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JP2023135041A - 転舵制御装置 - Google Patents

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JP2023135041A
JP2023135041A JP2022040050A JP2022040050A JP2023135041A JP 2023135041 A JP2023135041 A JP 2023135041A JP 2022040050 A JP2022040050 A JP 2022040050A JP 2022040050 A JP2022040050 A JP 2022040050A JP 2023135041 A JP2023135041 A JP 2023135041A
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敦 石原
Atsushi Ishihara
賢司 吉田
Kenji Yoshida
祐輔 柿本
Yusuke KAKIMOTO
英次 外山
Eiji Toyama
俊介 吉田
Shunsuke Yoshida
朗 竹崎
Akira Takezaki
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JTEKT Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】制御量の制御に対する制約が解消することに起因して転舵輪が急変することを抑制できるようにした転舵制御装置を提供する。【解決手段】PU72は、転舵角を目標転舵角にフィードバック制御する。PU72は、転舵モータ60の温度が所定温度以上となる場合、電流制限を実行する。PU72は、電流制限を解除する場合、目標転舵角を転舵角から目標転舵角へと徐変する。【選択図】図1

Description

本発明は、転舵制御装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、転舵輪を制御対象とする転舵制御装置が記載されている。この制御装置は、転舵輪を転舵させるための転舵モータの過熱保護のために、転舵モータの出力を制限する処理を実行する。
特開2020-83059号公報
上記の出力制限をする場合、制限が解除されるのに伴って転舵角を示す制御量が目標値へと急変するおそれがある。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.操舵角と転舵角との関係を変更可能な操舵系を備える車両に適用され、前記操舵角は、ステアリングホイールの回転角度であり、前記転舵角は、前記車両の転舵輪の切れ角であり、目標制御量算出処理、操作処理、判定処理、および徐変処理を実行するように構成され、前記目標制御量算出処理は、前記操舵系の制御量の目標値である目標制御量を算出する処理であり、前記制御量は、前記転舵輪の転舵角と相関を有する角度変数を示す量であり、前記操作処理は、前記制御量を前記目標制御量に制御するために前記操舵系を操作する処理であり、前記判定処理は、前記制御量の制御に制約が生じているか否かを判定する処理であり、前記徐変処理は、前記判定処理によって前記制約が生じていると判定される状態から前記制約が生じていないと判定される状態に切り替わる場合、前記操作処理の入力となる前記目標制御量を、前記制御量から前記目標制御量算出処理によって算出される前記目標制御量へと徐変させる処理である転舵制御装置である。
上記制約が生じている場合には、制御量と目標制御量との差の大きさが大きくなるおそれがある。制御量と目標制御量との差の大きさが大きい状態で制約が解消すると、制御量が目標制御量へと急激に変化するおそれがある。そこで、上記構成では、操作処理の入力となる目標制御量を制御量から目標制御量算出処理によって算出される値へと徐変させる。これにより、制約が解消することに起因して制御量が急変することを抑制できる。したがって、上記構成によれば、制約が解消することに起因して転舵輪が急変することを抑制できる。
2.前記操舵系は、前記転舵輪を転舵させるためのモータを備え、前記操舵系の温度が所定温度以上である場合に、前記モータの電流を制限する電流制限処理を含み、前記判定処理は、前記電流制限処理が実行されている場合に前記制約が生じていると判定する処理を含む上記1記載の転舵制御装置である。
上記構成では、操舵系の温度が高い場合にモータの電流を制限することにより、操舵系の温度が過度に高くなることを抑制できる。そして、電流の制限によって温度が低下すると、制約が解消する。そしてその場合に、徐変処理を利用することによって、制御量の急変を抑制できる。
3.前記判定処理は、舵角速度変数の値を取得する速度変数取得処理を含んで且つ、前記舵角速度変数の値の大きさが所定値以下であることと、前記制御量と前記目標制御量との差の大きさが差閾値以上であることとの論理積が真である場合、前記制約が生じていると判定する処理を含み、前記舵角速度変数は、前記転舵角の変化速度を示す変数である上記1または2記載の転舵制御装置である。
制御量と目標制御量との差の大きさが大きい場合、その差を解消するように制御がなされる。したがって、舵角速度変数の値の大きさが大きくなる傾向にある。そのため、上記差の大きさが大きいにもかかわらず、舵角速度変数の値の大きさが小さい場合には、転舵輪を転舵させる上で必要なトルクが過度に大きい等、制御量の制御に制約が生じている可能性がある。そこで上記構成では、そうした場合に、制約が生じていると判定する。
4.前記判定処理は、操舵トルクを取得する取得処理を含んで且つ、前記舵角速度変数の値の大きさが所定値以下であることと、前記制御量と前記目標制御量との差の大きさが差閾値以上であることと、前記操舵トルクの大きさが閾値以上であることとの論理積が真である場合、前記制約が生じていると判定する処理を含み、前記操舵トルクは、前記ステアリングホイールに入力されるトルクである上記3記載の転舵制御装置である。
