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JP2023131756A - 車両用ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

車両用ブレーキ液圧制御装置 Download PDF

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JP2023131756A
JP2023131756A JP2022036698A JP2022036698A JP2023131756A JP 2023131756 A JP2023131756 A JP 2023131756A JP 2022036698 A JP2022036698 A JP 2022036698A JP 2022036698 A JP2022036698 A JP 2022036698A JP 2023131756 A JP2023131756 A JP 2023131756A
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拓洋 下野
Takuhiro Shimono
拓郎 児玉
Takuro Kodama
貴之 ▲濱▼中
Takayuki Hamanaka
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Abstract

【課題】ブレーキ液圧の加圧制御時にブレーキ操作子の操作が行われた際のブレーキフィーリングを向上させることができる車両用ブレーキ液圧制御装置を提供する。【解決手段】ブレーキ操作子の操作量に応じて作動液の液圧を発生させるマスタシリンダMと、供給された作動液の液圧によって作動する車輪ブレーキWと、の間に配置される液圧回路を備えている。車輪ブレーキWは、第1ホイールシリンダW1,W1と第2ホイールシリンダW2とを有しており、液圧回路は、マスタシリンダMから第1ホイールシリンダW1,W1に至る主液圧回路HP1と、主液圧回路HP1に設けられた常開型電磁弁及び常閉型電磁弁と、主液圧回路HP1における常開型電磁弁と第1ホイールシリンダW1,W1との間から分岐し、第2ホイールシリンダW2に至る加圧液圧回路HP2と、を備えた構成とした。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。特に、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)等、バーハンドルタイプの車両に搭載可能な車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。
特許文献1には、自動二輪車用のブレーキ制御システムにおいて、1系統の液圧回路に、アンチロックブレーキ制御用のポンプと作動液の液圧の加圧制御を行うための加圧用ポンプとを備えた技術が開示されている。
特許文献1のブレーキ制御システムは、作動液の液圧の加圧制御時にブレーキ操作子の操作が行われた場合の操作フィーリングを確保するために、ブレーキ液の流入を許容するストロークシミュレータを備えている。ストロークシミュレータは、マスタシリンダから加圧用ポンプに至る流路に設けられており、ブレーキ操作子の操作により発生する作動液の液圧を受けてストロークするように構成されている。
特許第6045816号公報
特許文献1のブレーキ制御システムは、前記のように、ストロークシミュレータにブレーキ液を流入させることで作動液の液圧の加圧制御時の操作フィーリングを確保している。しかしながら、実際のブレーキ操作子の操作量とホイールシリンダに作用する作動液の液圧とが異なるため、ブレーキ操作子の操作量と車体減速度が一致せず、運転者に違和感を与えてしまうおそれがあった。
本発明は、前記した課題を解決し、作動液の液圧の加圧制御時にブレーキ操作子の操作が行われた際のブレーキフィーリングを向上させることができる車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の車両用ブレーキ液圧制御装置は、ブレーキ操作子の操作量に応じて作動液の液圧を発生させるマスタシリンダと、供給された作動液の液圧によって作動する車輪ブレーキと、の間に配置される液圧回路を備えている。前記車輪ブレーキは、第1ホイールシリンダと第2ホイールシリンダとを有しており、前記液圧回路は、前記マスタシリンダから前記第1ホイールシリンダに至る主液圧回路と、前記主液圧回路に設けられた常開型電磁弁及び常閉型電磁弁と、前記主液圧回路における前記常開型電磁弁と前記第1ホイールシリンダとの間から分岐し、前記第2ホイールシリンダに至る加圧液圧回路と、を備えたことを特徴とする。
本発明では、マスタシリンダで発生した作動液の液圧が主液圧回路を通じて第1ホイールシリンダに作用する。一方、主液圧回路から分岐した加圧液圧回路を通じてマスタシリンダで発生した作動液の液圧が第2ホイールシリンダに作用する。つまり、作動液の液圧は、異なる経路を通って第1ホイールシリンダと第2ホイールシリンダとに対して作用することとなる。これにより、例えば、作動液の液圧の加圧制御により加圧液圧回路を通じて第2ホイールシリンダに作動液の液圧が作用している場合に、追加でブレーキ操作子が操作されると、ブレーキ操作子の操作に起因してマスタシリンダで発生した作動液の液圧が主液圧回路を通じて第1ホイールシリンダに作用する。すなわち、加圧制御により車輪ブレーキに作用していた作動液の液圧に加えて、ブレーキ操作子を操作した分の作動液の液圧が車輪ブレーキに加わることとなる。したがって、ブレーキ操作子の操作量と車体減速度とが一致し、良好なブレーキフィーリングが得られる。
また、例えば、ブレーキ操作子が操作されている場合に、作動液の液圧の加圧制御が追加で実行された際には、加圧液圧回路によりマスタシリンダから作動液が吸引され、加圧液圧回路を通じて第2ホイールシリンダに作動液の液圧が作用する。これにより、ブレーキ操作子が更に操作する方向に入り込むこととなる。したがって、ブレーキ操作子の操作量と車体減速度とが一致し、良好なブレーキフィーリングが得られる。
前記加圧液圧回路に加圧用ポンプを設けてもよい。この場合、前記加圧用ポンプは、開弁圧が大気圧より小さく設定されており、自己吸引可能であることが好ましい。
