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JP2022111399A - ユビキチンリガーゼ阻害組成物、及びこれを含有しガンによって誘導されたカヘキシアを改善するための予防及び/又は治療用組成物 - Google Patents

ユビキチンリガーゼ阻害組成物、及びこれを含有しガンによって誘導されたカヘキシアを改善するための予防及び/又は治療用組成物 Download PDF

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JP2022111399A JP2021006790A JP2021006790A JP2022111399A JP 2022111399 A JP2022111399 A JP 2022111399A JP 2021006790 A JP2021006790 A JP 2021006790A JP 2021006790 A JP2021006790 A JP 2021006790A JP 2022111399 A JP2022111399 A JP 2022111399A
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誠 小関
Makoto Koseki
綾 安部
Aya Abe
裕二 内藤
Yuji Naito
智久 ▲高▼木
Tomohisa Takagi
剛 石川
Takeshi Ishikawa
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Taiyo Kagaku KK
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Kyoto Prefectural PUC
Taiyo Kagaku KK
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Abstract

【課題】新規なユビキチンリガーゼ阻害組成物、及びこれを含有しガンによって誘導されたカヘキシアを改善するためのカヘキシア予防及び/又は治療用組成物を提供する。【解決手段】(A)平均分子量が1.8×103~2.0×105、平均分子量の範囲内のものが70質量%以上含まれるグアーガム分解物と(B)グアー豆タンパク質とを含有し、B型粘度計を用いて25℃、60rpmで測定したときの1質量%水溶液の粘度が50mPa・s以下のユビキチンリガーゼ阻害組成物であって、グアーガム分解物が、グアー由来の胚乳に含まれるガラクトマンナン多糖を微生物由来β-マンナナーゼを用いて加水分解し、低分子化することにより得られたものであり、(A):(B)の範囲が25~1000であるユビキチンリガーゼ阻害組成物である。【選択図】図1

Description

本発明は、ユビキチンリガーゼ阻害組成物、及びこれを含有しガンによって誘導されたカヘキシアを改善するための予防及び/又は治療用組成物などに関する。
ユビキチンとは、76個のアミノ酸からなる小さなタンパク質であり、至るところに存在する(ubiquitous)ことから命名された。ユビキチンは、他のタンパク質の修飾に用いられ、タンパク質分解・DNA修復・翻訳調節・シグナル伝達などの生命現象に関わる。進化的に保存性が高く、すべての真核生物で殆ど同じアミノ酸配列をもっている。
ユビキチンリガーゼは、ユビキチンが結合したE2ユビキチン結合酵素と関連し、タンパク質の基質を認識し、E2から基質へのユビキチンの転移を助けたり、この反応を直接的に触媒するタンパク質である。ユビキチンリガーゼは、標的タンパク質とE2酵素の両方と相互作用することによって、E2酵素に基質特異性が付与される。ユビキチンリガーゼによるユビキチン化は、細胞移動・DNA修復・シグナル伝達などの種々の活動を調節しており、細胞生物学において極めて重要であると認識されている。
ユビキチンリガーゼを阻害する物質は、ユビキチンリガーゼの作用を阻害することで、筋萎縮・骨萎縮、骨粗鬆症、筋肉疲労、筋肉低減などの種々の作用を及ぼし得る(特許文献1)。
特開2007-314469号公報
しかしながら、ユビキチンリガーゼ阻害組成物については、未だに満足なものが得られておらず、研究の余地が残されていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、新規なユビキチンリガーゼ阻害組成物、及びこれを含有しガンによって誘導されたカヘキシアを改善するためのカヘキシア予防及び/又は治療用組成物を提供することである。
