3次元環境計測部514、3次元点群情報管理部515、車両用地図生成部516、地図配信部519及び通信装置530を備える。以降では、本実施例の主眼部分である地図自動生成装置501の内部機能を記載する。なお、地図自動生成装置501及び搬送車両(符号100、200又は203)は、搬送車両システム500を構成する。なお、図5においては、車載コントローラ120と地図自動生成装置501を合わせた構成に対して符号500を付した(搬送車両全体の記載を省略した)。
(車両モデル情報管理部)
車両モデル情報管理部511は、搬送車両(実施例1では台車型搬送車両)100の基本情報を格納している。具体的には、車両幅、車両長、車両高さ、ホイールベース等、車格(車両の規格)に関わる寸法値が格納される。搬送車両がフォークリフト203である場合、マスト部が昇降するため、マスト部を上昇させた際の車両高さも格納される。搬送車両が荷を積載する場合、運用上発生し得る荷の大きさの最大値を加算した際の車両幅、車両長、車両高さが格納される。
(車載センサ情報管理部)
車載センサ情報管理部512は、車載センサ(LiDAR)111の性能情報及び搭載位置情報を格納している。性能情報は、車載センサの最大照射距離、レーザー光の水平方向の分解能、測距範囲、測距誤差等を含む。搭載位置情報は、搬送車両の基準座標、例えば、後輪車輪中心から見た車載センサ111の搭載位置(走行路面からの高さを含む)及び姿勢(車載センサの向き)である。
(マスタセンサ)
マスタセンサ513は、多層広画角のLiDARであり、必要に応じて高周期のIMU(Inertial Measurement Unit)を備えていてもよい。マスタセンサ513が多層広画角の3D-LiDARであれば、走行環境300の3次元情報を容易に収集できる。可能な限り高い密度で点群情報を取得するため、マスタセンサ513は、搬送車両に搭載されている車載LiDARよりも性能が優れていることが望ましい。
(地図自動生成装置の形式)
マスタセンサ513を含む地図自動生成装置501は、図7の符号501Aに示す通り、特定の搬送車両100に搭載されてもよい。さらに、マスタセンサ513を含む地図自動生成装置501は、図7の符号501Bに示す通り、例えば、作業者702が手持ち可能な手持ち計測ユニットの形式であってもよい。
(3次元環境計測部)
3次元環境計測部514は、マスタセンサ513を構成する3D-LiDARが取得した走行中の点群情報と、IMUから得られる加速度及び角速度(角加速度)とを入力とし、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)を用いて、走行環境300の3次元点群情報を取得する。SLAMによる3次元点群取得は公知であるため、説明を省略する。
(3次元点群情報管理部)
3次元点群情報管理部515は、3次元環境計測部514が取得した3次元点群情報を格納する。3次元点群管理部515は、データ量削減のため、例えば必要に応じて、ボクセルグリッドによるダウンサンプリングを実行してもよい。ダウンサンプリングの技術も公知であるため、説明を省略する。3次元点群管理部515は、例えば天井部分の点群等、地図生成において明らかに不要となる部分を事前に削除してもよい。
(車両用地図生成部)
車両用地図生成部516は、自己位置推定用地図生成部517及び経路計画用地図生成部518を備える。自己位置推定用地図生成部517は、マップマッチングによる自己位置推定を実行する際に車載センサが測距する可能性が高い障害物を格子情報として表現した自己位置推定用地図を事前に生成する。経路計画用地図生成部518は、搬送車両の車体と干渉する可能性が高い障害物を格子情報として表現した経路計画用地図を事前に生成する。これらの処理は本実施例の主眼部分であり、処理の詳細は後記する。
(地図配信部)
地図配信部519は、通信装置530を介して、車両用地図生成部516が生成した自己位置推定用地図及び経路計画用地図を搬送車両の車載コントローラ120に送信する。
以上が地図自動生成装置501の形態と、内部処理の概要である。以降では、地図自動生成装置501から取得した地図を活用した自律走行を実現する車載コントローラ120の機能を記載する。
(目的地入力部)
目的地入力部521は、地図自動生成装置501が配信した経路計画用地図と、搬送車両が現在行うタスク又はタスク実行のための目的地の入力を受け付ける。目的地入力部521は、一例として、搬送車両の状態及び経路計画用地図を表示した外部デバイス(モバイルディスプレイ等)を介し、目的地の位置を作業員が直接入力するのを受け付けてもよい。図5では図示していないが、目的地入力部521は、例えば、複数台の搬送車両を管理する管制サーバから、当該管制サーバが事前に設定したタスクの運行状態を受け付け、その運行状態に基づき、目的地を自動的に計算してもよい。
