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JP2022534436A - 大腸がんの検出 - Google Patents

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JP2022534436A JP2021571352A JP2021571352A JP2022534436A JP 2022534436 A JP2022534436 A JP 2022534436A JP 2021571352 A JP2021571352 A JP 2021571352A JP 2021571352 A JP2021571352 A JP 2021571352A JP 2022534436 A JP2022534436 A JP 2022534436A
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Abstract

本開示は、とりわけ、大腸がんの検出方法(スクリーニングなど)と、それに関連する組成物に関する。種々の実施形態において、本開示は、1つ以上のメチル化バイオマーカーのメチル化状態を分析する工程を含む大腸がんのスクリーニング方法と、それに関連する組成物を提供する。種々の実施形態において、本開示は、cfDNA(ctDNAなど)中にある1つ以上のメチル化バイオマーカーのメチル化状態を検出する工程(スクリーニングする工程など)を含む、大腸がんの検出方法(スクリーニングなど)を提供する。種々の実施形態において、本開示は、cfDNA(ctDNAなど)中にある1つ以上のメチル化バイオマーカーのメチル化状態をMSRE-qPCRによって検出する工程(スクリーニングする工程など)を含む、大腸がんのスクリーニング方法を提供する。

Description

がんのスクリーニングは、がんの予防、診断および処置の重要な要素である。いくつかの報告によると、大腸がん(CRC:colorectal cancer)は、世界で3番目に多いがんの種類であり、がん死亡率の原因として世界で2番目に多いと認識されている。いくつかの報告によると、大腸がんの新規症例は年間180万例以上、大腸がんによる死亡者は約881,000人であり、がんによる死亡の約10人に1人を占めている。特に50歳を超える個人には、定期的な大腸がんのスクリーニングが推奨される。さらに、50歳未満の個人における大腸がんの発生率も、徐々に増加している。統計によると、現在の大腸がんのスクリーニング技術は不充分であることが示唆されている。
〔発明の概要〕
改善が進んでいるにもかかわらず、ステージが早く局所的な段階におけるスクリーニングによって検出されているのは、現在のところ、大腸がんの約40~44%に過ぎない。これは、少なくとも部分的には、現在のスクリーニング技術の感度および/または特異度が不充分であることに起因している。現在推奨されている技術の例としては、50歳を超える個人に対する結腸内視鏡検査および/または血便検査が挙げられる。
本開示は、とりわけ、大腸がんのスクリーニング方法およびそれに関連する組成物を提供する。種々の実施形態において、本発明は、ヒト対象のデオキシリボ核酸(DNA)のメチル化遺伝子座の中に見られる1つ以上のメチル化部位のメチル化状態(メチル化の数、頻度またはパターンなど)を決定する工程を含む、大腸がんのスクリーニング方法(および、それに関連する組成物)を提供する。メチル化部位とは、例えば、区別可能にメチル化されている領域(differentially methylated region;DMR)である。種々の実施形態において、本発明は、cfDNA(セルフリーDNA)中に含まれる1つ以上のメチル化遺伝子座の各々についてメチル化状態をスクリーニングする工程を含む、大腸がんのスクリーニング方法を提供する。cfDNAの例としては、ctDNA(循環腫瘍DNA)が挙げられる。種々の実施形態において、本発明は、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を用いて、cfDNA(ctDNAなど)中に含まれる1つ以上のメチル化遺伝子座の各々についてメチル化状態を決定する工程を含む、大腸がんのスクリーニング方法を提供する。qPCRの例としては、メチル化感受性制限酵素定量ポリメラーゼ連鎖反応(MSRE-qPCR)が挙げられる。本明細書に記載の種々の組成物および方法は、大腸がんのスクリーニングにおける臨床適用に充分な感度および特異度を有している。本明細書に記載の種々の組成物および方法は、対象から採取できる組織試料または糞便の分析により、大腸がんをスクリーニングするときに有用である。組織試料の例としては、血液または血液成分(cfDNA、ctDNAなど)が挙げられる。
一態様において、本発明は、大腸がんの検出方法(スクリーニング方法など)に向けられている。この方法は、下記の工程を含む。
ヒト対象のデオキシリボ核酸(DNA)における、以下の(a)~(c)のそれぞれのメチル化状態(例えば、メチル化遺伝子座内の1つ以上のメチル化部位におけるメチル化の数、頻度またはパターン)を決定する工程。
(a)遺伝子ZNF132内のメチル化遺伝子座(例えば、他と区別可能にメチル化されている領域)
(b)遺伝子ADAMTS2内の第1メチル化遺伝子座
(c)遺伝子ADAMTS2内の第2メチル化遺伝子座
決定された前記メチル化状態に基づいて、前記ヒト対象における大腸がんを診断する工程
特定の実施形態において、この方法は、ヒト対象のDNAにおける、以下の(d)~(e)のそれぞれのメチル化状態を決定する工程をさらに含む:
(d)遺伝子ZNF542内のメチル化遺伝子座
(e)遺伝子LONRF2内のメチル化遺伝子座
特定の実施形態において、この方法は、ヒト対象のDNA中の遺伝子ZNF492内のメチル化遺伝子座のメチル化状態を決定する工程をさらに含む。
特定の実施形態において、遺伝子ZNF132内のメチル化遺伝子座は、ZNF132‘415(配列番号40)を含む。
特定の実施形態において、遺伝子ADAMTS2内の第1メチル化遺伝子座は、ADAMTS2‘254(配列番号21)を含む。
特定の実施形態において、遺伝子ADAMTS2内の第2メチル化遺伝子座は、ADAMTS2‘284(配列番号22)を含む。
特定の実施形態において、遺伝子ZNF542内のメチル化遺伝子座は、ZNF542‘502(配列番号35)を含む。
特定の実施形態において、遺伝子LONRF2内のメチル化遺伝子座は、LONRF2‘281(配列番号19)を含む。
特定の実施形態において、遺伝子ZNF492内のメチル化遺伝子座は、ZNF492‘069(配列番号42)を含む。
特定の実施形態においては、DNAを、ヒト対象の血液または血漿から単離する。
特定の実施形態において、DNAは、ヒト対象のセルフリーDNAである。
特定の実施形態においては、メチル化状態を、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を使用して決定する。qPCRは、例えば、メチル化感受性制限酵素定量ポリメラーゼ連鎖反応(MSRE-qPCR)である。
他の態様において、本発明は、大腸がんの検出(スクリーニングなど)において使用するためのキットに向けられている。このキットは、以下の(a)~(c)を含む。
(a)遺伝子ZNF132内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対
(b)遺伝子ADAMTS2内の第1メチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対
(c)遺伝子ADAMTS2内の第2メチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対
例えば、任意構成で、このキットは、少なくとも1つのメチル化感受性制限酵素をさらに含む。
特定の実施形態において、このキットは、以下の(d)および(e)をさらに含む。
(d)遺伝子ZNF542内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対
(e)遺伝子LONRF2内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対
特定の実施形態において、このキットは、(f)遺伝子ZNF492内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対をさらに含む。
特定の実施形態において、(a)は、ZNF132‘415の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対 配列番号91および配列番号92)。
特定の実施形態において、(b)は、ADAMTS2‘254の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対 配列番号53および配列番号54)。
特定の実施形態において、(c)は、ADAMTS2‘284の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対 配列番号55および配列番号56)。
特定の実施形態において、(d)は、ZNF542‘502の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対 配列番号81および配列番号82)。
特定の実施形態において、(e)は、LONRF2‘281の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対配列番号49および配列番号50)。
特定の実施形態において、(f)は、ZNF492‘069の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対配列番号95および配列番号96)。
他の態様において、本発明は、大腸がんを検出するため(スクリーニングのためなど)の診断的なqPCR反応に向けられている。この診断的なqPCR反応は、以下の(a)~(f)を含む。
(a)ヒトDNA
(b)ポリメラーゼ
(c)遺伝子ZNF132内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対
(d)遺伝子ADAMTS2内の第1メチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対
(e)遺伝子ADAMTS2内の第2メチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対
(f)任意構成で、少なくとも1つのメチル化感受性制限酵素
特定の実施形態において、この反応は、以下の(g)および(h)をさらに含む。
(g)遺伝子ZNF542内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対
(h)遺伝子LONRF2内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対
特定の実施形態において、この反応は、(i)遺伝子ZNF492内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対をさらに含む。
特定の実施形態において、(c)は、ZNF132‘415の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対 配列番号91および配列番号92)。
特定の実施形態において、(d)は、ADAMTS2‘254の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対 配列番号53および配列番号54)。
特定の実施形態において、(e)は、ADAMTS2‘284の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対 配列番号55および配列番号56)。
特定の実施形態において、(g)は、ZNF542‘502の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対 配列番号81および配列番号82)。
特定の実施形態において、(h)は、LONRF2‘281の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対 配列番号49および配列番号50)。
特定の実施形態において、(i)は、ZNF492‘069の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対である(プライマー対 配列番号95および配列番号96)。
種々の態様において、本開示の方法および組成物は、本技術分野で周知のバイオマーカーと組合せて用いてもよい。このようなバイオマーカーの例としては、米国特許第10,006,925号に記載のものが挙げられる(この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
〔定義〕
"a"または"an":本明細書において用いられるとき、冠詞"a"および"an"は、当該冠詞の対象の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を表す。例えば、"an element"とは、1つまたは2つ以上のelementを表す。
約:値に関連して本明細書において用いられるとき、用語「約」は、文脈において参照されている値に類似している値を表す。一般的に、背景技術に詳しい当業者であれば、「約」により包含される妥当な分散の程度を理解するであろう。例えばいくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、用語「約」に含まれる値は、参照されている値の25%以内、20%以内、19%以内、18%以内、17%以内、16%以内、15%以内、14%以内、13%以内、12%以内、11%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内または有理数%以内であってもよい。
投与:本明細書において用いられるとき、用語「投与」は、通常、対象またはシステムに対する組成物の投与を表す。例えば、組成物である薬剤、組成物に含まれている薬剤、または組成物によって他の様式で送達される薬剤の送達が達成されることを表す。
薬剤:本明細書において用いられるとき、用語「薬剤」は、ある実体を表す(小分子、ペプチド、ポリペプチド、核酸、脂質、多糖類、複合体、組合せ、混合物、システムなど。あるいは、熱、電流、電場、磁力、磁界などの現象)。
回復(Amelioration):本明細書において用いられるとき、用語「回復」は、対象の状態の予防、軽減、一時的軽減または改善を表す。回復には、疾患、障害または状態の完全な回復または完全な予防が含まれるが、必須ではない。
アンプリコンまたはアンプリコン分子:本明細書において用いられるとき、用語「アンプリコン」または「アンプリコン分子」は、テンプレート核酸分子(あるいは、その相補的配列を有する核酸分子、またはこのような任意の核酸分子を含む2本鎖核酸)の転写によって生成される核酸分子を表す。転写は、プライマーから開始されうる。
増幅:本明細書において用いられるとき、用語「増幅」は、テンプレート核酸分子と種々の試薬とを組合せて使用して、当該テンプレート核酸分子からさらなる核酸分子を生成させることを表す。ここで、さらなる核酸分子は、テンプレート核酸分子および/またはその相補的配列の断片と同一であってもよいし、類似していてもよい。例えば、同一性は、70以上である(75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上または100%など)。
増幅反応混合物:本明細書において用いられるとき、用語「増幅反応混合物」または「増幅反応」は、テンプレート核酸分子と、当該テンプレート核酸分子の増幅に充分な試薬とを表す。
生体試料:本明細書において用いられるとき、用語「生体試料」は、通常、本明細書に記載の通り、所定の生物的ソース(組織、生物、培養細胞など)から得られる(または、これらに由来する)試料を表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、生物的ソースは、生物(動物またはヒトなど)であるか、またはこれを含む。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、生体試料は、生物組織または体液であるか、またはこれらを含む。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、生体試料は、細胞、組織または体液であってもよいし、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、生体試料は、血液、血液細胞、セルフリーDNA、遊離核酸、腹水、生検試料、手術検体、細胞を含有する体液、痰、唾液、糞、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、リンパ液、婦人科液、分泌物、排泄物、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻スワブ、洗浄液(乳管洗浄液または気管支肺胞洗浄液など)、吸引液、剥離物、骨髄であってもよいし、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、生体試料は、1つ以上の対象から得られる細胞であるか、またはそれを含む。試料は、生物的ソースから直接得られる「未処理の試料」であってもよいし、「処理された試料」であってもよい。生体試料のことを「試料」と称することもある。
バイオマーカー:本明細書において用いられるとき、用語「バイオマーカー」は、本技術分野における用例と同じである。すなわち、実体であって、当該実体の存在、レベルまたは形態が、特定の生物学的事象または所定の状態と相関がある実体を表す。これにより、この実体は、事象または状態の「マーカー」と見做される。当業者であれば理解するであろうところによると、例えば「DNAバイオマーカー」の文脈においては、バイオマーカーは、遺伝子座(1つ以上のメチル化遺伝子座など)および/または遺伝子座の状態(1つ以上のメチル化遺伝子座の状態など)であってもよいし、またはそれを含んでもよい。バイオマーカーの一例をあげると、いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、バイオマーカーは、特定の疾患、障害または状態についてのマーカーであってもよいし、またはそれを含んでもよい。あるいは、対象などにおいて、特定の疾患、障害または状態が、発症、発生または再発しうる定量的な確率の定性的なマーカーであってもよい。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、バイオマーカーは、特定の処置の結果のマーカー(または、その定量的な確率の定性的なマーカー)であってもよいし、またはそれを含んでもよい。したがって、種々の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、バイオマーカーは、関連する生物学的事象または所定の状態の予測、予後および/または診断であってもよい。バイオマーカーは、任意の化学的クラスの実体でありうる。例えばいくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、バイオマーカーは、核酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、無機物質(金属またはイオンなど)、またはこれらの組合せであってもよいし、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、バイオマーカーは、細胞表面にあるマーカーである。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、バイオマーカーは、細胞内にある。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、バイオマーカーは、細胞外に見られる。例えば、バイオマーカーは、細胞外に分泌されるか、細胞外に生成するか、または細胞外に存在する。細胞外の例としては、体液(血、尿、涙、唾液、脳脊髄液など)の中が挙げられる。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、バイオマーカーは、メチル化遺伝子座のメチル化状態である。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、バイオマーカーを「マーカー」と称することもある。
バイオマーカーの一例を挙げると、いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、この用語は、遺伝子によってコードされている産物の発現を表す。その発現は、特定の腫瘍、腫瘍のサブクラス、腫瘍のステージなどに特徴的である。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、特定のマーカーの存在またはレベルは、特定のシグナル伝達経路の活性(または活性レベル)と相関していてもよい(特定の種類の腫瘍に特徴的な活性を有するシグナル伝達経路など)。
当業者であれば理解するであろうところによると、バイオマーカーは、それ自身として個別に、特定の生物学的事象または所定の状態を決定できるか、あるいは、特定の生物学的事象または所定の状態の統計的確率を表している(または確率の決定に寄与する)。当業者であれば理解するであろうところによると、関連する特定の生物学的事象または所定の状態によっては、マーカーの特異度および/または感度は異なっている。
血液成分:本明細書において用いられるとき、用語「血液成分」は、全血の任意の成分を表す(赤血球、白血球、血漿、血小板、内皮細胞、中皮細胞、上皮細胞およびセルフリーDNAなど)。また、血液成分には、血漿の成分も含まれる。血漿の成分の例としては、タンパク質、代謝産物、脂質、核酸、炭水化物、および血中に存在しうる任意の他の細胞が挙げられる。これらの成分は、妊娠、臓器移植、感染、損傷または疾患などに起因する。
がん:本明細書において用いられるとき、用語「がん」「悪性腫瘍」「新生物」「腫瘍」および「癌腫」は、互換可能に用いられる。これらの用語は、異常な、制御できないおよび/または自律的な増殖を細胞が示し(または相対的に示し)、その結果、増殖速度の異常な亢進および/または異常に増殖する表現型を示している(または示していた)疾患、障害または状態を表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、がんは、1つ以上の腫瘍を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、がんは、前がん性細胞(良性細胞)、悪性細胞、前転移性細胞、転移性細胞および/または非転移性細胞であってもよいし、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、がんは、固形腫瘍であってもよいし、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、がんは、血液腫瘍であってもよいし、またはそれを含んでもよい。一般的に、本技術分野で周知の異なる種類のがんの例としては、大腸がん、造血器がん(白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫)など)、骨髄腫および骨髄増殖性疾患、肉腫、黒色腫、腺腫、固形組織の癌腫、扁平上皮細胞がん(口腔がん、咽頭がん、喉頭がんおよび肺がんなど)、肝臓がん、腎尿路生殖器がん(前立腺がん、子宮頸部がん、膀胱がん、子宮がん、および子宮内膜がんおよび腎細胞がんなど)、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、皮膚または眼内の黒色腫、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、頭頸部がん、乳がん、胃腸がん、神経系がん、良性病変(乳頭腫など)が挙げられる。
化学療法薬:本明細書において用いられるとき、用語「化学療法薬」は、本技術分野と同じよう例で用いられる。化学療法薬とは、がんを処置する(または、がんの処置に寄与する)1つ以上の公知の薬剤であるか、またはそのような特徴を有することが知られている1つ以上の薬剤である。特に、化学療法薬の例としては、アポトーシス促進剤、細胞増殖抑制剤、および/または細胞毒性剤が挙げられる。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、化学療法薬は、アルキル化剤、アントラサイクリン、細胞骨格破壊剤(例えば、タキサン、メイタンシン、およびそれらのアナログなどの微小管を標的とする成分)、エポチロン、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC)、トポイソメラーゼ阻害剤(トポイソメラーゼIおよび/またはトポイソメラーゼII阻害剤など)、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド前駆体アナログ、ペプチド系抗生物質、白金系薬剤、レチノイド、ビンカアルカロイド、および/または、関連する抗増殖活性を有するアナログであってもよいし、またはそれらを含んでもよい。いくつかの特定の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、化学療法薬は、アクチノマイシン、オールトランスレチノイン酸、アウリスタチン、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、クルクミン、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メイタンシンおよび/またはそれらのアナログ(DM1など)、メクロレタミン、メチルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、メイタンシノイド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、もしくはこれらの組合せであってもよいし、またはそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、化学療法薬を、抗体-薬物複合体に関連して利用してもよい。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、化学療法薬は、下記の抗体-薬物複合体からなる群より選択される1つである:hLL1-ドキソルビシン、hRS7-SN-38、hMN-14-SN-38、hLL2-SN-38、hA20-SN-38、hPAM4-SN-38、hLL1-SN-38、hRS7-Pro-2-P-Dox、hMN-14-Pro-2-P-Dox、hLL2-Pro-2-P-Dox、hA20-Pro-2-P-Dox、hPAM4-Pro-2-P-Dox、hLL1-Pro-2-P-Dox、P4/D10-ドキソルビシン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ブレンツキシマブベドチン、トラスツズマブエムタンシン、イノツズマブオゾガマイシン、グレンバツムマブベドチン、SAR3419、SAR566658、BIIB015、BT062、SGN-75、SGN-CD19A、AMG-172、AMG-595、BAY-94-9343、ASG-5ME、ASG-22ME、ASG-16M8F、MDX-1203、MLN-0264、抗PSMA ADC、RG-7450、RG-7458、RG-7593、RG-7596、RG-7598、RG-7599、RG-7600、RG-7636、ABT-414、IMGN-853、IMGN-529、ボルセツズマブマホドチンおよびロルボツズマブメルタンシン。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、化学療法薬は、ファルネシルチオサリチル酸(FTS)、4-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)-N-ヒドロキシブタンアミド(CMH)、エストラジオール(E2)、テトラメトキシスチルベン(TMS)、δ-トコトリエノール、サリノマイシンまたはクルクミンであってもよいし、またはそれらを含んでもよい。
併用療法:本明細書において用いられるとき、用語「併用療法」は、2つ以上の薬剤またはレジメンを対象に投与し、これにより、当該2つ以上の薬剤またはレジメンが共に対象の疾患、状態または障害を処置することを表す。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、2つ以上の処置薬またはレジメンを、同時、連続または重複した投薬レジメンにおいて投与してもよい。当業者であれば理解するであろうところによると、併用療法には、2つの薬剤またはレジメンを1つの組成物において共投与することを含むが、必須ではない。また、2つの薬剤またはレジメンを同時に投与することも含むが、必須ではない。
同等:本明細書において用いられるとき、用語「同等」は、2組以上の状態、環境、薬剤、実体、集団などの構成要素を表す。これらの構成要素は、互いに同一ではないかもしれないが、それらの間における比較が可能な程度には充分に類似している。それゆえ、当業者であれば理解するであろうところによると、観察された差異または類似性に基づいて結論を合理的に導出できる。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、同等な状態、環境、薬剤、実体、集団などは、通常、複数の実質的に同一の特徴と、0個、1個または複数個の異なる特徴とによって特徴付けられる。当業者であれば、文脈において、複数の構成要素を同等と見做すためにはどの程度の同一性が必要とされるかを理解する。例えば、当業者であれば理解するであろうところによると、状態、環境、薬剤、実体、集団など構成要素が充分な数および種類の実質的に同一な特徴によって特徴付けられており、観察された差異の全部または一部が当該構成要素の同一でない特徴に起因しうると合理的に結論付けられるならば、構成要素が互いに同等である。
検出可能な部分:本明細書において用いられるとき、用語「検出可能な部分」は、任意の要素、分子、官能基、化合物、破片、または検出可能な他の部分を表す。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、検出可能な部分を、単独で提供または利用する。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、検出可能な部分を、他の薬剤と関連して(例えば、結合させて)提供および/または利用する。検出可能な部分の例としては、種々のリガンド、放射性核種(H、14C、18F、19F、32P、35S、135I、125I、123I、64Cu、187Re、111In、90Y、99mTc、177Lu、89Zrなど)、蛍光色素、化学発光剤、生物発光剤、分光分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット)、金属ナノ粒子、ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素、比色標識、ビオチン、ダイオキシゲニン、ハプテン、および抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質が挙げられる(ただし、これらに限定されない)。
診断:本明細書において用いられるとき、用語「診断」は、対象が疾患、障害または状態を有している(または、これから発症する)か否か、および/または、その定量的な確率の性質を決定することを表す。例えば、がんの診断において、診断には、がんのリスク、種類、ステージ、悪性度または他のがん分類に関する決定が含まれていてもよい。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、診断は、1つ以上の一般的または特定の処置薬またはレジメンに対する予後および/または見込まれる反応に関する決定であってもよいし、またはそれを含んでもよい。
診断情報:本明細書において用いられるとき、用語「診断情報」は、診断の提供に有用な情報を表す。診断情報の例としては、バイオマーカーの状態の情報が挙げられる(ただし、これに限定されない)。
区別可能にメチル化されている:本明細書において用いられるとき、用語「区別可能にメチル化されている」とは、第1状態と第2状態との間でメチル化状態が異なっているメチル化部位を表す。区別が可能な状態でメチル化されているメチル化部位のことを、「区別可能なメチル化部位」とも称する。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、DMRは、オリゴヌクレオチドプライマーを用いる増幅によって生成されるアンプリコンによって定義される(このプライマーは、例えば、DMRまたはアンプリコン内の所定のDNA領域の増幅用に選択されているオリゴヌクレオチドプライマー対である)。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、DMRは、オリゴヌクレオチドプライマー対によって増幅されるDNA領域として定義される(このDNA領域は、オリゴヌクレオチドプライマーの配列またはそれに相補的な配列を含む)。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、DMRは、オリゴヌクレオチドプライマー対によって増幅されたDNA領域として定義される(このDNA領域は、オリゴヌクレオチドプライマーの配列またはそれに相補的な配列を含まない)。本明細書において用いられるとき、具体的に記載されているDMRは、関連する遺伝子の名前と、それに続く開始位置(3桁)とによって明確に特定されうる。例えば、ALKの位置29921434から開始するDMRは、ALK‘434と特定されうる。
区別可能にメチル化されている領域(Differentially methylated region):本明細書において用いられるとき、用語「区別可能にメチル化されている領域(DMR)」は、区別可能にメチル化されている部位の1つ以上を含むDNA領域を表す。選択された所定の条件下において(がん状態など)、メチル化部位の数または頻度が多いDMRを、高メチル化DMRと称してもよい。選択された所定の条件下において(がん状態など)、メチル化部位の数または頻度が少ないDMRを、低メチル化DMRと称してもよい。大腸がんのメチル化バイオマーカーであるDMRを、大腸がんのDMRと称してもよい。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、DMRは、1つのヌクレオチドで合ってもよく、この1つのヌクレオチドはメチル化部位である。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、DMRの長さは、10塩基対以上、15塩基対以上、20塩基対以上、24塩基対以上、50塩基対以上、75塩基対以上である。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、DMRの長さは、1000塩基対未満、750塩基対未満、500塩基対未満、350塩基対未満、300塩基対未満、または250塩基対未満である。ここで、メチル化状態は、メチル化状態が定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、メチル化感受性制限酵素定量ポリメラーゼ連鎖反応(MSRE-qPCR)などによって決定する。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、進行性腺腫のメチル化バイオマーカーであるDMRは、大腸がんの同定においても有用な場合がある。