操舵トルクが大きい場合には、運転者が転舵輪を転舵させることを意図している。それにもかかわらず、制御量と目標制御量との差の大きさが大きくて且つ舵角速度変数の値の大きさが小さい場合には、転舵輪を転舵させる上で必要なトルクが過度に大きい等、制御量の制御に制約が生じている可能性がある。そこで上記構成では、そうした場合に、制約が生じていると判定する。
5.前記操舵系は、前記転舵輪を転舵させるためのモータを備え、前記モータに印加される電圧を小さい側に制限する電圧制限処理を実行するように構成され、前記判定処理は、前記電圧制限処理が実行されている場合に前記制約が生じていると判定する処理を含む上記1~4のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
上記電圧制限処理がなされると、モータを流れる電流の大きさが小さい側に制限される。そのため、モータの生成可能なトルクが小さい側に制限される。したがって、電圧制限処理がなされる場合には、制御量の制御に制約が生じている可能性がある。そのため、上記構成では、電圧制限処理がなされる場合に、制御量の制御に制約が生じていると判定する。
6.前記制御量は、前記転舵角を示す変数である転舵角変数である上記1~5のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
第1の実施形態にかかる車両の構成を示す図である。 同実施形態にかかる転舵制御装置が実行する処理の一部を示すブロック図である。 同実施形態にかかる転舵制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。 同実施形態にかかる転舵制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。 同実施形態の作用を示すタイムチャートである。 第2の実施形態にかかる転舵制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。 第3の実施形態にかかる転舵制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。
<第1の実施形態>
以下、転舵制御装置の第1実施形態を図面に従って説明する。
「前提構成」
図1に示すように、車両の操舵装置10は、ステアバイワイヤ式の操舵装置である。操舵装置10は、反力アクチュエータArと、転舵アクチュエータAtとを備えている。本実施形態の操舵装置10は、ステアリングホイール12と、転舵輪44との間の動力伝達路が機械的に遮断された構造を有している。
ステアリングホイール12には、ステアリングシャフト14が連結されている。反力アクチュエータArは、ステアリングホイール12に操舵反力を付与するためのアクチュエータである。操舵反力とは、運転者によるステアリングホイール12の操作方向と反対方向へ向けて作用する力をいう。操舵反力をステアリングホイール12に付与することにより、運転者に適度な手応え感を与えることが可能である。反力アクチュエータArは、減速機構16、反力モータ20、および反力用インバータ22を備えている。
反力モータ20は、3相のブラシレスモータである。反力モータ20の回転軸は、減速機構16を介して、ステアリングシャフト14に連結されている。反力用インバータ22は、直流電圧源としてのバッテリ24の電圧を交流電圧に変換して反力モータ20に印加する電力変換回路である。
一方、転舵シャフト40は、図1中の左右方向である車幅方向に沿って延びる。転舵シャフト40の両端には、それぞれタイロッド42を介して左右の転舵輪44が連結されている。転舵シャフト40が直線運動することにより、転舵輪44の転舵角が変更される。
転舵アクチュエータAtは、減速機構56、転舵モータ60、および転舵用インバータ62を備えている。転舵モータ60は、3相のブラシレスモータである。転舵モータ60の回転軸は、減速機構56を介してピニオンシャフト52に連結されている。ピニオンシャフト52のピニオン歯は、転舵シャフト40のラック歯54に噛み合わされている。ピニオンシャフト52とラック歯54が設けられた転舵シャフト40とによって、ラックアンドピニオン機構50が構成されている。転舵モータ60のトルクは、転舵力としてピニオンシャフト52を介して転舵シャフト40に付与される。転舵モータ60の回転に応じて、転舵シャフト40は図1中の左右方向である車幅方向に沿って移動する。
操舵装置10は、転舵ECU70を備えている。
転舵ECU70は、ステアリングホイール12を制御対象とする。転舵ECU70は、制御対象の制御量としての操舵反力を制御すべく、反力アクチュエータArを操作する。図1には、反力用インバータ22への操作信号MSsを記載している。また、転舵ECU70は、転舵輪44を制御対象とする。転舵ECU70は、制御対象の制御量としての転舵輪44の転舵角を制御すべく、転舵アクチュエータAtを操作する。図1には、転舵用インバータ62への操作信号MStを記載している。
転舵ECU70は、制御量を制御すべく、トルクセンサ80によって検出される、ステアリングシャフト14への入力トルクである操舵トルクThを参照する。また、転舵ECU70は、回転角センサ82によって検出される反力モータ20の回転軸の回転角θaを参照する。また、転舵ECU70は、反力モータ20に流れる電流iu1,iv1,iw1を参照する。電流iu1,iv1,iw1は、反力用インバータ22の各レッグに設けられたシャント抵抗の電圧降下量として定量化されている。転舵ECU70は、制御量を制御すべく、回転角センサ84によって検出される転舵モータ60の回転軸の回転角θbを参照する。また、転舵ECU70は、転舵モータ60に流れる電流iu2,iv2,iw2を参照する。電流iu2,iv2,iw2は、転舵用インバータ62の各レッグに設けられたシャント抵抗の電圧降下量として定量化されている。