この構成では、加圧液圧回路に吸入用の制御弁を設ける必要がなくなり、液圧回路における制御弁の数を最小限に抑えることができるので、コストダウンを図ることができる。
また、前記加圧液圧回路は、前記主液圧回路との分岐部と前記加圧用ポンプの吸入側との間に加圧用リザーバを備え、前記加圧用リザーバには、初期状態において作動液が貯溜されていることが好ましい。
この構成では、例えば、作動液の液圧の自動加圧制御時に加圧用リザーバから作動液が吸引されるので、マスタシリンダから吸入する場合に比べて短い流路で吸引できる。また、作動液の液圧の自動加圧制御時にブレーキ操作子を操作すると、マスタシリンダからの作動液は、第1ホイールシリンダに作用するとともに加圧用リザーバに流入するので、ブレーキレバーからの入力が硬くなることを回避しつつブレーキ操作子の操作量と車体減速度が一致し、良好なブレーキフィーリングが得られる。
また、前記加圧液圧回路には、開弁圧を制御できる調圧弁が設けられることが好ましい。
この構成では、調圧弁を通じて加圧液圧回路のブレーキ液を還流でき、加圧液圧回路の調圧が可能になる。
また、前記加圧用リザーバは、ダイヤフラムと、前記ダイヤフラムが着座するプラグとを備え、前記ダイヤフラムにより貯液室と大気室とに区画されていることが好ましい。この場合、前記プラグは大気と連通する連通路を備えることが好ましい。
この構成では、ダイヤフラムの弾性変形を利用した簡単な構成で加圧用リザーバを構成できるので、部品点数及びコストを低減できる。
また、前記第1ホイールシリンダと前記第2ホイールシリンダとは、1つのキャリパーボディに備わることが好ましい。
この構成では、ダブルディスク仕様の車輪ブレーキと比べて部品点数及びコストを低減できる。
本発明に係る車両用ブレーキ液圧制御装置によれば、作動液の液圧の加圧制御時にブレーキ操作子の操作が行われた際のブレーキフィーリングを向上させることができる。
本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置に適用される前輪の車輪ブレーキに作用する液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置に備わる加圧用リザーバを示す図であり、(a)は貯液室にブレーキ液が貯溜された状態を示す断面図、(b)は貯液室からブレーキ液が吸引された状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、前輪の車輪ブレーキの昇圧時におけるブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、前輪の車輪ブレーキの減圧時におけるブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、前輪の車輪ブレーキにおけるアンチロックブレーキ制御時の減圧制御に係るブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、前輪の車輪ブレーキにおけるアンチロックブレーキ制御時の増圧制御に係るブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、前輪の車輪ブレーキにおけるアンチロックブレーキ制御時の保持制御に係るブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、後輪のブレーキ操作子の単独操作に連動して作動する前輪の車輪ブレーキの昇圧時におけるブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、後輪のブレーキ操作子の単独操作に連動して作動する前輪の車輪ブレーキの減圧時におけるブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、後輪のブレーキ操作子の単独操作に連動して作動する前輪の車輪ブレーキのアンチロックブレーキ制御時の減圧制御に係るブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、前輪のブレーキ操作子の操作後に後輪のブレーキ操作子が操作された場合の前輪の車輪ブレーキに係る昇圧時のブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、前輪のブレーキ操作子の操作後に後輪のブレーキ操作子が操作され、その後に前輪のブレーキ操作子がリリースされた場合の前輪の車輪ブレーキに係る減圧時のブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、前輪のブレーキ操作子の操作後に後輪のブレーキ操作子が操作された場合のアンチロックブレーキ制御時の減圧制御に係るブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、前輪のブレーキ操作子の操作後に後輪のブレーキ操作子が操作された場合のアンチロックブレーキ制御時の増圧制御に係るブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、後輪のブレーキ操作子の操作後に前輪のブレーキ操作子が操作された場合の前輪の車輪ブレーキに係る昇圧時のブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置において、後輪のブレーキ操作子の操作後に前輪のブレーキ操作子が操作され、その後に後輪のブレーキ操作子がリリースされた場合の前輪の車輪ブレーキに係る減圧時のブレーキ液の流れを示す液圧回路図である。
以下では、本発明の実施形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
図1に示すように、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置(以下、「ブレーキ制御装置)と称する)1は、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)等、バーハンドルタイプの車両に好適に用いられるものである。ブレーキ制御装置1が搭載される車両においては、前輪のブレーキユニットと後輪のブレーキユニットとがセパレートされていることが好ましい。本実施形態では、前輪の車輪ブレーキWに接続されるブレーキ系統Kを備えたブレーキ制御装置1について説明する。