本発明者は、特定のグアーガム分解物とグアー豆タンパク質とを含有した組成物にユビキチンリガーゼ阻害活性があることを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
こうして、本願発明に係る、ユビキチンリガーゼ阻害組成物は、(A)平均分子量が1.8×10~2.0×10、平均分子量の範囲内のものが70質量%以上含まれるグアーガム分解物と(B)グアー豆タンパク質とを含有し、B型粘度計を用いて25℃、60rpmで測定したときの1質量%水溶液の粘度が50mPa・s以下(より好ましくは20mPa・s以下)のものであって、前記グアーガム分解物が、グアー由来の胚乳に含まれ、ガラクトースとマンノースの含量比率(ガラクトース:マンノース)が1:1.5~1:2.1の範囲であるガラクトマンナン多糖を微生物由来β-マンナナーゼを用いて加水分解し、低分子化することにより得られたものであり、酵素-HPLC法により規定される食物繊維含量を少なくとも70質量%、グアーガム分解物のオリゴ糖の含有量が15質量%以下であり、含有するタンパク質中のアミノ酸組成のうち(グルタミン酸+グルタミン+アスパラギン酸+アスパラギン)/全アミノ酸≧0.4、(グルタミン酸+グルタミン+アスパラギン酸+アスパラギン)/(アルギニン+リジン+ヒスチジン)≧4、(シスチン+チロシン)/全アミノ酸≧0.1、かつ(バリン+ヒスチジン+プロリン+ロイシン)/全アミノ酸≦0.12であり、前記(A):(B)の範囲が25~1000の範囲であることを特徴とする。
また、別の発明に係るカヘキシア予防及び/又は治療用組成物は、上記ユビキチンリガーゼ阻害組成物を含有し、ガンによって誘導されたカヘキシアを改善するためのものであることを特徴とする。
また、別の発明に係る飲食品及び飼料は、上記ユビキチンリガーゼ阻害組成物を含有することを特徴とする。この飲食品を摂取することにより、ガンによって誘導されたカヘキシアを改善できるので、ガン患者に対する良好なものとなる。
本発明においては、本発明の組成物を含む、飲食品および医薬品を提供することができる。飲食品は、食品と飲料を含むものであり、例えば、栄養補助食品、健康食品、特定保健用食品、機能性表示食品、食事療法用食品、総合健康食品、サプリメント、茶飲料、コーヒー飲料、ジュース、清涼飲料、ドリンク剤、米飯、パン、麺類、乳製品、卵加工品、水産・畜産加工食品、菓子、油脂および油脂加工食品、調味料、惣菜などが挙げられる。医薬品は、医薬品又は医薬部外品を含むものであり、経口製剤、又は経腸製剤であることが好ましく、液剤、錠剤、顆粒剤、丸剤、シロップ剤などの形態とすることができる。
本発明における飼料とは、ヒト以外の生物に摂食させるための食べ物のことをいい、その形態については特に限定されない。飼料を適用しうる生物としては特に限定されないが、例えば、養殖動物やペット動物などが挙げられる。養殖動物としては、例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ラマなどの家畜や、マウス、ラット、モルモット、ウサギなどの実験動物や、ニワトリ、アヒル、七面鳥、ダチョウなどの家禽などがある。ペット動物としては、例えば、イヌ、ネコなどがある。
本発明によれば、新規なユビキチンリガーゼ阻害組成物およびこれを含有しガンによって誘導されたカヘキシアを改善するためのカヘキシア予防及び/又は治療用組成物を提供できる。
グアーガム分解物の生理活性試験を行ったときの各群のマウスの体重変化を示すグラフである。 各群のマウスの食餌量の変化を示すグラフである。 第21日目(最終日)の各群のマウスの体重を測定した結果を示すグラフである。 第21日目(最終日)に解剖を行った後に、腫瘍を除いたときの各群のマウスの体重を測定した結果を示すグラフである。 第21日目(最終日)に解剖を行った後に、筋肉重量(左右両側腓腹筋重量)を測定した結果を示すグラフである。 第21日目(最終日)に解剖を行った後に、骨格筋内ユビキチンリガーゼ(Astrogin)の発現量(mRNA)を調べた結果を示すグラフである。 第21日目(最終日)に解剖を行った後に、骨格筋内ユビキチンリガーゼ(MuRF-1)の発現量(mRNA)を調べた結果を示すグラフである。