DNA領域:本明細書において用いられるとき、「DNA領域」は、より大きなDNA分子の中の任意の連続した部分を表す。当業者は、第1DNA領域および第2DNA領域が対応するかどうかを決定する技術に精通している。この対応は、例えば、第1DNA領域および第2DNA領域の配列の類似性(配列の同一性または相同性など)および/またはコンテクスト(第1DNA領域および第2DNA領域の上流および/または下流にある核酸配列の同一性または相同性など)に基づいて決定する。
本明細書中で特に明記しない限り、ヒトに見られる配列またはヒトに関連する配列(ヒトDNAにハイブリダイズする配列など)は、例示的なヒトゲノム配列として当業者に周知であるHomo sapiens(ヒト)アセンブリGRCh38、hg38および/またはGenome Reference Consortium Human Build 38に記載されているか、それに基づくか、および/または、それに由来する。さらに、当業者が理解するであろうところによると、hg38のDNA領域は、特定のヌクレオチドの位置または範囲を同定する公知のシステムによって、割り振られた番号により表現できる。
投薬レジメン:本明細書において用いられるとき、用語「投薬レジメン」は、対象に投与する、1つ以上の同じまたは異なる単位用量の組合せを表しうる。通常、複数の単位用量のそれぞれの投与は、ある期間、互いに分かれている。種々の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、投薬レジメンの1つ以上または全ての単位投与は、同じであってもよいし、変化してもよい(例えば、経時的に増加させてもよいし、経時的に減少させてもよいし、対象および/または医師の決定に従って調節してもよい)。種々の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、各用量の間の期間の1つ以上または全ては、同じであってもよいし、変化してもよい(例えば、経時的に延長してもよいし、経時的に短縮してもよいし、対象および/または医師の決定に従って調節してもよい)。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、所与の処置薬には推奨される投薬レジメンがあり、投与レジメンには1つ以上の用量が含まれうる。通常、市販薬の推奨される投与レジメンの1つ以上は、当業者とって周知である。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、関連する集団を通じて投与する場合、投薬レジメンは所望のまたは有益な結果と相関している(すなわち、処置的な投薬レジメンである)。
下流:本明細書において用いられるとき、用語「下流」は、第1DNA領域が第2DNA領域よりも、第1DNA領域および第2DNA領域を含む核酸のC末端に近いことを意味する。
遺伝子:本明細書において用いられるとき、用語「遺伝子」は、1つのDNA領域を表す(染色体中にあるものなど)。このDNA領域は、産物(RNA産物および/またはポリぺプチド産物など)をコードするコーディング配列に加えて、当該コーディング配列の発現の調節にその全部または一部が寄与する(あるいは、全体が発現の調節に寄与しない)DNA配列を含む。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、遺伝子は、1つ以上の非コーディング配列を含む。ある特定の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、遺伝子は、エキソン配列およびイントロン配列を含む。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、遺伝子は、1つ以上の調節要素を含む。この調節要素は、例えば、遺伝子の発現の1つ以上の側面を、制御したり影響を及ぼしたりできる(細胞型に特異的な発現、誘導性の発現など)。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、遺伝子はプロモーターを含む。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、遺伝子は、(i)コーディング配列の上流に所定のヌクレオチド数にわたり位置するDNAヌクレオチドと、(ii)コーディング配列の下流に所定のヌクレオチド数にわたり位置するDNAヌクレオチドのうち、一方または両方を含む。種々の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、上述の所定のヌクレオチド数は、500bp、1kb、2kb、3kb、4kb、5kb、10kb、20kb、30kb、40kb、50kb、75kbまたは100kbでありうる。
相同性:本明細書において用いられるとき、用語「相同性」は、ポリマー分子間における全体的な関連性を表す。例えば、核酸分子(DNA分子および/またはRNA分子など)および/またはポリペプチド分子の間における関連性である。当業者であれば理解するであろうところによると、相同性は、例えば、同一性パーセントまたはパーセント相同性(配列類似性)によって定義できる。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、ポリマー分子が「相同」であると見做されるのは、それらの配列の25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上または99%以上が同一であるときである。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、ポリマー分子が「相同」であると見做されるのは、それらの配列の25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上または99%以上が類似しているときである。
ハイブリダイズ:本明細書において用いられるとき、「ハイブリダイズ」とは、第1核酸と第2核酸とが会合して、2本鎖構造を形成することを表す。この会合は、相補的なヌクレオチドの対形成によって生じる。当業者が認識しているところによると、種々の配列の中でも相補的配列ならばハイブリダイズできる。種々の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、ハイブリダイゼーションは、例えば、70%以上の相補性を有するヌクレオチド配列の間で生じうる(75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または100%の相補性)。さらに、当業者が理解するであろうところによると、第1核酸および第2核酸のハイブリダイゼーションが生じるか否かは、種々の反応条件によって変化しうる。ハイブリダイゼーションが生じうる条件は、本技術分野で周知である。
低メチル化:本明細書において用いられるとき、用語「低メチル化」は、参照状態と比較したときに、所定の状態におけるメチル化ヌクレオチドの数が1つ以上少ないメチル化遺伝子座の状態を表す。例えば、健常なコントロールと比べて、大腸がんの方がメチル化ヌクレオチドの数が1つ以上少ない状態を表す。
高メチル化:本明細書において用いられるとき、用語「高メチル化」は、参照状態と比較したときに、所定の状態におけるメチル化ヌクレオチドの数が1つ以上多いメチル化遺伝子座の状態を表す。例えば、健常なコントロールと比べて、大腸がんの方がメチル化ヌクレオチドの数が1つ以上多い状態を表す。
同一性、同一の:本明細書において用いられるとき、用語「同一性」および「同一の」は、ポリマー分子間の全体の関連性を表す。例えば、核酸分子間(DNA分子および/またはRNA分子など)および/またはポリペプチド分子間の関連性を表す。所与の2つの配列間のパーセント同一性の計算方法は、本技術分野で周知である。2つの核酸またはポリぺプチド配列のパーセント同一性の計算は、例えば、2つの配列(または、一方もしくは両方の配列の相補的配列)を、最適な比較のために整列させることによって実施してもよい。例えば、最適な整列のために、第1配列および第2配列の一方または両方にギャップを導入してもよい。また、比較のために、非同一配列を無視してもよい。次に、対応する位置のヌクレオチドまたはアミノ酸を比較する。第1配列中のある位置が、第2配列中の対応する位置と同じ残基(ヌクレオチドまたはアミノ酸など)によって占められる場合、分子はその位置において同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、配列間において同一である位置の数の関数である。また、任意構成で、2つの配列の整列を最適化するために導入する必要があったギャップの数および長さを考慮に入れる。配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は、コンピュータアルゴリズム(BLAST(basic local alignment search tool)など)により実施できる。
改善、増加または減少:本明細書において用いられるとき、これらの用語、または文法的に相当する語は、比較可能な参照測定値と比較した値を表す。例えば、いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、所定の薬剤により達成された評価値は、比較可能な参照薬剤(または、無薬剤)から得られた評価値と比較して、改善されることがある。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、所定の対象またはシステムにおける評価値は、異なる条件または時点(例えば、所定の薬剤の投与のような事象の前後に)にある同じ対象またはシステムから得られた評価値と比較して、改善されることがある。あるいは、異なる比較可能な対象から得られた評価値と比較して、改善されることもある(比較可能な対象またはシステムであって、注目する特定の疾患障害または状態の1つ以上の指標において所定の対象またはシステムと異なっている対象またはシステム、ある条件または薬剤に曝露する前の対象またはシステムなど)。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、比較のための用語は、統計に関連する差異を表す。例えば、統計的関連性を有するのに充分な有病率および/または程度の差異を表す。所与のコンテクストにおいて、統計的有意性を有するのに必要または充分な差異の程度および/または有病率は、当業者であれば知っているか、または容易に決定できる。
メチル化:本明細書において用いられるとき、用語「メチル化」には、(i) シトシンのC5位のメチル化、(ii) シトシンのN4位のメチル化、および(iii) アデニンのN6位のメチル化のいずれをも含む。さらに、メチル化には、(iv) ヌクレオチドのメチル化の他の類型も含まれる。メチル化されたヌクレオチドを、「メチル化ヌクレオチド」または「メチル化ヌクレオチド塩基」と称することがある。特定の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、メチル化は、特にシトシン残基のメチル化を表す。いくつかの例において、メチル化は、特にCpG領域に存在するシトシン残基のメチル化を表す。
メチル化アッセイ:本明細書において用いられるとき、用語「メチル化アッセイ」は、メチル化遺伝子座のメチル化状態の決定に使用できる任意の技術を表す。
メチル化バイオマーカー:本明細書において用いられるとき、用語「メチル化バイオマーカー」は、1つ以上のメチル化遺伝子座および/または1つ以上のメチル化遺伝子座のメチル化状態(遺伝子座の高メチル化など)であるか、またはそれを含むバイオマーカーを表す。特に、メチル化バイオマーカーは、第1状態と第2状態との間(がん状態と非がん状態との間など)における、1つ以上の核酸遺伝子座のメチル化状態の変化によって特徴付けられるバイオマーカーである。
メチル化遺伝子座:本明細書において用いられるとき、用語「メチル化遺伝子座」は、区別可能にメチル化されている領域の1つ以上を含むDNA領域を表す。選択された所定の条件(がん状態など)において、メチル化部位の数または頻度が大きいメチル化遺伝子座を、高メチル化遺伝子座と称してもよい。選択された所定の条件(がん状態など)において、メチル化部位の数または頻度が少ないメチル化遺伝子座を、低メチル化遺伝子座と称してもよい。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、メチル化遺伝子座の長さは、10塩基対以上、15塩基対以上、20塩基対以上、24塩基対以上、50塩基対以上、または75塩基対以上である。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、メチル化遺伝子座の長さは、1000塩基対未満、750塩基対未満、500塩基対未満、350塩基対未満、300塩基対未満または250塩基対未満である。ここで、メチル化状態は、メチル化状態が定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、メチル化感受性制限酵素定量ポリメラーゼ連鎖反応(MSRE-qPCR)などによって決定する。
メチル化部位:本明細書において用いられるとき、メチル化部位は、少なくとも1つの条件においてメチル化されているヌクレオチドまたはヌクレオチドの位置を表す。メチル化状態においては、メチル化部位を、メチル化されている部位と称してもよい。
メチル化状態:本明細書において用いられるとき、「メチル化状態」または「メチル化プロファイル」は、メチル化遺伝子座の中にあるメチル化部位におけるメチル化の数、頻度またはパターンを表す。したがって、第1状態と第2状態と間におけるメチル化状態の変化は、メチル化部位の数、頻度またはパターンの増加であってもよいし、またはそれを含んでもよい。あるいは、メチル化状態の変化は、メチル化部位の数、頻度またはパターンの現象であってもよいし、またはそれを含んでもよい。種々の例において、メチル化状態の変化は、メチル化値の変化である。
メチル化値:本明細書において用いられるとき、用語「メチル化値」は、メチル化状態を数値で表現したものを表す。数値での表現とは、例えば、メチル化遺伝子座のメチル化の頻度または割合を表す数の形態である。いくつかの例においては(例えば、本明細書に記載の例においては)、メチル化依存性制限酵素により試料を消化した後に、当該試料中に存在する未消化の核酸の量を定量する工程を含む方法からメチル化値を得る。いくつかの例においては(例えば、本明細書に記載の例においては)、試料を重亜硫酸塩で反応させた後の増幅プロファイルを比較する工程を含む方法からメチル化値を得てもよい。いくつかの例においては(例えば、本明細書に記載の例においては)、重亜硫酸塩処理した核酸と未処理核酸との配列を比較することによってメチル化値を得てもよい。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、メチル化価は、定量的PCRの結果であるか、それを含むか、またはそれに基づいている。
核酸:本明細書において用いられるとき、用語「核酸」は、オリゴヌクレオチド鎖に組み込まれるか(または、組み込まれうる)任意の化合物および/または物質を、最も広い意味において表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、ホスホジエステル結合を介してオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれる(または、組み込まれうる)化合物および/または物質である。文脈から明らかである通り、いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、用語「核酸」は、個別のアミノ酸残基(ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドなど)を表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、用語「核酸」は、個別の核酸残基を複数含んでいるポリヌクレオチド鎖を表す。核酸は、DNA、RNA、もしくはこれらの組合せであってもよいし、またはそれらを含んでもよい。核酸は、天然の核酸残基、核酸アナログおよび/または合成の残基を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、天然のヌクレオチドを含む(アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシンおよびデオキシシチジンなど)。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、1つ以上のヌクレオチドアナログであるか、またはそれを含む(2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C5プロピニル-シチジン、C5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニルウリジン、C5-プロピニルシチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、0(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、インターカレーションされた塩基、およびこれらの組合せなど)。
いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、機能性の遺伝子産物(RNAまたはタンパク質など)をコードするヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、1つ以上のイントロンを含む。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、1つ以上の遺伝子を含む。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、天然のソースからの単離、相補的テンプレートを用いた重合による酵素合成(in vivoまたはin vitro)、組換え細胞または組換え系における再生産、および化学合成のうちの1つ以上によって作製される。
いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸アナログは、ホスホジエステル骨格を有していない点において核酸とは異なる。例えば、いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、1つ以上のペプチド核酸を含んでいてもよい。ペプチド核酸は、本技術分野で周知であり、ホスホジエステル結合ではなくペプチド結合の骨格を有する。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、ホスホジエステル結合の代わりに、ホスホロチオアート結合および/または5’-N-ホスホラミダイト結合の1つ以上を有する。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、天然の核酸と比較して、修飾された糖の1つ以上を有する(2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノースおよびヘキソースなど)。
いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、15個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上、40個以上、45個以上、50個以上、55個以上、60個以上、65個以上、70個以上、75個以上、80個以上、85個以上、90個以上、95個以上、100個以上、110個以上、120個以上、130個以上、140個以上、150個以上、160個以上、170個以上、180個以上、190個以上、20個以上、225個以上、250個以上、275個以上、300個以上、325個以上、350個以上、375個以上、400個以上、425個以上、450個以上、475個以上、500個以上、600個以上、700個以上、800個以上、900個以上、1000個以上、1500個以上、2000個以上、2500個以上、3000個以上、3500個以上、4000個以上、4500個以上、5000個以上、またはそれ以上の残基であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、核酸は、部分的または完全に1本鎖である。あるいは、核酸は、部分的または完全に2本鎖である。
核酸検出アッセイ:本明細書において用いられるとき、用語「核酸検出アッセイ」は、所定の核酸のヌクレオチド組成を決定する任意の方法を表す。核酸検出アッセイの例としては、DNAシーケンシング方法、ポリメラーゼ連鎖反応に基づく方法、プローブハイブリダイゼーションによる方法、リガーゼ連鎖反応が挙げられる(ただし、これらには限定されない)。
ヌクレオチド:本明細書において用いられるとき、用語「ヌクレオチド」は、ポリヌクレオチド(DNAポリマーおよび/またはRNAポリマーなど)の構造成分またはビルディングブロックを表す。ヌクレオチドは塩基(アデニン、チミン、ウラシル、グアニンまたはシトシンなど)と、糖および1つ以上のリン酸基を有する分子を含む。本明細書において用いられるとき、ヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドであってもよいし、非メチル化ヌクレオチドであってもよい。当業者であれば理解するであろうところによると、核酸に関連の用語(遺伝子座またはヌクレオチドなど)は、1つの核酸分子の遺伝子座またはヌクレオチドを表しうる。あるいは、これらの用語は、複数の核酸(試料中に含まれる複数の核酸および/または対象を代表する複数の核酸)に含まれる遺伝子座またはヌクレオチドの集合をも表しうる。この遺伝子座またはヌクレオチドの集合は、代表的な遺伝子座またはヌクレオチドである(同一の核酸配列および/または核酸配列文脈を有している、実質的に同一の核酸配列および/または核酸配列文脈を有している、など)。
オリゴヌクレオチドプライマー:本明細書において用いられるとき、用語オリゴヌクレオチドプライマーまたはプライマーは、テンプレート核酸分子からアンプリコンを生成させるのに使用する(または、使用できる、使用するための)核酸分子を表す。転写が可能な条件(例えば、ヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼが存在し、かつ温度およびpHが適切である条件)において、オリゴヌクレオチドプライマーは、テンプレートからの転写開始点を提供できる(転写開始点において、オリゴヌクレオチドプライマーはハイブリダイズする)。通常、オリゴヌクレオチドプライマーは、5~200ヌクレオチド長の1本鎖核酸である。当業者であれば理解するであろうところによると、テンプレート核酸分子からアンプリコンを産生させるのに最適なプライマーの長さは、条件によって変化しうる(温度パラメータ、プライマー組成、および転写または増幅の方法など)。本明細書において用いられるとき、オリゴヌクレオチドプライマー対は、テンプレートである2本鎖核酸分子の第1鎖および第2鎖に対してそれぞれ相補的である、2つのオリゴヌクレオチドプライマーの組合せを表す。オリゴヌクレオチドプライマー対の第1構成要素および第2構成要素のことを、テンプレート核酸鎖に対して、それぞれ、フォワードオリゴヌクレオチドプライマーおよびリバースオリゴヌクレオチドプライマーと称してもよい。フォワードオリゴヌクレオチドプライマーは、テンプレート核酸鎖に相補的な核酸鎖とハイブリダイズできる。リバースオリゴヌクレオチドプライマーは、テンプレート核酸鎖とハイブリダイズできる。テンプレート核酸鎖におけるフォワードオリゴヌクレオチドプライマーの位置は、テンプレート核酸鎖におけるリバースオリゴヌクレオチドプライマー配列の位置の、5’側である。当業者であれば理解するであろうところによると、フォワードオリゴヌクレオチドプライマーおよびリバースオリゴヌクレオチドプライマーとしての第1オリゴヌクレオチドプライマーおよび第2オリゴヌクレオチドプライマーの同定は、任意である(ただし、これらの識別子が、所与の核酸鎖またはその相補鎖がテンプレート核酸分子として利用されるかどうかに依存する限りにおいて)。
重複:DNAの2つの領域に関連して本明細書において用いられるとき、用語「重複」は、それぞれの領域が有しているサブ配列が、他の領域にある同じ長さのサブ配列に対して実質的に同一のサブ配列であることを表す(例えば、DNAの2つの領域は、共通のサブ配列を有する)。「実質的に同一」とは、2つの同じ長さのサブ配列の差異が、所定の塩基対数未満であることを意味する。特定の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、それぞれのサブ配列の長さは20塩基対以上であり、その差異は4塩基対未満、3塩基対未満、2塩基対未満または1塩基対未満である(例えば、2つのサブ配列の類似性は、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上または99.5%以上である)。特定の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、それぞれのサブ配列の長さは24塩基対以上であり、その差異は5塩基対未満、4塩基対未満、3塩基対未満、2塩基対未満または1塩基対未満である(例えば、2つのサブ配列の類似性は、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上または99.5%以上である)。特定の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、それぞれのサブ配列の長さは50塩基対以上であり、その差異は10塩基対未満、9塩基対未満、8塩基対未満、7塩基対未満、6塩基対未満、5塩基対未満、4塩基対未満、3塩基対未満、2塩基対未満または1塩基対未満である(例えば、2つのサブ配列の類似性は、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上または99.5%以上である)。特定の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、それぞれのサブ配列の長さは100塩基対以上であり、その差異は20塩基対未満、15塩基対未満、10塩基対未満、9塩基対未満、8塩基対未満、7塩基対未満、6塩基対未満、5塩基対未満、4塩基対未満、3塩基対未満、2塩基対未満または1塩基対未満である(例えば、2つのサブ配列の類似性は、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上または99.5%以上である)。特定の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、それぞれのサブ配列の長さは200塩基対以上であり、その差異は40塩基対未満、30塩基対未満、20塩基対未満、15塩基対未満、10塩基対未満、9塩基対未満、8塩基対未満、7塩基対未満、6塩基対未満、5塩基対未満、4塩基対未満、3塩基対未満、2塩基対未満または1塩基対未満である(例えば、2つのサブ配列の類似性は、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上または99.5%以上である)。特定の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、それぞれのサブ配列の長さは250塩基対以上であり、その差異は50塩基対未満、40塩基対未満、30塩基対未満、20塩基対未満、15塩基対未満、10塩基対未満、9塩基対未満、8塩基対未満、7塩基対未満、6塩基対未満、5塩基対未満、4塩基対未満、3塩基対未満、2塩基対未満または1塩基対未満である(例えば、2つのサブ配列の類似性は、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上または99.5%以上である)。特定の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、それぞれのサブ配列の長さは300塩基対以上であり、その差異は60塩基対未満、50塩基対未満、40塩基対未満、30塩基対未満、20塩基対未満、15塩基対未満、10塩基対未満、9塩基対未満、8塩基対未満、7塩基対未満、6塩基対未満、5塩基対未満、4塩基対未満、3塩基対未満、2塩基対未満または1塩基対未満である(例えば、2つのサブ配列の類似性は、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上または99.5%以上である)。特定の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、それぞれのサブ配列の長さは500塩基対以上であり、その差異は100塩基対未満、60塩基対未満、50塩基対未満、40塩基対未満、30塩基対未満、20塩基対未満、15塩基対未満、10塩基対未満、9塩基対未満、8塩基対未満、7塩基対未満、6塩基対未満、5塩基対未満、4塩基対未満、3塩基対未満、2塩基対未満または1塩基対未満である(例えば、2つのサブ配列の類似性は、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上または99.5%以上である)。特定の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、それぞれのサブ配列の長さは1000塩基対以上であり、その差異は200塩基対未満、100塩基対未満、60塩基対未満、50塩基対未満、40塩基対未満、30塩基対未満、20塩基対未満、15塩基対未満、10塩基対未満、9塩基対未満、8塩基対未満、7塩基対未満、6塩基対未満、5塩基対未満、4塩基対未満、3塩基対未満、2塩基対未満または1塩基対未満である(例えば、2つのサブ配列の類似性は、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上または99.5%以上である)。特定の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、DNAの2つの領域のうち第1領域のサブ配列は、DNAの2つの領域のうち第2領域の全体を含んでもよい(その逆も然り)。例えば、一般的なサブ配列は、一方の領域の全体または両方の領域の全体を含んでいてもよい。
医薬組成物:本明細書において用いられるとき、用語「医薬組成物」は、有効成分および1種類以上の薬学的に許容可能な担体が一緒に製剤化されている組成物を表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、有効成分は、対象に対する投与に適当な単位用量分だけ存在している。この単位用量は、例えば、関連する集団に投与したときに、所定の処置効果を統計的に有意な確率で得られる処置レジメンにおける単位用量である。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、医薬組成物は、投与のために特定の形態(固体形態または液体形態など)で製剤化されていてもよい。あるいは、例えば次のものに具体的に適合されていてもよい:経口投与(飲薬(水溶液、非水溶液または懸濁液)、錠剤、カプセル、大型丸剤、粉末、顆粒、ペーストなど)。これらは、頬側吸収、舌下吸収または全身性吸収などのために具体的に製剤化されていてもよい;非経口投与(無菌溶液、懸濁液または持続放出製剤などの、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射または硬膜外注射など);局所適用(皮膚、肺または口腔などに適用される、クリーム、軟膏、パッチ剤または噴霧剤など);膣内投与または直腸内投与(ペッサリー、坐剤、クリームまたは泡など);眼内投与;鼻内投与または肺投与。
薬学的に許容可能:本明細書において用いられるとき、用語「薬学的に許容可能」は、本明細書に記載の組成物の製剤化に用いる一部または全部の成分について言及される場合には、各成分が組成物の他の成分と適合しており、受容者にとって有害でないことを意味する。
薬学的に許容可能な担体:本明細書において用いられるとき、用語「薬学的に許容可能な担体」は、薬学的に許容可能物質、組成物またはビヒクルを表す(液体または固体の充填剤、稀釈剤、賦形剤または溶媒封入剤など)。薬学的に許容可能な担体は、物質(薬剤など)の製剤化を容易にし、および/または、バイオアベイラビリティを変化させる。薬学的に許容可能な担体として機能しうる材料の例としては、糖(ラクトース、グルコースおよびスクロースなど);デンプン(トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなど);セルロースおよびその誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど);トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤(カカオ脂および坐剤ワックスなど);油(落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油など);グリコール(プロピレングリコールなど);ポリオール(グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなど);エステル(オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど);寒天;緩衝剤(水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど);アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張な生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝液;ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;医薬製剤に使用される他の非毒性適合物質が挙げられる。
予防(Prevent or prevention):疾患、障害または状態の発生に関連して本明細書において用いられるとき、用語「予防」は、疾患、障害または状態が発展するリスクを減少させること;疾患、障害または状態の発症を遅らせること;疾患、障害または状態の特徴または症状の1つ以上の発症を遅らせること;および/または、疾患、障害または状態の特徴または症状の1つ以上の頻度および/または重篤度を減少させることを表す。予防は、特定の対象における予防を表してもよいし、対象集団に対する統計的影響を表してもよい。疾患、障害または状態の発症が所定の期間遅れている場合には、予防が完了したと見做してもよい。