(走行経路計画部)
走行経路計画部522は、経路計画用地図と、搬送車両が現在行うタスク又はタスク実行のための目的地とを入力とし、目的地までの経路計画を行う。経路計画用地図は、環境を格子状に表現し、格子に障害物が存在する確率をその格子に関連付けて記憶する(図13を参照)。この構成は、占有格子地図とも呼ばれる。格子地図に対する経路計画手法は、ダイクストラ法、A*法等の公知の手法が多数存在するため、ここでの説明は省略する。計画された経路は、経路計画用地図の地図座標系における座標値の連続値、曲線を表現した関数等で構成され得る。
(自己位置推定部)
自己位置推定部523は、車載センサ111が取得した点群情報と、地図自動生成装置501が取得した自己位置推定用地図を入力とし、マップマッチングを用いて台車型搬送車両100の自己位置及び姿勢を取得する。車載センサ111が取得した点群を図形として見たときに、点群及び自己位置推定用地図の両者は相似となる。マップマッチングは、このことを利用し、点群に対し平行移動、回転及び拡大・縮小を行うことで、自己位置推定用地図の障害物情報と点群との合わせ込み(一致判断)を行う技術である。但し、誤差なく一致させることは困難であるため、自己位置推定部523は、ある評価値を定義し、評価値が最小となる演算を解くことで、探索的に自己位置・姿勢を求めてもよい。自己位置推定部523は、例えば、パーティクルフィルタを活用したAdaptive Monte Carlo Localization法を使用してもよい。
(制御指令生成部)
制御指令生成部524は、走行経路計画部522が計画した目標経路が有する目標走行位置と自己位置推定部523が出力した現在位置とを入力とし、目標走行位置を通過するように、経路追従アルゴリズムに従い、搬送車両100が備える走行モータ108に対する指令値を生成し、駆動部525に送信する。経路追従アルゴリズムとして、Pure Pursuit法、Dynamic Window Approach法等、公知の手法が存在するため、ここでは説明を省略する。
(駆動部及びエンコーダ)
駆動部525は、制御指令生成部524から入力された指令値を所定の電流値に変換し、変換した電流値を、搬送車両100の走行モータ108に入力する。走行モータ108は、駆動輪106に動力を伝達する。駆動輪106に備えられたエンコーダ109は、走行モータ108の回転速度を時系列で取得し、駆動輪106の半径を加味し車両の現在速度を推定する。エンコーダ109は、制御指令生成部524及び自己位置推定部523に対し、走行モータ108からの応答値として現在速度をフィードバックする。
以上が、搬送車両100に搭載された車載コントローラ120内に実装される機能群の説明である。
(処理手順)
図6は、地図自動生成装置501が実行する処理手順のフローチャートである。図6の説明の途中で、適宜、図7~図12を参照する。
ステップS601において、3次元環境計測部514は、マスタセンサ513を用いて3次元点群計測を実施する。ここでの処理の詳細は、3次元環境計測部514の説明として前記した通りである。ここで説明は、一旦、図7に移る。
図7は、3次元点群を説明する図である。図7の3次元点群は、走行環境300全域の形状を測距した際の点群である。点群711、712、713及び714は、これらの点群の一部であり、マスタセンサ513が取得したものである。点群711は、走行路面の測距点である。点群712は、棚及び荷の測距点である。点群713は、走行路面に置かれたパレット303上の計測点である。点群714は、充電ユニット304上の計測点である。説明は、図6に戻る。
ステップS602において、車両用地図生成部516は、取得した3次元点群情報から走行路面の点群を抽出する。図6のステップS602~S606における動作主体である“車両用地図生成部516”は、自己位置推定用地図生成部517又は経路計画用地図生成部518のいずれであってもよい。さらに、動作主体としての車両用地図生成部516は、図5の車両用地図生成部516のうち、自己位置推定用地図生成部517及び経路計画用地図518以外の構成(図示せず)であってもよい。実施例1は、走行路面の点群抽出手段として主成分分析を用いる。ここで説明は、一旦、図8に移る。