ブレーキ制御装置1は、前輪の車輪ブレーキWに作用する作動液の液圧であるブレーキ液圧を調整するものであり、車輪ブレーキWに作用するブレーキ液圧を昇圧または減圧するアンチロックブレーキ非制御、アンチロックブレーキ制御、加圧制御、及び連動ブレーキ制御を実行可能である。なお、以下では、「加圧制御」として、連動ブレーキ制御時に実行される「自動加圧制御」を例に挙げて説明する。
車輪ブレーキWは、一対の第1ホイールシリンダW1,W1と第2ホイールシリンダW2とからなる3つのホイールシリンダを備えている。各ホイールシリンダW1,W1,W2は、1つのキャリパーボディに一体に設けられている。
ブレーキ制御装置1の液圧回路は、主液圧回路HP1と、主液圧回路HP1から分岐された加圧液圧回路HP2とを備えている。主液圧回路HP1は、入口弁2と、出口弁3と、リザーバ4と、ポンプ5と、モータ6とを備えている。一方、加圧液圧回路HP2は、加圧用リザーバ11と、加圧用ポンプ12と、レギュレータ(調圧弁)13と、センサ14とを備えている。なお、図示しない後輪のブレーキ系統は、加圧液圧回路HP2を備えていない点を除いて前輪のブレーキ系統Kと同様である。
以下では、マスタシリンダMに繋がり、マスタシリンダMから入口弁2に至る液路を「出力液圧路A」と称し、入口弁2から出口弁3及び出口ポート22(第1ホイールシリンダW1,W1)に至る流路を「車輪液圧路B」と称する。また、出口弁3からリザーバ4及びポンプ5に至る流路を「開放路C」と称する。また、ポンプ5から出力液圧路Aに至る流路を「吐出液圧路D」と称する。さらに、車輪液圧路Bから加圧液圧回路HP2へ分岐し加圧用リザーバ11及び加圧用ポンプ12に至る流路を「分岐液圧路E」と称する。また、加圧用ポンプ12から加圧出口ポート23(第2ホイールシリンダW2)に至る流路を「加圧液圧路F」と称する。また、分岐液圧路Eと加圧液圧路Fとの間を、レギュレータ13を介して繋ぐ流路を「連通液圧路G」と称する。なお、「上流側」とは、マスタシリンダM側のことを意味し、「下流側」とは、車輪ブレーキW側のことを意味する。
ブレーキ制御装置1の主液圧回路HP1は、入口ポート21から出口ポート22に至る回路である。入口ポート21には、液圧源であるマスタシリンダMに至る配管H1が接続され、出口ポート22には、車輪ブレーキWの第1ホイールシリンダW1,W1に至る配管H2が接続されている。
マスタシリンダMには、ブレーキ操作子(ブレーキレバー)L1が接続されている。マスタシリンダMは、運転者がブレーキ操作子L1に加えた力に応じたブレーキ液圧を発生する。マスタシリンダMは、配管H1、出力液圧路A、車輪液圧路B及び配管H2を介して車輪ブレーキWの第1ホイールシリンダW1,W1に接続されている。
マスタシリンダMに接続された液路(出力液圧路A及び車輪液圧路B)は、アンチロックブレーキ非制御時において、マスタシリンダMから第1ホイールシリンダW1,W1まで連通している。これにより、ブレーキ操作子L1の操作で発生したブレーキ液圧が第1ホイールシリンダW1,W1に伝達される。
マスタシリンダMと第1ホイールシリンダW1,W1とを繋ぐ液路上には、入口弁2が設けられている。
入口弁2は、常開型の電磁弁であり、例えば、開弁圧を電流により制御可能であるリニアソレノイド弁を用いる。入口弁2は、開弁状態にあるときに、マスタシリンダMからのブレーキ液圧が第1ホイールシリンダW1,W1へ伝達するのを許容する。また、入口弁2は、車輪がロックしそうになったときに制御装置50の制御により閉塞され、第1ホイールシリンダW1,W1へ加わるブレーキ液圧を遮断する。
入口弁2にはチェック弁2aが並列に接続されている。チェック弁2aは、第1ホイールシリンダW1,W1からマスタシリンダM側へのブレーキ液(作動液)の流入のみを許容する弁である。チェック弁2aは、ブレーキ操作子L1の入力が解除された場合に、入口弁2を閉じた状態にしたときにおいても、第1ホイールシリンダW1,W1側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入を許容する。チェック弁2aは入口弁2を構成する常開型電磁弁に一体的に備わる。
出口弁3は、常閉型電磁弁からなる。出口弁3は、第1ホイールシリンダW1,W1とリザーバ4との間(車輪液圧路Bと開放路Cとの間)に設けられている。出口弁3は、アンチロックブレーキ非制御時に閉塞されているが、前輪がロックしそうになったときに制御装置50により開放されることで、第1ホイールシリンダW1,W1へ作用するブレーキ液圧及び第2ホイールシリンダW2へ作用するブレーキ液圧をリザーバ4に逃がす。
リザーバ4は、出口弁3が開放されることによって逃がされるブレーキ液を一時的に貯溜する機能を有している。
ポンプ5は、電動モータ6により駆動される。ポンプ5は、開放路Cと出力液圧路Aとの間に介設されている。ポンプ5は、プランジャタイプのポンプである。ポンプ5は、開弁圧が大気圧よりも大きい吸入弁5a及び吐出弁5bを備えている。なお、電動モータ6は、加圧用ポンプ12を駆動するモータを兼用している。
ポンプ5は、リザーバ4に一時的に貯溜されたブレーキ液を吸入して出力液圧路Aに吐出する。つまり、ポンプ5は、リザーバ4側(開放路C側)のブレーキ液をマスタシリンダM側へ戻す機能を有している。
加圧液圧回路HP2は、車輪液圧路Bにおける分岐液圧路Eと分岐部24から加圧出口ポート23に至る回路である。加圧出口ポート23には、車輪ブレーキWの第2ホイールシリンダW2に至る配管H3が接続されている。
加圧用リザーバ11は、分岐液圧路Eの途中に設けられている。加圧用リザーバ11は、加圧用ポンプ12にブレーキ液を供給する役割をなす。加圧用リザーバ11は、図2(a)に示すように、ダイヤフラム110と、ダイヤフラム110が着座するとともにダイヤフラム110を固定するプラグ120とを備えている。加圧用リザーバ11は、ダイヤフラム110により貯液室11aと大気室11b(図2(b)参照)とに区画されている。加圧用リザーバ11は、初期状態(アンチロックブレーキ制御や連動ブレーキ制御などのブレーキ制御が実行されていない状態)においてブレーキ液が貯液室11aに貯溜されるように構成されている。貯液室11aには、分岐液圧路Eの上流側に通じる連通路E1と、分岐液圧路Eの下流側に通じる連通路E2とが連通している。プラグ120は大気側と連通する連通孔125を備える。ダイヤフラム110及びプラグ120は、ブレーキ制御装置1を構成する基体100の加圧用リザーバ装着穴101に装着されている。
