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JP2024048267A - 香味改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な香味改善剤、濃厚感付与組成物、香味付与組成物の香味改善方法、および飲食品の濃厚感付与方法を提供する。【解決手段】2-メトキシ-5-ビニルフェノールからなる、香味改善剤。2-メトキシ-5-ビニルフェノールを有効成分として含有する濃厚感付与組成物。2-メトキシ-5-ビニルフェノールを香味付与組成物に添加する工程を含む、香味付与組成物の香味改善方法。2-メトキシ-5-ビニルフェノールを有効成分として含有する濃厚感付与組成物を、飲食品に添加する工程を含む、飲食品の濃厚感付与方法。【選択図】なし

Description

本発明は、香味改善剤、濃厚感付与組成物、香味付与組成物の香味改善方法、および飲食品の香味改善方法に関する。
近年、飲食品、香粧品、医薬品、保健衛生品など様々な物品(以下、消費財という場合がある。)に対する消費者の要求は、その消費財の香気にも及んでいる。消費者の天然志向の高まりから、天然感に富む多様な香気が求められているが、従来から提案されている香料化合物だけでは十分には対応しきれず、従来にない特徴を付与可能で、および/または、汎用性のある香味付与組成物の開発が望まれている。
消費財の香味付与組成物の一例として、特許文献1には、ビールテイスト飲料に、2-メトキシ-4-ビニルフェノール(別名:4-ビニルグアイアコール)およびエタノールを所定量含有させ、ビールテイスト飲料の薬品味を低減させ、かつ香りの穏やかさを向上させる方法が記載されている。
特開2021-114985号公報
しかしながら、消費財などの香味付与組成物として使用されている特許文献1に記載の化合物は、香味の質および強度の点で単調である、コク感などを増強して全体的に満足感を増強する点で十分とはいえない、使用できる香味が限られている、などの少なくとも1つの理由から、多様化している消費財の香味を改善する要望に十分対応できておらず、新規な香味付与組成物および消費財の開発が期待されている。
以上より、本発明の課題は、新規な香味改善剤、濃厚感付与組成物、香味付与組成物の香味改善方法、飲食品の濃厚感付与方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、2-メトキシ-5-ビニルフェノールが優れた香味改善効果を奏することを見出し、本願に係る発明を完成するに至った。
かくして、本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
[1] 2-メトキシ-5-ビニルフェノールからなる、香味改善剤。
[2] 2-メトキシ-5-ビニルフェノールを有効成分として含有する、濃厚感付与組成物。
[3] 2-メトキシ-5-ビニルフェノールを香味付与組成物に添加する工程を含む、香味付与組成物の香味改善方法。
[4] 2-メトキシ-5-ビニルフェノールを有効成分として含有する濃厚感付与組成物を、飲食品に添加する工程を含む、飲食品の濃厚感付与方法。
[5] [4]に記載の飲食品の濃厚感付与方法において、前記工程では、前記飲食品の全質量を基準として、2-メトキシ-5-ビニルフェノールの濃度が0.001ppm以上10ppm未満の範囲となるように前記濃厚感付与組成物を添加する、飲食品の濃厚感付与方法。
本発明によれば、新規な香味改善剤、濃厚感付与組成物、香味付与組成物の香味改善方法、飲食品の濃厚感付与方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。本明細書において、「~」は下限値および上限値を含む範囲を意味し、「濃度(ppm、ppb、ppt)」、「%」は特に断りのない限りそれぞれ「質量濃度」、「質量パーセント濃度」を表すものとする。また、本明細書において、「香味」とは、香気(香り)によって変化し得る1種または複数種の感覚、代表的には嗅覚および/または味覚を含む感覚を意味する。本明細書において、用語「香味付与(香味を付与する)」には、香味を新たに加える、および/または、香味を増強することを含み、香味を付与乃至増強した結果、香味が改善されるものをも含んでいる。さらには、用語「香味付与(香味を付与する)」には、香味付与の結果、嗅覚および/または味覚以外の感覚、例えば、冷感、温感、質感(のど越し、固さ、粘度など、テクスチャともいう)、炭酸や辛さなどの刺激感などを増強、抑制、または改善するものも含んでいる。また、本明細書において、飲食品の香味を風味と呼ぶこともある。また、本明細書において、「添加」とは、ある対象に噴霧、滴下などによって単に加えること、およびある対象と混ぜ合わせることの、少なくとも1つを含む。
(香味改善剤)
本発明の一実施の形態に係る香味改善剤(以下「本件香味改善剤」という場合がある。)は、2-メトキシ-5-ビニルフェノールからなる。2-メトキシ-5-ビニルフェノール(別名:5-ビニルグアイアコール)は、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2024048267000001
本件香味改善剤は、後述の実施例にその一例を示すように、各種香味付与組成物に添加することで、その香味付与組成物の香味を改善することができる。より具体的には、本件香味改善剤は、添加対象の各種香味付与組成物に濃厚感を付与し、当該香味付与組成物の香味を改善することができる。
ここで、本件香味改善剤の添加対象である香味付与組成物とは、天然香料素材の抽出物および/または合成香料素材を含む香料組成物(フレーバー)、呈味付与組成物等を含む概念である。例えば、「バニラ香味付与組成物」とは、バニラの香味を有する香味付与組成物であって、天然香料素材であるバニラ抽出物(エキストラクト、オレオレジン等)および合成香料素材であるバニリン、エチルバニリン等、ならびにこれらのいずれか一方または両方を含むバニラ香料組成物(フレーバー)、バニラ呈味付与組成物等が例示できる。同様に、「ミント香味付与組成物」とは、ミントの香味を有する香味付与組成物であって、天然香料素材であるミント抽出物(エキストラクト、オレオレジン等)および合成香料素材であるl-メントール、l-カルボン等、ならびにこれらのいずれか一方または両方を含むミント香料組成物(フレーバー)、ミント呈味付与組成物等が例示できる。
また、香味付与組成物の「濃厚感」とは、香味付与組成物が有する香味のネガティブな要素がマスキングされ、および/または、その香味のポジティブな要素が増大されることで、香味自体が濃くなったり厚みが増したりする感覚を意味する。
また、本件香味改善剤は、後述の実施例にその一例を示すように、各種飲食品に添加することで、その飲食品の香味を改善することができる。より具体的には、本件香味改善剤は、添加対象の各種飲食品に濃厚感を付与し、当該飲食品の香味を改善することができる。ここで、飲食品の「濃厚感」とは、飲食品が有する香味のネガティブな要素がマスキングされ、および/または、その香味のポジティブな要素が増大されることで、香味自体が濃くなったり厚みが増したりする感覚を意味する。
なお、本発明者らが確認したところ、2-メトキシ-5-ビニルフェノールが、フェノール様の香気を呈することは知られているが、濃厚感付与による香味付与組成物または飲食品の香味改善効果、すなわち、香味のネガティブな要素をマスキングし、および/または、その香味のポジティブな要素を増大する効果があることは知られていなかった。
2-メトキシ-5-ビニルフェノールは、当業者によってなし得る任意の方法、例えば、食品用香料化合物または試薬として購入するか、天然物から抽出するか、定法に従い合成することにより入手できる。2-メトキシ-5-ビニルフェノールの合成例としては、下記式(2)に示すように、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド(イソバニリン)にWittig(ウィッティヒ)試薬を作用させ、アルデヒド基をビニル基に変換する方法が挙げられる。
Figure 2024048267000002
入手した2-メトキシ-5-ビニルフェノールは、さらに必要に応じてカラムクロマトグラフィまたは減圧蒸留などの手段を用いて精製してもよい。
添加対象の香味付与組成物中の本件香味改善剤の濃度は、香味付与組成物の香味特性および/または香味付与組成物の添加対象に応じて任意に決定できるが、好ましくは、香味付与組成物の全体質量に対して、1ppm以上1%未満の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を1ppm、5ppm、10ppm、50ppm、100ppm、500ppm、0.1%、0.5%のいずれかとし、上限値を1%(未満)、0.5%、0.1%、500ppm、100ppm、50ppm、10ppm、5ppmのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。
本件香味改善剤の添加対象である香味付与組成物としては特に限定されないが、バニラ香味付与組成物、ミント香味付与組成物、ストロベリー香味付与組成物、オレンジ香味付与組成物、レモン香味付与組成物、シソ香味付与組成物、グレープフルーツ香味付与組成物、グレープ香味付与組成物、ピーチ香味付与組成物、アップル香味付与組成物、マンゴー香味付与組成物、クリーム香味付与組成物、チョコレート香味付与組成物、ミルク香味付与組成物、卵香味付与組成物、コーヒー香味付与組成物、紅茶香味付与組成物、シュガー香味付与組成物、バター香味付与組成物、スパイシーシトラス香味付与組成物、ビール香味付与組成物、ヨーグルト香味付与組成物、ゴマ香味付与組成物、ピーナッツ香味付与組成物、コーン香味付与組成物、コンソメ香味付与組成物、トマト香味付与組成物、ビーフ香味付与組成物、ポーク香味付与組成物、チキン香味付与組成物、シーフード香味付与組成物、シジミ香味付与組成物、ナンプラー香味付与組成物、などが好適な例として挙げられる。
香味付与組成物が香味改善される具体例として、本件香味改善剤をバニラ香味付与組成物に添加することで、バニラ香味付与組成物の薬品臭、溶剤感といったネガティブな要素がマスキングされ、および/または、バニラ香味付与組成物の甘い香味、熟成感といったポジティブな要素が増大されることで、バニラの濃厚感が付与される。また、本件香味改善剤をミント香味付与組成物に添加することで、ミント香味付与組成物の苦味感、雑味といったネガティブな要素がマスキングされ、および/または、ミント香味付与組成物の清涼感、フレッシュ感といったポジティブな要素が増大されることで、ミントの濃厚感が付与される。