転舵ECU70は、電圧センサ86によって検出されるバッテリ24の端子電圧Vbを参照する。また、転舵ECU70は、電流センサ88によって検出されるバッテリ24の充放電電流Ibを参照する。また、転舵ECU70は、外気温センサ90によって検出される車両の周囲の温度である外気温TOを参照する。また、転舵ECU70は、車速センサ92によって検出される車速Vを参照する。
転舵ECU70は、PU72、記憶装置74および周辺回路76を備えている。PU72は、CPU、GPU、およびTPU等のソフトウェア処理装置である。ここで、周辺回路76は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路、電源回路、およびリセット回路等を含む。転舵ECU70は、記憶装置74に記憶されたプログラムをPU72が実行することにより制御量を制御する。
「制御」
図2に、転舵ECU70によって実行される処理の一部を示す。
操舵角算出処理M10は、回転角θaを入力として、ステアリングホイール12の回転角である操舵角θhを算出する処理である。操舵角算出処理M10は、回転角θaを、たとえば、車両が直進しているときのステアリングホイール12の位置であるステアリング中立位置からの反力モータ20の回転数をカウントすることにより、360°を超える範囲を含む積算角に換算する処理を含む。操舵角算出処理M10は、換算して得られた積算角に減速機構16の回転速度比に基づく換算係数を乗算することで、操舵角θhを演算する処理を含む。なお、操舵角θhは、たとえば、ステアリング中立位置よりも右側の角度である場合に正、左側の角度である場合に負とする。
ピニオン角算出処理M12は、回転角θbを入力として、ピニオンシャフト52の回転角度であるピニオン角θpを算出する処理である。ピニオン角算出処理M12は、たとえば、車両が直進しているときの転舵シャフト40の位置であるラック中立位置からの転舵モータ60の回転数をカウントすることにより、360°を超える範囲を含む積算角に換算する処理を含む。ピニオン角算出処理M12は、換算して得られた積算角に減速機構56の回転速度比に基づく換算係数を乗算することで、ピニオンシャフト52の実際の回転角であるピニオン角θpを演算する処理を含む。なお、ピニオン角θpは、たとえば、ラック中立位置よりも右側の角度である場合に正、左側の角度である場合に負とする。転舵モータ60と、ピニオンシャフト52とは、減速機構56を介して連動する。このため、転舵モータ60の回転角θbと、ピニオン角θpとの間には相関関係がある。この相関関係を利用して転舵モータ60の回転角θbからピニオン角θpを求めることができる。また、ピニオンシャフト52は、転舵シャフト40に噛合されている。このため、ピニオン角θpと転舵シャフト40の移動量との間にも相関関係がある。すなわち、ピニオン角θpは、転舵輪44の転舵角を反映する値である。
目標反力算出処理M14は、操舵トルクTh、車速V、ピニオン角θp、およびq軸電流iqtを入力として、ステアリングホイール12に加えるべき操舵反力に応じた、目標反力Tr*を算出する処理である。ここで、q軸電流iqtは、転舵モータ60に流れるq軸電流である。q軸電流iqtは、PU72によって、電流iu2,iv2,iw2および回転角θbに基づき算出される。目標反力算出処理M14は、q軸電流iqtに基づき、転舵輪44に加えられるトルクに応じて目標反力Tr*を算出する処理を含む。詳しくは、目標反力算出処理M14は、転舵輪44に加えられるトルクの大きさが大きいほど目標反力Tr*の大きさを大きい値に算出する処理を含む。ここで、q軸電流iqtは、転舵モータ60のトルクを示す変数として利用されている。目標反力Tr*は、実際には反力モータ20に対する指令値である。目標反力Tr*に減速機構16による減速比に応じた係数を乗算した値が、操舵反力となる。
反力操作処理M16は、目標反力Tr*、電流iu1,iv1,iw1、および回転角θaを入力として、反力用インバータ22に対する操作信号MSsを出力する処理である。反力操作処理M16は、目標反力Tr*に基づきdq軸の電流指令値を算出する処理を含む。また、反力操作処理M16は、電流iu1,iv1,iw1および回転角θaに基づき、dq軸の電流を算出する処理を含む。そして、反力操作処理M16は、dq軸の電流が指令値となるように、反力用インバータ22を操作すべく操作信号MSsを算出する処理を含む。
目標ピニオン角算出処理M18は、操舵角θhおよび車速Vを入力として、目標ピニオン角θp*0を算出する処理である。目標ピニオン角θp*0は、運転者によるステアリングホイール12の操作に応じたピニオン角θpの目標値である。
オフセット量算出処理M20は、操舵角θhおよび車速Vを入力として、目標ピニオン角θp*0のオフセット量Δθpを算出する処理である。
オフセット補正処理M22は、目標ピニオン角θp*0からオフセット量Δθpを減算することによって、目標ピニオン角θp*を算出する処理である。
ピニオン角フィードバック処理M24は、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*にフィードバック制御すべく、転舵モータ60のトルクの指令値である転舵トルク指令値Tt*を算出する処理である。
転舵操作処理M26は、転舵トルク指令値Tt*、電流iu2,iv2,iw2、およびピニオン角θpを入力として、転舵用インバータ62に対する操作信号MStを出力する処理である。転舵操作処理M26は、転舵トルク指令値Tt*に基づきdq軸の電流指令値を算出する処理を含む。また、転舵操作処理M26は、電流iu2,iv2,iw2および回転角θbに基づき、dq軸の電流を算出する処理を含む。そして、転舵操作処理M26は、dq軸の電流が指令値となるように、転舵用インバータ62を操作すべく操作信号MStを算出する処理を含む。
「電流制限処理」
転舵操作処理M26は、原則、転舵モータ60のトルクを転舵トルク指令値Tt*に制御する処理である。ただし、バッテリ24の出力等に制限がある場合には、転舵モータ60に流れる電流の上限値が制限される。