プローブ:本明細書において用いられるとき、用語「プローブ」は、1本鎖または2本鎖の核酸分子であって、相補的な標的とハイブリダイズでき、検出可能な部分を含んでいるものを表す。特定の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、プローブは、制限酵素の消化産物であるか、または合成された核酸である(組換えまたは増幅により生成する核酸など)。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、プローブは、捕捉プローブである。捕捉プローブは、標的配列(遺伝子配列など)の検出、同定および/または単離に有用である。種々の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、プローブの検出可能な部分は、酵素(ELISAおよび酵素に基づく組織化学アッセイなど)、蛍光部分、放射性部分、または発光シグナルに関連する部分などであってもよい。
予後:本明細書において用いられるとき、用語「予後」は、将来の可能な結果または事象の1つ以上の定性的な定量的確率を決定することを表す。本明細書において用いられるとき、予後は、対象における疾患、障害もしくは状態(がんなど)のありそうな経過の決定、対象の平均余命に関する決定、または、処置(特定の処置など)への反応に関する決定であってもよい。
予後情報:本明細書において用いられるとき、用語「予後情報」は、予後の提供に有用な情報を表す。予後情報の例としては、バイオマーカーの状態情報が挙げられる(ただし、これには限定されない)。
プロモーター:本明細書において用いられるとき、「プロモーター」は、直接または間接に(例えば、プロモーター結合タンパク質またはプロモーター結合物質を介して)RNAポリメラーゼと会合する、DNA調節領域を表してもよい。プロモーターは、コーディング配列の転写開始に関与する。
参照:本明細書において用いられるとき、比較が行われる標準またはコントロールを表す。例えば、いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、薬剤、対象、動物、個体、集団、試料、配列または所定の値を、参照またはコントロールの薬剤、対象、動物、個体、集団、試料、配列、または値と比較する。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、所定の試料における特徴の試験または決定と実質的に同時に、参照またはその特徴を試験および/または決定する。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、参照は組織学的な参照である(任意構成で、有形なメディアにおいて実装されてもよい)。当業者であれば理解するであろうところによると、通常は、評価対象(試料など)と比較可能な条件または環境において、参照を決定または特徴付けられる。当業者であれば理解するであろうところによると、充分な類似性が存在する場合に、特定の可能な参照またはコントロールに対する信頼および/または比較が正当化される。
リスク:疾患、障害または状態に関連して本明細書において用いられるとき、用語「リスク」は、特定の個体が疾患、障害または状態を発展させる定性的な定量的確率を表す(百分率で表すこともあるし、そうではないこともある)。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、リスクを百分率で表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、リスクは、定性的な定量的確率であり、0%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、または100%以上である。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、参照リスクまたは参照レベルと比較した(または、参照に起因する同じ結果のリスクと比較した)、リスクの定性的な定量的レベルとしてリスクを表現する。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、参照試料と比較した相対リスクの増減は、1.1倍以上、1.2倍以上、1.3倍以上、1.4倍以上、1.5倍以上、1.6倍以上、1.7倍以上、1.8倍以上、1.9倍以上、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、またはそれ以上である。
試料:本明細書において用いられるとき、用語「試料」は、通常、所定のソースから得られる(または、それに由来する)分取した物質を表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、所定のソースは、生物的ソースまたは環境的ソースである。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、試料は、所定のソースから直接に得られる「未処理の試料」である。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、文脈上明らかであるとき、用語「試料」は、未処理の試料を加工して得られる調製物を表す。加工の例としては、未処理の試料の1つ以上の成分の除去および/または未処理の試料への1つ以上の薬剤の添加が挙げられる。このような「処理された試料」の例としては、細胞、核酸またはタンパク質が挙げられる。これらは、試料から抽出されたり、未処理の試料に何らかの技術(核酸の増幅または逆転写、特定成分の単離および/または精製など)を施したりして得られる。
特定の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、処理された試料は、増幅されたDNA試料であってもよい(事前増幅したDNA試料など)。したがって、種々の例において(例えば、本明細書に記載の例において)、同定された試料は、未処理の試料であってもよいし、処理された試料であってもよい。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、酵素で消化されたDNAの試料は、酵素消化されたDNAそのもの(酵素による消化後すぐの産物)を表してもよい。あるいは、酵素で消化されたDNAの試料は、さらに処理された試料を表してもよい。さらに処理された試料の例としては、増幅工程を経た酵素消化されたDNA(例えば、事前増幅などの増幅工程の中間体)、および/または、フィルタ工程、精製工程、もしくは試料を加工して追加工程を容易にする工程が挙げられる。追加工程の例としては、メチル化状態の決定工程が挙げられる(未処理のDNA試料および/または元々のソースの中に存在するDNAのメチル化状態の決定工程など)。
スクリーニング:本明細書において用いられるとき、用語「スクリーニング」は、診断情報および/または予後情報を生み出すことが意図される任意の方法、技術、工程または仕事を表す。したがって、当業者であれば理解するであろうところによると、用語「スクリーニング」には、個体が疾患、障害または状態(大腸がんなど)を有しているかどうか、有している(または発展させる)可能性があるかどうか、または有している(または発展させる)リスクがあるかどうかを決定する、方法、技術、工程または仕事が含まれる。
特異度:本明細書において用いられるとき、バイオマーカーの「特異度」は、所定の事象または状態が存在しないことにより特徴付けられる試料に対する、所定の事象または状態が存在しないことを正しく示したバイオマーカーの測定の割合を表す(真の陰性率)。種々の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、陰性である試料の特徴付けは、バイオマーカーとは独立している。この特徴付けは、関連する測定によって実施できる(当業者に周知の関連する測定など)。したがって、特異度は、所定の事象または状態によって特徴付けられていない試料を測定したときに、バイオマーカーが所定の事象または状態の存在を検出しない確率を反映している。とりわけ、所定の事象または状態が大腸がんである特定の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、特異度は、大腸がんではない対象において、バイオマーカーが大腸がんの存在を検出しない確率を表す。大腸がんでないことは、例えば、組織学的検査によって判定できる。
感度:本明細書において用いられるとき、バイオマーカーの「感度」は、所定の事象または状態が存在することにより特徴付けられる試料に対する、所定の事象または状態が存在することを正しく示したバイオマーカーの測定の割合を表す(真の陽性率)。種々の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、陽性である試料の特徴付けは、バイオマーカーとは独立している。この特徴付けは関連する測定によって実施できる(当業者に周知の関連する測定など)。したがって、感度は、所定の事象または状態によって特徴付けられている試料を測定したときに、バイオマーカーが所定の事象または状態の存在を検出する確率を反映している。とりわけ、所定の事象または状態が大腸がんである特定の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、感度は、大腸がんである対象において、バイオマーカーが大腸がんの存在を検出する確率を表す。大腸がんであることは、例えば、組織学的検査によって判定できる。
固形腫瘍:本明細書において用いられるとき、用語「固形腫瘍」は、組織の異常な塊であって、がん細胞を含むものを表す。種々の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、固形腫瘍は、嚢胞または液体面積を含まない組織の異常な塊であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、固形腫瘍は、良性であってもよい。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、悪性であってもよい。固形腫瘍の例としては、癌腫、リンパ腫および肉腫が挙げられる。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、固形腫瘍は、副腎、胆管、膀胱、骨、脳、乳房、子宮頸部、結腸、子宮内膜、食道、眼球、胆嚢、消化管、腎臓、喉頭、肝臓、肺、鼻腔、咽頭鼻部、口腔、卵巣、陰茎、下垂体、前立腺、網膜、唾液腺、皮膚、小腸、胃、精巣、胸腺、甲状腺、子宮、膣および/または外陰部の腫瘍であってもよいし、それらを含んでもよい。
がんのステージ:本明細書において用いられるとき、用語「がんのステージ」は、がんの進行レベルの定性的評価または定量的評価を表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、がんのステージの決定に使用する基準には、次のうちの1つ以上が含まれる(ただし、これらには限定されない):がんが体内のどこに位置するか、腫瘍の大きさ、がんがリンパ節に転移しているか否か、がんが体内の1つ以上の異なった部分に転移しているか否か。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、がんのステージをいわゆるTNMシステムによって分類してもよい。TNMシステムでは、Tは、主要な腫瘍(原発腫瘍と称することが多い)の大きさおよび程度を表す。Nは、近傍のリンパ節であってがんを有するものの数を表す。Mは、がんが転移しているか否かを表す。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、ステージ0(異常細胞が存在するが近傍の組織に転移していない(上皮内がんまたはCISとも称される)。CISはがんではないが、がんになる場合がある)、ステージI~III(がんが存在する。数が大きいほど、腫瘍が大きくなり、近傍の組織に転移している)、またはステージIV(身体の遠隔部位にまでがんが転移している)とがんを称してもよい。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、以下からなる群から選択されるステージにがんを割り当ててもよい:in situ(異常な細胞が存在するが、近傍組織には転移していない);限局性(がんが発生した場所に限定され、転移している徴候はない);局所性(がんが近傍のリンパ節、組織または臓器に転移している):遠隔(遠隔部位にまでがんが転移している);不明(がんのステージを同定するのに充分な情報がない)。
感受性:疾患、障害または状態に「感受性がある」個体は、疾患、障害または状態を発展させるリスクがある。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、疾患、障害または状態に感受性がある個体は、疾患、障害または状態のいかなる症状をも示さない。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、疾患、障害または状態に感受性がある個体は、疾患、障害および/または状態とは診断されていない。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、疾患、障害または状態に感受性がある個体は、疾患、障害または状態の発展に関連する条件に曝露された個体である。あるいは、疾患、障害または状態に感受性がある個体は、当該疾患、障害または状態に関連するバイオマーカーの状態(メチル化状態など)を示している個体である。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、疾患、障害および/または状態を発展させるリスクは、集団に基づくリスクである(疾患、障害または状態に罹患している個体の家族など)。
対象:本明細書において用いられるとき、「対象」という語は生物を表し、通常は哺乳動物(ヒトなど)を表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、対象は、疾患、障害または状態を罹患している。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、対象は疾患、障害または状態に対する感受性がある。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、対象は、疾患、障害または状態の症状または特徴の1つ以上を示している。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、対象は、疾患、障害または状態に罹患していない。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、対象は疾患、障害または状態のいかなる症状または特徴をも示していない。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、対象は、疾患、障害または状態に対する感受性またはリスクに特徴的な1つ以上の特徴を有するヒトである。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、対象は、患者である。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、対象は、診断を受けた個体および/または処置を施された個体である。いくつかの例においては(例えば、本明細書に記載の例においては)、ヒト対象のことを、互換的に「個体」と称することがある。
処置薬:本明細書において用いられるとき、用語「処置薬」は、対象に投与したときに所望の薬理効果を誘導する任意の薬剤を表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、ある薬剤が適切な集団を通じて統計的に有意な影響を示すならば、当該薬剤は処置薬であると見做される。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、適切な集団は、モデル生物の集団またはヒト集団でありうる。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、適切な集団は、種々の基準によって定義されうる(特定の年齢群、性別、遺伝的背景、既存の臨床症状など)。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、処置薬は、疾患、障害または状態の処置に使用できる物質である。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、処置薬は、政府機関によって承認されている薬剤であるか、ヒトに投与するために市販できるようになる前に政府機関の承認が必要とされる薬剤である。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、処置薬は、ヒトへの投与に際して処方箋が必要となる薬剤である。
処置上有効な量:本明細書において用いられるとき、用語「処置上有効な量」は、投与することにより所望の効果を生じる量を表す。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、この用語は、疾患、障害または状態に罹患している集団(または、感受性がある集団)に対して処置投薬レジメンに従って投与して、当該疾患、障害または状態を処置するのに充分な量を表す。当業者であれば理解するであろうところによると、用語「処置上有効な量」は、特定の個体において実際に処置が成功することを必要としていない。そうではなく、処置上有効な量は、処置を必要とする個体に投与したときに、有意な数の対象に対して特定の所望の薬理反応を与える量でありうる。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、処置上有効な量に対する言及は、1つ以上の特定の組織(疾患、障害または状態の影響を受ける組織など)または体液(血液、唾液、血清、汗、涙、尿など)において測定される量を表してもよい。当業者であれば理解するであろうところによると、いくつかの実施形態においては、特定の薬剤の処置上有効な量を、1回分の用量で製剤化および/または投与してもよい。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、処置に有効な薬剤を、複数回分の用量で製剤化および/または投与してもよい(例えば、複数回投与レジメンの一部として)。
処置(Treatment):本明細書において用いられるとき、用語「処置(treatment, treat, treating)」は、特定の疾患、障害または状態の症状、特徴および/または原因の1つ以上を、部分的または完全に緩和させ、改善させ、軽減させ、抑制させ、発症を遅延させ、重篤度を低下させ、および/または、発症率を低下させる療法の適用を表す。あるいは、上述の任意の結果を達成する目的のための療法の適用を表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、処置は、関連する疾患、障害または状態の徴候を示していない対象の処置、および/または、疾患、障害または状態の初期徴候のみを示している対象の処置であってもよい。代替的または追加的に、処置は、関連する疾患、障害および/または状態の1つ以上の確立された徴候を示している対象の処置であってもよい。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、処置は、関連する疾患、障害および/または状態に罹患していると診断された対象の処置であってもよい。いくつかの例において(例えば、本明細書に記載の例において)、処置は、関連する疾患、障害または状態の発展リスクの増加と統計的に相関している1つ以上の感受性因子を有することが判明している対象の処置であってもよい。種々の実施形態において、処置は、がんの処置である。
上流:本明細書において用いられるとき、用語「上流」は、第1DNA領域が第2DNA領域よりも、第1DNA領域および第2DNA領域を含む核酸のN末端に近いことを意味する。
単位用量:本明細書において用いられるとき、用語「単位用量」は、1回分の用量として投与される医薬組成物の量、および/または、物理的に別々の単位で投与される医薬組成物の量を表す。多くの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、単位投与量は、所定量の有効成分を含む。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、単位投与量は、薬剤の1回分の投与量の全体を含む。いくつかの実施形態においては(例えば、本明細書に記載の実施形態においては)、2つ以上の単位用量を投与して、1回分の投与量の全体とする。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、意図する効果を奏するためには、複数の単位用量が必要とされる(または、必要とされることが予想される)。単位用量は、例えば、1つ以上の処置部分の所定量を含むある体積の液体(許容可能な担体など)、固体形態である1つ以上の処置部分の所定量、1つ以上の処置部分の所定量を含む持続的放出製剤または薬物送達デバイスであってもよい。理解されるであろうことには、単位用量は、処置薬に加えて任意の種々の成分を含む製剤中に存在してもよい。例えば、許容可能な担体(薬学的に許容可能な担体など)、稀釈剤、安定剤、緩衝剤、防腐剤を含んでもよい。当業者が理解するであろうところによると、多くの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、特定の処置薬の1日あたりの適切な合計投与量は、単位用量の一部分であってもよいし、複数の単位用量であってもよい。例えば、通常の医学的判断の範囲内において、適切な合計投与量を医師が決定してもよい。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、任意の特定の対象または生物に対する特定の有効投与量レベルは、種々の因子によって変化することがある。このような因子の例としては、処置する障害およびその重篤度;採用する特定の有効成分の活性;採用する特定の組成;対象の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食事;採用する特定の有効成分の投与時間および排出速度;処置の期間;採用する特定の化合物と組合せる(または、同時に使用する)薬物および/または追加の処置;医学分野で公知の類位した因子が挙げられる。
メチル化されていない:本明細書において用いられるとき、用語「メチル化されていない」および「非メチル化」は、互換可能に使用される。この用語は、同定されたDNA領域がメチル化されたヌクレオチドを含んでいないことを意味する。
変異体:本明細書において用いられるとき、用語「変異体」は、参照となる実体と顕著な構造同一性を示すが、参照となる実体と比較したときに、1つ以上の化学部分の存在、不存在またはレベルにおいて構造的に異なる実体を表す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、変異体は、参照となる実体とは機能的にも異なる。一般的に、特定の実体が参照となる実体の「変異体」であると見做すことが適切であるかどうかは、参照となる実体との構造同一性の程度が基準となる。変異体は、参照と比較可能であるが、同一ではない分子でありうる。例えば、変異体核酸と参照核酸との違いは、ヌクレオチド配列における1つ以上の違いでありうる。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、変異体核酸の参照核酸に対する全体的な配列同一性は、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上または99%以上である。多くの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、所定の核酸の配列が参照の配列と同一であるが、特定の位置において少数の配列変化がある場合に、当該所定の核酸を参照核酸の「変異体」と見做す。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、参照と比較したときの変異体の置換残基の数は、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個である。いくつかの実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)参照と比較したときの変異体に付加、置換または欠失している残基は、5個、4個、3個、2個または1個未満である。種々の実施形態において(例えば、本明細書に記載の実施形態において)、付加、置換または欠失の数は、約25残基未満、約20残基未満、約19残基未満、約18残基未満、約17残基未満、約16残基未満、約15残基未満、約14残基未満、約13残基未満、約10残基未満、約9残基未満、約8残基未満、約7残基未満、約6未満である(通常は、約5残基未満、約4残基未満、約3残基未満または約2残基未満である)。
添付の図面と併せて下記の説明を参照すれば、本開示の下記の(および他の)対象、態様、特徴および利点がより一層明確となり、よく理解されるであろう。
図1は、例示的なMSRE-qPCRアプローチを示す模式図である。 図2は、第1対象群(70人のヒト対象)の特徴を示す表である。図2には、対象における女性の割合、男性の割合、年齢範囲およびBMIを示す。さらに、図2では、第1対象群において同定された大腸がんの種類を区別している。具体的には、組織学的な評価に基づいて限局性または進行性を区別し、結腸内視鏡検査の評価に基づいて近位または遠位を区別する。 図3は、第2対象群(63人のヒト対象)の特徴を示す表である。図3には、対象における女性の割合、男性の割合、年齢範囲、BMIを示す。さらに、図3では、第2対象群において同定された大腸がんの種類を区別している。具体的には、組織学的な評価に基づいて限局性または進行性を区別し、結腸内視鏡検査の評価に基づいて近位または遠位を区別する。 図4は、パネルAおよびBを含む。図4のパネルAは、DMRの代表的な原理証明パネルを用いた、第2対象群に対する大腸がんのスクリーニングの性能を示すグラフである。第2対象群の全対象のROC曲線およびAUCを示す。図4のパネルBは、確度の値を示すグラフである。左から右に、大腸がんの大腸スクリーニング全体の感度、限局性大腸がんの大腸スクリーニングの感度、進行性大腸がんの大腸スクリーニングの感度、近位大腸がんの大腸スクリーニングの感度、遠位大腸がんの大腸スクリーニングの感度、コントロール(健常者および非進行性腺腫の対象)の大腸スクリーニングの特異度である。 図5は、ALK‘434のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第2対象群(63対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図6は、FGF14‘577 DMRのMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第2対象群(63対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図7は、PDGFD‘388のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第2対象群(63対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図8は、JAM2‘320のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第2対象群(63対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図9は、LONRF2‘281のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第2対象群(63対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図10は、第3対象群(82人のヒト対象)の特徴を示す表である。図10には、対象における女性の割合、男性の割合、年齢範囲およびBMIを示す。本開示の28個の大腸がんのDMRを用いたスクリーニングにより、これらの対象を診断した。さらに、図10では、第3対象群において同定された大腸がんの種類を区別している。具体的には、組織学的な評価に基づいて限局性または進行性を区別し、結腸内視鏡検査の評価に基づいて近位または遠位を区別する。 図11は、28個のDMRパネルを用いた、第3対象群に対する大腸がんのスクリーニングの性能を示すグラフである。第3対象群の全対象のROC曲線およびAUCを示す。ROC曲線解析の結果、28個のDMRパネルでは、一般的な大腸がんの感度は79%であり、限局性がん(ステージの早いがん)の感度は75%であり、進行性がんの感度は84%であった。特異度は87%と非常に安定しており、AUCは82%であった(表15も参照)。 図12は、ZNF471‘527のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第3対象群(82対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図13は、FGF14‘577のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第3対象群(82対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図14は、PDGFD‘388のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第3対象群(82対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図15は、ADAMTS2‘254のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第3対象群(82対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図16は、ZNF471‘558(本明細書では、このDMRをZNF471_2と称する)のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第3対象群(82対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図17は、ST6GALNAC5‘456のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第3対象群(82対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図18は、ZNF542‘525のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第3対象群(82対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図19は、LONRF2‘281のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象および非進行性腺腫を有する対象)である。試験に用いた第3対象群(82対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図20は、正常細胞のメチル化状態とがん細胞のメチル化状態との間における、例示的なメチル化の変化を示す模式図である。さらに、図20は、正常細胞とがん細胞の遺伝子発現の差異に対して、メチル化状態の変化がどのように影響を及ぼしうるかを示している。 図21は、訓練用データセットとして用いる対象群(215人の対象)の特徴を示す表である。図21には、対象における女性の数、男性の数、年齢範囲および大腸がんの状態を示す。さらに、図21では、対象群において同定された大腸がんの種類を区別している。具体的には、組織学的な評価に基づいて限局性または進行性を区別し、結腸内視鏡検査の評価に基づいて近位または遠位を区別する。 図22は、検証用データセットとして用いる対象群(774人の対象)の特徴を示す表である。図22には、対象における女性の数、男性の数、年齢範囲および大腸がんの状態を示す。さらに、図22では、対象群において同定された大腸がんの種類を区別している。具体的には、組織学的な評価に基づいて限局性または進行性を区別する。 図23は、表18のDMRを用いた、大腸がんのスクリーニングのための3マーカーパネルの性能を示すグラフである。第4対象群(検証用対象群)の全対象のROC曲線および性能の特徴を示す。 図24は、表19のDMRを用いた、大腸がんのスクリーニングのための5マーカーパネルの性能を示すグラフである。第4対象群(検証用対象群)の全対象のROC曲線および性能の特徴を示す。 図25は、表20のDMRを用いた、大腸がんのスクリーニングのための6マーカーパネルの性能を示すグラフである。第4対象群(検証用対象群)の全対象のROC曲線および性能の特徴を示す。 図26は、ZNF132‘415のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象、非進行性腺腫を有する対象、および他のがんを有する対象)である。試験に用いた第4対象群(774対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図27は、ADAMTS2‘254のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象、非進行性腺腫を有する対象、および他のがんを有する対象)である。試験に用いた第4対象群(774対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図28は、ADAMTS2‘284のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象、非進行性腺腫を有する対象、および他のがんを有する対象)である。試験に用いた第4対象群(774対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図29は、ZNF542‘502のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象、非進行性腺腫を有する対象、および他のがんを有する対象)である。試験に用いた第4対象群(774対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図30は、LONRF2‘281のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象、非進行性腺腫を有する対象、および他のがんを有する対象)である。試験に用いた第4対象群(774対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。 図31は、ZNF492‘069のMSRE-qPCRによるCt値を示すグラフである。対象は、大腸がんを有する対象およびコントロール対象(健常な対象、非進行性腺腫を有する対象、および他のがんを有する対象)である。試験に用いた第4対象群(774対象)のデータを示す。45からCt値を減算して表示している(45-Ct値)。45-Ct値が高いほどメチル化状態が高く、大腸がんを有する対象における高メチル化を示している。
〔大腸がんのスクリーニング〕
改良された大腸がんの検出方法(スクリーニング方法など)が必要とされている。この方法には、ステージの早い大腸がんを診断するスクリーニングも含まれている。個々人のスクリーニングが推奨されているにもかかわらず、例えば50歳以上に対する大腸がんのスクリーニングプログラムは、往々にして効果が低いか、または満足の行くものではない。大腸がんのスクリーニングを改良することにより、診断の改良し、大腸がんの死亡率を低下させる。