ダイヤフラム110は、加圧用リザーバ装着穴101の内周面に密着する環状のシール部111と、シール部111の径方向内側に連続する薄膜部115とを備える。
シール部111は、加圧用リザーバ装着穴101の開口部と反対側に延在する環状のカップシール部112を備えている。シール部111は、加圧用ポンプ12の作動時に発生する負圧によって外部から空気を吸い込まないようにシールしている。
薄膜部115は、シール部111よりも薄く形成されており、シール部111から径方向内側に向けて円弧状に延在する立上部116と、立上部116の径方向内側に連続する平部117とを備えている。ダイヤフラム110で仕切られる貯液室11a内が負圧になると、立上部116が弾性変形して平部117がプラグ120から離座する(図2(b)参照)。平部117の下面には、プラグ120の着座面に対して平部117が密着するのを防ぐための環状のリブ118が形成されている。
プラグ120は、ダイヤフラム110を加圧用リザーバ装着穴101内(基体100内)に固定する部材であり、加圧用リザーバ装着穴101の開口部の内側に装着されている。プラグ120は、基部121と、嵌合部122と、抜け止め部123と、リップ部124と、連通孔125とを備えている。
嵌合部122は、径方向外側に延在するフランジ状を呈しており、加圧用リザーバ装着穴101の内周面に嵌合される。嵌合部122には、抜け止め用の係止リング126が係止される。抜け止め部123は、嵌合部122のフランジ面を利用して形成されている。抜け止め部123には、ダイヤフラム110のシール部111が外嵌されている。リップ部124は、抜け止め部123に連続しており、抜け止め部123から貯液室11a内に向けて膨出している。リップ部124の上端部は、円弧状となっている。リップ部124は、ダイヤフラム110の立上部116の下方に位置しており、貯液室11a内にマスタシリンダM側からのブレーキ液圧が作用した場合に、必要以上にダイヤフラム110が変形することを防止している。
加圧用ポンプ12は、電動モータ6により駆動されるポンプであり、分岐液圧路Eと加圧液圧路Fとの間に介設されている。加圧用ポンプ12は、サクション式のプランジャタイプのポンプである。加圧用ポンプ12は、開弁圧が大気圧よりも小さい吸入弁12a及び吐出弁12bを備えている。
加圧用ポンプ12は、加圧用リザーバ11に貯溜されたブレーキ液やマスタシリンダM側のブレーキ液を吸入して加圧液圧路Fに吐出する。これにより、連動ブレーキ制御時において前輪のブレーキ操作子L1を操作していない状態でも(後輪のブレーキ操作子の操作によって)、車輪ブレーキWの第2ホイールシリンダW2にブレーキ液圧を自動で作用させることが可能である。なお、後輪のブレーキ操作子は、ブレーキレバーやブレーキペダルである。
レギュレータ13は、連通液圧路Gに介設された常開型のリニアソレノイド弁である。レギュレータ13は、制御装置50からの指令に基づいて、ソレノイドを励磁すると閉弁し、ソレノイドを消磁すると開弁する。レギュレータ13は、ソレノイドへの通電電流の制御により開弁圧が調整される構成(リリーフ弁としての機能を併せ備えた構成)である。すなわち、レギュレータ13は、分岐液圧路Eと加圧液圧路Fとの差圧が開弁圧以上になったとき(加圧液圧路Fのブレーキ液圧が、分岐液圧路Eのブレーキ液圧に開弁圧を加えたブレーキ液圧以上となったとき)に、加圧用ポンプ12から加圧液圧路Fへ吐出したブレーキ液が、連通液圧路Gを通じて分岐液圧路Eである加圧用ポンプ12の吸入側に戻ること(還流すること)を許容する。
具体的に、レギュレータ13は、後記する加圧制御を行うときに、制御装置50の制御によって閉塞される。そして、レギュレータ13は、加圧液圧路Fのブレーキ液圧と分岐液圧路Eのブレーキ液圧との差圧が開弁圧以上に大きくなると開弁する。開弁により、連通液圧路Gを通じて加圧液圧路F側から分岐液圧路E側にブレーキ液が流れることになる。このように、レギュレータ13を通じて加圧液圧路F側から分岐液圧路E側にブレーキ液が流れることで、加圧液圧路F側のブレーキ液圧が所定圧に調整される。
例えば、レギュレータ13は、後記する後輪のブレーキ操作子の入力による連動ブレーキ制御において加圧制御を行うときに、後輪のブレーキ操作子の入力に応じた開弁圧となるようにソレノイドに通電される電流の大きさが調整される。
また、レギュレータ13は、同様の連動ブレーキ制御において後輪のブレーキ操作子のリリースによる減圧制御を行うときに、後輪のブレーキ操作子のリリースに基づいた開弁圧となるようにソレノイドに通電される電流の大きさが調整される。
さらに、レギュレータ13は、同様の連動ブレーキ制御中に、アンチロックブレーキ制御が要求された場合にも、アンチロックブレーキ制御の減圧、増圧あるいは保持に基づいた開弁圧となるようにソレノイドに通電される電流の大きさが調整される。
なお、レギュレータ13は、前輪のブレーキ操作子L1が単独で操作された場合、アンチロックブレーキ非制御時及びアンチロックブレーキ制御時のいずれにおいてもソレノイドが消磁され、開弁状態にされる。
また、レギュレータ13には、チェック弁13aが並列に接続されている。チェック弁13aは、マスタシリンダMから第2ホイールシリンダW2へのブレーキ液(作動液)の流入のみを許容する弁である。チェック弁13aは、ブレーキ操作子L1が入力された場合に、レギュレータ13を閉じた状態にしたときにおいても、マスタシリンダMから第2ホイールシリンダW2へのブレーキ液の流入を許容する。チェック弁13aは、レギュレータ13を構成する常開型電磁弁に一体的に備わる。
液圧センサ14は、分岐液圧路Eに配置されている。液圧センサ14は、分岐液圧路Eのブレーキ液圧、すなわち、マスタシリンダM側のブレーキ液圧の大きさを計測するものである。液圧センサ8で計測されたブレーキ液圧の値は、制御装置50に随時取り込まれ、制御装置50によりマスタシリンダMからブレーキ液圧が出力されているか否か、すなわち、前輪のブレーキ操作子L1が操作されているか否かが判定される。さらに、液圧センサ14で計測されたブレーキ液圧の大きさに基づいて、加圧制御等が行われる。