図3に、電流制限処理の実行の可否に関する処理の手順を示す。図3に示す処理は、記憶装置74に記憶されたプログラムをPU72がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を付与する。
図3に示す一連の処理において、PU72は、まず外気温TOおよびq軸電流iqtを取得する(S10)。次にPU72は、外気温TOおよびq軸電流iqtに基づき、転舵モータ60の温度であるモータ温度Tmを算出する(S12)。ここで、PU72は、モータ温度Tmの前回値に所定の更新量を加算することによって、モータ温度Tmを更新する。PU72は、q軸電流iqtに応じて更新量を算出する。PU72は、q軸電流iqtの大きさが大きい場合の更新量を小さい場合の更新量以上とする。特にPU72は、q軸電流iqtの大きさが所定値以上の場合、更新量を正とする。すなわち、モータ温度Tmを上昇させる。また、PU72は、上記所定値を、外気温TOに応じて算出する。ここで、PU72は、外気温TOが高い場合の所定値を、低い場合の所定値以下とする。
次に、PU72は、フラグFが「1」であるか否かを判定する(S14)。フラグFは、「1」である場合に、電流制限処理を実行していることを示す。また、フラグFは、「0」である場合に、電流制限処理を実行していないことを示す。
PU72は、フラグFが「0」であると判定する場合(S14:NO)、モータ温度Tmが制限下限値TthH以上であるか否かを判定する(S16)。制限下限値TthHは、たとえば転舵モータ60の永久磁石の磁束密度が低下するほど転舵モータ60の温度が高くなる下限値に応じて設定すればよい。PU72は、制限下限値TthH以上であると判定する場合(S16:YES)、フラグFに「1」を代入する(S18)。そして、PU72は、電流制限処理を実行する(S20)。
一方、PU72は、フラグFが「1」であると判定する場合(S14:YES)、モータ温度Tmが解除上限値TthL以下であるか否かを判定する(S22)。解除上限値TthLは、制限下限値TthHよりも小さい値に設定されている。PU72は、解除上限値TthL以下であると判定する場合(S22:YES)、フラグFに「0」を代入する(S24)。そしてPU72は、電流制限を解除する(S26)。
なお、PU72は、S20,S26の処理を完了する場合と、S16,S22の処理において否定判定する場合と、には、図3に示す一連の処理を一旦終了する。
図4に、オフセット量算出処理M20の手順を示す。図4に示す処理は、記憶装置74に記憶されたプログラムをPU72がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。
図4に示す一連の処理において、PU72は、まず、操舵角速度ωhおよび車速Vを取得する(S30)。操舵角速度ωhは、操舵角θhの1階の時間微分値である。操舵角速度ωhは、PU72によって、操舵角θhに基づき算出される。そしてPU72は、フラグFが「1」から「0」に切り替わったタイミングであるか否かを判定する(S32)。PU72は、図4に示す一連の処理の前回の実行時にフラグFが「1」であって且つ、今回の実行時にフラグFが「0」である場合に、切り替わったタイミングであると判定する。PU72は、切り替わったタイミングであると判定する場合(S32:YES)、目標ピニオン角θp*0およびピニオン角θpを取得する(S34)。そして、PU72は、目標ピニオン角θp*からピニオン角θpを減算した値をオフセット量初期値Δθpbに代入して且つ、オフセット量Δθpにオフセット量初期値Δθpbを代入する(S36)。
PU72は、S36の処理を完了する場合と、S32の処理において否定判定する場合と、には、減少量ベース値Δ0を算出する(S38)。PU72は、操舵角速度ωhの大きさが大きい場合の減少量ベース値Δ0を、小さい場合の減少量ベース値Δ0以上とする。この処理は、たとえば、記憶装置74にマップデータが記憶された状態でPU72によって減少量ベース値Δ0をマップ演算することによって実現できる。ここで、マップデータは、操舵角速度ωhの絶対値を入力変数として且つ、減少量ベース値Δ0を出力変数とするデータである。
なお、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。また、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とする処理とすればよい。また、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれにも一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。また、これに代えて、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれにも一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値のうちの最も近い値に対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とする処理としてもよい。
次にPU72は、車速Vに応じてゲインGを算出する(S40)。PU72は、車速Vが大きい場合のゲインGを、小さい場合のゲインG以上とする。この処理は、たとえば、記憶装置74にマップデータが記憶された状態でPU72によってゲインGをマップ演算することによって実現できる。ここで、マップデータは、車速Vを入力変数として且つ、ゲインGを出力変数とするデータである。
次に、PU72は、減少量ベース値Δ0にゲインGを乗算した値を、オフセット減少量Δ1に代入する(S42)。そして、PU72は、オフセット減少量Δ1が、下限値ΔLよりも小さいか否かを判定する(S44)。PU72は、車速Vに応じて下限値ΔLを算出する。PU72は、車速Vが大きい場合の下限値ΔLを、小さい場合の下限値ΔL以上とする。この処理は、たとえば、記憶装置74にマップデータが記憶された状態でPU72によって下限値ΔLをマップ演算することによって実現できる。ここで、マップデータは、車速Vを入力変数として且つ、下限値ΔLを出力変数とするデータである。