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施できる。
グアーガムとは、グアー豆の胚乳(正確には、子葉)から得られる水溶性の天然多糖類のことを意味し、直鎖状に結合した2分子のマンノースに1分子のガラクトースの側鎖を持つ多糖類であり、平均分子量は、2.0×10~3.0×10程度である。グアーガムには、血糖値上昇抑制効果、コレステロール低下効果、便通改善効果などの生理作用が知られている。本発明において、グアーガム分解物とは、インド・パキスタン等で食用に供されている一年生豆科植物グアー(学名:Cyanopsis tetragoloba)由来の豆を原料とし、その胚乳に含まれるガラクトマンナン多糖を加水分解し、低分子化することにより得られる水溶性食物繊維を意味する。グアーガムを加水分解する方法としては、酵素分解法、酸分解法など、特に限定するものではないが、分解物の分子量を整えやすい点から酵素分解法が好ましい。
酵素分解法に用いられる酵素としては、マンノース直鎖を加水分解する酵素であれば特に限定されるものではないが、アスペルギルス属菌やリゾップス属菌などに由来するβ-マンナナーゼを用いることが好ましい。グアーガム分解物の平均分子量分布は、上限値が2×10以下であり、好ましくは、1.0×10以下、さらに好ましくは、2.5×10以下である。グアーガム分解物の平均分子量分布の下限値は1.8×10以上であり、好ましくは、3.0×10以上である。平均分子量分布が1.8×10よりも小さいとユビキチンリガーゼ阻害活性を十分に発揮することが難しくなり、平均分子量が2×10を超えると、粘度が高すぎて飲食品に含有させることが難しくなる。分子量分布の測定方法は、特に限定するものではないが、例えば分子量マーカーとしてポリエチレングリコール(平均分子量:2×10、2×10、2×10及び1×10)を使用し、高速液体クロマトグラフ法を用いる方法等がある。
本発明のグアーガム分解物は、上記平均分子量の範囲内のものが70質量%以上、好ましくは80質量%以上含まれるものが用いられる。
ガラクトースとは、アルドヘキソースに分類される単糖の一種であり、分子式はC12、分子量は180である(いずれもグルコースと同じ)。立体配置は2位(フィッシャー投影式で上から2番目)、5位の-OHが同じ方向、3位、4位が反対方向であり、D-ガラクトースの5位の立体配置はD-グリセルアルデヒドと同じである。
マンノースとは、アルドヘキソースに分類される単糖の一種であり、分子式はC12、分子量は180である(いずれもグルコースと同じ)。立体配置は2位、3位の-OHが同じ方向、4位、5位が反対方向であり、D-マンノースの5位の立体配置はD-グリセルアルデヒドと同じである。マンノースは人間ではあまり代謝されず、経口摂取した場合には殆ど解糖系には入っていかない。
オリゴ糖の含有量は、高速液体クロマトグラフの分析チャートより、6~15質量%(15質量%以下)であった。
タンパク質中のアミノ酸組成は、例えばHPLCを用いた公知の方法によって測定できる。アスパラギンとグルタミンは、アミノ酸分析の前処理において、タンパク質を加水分解する際に、それぞれアスパラギン酸とグルタミン酸に変化し、測定の際には、アスパラギンとアスパラギン酸、グルタミン酸とグルタミンは区別できない。このため、これらは纏めて、アスパラギン酸、グルタミン酸として定量される。
カヘキシアとは、筋繊維の減少を伴い、食欲不振・体重減少・全身衰弱などを示す病態である。カヘキシアをもたらす疾患として、心不全・慢性閉塞性肺疾患・肝不全・腎不全などの臓器不全、AIDS・マラリアなどの慢性感染症、がん、関節リウマチなどがある。
本発明は、特にガンによって誘導されたカヘキシアについて改善効果が認められる。
本発明のユビキチンリガーゼ阻害組成物は、そのまま或いは食品・飲料等に混ぜて経口摂取することができる。経口摂取する場合のユビキチンリガーゼ阻害組成物の投与量は、特に限定されないが、成人一人あたり・1日あたりに0.5g~70g(好ましくは3g~30g、更に好ましくは6g~18g)である。
<グアーガム分解物の調製>
実施例1
水900gに0.1N塩酸を加えてpH4.5に調整した後、アスペルギルス属細菌由来のβ-マンナナーゼ(ノボノルディスクバイオインダストリー社製)0.2gとグアーガム粉末100gを添加、混合した。この混合物を40℃~45℃で24時間に渡って反応させた。反応後、90℃で15分間加熱して酵素を失活させた。反応液を吸引濾過により濾過分離し、不溶物を除去して得られた透明な溶液を減圧濃縮(Yamato製エバポレーター)した。固形分量として、20質量%のものを得た。これを噴霧乾燥装置(大川原化工機(株)製)により乾燥し、粉末として65gのグアーガム分解物を得た。