また、本件香味改善剤を添加した香味付与組成物の添加対象の物品としては特に限定されないが、飲食品、香粧品、医薬品、または保健衛生品などの消費財を例示できる。また、本件香味改善剤を添加した香味付与組成物は、さらに各種香料組成物に添加して、当該香料組成物に香味を付与し当該香料組成物の香味を改善することもできる。
本件香味改善剤を添加した香味付与組成物を添加可能な飲食品の風味は特に限定されないが、例として、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、みかん、カボス、スダチ、ハッサク、イヨカン、ユズ、シークワーサー、金柑などの各種柑橘風味;ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、アップル、チェリー、プラム、アプリコット、ピーチ、パイナップル、バナナ、メロン、マンゴー、パパイヤ、キウイ、ペアー、グレープ、マスカット、巨峰などの各種フルーツ風味;ミルク、ヨーグルト、バターなどの乳風味;バニラ風味;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティーなどの各種茶風味;コーヒー風味;コーラ風味;カカオ風味;ココア風味;スペアミント、ペパーミントなどの各種ミント風味;シナモン、カモミール、カルダモン、キャラウェイ、クミン、クローブ、コショウ、コリアンダー、サンショウ、シソ、ショウガ、スターアニス、タイム、トウガラシ、ナツメグ、バジル、マジョラム、ローズマリー、ローレル、ガーリック、ワサビなどの各種スパイスまたはハーブ風味;アーモンド、カシューナッツ、クルミなどの各種ナッツ風味;ワイン、ブランデー、ウイスキー、ラム、ジン、リキュール、日本酒、焼酎、ビールなどの各種酒類風味;タマネギ、セロリ、ニンジン、トマト、キュウリなどの野菜風味;鶏肉、鴨肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの各種畜肉風味;マグロなどの赤身魚、サバ、タイ、サケ、アジなどの白身魚、アユ、マス、コイなどの淡水魚、サザエ、ハマグリ、アサリ、シジミなどの貝類、エビ、カニなどの各種甲殻類、ワカメ、昆布などの各種海藻類、などの各種魚介や海藻風味;米、大麦、小麦、麦芽などの麦類などの各種穀物風味;牛脂、鶏油、ラードなどの畜肉の油脂や各種魚類の油などの各種油脂風味;などの風味の1以上を有する飲食品が挙げられる。すなわち、上記風味の1種類のみを感じさせる飲食品でもよく、2種類以上の風味を感じさせる飲食品でもよく、その複数種類の風味が同類であっても異類であってもよく、例えば、前者の例としてフルーツ風味のうちバナナ、ピーチおよびアップル風味など複数のフルーツ風味を感じさせる(いわゆるミックスフルーツ風味)が挙げられ、後者の例として、レモンなどの柑橘風味および乳風味を感じさせるもの(シトラス風味の乳酸菌飲料など)や、ミント風味や柑橘風味およびコーラ風味を感じさせるもの(ミントまたはレモンフレーバーのコーラ飲料など)が挙げられる。
本件香味改善剤を含有する香味付与組成物の添加可能な飲食品の中で、最も好適な例としては、バニラ風味飲食品、ミント風味飲食品、ストロベリー風味飲食品、オレンジ風味飲食品、レモン風味飲食品、シソ風味飲食品、グレープフルーツ風味飲食品、グレープ風味飲食品、ピーチ風味飲食品、アップル風味飲食品、マンゴー風味飲食品、クリーム風味飲食品、チョコレート風味飲食品、ミルク風味飲食品、卵風味飲食品、コーヒー風味飲食品、紅茶風味飲食品、シュガー風味飲食品、バター風味飲食品、スパイシーシトラス風味飲食品、ビール風味飲食品、ヨーグルト風味飲食品、ゴマ風味飲食品、ピーナッツ風味飲食品、コーン風味飲食品、コンソメ風味飲食品、トマト風味飲食品、ビーフ風味飲食品、ポーク風味飲食品、チキン風味飲食品、シーフード風味飲食品、シジミ風味飲食品、ナンプラー風味飲食品が挙げられるがこれらに限定されるものではない。ここで、バニラ風味飲食品とは、バニラビーンズでバニラの香味を付与した飲食品、またはバニラ香味付与組成物でバニラの香味を付与した飲食品を意味し、例えばバニラアイスクリーム、バニラ風味加糖牛乳、バニラ風味プリン(一般的なカスタードプリン)、バニラ風味ヨーグルト、バニラ風味キャラメル、バニラ風味チョコレートなどが挙げられる。これら以外の飲食品についても同様である。
より具体的な飲食品例としては、せんべい、あられ、おこし、餅類、饅頭、ういろう、あん類、羊かん、水羊かん、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉、ビスケット、クラッカー、ポテトチップス、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディー、ピーナッツペーストまたはその他のペースト類、などの菓子類;パン、うどん、ラーメン、中華麺、すし、五目飯、チャーハン、ピラフ、餃子の皮、シューマイの皮、お好み焼き、たこ焼き、などのパン類、麺類、ご飯類、その他穀類;糠漬け、梅干、福神漬け、べったら漬け、千枚漬け、らっきょう、味噌漬け、たくあん漬け、および、それらの漬物の素、などの漬物類;サバ、イワシ、サンマ、サケ、マグロ、カツオ、クジラ、カレイ、イカナゴ、アユなどの魚類、スルメイカ、ヤリイカ、紋甲イカ、ホタルイカなどのイカ類、マダコ、イイダコなどのタコ類、クルマエビ、ボタンエビ、イセエビ、ブラックタイガーなどのエビ類、タラバガニ、ズワイガニ、ワタリガニ、ケガニなどのカニ類、アサリ、ハマグリ、ホタテ、カキ、ムール貝などの貝類、などの魚介類;缶詰、煮魚、佃煮、すり身、水産練り製品(ちくわ、蒲鉾、あげ蒲鉾、カニ足蒲鉾など)、フライ、天ぷら、などの魚介類の加工飲食物類;鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの畜肉類;カレー、シチュー、ビーフシチュー、ハヤシライスソース、ミートソース、マーボ豆腐、ハンバーグ、餃子、釜飯の素、スープ類(コーンスープ、トマトスープ、コンソメスープなど)、肉団子、角煮、畜肉缶詰などの畜肉を用いた加工飲食物類;卓上塩、調味塩、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、お茶漬けの素、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、めんつゆ(昆布だしまたは鰹だしなど)、ソース(中濃ソース、トマトソースなど)、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素(昆布だしまたは鰹だしなど)、複合調味料、新みりん、唐揚げ粉・たこ焼き粉などのミックス粉、などの調味料類、これらの調味料類が添加された動物性または植物性だし風味飲食品;チーズ、ヨーグルト、バターなどの乳製品;ビール酵母、パン酵母などの各種酵母、乳酸菌など各種微生物発酵品;野菜の煮物、筑前煮、おでん、鍋物などの煮物類;持ち帰り弁当の具や惣菜類;リンゴ、ぶどう、柑橘類(グレープフルーツ、オレンジ、レモンなど)などの果物の果汁飲料や果汁入り清涼飲料、果物の果肉飲料や果粒入り果実飲料;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニガウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガス、ワラビ、ゼンマイなどの野菜や、これら野菜類を含む野菜系飲料、野菜スープなどの野菜含有飲食品;コーヒー、ココア、緑茶、紅茶、烏龍茶、清涼飲料、コーラ飲料、炭酸飲料(柑橘香味など各種香味のサイダーなど)、乳酸菌飲料などの嗜好飲料品;生薬やハーブを含む飲料;コーラ飲料、果汁飲料、乳飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料などの機能性飲料;各種酒類(ビール風味、梅酒風味、チューハイ風味など)風味のアルコールテースト飲料などのノンアルコール嗜好飲料類;ワイン、焼酎、泡盛、清酒、ビール、チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒、いわゆる「第三のビール」などのその他醸造酒(発泡性)またはリキュール(発泡性)など、またはこれらを含むアルコール飲料類;などを挙げることができる。
本件香味改善剤を含有する香味付与組成物を添加可能な香粧品は特に限定されないが、例として、オーデコロン、オードトワレ、オードパルファム、パルファムなどの香水類;シャンプー、リンス、整髪料(ヘアクリーム、ポマードなど)などのヘアケア製品;ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、化粧水、化粧用乳液、化粧用クリーム、化粧用ゲル、美容液、パック剤などの化粧品類;制汗スプレー、デオドラントシート、デオドラントクリーム、デオドラントスティックなどのデオドラント製品;無機塩類系、清涼系、炭酸ガス系、スキンケア系、酵素系、生薬系などの入浴剤;サンタン製品、サンスクリーン製品などの日焼け化粧品類;フェイス用石鹸や洗顔クリームなどの洗顔料、ボディ用石鹸やボディソープ、洗濯用石鹸、洗濯用洗剤、消毒用洗剤、防臭洗剤、柔軟剤、台所用洗剤、清掃用洗剤などの保健・衛生用洗剤類;歯みがき、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの保健・衛生材料類;室内や車内などの芳香消臭剤、ルームフレグランスなどの芳香製品;などを挙げることができる。
(濃厚感付与組成物)
本発明の一実施の形態に係る濃厚感付与組成物(以下「本件濃厚感付与組成物」という場合がある。)は、2-メトキシ-5-ビニルフェノールを有効成分として含有する。
本件濃厚感付与組成物は、後述の実施例にその一例を示すように、各種物品に添加することでその物品に濃厚感を付与することができる。ここで、物品の「濃厚感」とは、物品が有する香味(香粧品等であれば香気)のネガティブな要素がマスキングされ、および/または、その香味(香気)のポジティブな要素が増大され、その結果、物品の香味(香気)自体が濃くなったり厚みが増したりする感覚を意味する。