PU72は、下限値ΔLよりも小さいと判定する場合(S44:YES)、オフセット減少量Δ1に下限値ΔLを代入する(S46)。PU72は、S46の処理を完了する場合と、S44の処理において否定判定する場合と、には、オフセット量初期値Δθpbが正であるか否かを判定する(S48)。PU72は、正であると判定する場合(S48:YES)、オフセット量Δθpからオフセット減少量Δ1を減算した値とゼロとのうちの大きい方を、オフセット量Δθpに代入する(S52)。一方、PU72は、オフセット量初期値Δθpbがゼロ以下であると判定する場合(S48:NO)、オフセット量Δθpにオフセット減少量Δ1を加算した値とゼロとのうちの小さい方を、オフセット量Δθpに代入する(S50)。
なお、PU72は、S50,S52の処理を完了する場合、図4に示す一連の処理を一旦終了する。
「本実施形態の作用および効果」
図5に、目標ピニオン角θp*およびピニオン角θpの推移を例示する。図5に示すように、時刻t1以前は、フラグFが「0」である。すなわち、時刻t1以前には電流制限処理が実行されていない。そのため、目標ピニオン角θp*の上昇に追従してピニオン角θpが上昇する。一方、時刻t1から時刻t2までの期間においては、電流制限処理が実行される。そのため、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に制御するための転舵トルク指令値Tt*に対して転舵モータ60が生成する実際のトルクが不足する。そのため、ピニオン角θpが目標ピニオン角θp*から乖離する。
その後、時刻t2に、電流制限処理が解除される場合、PU72は、まず目標ピニオン角θp*をピニオン角θpとする。そしてPU72は、目標ピニオン角θp*を、目標ピニオン角算出処理M18が出力する目標ピニオン角θp*0へと漸増させる。これにより、電流制限処理が解除されることによって、ピニオン角θpが急変することを抑制できる。
これに対し、目標ピニオン角θp*を目標ピニオン角θp*0に対してオフセット量Δθpだけずらす処理を実行しない場合のピニオン角θpの挙動を、2点鎖線にて示す。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
上記実施形態では、電流制限処理によって、目標ピニオン角θp*とピニオン角θpとの間に乖離が生じた後、乖離を解消できる状況になった際に目標ピニオン角θp*を目標ピニオン角θp*0に対してずらした。しかし、目標ピニオン角θp*とピニオン角θpとの間に乖離が生じる状況としては、これに限らない。たとえば、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に追従させる上で要求される転舵モータ60のトルクの大きさが過度に大きくなる状況もある。これは、たとえば車両が縁石に乗り上げる場合等に生じる。
そこで本実施形態では、上記状況が解消されることを検知して、目標ピニオン角θp*を目標ピニオン角θp*0に対してずらす処理を実行する。
図6に、上記状況の検知に関する処理の手順を示す。図6に示す処理は、記憶装置74に記憶されたプログラムをPU72がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。
図6に示す一連の処理において、PU72は、まず、操舵角速度ωh、車速V、操舵トルクTh、目標ピニオン角θp*、およびピニオン角θpを取得する(S60)。次に、PU72は、フラグFが「1」であるか否かを判定する(S62)。フラグFは、「1」である場合に、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に追従させる上で要求される転舵モータ60のトルクの大きさが過度に大きくなる状況であることを示す。フラグFは、「0」である場合に、上記状況ではないことを示す。このように、本実施形態にかかるフラグFは、図3に示したものとは相違する。ただし、このフラグFは、図4のS32の処理において利用される。
PU72は、フラグFが「1」ではないと判定する場合(S62:NO)、以下の条件(A)~(D)の論理積が真であるか否か判定する(S64)。
条件(A):操舵角速度ωhの絶対値が所定速度ωth以下である旨の条件である。所定速度ωthは、目標ピニオン角θp*とピニオン角θpとの差の絶対値が大きい場合に、ピニオン角フィードバック処理M24によるフィードバック制御によって実現される操舵角速度ωhの最小値未満に設定されている。
条件(B):車速Vが所定車速Vth以下である旨の条件である。
条件(C):操舵トルクThの大きさが所定トルクTth以上である旨の条件である。所定トルクTthは、運転者が転舵輪44を大きく転舵させることを意図している場合に生じる値に設定されている。
条件(D):目標ピニオン角θp*とピニオン角θpとの差の絶対値が閾値Δth以上である旨の条件である。閾値Δthは、たとえば、ピニオン角フィードバック処理M24によるフィードバック制御が正常になされている場合に生じうる目標ピニオン角θp*とピニオン角θpとの差の最大値以上に設定してもよい。
PU72は、論理積が真であると判定する場合(S64:YES)、フラグFに「1」を代入する(S66)。
一方、PU72は、フラグFが「1」であると判定する場合(S62:YES)、上記条件(A)~(D)の論理積が偽であるか否かを判定する(S68)。そしてPU72は、論理積が偽であると判定する場合(S68:YES)、フラグFに「0」を代入する(S70)。
なお、PU72は、S66,S70の処理を完了する場合と、S64,S68の処理において否定判定する場合と、には、図6に示す一連の処理を一旦終了する。
