JP2023029562A - 杭基礎構造 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に開示されたような構成では、杭の外周面に溶接固定したセッティングプレートにクロスガセットを接合しなければならず、クロスガセットの設置に手間がかかり、構築が容易ではない。
特許文献2に開示されたような構成では、基礎杭と基礎部材との間にキャップ部材が介在しているので、上部構造側から基礎杭への力が十分に伝達されない可能性がある。
特許文献3に開示されたような構成では、上部構造に生じる力を基礎杭に効率良く伝達し、接合部における靱性と接合強度とを、より一層高める点で改善の余地がある。
すなわち、本発明の杭基礎構造は、基礎杭と鋼製柱が接合される杭基礎構造であって、コンクリート造の基礎杭と、前記鋼製柱の最下端に設けられる鉄骨仕口材と、前記基礎杭と前記鉄骨仕口材との間に設けられ、当該基礎杭と当該鉄骨仕口材とを接合する基礎コンクリート部と、を備え、前記鉄骨仕口材には、前記基礎杭の外径寸法を上回る下部プレートが配設されていることを特徴とする。
このような構成によれば、鋼製柱に生じる力を、鋼製柱から鉄骨仕口材を介して基礎杭にスムーズに伝達可能である。
また、基礎杭と鉄骨仕口材が基礎コンクリート部で接合されていることで、基礎杭上に配置される鉄骨仕口材、及び鉄骨仕口材に接続される鋼製柱の建込み位置を容易に調整できる。特に、鉄骨仕口材には、基礎杭の外径寸法を上回る下部プレートが配設されているため、基礎杭の外側で下部プレートを、高さを調整しつつ支持することができ、したがって鉄骨仕口材の高さ調整が容易である。
特にこのように、基礎杭の外側で下部プレートを、高さを調整しつつ支持することができるため、鉄骨仕口材を固定支持した状態でこの上に鋼製柱を立設し、例えばこの上に屋根を架設した後に、基礎杭と鉄骨仕口材との間に基礎コンクリート部を打設することができる。この場合においては、コンクリート打設時に天候の影響を抑制できるため、施工が容易となるとともに、工程管理が安定化されることで施工の長期化を抑制可能である。
また、基礎杭と上部構造とを接続する杭基礎構造を、比較的に簡単な接合構造で形成できるため、短工期化が可能である。
その結果、鋼製柱と基礎杭の接合部の構築を容易にして施工を短工期化し、上部構造に生じる力を基礎杭にスムーズに伝達可能な杭基礎構造を提供することが可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明による杭基礎構造を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る杭基礎構造の構成を示す断面図を図1に示す。図2は、図1の杭基礎構造に用いられる鉄骨仕口材の平面図である。
図1に示されるように、杭基礎構造10は、基礎杭11と、鉄骨仕口材20と、基礎コンクリート部30と、を主に備えている。
基礎杭11は、建物等の上部構造を支持する。基礎杭11は、地盤G中に所定本数が構築され、それぞれ上下方向に延びている。基礎杭11はコンクリート造である。本実施形態において、基礎杭11は、上下方向に連続する筒状の既成コンクリート杭である。基礎杭11は、既成コンクリート杭に限らず、杭鋼管と、杭鋼管内にコンクリートが充填された鋼管充填コンクリート杭であってもよい。
これら複数本の基礎杭11と、基礎杭11上に設けられた基礎梁13とにより、建物等の上部構造を支持する基礎部14が形成されている。
図1、図2に示されるように、下部プレート21は、例えば平面視矩形の平板状で、その外径寸法が、基礎杭11の頭部11tの外径寸法を上回る(頭部11tの外径寸法よりも大きい)。下部プレート21は、複数本の支持部材26によって、基礎梁13の下面レベルで水平面内に位置するよう設けられている。複数本の支持部材26は、例えば、下部プレート21の四隅に配置されている。各支持部材26は、例えば平断面視L字状の鋼材からなり、その上端が下部プレート21の下端面21bに溶接されている。各支持部材26は、下部プレート21から下方に延び、その下端が、凹部15内のレベルコンクリート部16上に接地している。
上部プレート23は、例えば平面視矩形の平板状で、仕口本体部22の上面に溶接されて設けられている。上部プレート23は、基礎梁13の上面レベルに設けられている。上部プレート23上には、鋼製柱12の下端が接合される。上部プレート23には、鋼製柱12の下端を接合するための貫通孔23hが形成されている。
スタッド材27は、下部プレート21の下側に、水平方向に間隔を複数本が設けられている。各スタッド材27は、基端が下部プレート21の下端面21bに溶接され、下方に向かって突出している。各スタッド材27の先端には、拡径部27aが形成されている。スタッド材27は、後述する基礎コンクリート部30に埋設されることで、下部プレート21と基礎コンクリート部30との間で水平力を伝達可能となっている。