特に好ましい例として、本件濃厚感付与組成物は、後述の実施例のその一例を示すように、各種飲食品に添加することでその飲食品に濃厚感を付与することができる。ここで、飲食品の「濃厚感」とは、飲食品が有する香味のネガティブな要素がマスキングされ、および/または、その香味のポジティブな要素が増大され、その結果、飲食品の香味自体が濃くなったり厚みが増したりする感覚を意味する。
なお、本発明者らが確認したところ、前述の通り2-メトキシ-5-ビニルフェノールが、フェノール様の香気を呈することは知られているが、物品に対する濃厚感付与効果、すなわち、香味(香気)のネガティブな要素をマスキングし、および/または、その香味(香気)のポジティブな要素を増大する効果があることは知られていなかった。
本件濃厚感付与組成物は、2-メトキシ-5-ビニルフェノールのみで構成してもよいし、2-メトキシ-5-ビニルフェノールを所定量含んでいればそれ以外の成分を含んでいてもよい。例えば、本件濃厚感付与組成物が2-メトキシ-5-ビニルフェノール以外の成分として溶媒および/または他の香気成分を含む場合、本件濃厚感付与組成物自体を香料組成物として使用することもできる。
2-メトキシ-5-ビニルフェノールの入手方法は、前掲「香味改善剤」の項目で述べた通りである。
本件濃厚感付与組成物中の2-メトキシ-5-ビニルフェノールの濃度は、濃厚感付与組成物の添加対象に応じて任意に決定できるが、好ましくは、濃厚感付与組成物の全体質量に対して、1ppm以上1%未満の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を1ppm、5ppm、10ppm、50ppm、100ppm、500ppm、0.1%、0.5%のいずれかとし、上限値を1%(未満)、0.5%、0.1%、500ppm、100ppm、50ppm、10ppm、5ppmのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。
本件濃厚感付与組成物の添加対象の物品としては特に限定されないが、飲食品、香粧品、医薬品、または保健衛生品などの消費財を例示でき、中でも飲食品であることが好ましい。消費財の具体例は、前掲「香味改善剤」の項目で述べた通りである。さらに、本件濃厚感付与組成物は、各種香料組成物に添加して、当該香料組成物に濃厚感を付与することもできる。本件濃厚感付与組成物は、バニラ風味飲食品、ミント風味飲食品、ストロベリー風味飲食品、オレンジ風味飲食品、レモン風味飲食品、シソ風味飲食品、グレープフルーツ風味飲食品、グレープ風味飲食品、ピーチ風味飲食品、アップル風味飲食品、マンゴー風味飲食品、クリーム風味飲食品、チョコレート風味飲食品、ミルク風味飲食品、卵風味飲食品、コーヒー風味飲食品、紅茶風味飲食品、シュガー風味飲食品、バター風味飲食品、スパイシーシトラス風味飲食品、ビール風味飲食品、ヨーグルト風味飲食品、ゴマ風味飲食品、ピーナッツ風味飲食品、コーン風味飲食品、コンソメ風味飲食品、トマト風味飲食品、ビーフ風味飲食品、ポーク風味飲食品、チキン風味飲食品、シーフード風味飲食品、シジミ風味飲食品、ナンプラー風味飲食品等に添加することで、濃厚感を効果的に付与する。そのため、本件濃厚感付与組成物は、例えば、バニラ風味飲食品用、ミント風味飲食品用、ストロベリー風味飲食品用、オレンジ風味飲食品用、レモン風味飲食品用、シソ風味飲食品用、グレープフルーツ風味飲食品用、グレープ風味飲食品用、ピーチ風味飲食品用、アップル風味飲食品用、マンゴー風味飲食品用、クリーム風味飲食品用、チョコレート風味飲食品用、ミルク風味飲食品用、卵風味飲食品用、コーヒー風味飲食品用、紅茶風味飲食品用、シュガー風味飲食品用、バター風味飲食品用、スパイシーシトラス風味飲食品用、ビール風味飲食品用、ヨーグルト風味飲食品用、ゴマ風味飲食品用、ピーナッツ風味飲食品用、コーン風味飲食品用、コンソメ風味飲食品用、トマト風味飲食品用、ビーフ風味飲食品用、ポーク風味飲食品用、チキン風味飲食品用、シーフード風味飲食品用、シジミ風味飲食品用、ナンプラー風味飲食品用のそれぞれとして好適に使用することができる。
本件濃厚感付与組成物は、それ自体を消費財に添加してもよいし、1種または2種以上の水溶性香料、乳化香料組成物、香料化合物、天然精油から選択される1種以上と併せて消費財に添加してもよい。また、本件濃厚感付与組成物は、本件濃厚感付与組成物が2-メトキシ-5-ビニルフェノール以外の成分として溶媒および/または他の香気成分を含む場合、本件濃厚感付与組成物自体を香料組成物として使用することもできる。この場合、香料組成物の香調は、特に限定されるものではなく、本件濃厚感付与組成物によって濃厚感を付与可能な任意の香調であってよい。
(香料組成物)
本発明の一実施の形態に係る香料組成物(以下、本件香料組成物という場合がある。)は、本件香味改善剤を添加した香味付与組成物の一態様、または本件濃厚感付与組成物の一態様であり、2-メトキシ-5-ビニルフェノールを所定量含有し、着香を目的として各種物品に添加することができる。本件香料組成物は、各種物品に添加することでその物品に濃厚感を付与し、香味を改善することができる。より具体的には、本件香料組成物は、添加対象の各種物品が有する香味(香粧品等であれば香気)のネガティブな要素をマスキングし、および/または、その香味(香気)のポジティブな要素を増大し、その結果、物品の香味(香気)自体が濃くなったり厚みが増したりする感覚を付与することができる。
本件香料組成物の具体例としては、飲食品用香料組成物(フレーバー組成物ともいう)、香粧品用香料組成物(フレグランス組成物ともいう)が挙げられる。添加対象となる物品の例としては、前述のように、飲食品、香粧品、医薬品、または保健衛生品などの消費財が挙げられる。本件香料組成物の形態は特に限定されず、水溶性香料組成物、油溶性香料組成物、乳化香料組成物、粉末香料組成物が例示できる。
本件香料組成物中の2-メトキシ-5-ビニルフェノールの濃度は、香料組成物の添加対象に応じて任意に決定でき、前述の本件濃厚感付与組成物と同様、有効成分である2-メトキシ-5-ビニルフェノールの濃度を基準として添加量を調整すればよい。2-メトキシ-5-ビニルフェノールの濃度の例として、香料組成物の全体質量に対して、1ppm以上1%未満の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を1ppm、5ppm、10ppm、50ppm、100ppm、500ppm、0.1%、0.5%のいずれかとし、上限値を1%(未満)、0.5%、0.1%、500ppm、100ppm、50ppm、10ppm、5ppmのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。
また、本件香料組成物は、2-メトキシ-5-ビニルフェノールに加えて、さらに他の任意の化合物または成分を含有し得る。
そのような化合物または成分の例として、各種類の香料化合物、天然精油、香料組成物、油溶性色素類、ビタミン類、機能性物質、魚肉エキス類、畜肉エキス類、植物エキス類、酵母エキス類、動植物タンパク質類、動植物蛋白分解物類、澱粉、デキストリン、糖類、アミノ酸類、核酸類、有機酸類または溶剤などを例示することができる。
香料化合物等の例としては、「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料(平成12年1月14日発行)」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査(平成12年度厚生科学研究報告書、日本香料工業会、平成13年3月発行)」、および「合成香料 化学と商品知識(2016年12月20日増補新版発行、合成香料編集委員会編集、化学工業日報社)」に記載されているものを挙げる天然精油、天然香料、合成香料などを挙げることができる。
合成香料化合物の具体例として、炭化水素化合物としては、α-ピネン、β-ピネン、γ-テルピネン、ミルセン、カンフェン、リモネンなどのモノテルペン、バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5-ウンデカトリエンなどが挙げられる。
アルコール化合物としては、ブタノール、ペンタノール、3-オクタノール、ヘキサノールなどの飽和アルコール、(Z)-3-ヘキセン-1-オール、プレノール、2,6-ノナジエノールなどの不飽和アルコール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロール、α-ターピネオール、テルピネン-4-オール、ボルネオールなどのテルペンアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールが挙げられる。
アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、ヘキサナール、オクタナール、デカナールなどの飽和アルデヒド、(E)-2-ヘキセナール、2,4-オクタジエナールなどの不飽和アルデヒド、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、シトラール、ミルテナール、ペリルアルデヒドなどのテルペンアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、p-トリルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
ケトン化合物としては、2-ヘプタノン、2-ウンデカノン、1-オクテン-3-オン、アセトイン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン(メチルヘプテノン)などの飽和および不飽和ケトン、ジアセチル、2,3-ペンタンジオン、マルトール、エチルマルトール、シクロテン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンなどのジケトンおよびヒドロキシケトン、カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン、α-イオノン、β-イオノン、β-ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトンが挙げられる。