図8は、主成分分析を説明する図である。車両用地図生成部516は、マスタセンサ513が取得した3次元点群の任意の点を基準に、例えば半径が0.5mの球802を割りあて、球802内に存在する点群に対し主成分分析を行う。つまり、車両用地図生成部516は、主成分分析の結果、第二主成分(第一主成分の垂直方向ベクトル)を取得する。“第二主成分”は、その球内の点群に最もよくあてはまる平面の法線ベクトルである。
車両用地図生成部516は、点群711のような走行路面上の点から、第二主成分がZ軸方向となる法線ベクトル803を取得する。車両用地図生成部516は、点群712、713及び714のような障害物の第二主成分として、水平方向に近い法線ベクトル804、805及び806を取得する。これにより、車両用地図生成部516は、例えばX-Y平面を基準とした法線ベクトルのなす角を算出することで、任意の計測点が走行路面上の点であるか、それとも障害物の壁面上の点であるかを判断する。なお、図8の点群711等を示す○(薄く網掛け)と図7の点群711を示す●とは、本質的に同じものである。図8においては、法線ベクトルを求める基準となることを明らかにする意味で○が使用されている。説明は、図6に戻る。
ステップS603において、車両用地図生成部516は、走行路面を構成する点群であると判断された点群(以降、路面点群とも呼ぶ)のみから、走行路面の平面方程式を算出する。ここで説明は、一旦、図9に移る。
図9は、路面点群を平面で近似する方法の一例を示す図である。実施例1では、車両用地図生成部516は、路面点群全体を、0.5m×0.5mのグリッドに分割し(破線901参照)、各グリッド内に存在する点群を用いて、点群を平面近似した際の平面方程式を導出する。なお、図9の点群711を示す○と図7の点群711を示す●とは、本質的に同じものである。図9においては、走行路面の平面方程式を求める基準となることを明らかにする意味で○が使用されている。
平面を近似する方法としては、ロバスト推定手法の一つであるRANSAC(RANdom SAmple Consensus)等がよく知られている。RANSACは、入力された点群集合に対し、平面方程式導出に必要な数(実施例1では最低3点)以上の点群を無作為に抽出し、最小二乗法により平面方程式を導出する。RANSACは、入力の点群を無作為に変化させ、複数の平面方程式の候補を導出した後、実際に全入力点群にフィッティングした際の、全点群に対する分散を算出し、最も分散が小さい平面方程式を最終的な解とする。RANSACは、単純な最小二乗法と比較し、ノイズの影響を受け難いという特徴を有する。
ノイズの具体例としては、マスタセンサ513の測距誤差の影響により発生した、周囲の点群と比較しZ軸方向に過度に突出した点等がある。図9の太い実線の枠903は、任意のグリッド902内に存在する点群711に対し平面推定を行った結果得られた平面方程式を、走行路面に重畳した結果を示している。説明は、図6に戻る。
ステップS604において、車両用地図生成部516は、壁面点群の抽出を行う。ここでは、車両用地図生成部516は、ステップS602の処理における走行路面の点群以外の点群を壁面点群として抽出する。壁面点群は、実際の壁面以外の物体(棚、荷等)の上下方向の面上の点群を含む。
ステップS605において、車両用地図生成部516は、車格情報を取得する。ここで車両用地図生成部516は、まず、対象車両を設定する。実施例1は、一例として、台車型搬送車両100を対象車両としている。その後、車両用地図生成部516は、図5の車両モデル情報管理部511に格納されている情報の中から、対象車両に該当する車格情報(寸法値等)を取得する。
ステップS606において、車両用地図生成部516は、車載センサ性能情報及び車載センサ搭載位置情報を取得する。ここでも、車両用地図生成部516は、ステップS605にて設定した対象車両に該当する情報を、図5の車載センサ情報管理部512に格納されている情報の中から取得する。
以降は、自己位置推定用地図生成部517及び経路計画用地図生成部518が実行する処理である。図6のフローチャートは、ステップS606の後、処理の流れを二分しているが、いずれの流れが先に実行されてもよい。また2つの流れが並列的に実行されてもよい。なお、実施例1は、自己位置推定用地図を生成する処理を先行する。
ステップS607において、自己位置推定用地図生成部517は、自己位置推定用点群を抽出する。ここで説明は、一旦、図10に移る。