「第2の実施形態の作用および効果」
PU72は、上記の条件(A)~(D)の論理積が真であると判定する場合、フラグFに「1」を代入する。ここで、条件(D)が成立する場合、ピニオン角フィードバック処理M24によるフィードバック制御によって、目標ピニオン角θp*とピニオン角θpとの差の大きさが減少するはずである。しかし、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に追従させる上で要求される転舵モータ60のトルクの大きさが過度に大きい場合、条件(D)が成立する状態が継続する。その場合、転舵モータ60のトルクの大きさが大きくなる。一方、図2に示した目標反力算出処理M14は、転舵輪44に加えられるトルクに応じて目標反力Tr*を算出する処理を含む。そのため、転舵モータ60のトルクの大きさが大きい場合には、目標反力Tr*も大きい値とされる。そのため、操舵角θhを変位させにくくなる。これにより、条件(A)が成立する。したがって、上記条件(A)および条件(D)が成立する場合、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に追従させる上で要求される転舵モータ60のトルクの大きさが過度に大きくなる状況にあると考えられる。
そこで、PU72は、そうした状況下、フラグFに「1」を代入する。そしてそうした状況が解消される場合に、PU72は、フラグFに「0」を代入する。そうした状況が解消される場合には、ピニオン角θpが目標ピニオン角θp*へと追従する。ここでPU72は、目標ピニオン角θp*をピニオン角θpから目標ピニオン角θp*0へと徐変させる。これにより、ピニオン角θpの急変が抑制される。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用および効果が得られる。
(2-1)ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に追従させる上で要求される転舵モータ60のトルクの大きさが過度に大きくなる状況であると判定する条件に、条件(C)を含めた。操舵トルクThの大きさが大きい場合には、運転者が転舵輪44を転舵させようとしていると考えられる。それにもかかわらず、条件(D)が成立する場合には、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に追従させる上で要求される転舵モータ60のトルクの大きさが過度に大きくなる状況である可能性が高い。そのため、上記条件(C)を含めることにより、上記状況をより高精度に判定できる。
(2-2)ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に追従させる上で要求される転舵モータ60のトルクの大きさが過度に大きくなる状況は、通常、車速Vが小さい場合に生じる傾向がある。そのため、上記状況と判定する条件に、条件(B)を含めることにより、上記状況であるか否かをより高精度に判定することができる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、バッテリ24の状態に応じて転舵用インバータ62の出力電圧の大きさを小さい側に制限する電圧制限処理を実行する。電圧制限処理を実行する場合、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に制御するための転舵トルク指令値Tt*に対して転舵モータ60が生成する実際のトルクが不足するおそれがある。実際のトルクが不足すると、ピニオン角θpが目標ピニオン角θp*から乖離する。その場合、電圧制限処理が解除されることにより、ピニオン角θpが急変するおそれがある。
そこで、本実施形態では、電圧制限処理が解除される場合に目標ピニオン角θp*を目標ピニオン角θp*0に対してずらす処理を実行する。
図7に、電圧制限処理の実行の可否に関する処理の手順を示す。図7に示す処理は、記憶装置74に記憶されたプログラムをPU72がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。
図7に示す一連の処理において、PU72は、まず、端子電圧Vb、外気温TOおよびバッテリ24の充電率SOCを取得する(S80)。次に、PU72は、フラグFが「1」であるか否かを判定する(S82)。フラグFは、「1」である場合に、電圧制限処理を実行していることを示す。フラグFは、「0」である場合に、電圧制限処理を実行していないことを示す。このように、本実施形態にかかるフラグFは、図3に示したものとは相違する。ただし、このフラグFは、図4のS32の処理において利用される。
PU72は、フラグFが「0」であると判定する場合(S82:NO)、以下の条件(E)~(G)の論理和が真であるか否かを判定する(S84)。
条件(E):端子電圧Vbが規定電圧Vth以下である旨の条件である。規定電圧Vthは、転舵モータ60の生成可能なトルクが小さい側に制限されるときの端子電圧Vbの上限値に応じて設定されている。
条件(F):外気温TOが所定温度TOth以下である旨の条件である。所定温度TOthは、バッテリ24の出力電力が小さい値に制限される外気温TOの上限値に基づき設定されている。
条件(G):バッテリ24の充電率SOCが所定値SOCth以下である旨の条件である。所定値SOCthは、バッテリ24の出力電力を十分大きくすることができない充電率SOCの上限値に基づき設定されている。なお、充電率SOCは、PU72によって、充放電電流Ibの積算処理に基づき算出される。なお、充電率SOCの算出処理に、充放電電流Ibの大きさが小さい時の端子電圧Vbを開放端電圧と見なしてこれを入力に加えてもよい。
PU72は、論理和が真であると判定する場合(S84:YES)、フラグFに「1」を代入する(S86)。そしてPU72は、電圧制限処理を実行する(S88)。