制御装置50は、液圧センサ14、図示しない車輪速センサ、車体の動きを計測する加速度センサ等の外界センサからの出力に基づいて、レギュレータ13、入口弁2、出口弁3の開閉、並びに、モータ6の駆動(ポンプ5及び加圧用ポンプ12の駆動)を制御する。
次に、ブレーキ制御装置1の液圧回路の作用について詳細に説明する。はじめに、前輪のブレーキ操作子L1が単独で操作された場合の液圧回路の作用について、図3A~図3Eを参照して説明する。図3A~図3Eにおいて、「太い実線」で示した液路は、マスタシリンダMで発生したブレーキ液圧(以下、マスタシリンダ圧と称す)に相当する液圧が作用している液路を示しており、「細い破線」で示した液路は、マスタシリンダ圧よりも小さい液圧が作用している液路を示している。
(アンチロックブレーキ非制御時)
前輪がロックする可能性のないアンチロックブレーキ非制御時においては、入口弁2、出口弁3及びレギュレータ13のソレノイドがいずれも制御装置50によって消磁される。つまり、図3Aに示すように、アンチロックブレーキ非制御時においては、入口弁2とレギュレータ13とが開弁状態になっており、出口弁3が閉弁状態になっている。
この状態で運転者が前輪のブレーキ操作子L1を操作すると、その操作力に起因して発生したブレーキ液圧が、図中太い実線で示すように、出力液圧路A及び車輪液圧路Bを通じて第1ホイールシリンダW1,W1に伝達されるともに、分岐液圧路E、連通液圧路G及び加圧液圧路Fを通じて第2ホイールシリンダW2に伝達される。これにより前輪が制動される。
一方、運転者が前輪のブレーキ操作子L1をリリースすると、図3Bに示すように、各液圧路を通じてマスタシリンダMにブレーキ液が戻り、第1ホイールシリンダW1,W1及び第2ホイールシリンダW2に伝達されていたブレーキ液圧がそれぞれ解除される。
(アンチロックブレーキ制御時)
アンチロックブレーキ制御は、前輪がロック状態に陥りそうになったときに実行されるものであり、車輪ブレーキWに作用するブレーキ液圧を減圧、増圧あるいは一定に保持する状態を適宜選択することによって実現される。なお、減圧、増圧及び保持のいずれを選択するかは、図示しない車輪速度センサから得られた車輪速度に基づいて、制御装置50によって判断される。なお、前輪のブレーキ操作子L1が単独で操作された場合のアンチロックブレーキ制御時には、分岐液圧路Eが負圧になることがないので、加圧用リザーバ11に貯溜されたブレーキ液が吸引されることがない。
前輪のブレーキ操作子L1を操作している最中に、前輪がロック状態に入りそうになると、制御装置50によりアンチロックブレーキ制御が開始される。なお、アンチロックブレーキ制御を実行する場合には、制御装置50によりモータ6が駆動されてポンプ5及び加圧用ポンプ12が駆動される。
アンチロックブレーキ制御時の減圧制御では、図3Cに示すように、制御装置50により入口弁2が閉弁状態にされるとともに、出口弁3が開弁状態にされる。また、レギュレータ13のソレノイドが制御装置50によって消磁されレギュレータ13が開弁状態に維持される。このようにすると、図中細い破線で示すように、車輪ブレーキWの第1ホイールシリンダW1,W1に通じるブレーキ液が車輪液圧路B及び開放路Cを通ってリザーバ4に流入する。また、車輪ブレーキWの第2ホイールシリンダW2に通じるブレーキ液が、加圧液圧路F、連通液圧路G、分岐液圧路E、車輪液圧路B及び開放路Cを通ってリザーバ4に流入する。その結果、第1ホイールシリンダW1,W1及び第2ホイールシリンダW2に作用していたブレーキ液圧が減圧される。なお、リザーバ4に一時的に貯溜されたブレーキ液は、ポンプ5により吸引されて吐出液圧路D及び出力液圧路Aを通じてマスタシリンダMに戻される。
この場合、加圧液圧回路HP2側では、加圧用ポンプ12の駆動により分岐液圧路Eから加圧液圧路Fに吐出されたブレーキ液が、連通液圧路Gのレギュレータ13を通じて分岐液圧路Eに還流されるので、加圧用ポンプ12の駆動による昇圧は生じない。
また、アンチロックブレーキ制御時の増圧制御では、図3Dに示すように、制御装置50により、入口弁2が増圧制御に基づく開弁圧に設定されるとともに、出口弁3が閉弁状態にされる。このようにすると、図中細い破線で示すように、前輪のブレーキ操作子L1の操作力に起因して発生したブレーキ液圧が入口弁2で所定の大きさに調整されて第1ホイールシリンダW1,W1に作用する。また、加圧液圧回路HP2側では、入口弁2で所定の大きさに調整されたブレーキ液圧が分岐液圧路E、チェック弁13a、加圧液圧路Fを通じて第2ホイールシリンダW2に作用する。その結果、車輪ブレーキWに作用するブレーキ液圧が増圧される。
この場合にも、加圧液圧回路HP2側では、加圧用ポンプ12の駆動により分岐液圧路E側から加圧液圧路F側に吐出されたブレーキ液が、連通液圧路Gのレギュレータ13を通じて分岐液圧路Eに還流されるので、加圧用ポンプ12の駆動による昇圧は生じない。
アンチロックブレーキ制御時の保持制御は、ブレーキ液圧を一定に保持する制御である。この保持制御では、図3Eに示すように、制御装置50により入口弁2及び出口弁3が閉弁状態にされる。このようにすると、図中細い破線で示すように、入口弁2によりマスタシリンダMからのブレーキ液圧が遮断される。そして、入口弁2及び出口弁3で閉じられた流路内にブレーキ液が閉じ込められる。その結果、第1ホイールシリンダW1,W1及び第2ホイールシリンダW2に作用していたブレーキ液圧が一定に保持される。
なお、閉じられた加圧液圧回路HP2内で加圧用ポンプ12が駆動されるだけであるので、この場合にも加圧用ポンプ12の駆動による昇圧は生じない。
次に、連動ブレーキ制御時の前輪の液圧回路の作用について、図4A~図4Cを参照して説明する。図4A~図4Cにおいて、「太い破線」で示した液路は、マスタシリンダ圧よりも大きい液圧が作用している液路を示している。
連動ブレーキ制御は、後輪のブレーキ操作子が操作された場合に、その操作による制動力の大きさに応じて実行されるものであり、加圧液圧回路HP2により第2ホイールシリンダW2にブレーキ液圧を作用させることによって実現される。なお、連動ブレーキ制御を実行するか否かは制御装置50によって判断される。