図10は、ステップS607の処理の概念図である。ここでは、自己位置推定用地図生成部517は、ステップS603にて得られた、0.5m四方の走行路面を表現する平面方程式を基準とし、ステップS606にて取得した車載センサ性能情報から、車載LiDARが測距する可能性がある点群を抽出する。具体的には、自己位置推定用地図生成部517は、走行路面の平面方程式をもとに、走行路面903に対し垂直方向の法線ベクトル1001を算出する。法線ベクトル1001の起点は、走行路面903の中心点である。法線ベクトル1001の大きさ(長さ)は、走行環境300の天井高より大きい任意の値である。
自己位置推定用地図生成部517は、法線ベクトル1001上の、車載センサ111の高さ1002に対応する点を中心とした水平な円1003を設定する。円1003の半径1004は、車載センサ111の測距性能に基づく。具体的には、LiDARの最大測距距離が10mである場合、円1003の半径は、10mとなる。但し、円1003の半径が大きくなるに従い、後記する探索処理において、平面方程式の推定誤差及びセンサの搭載誤差の影響を受けやすくなる。このことに起因し、生成される地図の精度が悪化する可能性もある。そこで、自己位置推定用地図生成部517は、例えば最大測距性能が30mあっても、円1003の半径として最大測距性能以下の値(例えば10m)を設定してもよい。
実施例1では、自己位置推定用地図生成部517は、円1003をN等分(図10の符号1005参照)し、かつN等分した円の部分に高さ1006を持たせた四角錐1007を設定する。水平方向の分解能(N)が例えば360である場合、1度ずつの四角錐が360個設定される。四角錐の高さ1006は、車載センサ111の搭載誤差及び走行路面の推定誤差を加味し、例えば1度という値に設定される。
続いて、自己位置推定用地図生成部517は、設定した四角錐1007の内部に、壁面点群が存在するか否かを判断する。自己位置推定用地図生成部517は、多角形に対する点の内外判断のための既存のアルゴリズム(Crossing Number Algorithm(交差数判定法)、Winding Number Algorithm等)を用いてもよい。
自己位置推定用地図生成部517は、水平方向に1度ずつずらした四角錐1007のそれぞれに対し、この処理を繰り返し実行する。また、自己位置推定用地図生成部517は、ステップS603にて得られた走行路面を構成する全平面(図9の符号901参照)に関して以上の処理を実行する。なお、図10の点群のうち、●は、四角錐1007の内部に存在する。○は、四角錐1007の内部に存在しない。説明は、図6に戻る。
ステップS608において、自己位置推定用地図生成部517は、自己位置推定用地図を生成する。ここで説明は、一旦、図11に移る。
図11は、ステップS608の処理の概念図である。図11上段に示す点群1101は、ステップS607にて得られた車載センサ111が測距すると推定された点群を、X-Y平面に投影したものである。3×3の格子1102は、自己位置推定用地図1301の一部であり、その解像度を示す格子サイズ1103は任意に設定される。実施例1の格子サイズ1103は、例えば0.05m×0.05mである。ここでは、自己位置推定用地図生成部517は、X-Y平面に投影された点群が格子内に存在するか否かを判断する。
実施例1では、自己位置推定用地図生成部517は、格子内に少なくとも1つの点が存在する場合、その格子が障害物領域であると判断する。自己位置推定用地図生成部517は、当該判断に基づき、点群が存在する格子に“1”(黒)の諧調を割り当て、点群が存在しない格子に“0”(白)の諧調を割り当てる。図11下段は、前記の処理を経て生成された格子地図を示している。地図全体の平面的なサイズは、走行環境全域を包含するものとする。ここで得られた地図は、自己位置推定用地図1301として、地図配信部519に送信される。説明は、図6に戻る。
ステップS609において、経路計画用地図生成部518は、車両干渉点群を抽出する。ここで説明は、一旦、図12に移る。
図12は、ステップS609の処理の概念図である。いま、対象車両がフォークリフト203である場合、フォークリフト203のマスト部1201が昇降し、搬送車両の最大高さが通常時(空荷かつマスト部降下時)に比して変化する。まず、経路計画用地図生成部518は、ステップS605において取得した車格情報に基づき、マスト部1201の昇降及び搬送荷1202の大きさを加味し、対象車両の車両高さ1203を設定する。