一方、PU72は、フラグFが「1」であると判定する場合(S82:YES)、上記論理和が偽であるか否かを判定する(S90)。PU72は、上記論理和が偽であると判定する場合(S90:YES)、フラグFに「0」を代入する(S92)。そしてPU72は、電圧制限処理を解除する(S94)。
なお、PU72は、S88,S94の処理を完了する場合と、S84,S90の処理において否定判定する場合と、には、図7に示す一連の処理を一旦終了する。
「第3の実施形態の作用および効果」
PU72は、バッテリ24の出力に制約が生じる状況において、電圧制限処理を実行する。これにより、バッテリ24に対する要求電力が過度に大きくなることを抑制できる。ただし、その場合、転舵モータ60の生成するトルクの大きさが小さい側に制限される。そのため、目標ピニオン角θp*とピニオン角θpとの差が大きくなりうる。そこで、PU72は、電圧制限処理が解除される場合、目標ピニオン角θp*を、ピニオン角θpから目標ピニオン角θp*0へと徐変させた。これにより、ピニオン角θpが急変することを抑制できる。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1,6]目標制御量算出処理は、目標ピニオン角算出処理M18に対応する。制御量は、ピニオン角θpに対応する。操作処理は、ピニオン角フィードバック処理M24、および転舵操作処理M26に対応する。徐変処理は、図2のオフセット量算出処理M20の一部およびオフセット補正処理M22に対応する。判定処理は、S14~S24の処理、S62~S70の処理、およびS82~S92の処理に対応する。[2]電流制限処理は、S20の処理に対応する。[3,4]判定処理は、S62~S70の処理に対応する。[5]電圧制限処理は、S88の処理に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
「判定処理について」
・図6に示す処理では、上記条件(A)~(D)の論理積が偽となることで、フラグFを「1」から「0」に切り替えたが、これに限らない。たとえば、条件(A)、条件(C)、および条件(D)の少なくとも1つが成立しなくなる場合に、フラグFを「1」から「0」に切り替えてもよい。またたとえば、条件(A)および条件(D)の少なくとも1つが成立しなくなる場合に、フラグFを「1」から「0」に切り替えてもよい。
なお、上記条件(A)の有効性は、目標反力算出処理M14が、転舵モータ60のトルクを示す変数を入力とする処理であることを前提としない。たとえば、「目標反力算出処理について」の欄に記載したように、目標反力算出処理M14が操舵角θhを入力する処理であっても、条件(A)は、有効である。要は、転舵輪44の転舵角の変化に応じて操舵角θhが変化する制御がなされていればよい。
・舵角速度変数の値の大きさが所定値以下である旨の条件としては、条件(A)に限らない。たとえばピニオン角θpの変化速度の大きさが所定値以下である旨の条件であってもよい。
「目標反力算出処理について」
・図2においては、目標反力算出処理M14を、q軸電流iqtに基づき目標反力Tr*を算出する処理としたが、これに限らない。転舵モータ60のトルクを示す変数として、q軸電流iqtに代えて、転舵モータ60のトルクの推定値自体を入力とする処理であってもよい。またたとえば、操舵角θhを入力する処理であってもよい。その場合、目標反力算出処理M14を、操舵角θhとピニオン角θpとの整合性が崩れる方向への操舵角θhの変位を妨げるように目標反力Tr*を算出する処理としてもよい。
「徐変処理について」
・図4の処理を変更して、S32の処理において肯定判定された時点においては、オフセット量算出処理M20が出力するオフセット量Δθpを、オフセット量初期値Δθpbとしてもよい。
・S44,S46の処理を設けなくてもよい。
・オフセット量Δθpの漸減速度を操舵角速度および車速に応じて算出する処理としては、図4に例示した処理に限らない。たとえば操舵角速度および車速を入力変数とし、オフセット減少量Δ1を出力変数とするマップデータを用いてマップ演算をしてもよい。
・オフセット量Δθpの漸減速度を、操舵角速度および車速に応じて算出することは必須ではない。たとえば、操舵角速度および車速の2つの変数に関しては、それらのうちのいずれか1つの変数のみに基づき漸減速度を算出してもよい。またたとえば、それら2つの変数に関しては、いずれにも依存することなく漸減速度を算出してもよい。
「制御量算出処理について」
・目標ピニオン角算出処理M18を、車速Vに加えて、ヨーレートセンサの検出値に応じて舵角比を可変設定する処理としてもよい。
「操作処理について」
・上記実施形態では、ピニオン角フィードバック処理M24が、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*にフィードバック制御するための操作量として転舵トルク指令値Tt*を算出する処理としたが、これに限らない。たとえば、ピニオン角θpの時間変化方向とは逆方向のトルクであるダンピングトルクを算出して、これを転舵トルク指令値Tt*に加える処理を含めてもよい。この処理は、ピニオン角θpの時間変化であるピニオン角速度と、目標ピニオン角θp*の時間変化である目標ピニオン角速度との少なくとも1つをさらに入力とする処理とすればよい。さらに、車速Vを入力に含めることによって、車速Vに応じてダンピングトルクを可変設定してもよい。
・ピニオン角フィードバック処理M24に代えて、転舵シャフト40の移動量の検出値を目標値にフィードバック制御する処理を用いてもよい。この場合、上記実施形態に対して、ピニオン角θpに関する制御量等は、転舵シャフト40の移動量に関する制御量等に置き換えられることになる。
・操作処理が、ピニオン角θp等の転舵角を示す制御量をフィードバック制御するための操作量を算出する処理を含むことは必須ではない。たとえば、転舵角を示す制御量を目標値へと開ループ制御するための操作量を算出する処理を含んでもよい。またたとえば、開ループ制御のための操作量とフィードバック制御のための操作量との和を算出する処理を含んでもよい。