フランまたはエーテル化合物としては、フルフリルアルコール、フルフラール、ローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピラン、エストラゴール、オイゲノール、1,8-シネオールなどが挙げられる。
エステル化合物としては、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸オクチル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、酪酸イソアミル、2-メチル酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、イソ酪酸2-メチルブチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、オクタン酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、ノナン酸エチルなどの脂肪族エステル、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ラバンジュリル、酢酸テルピニル、酢酸ネリルなどのテルペンアルコールエステル、酢酸ベンジル、サリチル酸メチル、ケイ皮酸メチル、プロピオン酸シンナミル、安息香酸エチル、イソ吉草酸シンナミル、3-メチル-2-フェニルグリシド酸エチルなどの芳香族エステルが挙げられる。
ラクトン化合物としては、γ-デカラクトン、γ-ドデカラクトン、δ-デカラクトン、δ-ドデカラクトンなどの飽和ラクトン、7-デセン-4-オリド、2-デセン-5-オリドなどの不飽和ラクトンが挙げられる。
酸化合物としては、酢酸、酪酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和・不飽和脂肪酸が挙げられる。
含窒素化合物としては、インドール、スカトール、ピリジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチル、トリメチルピラジンなどが挙げられる。
含硫化合物としては、メタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネート、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、3-メチル-1-ブタンチオール、2-メチル-1-ブタンチオール、3-メルカプトヘキサノール、4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン、酢酸3-メルカプトヘキシル、p-メンタ-8-チオール-3-オンおよびフルフリルメルカプタンなどが挙げられる。
天然精油としては、スイートオレンジ、ビターオレンジ、プチグレン、レモン、ベルガモット、マンダリン、ネロリ、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ヒヤシンス、ライラック、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、スギ、ヒノキ、ベチバー、パチョリ、ラブダナムなどが挙げられる。
各種動植物エキスとしては、ハーブまたはスパイスの抽出物、コーヒー、緑茶、紅茶、またはウーロン茶の抽出物や、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼまたはプロテアーゼなどの各種酵素分解物などが挙げられる。
本件香料組成物は、本件香味改善剤を添加した香味付与組成物または本件濃厚感付与組成物を公知の方法によって適切な溶媒や分散媒に添加して調製することができる。
本件香料組成物の形態としては、本件香味改善剤を添加した香味付与組成物または本件濃厚感付与組成物その他必要に応じて含まれる他の成分を水溶性または油溶性の溶媒に溶解した溶液、乳化製剤、粉末製剤、またはその他固体製剤(固形脂など)などが好ましい。
水溶性溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、2-プロパノール、メチルエチルケトン、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどを例示することができる。これらのうち、飲食品への使用の観点から、エタノールまたはグリセリンが特に好ましい。油溶性溶媒としては、植物性油脂、動物性油脂、精製油脂類(例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの加工油脂や、トリアセチン、トリプロピオニンなどの短鎖脂肪酸トリグリセリドが挙げられる。)、各種精油、トリエチルシトレートなどを例示することができる。
また、乳化製剤とするためには、本件香味改善剤を添加した香味付与組成物または本件濃厚感付与組成物を、水溶性溶媒および乳化剤と共に乳化して得ることができる。本件香味改善剤を添加した香味付与組成物または本件濃厚感付与組成物の乳化方法としては特に制限されるものではなく、従来から飲食品などに用いられている各種類の乳化剤、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、加工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸およびその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼインキラヤサポニン、またはカゼインナトリウムなどの乳化剤を使用してホモミキサー、コロイドミル、回転円盤型ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどを用いて乳化処理することにより安定性の優れた乳化液を得ることができる。これら乳化剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、使用する乳化剤の種類などに応じて広い範囲にわたり変えることができるが、通常、本件香味改善剤を添加した香味付与組成物1質量部または本件濃厚感付与組成物1質量部に対し、約0.01~約100質量部、好ましくは約0.1~約50質量部の範囲内が適当である。また、乳化状態を安定させるため、係る乳化液には水の他に、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、グルコース、トレハロース、糖液、還元水飴などの多価アルコール類の1種類または2種類以上の混合物を添加することができる。
また、かくして得られた乳化液は、所望ならば乾燥することにより粉末製剤とすることができる。粉末化に際して、さらに必要に応じて、アラビアガム、トレハロース、デキストリン、砂糖、乳糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴などの糖類を適宜添加することもできる。これらの使用量は粉末製剤に望まれる特性などに応じて適宜に選択することができる。
本件香料組成物は、上記以外に、必要に応じて、香料組成物において通常使用されている成分を含有していてもよい。例えば、水、エタノールなどの溶剤や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライドなどの香料保留剤を含有することができる。
(香味付与組成物の濃厚感付与方法)
本発明の一実施の形態に係る香味付与組成物の濃厚感付与方法(以下「本件濃厚感付与方法(香味付与組成物)」という場合がある。)は、本件濃厚感付与組成物を香味付与組成物に添加する工程を含む。
本件濃厚感付与組成物を香味付与組成物に有効量添加することで、添加対象の香味付与組成物に濃厚感を付与することができる。より具体的には、本件濃厚感付与組成物の添加対象である香味付与組成物が有する香味のネガティブな要素がマスキングされ、および/または、その香味のポジティブな要素が増大されることで、香味自体が濃くなったり厚みが増したりする感覚を付与することができる。
本件濃厚感付与方法(香味付与組成物)において、添加対象の香味付与組成物に対する本件濃厚感付与組成物の添加量は、有効成分として含まれる2-メトキシ-5-ビニルフェノールによって濃厚感が付与される有効量であればよく、香味付与組成物の種類や形態に応じて任意に設定することができるが、好ましくは、濃厚感付与組成物の全体質量に対して、1ppm以上1%未満の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を1ppm、5ppm、10ppm、50ppm、100ppm、500ppm、0.1%、0.5%のいずれかとし、上限値を1%(未満)、0.5%、0.1%、500ppm、100ppm、50ppm、10ppm、5ppmのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。
添加対象の香味付与組成物が香料組成物である場合には、香料組成物に対する2-メトキシ-5-ビニルフェノールの濃度の例としては、前掲「香料組成物」の項目で述べた通りである。
本件濃厚感付与方法(香味付与組成物)において、本件濃厚感付与組成物を香味付与組成物に添加する方法は特に限定されない。また、本件濃厚感付与組成物を香味付与組成物に添加する時期(タイミング)についても特に限定されない。
(消費財)
本発明の一実施の形態に係る消費財(以下、本件消費財という場合がある。)は、本件濃厚感付与組成物を所定量含むものである。本件消費財は、本件濃厚感付与組成物が有効量添加されているため、濃厚感が付与された消費財を提供することができる。より具体的には、本件消費財は、本件濃厚感付与組成物が添加されているため、消費財が有する香味(香粧品等であれば香気)のネガティブな要素がマスキングされ、および/または、その香味(香気)のポジティブな要素が増大され、その結果、消費財の香味(香気)自体が濃くなったり厚みが増したりする感覚が付与された消費財を提供することができる。
本件消費財の具体例は、前掲「香味改善剤」の項目で述べた「本件香味改善剤を含有する香味付与組成物の添加可能な飲食品」、および「本件香味改善剤を含有する香味付与組成物の添加可能な香粧品」の通りである。