DNAのメチル化(高メチル化、低メチル化など)により、遺伝子は活性化または不活性化されうる。この遺伝子には、がんの発症に影響を及ぼす遺伝子も含まれている(例えば図20を参照)。したがって、例えば、高メチル化により、通常はがんを抑制している1つ以上遺伝子が不活性化されることがある。これにより、試料または対象においてがんが発生したり、がんの発生が誘導されたりされる。
本開示には、次の発見が包含されている。すなわち、本明細書に記載の1つ以上のメチル化遺伝子座のメチル化状態、本明細書に記載の1つ以上のDMRのメチル化状態、および/または、本明細書に記載の1つ以上のメチル化部位のメチル化状態を決定することにより、大腸がんをスクリーニングできるという発見である。例えば、このスクリーニングは高感度および/または高特異度である。本開示は、大腸がんのメチル化バイオマーカーを含んでいる組成物およびこれに関連する方法を提供する。このバイオマーカーは、それ自身として(または2つ以上大腸がんのメチル化バイオマーカーを含む種々のパネルにおいて)、大腸がんをスクリーニングできる。例えば、このスクリーニングは高特異度および/または高感度である。
種々の実施形態において、本開示の大腸がんのメチル化バイオマーカーは、メチル化遺伝子座から選択される。このメチル化遺伝子座は、ALK、LONRF2、ADAMTS2、FGF14、DMRT1、ST6GALNAC5、MCIDAS、PDGFD、GSG1L、ZNF492、ZNF568、ZNF542、ZNF471、ZNF132、JAM2およびCNRIP1であるか、これらを含んでいる(例えば、表1を参照)。種々の実施形態において、大腸がんのDMRは、ALK‘434、CNRIP1‘232、CNRIP1‘272、LONRF2‘281、LONRF2‘387、ADAMTS2‘254、ADAMTS2‘284、ADAMTS2‘328、FGF14‘577、DMRT1‘934、ST6GALNAC5‘456、MCIDAS‘855、MCIDAS‘003、PDGFD‘388、PDGFD‘921、GSG1L‘861、ZNF492’499、ZNF492‘069、ZNF568‘252、ZNF568‘405、ZNF542‘525、ZNF542‘502、ZNF471‘527、ZNF471‘558、ZNF471‘662、ZNF132‘268、ZNF132‘415およびJAM2‘320から選択される(例えば、表7を参照)。
なんらの疑いもなく、本明細書に記載の任意のメチル化バイオマーカーは、とりわけ、大腸がんのメチル化バイオマーカーでありうるか、またはそれに含まれうる。
いくつかの実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは、1つのメチル化遺伝子座でありうるか、または1つのメチル化遺伝子座を含みうる。いくつかの実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは、2つ以上のメチル化遺伝子座でありうるか、またはそれを含みうる。いくつかの実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは、1つの他と区別可能にメチル化されている領域(DMR)でありうるか、またはそれを含みうる。いくつかの実施形態において、メチル化遺伝子座は、2つ以上のDMRでありうるか、またはそれを含みうる。いくつかの実施形態において、メチル化バイオマーカーは、1つのメチル化部位でありうるか、または1つのメチル化部位を含みうる。他の実施形態において、メチル化バイオマーカーは、2つ以上のメチル化部位でありうるか、またはそれを含みうる。いくつかの実施形態において、メチル化遺伝子座は、2つ以上のDMRを含んでいてもよい。また、メチル化遺伝子座に含まれているDMRの1つ以上に隣接しているDNA領域をさらに含んでいてもよい。
いくつかの例において、メチル化遺伝子座は遺伝子であるか(表1に記載の遺伝子など)、またはそれを含む。いくつかの例において、メチル化遺伝子座は、遺伝子の一部であるか(表1に記載の遺伝子の一部など)、またはそれを含む。いくつかの例において、メチル化遺伝子座は、遺伝子の同定された核酸境界を含む(ただし、これには限定されない)。
いくつかの例において、メチル化遺伝子座は、遺伝子のコーディング領域であるか(表1に記載の遺伝子のコーディング領域など)、またはそれを含む。いくつかの例において、メチル化遺伝子座は遺伝子のコーディング領域の一部であるか(表1に記載の遺伝子のコーディング領域の一部など)、またはそれを含む。
いくつかの例において、メチル化遺伝子座は、遺伝子のプロモーターおよび/または他の調節領域であるか(表1に記載の遺伝子のプロモーターおよび/または他の調節領域など)、またはそれを含む。いくつかの例において、メチル化遺伝子座は、遺伝子のプロモーターおよび/または調節領域の一部であるか(表1に記載の遺伝子のプロモーターおよび/または調節領域の一部)、またはそれを含む。いくつかの例において、メチル化遺伝子座は、遺伝子のプロモーターおよび/または他の調節領域の同定された核酸境界を含む(ただし、これらには限定されない)。いくつかの実施形態において、メチル化遺伝子座は、CpG密度が高いプロモーター(またはその一部)であるか、またはそれを含む。
いくつかの実施形態において、メチル化遺伝子座は、非コーディング配列であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、メチル化遺伝子座は、1つ以上のエキソンおよび/または1つ以上のイントロンであるか、またはそれを含む。
いくつかの実施形態において、メチル化遺伝子座は、コーディング配列の上流に位置する所定のヌクレオチド数のDNA領域、および/または、コーディング配列の下流に位置する所定のヌクレオチド数のDNA領域を含む。種々の例において、上流および/または下流に位置する所定のヌクレオチド数は、例えば、500bp、1kb、2kb、3kb、4kb、5kb、10kb、20kb、30kb、40kb、50kb、75kbもしくは100kbであるか、またはそれらを含む。当業者であれば理解するであろうところによると、コーディング配列の発現に影響を及ぼしうるメチル化バイオマーカーは、通常、当該コーディング配列の上流および/または下流に上述の距離のいずれかだけ離れて位置している。
当業者であれば理解するであろうところによると、メチル化バイオマーカーとして同定されるメチル化遺伝子座は、1つの実験、反応またはアンプリコンにおいてアッセイされる必要性は必ずしもない。例えば、あるメチル化遺伝子座(1つ以上の別々のまたは重複するDMRなど)内の別々のまたは重複するDNA領域の1つ以上を別々に増幅させる方法によって(あるいは、増幅に充分なオリゴヌクレオチドプライマーおよび条件を準備する方法によって)、大腸がんのメチル化バイオマーカーとして同定された1つのメチル化遺伝子座をアッセイしてもよい。また、当業者であれば理解するであろうところによると、メチル化バイオマーカーとして同定されたメチル化遺伝子座のそれぞれのヌクレオチド(またはCpG)について、メチル化状態を分析する必要性は必ずしもない。むしろ、メチル化バイオマーカーであるメチル化遺伝子座の分析は、例えば、メチル化遺伝子座内の1つのDNA領域の分析によって行える(メチル化遺伝子座内の1つのDMRの分析など)。
本開示のDMRは、メチル化遺伝子座でありうるか、またはメチル化遺伝子座の一部を含みうる。いくつかの例において、DMRは、メチル化遺伝子座を含むDNA領域であって、その長さは例えば1~5,000bpである。種々の実施形態において、DMRは、メチル化遺伝子座を含むDNA領域であって、その長さは5000bp以下、4,000bp以下、3,000bp以下、2,000bp以下、1,000bp以下、950bp以下、900bp以下、850bp以下、800bp以下、750bp以下、700bp以下、650bp以下、600bp以下、550bp以下、500bp以下、450bp以下、400bp以下、350bp以下、300bp以下、250bp以下、200bp以下、150bp以下、100bp以下、50bp以下、40bp以下、30bp以下、20bp以下または10bp以下である。いくつかの実施形態において、DMRの長さはbp、1bp、2bp、3bp、4bp、5bp、6bp、7bp、8または9bpである。
メチル化バイオマーカー(本明細書に記載のメチル化遺伝子座およびDMRを含むが、これらに制限されない)は、大腸がんのメチル化バイオマーカーであるメチル化部位の1つ以上を有していてもよい。
明確化のために、当業者であれば理解するであろうところによると、用語「メチル化バイオマーカー」は広義に用いられる。メチル化遺伝子座は、1つ以上のDMRを含むメチル化バイオマーカーであってもよい。DMRの各々は、それ自体としてもメチル化バイオマーカーでありうる。DMRの各々は、1つ以上のメチル化部位を含んでいてもよい。メチル化部位の各々は、それ自体としてもメチル化バイオマーカーでありうるさらに、メチル化バイオマーカーは、2つ以上のメチル化遺伝子座を含んでいてもよい。したがって、メチル化バイオマーカーの状態は、バイオマーカーに含まれる核酸の連続性によって定まるのではない。そうではなく、第1状態および第2状態(大腸がんおよびコントロールなど)の間における、含まれているDNA領域のメチル化状態の変化の存在によって定まる。
本明細書に記載の通り、メチル化遺伝子座は、1つ以上の任意のメチル化遺伝子座であって、当該メチル化遺伝子座は、表1に記載の遺伝子であってもよいし、表1に記載の遺伝子を含んでもよいし、表1に記載の遺伝子の一部であってもよい。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは1つのメチル化遺伝子座を含んでいてもよく、当該メチル化遺伝子剤は、表1に記載の遺伝子であるか、表1に記載の遺伝子を含むか、または表1に記載の遺伝子の一部である。例えば種々の実施形態においては、本明細書に記載の通り、大腸がんのメチル化バイオマーカーはメチル化遺伝子座を含んでいてもよく、当該メチル化遺伝子座は、ZNF132、ADAMTS2、ZNF542、LONRF2、ZNF492、FGF14、ST6GALNAC5、PDGFD、ZNF471、JAM2、GSG1L、DMRT1およびMCIDASから選択される遺伝子であるか、当該遺伝子を含むか、または当該遺伝子の一部である。
いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つ以上のメチル化遺伝子座を含み、その各々は、表1に記載の遺伝子であるか、表1に記載の遺伝子を含むか、または表1に記載の遺伝子の一部である。いくつかの実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個または16個のメチル化遺伝子座を含み、その各々は、表1に記載の遺伝子であるか、表1に記載の遺伝子を含むか、または表1に記載の遺伝子の一部である。
いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つ以上のメチル化遺伝子座を含み、2つ以上のメチル化遺伝子座の各々は、表1~6のいずれかに記載の遺伝子であるか、当該遺伝子を含むか、または当該遺伝子の一部である。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つ以上のメチル化遺伝子座を含み、2つ以上のメチル化遺伝子座の各々は、表2~6のいずれかに記載の遺伝子であるか、当該遺伝子を含むか、または当該遺伝子の一部である。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つ以上のメチル化遺伝子座を含み、2つ以上のメチル化遺伝子座の各々は、表1に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子を含むか、または当該遺伝子の一部である。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つのメチル化遺伝子座を含み、2つ以上のメチル化遺伝子座の各々は、表2に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子を含むか、または当該遺伝子の一部である。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは3つのメチル化遺伝子座を含み、3つのメチル化遺伝子座の各々は、表3に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子を含むか、または当該遺伝子の一部である。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは4つのメチル化遺伝子座を含み、4つのメチル化遺伝子座の各々は、表4に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子を含むか、または当該遺伝子の一部である。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは6つのメチル化遺伝子座を含み、6つのメチル化遺伝子座の各々は、表5に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子を含むか、または当該遺伝子の一部である。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは11個のメチル化遺伝子座を含み、11個のメチル化遺伝子座の各々は、表6に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子を含むか、または当該遺伝子の一部である。種々の特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーまたは大腸がんのメチル化バイオマーカーパネルは、本開示の1つ以上のメチル化遺伝子座を含む(ただし、FGF14、ZNF471、PDGFDおよびALKのうちの1つ以上であるか、これらを含むか、またはこれらの一部であるメチル化遺伝子座は含まない)。
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Figure 2022534436000003
Figure 2022534436000004
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Figure 2022534436000006
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本明細書に記載の通り、大腸がんのメチル化バイオマーカーは、任意のDMRの1つ以上であってもよく、DMRの各々が存在するメチル化遺伝子座は、表1に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子の全部もしくは一部を含むか、または当該遺伝子の一部である。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは1つのDMRであり(あるいは1つのDMRを含み)、当該DMRの各々は、表1に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子を含むか、または当該遺伝子内に存在している。例えば種々の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは、1つのDMRを含んでいてもよく、当該DMRは、ALK、CNRIP1、LONRF2、ADAMTS2、FGF14、DMRT1、ST6GALNAC5、MCIDAS、PDGFD、GSG1L、ZNF492、ZNF568、ZNF542、ZNF471、ZNF132およびJAM2から選択される遺伝子であるか、当該遺伝子の全部もしくは一部を含んでいるか、または当該遺伝子内に存在している。
いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つ以上のDMRを含み、その各々は、表1に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子の全部もしくは一部を含むか、または当該遺伝子内に存在している。いくつかの実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個または16個のDMRを含み、その各々は、表1に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子の全部もしくは一部を含むか、または当該遺伝子内に存在している。
いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つ以上のDMRを含み、2つ以上のDMRの各々は、表1~6のいずれかに記載の遺伝子であるか、当該遺伝子の全部もしくは一部を含むか、または当該遺伝子内に存在している。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つのDMRを含み、当該2つのDMRは、表2に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子の全部もしくは一部を含むか、または当該遺伝子内に存在している。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは3つのDMRを含み、当該3つのDMRは、表3に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子の全部もしくは一部を含むか、または当該遺伝子内に存在している。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは4つのDMRを含み、当該4つのDMRは、表4に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子の全部もしくは一部を含むか、または当該遺伝子内に存在している。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは6つのDMRを含み、当該6つのDMRは、表5に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子の全部もしくは一部を含むか、または当該遺伝子内に存在している。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは11個のDMRを含み、当該11個のDMRは、表6に記載の遺伝子であるか、当該遺伝子の全部もしくは一部を含むか、または当該遺伝子内に存在している。種々の特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーまたは大腸がんのメチル化バイオマーカーパネルは、1つ以上のDMRを含む(ただし、当該1つ以上のDMRは、FGF14、ZNF471、PDGFDおよびALKのうちの1つ以上であるか、当該遺伝子の全部もしくは一部を含むか、または当該遺伝子内に存在しているDMRを含んでいない)。
本明細書に記載の通り、大腸がんのメタル化バイオマーカーは、任意のDMRの1つ以上を含んでいてもよく、DMRの各々は、表7に記載のDMRの全部または一部を含む(ただし、表7に記載の具体的なDMRには限定されない)。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは1つのDMRであり(あるいは1つのDMRを含み)、当該DMRは表7に記載のDMRであるか、または当該DMRの全部もしくは一部を含む(ただし、表7に記載の具体的なDMRには限定されない)。表7に記載のDMRの例としては、LK‘434、CNRIP1‘232、CNRIP1‘272、LONRF2‘281、LONRF2‘387、ADAMTS2‘254、ADAMTS2‘284、ADAMTS2‘328、FGF14‘577、DMRT1‘934、ST6GALNAC5‘456、MCIDAS‘855、MCIDAS‘003、PDGFD‘388、PDGFD‘921、GSG1L‘861、ZNF492’499、ZNF492‘069、ZNF568‘252、ZNF568‘405、ZNF542‘525、ZNF542‘502、ZNF471‘527、ZNF471‘558、ZNF471‘662、ZNF132‘268、ZNF132‘415およびJAM2‘320から選択されるDMRが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。例えば種々の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは1つのDMRを含んでいてもよく、当該DMRは、LONRF2‘281、LONRF2‘387、ADAMTS2‘254、ADAMTS2‘284、ADAMTS2‘328、FGF14‘577、ST6GALNAC5‘456、PDGFD‘388、PDGFD‘921、ZNF492’499、ZNF492‘069、ZNF542‘525、ZNF542‘502、ZNF471‘527、ZNF471‘558およびZNF471‘662から選択されるDMRであるか、または当該DMRの全部もしくは一部を含む。
いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つ以上のDMRを含み、各々のDMRは、表7に記載のDMRであるか、または当該DMRの全部もしくは一部を含む(ただし、表7に記載の具体的なDMRには限定されない)。いくつかの実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個または28個のDMRを含み、各々のDMRは、表7に記載のDMRであるか、または当該DMRの全部もしくは一部を含む(ただし、表7に記載の具体的なDMRには限定されない)。
いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つ以上のDMRを含み、2つ以上のDMRの各々は、表7~12のいずれかに記載のDMRであるか、または当該DMRの全部または一部を含む(ただし、表8~12に記載の具体的なDMRまたはその組合せに限定されない)。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つのDMRを含み、当該2つのDMRは、表8に記載のDMRである。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは3つのDMRを含み、当該3つのDMRは、表9に記載のDMRである。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは5つのDMRを含み、当該5つのDMRは、表10に記載のDMRである。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは8つのDMRを含み、当該8つのDMRは、表11に記載のDMRである。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは15個のDMRを含み、当該15個のDMRは、表12に記載のDMRである。種々の特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーまたは大腸がんのメチル化バイオマーカーパネルは、表7に記載の1つ以上のDMRを含む(ただし、当該1つ以上のDMRは、FGF14、ZNF471、PDGFDおよびALKのうち一部または全部を含まない。例えば、表7に記載のFGF14、ZNF471、PDGFDおよびALKのうち一部または全部のDMRを含まない)。
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Figure 2022534436000009
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Figure 2022534436000012
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種々の実施形態において、メチル化バイオマーカーは、本明細書に記載の1つ以上のメチル化遺伝子座(1つ以上のDMRなど)内に存在する、1つ以上の個別のヌクレオチドであってもよいし(CpG内における1つの個別のシステイン残基など)、当該ヌクレオチドを含んでいてもよい。あるいは、メチル化バイオマーカーは、複数の個別のシステイン残基であってもよいし(複数のCpGのシステイン残基など)、当該システイン残基を含んでいてもよい。したがって、特定の実施形態において、メチル化バイオマーカーは、複数の個別のメチル化部位のメチル化状態であるか、または当該メチル化部位のメチル化状態を含む。
種々の実施形態において、メチル化バイオマーカーは、メチル化状態の変化であるか、メチル化状態の変化を含むか、またはメチル化状態の変化によって特徴付けられる(ここで言うメチル化状態の変化とは、1つ以上のメチル化遺伝子座(1つ以上のDMRなど)内にある1つ以上のメチル化部位のメチル化における変化のことである)。種々の実施形態において、メチル化バイオマーカーは、メチル化状態の変化であるか、またはメチル化状態の変化を含む(ここで言うメチル化状態の変化とは、1つ以上のメチル化遺伝子座(1つ以上のDMRなど)内にあるメチル化部位の数の変化のことである)。種々の実施形態において、メチル化バイオマーカーは、メチル化状態の変化であるか、またはメチル化状態の変化を含む(ここで言うメチル化状態の変化とは、1つ以上のメチル化遺伝子座(1つ以上のDMRなど)内のメチル化部位の頻度の変化のことである)。種々の実施形態において、メチル化バイオマーカー、メチル化状態の変化であるか、またはメチル化状態の変化を含む(ここで言うメチル化状態の変化とは、1つ以上のメチル化遺伝子座(1つ以上のDMRなど)内のメチル化部位のパターンの変化のことである)。
種々の実施形態においては、1つ以上のメチル化遺伝子座(1つ以上のDMRなど)のメチル化状態を、試料中に含まれておりメチル化されている当該1つ以上のメチル化遺伝子座(1つ以上のDMRなど)の割合または百分率として表現する。例えば、試料中のDNAのうち、1つ以上の特定のメチル化遺伝子座(1つ以上の特定のDMRなど)がメチル化されている個々のDNA鎖の数の割合として表現する。当業者であれば理解するであろうところによると、いくつかの例においては、分析対象である1つ以上のDMRにおける(試料中のDMRなど)メチル化されているDMRに対するメチル化されていないDMRの比率から、メチル化の割合または百分率を計算してもよい。
種々の実施形態においては、1つ以上のメチル化遺伝子座(1つ以上のDMRなど)のメチル化状態を、参照試料中の参照メチル化状態の値および/または参照試料中の1つ以上のメチル化遺伝子座(1つ以上のDMRなど)のメチル化状態と比較する。特定の例において、参照は、例えば、同じソースに由来する非同時的試料である。例えば、同じソースの過去の試料である(同じ対象に由来する試料など)。特定の例において、1つ以上のメチル化遺伝子座(1つ以上のDMRなど)のメチル化状態に関する参照は、1つ以上の試料(対象に由来する試料など)中における当該1つ以上のメチル化遺伝子座(1つ以上のDMRなど)のメチル化状態であって、特定の状態(がん状態または非がん状態など)を表すことが知られている。したがって、参照は、1つ以上の所定の閾値であってもよいし、または当該閾値を含んでいてもよい。この閾値は、定量的であってもよいし(メチル化の値など)または定性的であってもよい。特定の例において、DMRのメチル化状態に関する参照は、DMRのヌクレオチドを含んでいない同一試料中に存在する1つ以上のヌクレオチドのメチル化状態である(複数の連続するオリゴヌクレオチドなど)。当業者であれば理解するであろうところによると、参照の測定は、通常、非参照の測定方法と同一、類似または同等の方法を用いる測定によってなされる。
図20は、ある一つの機構の模式図であって、この機構では遺伝子の調節配列の高メチル化または低メチル化が発現に影響しうる(ただし、いかなる特定の科学理論にも拘束されることを意図しない)。図20に示すように、低メチル化により発現が増加され、および/または、高メチル化により発現が抑制されうる。種々の例において、発現調節領域(プロモーター領域およびエンハンサー領域など)におけるメチル化の増加は、参照と比較すると、作動可能に連結されている遺伝子の発現(作動可能に連結されており、通常はがんを抑制している遺伝子の発現など)を抑制または消失させうる。種々の実施形態において、発現調節領域(プロモーター領域およびエンハンサー領域など)におけるメチル化の現象は、参照と比較すると、作動可能に連結されている遺伝子の発現(作動可能に連結されており、がん化に寄与する活性を有している遺伝子の発現など)を増加させうる。DNAのメチル化は、RNAまたはタンパク質の発現よりも、化学的および生物学的に安定ながん状態の指標となりうる(ただし、いかなる特定の科学理論にも拘束されることを意図しない)。
通常、メチル化は、組織特異的が高いと考えられており、DNA配列の分析では得られるとは限らない性質の情報が得られる。
がん化に実質的に寄与するメチル化は、例えば、がん関連遺伝子(通常はがんを抑制する遺伝子など)と作動可能に連結されているDNAの発現調節領域(プロモーター領域、エンハンサー領域、転写因子結合部位、CTCF結合部位、CpGアイランド、または他の配列)において発生しうる。したがって、通常はがんを抑制する遺伝子の不活性化によりがんが発生するか、またはがん化に寄与する。また、高メチル化は、通常はCpGアイランドにて見出される。
〔がん〕
本開示の方法および組成物は、がん(とりわけ大腸がん)のスクリーニングに有用である。大腸がんには、結腸がん、大腸がん、およびこれらの組合せが含まれる(ただし、これらには限定されない)。大腸がんには、転移性大腸がんおよび非転移性大腸がんが含まれる。大腸がんには、結腸がんの近位部に位置するがんと、結腸の遠位部に位置するがんとが含まれる。
大腸がんには、本技術分野で周知である種々の任意のステージの大腸がんが含まれる。この例としては、ステージI、ステージII、ステージIII、ステージIVの大腸がんが挙げられる(ステージ0、ステージI、ステージIIA、ステージIIB、ステージIIIC、ステージIIIB、ステージIIIC、ステージIVA、ステージIVB、ステージIVCなど)。大腸がんには、原発腫瘍・所属リンパ節・遠隔転移による病期分類システム(TNM分類)における、全てのステージが含まれる。大腸がんに関して、Tは、腫瘍が結腸または直腸の壁内まで増殖しているかどうか、増殖している場合は何層であるかを表しうる。Nは、腫瘍がリンパ節に転移しているかどうか、転移している場合にはリンパ節の数および位置を表しうる。Mは、がんが体の他の部分に転移しているかどうか、どの部分ににどの程度転移しているかを表しうる。T、NおよびMの特定の段階は、本技術分野で周知である。Tのステージとしては、TX、T0、Tis、T1、T2、T3、T4a、T4bが挙げられる。Nのステージとしては、NX、N0、N1a、N1b、N1c、N2a、N2bが挙げられる。Mのステージとしては、M0、M1a、M1bが挙げられる。さらに、大腸がんのグレードとして、GX、G1、G2、G3、G4が挙げられる。がん(とりわけ大腸がん)の病期を分類する種々の方法は、例えば、cancer.net/cancer-types/colorectal-cancer/stagesに要約されている。
特定の例において、本開示には、ステージの早い大腸がんのスクリーニングが含まれる。ステージの早い大腸がんの例としては、対象において限局化している大腸がん(対象のリンパ節にまだ転移していないがんなど)が挙げられる。具体例としては、近傍のリンパ節に転移していないがん(ステージN0)、離れた箇所に転移していないがん(ステージM0)が挙げられる。ステージの早いがんの例としては、ステージ0~IICである大腸がんが挙げられる。
したがって、本開示における大腸がんには、とりわけ、前悪性大腸がんおよび悪性大腸がんが含まれる。本明細書に記載または本技術分野で周知であるあらゆる形態およびステージ(さらに、これらの全てのサブセット)にある大腸がんのスクリーニングに関して、本開示の方法および組成物は有用である。したがって、当業者が理解するであろうところによると、本明細書における大腸がんに関する言明は全て、特段に制限されることなく、本明細書に記載または本技術分野で周知であるあらゆる形態およびステージ(さらに、これらの全てのサブセット)にある大腸がんを表している。
〔対象および試料〕
本明細書に記載の方法および組成物により分析する試料は、任意の生体試料および/または核酸を含む任意の試料であってよい。種々の特定の実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物により分析する試料は、哺乳動物由来の試料であってもよい。種々の特定の実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物により分析する試料は、ヒト対象由来の試料であってもよい。種々の特定の実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物により分析する試料は、マウス、ラット、ブタ、ウマ、ニワトリまたはウシ由来の試料であってもよい。
種々の例において、ヒト対象は、「大腸がんなどのがんを有している」「大腸がんなどのがんである」「大腸がんなどのがんのおそれがある」および/または「大腸がんなどのがんを直ちに有するおそれがある」と診断された(または、そのような診断を求める)対象である。種々の例において、ヒト対象は、大腸がんのスクリーニングを必要とする対象として特定された対象である。特定の例において、ヒト対象は、大腸がんのスクリーニングを必要とすることが医療者により特定された対象である。種々の例において、ヒト対象は、50歳以上(例えば、50歳以上、55歳以上、60歳以上、65歳以上、70歳以上、75歳以上、80歳以上、85歳以上または90歳以上)であるなど、年齢のために大腸がんのスクリーニングを必要とすると特定される。種々の例において、ヒト対象は、「大腸がんなどのがんを有していない」「大腸がんなどのがんを有しているおそれがない」「大腸がんなどのがんをただちに有するおそれがない」「大腸がんなどのがんでない」および/または「大腸がんなどのがんの診断を求めていない」診断されたか、またはそれらの任意の組合せである対象である。
対象由来の試料(ヒト対象または他の哺乳動物対象由来の試料など)は、例えば、血液、血液成分、cfDNA、ctDNA、便または結腸直腸組織の試料であってもよい。いくつかの特定の実施形態において、試料は、対象の排泄物または体液(対象の便、血液、リンパ液または尿など)または大腸がん組織試料である。対象由来の試料は、例えば、細胞試料または組織試料(例えば、がん組織またはがん細胞を含む組織であって、腫瘍組織または転移組織)であってもよい。種々の実施形態において、対象(ヒト対象または他の哺乳類対象)由来の試料は、生検(細針吸引または組織生検など)または外科手術によって得られる。