次に、経路計画用地図生成部518は、図10でも示した走行路面903(平面方程式)に対し、ステップS607同様、走行路面に垂直な法線ベクトル1204を設定する。その次に、経路計画用地図生成部518は、円柱1205を設定する。円柱1205の高さは、車両高さ1203に等しい。円柱1205の半径は、車載LiDARの最大測距距離であり、ステップS607と同じ値(10m)である。円柱の中心軸は、法線ベクトル1204である。最後に、経路計画用地図生成部518は、円柱1205内に、壁面点群が存在するか否かを判断する。
以上の処理を、ステップS603にて得られた走行路面を構成する全平面(図9の符号901参照)に関して実行する。説明は、図6に戻る。
ステップS610において、経路計画用地図生成部518は、経路計画用地図を生成する。ステップS610の内容は、自己位置推定用地図生成(ステップS608)と同様である。ここで説明は、一旦、図13に移る。
図13は、自己位置推定用地図及び経路計画用地図を比較する図である。図13上段は、自己位置推定用地図生成部517が生成した自己位置推定用地図1301である。図13下段は、経路計画用地図生成部518が生成した経路計画用地図1302である。経路計画用地図1302は、自己位置推定用地図1301と比較し、車載LiDARのみでは測距できない障害物を表現できる。説明は、図6に戻る。
ステップS611において、地図配信部519は、自己位置推定用地図1301及び経路計画用地図1302の両者が生成されているか否かを判断する。例えば、ステップS607及びステップS609が並行して実行されている場合は、演算量の差異からいずれか一方が処理中であることも考えられるため地図配信部519は、ステップS608及びステップS610の両者が完了するまで待機する。
地図配信部519は、自己位置推定用地図1301及び経路計画用地図1302の両者が生成されている場合(ステップS611“YES”)、ステップS612に進み、それ以外の場合(ステップS611“NО”)、ステップS606の直後に戻る。ステップS607~S610の処理は、稼働中のすべての種類の搬送車両について繰り返される。
ステップS612において、地図配信部519は、通信装置530を介して、自己位置推定用地図1301及び経路計画用地図1302を搬送車両の車載コントローラ120に送信する。地図配信部519は、稼働中の搬送車両のそれぞれに対し、その搬送車両向けの自己位置推定用地図1301及び経路計画用地図1302を1枚ずつ送信する。
(実施例1の効果)
実施例1を実行することで、車種・台数及び走行環境の形状に依存しない地図自動生成機能を提供することができる。また、車種ごとの地図作成に向けた環境計測が不要となり、地図生成の工数を削減することができる。
〈実施例2〉
図14は、実施例2を説明する図である。実施例2の地図自動生成装置501及び車載コントローラ120の構成は、実施例1(図5)と同じである。両者間の差分は、経路計画用地図生成部518の処理にあり、以降では経路計画用地図生成部518の処理を詳細に説明する。
(経路計画用地図生成部)
実施例2では、経路計画用地図生成処理(図6のステップS610)において、経路計画用地図生成部518は、自己位置推定用地図とは異なる分解能(格子サイズ)の地図を生成してもよい。車載LiDARを用いた従来のSLAM手法では、自己位置推定用地図及び経路計画用地図の分解能は、レーザー光の水平方向分解能に依存し決定されることが一般的であった。これは、細かい分可能の地図を作成するために、SLAMによる地図生成も実行した場合、車載LiDARの性能が不相応であると、地図生成が破綻してしまうためである。
自己位置推定と異なり、経路計画の実際の処理は、車載LiDARの入力を必要としない。他方で、地図の分解能が細かいほど、その地図は周囲の障害物の形状を精細に表現できるので、効率及び安全の両者をより考慮した経路を演算することができる。そのため、経路計画用地図生成部518は、例えば車載コントローラの演算能力を加味し、自己位置推定用地図に比してより細かい格子サイズの経路計画用地図を生成してもよい。
本実施例は、車両用地図の生成を車載センサ(LiDAR)ではなく、マスタセンサ513を用いて実行するため、車載LiDARのみでは不可能な高分解能の地図を生成することができる。そこで実施例2では、経路計画用地図生成部518は、例えば、経路計画用地図生成処理(ステップS610)において、0.01mの格子分解能を設定する。経路計画用地図生成部518は、マスタセンサ513の水平方向分解能だけではなく、車載コントローラ120の演算性能、及び、走行経路計画部522のアルゴリズムの負荷を加味し格子分解能を設定する。なお、格子サイズの設定値が異なるのみで、実施例2の処理の内容は、実施例1と同様である。