本件消費財において、消費財に対する本件香味改善剤または本件濃厚感付与組成物の添加量は、消費財の香味や所望の効果の程度などに応じて任意に決定でき、有効成分である2-メトキシ-5-ビニルフェノール(本件化合物)の濃度を基準として添加量を調製すればよい。本件化合物の濃度の例として、本件消費財が飲食品の場合には、飲食品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として1ppb(0.001ppm)以上10ppm未満の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を1ppb、5ppb、10ppb、50ppb、100ppb、500ppb、1ppm、5ppmのいずれかとし、上限値を10ppm(未満)、5ppm、1ppm、500ppb、100ppb、50ppb、10ppb、5ppbのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせの範囲内が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい濃度の例として、飲食品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として、1ppb~10ppb、1ppb~100ppb、1ppb~1ppm、1ppb~10ppm、10ppb~100ppb、10ppb~1ppm、10ppb~10ppm、100ppb~1ppm、100ppb~10ppm、1ppm~10ppmの各範囲から、飲食品の香味特性に応じて選択することができる。例えば、飲食品のうち、飲料の場合には、飲料の全体質量に対して、本件化合物の濃度として10ppb~100ppbの範囲内が、食品(チョコレート、バニラアイスクリーム、ヨーグルト、セイボリー系以外)の場合には、食品(チョコレート、バニラアイスクリーム、ヨーグルト、セイボリー系以外)の全体質量に対して、本件化合物の濃度として10ppb~100ppbの範囲内が、食品(チョコレート、バニラアイスクリーム、ヨーグルト)の場合には、食品(チョコレート、バニラアイスクリーム、ヨーグルト)の全体質量に対して、本件化合物の濃度として1ppb~10ppbの範囲内が、食品(セイボリー系)の場合には、食品(セイボリー系)の全体質量に対して、本件化合物の濃度として10ppb~1ppmの範囲内が、それぞれ好ましい濃度範囲として挙げられる。
また、本件消費財が香粧品の場合には、香粧品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として100ppb(0.1ppm)以上0.1%未満の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を100ppb、500ppb、1ppm、5ppm、10ppm、50ppm、100ppm、500ppmのいずれかとし、上限値を0.1%(未満)、500ppm、100ppm、50ppm、10ppm、5ppm、1ppm、500ppbのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせの範囲内が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい濃度の例として、香粧品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として、100ppb~100ppm、100ppb~10ppm、100ppb~1ppm、1ppm~100ppm、1ppm~10ppmの各範囲から、香粧品の香気特性に応じて選択することができるが、これらに限定されない。
(飲食品の濃厚感付与方法)
本発明の一実施の形態に係る飲食品の濃厚感付与方法は、本件濃厚感付与組成物を、飲食品に添加する工程を含む。
本件濃厚感付与組成物を、飲食品に有効量添加することで、その飲食品に濃厚感を付与することができる。前述のとおり、飲食品の「濃厚感」とは、飲食品が有する香味のネガティブな要素がマスキングされ、および/または、その香味のポジティブな要素が増大されることで、香味自体が濃くなったり厚みが増したりする感覚を意味する。
本件に係る飲食品の濃厚感付与方法において、飲食品に対する本件濃厚感付与組成物の添加量は、有効成分として含まれる本件化合物によって、濃厚感が付与される有効量であればよく、飲食品の種類や形態に応じて任意に設定することができる。この場合において、飲食品中の本件化合物の濃度の例としては、前掲「消費財」の項目で述べた通りである。
飲食品の濃厚感付与方法において、本件濃厚感付与組成物を飲食品に添加する方法は特に限定されない。また、本件濃厚感付与組成物を飲食品に添加する時期(タイミング)についても特に限定されない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]香料組成物への添加効果
2-メトキシ-5-ビニルフェノールを、バニラ香料組成物(香味付与組成物)、ミント香料組成物(香味付与組成物)、ミルク香料組成物(香味付与組成物)、ストロベリー香料組成物(香味付与組成物)に添加した際の効果について以下の通り確認した。
市販の2-メトキシ-5-ビニルフェノール(以下「本件化合物」という。)の1%エタノール溶液、1%プロピレングリコール溶液および1%MCT(炭素数8~12の脂肪酸からなる中性脂肪(中鎖脂肪酸トリグリセリド))溶液をそれぞれ調製した(以下の実施例でも使用する)。
[実施例1-1]バニラ香料組成物の調製
下記表1の処方に従って、バニラ基本調合香料組成物を調製した。
バニラ基本調合香料組成物に、本件化合物の1%エタノール溶液を、バニラ基本調合香料組成物中の本件化合物の濃度が下記表5に示す濃度になるように添加し、本発明品1-1~1-5の香料組成物を調製した。そして、得られた本発明品1-1~1-5の香料組成物について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないバニラ基本調合香料組成物を対照品1-1として、本発明品1-1~1-5を対照品1-1と比べた際の香気についてコメントさせるとともに、対照品1-1と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品1-1に比べて著しく増加した:5点
対照品1-1に比べて大きく増加した:4点
対照品1-1に比べてある程度増加した:3点
対照品1-1に比べてわずかに増加した:2点
対照品1-1と同等である:1点
[実施例1-2]ミルク香料組成物の調製
下記表2の処方に従って、ミルク基本調合香料組成物を調製した。
ミルク基本調合香料組成物に、本件化合物の1%プロピレングリコール溶液を、ミルク基本調合香料組成物中の本件化合物の濃度が下記表5に示す濃度になるように添加し、本発明品1-6~1-10の香料組成物を調製した。そして、得られた本発明品1-6~1-10の香料組成物について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないミルク基本調合香料組成物を対照品1-2として、本発明品1-6~1-10を対照品1-2と比べた際の香気についてコメントさせるとともに、対照品1-2と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品1-2に比べて著しく増加した:5点
対照品1-2に比べて大きく増加した:4点
対照品1-2に比べてある程度増加した:3点
対照品1-2に比べてわずかに増加した:2点
対照品1-2と同等である:1点
[実施例1-3]ミント香料組成物の調製
下記表3の処方に従って、ミント基本調合香料組成物を調製した。
ミント基本調合香料組成物に、本件化合物の1%MCT溶液を、ミント基本調合香料組成物中の本件化合物の濃度が下記表5に示す濃度になるように添加し、本発明品1-11~1-15の香料組成物を調製した。そして、得られた本発明品1-11~1-15の香料組成物について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないミント基本調合香料組成物を対照品1-3として、本発明品1-11~1-15を対照品1-3と比べた際の香気についてコメントさせるとともに、対照品1-3と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品1-3に比べて著しく増加した:5点
対照品1-3に比べて大きく増加した:4点
対照品1-3に比べてある程度増加した:3点
対照品1-3に比べてわずかに増加した:2点
対照品1-3と同等である:1点
[実施例1-4]ストロベリー香料組成物の調製
下記表4の処方に従って、ストロベリー基本調合香料組成物を調製した。
ストロベリー基本調合香料組成物に、本件化合物の1%プロピレングリコール溶液を、ストロベリー基本調合香料組成物中の本件化合物の濃度が下記表5に示す濃度になるように添加し、本発明品1-16~1-20の香料組成物を調製した。そして、得られた本発明品1-16~1-20の香料組成物について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないストロベリー基本調合香料組成物を対照品1-4として、本発明品1-16~1-20を対照品1-4と比べた際の香気についてコメントさせるとともに、対照品1-4と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品1-4に比べて著しく増加した:5点
対照品1-4に比べて大きく増加した:4点
対照品1-4に比べてある程度増加した:3点
対照品1-4に比べてわずかに増加した:2点
対照品1-4と同等である:1点
[実施例1-5]各種香料組成物の官能評価
実施例1-1~1-4(本発明品1-1~1-20)の官能評価の結果を下記表5に示す。
表5に示すように、本件化合物は、各種香料組成物が有する香味のネガティブな要素をマスキングし、および/または、その香味のポジティブな要素を増大し、各種香料組成物に濃厚感を付与することが確認された。
[実施例2]飲料への添加効果
2-メトキシ-5-ビニルフェノールを、ブラックコーヒー、ミルク入りコーヒー、ストレートティー、コーラ、乳清飲料、ノンアルコールビールテイスト飲料、発泡酒、豆乳、オーツミルク、アーモンドミルク、フルーツ飲料に添加した際の効果について以下の通り確認した。
[実施例2-1]ブラックコーヒーの調製
市販のブラックコーヒーに、本件化合物が下記表6の本発明品2-1~2-5に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品2-1~2-5のブラックコーヒーを調製した。