種々の特定の実施形態において、試料は、セルフリーDNA(cfDNA)試料である。cfDNAは、通常、ヒトの生体液中に見られ(血漿、血清または尿など)、短い2本鎖断片である。通常、cfDNAの濃度は低いが、特定の条件下(妊娠、自己免疫障害、心筋梗塞、がんなどが挙げられるが、これらに限定されない)において有意に増加しうる。循環腫瘍DNA(ctDNA)は、循環DNAの一つであり、がん細胞に特異的に由来する。ctDNAは、ヒトの生体液中において、白血球および赤血球に結合した状態で存在することもあるし、結合していないこともある。腫瘍由来cfDNAを検出する種々の試験は、がんに特徴的な遺伝的またはエピジェネティックな修飾の検出に基づいている(がんに関連する修飾など)。がんに特徴的な遺伝的またはエピジェネティックな修飾の例としては、腫瘍抑制遺伝子におけるがん化またはがん関連突然変異、がん遺伝子の活性化、高メチル化、および/または、染色体障害が挙げられる(ただし、これらに限定されない)。がんに特徴的な遺伝的またはエピジェネティックな修飾を検出することにより、検出されたcfDNAがctDNAであると確認できる。
cfDNAおよびctDNAにより、組織のリアルタイム(またはほぼリアルタイム)なメチル化状態を測定できる。cfDNAおよびctDNAの血中における半減期は、約2時間である。そのため、ある時点で採取された試料は、組織の状態をかなり正確なタイミングで反映している。
試料から核酸を単離する種々の方法(血漿または血漿からcfDNAを単離する方法など)が、本技術分野において知られている。核酸は、例えば、直接的に遺伝子を回収する標準的なDNA精製技術によって単離できる(ただし、これには限定されない)。例えば、試料を清澄化してアッセイを阻害する物質を除去し、標的核酸を捕捉する。場合によっては、清澄化した試料に捕捉剤を加えて捕捉複合体を形成させ、当該捕捉複合体を単離して標的核酸を回収する。
〔メチル化状態の測定方法〕
本技術分野で周知および/または本明細書に記載の種々の方法によって、メチル化状態を測定できる。当業者であれば理解するであろうところによると、メチル化状態の測定方法は、一般的に、任意の由来かつ任意の種類の試料に適用できる。また、所与の測定方法において適当な形態に試料を改変するための処理工程を設けてもよい。メチル化状態の測定方法の例としては、メチル化状態に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む方法、核酸シーケンシングを含む方法、質量分析を含む方法、メチル化特異的ヌクレアーゼを含む方法、質量による分離を含む方法、標的特異的な捕捉を含む方法、メチル化特異的オリゴヌクレオチドプライマーを含む方法が挙げられる(ただし、これらには限定されない)。メチル化のための特定のアッセイにおいては、重亜硫酸塩試薬(亜硫酸水素イオンイオンなど)を利用する。
重亜硫酸塩試薬の例としては、重亜硫酸塩、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、またはこれらの組合せが挙げられる。これらの試薬は、メチル化核酸と非メチル化核酸との区別に有用でありうる。重亜硫酸塩とシトシンとの相互作用と、重亜硫酸塩と5-メチルシトシンとの相互作用とは、異なっている。重亜硫酸塩に基づく典型的な方法において、DNAを重亜硫酸塩と接触させると、非メチル化シトシンは脱アミノ化されてウラシルとなるが、メチル化シトシンは変化しない。つまり、メチル化シトシンは選択的に保存されるが、非メチル化シトシンは保存されない。したがって、重亜硫酸塩処理した試料においては、メチル化されていないシトシン残基の代わりにウラシル残基が存在し、これにより同定信号を与える。一方、残りのメチル化されているシトシン残基は、メチル化されているシトシン残基の同定信号を与える。重亜硫酸塩処理した試料は、例えば、PCRによって分析できる。
種々のメチル化アッセイ手法と重亜硫酸塩処理とを組合せて、標的配列(DMRなど)のメチル化状態を決定してもよい。このようなアッセイの例としては、メチル化特異的制限酵素を用いるqPCR、重亜硫酸塩処理した核酸のシーケンシング、PCR(例えば、配列特異的な増幅を伴うもの)、メチル化特異的ヌクレアーゼを用いた稀少アレル濃縮PCR、メチル化感受性HRM(High Resolution Melting)が挙げられる。いくつかの実施形態においては、重亜硫酸塩処理したDNA試料からDMRを増幅し、IlluminaプロトコルまたはトランスポソームによるNextera XTプロトコルなどのためにDNAシーケンシングライブラリを作成する。特定の実施形態においては、ハイスループット技術および/または次世代シーケンシング技術を使用して、DNA配列を塩基対レベルの分解能で解析し、これによりメチル化状態が分析できる。
種々の実施形態において、メチル化状態の検出は、メチル化特異的オリゴヌクレオチドプライマー(MSP法)によるPCR増幅を含む方法によってなされる(例えば、Herman 1992 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 9821-9826を参照。この文献は、メチル化状態の決定方法に関して参照により本明細書に組み込まれる)。この方法は、例えば、重亜硫酸塩処理した試料に適用される。重亜硫酸塩処理したDNAを増幅するためにメチル化状態に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用すると、メチル化核酸と非メチル化核酸とを区別できる。MSP法で使用するオリゴヌクレオチドプライマー対は、メチル化部位(CpGなど)を有する配列とハイブリダイズできる1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを含んでいる。シトシン残基に相補的な位置にT残基を有するオリゴヌクレオチドプライマーは、重亜硫酸塩処理する前のシトシンがメチル化されていないテンプレートに対して、選択的にハイブリダイズする。一方、シトシン残基に相補的な位置にG残基を有するオリゴヌクレオチドプライマーは、重亜硫酸塩処理する前のシトシンがメチル化シトシンであるテンプレートに対して、選択的にハイブリダイズする。MSPの結果は、シーケンシングアンプリコンの有無にかかわらず、ゲル電気泳動などによって得られる。MSP(メチル化特異的PCR)によれば、重亜硫酸塩処理したDNAをPCR増幅することにより、遺伝子座特異的なDNAのメチル化を高感度で検出できる(アレル検出レベルは0.1%であり、完全に特異的である)。
重亜硫酸塩処理した試料のメチル化状態の決定に使用できる他の方法として、メチル化感受性HRM(MS-HRM)PCRがある(例えば、Hussmann 2018 Methods Mol Biol. 1708:551-571を参照。この文献は、メチル化状態の決定方法に関して参照により本明細書に組み込まれる)。MS-HRMは、PCRに基づくin-tuboの方法で、ハイブリダイゼーション・メルティングによって目的とする特定の遺伝子座のメチル化レベルを検出する。MS-HRMの前にDNAを重亜硫酸塩処理すると、メチル化しているDNAとメチル化していないDNAとは異なる塩基組成になる。このことを利用して、HRMによって得られるアンプリコンを分離する。固有のプライマーを設計すれば、高感度なアッセイを容易に実行でき、非メチル化バックグラウンドにおいて0.1~1%のメチル化アルを検出できるようになる。MS-HRMアッセイ用のオリゴヌクレオチドプライマーは、メチル化アレルに相補的に設計される。特定のアニーリング温度において、このプライマーは、メチル化アレルおよび非メチル化アレルの両方にアニーリングでき、これによりアッセイの感度を向上させる。
重亜硫酸塩処理した試料のメチル化状態の決定に使用できる他の方法として、定量的多重メチル化特異的PCR(QM-MSP)がある。QM-MSPは、メチル化に特異的なプライマーを使用して、DNAのメチル化を高感度で定量する(例えば、Fackler 2018 Methods Mol Biol. 1708:473-496を参照。この文献は、メチル化状態の決定方法に関して参照により本明細書に組み込まれる)。QM-MSPは、2ステップのPCRを用いた方法である。第1ステップでは、遺伝子に特異的な1対のプライマー(フォワードおよびリバース)により、1つのPCR反応において、同じ遺伝子のメチル化コピーおよび非メチル化コピーを同時にかつ多重に増幅する。このメチル化に依存しない増幅ステップにより、36サイクルのPCRの後、1μLあたり最大で10コピーのアンプリコンが生成される。第2ステップでは、リアルタイムPCRおよび2種類の独立な蛍光体(例えば、6FAMおよびVIC)を用いて、第1ステップにおけるアンプリコンを検量線で定量する。これにより、同じウェル内にある遺伝子のメチル化しているDNAおよびメチル化していないDNAを検出する。100,000の参照遺伝子コピーの中から、1つのメチル化コピーが検出できる。
重亜硫酸塩処理した試料のメチル化状態の決定に使用できる他の方法には、メチル化特異的ヌクレアーゼを用いた稀少アレル濃縮(MS-NaME)がある(例えば、Liu 2017 Nucleic Acids Res. 45(6):e39を参照。この文献は、メチル化状態の決定方法に関して参照により本明細書に組み込まれる)。Ms-NaMEは、2本鎖DNA(dsDNA)に特異的なDNAヌクレアーゼ(DSN)の存在下における、標的配列に対するプローブの選択的ハイブリダイゼーションに基づいている。ハイブリダイゼーションの結果、2本鎖DNAの領域が生じ、これに引き続いてDSNにより消化される。したがって、非メチル化配列を標的とするオリゴヌクレオチドプローブにより、局所的な2本鎖領域が生じ、メチル化されていない標的は消化される。メチル化配列とハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドプローブにより、局所的な2本鎖領域が生じ、メチル化されている標的は消化される。しかし、メチル化された標的は影響を受けない。さらに、オリゴヌクレオチドプローブによれば、亜硫酸水素塩で処理したDNAに含まれている複数の標的に対して同時にDSNの作用を向けることができる。引続いて増幅させれば、消化されなかった配列を濃縮できる。Ms-NaMEは、独立して使用してもよいし、本明細書に記載の他の技術と組合せて使用してもよい。
重亜硫酸塩処理した試料のメチル化状態の決定に使用できる他の方法として、メチル化感受性一ヌクレオチドプライマー伸長(Ms-SNuPE(TM))がある(例えば、Gonzalgo 2007 Nat Protoc. 2(8):1931-6を参照。この文献は、メチル化状態の決定方法に関して参照により本明細書に組み込まれる)。Ms-SNuPEでは、ストランド特異的PCRによりDNAテンプレートを作製し、これをMs-SNuPEによる定量的メチル化解析に用いる。次に、調査対象となるCpG部位のすぐ上流に対してハイブリダイズするように設計されているオリゴヌクレオチドを用いて、SNuPEを実施する。蛍光画像分析による可視化および定量化のために、反応生成物をポリアクリルアミドゲルで電気泳動してもよい。また、直接または間接に検出可能なラベルをアンプリコンに付与してもよい(蛍光ラベル、放射性核種、着脱な可能分子断片、質量分析によって区別できる質量を有する他の対象など)。例えば、マトリクス支援レーザ脱離/イオン化質量分析(MALDI)またはエレクトロスプレー質量分析(ESI)により、検出を行ったり、視覚化したりできる。
重亜硫酸処理した試料のメチル化状態の決定に使用できる特定の方法では、第1オリゴヌクレオチドプライマー、第2オリゴヌクレオチドプライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブを、増幅を用いた方法において利用する。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブを、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはドロップレットデジタルPCR(ddPCR)に使用してもよい。種々の例において、第1オリゴヌクレオチドプライマー、第2オリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはオリゴヌクレオチドプローブは、メチル化したDNAおよび/またはメチル化していないDNAに対して選択的にハイブリダイズする。これによって、増幅またはプローブシグナルが試料のメチル化状態を示すようになる。
メチル化状態(5-メチルシトシンのレベルの存在など)を検出するための重亜硫酸塩を用いた他の方法が公開されている。例えば、Frommer (1992 Proc Natl Acad Sci U S A. 1;89(5):1827-31を参照(この文献は、メチル化状態の決定方法に関して参照により本明細書に組み込まれる)。
メチル化状態の決定に使用できる特定の方法は、試料の重亜硫酸塩処理を含まない。例えば、PCRを用いた方法によってメチル化状態の変化を検出できる。この方法では、(MSRE-qPCRなどによる)PCR増幅の前に、1つ以上のメチル化感受性制限酵素(MSRE)でDNAを消化する。通常、MSREは、1つ以上のCpGモチーフを含む認識部位を有している。この認識部位が5-メチルシトシンを含んでいる場合、MSREの活性が阻害され切断されない(例えば、Beikircher 2018 Methods Mol Biol. 1708:407-424を参照。この文献は、メチル化状態の決定方法に関して参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、MSREは、MSRE認識部位のメチル化状態に応じて、核酸を選択的に消化する。メチル化されていないMSRE認識部位では、MSREはDNAを消化できる。しかし、メチル化されているMSRE認識部位では、MSREはDNAを消化できない。特定の実施形態においては、分取した試料をMSREで消化処理した試料を得てもよい。消化処理した試料においては、メチル化していないDNAがMSREによって切断される。そのため、MSRE認識部位内に1つ以上のメチル化部位(例えば、DNAのMSRE認識部位内の1つ以上のメチル化部位)を有している切断されていないDNAおよび/または増幅できるDNAの割合は、MSRE認識部位内に1つ以上のメチル化部位(例えば、DNAのMSRE認識部位内の1つ以上のメチル化部位)を有していない切断されていないDNAおよび/または増幅できるDNAの割合よりも相対的に増加する。次に、制限酵素で消化試料のうち切断されていない配列を、予備増幅し(PCRなどにより)、定量できる(qPCR、リアルタイムPCR、デジタルPCRなどにより)。MSRE-qPCR用のオリゴヌクレオチドプライマーは、1つ以上のMSRE切断部位および/または複数のMSRE切断部位を有している領域を増幅する。複数のMSRE切断部位を有しているアンプリコンは、一般的に、ロバストな結果を生じる可能性が高い。DMRアンプリコン中に(1つのみの認識部位ではなく)複数のMSRE認識部位を含むようにDMRを設計すれば、DMRアンプリコン内の切断部位の数(および、いくつかの例においては、その結果として生じるDMRのメチル化状態の決定に関するロバスト性)を増加させられる。種々の例においては、複数のMSREを同じ試料に適用できる(例えば、AciI、Hin6I、HpyCH4IVおよびHpaIIのうちの2つ以上(AciI、Hin6IおよびHpyCH4IVなど))。複数のMSRE(例えば、AciI、Hin6I、HpyCH4IVおよびHpaIIの組合せ;あるいは、AciI、Hin6IおよびHpyCH4IVの組合せ)により、DMRアンプリコン内のMSRE認識部位の頻度を増加させられる。
MSRE-qPCRは、MSREによる試料の消化の後かつqPCRの前に、事前の増幅工程を含んでもよい。これにより、利用可能な試料の量を改善できる(血中におけるcfDNAの量は少ないため)。
特定のMSRE-qPCRの実施形態においては、DNAの総量を、通常の形態(例えば、消化されていない形態)にある分取した試料から測定する。この測定には、例えば、リアルタイムPCRまたはデジタルPCRを使用する。
種々の増幅技術は、単独使用してもよいし、メチル化状態の検出に関して本明細書に記載の他の技術と組合せて使用してもよい。本明細書を検討した当業者であれば、本技術分野で周知および/または本明細書に記載の各種増幅技術と、本技術分野で周知および/または本明細書に記載のメチル化状態を決定する他の種々の技術とを、どのように組合せればよいかを理解するであろう。増幅技術の例としては、PCR、定量PCR(qPCR)、リアルタイムPCRおよび/またはデジタルPCRが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。当業者であれば理解するであろうところによると、ポリメラーゼ増幅によれば、1つの反応において複数の標的を多重に増幅できる。PCRアンプリコンの長さは、通常、100~2000塩基対である。種々の例において、増幅技術は、メチル化状態の決定に充分である。
デジタルPCR(dPCR)を用いた方法は、例えばマイクロ流体デバイスを用いて、プレートのウェル(96ウェル、384ウェル、またはそれ以上)または個々のエマルション液滴(ddPCR)に試料を分割および分配する工程を含む。これにより、いくつかのウェルはテンプレートの1つ以上のコピーを含み、他のウェルはテンプレートのコピーを含まないようなる。したがって、増幅前においては、1ウェルあたりのテンプレート分子の平均数は1未満である。テンプレートが増幅されたウェルの数により、テンプレート濃度の尺度が与えられる。試料をMSREと接触させた場合、テンプレートが増幅されたウェルの数により、メチル化されたテンプレートの濃度の尺度が与えられる。
種々の実施形態においては、蛍光を用いたリアルタイムPCRアッセイ(MethyLight (TM)など)によってメチル化状態を測定する(例えば、Campan 2018 Methods Mol Biol. 1708:497-513を参照。この文献は、メチル化状態の決定方法に関して参照により本明細書に組み込まれる)。MethyLightは、蛍光を用いた定量的なリアルタイムPCRであり、ゲノムの候補領域におけるDNAのメチル化を高感度で検出・定量する。MethyLightは、高度にメチル化していないDNAのバックグラウンドに低頻度で現れる、メチル化したDNA領域の検出に特に適している。これは、メチル化に特異的なプライマーおよびメチル化に特異的な蛍光プローブを組合せて用いるためである。さらに、疾患を検出およびスクリーニングするのに加えて、個々のメチル化分子を高感度で検出するために、MethyLightとデジタルPCRとを組合せてもよい。
メチル化状態の決定に使用するリアルタイムPCRを用いた方法は、通常、外部標準の分析に基づいて、メチル化していないDNAの較正曲線を作成する工程を含む。較正曲線は、2点以上の点から作成できる。較正曲線により、消化されたDNAのリアルタイムのCt値および/または消化されていないDNAのリアルタイムのCt値と、所与の定量標準とを比較できる。特定の例においては、MSREで消化されたおよび/またはMSREで消化されていない試料(または分取した試料)について、試料のCt値を決定してもよい。その上で、DNAのゲノム等価量を較正曲線から計算してもよい。MSREで消化されたDNAおよびMSREで消化されていないDNAのCt値を評価して、消化されたアンプリコンを同定してもよい(例えば、効率的に消化されたときのCt値は45である)。消化または未消化の条件下において増幅されなかったアンプリコンを同定してもよい。次に、所定のアンプリコンに関する補正後のCt値を、条件の間で直接比較して、当該条件の間におけるメチル化状態の相対的差異を導出してもよい。代替的または追加的に、消化されたDNAと消化されていないDNAとのCt値の差分によって、条件の間におけるメチル化状態の相対的な差を導出してもよい。
メチル化状態の測定方法の例としては、メチル化状態を決定するための大規模並行シーケンシング(次世代シーケンシングなど)が挙げられる(ただし、これらには限定されない)。その例としては、合成によるシーケンシング、リアルタイムシーケンシング(単一分子シーケンシングなど)、ビーズエマルションシーケンシング、ナノポアシーケンシング、または本技術分野で周知の他のシーケンシング技術が挙げられる。いくつかの実施形態において、メチル化状態を測定する方法は、全ゲノムシーケンシングを含んでもよい(例えば、塩基対レベルの分解能のもの)。
特定の実施形態において、MSRE-qPCRは、他の技術の中でも特に、1つのメチル化遺伝子座である(または、それを含む)大腸がんのメチル化バイオマーカーのメチル化状態の決定に使用されうる。特定の実施形態において、MSRE-qPCRは、他の技術の中でも特に、2つ以上のメチル化遺伝子座である(または、それを含む)大腸がんのメチル化バイオマーカーのメチル化状態の決定に使用されうる。特定の実施形態において、MSRE-qPCRは、他の技術の中でも特に、1つの他と区別可能にメチル化されている領域(DMR)である(または、それを含む)大腸がんのメチル化バイオマーカーのメチル化状態の決定に使用されうる。特定の実施形態において、MSRE-qPCRは、他の技術の中でも特に、2つ以上のDMRである(または、それを含む)大腸がんのメチル化バイオマーカーのメチル化状態の決定に使用されうる。特定の実施形態において、MSRE-qPCRは、他の技術の中でも特に、1つのメチル化部位であるか(または、それを含む)大腸がんのメチル化バイオマーカーのメチル化状態の決定に使用されうる。特定の実施形態において、MSRE-qPCRは、他の技術の中でも特に、2つ以上のメチル化部位である(または、それを含む)大腸がんのメチル化バイオマーカーのメチル化状態の決定に使用されうる。種々の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは、本明細書に記載の任意の大腸がんのメチル化バイオマーカーでありうる。本発明は、特に、DMRの増幅用のオリゴヌクレオチドプライマー対を含む(表7に記載のDMRの増幅用のものなど)。
特定の実施形態において、cfDNA試料は対象の血漿に由来し、MSREに接触させられる。このMSREは、AciI、Hin6I、HpyCH4IVおよびHpaIIのうちの1つ以上であるか、またはそれを含む(例えば、AciI、Hin6IおよびHpyCH4IV)。1つ以上のDMRのオリゴヌクレオチドプライマー対(表13に記載の1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対など)によって、消化された試料を事前に増幅してもよい。1つ以上のDMRのオリゴヌクレオチドプライマー対(表13に記載の1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対など)によって、消化されたDNA(事前に増幅した消化されたDNAなど)を、qPCRで定量してもよい。決定されたqPCRのct値を、DMRアンプリコンのメチル化状態の決定に利用できる。
当業者が理解するであろうところによると、表13に記載のオリゴヌクレオチドプライマー対は、本明細書に記載の大腸がんのメチル化バイオマーカーとの任意の組合せにおいて使用できる。当業者が認識するであろうところによると、特定の所望のDRMの組合せを分析するための所与の分析において、表13のオリゴヌクレオチドプライマー対は、それぞれ含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
さらに、当業者が理解するであろうところによると、他のオリゴヌクレオチドプライマー対を使用してもよい。オリゴヌクレオチドプライマーを選抜およびペアリングして有用なDMRアンプリコンを産生させることは、自明ではなく、実質的な寄与を表している。
さらに、当業者が理解するであろうところによると、qPCRのための方法、試薬およびプロトコルが本技術分野で周知である。従来のPCRとは異なり、qPCRは、増幅中における経時的なアンプリコンの産生を検出できる(例えば、各増幅サイクルの終わりにおいて検出できる)。多くの場合、この検出には、増幅応答性の蛍光システムを使用する(例えば、蛍光検出能力を有するサーモサイクラーと組合せて使用する)。qPCRに使用される2種類の一般的な蛍光レポーターとしては、(i) 結合しているときの蛍光の方が結合していないときの蛍光よりもに実質的に明るくなる2本鎖DNA結合色素;(ii) ラベル化されているオリゴヌクレオチド(ラベル化されているオリゴヌクレオチドプライマーまたはラベル化されているオリゴヌクレオチドプローブなど)が挙げられる。
当業者であれば理解するであろうところによると、本明細書に記載の大腸がんのスクリーニング方法において複数のメチル化遺伝子座(複数のDMRなど)のメチル化状態を解析する実施形態においては、各メチル化遺伝子座のメチル化状態を、種々の形式によって測定または表現してもよい。また、複数のメチル化遺伝子座のメチル化状態(好ましくは、それぞれが、同じ様式、類似した様式または対比的な様式で測定および/または表現されている)は、一緒にまたは累積的に、種々の形式によって分析または表現される。種々の実施形態において、各メチル化遺伝子座のメチル化状態は、ct値として測定してもよい。種々の実施形態において、各メチル化遺伝子座のメチル化状態は、測定された試料と参照との間のct値の差として表してもよい。種々の実施形態において、各メチル化遺伝子座のメチル化状態は、参照との定性的な比較として表してもよい(例えば、各メチル化遺伝子座を高メチル化されているものと、高メチル化されていないものとに識別することによって)。
1つのメチル化遺伝子座を分析するいくつかの実施形態において、1つのメチル化遺伝子座が高メチル化されている場合は、対象が大腸がんを患っている(または、おそらく患っている)と診断される。一方、1つのメチル化遺伝子座が高メチル化していない場合は、対象が大腸がんを患っていない可能性が高いと診断される。いくつかの実施形態において、複数のメチル化遺伝子座を分析したうち1つのメチル化遺伝子座(1つのDMRなど)が高メチル化している場合は、対象が大腸がんに罹患している(または、おそらく罹患している)と診断される。一方、複数のメチル化遺伝子座を分析したうち、任意のメチル化遺伝子座が高メチル化されていない場合は、対象が大腸がんに罹患していない可能性が高いと診断される。いくつかの実施形態において、複数のメチル化遺伝子座を分析したうち決定された割合(例えば、所定の割合)のメチル化遺伝子座が高メチル化している場合は(例えば、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、または100%以上)、対象が大腸がんに罹患している(または、おそらく罹患している)と診断される。一方、複数のメチル化遺伝子座を分析したうち決定された割合(例えば、所定の割合)のメチル化遺伝子座が高メチル化していない場合は(例えば、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または100以上)、対象が大腸がんに罹患していない可能性が高いと診断される。いくつかの実施形態において、複数のメチル化遺伝子座を分析したうちの(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、10個、11個、12個、23個、24個、25個、26個、27個、または28個のDMR)、決定された数が高メチル化している場合は(例えば、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上、20個以上、21個以上、22個以上、23個以上、24個以上、25個以上、26個以上、27個以上または28個以上のDMR)、対象が大腸がんに罹患している(または、おそらく罹患している)と診断される。一方、複数のメチル化遺伝子座を分析したうちの(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、10個、11個、12個、23個、24個、25個、26個、27個、または28個のDMR)、決定された数が高メチル化していない場合は(例えば、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上、20個以上、21個以上、22個以上、23個以上、24個以上、25個以上、26個以上、27個以上または28個以上のDMR)、対象が大腸がんに罹患していない可能性が高いと診断される。
いくつかの実施形態においては、複数のメチル化遺伝子座(複数のDMRなど)のメチル化状態を定性的または定量的に測定し、複数のメチル化遺伝子座の各々に関する測定値を組合せて診断を下す。いくつかの実施形態においては、複数のメチル化遺伝子座について定量的に測定したメチル化状態のうち、定性的なものを個別に重み付けする。重み付けした値を組合せて、診断のために参照と比較可能な1つの値を与える。このようなアプローチの一例として、サポートベクターマシン(SVM)アルゴリズムを利用して本開示の複数のメチル化遺伝子座のメチル化状態を分析し、診断を下せる。サポートベクターマシンアルゴリズムの目的の少なくとも一つには、データポイントを明確に分類するようなN次元空間上の超平面を特定することがある(N:特徴の数)。これは、マージンが最大となる(各クラスのデータポイントとの距離が最大となる)平面を見付けることによりなされる。本願実施例で検討している通り、予測が行われるベクトル値を支持するように変換された訓練用試料群(例えば、第1対象群および/または第2対象群)から導出されるマーカー値(Ct値など)により、SVMモデルは構築される。新しい試料に対してSVMモデルを適用する際には、モデルのベクトル空間上に試料をマッピングし、第1状態または第2状態に属する可能性を有するものとして分類する(例えば、2つの状態の間隙に対する新しい試料の位置に基づいて)。当業者であれば理解するであろうところによると、関連する組成および方法が一度特定されたならば、ベクトル値と、R-packageのpredict()関数によって定義されるSUVアルゴリズムとを組合せて用いて、新しい試料についての予測を容易になしうる(https://cran.r-project.org/web/packages/e1071/index.htmlを参照。このSUVは、参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、本明細書に記載の大腸がんの診断のための組成物および方法が手許にあれば、アルゴリズムへの入力情報と、R-packageのpredict()関数とを組合せて利用して予測モデルを生成し、大腸がんを容易に診断できるであろう(https://cran.r-project.org/web/packages/e1071/index.htmlを参照。このSUVは、参照により本明細書に組み込まれる)。例示として、本明細書に記載の複数のDMRのメチル化状態の解析による大腸がんの診断に使用するためのSVMベクターの非限定的な一例を、表17に示す。当業者であれば理解するであろうところによると、本開示に基づけば、本明細書に記載の方法(あるいは、本技術分野で周知の方法)に従ってSVMベクトルを生成できる。
Figure 2022534436000014
〔用途〕
本開示の方法および組成物は、種々の用途のいずれにおいても使用できる。例えば、本開示の方法および組成物は、大腸がんのスクリーニングに(または、大腸がんのスクリーニングの補助に)使用できる。種々の例において、本開示の方法および組成物を使用するスクリーニングは、任意のステージの大腸がん(ステージの早い大腸がんが含まれるが、これには限定されない)を検出できる。いくつかの実施形態においては、本開示の方法および組成物を使用する大腸がんのスクリーニングを、50歳以上の個体に適用する(50歳以上、55歳以上、60歳以上、65歳以上、70歳以上、75歳以上、80歳以上、85歳以上または90歳以上など)。いくつかの実施形態においては、本開示の方法および組成物を使用する大腸がんのスクリーニングを、20歳以上の個体に適用する(20歳以上、25歳以上、30歳以上、35歳以上、40歳以上、45歳以上、50歳以上、55歳以上、60歳以上、65歳以上、70歳以上、75歳以上、80歳以上、85歳以上または90歳以上など)。いくつかの実施形態においては、本開示の方法および組成物を使用する大腸がんのスクリーニングを、20~50歳の個体に適用する(20~30歳、20~40歳、20~50歳、30~40歳、30~50歳または40~50歳など)。種々の実施形態においては、本開示の方法および組成物を使用する大腸がんのスクリーニングを、例えば、腹痛または不快感を有する個体(診断されていない腹痛もしくは不快感、または、不完全にしか診断されていない腹痛もしくは不快感を有する個体など)に適用する。種々の実施形態においては、本開示の方法および組成物を使用する大腸がんのスクリーニングを、大腸がんに関連する可能性が高い症状を有していない個体に適用する。したがって、特定の実施形態において、本開示の方法および組成物を使用する大腸がんのスクリーニングは、少なくともステージの遅い大腸がん(または、ステージが早くない大腸がん)に対して、完全にまたは部分的に予防的である。
種々の実施形態においては、本開示の方法および組成物を使用する大腸がんのスクリーニングを、症状のないヒト対象に適用してもよい。本明細書において用いられるとき、非侵襲的に観測できる証拠(デバイスを用いるプロービング、組織試料分析、体液分析、外科手術または大腸がんのスクリーニングのうち、1つ、複数または全てを伴わない証拠)を対象が報告または提示していない場合、当該対象を「症状のない」と称してもよい。あるいは、対象が大腸がんに罹患している可能性が高いという医学的に合理的な疑いを支持するのに充分な大腸がんの特徴を対象が報告または提示していない場合、当該対象を「症状のない」と称してもよい。あるいは、対象ががんを報告または提示していない場合、当該対象を「症状のない」と称してもよい。ステージの早い大腸がんの検出は、本開示の方法および組成物に従ってスクリーニングされた症状のない個体において、特に可能性が高い。
種々の実施形態においては、本開示の方法および組成物を使用する大腸がんのスクリーニングを、症状のあるのヒト対象に適用してもよい。本明細書において用いられるとき、非侵襲的に観測できる証拠(デバイスを用いるプロービング、組織試料分析、体液分析、外科手術または大腸がんのスクリーニングのうち、1つ、複数または全てを伴わない証拠)を対象が報告または提示している場合、当該対象を「症状のある」と称してもよい。あるいは、対象が大腸がんに罹患している可能性が高いという医学的に合理的な疑いを支持するのに充分な大腸がんの特徴を対象が報告または提示している場合、当該対象を「症状のある」と称してもよい。あるいは、対象ががんを報告または提示している場合、当該対象を「症状のある」と称してもよい。大腸がんの症状の例としては、長期にわたる(例えば、3日間以上続く)排便習慣の変化(下痢、便秘または便の狭窄など)、便通がなくとも便意があるという感覚、直腸の出血(鮮血が混じるなど)、血便(便が濃く見えることがある)、腹部痙攣、腹痛、衰弱、疲労、意図しない体重減少、貧血、およびこれらの組合せが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。当業者であれば理解するであろうところによると、それぞれ単独では大腸がんの疑いを示唆または惹起しない症状であっても、組合せで示される場合には大腸がんの疑いを示唆または惹起することがある(例えば、腹部痙攣および血便の組合せがあるが、これには限定されない)。
当業者であれば理解するであろうところによると、定期的および/または予防的な大腸がんのスクリーニングにより、大腸がんの診断が改善される。この大腸がんには、ステージの早いがんが含まれるか、あるいはステージの早いがんである。上述の通り、ステージの早いがんには、がんのステージ分類体系のいずれか1つ以上における、ステージ0~IICの大腸がんが含まれる。したがって、本開示は、ステージの早い大腸がんの診断および処置に特に有用な方法および組成物を提供する。本開示の大腸がんスクリーニングが毎年実施される(あるいは、スクリーニング時において対象に症状がない)一般的かつ特定の実施形態においては、本発明の方法および組成物がステージの早い大腸がんを検出する可能性は特に高い。