図14上段は、自己位置推定用地図1401であり、図14下段は、経路計画用地図1402である。自己位置推定用地図1401は、実施例1(図13符号1301)と同じ第1の分解能(格子サイズ0.05m)で生成されている。経路計画用地図1402は、第1の分解能とは異なる第2の分解能(格子サイズ0.01m)で生成されているため、自己位置推定用地図1401と比較し、周囲の障害物の形状を精細に表現できている。
(実施例2の効果)
実施例2を実行することで、対象車両の車載センサ性能に依存しない地図を生成することができる。例えば経路計画においては、より細かい格子サイズの経路計画用地図を生成することで、効率及び安全の両者を考慮した経路を演算することができる。
〈実施例3〉
図15、図16及び図17を参照して、実施例3を説明する。実施例3の地図自動生成装置501及び車載コントローラ120の構成は、実施例1(図5)と同じである。両者間の差分は、自己位置推定用地図生成部517、経路計画用地図生成部518、走行経路計画部522及び自己位置推定部523の処理にあり、以降ではこれらの処理を詳細に説明する。
図15は、実施例3における自己位置推定用点群推定処理(図6のステップS607)の概念図である。実施例3において、推定した走行路面903に対し垂直な法線ベクトル1001を算出し、車載LiDARの設置高さ1002を起点とする四角錐1007を算出した後、その四角錐1007の内部に壁面点群が存在するか否かを判断する処理は、実施例1と同様である。
本発明においては、マスタセンサ513から得た3次元点群を元に、車載センサ(LiDAR)が測距する壁面点群を推定する。そのため、3次元点群から推定した走行路面903及び車載センサの搭載位置・姿勢誤差の影響を受けることになる。
具体的には、図15左下に示すように、走行環境の壁面が平坦であり凹凸が存在しない場合、路面推定及び車載センサの搭載位置に多少の不確かさがあっても、抽出される壁面点群の水平方向(X方向及びY方向)の値の差は少ない。他方で、図15右下に示すように、壁面に凹凸が存在する場合、四角錐1007の範囲に応じて、抽出される壁面点群の水平方向の値1503は大きく変化する。すると、車両用地図上の点群と、車載センサ(LiDAR)が実際に計測した点群との間に差が発生してしまい、自己位置推定部523におけるマップマッチングの精度が悪化する。また、走行経路計画部522における経路計画の精度も悪化する。そこで実施例3は、抽出された路面点群が信頼できる点か否かを判断する。
具体的には、自己位置推定用地図生成部517及び経路計画用地図生成部518は、四角錐1007の内部で抽出された点群に対し、ステップS603と同様の平面フィッティング(平面方程式の算出)を行う。RANSACによる平面フィッティングの結果が、図15の推定平面1501及び推定平面1502である。これらは、X-Z平面に重畳した結果であるため、平面が線分のように描画されている。推定平面1501及び1502は、いずれも同様の形状を有する平面であるが、フィッティングした平面に対する各点群の距離(一例として符号1503参照)が異なる。具体的には、フィッティングした平面に対する各点群の分散値(矢印1503の長さの分散)が異なる。そこで、自己位置推定用地図生成部517及び経路計画用地図生成部518は、分散値に応じて点の信頼度を算出する。分散値が小さいほど、信頼値は大きい。信頼度は、例えば分散値の逆数である。
図16は、信頼度を説明する図である。信頼度は、自己位置推定用地図(又は経路計画用地図)1601の輝度値として表現される。図16の自己位置推定用地図(又は経路計画用地図)1601の各格子は、信頼度に応じて異なる輝度値を表現している。自己位置推定用地図生成部517及び経路計画用地図生成部518は、例えば信頼度が高いほど輝度値を低く(暗く)し、信頼度が低いほど輝度値を高く(明るく)する。
前記の処理を経て得られた自己位置推定用地図(又は経路計画用地図)1601は、実施例1と同様に、地図配信部519及び通信装置530を介し、車載コントローラ120に送信される。車載コントローラ120が備える走行経路計画部522は、計画された経路の各座標に対し、自己位置推定用地図1601内の各格子の障害物の信頼度をもとに目標走行速度を決定する。ある格子の信頼度が低いほど、その格子における目標走行速度は低い。