一方、本件化合物と構造が類似する化合物として、以下の式(91)で表される2-メトキシ-4-ビニルフェノール(以下「比較化合物」とする。)の1%エタノール溶液を調製し(以下の実施例でも使用する。)、上記市販のブラックコーヒーに、比較化合物が下記表6に示す濃度になるように添加し、比較品2-1のブラックコーヒーを調製した。
Figure 2024048267000008
そして、得られた本発明品2-1~2-5および比較品2-1のブラックコーヒーについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物および比較化合物を添加していないブラックコーヒーを対照品2-1として、本発明品2-1~2-5および比較品2-1を対照品2-1と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品2-1と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品2-1に比べて著しく増加した:5点
対照品2-1に比べて大きく増加した:4点
対照品2-1に比べてある程度増加した:3点
対照品2-1に比べてわずかに増加した:2点
対照品2-1と同等である:1点
[実施例2-2]ミルク入りコーヒーの調製
市販のミルク入りコーヒーに、本件化合物が下記表6の本発明品2-6~2-10に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品2-6~2-10のミルク入りコーヒーを調製した。
そして、得られた本発明品2-6~2-10のミルク入りコーヒーについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していない上記市販のミルク入りコーヒーを対照品2-2として、本発明品2-6~2-10を対照品2-2と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品2-2と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品2-2に比べて著しく増加した:5点
対照品2-2に比べて大きく増加した:4点
対照品2-2に比べてある程度増加した:3点
対照品2-2に比べてわずかに増加した:2点
対照品2-2と同等である:1点
[実施例2-3]ストレートティーの調製
市販のストレートティー(無糖紅茶)に、本件化合物が下記表6の本発明品2-11~2-15に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品2-11~2-15のストレートティーを調製した。
そして、得られた本発明品2-11~2-15のストレートティーについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないストレートティーを対照品2-3として、本発明品2-11~2-15を対照品2-3と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品2-3と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品2-3に比べて著しく増加した:5点
対照品2-3に比べて大きく増加した:4点
対照品2-3に比べてある程度増加した:3点
対照品2-3に比べてわずかに増加した:2点
対照品2-3と同等である:1点
[実施例2-4]コーラの調製
市販のコーラに、本件化合物が下記表6の本発明品2-16~2-20に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品2-16~2-20のコーラを調製した。
そして、得られた本発明品2-16~2-20のコーラについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないコーラを対照品2-4として、本発明品2-16~2-20を対照品2-4と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品2-4と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品2-4に比べて著しく増加した:5点
対照品2-4に比べて大きく増加した:4点
対照品2-4に比べてある程度増加した:3点
対照品2-4に比べてわずかに増加した:2点
対照品2-4と同等である:1点
[実施例2-5]乳清飲料の調製
市販の乳清飲料に、本件化合物が下記表6の本発明品2-21~2-25に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品2-21~2-25の乳清飲料を調製した。
そして、得られた本発明品2-21~2-25の乳清飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していない乳清飲料を対照品2-5として、本発明品2-21~2-25を対照品2-5と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品2-5と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品2-5に比べて著しく増加した:5点
対照品2-5に比べて大きく増加した:4点
対照品2-5に比べてある程度増加した:3点
対照品2-5に比べてわずかに増加した:2点
対照品2-5と同等である:1点
[実施例2-6]ノンアルコールビールテイスト飲料の調製
市販のノンアルコールビールテイスト飲料(アルコール度数0.00%)に、本件化合物が下記表6の本発明品2-26~2-30に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%プロピレングリコール溶液を添加し、本発明品2-26~2-30のノンアルコールビールテイスト飲料を調製した。
そして、得られた本発明品2-26~2-30のノンアルコールビールテイスト飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないノンアルコールビールテイスト飲料を対照品2-6として、本発明品2-26~2-30を対照品2-6と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品2-6と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品2-6に比べて著しく増加した:5点
対照品2-6に比べて大きく増加した:4点
対照品2-6に比べてある程度増加した:3点
対照品2-6に比べてわずかに増加した:2点
対照品2-6と同等である:1点
[実施例2-7]発泡酒の調製
市販の発泡酒(アルコール度数5%)に、本件化合物が下記表6の本発明品2-31~2-35に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品2-31~2-35の発泡酒を調製した。
そして、得られた本発明品2-31~2-35の発泡酒について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していない発泡酒を対照品2-7として、本発明品2-31~2-35を対照品2-7と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品2-7と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品2-7に比べて著しく増加した:5点
対照品2-7に比べて大きく増加した:4点
対照品2-7に比べてある程度増加した:3点
対照品2-7に比べてわずかに増加した:2点
対照品2-7と同等である:1点
[実施例2-8]豆乳の調製
市販の豆乳(無調整)に、本件化合物が下記表6の本発明品2-36~2-40に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品2-36~2-40の豆乳を調製した。
そして、得られた本発明品2-36~2-40の豆乳について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していない豆乳を対照品2-8として、本発明品2-36~2-40を対照品2-8と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品2-8と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品2-8に比べて著しく増加した:5点
対照品2-8に比べて大きく増加した:4点
対照品2-8に比べてある程度増加した:3点
対照品2-8に比べてわずかに増加した:2点
対照品2-8と同等である:1点
[実施例2-9]オーツミルクの調製
市販のオーツミルクに、本件化合物が下記表6の本発明品2-41~2-45に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品2-41~2-45のオーツミルクを調製した。
そして、得られた本発明品2-41~2-45のオーツミルクについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないオーツミルクを対照品2-9として、本発明品2-41~2-45を対照品2-9と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品2-9と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品2-9に比べて著しく増加した:5点
対照品2-9に比べて大きく増加した:4点
対照品2-9に比べてある程度増加した:3点
対照品2-9に比べてわずかに増加した:2点
対照品2-9と同等である:1点
[実施例2-10]アーモンドミルクの調製
市販のアーモンドミルクに、本件化合物が下記表6の本発明品2-46~2-50に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品2-46~2-50のアーモンドミルクを調製した。