(連動ブレーキ制御におけるアンチロックブレーキ非制御時)
連動ブレーキ制御は、運転者が後輪のブレーキ操作子を操作した場合に前輪の車輪ブレーキW(ホイールシリンダW2)にブレーキ液圧を作用させる制御である。連動ブレーキ制御が実行されると、図4Aに示すように、電動モータ6が駆動され、前輪の加圧液圧回路HP2の加圧用ポンプ12が作動する。そして、後輪のブレーキ操作子の入力に応じた開弁圧を維持するようにレギュレータ13が調整される。
加圧用ポンプ12が作動すると、分岐液圧路Eが負圧になり、直近の加圧用リザーバ11からブレーキ液が吸引される。このとき加圧用リザーバ11では、図2(b)に示すように、ダイヤフラム110がプラグ120から離座し、貯液室11aから連通路E2を通ってブレーキ液が分岐液圧路Eに流出する。
加圧用ポンプ12の作動により発生したブレーキ液圧は、図4Aにおいて太い破線で示すように、加圧液圧路Fを通じて第2ホイールシリンダW2に伝達される。これにより、第2ホイールシリンダW2のブレーキ液圧が自動加圧制御される。このとき、開弁圧が調整されたレギュレータ13により、昇圧過多分のブレーキ液が連通液圧路Gを通じて分岐液圧路E側に還流される。これにより、加圧液圧路Fのブレーキ液圧が、後輪のブレーキ操作子の入力に応じたブレーキ液圧となるように調整される。
その後、運転者が後輪のブレーキ操作子をリリースすると、レギュレータ13の通電電流が下げられて開弁圧が調整され、図4Bに示すように、第2ホイールシリンダW2のブレーキ液は、連通液圧路Gを通じて分岐液圧路Eの加圧用リザーバ11に戻される。これにより、第2ホイールシリンダW2に伝達されていたブレーキ液圧が解除される。
(連動ブレーキ制御におけるアンチロックブレーキ制御時)
連動ブレーキ制御におけるアンチロックブレーキ制御は、連動ブレーキ制御時に前輪がロック状態に陥りそうになると実行されるものであり、第2ホイールシリンダW2に作用するブレーキ液圧を減圧、増圧あるいは一定に保持する状態を適宜選択することによって実現される。この場合にも、減圧、増圧及び保持のいずれを選択するかは、図示しない車輪速度センサから得られた車輪速度に基づいて、制御装置50によって判断される。
前輪のブレーキ操作子L1を操作せず後輪のブレーキ操作子のみを操作している状態で、加圧液圧回路HP2により連動ブレーキ制御(自動加圧制御)が実行されている最中に、前輪がロック状態に入りそうになると、制御装置50によりアンチロックブレーキ制御が開始される。
アンチロックブレーキ制御の減圧制御では、レギュレータ13の通電電流が下げられ開弁圧が低くなるように調整される。そうすると、図4Cに示すように、連通液圧路Gを通じて分岐液圧路Eの加圧用リザーバ11にブレーキ液が戻される。これにより、第2ホイールシリンダW2に伝達されていたブレーキ液圧が減圧される。この場合、マスタシリンダMからのブレーキ液が分岐液圧路Eに供給されないように、入口弁2を閉弁してもよい。
また、アンチロックブレーキ制御時の増圧制御では、レギュレータ13の通電電流が上げられ開弁圧が高くなるように調整される。そうすると、直近の加圧用リザーバ11からブレーキ液が吸引され、図4Aと同様に、加圧液圧路Fを通じて第2ホイールシリンダW2にブレーキ液圧が伝達される。これにより、第2ホイールシリンダW2が増圧される。なお、開弁圧が調整されたレギュレータ13により、増圧過多分のブレーキ液が連通液圧路Gを通じて分岐液圧路E側に還流される。
また、アンチロックブレーキ制御時の保持制御では、レギュレータ13の通電電流が保持され、開弁圧が保持される。そうすると、図4Aにおいて太い破線で示すように、加圧液圧路Fのブレーキ液圧が閉じ込められる。その結果、第2ホイールシリンダW2に作用していたブレーキ液圧が一定に保持される。保持過多分のブレーキ液は、開弁圧が調整されたレギュレータ13により、連通液圧路Gを通じて分岐液圧路E側に還流される。なお、マスタシリンダMからのブレーキ液が分岐液圧路Eに供給されないように、入口弁2を閉弁してもよい。
次に、前輪のブレーキ操作子L1が先に操作され、続けて後輪のブレーキ操作子が追加で操作された場合(追加入力された場合)の前輪の液圧回路の作用について図5A、図5Bを参照して説明する。図5A、図5Bにおいて、「太い実線」で示した液路は、前記と同様である。また、「太い破線」で示した液路は、マスタシリンダ圧よりも大きい液圧が作用している液路を示している。
前輪のブレーキ操作子L1が操作されると、前記したように、その操作力に起因して発生したブレーキ液圧が、出力液圧路A及び車輪液圧路Bを通じて第1ホイールシリンダW1,W1に伝達されるともに、分岐液圧路E、連通液圧路G及び加圧液圧路Fを通じて第2ホイールシリンダW2に伝達される(図3A参照)。
この状態から後輪のブレーキ操作子が操作され、連動ブレーキ制御(自動加圧制御)が実行されると、図5Aに示すように、レギュレータ13が開弁状態になるとともに、電動モータ6が駆動され加圧用ポンプ12が作動する。そうすると、マスタシリンダMからブレーキ液が吸引され、分岐液圧路Eから加圧用ポンプ12を介して加圧液圧路Fにブレーキ液が吐出され、連動ブレーキ制御による分、加圧液圧路Fが昇圧される。この場合、前輪のブレーキ操作子L1が操作されている状態から加圧用ポンプ12の駆動によりブレーキ液が吸引されるので、前輪のブレーキ操作子L1が操作方向にさらに入り込む状態となる。なお、加圧用リザーバ11は、マスタシリンダ圧により大気側に押し付けられた状態となっている。
このような状態から、例えば、前輪のブレーキ操作子L1がリリースされると、図5Bに示すように、マスタシリンダMにより第1ホイールシリンダW1,W1及び第2ホイールシリンダW2に伝達されていたブレーキ液圧がそれぞれ減圧され、各液圧路を通じてマスタシリンダMにブレーキ液が戻る。後輪のブレーキ操作子が操作された状態のままであれば、前輪のブレーキ操作子L1がリリースされても、連動ブレーキ制御による開弁圧をレギュレータ13が維持した状態で加圧用ポンプ12が作動し続けるので、加圧用ポンプ12の作動により発生したブレーキ液圧が、図中太い破線で示すように、加圧液圧路Fを通じて第2ホイールシリンダW2に伝達される。これにより、後輪のブレーキ操作子の入力に応じたブレーキ液圧で前輪が制動される。