種々の実施形態においては、本開示の大腸がんのスクリーニングを、所与の対象について1回または複数回実施する。種々の実施形態においては、本開示の大腸がんのスクリーニングを定期的に実施する(6ヶ月ごと、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごと、5年ごとまたは10年ごとなど)。
種々の実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物を使用する大腸がんのスクリーニングは、大腸がんの診断を提供する。他の例において、本明細書に記載の方法および組成物を使用する大腸がんのスクリーニングは、大腸がんの診断を示すが、確定診断ではない。本開示の方法および組成物を大腸がんのスクリーニングに使用する種々の例においては、本開示の方法および組成物を使用するスクリーニングに引き続いて、追加の診断確定アッセイを行ってもよい。この追加のアッセイは、以前のスクリーニング(本開示のスクリーニングなど)から生じる診断を、確認、支持、反対または否定することがある。本明細書において用いられるとき、診断確定アッセイとは、医師にとって確定的であると認識される診断(結腸内視鏡検査に基づく診断など)を提供する大腸がんアッセイでありうる。あるいは、以前の診断(本開示スクリーニングに基づく診断など)が正しい可能性を実質的に増加または減少させる大腸がんアッセイでありうる。診断確定アッセイには、既存のスクリーニング技術が含まれていてもよい。ただし、既存のスクリーニング技術は、とりわけステージの早い大腸がんの検出においては、感度、特異度および非侵襲性のうち1つ以上に関して、一般的に改善が必要である。
いくつかの例において、診断確定アッセイは、対象組織の視覚的または構造的な検査である(または、それを含む)試験である(結腸内視鏡検査など)。いくつかの実施形態において、結腸内視鏡検査は、組織学分析を含む(または、それに引き続く)。大腸がんに関する視覚的および/または構造的なアッセイは、任意の病理組織および/または病理構造に関する結腸および/または直腸の構造的な検査を含んでいてもよい。視覚的および/または構造的な検査は、例えば、経直腸的なスコープの使用またはCTスキャンによって実施できる。いくつかの例において、診断確定アッセイは、結腸内視鏡検査である(例えば、組織学的解析を含むか、またはそれに引き続く)。いくつかの報告によると、結腸内視鏡検査は現在主流であり、最も信頼されている診断確定アッセイである。
コンピュータ断層撮影(CT)に基づく他の視覚的および/または構造的な診断確定アッセイとして、CTコロノグラフィがある(仮想結腸内視鏡検査と呼ばれることもある)。CTスキャンでは、結腸および/または直腸の多数のX線画像を利用して、結腸の立体的な表示を作成する。CTコロノグラフィは診断確定アッセイとして有用であるが、一部の報告が示唆するところによると、結腸内視鏡検査に取って代わるには充分でない。これは、少なくとも部分的には、対象の結腸に医師が物理的にアクセスできず、組織学分析用の組織が得られないためである。
他の診断確定アッセイとして、S状結腸内視鏡検査がある。S状結腸内視鏡検査においては、S状結腸内視鏡を直腸経由で使用して、結腸および/または直腸の一部を画像化する。一部の報告によると、S状結腸内視鏡検査は広く用いられていない。
いくつかの例において、診断確定アッセイは、便に基づくアッセイである。便に基づくアッセイを視覚的検査または構造的検査の代わりに使用する場合は、通常、視覚的検査または構造的検査の場合に必要とされるよりも高頻度で実施することが推奨されている。いくつかの例において、診断確定アッセイは、グアヤックによる便潜血検査または便免疫化学検査(gFOBT/FIT)である(例えば、Navarro 2017 World J Gastroenterol. 23(20):3632-3642を参照。この文献は、大腸がんアッセイに関して参照により本明細書に組み込まれる)。FOBTおよびFITは、大腸がんの診断に頻繁に使用されている(例えば、Nakamura 2010 J Diabetes Investig. Oct 19;1(5):208-11を参照。この文献は、大腸がんアッセイに関して参照により本明細書に組み込まれる)。FITは、便潜血の検出に基づいており、便潜血は大腸がんを示唆することもある。しかし、便潜血は、肉眼で識別できるほど充分な量ではないこともある。例えば、典型的なFITでは、ヘモグロビンに特異的な試薬を用いて便試料中の潜血を検査する。種々の例において、FITキットは、在宅中の個人による使用に適している。他の診断確定アッセイがない場合に使用する場合は、FITを年1回行うことが推奨されることもある。一般的に、FITは、大腸がんの確定診断に充分な診断情報を提供するとは信頼されていない。
診断確定アッセイには、gFOBTも含まれる。この検査は、化学反応によって便潜血を検出するように設計されている。他の診断確定アッセイがない場合に使用する場合は、FITと同じく、gFOBTを年1回行うことが推奨されることもある。一般的に、gFOBTは、大腸がんの確定診断に充分な診断情報を提供するとは信頼されていない。
診断確定アッセイには、便DNA検査も含まれる。大腸がん用の便DNA検査は、便検体中のがんに特徴的なDNA配列を同定するように設計されていてもよい。他の診断確定アッセイがない場合には、3年ごとに便DNA検査を実施することが推奨される。一般的に、便DNA検査は、大腸がんの確定診断に充分な診断情報を提供するとは信頼されていない。
ある特定のスクリーニング技術として、便に基づくスクリーニング検査がある(Cologuard(R), Exact Sciences Corporation, Madison, WI, United States)。この検査は、FITアッセイと、異常修飾されたDNA(変異およびメチル化など)の分析とを組合せている。Cologuard(R)検査は、FITアッセイ単独と比較すると感度が改善されている。しかし、遵守率が低いために、臨床上実用的でないか、効果がない可能性がある。遵守率が低いのは、少なくとも部分的には、便に基づくアッセイの使用を対象が好まないためである(例えば、doi: 10.1056/NEJMc1405215; 2014 N Engl J Med. 371(2):184-188を参照)。Cologuard(R)検査では、スクリーニングプログラムの適格集団のうち、ほぼ半分が残されているようである(例えば、van der Vlugt 2017 Br J Cancer. 116(1):44-49参照)。本明細書に記載のスクリーニングは、例えば血液に基づく分析によるので、大腸がんのスクリーニングを選択する個人の数が増えるかもしれない(例えば、Adler 2014 BMC Gastroenterol. 14:183; Liles 2017 Cancer Treatment and Research Communications 10: 27-31を参照)。現在の知見によると、既存の大腸がんのスクリーニング技術のうち、FDAの承認を受け、CE-IVDマークを付与され、血液に基づくものは、Epiprocolonのみである。Epiprocolonは、SEPT9遺伝子の高メチル化を利用している。Epiprocolon検査は、感度が68%(進行性腺腫の感度に至っては22%)であり、大腸がん検出の確度が低い(例えば、Potter 2014 Clin Chem. 60(9):1183-91を参照)。対象による遵守率が高い可能性があり、特異度および/または感度が高いおよび/または向上した、非侵襲性の大腸がんのスクリーニングが本技術分野で必要とされている。
種々の実施形態において、本開示の方法および組成物によるスクリーニングにより、大腸がんの死亡率が低下する(例えば、大腸がんの早期診断によって)。大腸がんのスクリーニングにより大腸がんの死亡率が低下することをデータは支持しており、その効果は30年以上に及んでいる(例えば、Shaukat 2013 N Engl J Med. 369(12):1106-14を参照)。さらに、大腸がんは、少なくとも部分的には特に処置が困難である。これは、大腸がんには適切な時期のスクリーニングがなく、早いステージを過ぎるまで検出されない可能性があるためである。少なくとも上記の理由から、大腸がんの処置は成功しないことが多い。集団全体の大腸がんの処置成績を最大限に向上させるために、本開示のスクリーニングの利用と、例えば広範なスクリーニングを確実に実施するための適格な対象の募集とを組合せてもよい。
種々の実施形態においては、本明細書に記載の1つ以上の方法および/または組成物を含む大腸がんのスクリーニングに続いて、大腸がんを処置する(例えば、ステージの早い大腸がんを処置する)。種々の実施形態において、大腸がん(ステージの早い大腸がんなど)の処置には、外科手術、放射線療法および化学療法のうち1つ以上を含む処置レジメンの適用が含まれる。種々の実施形態において、大腸がん(ステージの早い大腸がんなど)の処置には、ステージ0の大腸がん、ステージIの大腸がんおよび/またはステージIIの大腸がんを処置するための、本明細書に記載の処置の1つ以上を含む処置レジメンの適用が含まれる。
種々の実施形態において、大腸がんの処置は、ステージの早い大腸がん(ステージ0の大腸がんまたはステージIの大腸がんなど)の処置を含む。この処置は、がん性組織の外科的切除(例えば、結腸内視鏡による局所切除、結腸部分切除、または結腸完全切除)の1つ以上による処置である。
種々の実施形態において、大腸がんの処置は、ステージの早い大腸がん(ステージIIの大腸がんなど)の処置を含む。この処置は、がん組織の外科的除去(例えば、結腸内視鏡による局所切除、結腸部分切除、または結腸完全切除)、同定された大腸がん組織に近いリンパ節の外科的除去、および化学療法(5-FUおよびロイコボリン、オキサリプラチンまたはカペシタビンの1つ以上の投与など)のうち1つ以上による処置である。
種々の実施形態において、大腸がんの処置は、ステージIIIの大腸がんの処置を含む。この処置は、外科的切除(例えば、局所切除(結腸内視鏡検査による切除など)、結腸部分切除、または結腸完全切除)、同定された大腸がん組織に近いリンパ節の外科的除去、化学療法(5-FU、ロイコボリン、オキサリプラチン、カペシタビンの1つ以上の投与など。例えば、(i) 5-FUおよびロイコボリンの組合せ、(ii) 5-FU、ロイコボリンおよびオキサリプラチンの組合せ(FOLFOXなど)、(iii) カペシタビンおよびオキサリプラチンの組合せ(CAPEOXなど))、および放射線療法のうち1つ以上による処置である。
種々の実施形態において、大腸がんの処置は、ステージIVの大腸がんの処置を含む。この処置は、がん組織の外科的除去(例えば、結腸内視鏡による局所切除、結腸部分切除、または結腸完全切除)、同定された大腸がん組織に近いリンパ節の外科的除去、転移がんの外科的除去、化学療法(例えば、5-FU、ロイコボリン、カペシタビン、イリノテカン、VEGF標的処置薬(ベバシズマブ、ジブ-アフリベルセプトまたはラムシルマブなど)、EGFR標的処置薬(セツキシマブまたはパニツムマブなど)、レゴラフェニブ、トリフルリジンおよびチピラシルのうち1つ以上の投与。例えば、以下の組合せまたは以下を含む組合せ:(i) 5-FUおよびロイコボリン;(ii)5-FU、ロイコボリンおよびオキサリプラチン(FOLFOXなど);(iii) カペシタビンおよびオキサリプラチン(CAPEOXなど);(iv) ロイコボリン、5-FU、オキサリプラチンおよびイリノテカン(FOLFOXIRI);(v) トリフルリジンおよびチピラシル(Lonsurf))、放射線療法、肝動脈注入(がんが肝転移した場合など)、腫瘍の焼灼、腫瘍塞栓術、結腸ステント、結腸切除、人工肛門造設術(回腸における人工肛門造設術など)、および免疫療法(ペムブロリズマブなど)のうち1つ以上による処置である。
当業者であれば、単独または任意の組合せで、任意の順序、レジメンおよび/または処置において、本明細書に記載の大腸がんの処置を利用できる(例えば、医師により決定されるように)。さらに、当業者が理解するであろうところによると、以前にがんまたは大腸がんに罹患していた対象(再発大腸がんと診断された対象など)におけるステージの早いがんにとっては、一歩進んだ処置オプションが適切である場合がある。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の大腸がんのスクリーニングのための方法および組成物は、処置および/または(例えば、スクリーニングまたは処置などの医療費の補償または還元のための)支払の、決定および/または行為に関する情報を与えてもよい。この決定および/または行為の主体の例としては、個人、医療施設、医療従事者、健康保険提供者、政府機関または医療費に利害のある他の当事者が挙げられる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の大腸がんのスクリーニングのための方法および組成物は、医療費の支払者または受給者に健康保険提供者が補償するかしないかの意思決定に関する情報を与えてもよい。補償の例としては、(1)スクリーニングそれ自体に対する補償(例えば、他の方法では利用できないスクリーニング、周期的/定期的スクリーニングとしてのみ利用できるスクリーニング、一時的にのみ利用できるスクリーニング、および/または、偶発的動機によるスクリーニング);および/または、(2)例えば、スクリーニング結果に基づく処置(処置の開始、継続および/または変更を含む)に対する補償が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態においては、本明細書に記載の大腸がんのスクリーニングのための方法および組成物を、保健医療費の支払者または受給者に対する補償を行うか否か、あるいは費用を減免するか否かに関する決定の根拠、決定の要因または決定に対する支持として用いる。いくつかの例において、補償または費用の減免を求める当事者は、本明細書にしたがって行われるスクリーニングの結果を、医療費の補償または費用の減免の申請書と併せて提出してもよい。いくつかの例において、医療費の補償または費用の減免を行うか否かを決定する当事者は、本明細書にしたがって行われるスクリーニング結果の診療報酬明細書および/または審査結果に基づいて、全体的または一部の決定を下す。
疑いを避けるために、当業者であれば本開示に基づき理解するであろうところによると、本明細書に記載の大腸がん診断のための方法および組成物は、少なくともin vitroにおける使用のためのものである。したがって、本開示の態様および実施形態はいずれも、少なくともin vitroにおいて実施および/または使用できる。
〔キット〕
本開示には、とりわけ、本明細書に記載の大腸がんのスクリーニングにおいて使用するための組成物の1つ以上を含むキットが含まれる。任意で、大腸がんのスクリーニングにおいてキットを使用するための説明書も、併せて含まれる。種々の実施形態において、大腸がんのスクリーニング用キットは、次のうち1つ以上を含んでいてもよい:(i) 1つ以上オリゴヌクレオチドプライマー(例えば、1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対。表13に記載のものなど)、(ii) 1つ以上のMSRE、(iii) qPCR用の1つ以上の試薬(例えば、qPCR反応混合物の完成に充分な試薬。dNTPおよびポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない)、(iv) 大腸がんのスクリーニング用キットに含まれる1つ以上の要素の使用説明書。種々の実施形態において、大腸がんのスクリーニング用キットは、次のうち1つ以上を含んでいてもよい:(i) 1つ以上オリゴヌクレオチドプライマー(例えば、1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対。表13に記載のものなど)、(ii) 1つ以上の重亜硫酸塩試薬、(iii) qPCR用の1つ以上の試薬(例えば、qPCR反応混合物の完成に充分な試薬。dNTPおよびポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない)、(iv) 大腸がんのスクリーニング用キットに含まれる1つ以上の要素の使用説明書。
特定の実施形態において、本開示のキットは、本明細書に記載のメチル化遺伝子座および/またはDMRを増幅するための、1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対を含む。
いくつかの例において、本開示のキットは、本開示の1つ以上のメチル化遺伝子座を増幅するための1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対を含む。いくつかの例において、本開示のキットは、1つ以上のメチル化遺伝子座であって、表1に記載の1つ以上の遺伝子のである(または、その全部または一部を含む)遺伝子座を増幅するための1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対を含む。いくつかの特定の例において、本開示のキットは、複数のメチル化遺伝子座であって、いずれも表1に記載の遺伝子のである(または、その全部または一部を含む)遺伝子座のためのオリゴヌクレオチドプライマー対を含む。ここで言う複数のメチル化遺伝子座には、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個または16個のメチル化遺伝子座が含まれる(表1~6のいずれかに記載されているものなど)。
いくつかの例において、本開示のキットは、本開示の1つ以上のDMRを増幅するための1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対を含む。いくつかの例において、本開示のキットは、1つ以上のDMRであって、表1に記載の遺伝子である(または、当該遺伝子の全部または一部を含む、もしくは当該遺伝子内にある)DMRを増幅するための1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対を含む。いくつかの例において、本開示のキットは、複数のDMRであって、表1に記載の遺伝子である(または、当該遺伝子の全部または一部を含む、もしくは当該遺伝子内にある)DMR用のオリゴヌクレオチドプライマー対を含む。ここで言う複数のDMRには、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個または16個のDMRが含まれる(表1~6のいずれかに記載されているものなど)。
いくつかの例において、本開示のキットは、表7に記載の1つ以上のDMRを増幅するための1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対を含む。いくつかの特定の例において、本開示のキットは、表7に記載の複数のDMRのためのオリゴヌクレオチドプライマー対を含む。ここで言う複数のDMRには、例えば、表7に記載のDMRのうち、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個または28個のDMRを含む(表8~12のいずれかに記載のDMRなど)。
種々の実施形態において、本開示のキットは、表13に記載の1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対を含む。当業者であれば理解するであろうところによると、表13に記載のオリゴヌクレオチドプライマー対は、1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー対の任意の組合せにおいて提供されうる(表1~12のいずれかに記載の組合せなど)。
種々の特定の実施形態において、本開示のキットは、FGF14、ZNF471、PDGFDおよびALKのうちの1つ以上の全部または一部を増幅するオリゴヌクレオチドプライマー対を含まない。
本開示のキットは、1つ以上のMRSEをさらに含んでいてもよい。MRSEは、それぞれ別々に用意されていてもよいし、1つの溶液に含まれていてもよい。種々の実施形態において、1つ以上MSREは、AciI、Hin6I、HpyCH4IVおよびHpaIIを含むMSRE群から選択される(例えば、キットは、AciI、Hin6IおよびHpyCH4IVを、それぞれ別々に含むか、あるいは1つの溶液中に含む)。特定の実施形態において、本開示のキットは、qPCR用の1つ以上の試薬を含む(qPCR反応混合物の完成に充分な試薬。dNTPおよびポリメラーゼなどであるが、これらに限定されない)。
本実施例によって確認されるところによると、本開示は、とりわけ、大腸がんのスクリーニングおよび処置のための方法および組成物を提供する。本実施例がさらに実証するところによると、本明細書に記載の組成物および方法は、大腸がんのスクリーニングおよび/または処置における感度および特異度が顕著に高い。また、大腸がんを有すると診断された対象由来の試料中のバイオマーカーのメチル化と、コントロール対象由来の試料中のバイオマーカーのメチル化とを比較する臨床研究も提供される。さらに、本開示の方法および/または組成物を含む、大腸がんのスクリーニングを実証する。特に明記しない限り、本実施例の試料は、ヒトまたはヒト起源のものである。実施例1を除いて、全ての実験は、血漿試料を用いて行った。
〔実施例1:大腸がんに関連するメチル化バイオマーカーの同定〕
本実施例は、健常なコントロールと比較したときに、結腸がんおよび直腸がんのうち1つ以上において高メチル化されているCpG遺伝子座の同定を含む。特に、本実施例の実験では、次の試料におけるCpGのメチル化を検討した:(i) 以前に結腸がんに罹患していると診断された341人の対象であって、化学療法または放射線療法によって処置されたことがない対象の結腸がん;(ii) 以前に直腸がんに罹患していると診断された118人の対象であって、化学療法または放射線療法によって処置されたことがない対象の直腸がん;(iii) 大腸がんに罹患していると診断されていない40人の健常なコントロール対象の結腸;(iv) 大腸がんに罹患していると診断されていない10人の健常なコントロール対象の白血球。組織試料は、新鮮な凍結組織であった。
グローバルメチロミクス分析プラットフォーム(Infinium HumanMethylation450(HM450)ビーズアレイ)によって、試料のDNAのメチル化を分析した。Infinium HumanMethylation450アレイは、ゲノム全体に位置する450,000個超のCpGのメチル化状態を評価する。全ての組織試料から、DNAのメチル化プロファイルを得た。
大腸がんと健常なコントロール群との間でメチル化状態に実質的な差がないCpGのメチル化部位を同定し、検討の対象から外した(全群のうち5検体以下が平均b値<0.25かつb値>0.3)。このフィルタ処理により、大腸がんと健常なコントロール者との間でメチル化状態が実質的に異なるCpGのメチル化部位のリストを作成した。次に、得られたCpGのメチル化部位の群から、平均b値の差が0.1以下であるCpGのメチル化部位を除外してさらにフィルタ処理した。こうして、253個のCpGのメチル化部位を得た。253個のCpGのメチル化部位はいずれも、コントロールと比較した大腸がん状態において、高メチル化状態と関連していた。
したがって、本実施例により、大腸がんのメチル化バイオマーカーである253個のCpGのメチル化部位の群が得られた。253個のメチル化バイオマーカーは、36個の遺伝子の中(すなわち、36個のメチル化遺伝子座の中)に見られる、複数のDMRを表している。36個のDMRはいずれも、健常なコントロールと比較した大腸がんにおいて、高メチル化されている。
〔実施例2:MSRE-qPCRを用いたメチル化バイオマーカーのセルフリーDNAアッセイの開発〕
本実施例においては、大腸がんのメチル化バイオマーカーのメチル化状態を判定するアッセイを開発する。このアッセイは、循環しているセルフリーDNA(cfDNA)に基づくものである。cfDNAは、不完全で断片化されている。cfDNAが、(循環腫瘍DNAと呼ばれる部分として)がん細胞から血中に移動するメカニズムは知られていない。実施例1における253個のメチル化バイオマーカーは組織試料から同定されている。少なくともこのために、同定された大腸がんのメチル化バイオマーカーをcfDNAから充分に分析して、大腸がんである対象または試料の同定を可能にするctDNAの部分を首尾よく捕捉できるかどうかは、本実施例の実験の前の段階では不明であった。
実施例1で同定された大腸がんのメチル化バイオマーカーをcfDNAから充分に分析して、大腸がんである対象または試料の同定を可能にするctDNAの部分を首尾よく捕捉できるかどうかを決定する重要な段階として、これらのバイオマーカーをスクリーニングするための高感度アッセイを開発した。具体的には、メチル化感受性制限酵素(MSRE)-qPCRを開発した。MSRE-qPCRを開発して、血液試料中の(とりわけ、血中に含まれる腫瘍のセルフリーDNA(cfDNA)中の)同定されたCpG部位を含むDMRのメチル化を測定した。
MSRE-qPCRの開発は、少なくとも部分的には有意義であった。なぜならば、試料の非腫瘍DNAバックグラウンドと比較すると、血中を循環する腫瘍由来DNAの濃度は低いため(0.1~1%)、腫瘍組織に由来するCpGのメチル化バイオマーカーをcfDNAの分析によって分析することは困難であったからである。つまり、容易に入手可能な試料(血液、尿または便など)を用いるバイオマーカー分析を開発することが、一般的には好ましい。その一方で、血液を使用して腫瘍由来のメチル化バイオマーカーを分析することは困難である。このように、上述したように組織における大腸がんに特徴的なメチル化バイオマーカーが同定された後であっても、ctDNAに関する我々の理解が断片的で充分なものではないため、組織において同定されたメチル化バイオマーカーを用いるスクリーニングが成功するかどうかは予測できない。
MSRE-qPCRには、オリゴヌクレオチドプライマー(MSRE-qPCR用のオリゴヌクレオチドプライマー対)の設計が必要である。このプライマーは、いずれも、1つ以上の大腸がんMSRE切断部位を含む遺伝子座を増幅するプライマーである。大腸がんMSRE切断部位とは、1つ以上の大腸がんのメチル化バイオマーカー部位をカバーしているMSRE切断部位であって、当該MSRE切断部位における切断が、1つ以上の大腸がんのメチル化バイオマーカー部位のうちの全てがメチル化されていない核酸分子では許容され、1つ以上の大腸がんのメチル化バイオマーカー部位のうちの少なくとも1つがメチル化されている核酸分子では許容されないMRSE切断部位である。MSRE-qPCRアッセイは、複数の制限酵素を利用することにより、単一のMSRE-qPCR反応によってアッセイできる大腸がんのメチル化バイオマーカー部位の範囲を増やせる。なぜならば、1つのMSREでは、全てのメチル化バイオマーカー部位を同時に含む箇所を切断する可能性が低いからである。本実施例に係るMSRE-qPCRアッセイは、MSREとして、AciI、Hin6IおよびHpyCH4IVを利用する。これらを一緒に用いることにより、充分な範囲をカバーできることが判明した。
例示的なMSRE-qPCRのフローの概略を、図1に示す。本実施例のように、対象の血液(通常は約4mLの血漿試料)から、QIAamp MinElute ccfDNA Kitを用い、製造者のプロトコル(QIAamp MinElute ccfDNA Handbook 08/2018, Qiagene)に従って、循環するセルフリー腫瘍DNAを抽出した。図1に示すように、単離されたcfDNAを2つの部分に分け、第1部分をqPCR品の質管理分析に使用し、第2部分をMSRE-qPCRに使用した。
MSRE-qPCRでは、溶出させたcfDNAのうち体積比で2/3を、MSREで消化した。メチル化していないDNAは選択的に切断されるので、cfDNAとMSREとを接触させると、メチル化由来シグナルの試料が濃縮される。メチル化DNAは消化されずに残り、定量できる。溶出させたcfDNAの残り(体積比で1/3)を、MSRE-qPCR用のオリゴヌクレオチドプライマーを用いたqPCRに使用して、アンプリコンがcfDNAから首尾よく増幅されたことを確認した。この増幅によってテンプレートの存在が確認され、技術的な品質管理ができる。
本明細書に記載の通り、MSRE-qPCR用のオリゴヌクレオチドプライマー対は、実施例1で同定された253個のCpGのメチル化バイオマーカー部位のうち、180個をカバーするDMRを増幅するために首尾よく開発された。DMRは、典型的には1~15個のMSRE切断部位を含んでいる。これらのMSRE切断部位は、180個のメチル化バイオマーカー部位をカバーしている。本明細書に記載の通り、6つの遺伝子(JUB、H19、TBP、TCEB2、SNRPN、IRF4)のメチル化状態は、メチル化を制御する。この制御により、アッセイのロバスト性および再現性をモニタリングできるようになった。
〔実施例3:cfDNAのMSRE-qPCRは大腸がん状態により対象を首尾よく識別する〕
同定されたメチル化バイオマーカーの臨床診断力および予後予測力を検討するために、MSRE-qPCR用のオリゴヌクレオチドプライマー対で増幅した180個のメチル化バイオマーカー部位をカバーするDMRおよび適当なコントロールを、ヒト対象の血漿から抽出したcfDNAにおいてアッセイした。大腸がんの可能性に関して診断を求めている(または、診断中の)未診断の個人を対象とした。こうすることにより、従前の大腸がんの診断検査の前にメチル化バイオマーカーによる分析を実施し、その後、従前の診断と比較できるようにした。具体的には、2017~2018年にかけて、スペインおよびアメリカのスクリーニングセンターおよび腫瘍クリニックにおいて、大腸がんの可能性に関して診断を求めている(または、診断中の)未診断の個人からcfDNAをサンプリングした。第1対象群には、70人の個人が含まれる(図2の第1対象群に関する説明を参照)。第2対象群には、63人の個人が含まれる(図3の第2対象群の説明を参照)。最初に、第2対象群において表14に記載の遺伝子のDMRを検査した小パネルのMSRE-qPCR分析の結果に基づいて、大腸がん診断の原理証明を行った。その結果、大腸がんの全体的な診断感度は80%であり、早期限局性大腸がんの診断感度は最大で75%に及び、特異度は90%であった(図4)。DMRの代表的な原理証明パネルは、近位がんおよび遠位がんのいずれに対しても、同様に(あるいは統計上同等に)良好に機能した(図4)。また、DMRの原理証明パネルは、限局性がんおよび進行性がんのいずれに対しても、同様に(あるいは統計上同等に)良好に機能した(図4)。さらに、MSRE-qPCR用コントロール遺伝子および未消化DNAのコントロールのメチル化をMSRE-qPCR分析したところ、開発されたMSRE-qPCRアッセイは、血漿中のcfDNAにおける大腸がんのバイオマーカーのメチル化状態の測定について、高い技術的信頼性を示した。
大腸がんのDMRのメチル化状態と大腸がんとの関連を、図5~9に示す。45からMSRE-qPCRのCt値を減算した値(45-Ct値)を結果として表示している。結果が示すところによると、本開示の個々の大腸がんのメチル化バイオマーカー(または、わずか3つの個々の大腸がんのメチル化バイオマーカー)の大腸がんに対する予測力(例えば、対象における大腸がんのスクリーニングの決定に使用するための予測力)は、驚くほど高い。
Figure 2022534436000015
〔実施例4:メチル化バイオマーカーのMSRE-qPCRによる追加検証〕
メチル化バイオマーカーDMRの大腸がんに対する予測力を検証するために、実施例3で同定した第1対象群および第2対象群の対象133人に由来する試料のMSRE-qPCR分析から得られたデータ(図2および図3を参照)をさらに分析した。モンテカルロ交差検証を50ランにわたって実行し、ランダムフォレストアルゴリズムを特徴ランキングに使用した。VIP>2であるマーカーを使用して、サポートベクターマシン(SVM)アルゴリズムに基づく分類モデルを構築した。SVMモデルにおいて良好な予測を与えたマーカーのいくつかのサブセットが、この分析により同定された(表7~12に記載の、2個、3個、5個、8個、15個、28個のサブセット)。
全てのモデル(2個、3個、5個、8個、15個および28個の大腸がんのDMRパネル)を、第3対象群の血漿から抽出したcfDNAに適用した。第3対象群には、82人の対象が含まれていた。これらの対象は、結腸内視鏡検査スクリーニングによって、大腸がんであると既に確定診断されているか、または大腸がんではないことが判明しているコントロール対象(過形成性ポリープおよび/または非進行性腺腫を有するが、大腸がんではない対象を含むコントロール群)であるかのいずれかであった。82人の対象は、大腸がんのスクリーニングを受け腫瘍科に通院している、スペインおよびアメリカの対象であった。第3対象群に関するさらなる説明を図10に示す。
MSRE-qPCRにおける28個のDRMの増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対(表13)は、1つ以上のMSRE切断部位(典型的には3~15個のMSRE切断部位)をカバーしている。MSRE-qPCRは、実施例2に記載の方法に従って実施した。
試験したパネルはいずれも大腸がんのスクリーニングのために充分かつ有用であるが、それにもかかわらず当業者であれば理解するであろうところによると、28個DMRパネルは、表15に示される他の全てのDMRパネルと比較して、感度が向上し特異度が同程度であった。疑いを避けるために、試験したパネルは全て、それぞれ単独で、大腸がんの臨床スクリーニングのために、例えば感度および特異度の両方において、充分かつ有用である(例えば、表7~表14を参照)。28個の大腸がんのDMRパネルを用いて第3対象群を分析したところ、大腸がんの診断に対する一般的な感度は79%であり、限局性(早期)がんに対する感度は75%であり、進行性がんに対する感度は84%であった。また、データによると、AUCは82%であり、特異度は87%であった(図11)。SVMモデルによって同定された28個のマーカーパネルに基づく第2検証群のデータのROC曲線分析を、図11に示す。
したがって、28個の大腸がんのDMRパネルおよびそのサブセットの性能を評価すると、28個の大腸がんのDMRのフルパネルも、2個、3個、5個、8個および15個の種々の各サブセットも、いずれも、大腸がんの臨床スクリーニングに充分であることが明らかになる(表7~14を参照)。例えば、一例をあげると、3個のDMRサブセット(表9)は、コントロール対象から大腸がん対象を良好に区別した。このサブセットは、少なくとも部分的には、大腸がんの臨床スクリーニングに充分な性能を示した。決定された感度は60%であり、特異度は87%であった(表15)。
SVMモデルの特性を、表16に示す。入力サポートSVMベクトルおよびそれらの係数(重み)値を、表17に示す(表17は長大なので複数の部分に分けて示し、参照用として各部分では係数および遺伝子名を繰返している)。予測のために、提供された情報をR-packageのpredict()関数と組合せて使用した(https://cran.r-project.org/web/packages/e1071/index.htmlを参照)。
Figure 2022534436000016
Figure 2022534436000017
Figure 2022534436000018