そして、得られた本発明品2-46~2-50のアーモンドミルクについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないアーモンドミルクを対照品2-10として、本発明品2-46~2-50を対照品2-10と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品2-10と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品2-10に比べて著しく増加した:5点
対照品2-10に比べて大きく増加した:4点
対照品2-10に比べてある程度増加した:3点
対照品2-10に比べてわずかに増加した:2点
対照品2-10と同等である:1点
[実施例2-11]フルーツ飲料の調製
市販のフルーツ飲料(10%オレンジ果汁および10%マンゴー果汁入り)に、本件化合物が下記表6の本発明品2-51~2-55に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品2-51~2-55のフルーツ飲料を調製した。
そして、得られた本発明品2-51~2-55のフルーツ飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないフルーツ飲料を対照品2-11として、本発明品2-51~2-55を対照品2-11と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品2-11と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品2-11に比べて著しく増加した:5点
対照品2-11に比べて大きく増加した:4点
対照品2-11に比べてある程度増加した:3点
対照品2-11に比べてわずかに増加した:2点
対照品2-11と同等である:1点
[実施例2-12]各種飲料の官能評価
実施例2-1~2-11(本発明品2-1~2-55、比較品2-1)の官能評価の結果を表6に示す。
表6に示すように、本件化合物は、各種飲料が有する香味のネガティブな要素をマスキングし、および/または、その香味のポジティブな要素を増大し、各種飲料に濃厚感を付与することが確認された。特に、本件化合物は、本件化合物と構造が類似する2-メトキシ-4-ビニルフェノールでは得られない香味改善効果(濃厚感付与効果)を奏することが確認できた。
[実施例3]食品(1)への添加効果
2-メトキシ-5-ビニルフェノールを、ミントガム、ミルクチョコレート、バニラアイスクリーム、ヨーグルト、バター、ホイップクリーム、ホエイプロテイン飲料に添加した際の効果について以下の通り確認した。
[実施例3-1]ミントガムの調製
市販のミントガムに、本件化合物が下記表7の本発明品3-1~3-5に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%MCT溶液を添加し、本発明品3-1~3-5のミントガムを調製した。
そして、得られた本発明品3-1~3-5のミントガムについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していない上記市販のミントガムを対照品3-1として、本発明品3-1~3-5を対照品3-1と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品3-1と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品3-1に比べて著しく増加した:5点
対照品3-1に比べて大きく増加した:4点
対照品3-1に比べてある程度増加した:3点
対照品3-1に比べてわずかに増加した:2点
対照品3-1と同等である:1点
[実施例3-2]ミルクチョコレートの調製
市販のミルクチョコレートに、本件化合物が下記表7の本発明品3-6~3-10に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%MCT溶液を添加し、本発明品3-6~3-10のミルクチョコレートを調製した。
そして、得られた本発明品3-6~3-10のミルクチョコレートについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していない上記市販のミルクチョコレートを対照品3-2として、本発明品3-6~3-10を対照品3-2と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品3-2と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品3-2に比べて著しく増加した:5点
対照品3-2に比べて大きく増加した:4点
対照品3-2に比べてある程度増加した:3点
対照品3-2に比べてわずかに増加した:2点
対照品3-2と同等である:1点
[実施例3-3]バニラアイスクリームの調製
市販のバニラアイスクリームに、本件化合物が下記表7の本発明品3-11~3-15に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品3-11~3-15のバニラアイスクリームを調製した。
そして、得られた本発明品3-11~3-15のバニラアイスクリームについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないバニラアイスクリームを対照品3-3として、本発明品3-11~3-15を対照品3-3と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品3-3と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品3-3に比べて著しく増加した:5点
対照品3-3に比べて大きく増加した:4点
対照品3-3に比べてある程度増加した:3点
対照品3-3に比べてわずかに増加した:2点
対照品3-3と同等である:1点
[実施例3-4]ヨーグルトの調製
市販のヨーグルトに、本件化合物が下記表7の本発明品3-16~3-20に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品3-16~3-20のヨーグルトを調製した。
そして、得られた本発明品3-16~3-20のヨーグルトについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないヨーグルトを対照品3-4として、本発明品3-16~3-20を対照品3-4と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品3-4と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品3-4に比べて著しく増加した:5点
対照品3-4に比べて大きく増加した:4点
対照品3-4に比べてある程度増加した:3点
対照品3-4に比べてわずかに増加した:2点
対照品3-4と同等である:1点
[実施例3-5]バターの調製
市販のバターに、本件化合物が下記表7の本発明品3-21~3-25に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%MCT溶液を添加し、本発明品3-21~3-25のバターを調製した。
そして、得られた本発明品3-21~3-25のバターについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないバターを対照品3-5として、本発明品3-21~3-25を対照品3-5と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品3-5と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品3-5に比べて著しく増加した:5点
対照品3-5に比べて大きく増加した:4点
対照品3-5に比べてある程度増加した:3点
対照品3-5に比べてわずかに増加した:2点
対照品3-5と同等である:1点
[実施例3-6]ホイップクリームの調製
市販のホイップクリームに、本件化合物が下記表7の本発明品3-26~3-30に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%MCT溶液を添加し、本発明品3-26~3-30のホイップクリームを調製した。
そして、得られた本発明品3-26~3-30のホイップクリームについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないホイップクリームを対照品3-6として、本発明品3-26~3-30を対照品3-6と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品3-6と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品3-6に比べて著しく増加した:5点
対照品3-6に比べて大きく増加した:4点
対照品3-6に比べてある程度増加した:3点
対照品3-6に比べてわずかに増加した:2点
対照品3-6と同等である:1点
[実施例3-7]ホエイプロテイン飲料の調製
市販のホエイプロテイン(ココア風味)飲料に、本件化合物が下記表7の本発明品3-31~3-35に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品3-31~3-35のホエイプロテイン飲料を調製した。
そして、得られた本発明品3-31~3-35のホエイプロテイン飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないホエイプロテイン飲料を対照品3-7として、本発明品3-31~3-35を対照品3-7と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品3-7と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品3-7に比べて著しく増加した:5点
対照品3-7に比べて大きく増加した:4点
対照品3-7に比べてある程度増加した:3点
対照品3-7に比べてわずかに増加した:2点
対照品3-7と同等である:1点
[実施例3-8]各種食品(1)の官能評価
実施例3-1~3-7(本発明品3-1~3-35)の官能評価の結果を表7に示す。