スタッド材29は、連結材25の側面25sに、上下方向に間隔をあけて複数本が設けられている。各スタッド材29は、基端が連結材25の側面25sに溶接され、側方に向かって突出している。各スタッド材29の先端には、拡径部29aが形成されている。スタッド材29は、基礎コンクリート部30の、特に基礎杭11内に位置する杭コンクリート部31に埋設されている。これにより、スタッド材29は、連結材25と杭コンクリート部31との間で、上下方向の軸力を伝達可能となっている。
基礎コンクリート部30内には、基礎鉄筋35が埋設されている。基礎鉄筋35は、凹部15の底面15aに沿って配設された鉄筋主部35aと、鉄筋主部35aから外周側に向かって斜め上方に延びる接続筋部35bと、を有している。接続筋部35bは、凹部15の傾斜面15bに沿って配置されている。接続筋部35bは、基礎コンクリート部30よりも上方に突出し、基礎梁13の梁コンクリート部18内に埋設されている。この基礎鉄筋35により、基礎コンクリート部30と基礎梁13との接合強度が高められている。
次に、上記杭基礎構造10の構築方法について説明する。
図3は、図1の杭基礎構造の施工方法を示す図であり、地盤中に基礎杭を設けた状態を示す断面図である。図4は、基礎杭の上方に鉄筋仕口材を配置した状態を示す断面図である。図5は、基礎コンクリート部を形成した状態を示す断面図である。
まず、図3に示されるように、地盤面Gfの所定位置に凹部15を形成する。次いで、凹部15の底面15aから地盤G中に基礎杭11を打設する。基礎杭11の打設後、基礎杭11の頭部11tの外周側にコンクリートを所定厚さで打設し、レベルコンクリート部16を形成する。
次に、図4に示されるように、基礎杭11の上方に、鉄骨仕口材20を配置する。このとき、鉄骨仕口材20の、下部プレート21、仕口本体部22、上部プレート23、支持部材26、連結材25、スタッド材27、29等は、予め、工場や現場ヤードで一体に接合されている。鉄骨仕口材20は、複数本の支持部材26を、レベルコンクリート部16上に接地させることで、基礎杭11の上方に配置する。このとき、連結材25の下部は、基礎杭11の頭部11t内に挿入する。また、支持部材26の長さを調整したり、支持部材26の下端とレベルコンクリート部16との間にスペーサを挟み込む等して、下部プレート21のレベル調整を行い、下部プレート21を地盤面Gfと同レベルに配置する。
ここで、下部プレート21は、基礎杭11の頭部11tの外径寸法よりも大きな外径を有しているため、その四隅に配置された支持部材26は、基礎杭11の頭部11tの外周側で、凹部15の底面15a上に形成されたレベルコンクリート部16上に接地させることができる。したがって、下部プレート21のレベル調整を容易に行うことができる。また、連結材25は、その外径が基礎杭11の内径よりも小さいため、鉄骨仕口材20の水平面内における位置は、連結材25が基礎杭11に干渉しない範囲無いで容易に調整することができる。よって、柱の軸心CAに対して基礎杭11の杭心CBがずれるように、基礎杭11が施工されていた場合でも、図4に示すように、鉄骨仕口材20上に設けられる鋼製柱12の建方位置を容易に調整できる。
続いて、凹部15内に、基礎鉄筋35を配筋する。
一方、図1に示すように、地盤面Gf上で、各基礎梁13の梁鉄筋19を配筋する。その後、図示しない型枠を組み立て、型枠内にコンクリートを打設することで、梁コンクリート部18を形成する。これにより、基礎梁13が形成される。
このようにして、上記杭基礎構造10が実現される。
このような構成によれば、鋼製柱12に生じる力を、鋼製柱12から鉄骨仕口材20を介して基礎杭11にスムーズに伝達可能である。
また、基礎杭11と鉄骨仕口材20が基礎コンクリート部30で接合されていることで、基礎杭11上に配置される鉄骨仕口材20、及び鉄骨仕口材20に接続される鋼製柱12の建込位置を容易に調整できる。特に、鉄骨仕口材20には、基礎杭11の外径寸法を上回る下部プレート21が配設されているため、基礎杭11の外側で下部プレート21を、例えば本実施形態において支持部材26として示したように、高さを調整しつつ支持することができ、したがって鉄骨仕口材20の高さ調整が容易である。
特にこのように、基礎杭11の外側で下部プレート21を、高さを調整しつつ支持することができるため、図5を用いて説明したように、鉄骨仕口材20を固定支持した状態でこの上に鋼製柱12を立設して屋根を架設した後に、基礎コンクリート部30を打設することができる。この場合においては、コンクリート打設時に天候の影響を抑制できるため、施工が容易となるとともに、工程管理が安定化されることで施工の長期化を抑制可能である。
また、基礎杭11と上部構造とを接続する杭基礎構造10を、比較的に簡単な接合構造で形成できるため、短工期が可能である。
その結果、鋼製柱12と基礎杭11の接合部の構築を容易にして施工を短工期化し、上部構造に生じる力を基礎杭11にスムーズに伝達可能な、優れた靭性と高い接合強度とを備えた杭基礎構造を実現できる。
連結材25が設けられていない場合に、鋼製柱12の柱脚にせん断力Qpと曲げモーメントMpが作用すると、これらはアンカーボルト40のせん断力Qaと引張力Naによって、基礎に伝達される。このため、アンカーボルト40としては大径のものが使用される。