Figure 2022534436000019

Figure 2022534436000020

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Figure 2022534436000022

Figure 2022534436000023

Figure 2022534436000024

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Figure 2022534436000026

Figure 2022534436000027

Figure 2022534436000028

Figure 2022534436000029
〔実施例5:種々の個別のメチル化バイオマーカーは、それぞれ多くの情報を与える〕
28個の大腸がんのDMRパネルの中の大腸がんのDMRの性能を個別に評価したところ、種々の個別の大腸がんのDMRはそれぞれ、大腸がんのスクリーニングに充分であることが判明した(図12~19を参照)。図12~19は、選択した大腸がんのDMRに関して、大腸がん試料およびコントロール試料における当該DMRのメチル化状態を示す。45からMSRE-qPCRのCt値を減算した値(45-Ct値)を結果として表示している。本実施例のデータと、上述の実施例にに記載のデータ(図5~9など)とが共に示すところによると、それぞれの大腸がんのDMRにおいて、メチル化状態シグナルは対象群を通じて充分に安定しており、臨床スクリーニングが可能である。結果を図12~19に示す。これにより、本明細書に記載の大腸がんのメチル化マーカーから、大腸がんのスクリーニングのための強力なシグナルが得られることが分かる。さらに、当業者であれば理解するであろうところによると、大腸がんのスクリーニングにおいてそれぞれ独立して有用であるメチル化バイオマーカーを、本開示は提供する。具体的には、本明細書に記載のメチル化バイオマーカーは、個別にも有用であるし、組合せても有用である。
〔実施例6:マーカーの検証〕
血漿試料を使用して、大腸がんを検出するための最小限のDMRパネルを決定した。これにより判明したところによると、DMRのメチル化状態は、健常者から大腸がんを区別するのに有用であるのみならず、他の種類のがん(乳がん、肺がんなど)を有している対象から大腸がんを区別するのにも有用である。
215人の対象の血漿試料をMSRE-qPCRを用いて分析し、これを訓練用データセットに用いて、大腸がんを検出するための最小限のDMRパネルを決定した。大腸がんを検出するアルゴリズムの訓練に用いた対象コホートの詳細を図21に示す。訓練用データセットには、大腸がん(CRC)と診断された93人のヒト対象、健常と診断された91人の対象、および非進行性腺腫(NAA)と診断された31人の対象が含まれていた。NAA+健常のカラムは、健常およびNAAのカラムの合計である。特異度を算出するために、大腸がんと診断されなかった患者は全てコントロールと見做した。また、大腸がんの分布を図21に示す。大腸がんは限局性または進行性に分類され、これは組織学的に決定される。大腸がんの位置は結腸内視鏡検査により決定され、近位結腸または遠位結腸のいずれかに分類される。
大腸がんを検出する潜在性を示したDMRを選抜し、独立した検証対象群を用いて追加検証した(図22を参照)。774人のヒト対象の血漿試料を、スペイン、ウクライナ、イギリスおよびアメリカで採取した。774人の対象のうち、152人の対象が大腸がん(CRC)と診断されていた。コントロール群は、622人の対象であった。コントロール群のうち、148人の対象は非進行性腺腫を有しており、52人の対象は大腸がん以外のがん(乳がんまたは肺がん)を有していた。各群の男性および女性の数、年齢範囲および対象の総数を図22に示す。がん(大腸がん、乳がんまたは肺がん)を有している患者においては、限局性または進行性にがんを分類した。
ランダムフォレスト特徴選抜アルゴリズムを特徴ランキングに使用した。このアルゴリズムでは、図21の訓練用データセットにモンテカルロ交差検証を50サブセット超にわたって反復させ、50回の反復による生じる重要度の分散(VIP)によって事前に選抜したマーカーをランク付けした。VIP>2であるマーカーを使用して、訓練用データセットにおけるサポートベクターマシンアルゴリズムを構築した。
これにより判明したところによると、3個のDMRパネル(図23)、5個のDMRパネル(図24)および6個のDMR(図25)パネルは、いずれも、検証用データセット(図22)の対象の大腸がん状態を良好に評価する。3個のマーカーパネル、5個のマーカーパネルおよび6個のマーカーパネルにそれぞれ含まれるマーカーを、下記表18、19、20に示す。
Figure 2022534436000030