グアーガム分解物を水に溶解させて、0.5(w/v)%濃度の水溶液を得た。分子量マーカーとして、ポリエチレングリコール(平均分子量:2×10、2×10、2×10及び1×10)を使用し、高速液体クロマトグラフィー(カラム:YMC-Pack Diol-120、検出器:示差屈折計)を用いて平均分子量を求めたところ、約20,000であった。平均分子量が1.8×10~2.0×10のものが85質量%以上含まれていた。
また、1質量%水溶液の粘度をB型粘度計を用いて25℃、60rpmで測定したところ、8mPa・sであった。
ガラクトースとマンノースの含量比率(ガラクトース:マンノース)を測定したところ、1:1.7であった。
酵素-HPLC法によって食物繊維含量を測定したところ、90質量%であった。
オリゴ糖の含有量は、7.3質量%であった。
また、グアーガム分解物に含まれるタンパク質中のアミノ酸分析を行ったところ、表1に示す通りであった。この結果から、(グルタミン酸+グルタミン+アスパラギン酸+アスパラギン)/全アミノ酸、(グルタミン酸+グルタミン+アスパラギン酸+アスパラギン)/(アルギニン+リジン+ヒスチジン)、(シスチン+チロシン)/全アミノ酸、(バリン+ヒスチジン+プロリン+ロイシン)/全アミノ酸を求めたところ、それぞれ0.47、5.0、0.11、0.10であった。
また、グアーガム分解物とグアー豆タンパク質の比率を求めたところグアーガム分解物:グアー豆タンパク質 = 279:1であった。
Figure 2022111399000002
実施例2
水900gに0.1N塩酸を加えてpH3に調整した後、アスペルギルス属細菌由来のβ-マンナナーゼ(ノボノルディスクバイオインダストリー社製)0.15gとグアーガム粉末100gを添加、混合した。この混合物を40℃~45℃で24時間に渡って反応させた。反応後、90℃で15分間加熱して酵素を失活させた。反応液を吸引濾過により濾過分離し、不溶物を除去して得られた透明な溶液を減圧濃縮(Yamato製エバポレーター)した。固形分量として、20質量%のものを得た。これを噴霧乾燥装置(大川原化工機(株)製)により乾燥し、粉末として68gのグアーガム分解物を得た。
グアーガム分解物の平均分子量を実施例1と同様にして求めたところ、約2.5×10であった。HPLCチャートの結果より、平均分子量が1.8×10~2.0×10のものが85質量%以上含まれていた。
また、1質量%水溶液の粘度をB型粘度計を用いて25℃、60rpmで測定したところ、10mPa・sであった。
ガラクトースとマンノースの含量比率(ガラクトース:マンノース)を測定したところ、1:1.8であった。
酵素-HPLC法によって食物繊維含量を測定したところ、89質量%であった。
オリゴ糖の含有量は、10質量%であった。
また、グアーガム分解物に含まれるタンパク質中のアミノ酸分析を行ったところ、(グルタミン酸+グルタミン+アスパラギン酸+アスパラギン)/全アミノ酸、(グルタミン酸+グルタミン+アスパラギン酸+アスパラギン)/(アルギニン+リジン+ヒスチジン)、(シスチン+チロシン)/全アミノ酸、(バリン+ヒスチジン+プロリン+ロイシン)/全アミノ酸を求めたところ、それぞれ0.56、22.3、0.16、0.03であった。
また、グアーガム分解物とグアー豆タンパク質の比率を求めたところグアーガム分解物:グアー豆タンパク質 = 418:1であった。
実施例3
水900gに0.1N塩酸を加えてpH4に調整した後、アスペルギルス属細菌由来のβ-マンナナーゼ(ノボノルディスクバイオインダストリー社製)0.25gとグアーガム粉末100gを添加、混合した。この混合物を50℃~55℃で12時間に渡って反応させた。反応後、90℃で15分間加熱して酵素を失活させた。反応液を吸引濾過によって濾過分離し、不溶物を除去して得られた透明な溶液を減圧濃縮(Yamato製エバポレーター)した。固形分量として、20質量%のものを得た。これを噴霧乾燥装置(大川原化工機(株)製)により乾燥し、粉末として70gのグアーガム分解物を得た。