これに対し、杭基礎構造に連結材25が設けられ、かつ連結材25の下端が基礎杭11に埋設されている場合においては、鋼製柱12の柱脚に生じるせん断力Qpは基礎へ、かつ杭へと伝達される(図6(b)のせん断力Qc)。このため、アンカーボルト40は、曲げモーメントMpにより作用する引張力Naのみを負担すればよい。
このように、連結材25を設けることにより、アンカーボルト40を用いた場合においてはアンカーボルト40の合理化が図れる。
このような構成によれば、基礎杭11と、鋼製柱12を含む上部構造との間においては、地震発生時に地震荷重が水平方向に作用した際には、基礎杭11に埋設された連結材25は、その周囲の基礎杭11によって水平方向における変位が拘束される。また、地盤面Gf下に配置された基礎コンクリート部30は、その周りの地盤Gにより、水平方向における変位が拘束される。このようにして、鉄骨仕口材20を構成する連結材25と、基礎コンクリート部30と、基礎コンクリート部30周りの地盤Gとが、地震荷重の伝達抵抗体として機能する。このように、連結材25または基礎コンクリート部30の構造を簡素化、小型化しながら、地震発生時における上部構造から基礎杭11および基礎コンクリート部30への力の伝達をスムーズに行い、地震に対する耐力を高めることができる。
また、基礎コンクリート部30の少なくとも一部を地盤面Gf下に配置することで、基礎コンクリート部30を全て地盤面Gf上に配置する場合に比べて、杭基礎構造10の高さを低くできる。したがって、建設場所ごとの建築基準法に基づく建物高さの制限下に多くの建物階数を設けることができる。
さらに、基礎コンクリート部30の少なくとも一部を地盤面Gf下に配置することで、基礎コンクリート部30と接する地盤Gが型枠を兼ねることができる。
このような構成によれば、下部プレート21から基礎コンクリート部30への力の伝達、連結材25から基礎杭11への力の伝達を、スタッド材27、29を介して効率良く行うことができる。
なお、本発明の杭基礎構造は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、基礎杭11の頭部11tに、鉄骨仕口材20を介して四方に延びる四本の基礎梁13が接合されるようにしたが、これに限らない。例えば、図7に示すように、基礎杭11の頭部11tに、鉄骨仕口材20Bを介して二本の基礎梁13を接合するようにしてもよい。この場合、仕口本体部22Bは、各基礎梁13に向かって延びる梁接合部24を、二つ備える。各梁接合部24は、平面視T字状であるので、二つの梁接合部24を有する仕口本体部22は、平面視すると略H型をなすH型鋼材によって形成することもできる。
上記実施形態では、基礎梁13を鉄筋コンクリート造としたが、これに限らない。例えば、図8に示すように、基礎梁13Cを、鉄骨造としてもよい。この場合、基礎梁13Cを形成する梁鉄骨は、鉄骨仕口材20において梁鉄骨と同様の断面形状とされた仕口本体部22Cの梁接合部24Cに、ジョインプレート28を介してボルト接合される。
また、上記実施形態では、仕口本体部22を、平面視十文字型状としたが、これに限らない。図9に示すように、鉄骨仕口材20Dの仕口本体部22Dを、平面視矩形で上下方向に延びる筒状とし、その外周面に、各基礎梁13Dを構成する梁鉄骨が接続されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、鋼製柱12の下端を、上部プレート23に直接ボルト接合するようにしたが、これに限らない。例えば図10に示すように、上部プレート23上に、例えば断面T字状、L字状のジョイント金具60を設け、ジョイント金具60を、上部プレート23の貫通孔23hを通して上部プレート23にボルト接合するとともに、鋼製柱12をジョイント金具60にボルト接合するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、下部プレート21の下端面21bと、連結材25の側面とに、それぞれスタッド材27、29を設けるようにしたが、何れか一方のスタッド材27、29のみを備えるようにしてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
11 基礎杭 25 連結材
12 鋼製柱 27、29 スタッド材
15 凹部 30 基礎コンクリート部
20、20B、20C、20D 鉄骨仕口材 G 地盤
21 下部プレート Gf 地盤面
Claims (1)
- 基礎杭と鋼製柱が接合される杭基礎構造であって、
コンクリート造の基礎杭と、
前記鋼製柱の最下端に設けられる鉄骨仕口材と、
前記基礎杭と前記鉄骨仕口材との間に設けられ、当該基礎杭と当該鉄骨仕口材とを接合する基礎コンクリート部と、を備え、
前記鉄骨仕口材には、前記基礎杭の外径寸法を上回る下部プレートが配設されていることを特徴とする杭基礎構造。
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