表7に示すように、本件化合物は、各種食品が有する香味のネガティブな要素をマスキングし、および/または、その香味のポジティブな要素を増大し、各種食品に濃厚感を付与することが確認された。
[実施例4]食品(2)への添加効果
2-メトキシ-5-ビニルフェノールを、コーンポタージュスープ、トマトスープ、豚鶏風味スープ、海鮮風味スープ、ゴマダレ、大豆ミートに添加した際の効果について以下の通り確認した。
[実施例4-1]コーンポタージュスープの調製
市販のコーンポタージュスープに、本件化合物が下記表8の本発明品4-1~4-5に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品4-1~4-5のコーンポタージュスープを調製した。
一方、本件化合物と構造が類似する化合物として、比較化合物の1%エタノール溶液を、上記市販のコーンポタージュスープに、比較化合物が下記表8に示す濃度になるように添加し、比較品4-1のコーンポタージュスープを調製した。
そして、得られた本発明品4-1~4-5および比較品4-1のコーンポタージュスープについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していない上記市販のコーンポタージュスープを対照品4-1として、本発明品4-1~4-5および比較品4-1を対照品4-1と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品4-1と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品4-1に比べて著しく増加した:5点
対照品4-1に比べて大きく増加した:4点
対照品4-1に比べてある程度増加した:3点
対照品4-1に比べてわずかに増加した:2点
対照品4-1と同等である:1点
[実施例4-2]トマトスープの調製
市販のトマトスープに、本件化合物が下記表8の本発明品4-6~4-10に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%MCT溶液を添加し、本発明品4-6~4-10のトマトスープを調製した。
そして、得られた本発明品4-6~4-10のトマトスープについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していない上記市販のトマトスープを対照品4-2として、本発明品4-6~4-10を対照品4-2と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品4-2と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品4-2に比べて著しく増加した:5点
対照品4-2に比べて大きく増加した:4点
対照品4-2に比べてある程度増加した:3点
対照品4-2に比べてわずかに増加した:2点
対照品4-2と同等である:1点
[実施例4-3]豚鶏風味スープの調製
市販の豚鶏風味スープに、本件化合物が下記表8の本発明品4-11~4-15に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%MCT溶液を添加し、本発明品4-11~4-15の豚鶏風味スープを調製した。
そして、得られた本発明品4-11~4-15の豚鶏風味スープについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していない豚鶏風味スープを対照品4-3として、本発明品4-11~4-15を対照品4-3と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品4-3と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品4-3に比べて著しく増加した:5点
対照品4-3に比べて大きく増加した:4点
対照品4-3に比べてある程度増加した:3点
対照品4-3に比べてわずかに増加した:2点
対照品4-3と同等であるか:1点
[実施例4-4]海鮮風味スープの調製
市販の海鮮風味スープに、本件化合物が下記表8の本発明品4-16~4-20に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%MCT溶液を添加し、本発明品4-16~4-20の海鮮風味スープを調製した。
そして、得られた本発明品4-16~4-20の海鮮風味スープについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していない海鮮風味スープを対照品4-4として、本発明品4-16~4-20を対照品4-4と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品4-4と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品4-4に比べて著しく増加した:5点
対照品4-4に比べて大きく増加した:4点
対照品4-4に比べてある程度増加した:3点
対照品4-4に比べてわずかに増加した:2点
対照品4-4と同等である:1点
[実施例4-5]ゴマダレの調製
市販のゴマダレに、本件化合物が下記表8の本発明品4-21~4-25に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%MCT溶液を添加し、本発明品4-21~4-25のゴマダレを調製した。
そして、得られた本発明品4-21~4-25のゴマダレについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していないゴマダレを対照品4-5として、本発明品4-21~4-25を対照品4-5と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品4-5と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品4-5に比べて著しく増加した:5点
対照品4-5に比べて大きく増加した:4点
対照品4-5に比べてある程度増加した:3点
対照品4-5に比べてわずかに増加した:2点
対照品4-5と同等である:1点
[実施例4-6]大豆ミートの調製
市販の大豆ミートに、本件化合物が下記表8の本発明品4-26~4-30に対応する各濃度となるように、本件化合物の1%MCT溶液を添加し、本発明品4-26~4-30の大豆ミートを調製した。
一方、本件化合物と構造が類似する化合物として、比較化合物の1%MCT溶液を調製し、上記市販の大豆ミートに、比較化合物が下記表8に示す濃度になるように添加し、比較品4-2の大豆ミートを調製した。
そして、得られた本発明品4-26~4-30および比較品4-2の大豆ミートについて、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物および比較化合物を添加していない市販の大豆ミートを対照品4-6として、本発明品4-26~4-30および比較品4-2を対照品4-6と比べた際の香味についてコメントさせるとともに、対照品4-6と比べた濃厚感(定義は前述のとおり)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対照品4-6に比べて著しく増加した:5点
対照品4-6に比べて大きく増加した:4点
対照品4-6に比べてある程度増加した:3点
対照品4-6に比べてわずかに増加した:2点
対照品4-6と同等である:1点
[実施例4-7]各種食品(2)の官能評価
実施例4-1~4-6(本発明品4-1~4-30、比較品4-1,4-2)の官能評価の結果を表8に示す。
表8に示すように、本件化合物は、各種食品が有する香味のネガティブな要素をマスキングし、および/または、その香味のポジティブな要素を増大し、各種食品に濃厚感を付与することが確認された。特に、本件化合物は、本件化合物と構造類似の化合物である2-メトキシ-4-ビニルフェノールでは得られない香味改善効果を奏することが確認できた。
[実施例5]香粧品への添加効果
市販のミント調、ベリー調、ローズ調およびピーチ調の香調の各台所用洗剤に、本件化合物が下記表9の本発明品5-1~5-4に対応する濃度となるように、本件化合物の1%エタノール溶液を添加し、本発明品5-1~5-4の台所用洗剤を調製した。
そして、得られた本発明品5-1~5-4の台所用洗剤について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本件化合物を添加していない上記市販の各台所用洗剤を対照品5-1(ミント調)、5-2(ベリー調)、5-3(ローズ調)および5-4(ピーチ調)として、本発明品5-1~5-4をそれぞれ対応する対照品5-1~5-4と比べた際の香気の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、濃厚感(定義は前述の通り)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<濃厚感に関する評価基準>
対応する対照品に比べて著しく増加した:5点
対応する対照品に比べて大きく増加した:4点
対応する対照品に比べてある程度増加した:3点
対応する対照品に比べてわずかに増加した:2点
対応する対照品と同等である:1点
本発明品5-1~5-4の官能評価の結果を表9に示す。
表9に示すように、本件化合物は、各種香粧品が有する香気のポジティブな要素を増大し、各種香粧品に濃厚感を付与することが確認された。

Claims (5)

  1. 2-メトキシ-5-ビニルフェノールからなる、香味改善剤。
  2. 2-メトキシ-5-ビニルフェノールを有効成分として含有する、濃厚感付与組成物。
  3. 2-メトキシ-5-ビニルフェノールを香味付与組成物に添加する工程を含む、香味付与組成物の香味改善方法。
  4. 2-メトキシ-5-ビニルフェノールを有効成分として含有する濃厚感付与組成物を、飲食品に添加する工程を含む、飲食品の濃厚感付与方法。
  5. 請求項4に記載の飲食品の濃厚感付与方法において、
    前記工程では、前記飲食品の全質量を基準として、2-メトキシ-5-ビニルフェノールの濃度が0.001ppm以上10ppm未満の範囲となるように前記濃厚感付与組成物を添加する、飲食品の濃厚感付与方法。
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