グアーガム分解物の平均分子量を実施例1と同様にして求めたところ、約1.5×10であった。HPLCチャートの結果より、平均分子量が1.8×10~2.0×10のものが86質量%以上含まれていた。
また、1質量%水溶液の粘度をB型粘度計を用いて25℃、60rpmで測定したところ、9mPa・sであった。
ガラクトースとマンノースの含量比率(ガラクトース:マンノース)を測定したところ、1:2.0であった。
酵素-HPLC法によって食物繊維含量を測定したところ、88質量%であった。
オリゴ糖の含有量は、9質量%であった。
また、グアーガム分解物に含まれるタンパク質中のアミノ酸分析を行ったところ、(グルタミン酸+グルタミン+アスパラギン酸+アスパラギン)/全アミノ酸、(グルタミン酸+グルタミン+アスパラギン酸+アスパラギン)/(アルギニン+リジン+ヒスチジン)、(シスチン+チロシン)/全アミノ酸、(バリン+ヒスチジン+プロリン+ロイシン)/全アミノ酸を求めたところ、それぞれ0.48、9.6、0.17、0.05であった。
また、グアーガム分解物とグアー豆タンパク質の比率を求めたところグアーガム分解物:グアー豆タンパク質 = 357:1であった。
実施例4
特開平5-117156号公報の実施例(第4頁第3行~第4頁第10行)の記載に従ってグァーガム分解物の調製を行った。実施例1に準じて平均分子量を求めたところ5.5×10であった。
<生理活性試験>
1.試験方法
上記のように調製したグアーガム分解物の生理活性を調べるために、下記試験を行った。
32匹の雄性マウス(BALB/c、7週齢)を無作為に8匹ずつ下記4群に分けた。第1群:腫瘍接種あり、グアーガム分解物あり群。
ラット・マウス用飼料として、AIN93G(日本クレア株式会社製。但し、5質量%セルロース抜き)に、5質量%グアーガム分解物を加えたものを用いて飼育した。
第2群:腫瘍接種あり、グアーガム分解物なし群。
ラット・マウス用飼料として、AIN93G(日本クレア株式会社製。但し、5質量%セルロース抜き)に、5質量%シュクロースを加えたものを用いて飼育した。
第3群:腫瘍接種なし、グアーガム分解物あり群。
ラット・マウス用飼料として、AIN93G(日本クレア株式会社製。但し、5質量%セルロース抜き)に、5質量%グアーガム分解物を加えたものを用いて飼育した。
第4群:腫瘍接種なし、グアーガム分解物なし群。
ラット・マウス用飼料として、AIN93G(日本クレア株式会社製。但し、5質量%セルロース抜き)に、5質量%シュクロースを加えたものを用いて飼育した。
腫瘍接種の第14日前(day-14)から各群に上記飼料を用いて飼育を行った。第0日目(day0)に第2群及び第4群のマウスに、5×10個の大腸癌細胞(colon26)を右脇腹に皮下注射して投与した。癌細胞株投与から第21日目(day21)にマウスを解剖した。
第14日前から第21日目までの間に適宜に、体重、餌の摂取量、腫瘍サイズを測定した。第21日目の解剖後に、体重、腫瘍サイズ、筋肉重量(左右腓腹筋)、筋萎縮マーカー(血中LPS、炎症性サイトカイン、TGF-βファミリー、SCFA、zonulin)を測定し、盲腸内容物(SCFA、新鮮便)及び腸管の保存(カルノア固定、免疫染色用、腸管上皮)を行った。また、骨格筋内のユビキチンリガーゼの発現量(mRNA)を比較した。
2.試験結果
<体重、食餌量、筋肉量について>
図1には、各群のマウスの体重変化を示した。大腸癌細胞を接種しない群(第3,4群)では、第14日前から第21日目まで徐々に体重増加を示した。
これに対し、大腸癌細胞を接種した群(第1,2群)では、第5日目頃から体重増加が認められなくなり、第21日目には、大腸癌を接種しない群に比べて、有意に体重が少なかった。また、第21日目では、第2群(グアーガム分解物なし)は、第1群(グアーガム分解物あり)に比べ、有意に体重減少が認められた。
図2には、各群のマウスの食餌量の推移を示した。大腸癌細胞を接種しない群では、試験全体の期間を通して、食餌量に有意な変化は認められなかった。
これに対し、大腸癌細胞を接種した群では、第7日目以降に有意な食餌量の減少が認められた。また、第21日目では、第2群は、第1群に比べ、有意に食餌量の減少が認められた。