Figure 2022534436000031
Figure 2022534436000032

さらに、上述の3個のDMRパネル(表18)、5個のDMRパネル(表19)および6個のDMRパネル(表20)のそれぞれについて、確度、感度、特異度およびAUCを下記表21に示す。
Figure 2022534436000033

最良の性能を示すアルゴリズムでは、表20に記載の6個のマーカーが用いられた。大腸がん症例の69%が検出され、特異度は87%であり、総AUCは86%であった。さらに、3個のマーカーパネルおよび5個のマーカーパネルは、いずれも、良好に大腸がんを分類した。3個のマーカーパネルでは、大腸がん症例の58%が検出され、特異度は89%であり、AUCは84.5%であった。
以上の知見は、特に注目に値する。というのも、大腸がん以外のがん診断を受けた対象がコントロール群に含まれていたにもかかわらず、特異度が高く保たれていたからである。この知見が示すところによると、このマーカーはがんを一般的に示すものではなく、大腸がんを特異的に検出し、大腸がんの検出にとって驚くほど重要である。
いくつかの実施形態において、本開示はDMRの組合せを含み、当該DMRは、表22に記載の遺伝子であるか、その全てを含むか、その一部を含むか、またはその中に含まれる。いくつかの実施形態において、本開示はDMRの組合せを含み、当該DMRは、表23に記載の遺伝子であるか、その全てを含むか、その一部を含むか、またはその中に含まれる。いくつかの実施形態において、本開示はDMRの組合せを含み、当該DMRは、表24に記載の遺伝子であるか、その全てを含むか、その一部を含むか、またはその中に含まれる。
いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つのDMRを含み、当該DMRは、表22に記載の互いに異なる遺伝子であるか、その全部を含むか、その一部を含むか、またはその中に含まれる。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つのDMRを含み、当該DMRは、表23に記載の互いに異なる遺伝子であるか、その全部を含むか、その一部を含むか、またはその中に含まれる。いくつかの特定の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つのDMRを含み、当該DMRは、表24に記載の互いに異なる遺伝子であるか、その全部を含むか、その一部を含むか、またはその中に含まれる。
種々の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つ以上のDMRを含み、当該DMRは、表22に記載の同じ遺伝子の全てを含むか、その一部を含むか、またはその中に含まれる。種々の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つ以上のDMRを含み、当該DMRは、表23に記載の同じ遺伝子の全てを含むか、その一部を含むか、またはその中に含まれる。種々の実施形態において、大腸がんのメチル化バイオマーカーは2つ以上のDMRを含み、当該DMRは、表24に記載の同じ遺伝子の全てを含むか、その一部を含むか、またはその中に含まれる。
Figure 2022534436000034

Figure 2022534436000035
Figure 2022534436000036

〔実施例7:種々の個別のメチル化バイオマーカーは、それぞれ多くの情報を与える〕
大腸がんのDMRパネル(実施例6に記載のものなど)の中から大腸がんのDMRの性能を個別に評価したところ、種々の個別の大腸がんのDMRは、健常者から大腸がんをスクリーニングするのに充分であるのみならず、他のがんを有する個人から大腸がんをスクリーニングするのにも充分であることが判明した。各メチル化マーカーのメチル化状態を単変量解析したところ、多くのマーカーは確度が高く、p値は0.001未満であった(下記表25を参照)。
Figure 2022534436000037

表25に記載の大腸がんのDMRに関して、大腸がん試料およびコントロール試料における(図22の検証群における)各DMRのメチル化状態を図26~31に示す。この例において、コントロール試料には、健常な対象、非進行性腺腫を有する対象、乳がんを有する対象、および肺がんを有する対象が含まれる(図22を参照)。45からMSRE-qPCRのCt値を減算した値(45-Ct値)を結果として表示している。本実施例のデータと、上述の実施例にに記載のデータ(図23~25など)とが共に示すところによると、個別の大腸がんのDMRのメチル化状態シグナルは、臨床的スクリーニング(とりわけ、大腸がんと他の種類のがんとを区別するスクリーニング)のために充分かつ対象群を通じて驚くほど安定である。結果を図23~25に示す。これによりさらに検証されたところによると、本明細書に記載の大腸がんのメチル化マーカーは、大腸がんのスクリーニングのためのロバストな信号を提供できる。さらに、当業者であれば理解するであろうところによると、本開示は、これらのメチル化バイオマーカーが大腸がんのスクリーニングにおいて個々別々に有用であることを提示している。具体的には、本明細書に記載のメチル化バイオマーカーは、個別に有用でもあるし、組合せても有用である。
〔他の実施形態〕
本発明者らは、いくつかの実施形態を開示した。しかし、明らかであることには、本発明者らの基本的な開示および例示から、本明細書に記載の組成物および方法を利用する(または、これらを含む)他の実施形態が提供されうる。したがって、理解されるであろうところによると、本発明の範囲は、本明細書および添付の特許請求の範囲から理解される範囲によって定義されるのであり、例示として記載されている特定の実施形態により定義されるのではない。
本明細書において参照されている全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
〔配列〕
配列番号1(ZNF132)(表1を参照)
ZNF132 chr19、hg38のbp 58439728~58440994
配列番号2(DMRT1)(表1を参照)
DMRT1 chr9、hg38のbp 841340~968090
配列番号3(ALK)(表1を参照)
ALK chr2、hg38のbp 29193215~29922286
配列番号4(JAM2)(表1を参照)
JAM2 chr21、hg38のbp 25637848~25714704
配列番号5(FGF14)(表1を参照)
FGF14 chr13、hg38のbp 101919879~102403137
配列番号6(MCIDAS)(表1を参照)
MCIDAS chr5、hg38のbp 55220951~55221051
配列番号7(ST6GALNAC5)(表1を参照)
ST6GALNAC5 chr1、hg38のbp 76866255~77063388
配列番号8(LONRF2)(表1を参照)
LONRF2 chr2、hg38のbp 100285667~100323015
配列番号9(PDGFD)(表1を参照)
PDGFD chr11、hg38のbp 104163499~104164026
配列番号10(GSG1L)(表1を参照)
GSG1L chr16、hg38のbp 27920615~28064275
配列番号11(ZNF492)(表1を参照)
ZNF492 chr19、hg38のbp 22633051~22666433
配列番号12(ZNF568)(表1を参照)
ZNF568 chr19、hg38のbp 36916312~36943940
配列番号13(ADAMTS2)(表1を参照)
ADAMTS2 chr5、hg38のbp 179118114~179344392
配列番号14(ZNF542)(表1を参照)
ZNF542 chr19、hg38のbp 56367838~56370986
配列番号15(ZNF471)(表1を参照)
ZNF471 chr19、hg38のbp 56507245~56508589
配列番号16(CNRIP1)(表1を参照)
CNRIP1 chr2、hg38のbp 68293114~68320928
配列番号17(表7を参照)
CCTCCTCACCCATCATCAGCGCCCGCGGCTTTGGGTGGCCGACCAGAGGGCGGCCGGAAAGCACCTCGGTGCCCCGCGACCCTCCGAACAGAGGCGGCGGGAGGTACC
配列番号18(表7を参照)
GCGTGCTGGGTTTAATCTTCACCTCAACCTTGTAGGAGGAGCCGGTGAGCAGCTTGATGGTGCGGTTCTGGCCGAAGCGCTGCCCGTCCACCTTGTAAAAGACCGGGCCGT
配列番号19(表7を参照)
AGGAAGCAAAGTGACCCCTAAGCCTAGACAAAGCTCTCGAAAGCCCAAAGCCTCGGGCCCACCGGCCAGCTCCCCACCCCGCTGCTGGGCCGGACAGGTGTAGGGGAGGCGGACC
配列番号20(表7を参照)
CTCTCAGTCCCGCCGGCTTAGGTAACCCAGGTCGCTGCGGTAACGCAGTGACCGCGCTCCAGGTCCGCGTCTCTTGC
配列番号21(表7を参照)
CCACTGCGAAGGGAAGGGGCATTCCGCCAGGCGACCCCAGAAGCCAGCCTGCACCTCCCCGGCTTTCCTGCAACCGGGAAGGGGCGTTAACAGGG
配列番号22(表7を参照)
GCGACCCCAGAAGCCAGCCTGCACCTCCCCGGCTTTCCTGCAACCGGGAAGGGGCGTTAACAGGGCCACCACTCCGGGGCTCCGCCACTCCCCAGCCGTT
配列番号23(表7を参照)
CAACGGAAACTTCCCGCGCTACGGCGGCTCCAACGGGCCGCTTCCGCCGCATTGCGTAGCGAAGCCCCCGGCGAG
配列番号24(表7を参照)
CAAAGCGTCTGGGGCGCTAGTGGGGGCGGCCAGCGGCTCGAGCGCCGGGGGCAGCAGCAGAGGAGGCGGCTCCGGCTCCGGGGCGTCGGACCTGGGTGCCGGGAGCAAGAAGT
配列番号25(表7を参照)
CGCTCAGCCGCTCTCCTCTTCTCTCTCCCGCCCGCCCGCAGCGCCATGGTCTGGCAGTGTGTTTAGCGCT
配列番号26(表7を参照)
GGGTTCGGAGCGTGCAAAAGGTGACCTAGGCGCGCTACGCACCACGCACTCAGCGGTACTCTCCTCTCCCGGGCCCCCACGGGTCCCGATGCTGGGCGGGGATGCACTGAACTGTTC
配列番号27(表7を参照)
GCGCCCCACTTACATCCAGCACCGAGGCCAGGTGCCGGGTTCGGCTGGCGAGTTCCTTCAGCTGCACGTTCCGCTCCTTGAGCGAGGCGATCTCCTCCTGTTTCTGGGTCAATGTCACGT
配列番号28(表7を参照)
AACGTCTATCACCCAGGGAAAGCTACTCTTGACTCCTTCCACCTATCAAAATTGCCTAAGAAAGGTTGAGTCTGACCAAGGGGCGGCGCAGCTTGCAACTTTCGCCAACTCCGGGA
配列番号29(表7を参照)
GGTGCATTTGGGATCAGCGACTAGAGACAGCGTCGCTCCAAGAAAAAGCCGGGTTCTGCTCCCGGGACCGACGCCGCGCCGCCCTGCGCTCTCGCCGCCTGCGCTCGCCCTGCGCTGGCCCGGGTCGCTGTGCTAATC
配列番号30(表7を参照)
CCGAAAGAAATCCGAGCCAGGGTGAGGGTCTGAGACGCAAGGAGAATCCCAGGCAAGGCGCTCCTGAGAAAAGATCCCCACGGCGGACGTGGGGCAACAAAACC
配列番号31(表7を参照)
CGAGAGAGGGGAAGGGGCTGGTTGGAACCGGTGGCAAGAGGCTGTGGCGGGACTCAGGCCTCCCCGCAGTCGGCTCCACAATCTGCGCCCCAAGTTCG
配列番号32(表7を参照)
GCCCAAGCCTCACCCTCACACAGGAAAGCAGATGTGTTCTGGCCGGAAGTTGAGTGGGGCCGCGGGGCCTGCTGGGAGGTGTTGTCCTCGGAAACGTCGCTGGCGCGGAGGGATGGTTCG
配列番号33(表7を参照)
GGTCGCCTTCACCCAGCATCTCAGAAACTGCGCGCGGGATGAACATTCGGGTGTTTCCGGCAGGTGACGCTG
配列番号34(表7を参照)
CCAGAGGCCCAGGGATCCGTTCAGGTCAGCGCTGGCGTCCGGGCCTGAGTTTGGAGGTGGCGGGTGCCTTACAAGAATGCTCGCGT
配列番号35(表7を参照)
GGGAGGAGTGGGCGGCTGAATGGCCAGAGGCCCAGGGATCCGTTCAGGTCAGCGCTGGCGTCCGGGCCTGAGTTTGGAGGTGGCGGGTGC
配列番号36(表7を参照)
CCCCACGCGTACTCACACCGAAGGCTCAGCCGTCGCGCGTTTCCCTCCCAGGCCCCAGGAACTAGTAACTAGGGACGCTTCTGGTCTCTAGGCGAGGAGAGGGGGAGAGCGCAATCTTTGCGCCTGCGCACACTCCTGCTCTTACCCGC
配列番号37(表7を参照)
GTCGCGCGTTTCCCTCCCAGGCCCCAGGAACTAGTAACTAGGGACGCTTCTGGTCTCTAGGCGAGGAGAGGGGGAGAGCGCAATCTTTGCGCCTGCGCACACTCCTGCTCTTACCCGC
配列番号38(表7を参照)
CTGCTCTTACCCGCCGGAACCCTGGGCCACGCCCGGCTCGCGTAATCACGCACTGCGCAGGCACCGCCCGCTCTGCTCTAAGGTCCCTC
配列番号39(表7を参照)
CTACTGCTAGGTCGTTGCCAAGGTGATTGAGGAATGGCGTTTATTGCGTCGCTGCTCAGGCAACGCAAACTACATTATCCAGAAGGACCCTCGCGGTGCCTCAGGGCTGGCCATTGGCAGCCGAGGAGACAGGCACTTCCGGGCGGAGTGTAAGACGCTGGCCAATCA
配列番号40(表7を参照)
GTGTAAGACGCTGGCCAATCACAGCCTGGCAGCGGGACTTCCGTCGTCGTCCTCGGACCATCACTTTGGCATTTCTCGATTTTGTCTGCTTCTGAAGGGACCGCGTTGT
配列番号41(表7を参照)
CCGCGTGGTCTGGGCTCTGTAGCGTCCCAGCTGAGCCGGCGATATGCAGCGCACTTGTGGGGCGGAGGTGGAGGGAATTC
配列番号42(表7を参照)
CAACGTTAAAGGCAAACACCTTCTGCGGTGTGCTTGGCTCAGCTCAGGCAGGAAGCCCTGCCTGAAAAGGCTGCACCTTCGGCTGTCACTCTGTCCTCATTCGGCC
配列番号43(表7を参照)
GCCGGTGAGCAGCTTGATGGTGCGGTTCTGGCCGAAGCGCTGCCCGTCCACCTTGTAAAAGACCGGGCCGT
配列番号44(表7を参照)
CGGGAAGGGGCGTTAACAGGGCCACCACTCCGGGGCTCCGCCACTCCCCAGCCGTTCCCTCCTCCGGAGACCTTGCCTGCCAAGA
配列番号45(表13を参照)
CCTCCTCACCCATCATCAGCGCCC
配列番号46(表13を参照)
GGTACCTCCCGCCGCCTCTGTTC
配列番号47(表13を参照)
GCGTGCTGGGTTTAATCTTCACCTCAA
配列番号48(表13を参照)
ACGGCCCGGTCTTTTACAAGGTGG
配列番号49(表13を参照)
AGGAAGCAAAGTGACCCCTAAGCCT
配列番号50(表13を参照)
GGTCCGCCTCCCCTACACCT
配列番号51(表13を参照)
CTCTCAGTCCCGCCGGCTTAGGTA
配列番号52(表13を参照)
GCAAGAGACGCGGACCTGGAGC
配列番号53(表13を参照)
CCACTGCGAAGGGAAGGGGCA
配列番号54(表13を参照)
CCCTGTTAACGCCCCTTCCCGGTT
配列番号55(表13を参照)
GCGACCCCAGAAGCCAGCCT
配列番号56(表13を参照)
AACGGCTGGGGAGTGGCGGA
配列番号57(表13を参照)
CAACGGAAACTTCCCGCGCTAC
配列番号58(表13を参照)
CTCGCCGGGGGCTTCGCTAC
配列番号59(表13を参照)
CAAAGCGTCTGGGGCGCTAGT
配列番号60(表13を参照)
ACTTCTTGCTCCCGGCACCCAGGTC
配列番号61(表13を参照)
CGCTCAGCCGCTCTCCTCTTCTCT
配列番号62(表13を参照)
AGCGCTAAACACACTGCCAGACCA
配列番号63(表13を参照)
GGGTTCGGAGCGTGCAAAAGGTGA
配列番号64(表13を参照)
GAACAGTTCAGTGCATCCCCGCCC
配列番号65(表13を参照)
GCGCCCCACTTACATCCAGCACC
配列番号66(表13を参照)
ACGTGACATTGACCCAGAAACAGGAGGA
配列番号67(表13を参照)
AACGTCTATCACCCAGGGAAAGCT
配列番号68(表13を参照)
TCCCGGAGTTGGCGAAAGTTGCAA
配列番号69(表13を参照)
GGTGCATTTGGGATCAGCGACTAGAGAC
配列番号70(表13を参照)
GATTAGCACAGCGACCCGGGCCAG
配列番号71(表13を参照)
CCGAAAGAAATCCGAGCCAGGGTGA
配列番号72(表13を参照)
GGTTTTGTTGCCCCACGTCC
配列番号73(表13を参照)
CGAGAGAGGGGAAGGGGCTGGTTG
配列番号74(表13を参照)
CGAACTTGGGGCGCAGATTGTGG
配列番号75(表13を参照)
GCCCAAGCCTCACCCTCACACAG
配列番号76(表13を参照)
CGAACCATCCCTCCGCGCCA
配列番号77(表13を参照)
GGTCGCCTTCACCCAGCATCTCAG
配列番号78(表13を参照)
CAGCGTCACCTGCCGGAAACACC
配列番号79(表13を参照)
CCAGAGGCCCAGGGATCCGTTCAG
配列番号80(表13を参照)
ACGCGAGCATTCTTGTAAGGCACCC
配列番号81(表13を参照)
GGGAGGAGTGGGCGGCTGAATGG
配列番号82(表13を参照)
GCACCCGCCACCTCCAAACTCAG
配列番号83(表13を参照)
CCCCACGCGTACTCACACCGAAG
配列番号84(表13を参照)
GCGGGTAAGAGCAGGAGTGTG
配列番号85(表13を参照)
GTCGCGCGTTTCCCTCCCAG
配列番号86(表13を参照)
GCGGGTAAGAGCAGGAGTGTG
配列番号87(表13を参照)
CTGCTCTTACCCGCCGGAACCCTG
配列番号88(表13を参照)
GAGGGACCTTAGAGCAGAGCGGGC
配列番号89(表13を参照)
CTACTGCTAGGTCGTTGCCAAGG
配列番号90(表13を参照)
TGATTGGCCAGCGTCTTACACTCCG
配列番号91(表13を参照)
GTGTAAGACGCTGGCCAATCACA
配列番号92(表13を参照)
ACAACGCGGTCCCTTCAGAAGCAG
配列番号93(表13を参照)
CCGCGTGGTCTGGGCTCTGTAG
配列番号94(表13を参照)
GAATTCCCTCCACCTCCGCCCCAC
配列番号95(表13を参照)
CAACGTTAAAGGCAAACACCTTCTGC
配列番号96(表13を参照)
GGCCGAATGAGGACAGAGTGACAG
配列番号97(表13を参照)
GCCGGTGAGCAGCTTGATGGT
配列番号98(表13を参照)
ACGGCCCGGTCTTTTACAAGG
配列番号99(表13を参照)
CGGGAAGGGGCGTTAACAGGGC
配列番号100(表13を参照)
TCTTGGCAGGCAAGGTCTCCGGAG

Claims (21)

  1. 対象における大腸がんをスクリーニングするin vitroの方法であって、
    対象のDNA試料における、以下の(a)~(c)のそれぞれのメチル化状態を決定する工程と、
    (a)遺伝子ZNF132内のメチル化遺伝子座、
    (b)遺伝子ADAMTS2内の第1メチル化遺伝子座、
    (c)遺伝子ADAMTS2内の第2メチル化遺伝子座、
    健常者から得られた参照値で得られたデータを比較する工程と、
    参照試料と比較して、遺伝子座の高メチル化が検出された場合に、対象における大腸がんを診断する工程と、を含む方法。
  2. 対象のDNA試料における、以下の(d)~(e)のそれぞれのメチル化状態を決定する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法:
    (d)遺伝子ZNF542内のメチル化遺伝子座、
    (e)遺伝子LONRF2内のメチル化遺伝子座。
  3. 対象のDNA試料における、遺伝子ZNF492内のメチル化遺伝子座のメチル化状態を決定する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記遺伝子ZNF132内のメチル化遺伝子座がZNF132‘415(配列番号40)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記遺伝子ADAMTS2内の第1メチル化遺伝子座がADAMTS2‘254(配列番号21)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記遺伝子ADAMTS2内の第2メチル化遺伝子座がADAMTS2‘284(配列番号22)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記遺伝子ZNF542内のメチル化遺伝子座がZNF542‘502(配列番号35)を含む、請求項2~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記遺伝子LONRF2内のメチル化遺伝子座がLONRF2‘281(配列番号19)を含む、請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記遺伝子ZNF492内のメチル化遺伝子座がZNF492‘069(配列番号42)を含む、請求項3~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記DNAがヒト対象の血液または血漿から単離される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記DNAがヒト対象のセルフリーDNAである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を使用してメチル化状態を決定する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. (a)遺伝子ZNF132内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対と、
    (b)遺伝子ADAMTS2内の第1メチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対と、
    (c)遺伝子ADAMTS2内の第2メチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対と、を含み、
    (d)少なくとも1つのメチル化特異的制限酵素および/または重亜硫酸塩試薬、および、(e)ポリメラーゼをさらに任意で含む、キット。
  14. (f)遺伝子ZNF542内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対と、
    (g)遺伝子LONRF2内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対と、をさらに含む、請求項13に記載のキット。
  15. (h)遺伝子ZNF492内のメチル化遺伝子座の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対をさらに含む、請求項13または14に記載のキット。
  16. (a)がZNF132‘415の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対(プライマー対 配列番号91および配列番号92)である、請求項13~15のいずれか1項に記載のキット。
  17. (b)がADAMTS2‘254の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対(プライマー対 配列番号53および配列番号54)である、請求項13~16のいずれか1項に記載のキット。
  18. (c)がADAMTS2‘284の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対(プライマー対 配列番号55および配列番号56)である、請求項13~17のいずれか1項に記載のキット。
  19. (f)がZNF542‘502の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対(プライマー対 配列番号81および配列番号82)である、請求項14~18のいずれか1項に記載のキット。
  20. (g)がLONRF2‘281の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対(プライマー対 配列番号49および配列番号50)である、請求項14~19のいずれか1項に記載のキット。
  21. (h)がZNF492‘069の増幅用オリゴヌクレオチドプライマー対(プライマー対 配列番号95および配列番号96)である、請求項15~20のいずれか1項に記載のキット。
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