一例として、図16に示す経路1602は、経路計画用地図1302(又は1402)に基づき、走行経路計画部522が計画した経路である。走行経路計画部522は、経路1602を例えば0.2m間隔で分割した座標値の一部1603及び1604を中心とする半径10mの円1605及び1606内の格子の信頼度を、0.1radの扇形1607ごとに算出する。扇形1607内に複数の格子が存在する場合は、例えばそれらの信頼度の平均値を算出する。
図17は、信頼度のグラフの一例である。図17は、自己位置推定用地図生成部517又は経路計画用地図生成部518が円1605及び1606における扇形1607ごとの信頼度をグラフ化したものである。図17上段のグラフ1701は、円1605内の信頼度を表す。図17下段のグラフ1702は、円1606内の信頼度を表す。
自己位置推定部523は、車載LiDARで取得した点群及び自己位置推定用地図の両者の相似関係から自己位置を推定するため、点群及び自己位置推定用地図の間に部分的な差異があっても充分高精度な自己位置推定ができる。そのため、グラフ1701に示すように、仮に部分的に信頼度が低い場合でも高精度な自己位置推定が可能であるとの前提で、走行経路計画部522は、信頼度が低い経路上の位置でも通常の速度(例えは最大速度)を決定してもよい。
他方で、グラフ1702に示すように、周囲全域で信頼度が低い場合、車載LiDARの点群及び自己位置推定用地図の間に大きな差異が発生する可能性がある。そのため、自己位置推定の精度が悪化する可能性が高い。このような場合、走行経路計画部522は、目標走行速度を抑え、仮に自己位置推定の結果が安定していなくても走行可能な形態にすればよい。また、走行経路計画部522又は自己位置推定部523は、地図の部分的な更新技術を用いて、信頼度が低い区間について、車載LiDARを用いて車両用地図の一部を走行中(運用中)に更新してもよい。
(実施例3の効果)
実施例3を実行することで、走行環境の壁面の凹凸が激しく複雑であり、マスタセンサにより作成した車両用地図の精度が不十分な領域がある場合でも、地図を表現する各格子の信頼度を演算することで、経路計画時の目標速度設定を変更し運用することができる。また、信頼度が低い領域は、車載センサによる地図更新を促すことが可能となる。
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
100、200、203 搬送車両(台車型搬送車両、牽引車両、フォークリフト)
111、211、221 車載センサ(LiDAR)
120 車載コントローラ
500 搬送車両システム
501 地図自動生成装置
513 マスタセンサ
514 3次元環境計測部
516 車両用地図生成部
517 自己位置推定用地図生成部
518 経路計画用地図生成部
519 地図配信部
522 走行経路計画部
523 自己位置推定部
1301 自己位置推定用地図
1302 経路計画用地図

Claims (5)

  1. 搬送車両の走行環境の3次元情報を取得する3次元環境計測部と、
    前記3次元情報、前記搬送車両の寸法を示す車格情報、並びに、前記搬送車両に搭載される車載センサの性能及び/又は搭載位置に関する情報に基づき、前記搬送車両向けの車両用地図を複数の前記搬送車両ごとに生成する車両用地図生成部と、
    前記生成した車両用地図を複数の前記搬送車両ごとに送信する地図配信部と、
    を備えることを特徴とする地図自動生成装置。
  2. 前記車両用地図生成部は、
    前記3次元情報から前記車載センサが計測可能な領域を抽出して自己位置推定用地図を複数の前記搬送車両ごとに生成し、
    前記3次元情報から前記搬送車両が干渉し得る領域を抽出して経路計画用地図を複数の前記搬送車両ごとに生成すること、
    を特徴とする請求項1に記載の地図自動生成装置。
  3. 前記車両用地図生成部は、
    前記自己位置推定用地図を第1の分解能で生成し、
    前記経路計画用地図を、前記第1の分解能とは異なる第2の分解能で生成すること、
    を特徴とする請求項2に記載の地図自動生成装置。
  4. 前記車両用地図生成部は、
    前記3次元情報から得られる壁面点群の分散に基づき、前記車両用地図の部分の信頼度を算出すること、
    を特徴とする請求項3に記載の地図自動生成装置。
  5. 請求項4に記載の地図自動生成装置と、
    前記信頼度に基づき、走行速度を決定する前記搬送車両と、
    を備えることを特徴とする搬送車両システム。
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