図3には、第21日目の各群のマウスの体重を、図4には、解剖後に腫瘍体重を除いたときのマウスの体重を、図5には、解剖後の筋肉重量(左右両側腓腹筋重量)を、それぞれ示した。大腸癌細胞を接種した群(第1,2群)では、大腸癌細胞を接種しない群(第3,4群)に比べると、有意に筋肉量が減少した。大腸癌細胞を接種しない群間(第3,4群間)では、グアーガム分解物の有無による筋肉量の変化は認められなかった。一方、大腸群細胞を接種した群間では、第2群(グアーガム分解物なし)に比べると、第1群(グアーガム分解物あり)の方が有意に(P=0.035)筋肉量が多かった。
なお、図には示さないが、大腸癌細胞を接種した群間(第1,2群間)においては、腫瘍サイズには有意差が認められなかった。
<骨格筋内ユビキチンリガーゼ阻害活性の測定>
ユビキチンリガーゼのうち、骨格筋内のAtroginとmuscle RING finger1(MuRF-1)の発現量を調べた。図6には、各群のAstroginのmRNAを、図7には、各群のMuRF-1のmRNAを、それぞれ示した。いずれのグラフにおいても、大腸癌細胞を接種しない群では、骨格筋内ユビキチンリガーゼの発現量は、グアーガム分解物の投与に関わらず低値であった(第3,4群間に有意差なし)。
これに対し、グアーガム分解物なしの大腸癌細胞接種群(第2群)では、ユビキチンリガーゼの発現量が有意に増加していた。しかし、グアーガム分解物ありの大腸癌細胞接種群(第1群)は、第2群に比べると、ユビキチンリガーゼの発現量が有意に低下していた。この結果、グアーガム分解物は、ユビキチンリガーゼ阻害作用を持つことが分かった。
このように、大腸癌細胞を皮下移植することで、ガンによって誘導されるカヘキシアを起こさせた動物モデルにおいて、グアーガム分解物を投与することによって、骨格筋重量の減少及び体重低下・除腫瘍体重の低下を有意に抑制した。また、グアーガム分解物は、骨格筋内のユビキチンリガーゼ発現の亢進を抑制することが分かった。
このように本実施形態によれば、新規なユビキチンリガーゼ阻害組成物およびこれを含有しガンによって誘導されたカヘキシアを改善するためのカヘキシア予防及び/又は治療用組成物を提供できた。

Claims (7)

  1. (A)平均分子量が1.8×10~2.0×10、平均分子量の範囲内のものが70質量%以上含まれるグアーガム分解物と(B)グアー豆タンパク質とを含有し、B型粘度計を用いて25℃、60rpmで測定したときの1質量%水溶液の粘度が50mPa・s以下のユビキチンリガーゼ阻害組成物であって、
    前記グアーガム分解物が、グアー由来の胚乳に含まれ、ガラクトースとマンノースの含量比率(ガラクトース:マンノース)が1:1.5~1:2.1の範囲であるガラクトマンナン多糖を微生物由来β-マンナナーゼを用いて加水分解し、低分子化することにより得られたものであり、酵素-HPLC法により規定される食物繊維含量を少なくとも70質量%、グアーガム分解物のオリゴ糖の含有量が15質量%以下であり、含有するタンパク質中のアミノ酸組成のうち(グルタミン酸+グルタミン+アスパラギン酸+アスパラギン)/全アミノ酸≧0.4、(グルタミン酸+グルタミン+アスパラギン酸+アスパラギン)/(アルギニン+リジン+ヒスチジン)≧4、(シスチン+チロシン)/全アミノ酸≧0.1、かつ(バリン+ヒスチジン+プロリン+ロイシン)/全アミノ酸≦0.12であり、前記(A):(B)の範囲が25~1000の範囲であるユビキチンリガーゼ阻害組成物。
  2. 請求項1に記載のユビキチンリガーゼ阻害組成物を含有し、ガンによって誘導されたカヘキシアを改善するためのカヘキシア予防及び/又は治療用組成物。
  3. 請求項1に記載のユビキチンリガーゼ阻害剤を含有する飲食品。
  4. 請求項1に記載のユビキチンリガーゼ阻害剤を含有する医薬品。
  5. 請求項2に記載のカヘキシア予防及び/又は治療用組成物を含有する医薬品。
  6. 請求項1に記載のユビキチンリガーゼ阻害剤を含有する飼料。
  7. 請求項2に記載のカヘキシア予防及び/又は治療用組成物を含有する飼料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023063033A1 (ja) * 2021-10-12 2023-04-20 太陽化学株式会社 サルコペニア肥満抑制組成物、及びこれを含有し糖尿病によって誘導されたサルコペニア肥満を改善するための予防及び/又は治療用組成物
WO2024034424A1 (ja) * 2022-08-08 2024-02-15 太陽化学株式会社 やる気増加用組成物

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