次に、前輪のブレーキ操作子L1が先に操作され、続けて後輪のブレーキ操作子が追加で操作された場合(追加入力された場合)のアンチロックブレーキ制御について図5C、図5Dを参照して説明する。図5C、図5Dにおいて、「太い実線」、「細い破線」で示した液路は、前記と同様である。また、「太い二点鎖線」で示した液路は、マスタシリンダ圧よりも小さく、「細い破線」の液路の液圧よりも大きい液圧が作用している液路を示している。
この場合のアンチロックブレーキ制御も、前輪がロック状態に陥りそうになると実行されるものであり、第1ホイールシリンダW1,W1、第2ホイールシリンダW2に作用するブレーキ液圧を減圧、増圧あるいは一定に保持する状態を適宜選択することによって実現される。なお、減圧、増圧及び保持のいずれを選択するかは、図示しない車輪速度センサから得られた車輪速度に基づいて、制御装置50によって判断される。
アンチロックブレーキ制御時の減圧制御では、図5Cに示すように、前記と同様に主液圧回路HP1において、制御装置50により入口弁2が閉弁状態にされるとともに、出口弁3が開弁状態にされる。これにより、第1ホイールシリンダW1,W1に通じるブレーキ液が車輪液圧路B及び開放路Cを通ってリザーバ4に流入する。
一方、加圧液圧回路HP2では、レギュレータ13の通電電流が下げられ開弁圧が低くなるように調整される。これにより、加圧液圧路F、連通液圧路G、分岐液圧路E、車輪液圧路B及び開放路Cを通ってリザーバ4にブレーキ液が流入する。その結果、第1ホイールシリンダW1,W1及び第2ホイールシリンダW2に作用していたブレーキ液圧が減圧される。なお、減圧制御は、加圧用リザーバ11のダイヤフラム110が大気側に押し付けられた状態で行われるので、減圧制御時に加圧用リザーバ11にブレーキ液が流入することはない。
アンチロックブレーキ制御時の増圧制御では、図5Dに示すように、入口弁2が増圧制御に基づく開弁圧に設定されるとともに、出口弁3が閉弁状態にされる。このようにすると、前輪のブレーキ操作子L1の操作力に起因して発生したブレーキ液圧が入口弁2で所定の大きさに調整されて第1ホイールシリンダW1,W1に作用する。また、加圧液圧回路HP2側では、レギュレータ13の通電電流が上げられ開弁圧が高くなるように調整される。これにより、入口弁2で所定の大きさに調整されたブレーキ液圧が分岐液圧路Eを通じて加圧用ポンプ12に吸引され、図5Dに太い二点鎖線で示すように、加圧液圧路Fを通じて増圧されたブレーキ液が第2ホイールシリンダW2に伝達される。なお、開弁圧が調整されたレギュレータ13により、増圧過多分のブレーキ液が連通液圧路Gを通じて分岐液圧路E側に還流される。
また、アンチロックブレーキ制御時の保持制御では、制御装置50により入口弁2及び出口弁3が閉弁状態にされる。このようにすると、入口弁2によりマスタシリンダMからのブレーキ液圧が遮断される。そして、入口弁2及び出口弁3で閉じられた流路内にブレーキ液が閉じ込められる。その結果、主液圧回路HP1では、第1ホイールシリンダW1,W1に作用していたブレーキ液圧が一定に保持される。
また、加圧液圧回路HP2では、レギュレータ13の通電電流が保持され、開弁圧が保持される。そうすると、図5Dに太い二点鎖線で示すように、加圧液圧路Fのブレーキ液圧が閉じ込められる。その結果、第2ホイールシリンダW2に作用していたブレーキ液圧が一定に保持される。なお、開弁圧が調整されたレギュレータ13により、保持過多分のブレーキ液が連通液圧路Gを通じて分岐液圧路E側に還流される。
次に、後輪のブレーキ操作子が先に操作され、続けて前輪のブレーキ操作子L1が操作された場合(追加入力された場合)の前輪の液圧回路の作用について図6A、図6Bを参照して説明する。図6A、図6Bにおいて、「太い実線」、「太い破線」で示した液路は、前記と同様である。
後輪のブレーキ操作子が操作されると、前記したように、電動モータ6が駆動され、加圧用ポンプ12が作動する。そして、後輪のブレーキ操作子の入力に応じた開弁圧を維持するようにレギュレータ13が調整される(図4A参照)。
加圧用ポンプ12が作動すると、分岐液圧路Eが負圧になり、直近の加圧用リザーバ11からブレーキ液が吸引される。これにより、のダイヤフラム110がプラグ120から離座する(図2(b)参照)。
この状態から追加で前輪のブレーキ操作子L1が操作されると、図6Aに示すように、その操作力に起因して発生したブレーキ液圧が、図中太い実線で示すように、出力液圧路A及び車輪液圧路Bを通じて第1ホイールシリンダW1,W1に伝達され、離座していたダイヤフラムは初期位置に戻される。これにより、前輪のブレーキ操作子L1の追加入力時に前輪のブレーキ操作子L1の操作感が固くなるという現象が緩和される。
一方、前輪のブレーキ操作子L1の操作に起因して、加圧液圧回路HP2では、車輪液圧路Bから分岐液圧路Eにブレーキ液が流入し、加圧用リザーバ11にブレーキ液が流入する。これにより、前輪のブレーキ操作子L1が操作方向にさらに入り込む状態となる。
このような状態から、例えば、後輪のブレーキ操作子がリリースされると、レギュレータ13の通電電流が下げられて開弁圧が調整され、図6Bに太い実線で示すように、加圧液圧路Fに作用していた加圧用ポンプ12による昇圧されたブレーキ液が連通液圧路G、分岐液圧路E、車輪液圧路B及び出力液圧路Aを通じてマスタシリンダMに戻される。これにより、後輪のブレーキ操作子により第2ホイールシリンダW2に伝達されていたブレーキ液圧が解除され、前輪のブレーキ操作子L1の入力に応じたブレーキ液圧で前輪が制動される。
なお、後輪のブレーキ操作子が先に操作され、続けて前輪のブレーキ操作子L1が操作された場合のアンチロックブレーキ制御における前輪の液圧回路の作用は、前記した図5C、図5Dに基づいて説明した作用と同一であるので、説明は省略する。
以上説明した本実施形態のブレーキ制御装置1によれば、マスタシリンダ圧が主液圧回路HP1を通じて第1ホイールシリンダW1,W1に作用する。一方、第2ホイールシリンダW2に対しては、主液圧回路HP1から分岐した加圧液圧回路HP2を通じてブレーキ液圧が作用する。つまり、ブレーキ液圧は、異なる経路を通って第1ホイールシリンダW1,W1と第2ホイールシリンダW2とに対して作用することとなる。