・転舵モータ60の制御手法としては、dq軸の電流フィードバック処理に限らない。たとえば、転舵モータ60として直流モータを採用して且つ、駆動回路をHブリッジ回路とする場合、単に転舵モータ60を流れる電流を制御すればよい。
「目標制御量について」
・「操作処理について」の欄に記載したように、転舵シャフト40の移動量をフィードバック制御する場合、移動量の目標値を目標制御量とすればよい。
「操舵系の温度について」
・上記実施形態では、q軸電流iqtを入力としてモータ温度Tmを算出する例を示したが、これに限らない。たとえばd軸電流とq軸電流との2乗和の平方根を入力としてもよい。この平方根は、電流iu2,iv2,iw2の振幅に比例する。
なお、モータ温度Tmとしては、推定値に限らない。たとえば転舵モータ60にサーミスタ等の温度センサを設けてその温度を利用してもよい。
・操舵系の温度としては、転舵モータ60の温度に限らない。たとえば転舵用インバータ62の温度であってもよい。
「転舵制御装置について」
・転舵制御装置としては、転舵アクチュエータAtを操作する装置と反力アクチュエータArを操作する装置とが一体となった装置に限らない。たとえば、転舵アクチュエータAtを操作する装置と反力アクチュエータArを操作する装置とを互いに通信可能な各別の筐体に収容された装置としてもよい。
・転舵制御装置としては、PU72と記憶装置74とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶する記憶装置等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置は、複数であってもよい。また、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
「転舵アクチュエータについて」
・転舵アクチュエータAtとして、たとえば、転舵シャフト40の同軸上に転舵モータ60を配置するものを採用してもよい。またたとえば、ボールねじ機構を用いたベルト式減速機を介して転舵シャフト40に連結するものを採用してもよい。
「操舵系について」
・操舵角と転舵角との関係を変更可能な操舵系としては、ステアリングホイール12と転舵輪44との動力の伝達が遮断された操舵系に限らない。たとえば、ステアリングホイール12と転舵輪44との動力伝達を可能とするギアを、可変ギアとすることによって、操舵角と転舵角との関係を変更可能な操舵系を構成してもよい。
10…操舵装置
12…ステアリングホイール
14…ステアリングシャフト
16…減速機構
20…反力モータ
22…反力用インバータ
24…バッテリ
40…転舵シャフト
42…タイロッド
44…転舵輪
50…ラックアンドピニオン機構
52…ピニオンシャフト
54…ラック歯
56…減速機構
60…転舵モータ
62…転舵用インバータ
70…転舵ECU

Claims (6)

  1. 操舵角と転舵角との関係を変更可能な操舵系を備える車両に適用され、
    前記操舵角は、ステアリングホイールの回転角度であり、
    前記転舵角は、前記車両の転舵輪の切れ角であり、
    目標制御量算出処理、操作処理、判定処理、および徐変処理を実行するように構成され、
    前記目標制御量算出処理は、前記操舵系の制御量の目標値である目標制御量を算出する処理であり、
    前記制御量は、前記転舵輪の転舵角と相関を有する角度変数を示す量であり、
    前記操作処理は、前記制御量を前記目標制御量に制御するために前記操舵系を操作する処理であり、
    前記判定処理は、前記制御量の制御に制約が生じているか否かを判定する処理であり、
    前記徐変処理は、前記判定処理によって前記制約が生じていると判定される状態から前記制約が生じていないと判定される状態に切り替わる場合、前記操作処理の入力となる前記目標制御量を、前記制御量から前記目標制御量算出処理によって算出される前記目標制御量へと徐変させる処理である転舵制御装置。
  2. 前記操舵系は、前記転舵輪を転舵させるためのモータを備え、
    前記操舵系の温度が所定温度以上である場合に、前記モータの電流を制限する電流制限処理を含み、
    前記判定処理は、前記電流制限処理が実行されている場合に前記制約が生じていると判定する処理を含む請求項1記載の転舵制御装置。
  3. 前記判定処理は、舵角速度変数の値を取得する速度変数取得処理を含んで且つ、前記舵角速度変数の値の大きさが所定値以下であることと、前記制御量と前記目標制御量との差の大きさが差閾値以上であることとの論理積が真である場合、前記制約が生じていると判定する処理を含み、
    前記舵角速度変数は、前記転舵角の変化速度を示す変数である請求項1または2記載の転舵制御装置。
  4. 前記判定処理は、操舵トルクを取得する取得処理を含んで且つ、前記舵角速度変数の値の大きさが所定値以下であることと、前記制御量と前記目標制御量との差の大きさが差閾値以上であることと、前記操舵トルクの大きさが閾値以上であることとの論理積が真である場合、前記制約が生じていると判定する処理を含み、
    前記操舵トルクは、前記ステアリングホイールに入力されるトルクである請求項3記載の転舵制御装置。
  5. 前記操舵系は、前記転舵輪を転舵させるためのモータを備え、
    前記モータに印加される電圧を小さい側に制限する電圧制限処理を実行するように構成され、
    前記判定処理は、前記電圧制限処理が実行されている場合に前記制約が生じていると判定する処理を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
  6. 前記制御量は、前記転舵角を示す変数である転舵角変数である請求項1~5のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
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