これにより、後輪のブレーキ操作子の操作により第2ホイールシリンダW2にブレーキ液圧が作用している、前輪の自動加圧制御時に、追加で前輪のブレーキ操作子L1を操作すると、マスタシリンダ圧は主液圧回路HP1を通じて第1ホイールシリンダW1,W1に作用する。すなわち、ブレーキ液圧の自動加圧制御により、車輪ブレーキWに作用していたブレーキ液圧に加えて後輪のブレーキ操作子を操作した分のブレーキ液圧が車輪ブレーキWに加わることとなる。したがって、前輪のブレーキ操作子L1の操作量と車体減速度とが一致し、良好なブレーキフィーリングが得られる。
また、前輪のブレーキ操作子L1が操作されている場合に、後輪のブレーキ操作子の操作によるブレーキ液圧の自動加圧制御が実行された際には、加圧液圧回路HP2に設けられた加圧用ポンプ12によりマスタシリンダMからブレーキ液が吸引され、加圧液圧回路HP2を通じて第2ホイールシリンダW2に作用する。これにより、前輪のブレーキ操作子L1が更に操作する方向に入り込むこととなる。したがって、前輪のブレーキ操作子L1の操作量と車体減速度とが一致し、良好なブレーキフィーリングが得られる。
また、加圧用ポンプ12は、開弁圧が大気圧より小さく設定されており、自己吸引可能であるので、加圧液圧回路HP2に吸入用の制御弁を設ける必要がなくなり、液圧回路における制御弁の数を最小限に抑えることができるので、コストダウンを図ることができる。
また、ブレーキ液圧の自動加圧制御時に加圧用リザーバ11からブレーキ液が吸引されるので、マスタシリンダMから吸入する場合に比べて短い流路で吸引できる。また、ブレーキ液圧の自動加圧制御時に前輪のブレーキ操作子L1を操作すると、マスタシリンダMからのブレーキ液は、第1ホイールシリンダW1,W1に作用するとともに加圧用リザーバ11に流入するので、ブレーキレバーからの入力が硬くなることを回避しつつ前輪のブレーキ操作子L1の操作量と車体減速度が一致し、良好なブレーキフィーリングが得られる。
また、加圧液圧回路HP2にレギュレータ13が設けられているので、レギュレータ13を通じて加圧液圧回路HP2のブレーキ液を還流でき、加圧液圧回路HP2の調圧が可能である。
また、ダイヤフラム110の弾性変形を利用した簡単な構成で加圧用リザーバ11が構成されているので、部品点数及びコストを低減できる。
また、第1ホイールシリンダW1,W1と第2ホイールシリンダW2とは、1つのキャリパーボディに備わるので、ダブルディスク仕様の車輪ブレーキと比べて部品点数及びコストを低減できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
前記実施形態では、前輪側の液圧回路に加圧液圧回路HP2を設けたが、これに限られることはなく、後輪側の液圧回路に加圧液圧回路HP2を設けてもよく、また、前輪と後輪の両方の液圧回路に加圧液圧回路HP2をそれぞれ設けてもよい。
また、加圧用リザーバ11は、自動加圧制御に備えてブレーキ液を蓄えることができるものであればよく、種々の形態、形状のものを採用することができる。
また、前記実施形態では、「加圧制御」として、連動ブレーキ制御時に実行される「自動加圧制御」を例に挙げて説明したが、これに限られることはなく、連動ブレーキ制御以外の制御時、例えば、後輪のブレーキ操作子の操作に起因せずに加圧液圧回路HP2が自動加圧されるものであってもよい。
1 車両用ブレーキ液圧制御装置(ブレーキ制御装置)
2 入口弁
3 出口弁
4 リザーバ
5 ポンプ
11 加圧用リザーバ
11a 貯液室
11b 大気室
12 加圧用ポンプ
13 レギュレータ
24 分岐部
110 ダイヤフラム
120 プラグ
125 連通路
HP1 主液圧回路
HP2 加圧液圧回路
L1 前輪のブレーキ操作子
M マスタシリンダ
W 車輪ブレーキ
W1 第1ホイールシリンダ
W2 第2ホイールシリンダ

Claims (6)

  1. ブレーキ操作子の操作量に応じて作動液の液圧を発生させるマスタシリンダと、供給された作動液の液圧によって作動する車輪ブレーキと、の間に配置される液圧回路を備えたブレーキ液圧制御装置であって、
    前記車輪ブレーキは、第1ホイールシリンダと第2ホイールシリンダとを有しており、
    前記液圧回路は、
    前記マスタシリンダから前記第1ホイールシリンダに至る主液圧回路と、
    前記主液圧回路に設けられた常開型電磁弁及び常閉型電磁弁と、
    前記主液圧回路における前記常開型電磁弁と前記第1ホイールシリンダとの間から分岐し、前記第2ホイールシリンダに至る加圧液圧回路と、を備えたことを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置において、
    前記加圧液圧回路には加圧用ポンプが設けられており、
    前記加圧用ポンプは、開弁圧が大気圧より小さい吸入弁を備えており、自己吸引可能であることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置において、
    前記加圧液圧回路は、前記主液圧回路との分岐部と前記加圧用ポンプの吸入側との間に加圧用リザーバを備え、
    前記加圧用リザーバには、初期状態において作動液が貯溜されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置において、
    前記加圧液圧回路には、開弁圧を制御できる調圧弁が設けられることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置において、
    前記加圧用リザーバは、ダイヤフラムと、前記ダイヤフラムが着座するプラグとを備え、前記ダイヤフラムにより貯液室と大気室とに区画されており、
    前記プラグは大気と連通する連通路を備えることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置において、
    前記第1ホイールシリンダと前記第2ホイールシリンダとは、1つのキャリパーボディに備わることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
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